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■AEDの女子高校生への使用に抵抗感 京都大が調査 [健康ダイジェスト]

 学校で心停止になった子供に自動体外式除細動器(AED)が使われたかどうかを調べたところ、小学生と中学生では男女差がなかったのに対して、高校生では女子生徒に使われる割合が男子生徒より低い傾向にあることが、京都大学などの研究チームの調査でわかりました。
 京都大学などの研究チームは、2008年から2015年にかけて全国の学校の構内で心停止になった子供232人について、救急隊が到着する前にAEDのパッドが装着されたかどうかを調べました。
 その結果、小学生と中学生では、男女の間で有意な差はありませんでしたが、高校生では、男子生徒の83・2%にパッドが装着されたのに対して女子生徒は55・6%と、30ポイント近く低くなっていました。
 AEDは心臓の動きを正常に戻す医療機器で、鎖骨の下などの素肌に直接パッドを貼る必要があり、研究チームでは女子高校生の場合、近くにいた人達が素肌を出すことに一定の抵抗があったのではないかと分析しています。
 心停止の状態で何もしないと、救命率は1分たつごとにおよそ10%ずつ下がるため、救急隊の到着する前にできるだけ早く胸骨圧迫=心臓マッサージをして、AEDを使うことが大切です。
 研究チームのメンバーで京都大学健康科学センターの石見拓教授は、「パッドは服を完全に脱がせなくても貼ることができ、貼った後に服などをかぶせてもよい。命を救うため女性にもAEDを迷わず使ってほしい」と話しています。
 倒れて意識がない女性に救命処置を行う場合、どんな配慮や工夫ができるのか、石見教授によると、声を掛けて意識がなければ、119番に通報して、近くの人にAEDを持ってきてもらうように頼みます。
 呼吸をしていない、またはよくわからなければ、胸骨圧迫=心臓マッサージを始めます。
 AEDが届いたら、電源を入れ、2枚のパッドを素肌に貼りますが、服をすべて脱がす必要はなく、下着をずらして右の鎖骨の下と左の脇腹の辺りに貼ることで対応できます。貼った後は、上から服などをかけても大丈夫です。
 石見教授は、「AEDのパッドは貼るべき位置に貼れれば、服をすべて脱がさなくても問題はない。女性であっても男性と同じだけの救命のチャンスが与えられるべきで、訓練の場などで女性への対応の仕方を広く伝えていきたい」と話しています。

 2019年5月6日(月)

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■増え続ける梅毒患者、今年も1627人に 早期の受診が大切 [健康ダイジェスト]

 性感染症の梅毒患者が増え続けており、昨年の患者数は7000人近くに上りました。妊婦にうつると死産や早産になることもあり、感染が疑われる場合は、すぐに医療機関を受診し、治療を始めることが大切です。
 梅毒は、「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因で発症します。性行為によって、性器や口、肛門の粘膜の傷などから、この細菌が体内に入ると感染します。
 戦後間もない1940年代後半、国内に20万人以上の患者がいました。その後、治療薬が普及して患者は減少したものの、国立感染症研究所のまとめによると、2011年ごろから再び増え始めました。2017年には44年ぶりに5000人を超え、2018年は暫定値で6923人。今年も4月7日までに1627人と昨年の同時期を上回っています。
 患者の中心は、男性が20~40歳代、女性は20歳代。10歳代の患者の報告もあります。
 症状の出方は、人によってさまざま。一般的には感染から3週間ほどたつと、性器や口、肛門など、感染した部分にしこりができます。太ももの付け根のリンパ節がはれることもあります。治療をしなくても症状は消え、この時期を「第1期梅毒」といいます。
 治療をしないまま感染から約3カ月が経過すると、「バラ疹」と呼ばれる赤い発疹が体や手のひらなどに現れるようになります。発疹は出たり消えたりを繰り返すこともあり、こうした症状が続く期間が「第2期梅毒」。
 3年以上になると「晩期梅毒」と呼ばれ、ゴムのような腫瘍(ゴム腫)が皮膚などにできます。何年もたってから心臓や血管などに異常が生じ、死亡することもあります。
 梅毒に詳しいプライベートケアクリニック東京(東京都新宿区)院長の尾上泰彦さんは、「発疹などが出ても、痛みやかゆみはほとんど伴わない。症状が出なかったり、第1期と第2期の症状が混在したりする患者もいる」と説明しています。
 治療では、ペニシリン系の抗菌薬を4週間前後、飲み続けます。尾上さんによると、この冬、クリニックを訪れた20歳代の女性は、腹部や胸、手のひら、足の裏に発疹が出ていました。検査で梅毒と診断され、抗菌薬を使うと症状は治まりました。
 パートナーにも検査を受けてもらったところ、梅毒に感染していることがわかりました。こうしたケースは、珍しくないといいます。
 国立感染症研究所細菌第1部長の大西真さんは、「梅毒トレポネーマは感染力が強く、性器や口などの粘膜に触れると、ほぼ感染すると考えておいたほうがよい。特に第1期の時期は感染しやすく注意が必要だ。自分が梅毒にかかっていることがわかったら、必ずパートナーにも検査を受けてもらってほしい」と指摘しています。
 梅毒は、1度かかっても免疫はできません。再び、梅毒トレポネーマを持った人と性交渉を行えば、何度でも感染します。
 大西さんは、「コンドームを使うことで、完全ではないが、感染のリスクを減らすことはできる。不特定多数の人と性交渉を行えば、その分、感染リスクが増えることも理解してほしい」と注意を呼び掛けています。

 2019年5月6日(月)

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