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■「妊婦加算」再開に向けて検討進む 厚労省、加算要件の厳格化も [健康ダイジェスト]

 妊婦が医療機関を受診した際に自己負担が上乗せされる「妊婦加算」の再開に向けた検討が、活発化しています。制度は妊婦側からの反発で凍結されたものの、医療関係者からは「妊婦に配慮した診療を評価する仕組みは必要」との根強い意見があります。厚生労働省は2020年度からの再開も視野に入れ、加算要件の厳格化など制度の見直しも模索します。
 妊産婦への医療の在り方を検討してきた厚労省の有識者会議は先月、「妊産婦の診療には、通常より慎重な対応や、胎児や乳児への配慮が必要」との意見を取りまとめました。妊婦加算については「質の高い診療やこれまで十分に行われてこなかった取り組みを評価・推進することは必要」との見解を示し、事実上、加算の必要性を認めた形です。
 妊婦加算は、妊婦の診療に一律で診療報酬を上乗せする仕組み。昨年4月に導入されたものの、投薬を伴わないコンタクトレンズの処方など。妊娠とは直接関係ない場合にも加算が適用されていたことが発覚。支払い時に初めて自己負担の発生を知る人もいるなど批判が相次いだため、今年1月、凍結に追い込まれました。
 制度には、リスクを恐れて妊婦の診療を医療機関が敬遠しないよう促す狙いもありました。厚労省が3月に実施した調査では、妊娠中に産婦人科以外の診療科にかかろうとした736人のうち約15%が「他の病院・診療所にかかるよう勧められたことがある」と回答。妊婦への診療体制の在り方が課題として残されているのも事実です。
 再開を巡る議論は今秋から、厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)で本格化します。有識者会議は妊婦加算について「そのままの形で再開されることは適当でない」と注文を付けており、委員からは「妊産婦にとって自己負担に見合う内容だと実感できるかがポイント」との指摘もありました。こうした上で、加算要件について中医協で協議することも求めており、制度は名称が変更されるなど新たな形で再スタートを切る可能性もあります。
 厚労省は6月12日に開かれた中医協の総会で、有識者会議の意見を報告。委員からは、加算の取り扱いだけでなく、妊産婦に対する診療体制の在り方についても「議論を深めていかなければいけない」など再開へ前向きな意見も出ました。
 ただ、少子化対策が進められる中、与党からは「妊婦に自己負担が生じるのは容認できない」との反発も上がってきました。公費助成を求める声もあり、妊婦の負担軽減が議論の焦点となっていくことも予想されます。
 妊婦加算は、胎児の影響を考慮した薬の処方などが必要な妊婦に対し、「丁寧な診療の強化」を目的に新設されました。妊婦を診療した場合、初診で750円、再診で380円が上乗せされて医療機関に入ります。妊婦の自己負担(原則3割)は初診で約230円、再診で約110円増えます。深夜や休日、診療時間外はさらに上乗せされます。通常の妊婦健診では、加算されません。

 2019年7月15日(月)

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■マイナンバーカードに障害者手帳、お薬手帳など一体化 2021年以降に [健康ダイジェスト]

 政府はマイナンバーカードと、求人紹介や雇用保険の手続きでハローワークを利用する時に必要な「ハローワークカード」など各種証明書類を一体化します。「障害者手帳」や処方薬の履歴を記録する「お薬手帳」は、2021年中にも統合します。マイナンバーカード1枚でさまざまな用途に使えるようにし、利便性向上とカードの普及につなげます。
 政府はカードが全国民に普及すれば、行政手続きや金融サービスなど官民の手続きのデジタル化が進むとみています。カードの交付実績は5月末時点で約1702万枚で、3年後をメドに1億枚以上を目標とします。
 ハローワークカードや教員免許状は、2022年度以降に一体化します。職業訓練を受ける人などが求職の際に利用する「ジョブ・カード」も、同時期にマイナンバーカードで代用できるようにします。
 お薬手帳は2021年10月から、カードに搭載されICチップで個人認証すれば、インターネット上で自分が過去に服薬した薬を確認できるようになります。複数の医療機関から薬を処方されても一括して管理することで、二重投薬や薬の副作用を防ぎます。政府はお薬手帳の取得を促しており、現在は薬局に手帳を持参して薬剤師らに記入してもらう必要があります。
 政府は今年6月に、2021年3月から健康保険証の代用を可能にするなどのマイナンバーカードの普及策をまとめました。8月をめどに、各種証明書類との一体化も盛り込んだ詳細な工程表をまとめる予定。政府はカードを紛失したり盗まれたりしても、ICチップは外部から読み取られる恐れがなく、パスワードなどが漏れない限り情報が外部に流出することはないと説明しています。

