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■iPS細胞使った脊髄損傷治療、慶応大が正式了承 来年にも移植へ [健康ダイジェスト]

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から神経の元になる細胞を作製し、脊髄損傷の患者に移植する岡野栄之(ひでゆき)慶応大教授らの臨床研究について同大は28日、計画の実施を正式に了承したと発表しました。近く厚生労働省に承認を申請します。
 認められれば来年の夏にも移植を行うとみられ、iPS細胞を使った世界初の脊髄損傷の臨床研究となる見通しです。
 学内の審査委員会が27日に正式に了承しました。研究チームは昨年2月に実施計画を申請し、審査委員会は今月13日に大筋で了承していました。
 脊髄損傷は交通事故やスポーツ中のけがなどで脊髄が損傷し、脳と体をつなぐ神経が傷付き手足のまひなどが起きます。計画では、脊髄を損傷してから2~4週間以内で、運動機能や感覚を失った重度の成人患者を対象に、治療の安全性と有効性を確認します。
 京都大が備蓄している拒絶反応が起きにくい免疫タイプの健常者の血液から作ったiPS細胞を使って、慶応大が神経細胞の元になる細胞を作製。患部に細胞約200万個を注射で移植して新たな神経細胞を形成し、神経信号の途絶を修復して運動機能や感覚の回復を促します。リハビリも同時に行い、移植後約1年間、効果や安全性を確かめます。
 国内の脊髄損傷患者は年間約5000人で、重度の場合は車椅子生活を強いられます。有効な治療法はなく、新たな治療法の開発に大きな期待が寄せられています。
 研究チームはすでに、重度の脊髄損傷を起こしたサルで実験し、後ろ脚で立ち上がり、握力を回復させることに成功。iPS細胞を使った移植はがん化が懸念されますが、マウスの実験でがん化しないことも確認しました。
 岡野教授は、「基礎研究を始めて20年。ようやく実際の治療のスタートラインに立った。着実に知見を積み重ね、患者に届けたい」と話しています。

 2018年11月30日(金)

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