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■海洋プラごみ削減へ対策共有、初の国際的枠組み合意 G20エネルギー・環境相会合 [健康ダイジェスト]

 長野県軽井沢町で開かれていた主要20カ国・地域(G20)エネルギー・環境関係閣僚会合は16日、世界的な対策が急務の海洋プラスチックごみに関し、海への流出量など基礎データの集積を目指す枠組みの構築などを盛り込んだ共同声明を採択して閉幕しました。海洋プラスチックごみ対策としては初の国際的な枠組みとなり、メカニズムを解明して流出防止を目指します。
 共同声明は、海洋プラスチックごみを「海洋生態系や漁業などに負の影響を与え、人間の健康にも負の影響を及ぼす可能性があることに鑑み、緊急の取り組みが求められる緊急の行動が求められる問題」と指摘しました。その上で、「プラスチックごみの海洋流出の抑制や大幅な削減に向け、各国の適切な取り組みを速やかに実施することを決意する」と表明しました。
 合意された枠組みはプラスチックごみの海洋流出防止を主眼に置き、各国にプラスチックごみ排出量や処理施設の整備状況などがわかる報告書の定期的な提出を求めます。国際会議の場などで年1回程度、集約する見通しで、初回は今秋に日本で開く予定。日本政府は昨年、インドネシアの国際機関に海洋プラスチックごみに関するデータ集約の拠点を設けると表明しています。
 ただし枠組みは、ごみ処理対策が遅れている東南アジアなどの途上国に配慮して、プラスチックごみ削減の具体的な取り組みを各国の自主的な判断に委ねるとしました。今後、G20以外の国にも参加を呼び掛けます。
 今回はG20で初めて環境分野の閣僚会合が行われ、エネルギー分野と合同で開催されました。水素エネルギー技術の推進などイノベーション(技術革新)を中心に据えた環境対策もテーマとなり、各国の協力体制の強化やビジネス環境整備の促進などで合意しました。
 一方、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑える目標を掲げた「パリ協定」の開始が来年に迫る中、会合では温室効果ガス削減に向けた議論の進展が期待されました。しかし、積極的な削減策を求めるヨーロッパ連合とパリ協定離脱を表明したアメリカなどとの溝が埋まらず、具体的な対策の合意には至りませんでした。

 2019年6月16日(日)

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■重症メニエール病に「中耳加圧治療」の選択肢 自宅で医療機器を用いめまい減 [健康ダイジェスト]

 激しいめまい発作に難聴や耳鳴りも伴うメニエール病で、薬が効かない患者向けの「中耳加圧治療」が、昨年9月に公的医療保険の対象になりました。従来は手術しか方法がありませんでしたが、体に負担をかけずに症状を改善できる可能性が出てきました。
 めまいは突然起こり、しばらくすると治まります。こうした発作を繰り返し、難聴や耳鳴り、耳詰まり感などの症状も、よくなったり悪くなったり変化します。メニエール病の患者は国内に約4万人いるとされます。
 耳の一番奥にある内耳にリンパ液が過剰にたまることで起こる、いわば内耳の水膨れで、平衡感覚の維持や音を脳に伝える働きが鈍ります。ストレスや疲れ、睡眠不足が引き金になります。
 治療は、十分な睡眠や適度な有酸素運動など、生活習慣の見直しから始め、抗めまい薬や利尿薬なども必要に応じて服用します。しかし、患者のうち少なくとも1割は、こうした基本の治療だけでは改善しません。
 これまで、次の一手は手術でした。リンパ液を排出する通路を作ったり、鼓膜に針を刺して中耳に薬を入れ、めまいを感じる神経を壊したりする方法です。いずれも、すぐに効果が期待できる一方、再発や聴力低下の恐れがあります。
 中耳加圧治療は、基本の治療と手術の中間的な位置付けです。患者は耳鼻咽喉科専門医を受診した上で、医療機器を借りて自宅で自分一人で行います。本体につながるイヤホンから、強弱がついた圧力(圧波)が出ます。これが中耳を経由して内耳まで届き、たまったリンパ液を外に押し出します。
 石川県の主婦(53歳)はメニエール病と診断されて5年余り。聴力低下が心配で手術に踏み切れず、1月に中耳加圧治療を始めました。毎日朝夕の2回、3分間ずつ機器を使います。圧波については、「トンネルで耳がキーンとなる感覚に似ている。痛みはない」と説明します。
 月1回、主治医を受診して、めまいの回数や程度を記録した「日誌」を提出。治療を続けるうち、重い発作が減り、めまいを感じない日も出ています。
 この治療は、欧米では2000年ごろから普及し、日本では2012年から独自の機器開発が始まりました。富山大学と岐阜大学で実施した臨床試験(治験)で、この治療を約4カ月間続けた19人は、重いめまい発作の回数が月平均で7・4回から1・4回に減りました。
 難聴になり、しばらくたってからめまい発作が起こる遅発性内リンパ水腫患者も、この治療の対象です。治療が受けられる医療機関も徐々に広がっています。
 富山大学耳鼻咽喉科教授の将積(しょうじゃく)日出夫さんは、「再発予防も踏まえると、1年は続けることが大切。すぐに治したいなら、この治療をせずに手術する選択もある」と指摘します。
 めまい発作を繰り返す患者の中には、「また発作が起きたら」と不安で、医師から運動を勧められても、安静に過ごす人が多くいます。
 東海大学(神奈川県伊勢原市)耳鼻咽喉科准教授の五島史行さんは、「自宅で中耳加圧治療に取り組めば、めまいを自分で治そうという意欲がわき、運動を始めるなど生活全般にもよい影響が期待できる」と話しています。

