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■消毒薬「赤チン」、来年末で生産終了 国内唯一のメーカーが表明 [健康ダイジェスト]

 傷口に塗ると赤色になることから「赤チン」の愛称で親しまれた消毒薬「マーキュロクロム液」の国内生産が2020年末で終わることが16日、明らかになりました。日本で唯一のメーカーである三栄製薬(東京都世田谷区)が、生産をやめると表明しました。昭和世代になじみ深い製品が、また姿を消します。
 赤チンは有機水銀剤「マーキュロクロム」の1~2%水溶液で、粘膜・傷口の消毒に使用され、かつて家庭や学校の常備薬の定番でした。
 赤チンが日本薬局方(厚生労働大臣が定めた医薬品の規格基準書)に初めて収められたのは1939年で、明治以降に衛生教育が進んで消毒や殺菌の重要性が認識されるや、家庭や学校の保健室に手軽な消毒薬として常備されるようになり、最盛期には100社ほどが生産していたました。しかし、水銀公害が問題となった1960年代以降は生産過程で水銀を含んだ廃液が発生することから敬遠され、1973年には原料の国内生産が中止されました。
 それでも海外から原料を輸入することは禁止されていなかったため、愛用者に応える形で一部企業は製造販売を続けていました。2015年に厚労省が行った製造事業者2社へのヒアリングによれば、1社の年間製造量は1万6500~3万本程度。薬局や保健室で赤チンを見る機会は激減しましたが、年配者を中心に多くの一般使用者がいたのです。
 しかし、2016年6月に公布された「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」で、マーキュロクロム液が2020年12月31日をもって製造禁止になることが決定。さらに2017年12月、厚生労働省は「マーキュロクロム」「マーキュロクロム液」の2つを2019年5月31日をもって日本薬局方から削除することを発表しました。
 日本薬局方から外れた薬は現行の「日本薬局方」を記載したパッケージでは売れなくなり、改めて承認審査を通さなければなりません。それでも2020年末まで、マーキュロクロム液を日本薬局方外医薬品にリニューアルして製造販売し続けることを決めた製薬会社が日本に1社だけ存在し、それが1953年に創業した三栄製薬でした。
 今後、三栄製薬は2020年いっぱいまでは、原料がある限り赤チンを製造し続けるといいます。会社には、根強いファンから「いつまでもつくり続けて」などの声も寄せられているといいます。

 2019年4月16日(火)

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