SSブログ

■脳の神経細胞減少に特定のタンパク質が関係 慶応大などが突き止める [健康ダイジェスト]

 老化に伴い新たに作られる脳の神経細胞が減る原因として、特定のタンパク質の減少が大きくかかわっていることを突き止めたと、慶応大学などの研究チームが10日、アメリカの科学誌「ステム・セル・リポーツ」電子版に発表しました。このタンパク質の減少を抑えれば、認知症などの原因とされる脳の委縮を抑制できるとみられます。
 研究チームの岡野栄之・慶応大学教授(生理学)は、「新たな治療薬の開発につながる」と期待しています。
 加齢による神経細胞の減少を食い止めるため、これまで神経細胞のもとになる「神経幹細胞」を活性化させる研究が行われてきましたが、継続的に神経細胞を増やすことはできていませんでした。
 そこで研究チームは、神経幹細胞から神経細胞になる途中段階の「神経前駆細胞」に注目。マウスによる実験で、「p38」というタンパク質が神経前駆細胞を増やす役割を果たしていることを発見しました。老化するとp38が減り、それに伴い新たに作られる神経細胞も減少しました。
 研究チームは複数のマウスに、老化してもp38が減らないようにする遺伝子を注入。通常のマウスと比較した結果、老化すると神経細胞の減少で脳が委縮して頭の中に「脳室」と呼ばれる空間が拡大するものの、遺伝子を注入したマウスは脳室の拡大スペースを平均で4割ほど抑えられました。
 また、これまで脳梗塞(こうそく)などで傷付いた脳を再生するために神経幹細胞を活性化させた際、神経幹細胞が分裂を繰り返し枯渇する問題がありました。p38を利用すれば神経幹細胞ではなく神経前駆細胞を活性化させるため、研究チームは「枯渇を招かず長期的な神経再生が可能になる」としています。

 2019年5月10日(金)

nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■抗がん剤に伴う脱毛、冷やして抑える 装置を医療機器に初承認 [健康ダイジェスト]

 抗がん剤治療に伴う脱毛を抑えるのを目的にした装置が、国内で初めて医療機器として承認されました。頭皮を冷やすことで、毛髪をつくる細胞が抗がん剤の影響を受けにくくなるようにします。7月ごろから医療機関で使えるようになる見込みといいます。
 抗がん剤は、薬のタイプによっては脱毛につながりやすく、患者にとって最もつらい副作用の一つとされます。承認されたセンチュリーメディカルの「パックスマン・スカルプ・クーリング・システム」は、病院などで抗がん剤治療を受けるごとに、その開始前から終了後にかけて頭部につけた専用キャップにマイナス4度ほどの冷却液を流し、頭皮を冷やします。血管を縮め、毛包という部位に届く抗がん剤の量を減らします。
 乳がん患者を対象にした国内の治験では、このシステムを使った30人中8人(26・7%)が、「50%未満の脱毛でウィッグを必要としない」と2人の医師に判定されました。使わなかった側の13人で同様に判定された人はおらず、装置の効果が認められました。今回は乳がんを含む固形がん患者に使うことが承認されました。
 機器はすでに頭痛を抑える目的で承認されていたほか、一部の施設で脱毛抑制の臨床研究などで使われていました。
 センチュリーメディカルはこの機器を使うことに公的保険が適用されるよう求めていますが、現時点では患者がいくら払えば使えるかといったことは決まっていません。生産台数があまり多くなく、当面、使えるのは脱毛のケアに熱心に取り組む病院など、限られた施設になりそうです。
 この装置を使った臨床研究に携わった四国がんセンター(松山市)乳腺外科の大住省三部長は、「脱毛がつらいために抗がん剤治療自体を避けてしまう患者さんもいる。効果は十分とはいえないが、機器が承認されたことは非常にありがたい」と話しています。

 2019年5月10日(金)

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■フリーズドライ技術で保存のマウス精子に受精能力 山梨大学が発表 [健康ダイジェスト]

 インスタント食品の製造にも使われるフリーズドライ技術で凍結乾燥させたマウスの精子は高温などの環境にさらされても子供を誕生させる能力が保たれることがわかったと、山梨大学の研究チームが発表しました。研究チームは希少な動物の遺伝子などを長期間、安全に保存するために重要な知見だとしています。
 山梨大学発生工学研究センターの若山照彦教授らの研究チームは、マウスの精子をインスタント食品の製造にも使われるフリーズドライ技術で凍結乾燥させた上でほぼ真空状態にした容器に入れ、高温の環境に置いたり急激に冷やしたりしても体外受精が可能かどうか実験を行いました。
 その結果、95度のオーブンで1時間加熱した後のフリーズドライ精子から子供のマウスを誕生させることに成功したということです。
 また、氷点下196度まで冷やして常温に戻すという作業を10回繰り返した後でも受精し、精子のDNAには温度変化への強い耐性があることがわかったということです。
 研究チームは、これまでもマウスのフリーズドライ精子をほぼ真空状態にすることで室温で1年間保存し、子供を誕生させるのに成功しており、希少な動物の遺伝子などを長期間、安全に保存するために重要な知見だとしています。
 研究チームの中心メンバーの若山清香助教は、「絶滅の恐れがあるものを含め、さまざまな哺乳類の精子の保存にフリーズドライ技術が活用できる」と話しています。
 研究成果をまとめた論文は、イギリスのオンライン科学雑誌「サイエンティフィックリポーツ」に掲載されています。

 2019年5月10日(金)

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:健康