 2019年6月16日(日)




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☐用語 先天性溶血性貧血 [用語(さ行)]

[牡牛座]赤血球の寿命が短くなり、骨髄が赤血球を作る造血機能が追い付かずに現れる先天性の貧血
 先天性溶血性貧血とは、先天的に起きる溶血性貧血の総称。
 溶血性貧血とは、全身に酸素を運ぶ役割を持つ赤血球そのものの寿命が短く、正常の約120日の寿命より早く消失してしまい、骨髄の造血機能が追い付けなくなって貧血を起こす疾患で、その原因が赤血球自体にあるものと、赤血球以外にあるものとがあります。原因が赤血球自体にあるもののほとんどは、先天性あるいは遺伝性の赤血球異常による溶血性貧血で、日本人には比較的まれな疾患です。
 先天性溶血性貧血には、赤血球自体に異常がある遺伝性球状赤血球症や遺伝性楕円(だえん)赤血球症(卵形赤血球症)、酵素に異常がある赤血球酵素異常症、ヘモグロビン異常症、サラセミアなどがあります。日本で発見される先天性溶血性貧血の中では、遺伝性球状赤血球症が約70%、遺伝性楕円赤血球症が約2%、赤血球酵素異常症が約5%、ヘモグロビン異常症が約5%を占めます。
 先天性溶血性貧血の代表的な疾患である遺伝性球状赤血球症は、血液を構成する細胞のうち、各臓器や組織への酸素運搬を担う赤血球細胞の遺伝的な異常によって、形状が球状に変形して本来の機能が低下し、壊れやすくなる疾患。慢性家族性黄疸(おうだん)、先天性溶血性黄疸、家族性球状赤血球症、球状赤血球性貧血とも呼ばれます。
 常染色体優勢遺伝という形式で遺伝することが多いものの、常染色体劣性遺伝という形式で遺伝することもあり、突然変異による弧発例も存在します。
 日本で発見される先天性溶血性貧血の中で最も頻度が高い疾患で、人口5〜10万人に1人の頻度とされています。主要な症状は貧血、黄疸、脾臓(ひぞう)のはれですが、症状の程度は個人差が大変強く、新生児期に重篤な症状を起こす場合もあれば、成人してから検査結果の異常で偶然発見される場合もあります。
 赤血球は体内で狭い血管をも通過できるように、正常では中央部分がへこんだ円盤状の形をしています。この形態によって、狭い部分を通過する際に細胞が折り畳まれることで細胞を傷付けずにより先に流れていくことができます。
 遺伝性球状赤血球症では、この特殊な形を保つための細胞骨格を作り上げる蛋白(たんぱく)質の遺伝子異常があるため、赤血球が通常通り変形することができず、細い血管や脾臓を通過するたびにその抵抗により細胞膜がどんどん削り取られてゆきます。細胞膜の面積が減っても細胞の中身の量は変わらないため、同じ表面積で最も体積を多くできる球状に赤血球が近付いてゆきます。それでも最終的には、細胞膜が薄くなることで形を保てずに赤血球が壊れてしまい、血色素(ヘモグロビン)が多量に赤血球外に出される溶血という現象が発生します。
 細胞骨格にかかわる蛋白質には多くの種類があり、どの蛋白質にどのような異常が出るかによっても疾患の深刻さは異なってきます。
 最重症の場合は、胎児期に高度の貧血のため、胎児水腫(すいしゅ)という状態を起こし得ます。新生児期に症状が出る場合の多くは、溶血のために血液中にビリルビン(胆汁色素)が増え新生児黄疸を起こして発見されます。黄疸の程度がひどい場合は、脳へのビリルビンの沈着とそれによる発達障害を起こすこともありますが、貧血による症状が深刻なことはまれです。新生児期をすぎると、皮膚の黄疸が問題となることは少なくなります。
