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■iPS細胞から作ったミニ肝臓で病気を再現 新薬開発へ期待 [健康ダイジェスト]

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、肝炎の状態を再現した「ミニ肝臓」を、東京医科歯科大学の武部貴則教授らが作製しました。iPS細胞から作った「臓器」で病気を再現したのは初めて。体内に近い状態を外部で観察でき、病気の仕組みの解明や治療薬探しに生かせるといいます。
 論文は5月31日、アメリカの科学誌「セル・メタボリズム」に掲載されました。
 研究チームは、人間のiPS細胞をもとに、複数の細胞からなり、臓器特有の働きを持った直径0・2ミリのミニ肝臓を作製しました。炎症などを引き起こす肝星細胞やクッパー細胞という細胞も一緒に作製することで、肝臓に脂肪がたまって炎症を起こす「非アルコール性脂肪肝炎(NASH(ナッシュ))」の状態を再現できます。
 NASHは、飲酒の習慣がなくても発症します。患者は近年増加しており、国内に数百万人いると推定されます。進行すると肝硬変や肝がんにつながる恐れもあるものの、発症の仕組みはわかっていないことが多く、有効な治療法がありません。
 今回作製したミニ肝臓に脂肪酸を加えると、脂肪が蓄積し、肝硬変と同じように硬くなりました。また、ある化合物を加えたところ、脂肪の蓄積が抑えられたことも確認できました。
 武部教授は、「iPS細胞から『ミニ臓器』を作れば、難しい病気も再現できる。将来は肺や腸などにも応用できる可能性がある」と話しています。

 2019年6月3日(月)

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■休眠状態の卵母細胞、体外作製に成功 不妊原因究明に期待 [健康ダイジェスト]

 マウスのES細胞(胚性幹細胞)から、卵子のもとになる「卵母細胞」を生体内と同じように休眠状態で体外作製することに、九州大学の林克彦教授(生殖生物学)らの研究チームが成功しました。
 不妊の原因究明などに役立つ可能性があるといいます。論文はアメリカの「科学アカデミー紀要」(電子版)に掲載されました。
 哺乳類の卵巣では、卵母細胞が休眠した状態で存在し、周期的に一部の細胞が発育して卵子となります。卵母細胞は原則的に増殖しないため、生殖能力を長く維持するには、残りの細胞が休眠状態を保つことが重要です。
 林教授らは2016年、マウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から体外で卵子をつくることに世界で初めて成功。ただ、体外作製ではすべての卵母細胞が一度に卵子に発育してしまい、また、その卵子の受精率は低くなりました。
 今回、さまざまな組織に変化する万能細胞の一種のES細胞を作製する際、酸素濃度を大気中の約4分の1(5%)まで低くし、生体内と似た環境にしたところ、3週間で休眠状態の卵母細胞ができました。卵母細胞が卵子になるメカニズムの解明や、早期閉経など不妊の原因究明、治療法開発への貢献が期待できるといいます。
 横浜市立大学の小川毅彦教授(生殖再生医学)は、「生体内の卵子の形成に近い状態を再現した点で画期的だ。卵母細胞の活性化や老化といった、未解明の課題を明らかにする手掛かりになる」と話しました。

 2019年6月3日(月)

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■視覚障害の原因疾患、緑内障が最多 厚労省が全国調査 [健康ダイジェスト]

 2015年度に新たに障害者手帳の交付を受けた視覚障害者の原因疾患は緑内障が最も多く、原因に占める割合も過去より増加したという全国調査の結果を、白神史雄岡山大学教授(眼科学)を中心とする厚生労働省研究班がまとめました。
 緑内障は中高年に多い疾患で、目と脳をつなぐ視神経の障害によって視力が低下します。調査によると原因の28・6%を占め、人口の高齢化を反映する形で、前回調査(2007~2009年度)の割合(21・0%)を上回りました。
 2位は網膜色素変性(14・0%)、3位は糖尿病網膜症(12・8%)で、前回調査と順位が入れ替わりました。
 4位は網膜中心部に出血や水膨れが生じる黄斑変性(8・0%)で、順位は前回調査と同じでした。
 新規視覚障害者の年齢層は80歳代が29・6%で最多。70歳代(26・3%)、60歳代(17・3%)がそれに続き、大半が高齢者であることがわかりました。
 視覚障害の原因疾患に関する全国調査は今回が4回目。過去はいずれも7県程度の抽出調査でしたが、データが電子化されたことにより、今回初めて全都道府県の計135福祉事務所から18歳以上の新規視覚障害認定者1万2000人余りの記録を集め、集計しました。
 分析を担当した森實祐基岡山大准教授は、「原因の上位を占めた疾患はいずれも早期発見が重要。特に症状がなくても定期的な目の検査を勧める」と話しています。今後は地域別のデータを分析し、各地の福祉行政に役立ててもらいたいといいます。

 2019年6月3日(月)

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■筋ジス次世代型医薬品、安全性を確認 日本新薬、2019年中に販売へ [健康ダイジェスト]

 日本新薬は5月28日、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬として開発中の核酸医薬品について、日米での臨床試験で安全性と有効性が確認されたと発表しました。これを受け、同社は計画通り2019年中の日米での販売開始を目指します。
 日米とも研究機関や大学での第2相試験まで終え、アメリカで開催中の医療学会で結果が報告されました。筋肉が徐々に衰える筋ジストロフィーのうち、患者数の多いデュシェンヌ型筋ジストロフィーでは骨格筋の特定のタンパク質が欠損しますが、治療薬の投与で産生が確認されたといいます。
 同治療薬は、疾患の原因となる遺伝子を標的とする次世代型医薬品で、最先端の新薬を優先的に審査する厚生労働省の「先駆け審査指定制度」の対象に選ばれています。
 日本新薬広報部は、「規制当局と相談しながら、本年度中に販売承認申請を行っていきたい」としています。

 2019年6月2日(日)

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