■本庶氏、小野薬品を改めて批判 オプジーボ特許の対価巡り [健康ダイジェスト]
2018年のノーベル医学・生理学賞を受賞した京都大学の本庶佑(ほんじょ・たすく)特別教授が10日、京都市内で会見を開き、本庶氏の研究を基に小野薬品工業(大阪市中央区)が開発したがん免疫治療薬「オプジーボ」を巡り、特許契約を結んだ同社から支払われた約26億円を、契約に納得できない点があるとして受け取っていないと明らかにしました。全額法務局に供託されているといいます。
本庶氏は、「若手研究者の育成のためにも、オプジーボの売り上げで得られる(特許料の)対価引き上げを求め、小野薬品と協議したい」と述べました。
小野薬品は、本庶氏が発見した免疫の働きにブレーキをかけるタンパク質「PD-1」に着目。これを取り除くことで、がん細胞を攻撃するオプジーボを開発し、2014年9月から販売しています。2016年度は国内売上高1039億円を記録。海外の製薬企業からも1000億円単位の特許使用料を得ています。特許権の持ち分は本庶氏と小野薬品が半分ずつ保有していますが、2006年に同社が特許を独占的に使用し、本庶氏は対価を得るという契約を結びました。
この日の会見に同席した井垣太介弁護士は、2006年に本庶氏個人と小野薬品が特許に関しての契約を結んだ際、同社からの対価の料率に関する説明が不正確だったと説明。当時の本庶氏が特許契約に関する知識が乏しかったと強調し、「本庶先生は研究で忙しく、弁護士に依頼する余裕もなかった。小野薬品ももう少し慎重なプロセス(過程)を踏むべきだった」と指摘しました。
対価の引き上げを求め、本庶氏らは2011年ごろから小野薬品と交渉を開始しましたが、昨秋以降は実施されていないといいます。
本庶氏は会見で、「公正な産学連携のモデルを作らないと日本のライフサイエンス(生命科学)分野はダメージを受け、若手研究者もやる気を失う」と語りました。
本庶氏はノーベル賞の賞金を原資に設立した「本庶佑有志基金」にオプジーボの販売で得られる対価を充てたいとする考えを示しています。
本庶氏の記者会見を受け、小野薬品は「本庶氏の主張を正確に把握できておらず、現時点で話はできない。特許使用料の引き上げを含めた話し合いは弁護士を介して今も続けている」と話しました。
2019年4月10日(水)
本庶氏は、「若手研究者の育成のためにも、オプジーボの売り上げで得られる(特許料の)対価引き上げを求め、小野薬品と協議したい」と述べました。
小野薬品は、本庶氏が発見した免疫の働きにブレーキをかけるタンパク質「PD-1」に着目。これを取り除くことで、がん細胞を攻撃するオプジーボを開発し、2014年9月から販売しています。2016年度は国内売上高1039億円を記録。海外の製薬企業からも1000億円単位の特許使用料を得ています。特許権の持ち分は本庶氏と小野薬品が半分ずつ保有していますが、2006年に同社が特許を独占的に使用し、本庶氏は対価を得るという契約を結びました。
この日の会見に同席した井垣太介弁護士は、2006年に本庶氏個人と小野薬品が特許に関しての契約を結んだ際、同社からの対価の料率に関する説明が不正確だったと説明。当時の本庶氏が特許契約に関する知識が乏しかったと強調し、「本庶先生は研究で忙しく、弁護士に依頼する余裕もなかった。小野薬品ももう少し慎重なプロセス(過程)を踏むべきだった」と指摘しました。
対価の引き上げを求め、本庶氏らは2011年ごろから小野薬品と交渉を開始しましたが、昨秋以降は実施されていないといいます。
本庶氏は会見で、「公正な産学連携のモデルを作らないと日本のライフサイエンス(生命科学)分野はダメージを受け、若手研究者もやる気を失う」と語りました。
本庶氏はノーベル賞の賞金を原資に設立した「本庶佑有志基金」にオプジーボの販売で得られる対価を充てたいとする考えを示しています。
本庶氏の記者会見を受け、小野薬品は「本庶氏の主張を正確に把握できておらず、現時点で話はできない。特許使用料の引き上げを含めた話し合いは弁護士を介して今も続けている」と話しました。
2019年4月10日(水)
■京都大、骨が伸びる仕組みの一端解明 カルシウムイオンが関係 [健康ダイジェスト]
京都大学などの研究チームが、骨が伸びる仕組みの一端を解明したと発表しました。今後、骨折の治療薬などへの活用が期待されます。