 遺伝性球状赤血球症の発症者では、赤血球が壊れずに体内を循環できる期間が疾患のない人と比べて少ないため、常に骨髄が活性化して多めに赤血球を作り続けている状態です。そのため、俗にリンゴ病と呼ばれる伝染性紅斑(こうはん)の原因になるヒトパルボウイルスB19型というウイルス感染への感染、赤血球を作る際に必要なビタミンB12や葉酸の不足など、骨髄の活動を抑制するような出来事があると急激に貧血が進行して症状を起こす可能性が高くなります。
 また、皮膚の黄疸を起こすほどではないにしろ、溶血によって赤血球からビリルビンが漏れ出続けているため肝臓がそれを処理し切れずに、ビリルビンが胆石を作りそれによる胆石疝痛(せんつう)発作を起こす可能性が高くなります。
[牡牛座]先天性溶血性貧血の検査と診断と治療
 小児科、ないし血液内科の医師による溶血性貧血の診断では、血液の検査が最も重要です。これによって、貧血とともに、ビリルビンや乳酸脱水素酵素(LDH)といわれる物質の上昇が認められれば、溶血が強く疑われます。
 身内に溶血性貧血の人がいる場合、先天性溶血性貧血の可能性があり、遺伝子や蛋白の異常を生化学的に検査していきます。
 先天性溶血性貧血の代表的な疾患である遺伝性球状赤血球症の診断では、足の裏などから末梢(まっしょう)血を採取して、赤血球の形態観察で球状赤血球や小型球状赤血球の増加、赤血球の浸透圧抵抗の低下、血液中の間接型ビリルビン値の上昇、脾臓のはれなどを総合して診断します。可能であれば、赤血球膜の蛋白質を電気泳動で解析し、遺伝的異常を同定します。
 なお、新生児期には赤血球の形態、赤血球の浸透圧抵抗ともに典型的な所見を示さないことも多いため、診断が難しいことがあります。
 小児科、ないし血液内科の医師による遺伝性球状赤血球症の治療では、疾患の原因が遺伝的な蛋白質の異常であるため、ほかの先天性溶血性貧血と同様に根本的な治療法はありません。
 対症療法として、正常より多くの量が必要となる葉酸を経口で補充します。まれに新生児期から貧血による症状が出る場合は、成熟に伴って骨髄が赤血球の消費を補えるだけ新たに赤血球を生産できるようになるまで、赤血球輸血や、エリスロポエチンという赤血球の生産を増やすホルモンの投与などを行います。
 また、溶血や貧血に伴う症状が高度な場合や、これらの症状が軽度でも胆石が認められる場合などでは、赤血球を主に壊している脾臓を外科手術、あるいは腹腔(ふくくう)鏡下手術によって取り除く脾摘が治療法となります。元々の症状の程度によってどの程度の改善がみられるか個人差はありますが、軽症の場合はビリルビンなどの検査値がほぼ正常範囲になり、重症の場合でも輸血を必要とする頻度がかなり改善するなど大きな効果が見込めます。
 しかし、脾臓という臓器が肺炎球菌など一部の細菌感染に対抗する上で重要な役割を持っているため、脾摘後はこれらの感染症に対して抵抗力が弱くなってしまいます。そのため脾摘の前にワクチン接種を受けることが推奨されます。また、脾摘を受けた発症者は脾摘を受けない遺伝性球状赤血球症の発症者と比べて、動脈/静脈塞栓(そくせん)の危険性が上がるという報告もあるため、元々の危険性が高い発症者では注意が必要になります。
 特に乳幼児期は脾摘後に重症細菌感染症にかかりやすくなるため、重症の場合でも6歳になるまで脾摘は待つほうが安全とされます。軽症の場合は、青年期まで待機可能なこともあります。
 そのほかの疾患の治療のため骨髄移植を行った場合には、骨髄の細胞が根本的に入れ替わるため遺伝性球状赤血球症も改善しますが、この疾患単独に対する治療としては治療に伴う合併症のリスクが高すぎるため通常は行われません。




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