京都大学の市村敦彦特定助教らの研究チームによると、大腿骨や上腕骨、指の骨などは胎児や子供のころにまず軟骨細胞が増えることで伸びて、その後硬い骨に置き換わるという変化が起きています。
研究では、軟骨の成長には細胞の中にあるカルシウムイオンの濃度が常に変化していることが必要だとわかり、それを制御しているTRPM7(トリップエムセブン)という遺伝子を今回初めて特定しました。
実験で、細胞からその遺伝子を欠損させたマウスを成長させたところ、通常の個体に比べて骨が約25%短くなり、体重も半分程度にとどまったといいます。
人でも同様の仕組みがあると考えられ、研究チームは折れた骨の治癒を促す薬の開発や移植用軟骨の高品質化などに活用したいとしています。
2019年4月10日(水)
京都大学の市村敦彦特定助教らの研究チームによると、大腿骨や上腕骨、指の骨などは胎児や子供のころにまず軟骨細胞が増えることで伸びて、その後硬い骨に置き換わるという変化が起きています。
研究では、軟骨の成長には細胞の中にあるカルシウムイオンの濃度が常に変化していることが必要だとわかり、それを制御しているTRPM7(トリップエムセブン)という遺伝子を今回初めて特定しました。
実験で、細胞からその遺伝子を欠損させたマウスを成長させたところ、通常の個体に比べて骨が約25%短くなり、体重も半分程度にとどまったといいます。
人でも同様の仕組みがあると考えられ、研究チームは折れた骨の治癒を促す薬の開発や移植用軟骨の高品質化などに活用したいとしています。
2019年4月10日(水)
■介護職員の平均月給、初めて30万円を超える 厚労省調べ [健康ダイジェスト]
厚生労働省は10日、介護施設で働く常勤介護職員の平均月給が2018年9月時点で30万970円と前の年と比べて1万850円増えたと発表しました。30万円を超えたのは2009年の調査開始以来初めて。
介護現場での人手不足感が強まる中、待遇の改善で職員の引き留めを図る施設が増えているためですが、産業界の平均水準には届いていません。
特別養護老人ホームなど全国の1万670事業所を調べ、有効回答率は74・1%でした。平均月給には基本給のほか、諸手当や賞与も含まれます。月給のうち基本給は18万1220円で、前の年と比べて3230円増えました。諸手当は7万1330円で3610円増、賞与も4万8420円と4010円増えました。
厚労省は介護職員の処遇を改善するため、職員1人当たり最大で月3万7000円に相当する介護報酬を支払っており、これも給与水準を押し上げました。上限まで報酬加算を取得した事業所は69・3%と前の年より4・4ポイント増加しました。
ただ、厚労省の賃金構造基本統計調査によると、2018年6月時点の全産業の平均給与(賞与は除く)は33万6700円でした。介護職の給与は一般産業界の水準にはなお届いていません。
介護職員の持続的な賃上げへの環境整備にも、課題はあります。今回の調査で賃金引き上げの実施方法を複数回答で聞いたところ、賃金カーブを底上げするベースアップを実施する予定の事業所は21・1%にとどまり、手当の引き上げや新設が31・3%に上りました。
2019年4月10日(水)
介護現場での人手不足感が強まる中、待遇の改善で職員の引き留めを図る施設が増えているためですが、産業界の平均水準には届いていません。
特別養護老人ホームなど全国の1万670事業所を調べ、有効回答率は74・1%でした。平均月給には基本給のほか、諸手当や賞与も含まれます。月給のうち基本給は18万1220円で、前の年と比べて3230円増えました。諸手当は7万1330円で3610円増、賞与も4万8420円と4010円増えました。
厚労省は介護職員の処遇を改善するため、職員1人当たり最大で月3万7000円に相当する介護報酬を支払っており、これも給与水準を押し上げました。上限まで報酬加算を取得した事業所は69・3%と前の年より4・4ポイント増加しました。
ただ、厚労省の賃金構造基本統計調査によると、2018年6月時点の全産業の平均給与(賞与は除く)は33万6700円でした。介護職の給与は一般産業界の水準にはなお届いていません。
介護職員の持続的な賃上げへの環境整備にも、課題はあります。今回の調査で賃金引き上げの実施方法を複数回答で聞いたところ、賃金カーブを底上げするベースアップを実施する予定の事業所は21・1%にとどまり、手当の引き上げや新設が31・3%に上りました。
2019年4月10日(水)