 2019年7月15日(月)

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☐用語 エボラ出血熱 [用語(あ行)]

[天秤座]エボラウイルスにより引き起こされる感染症
 エボラ出血熱とは、エボラウイルスにより引き起こされる感染症。エボラウイルスにより引き起こされる感染症患者が必ずしも出血症状を示すわけではないことから、国際的にエボラ出血熱に代わってエボラウイルス病とも呼ばれています。
 ラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱などとともに、ウイルス性出血熱の一疾患に分類されています。
 エボラ出血熱は、マールブルグウイルスとともにフィロウイルス科に分類されるエボラウイルスに感染することで、発症します。そのエボラウイルスは、コウモリなどの動物に生息しています。コウモリ、チンパンジー、ゴリラなどの感染した動物に接触することで、エボラウイルスは人間へとうつり、エボラ出血熱を発症すると考えられています。
 人から人への接触感染が起こることもあります。接触感染は、患者の血液や体液に、傷のある皮膚や体の粘膜が触れることで、感染が成立します。エボラウイルスに感染した患者の血液や、尿・唾液(だえき)・糞便(ふんべん)・吐物・精液などの体液には、ウイルスが排出されることが知られています。また、エボラウイルスが医療器具などに付着した場合、数時間から数日間は感染性を持ち続けることがわかっており、医療器具を介した感染も成立します。
 なお、エボラウイルスが空気感染することはありません。また、エボラ出血熱は、せきやくしゃみを介して人から人に飛沫(ひまつ)感染するインフルエンザなどの疾患とは異なり、簡単に人から伝播(でんぱ)する疾患ではありません。
 エボラウイルスに感染してから、ウイルスが体内で増殖して症状が出てくるまでには、2~21日程度、通常は7日程度の潜伏期間があります。この潜伏期間の後に突然の発熱を来すほか、悪寒(おかん)、頭痛、倦怠(けんたい)感、筋肉痛、嘔吐(おうと)、下痢などの症状も併発します。
 さらに症状が進行すると、肝臓や腎臓(じんぞう)、血液の凝固機能にも影響が及ぶようになり、皮膚、口の中、目、消化管などから出血を起こすようになります。ただし、すべてのエボラウイルス感染例で出血がみられるわけではありません。
 1976年6月末、アフリカ北東部に位置する南スーダン(旧スーダン)のヌザラという町の綿工場に勤める倉庫番の男性が出血熱様症状を示し、次いでほかの部署の男性2人も同様の症状で倒れました。これが初めてエボラ出血熱と認識された流行の幕開けでした。この3人の患者を源として家族内、病院内感染を通してエボラ出血熱の流行が拡大し、計284人がエボラ出血熱を発症して151人が死亡しました。
 その流行とは別に、1976年8月末にアフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国(旧ザイール)北部のヤンブクで、教会学校に勤める助手の男性が出血熱の症状を示しました。その患者が収容されたヤンブク教会病院での治療・看護を通じて、大規模な流行が発生。計318人の同様の患者が発生し、280人が死亡しましたが、これもエボラウイルスによる出血熱であることが確認されました。これらが、初めて確認されたエボラ出血熱の流行です。
 ちなみにエボラの名は、ヤンブクの最初の男性患者の出身村を流れるザイール川支流のエボラ川に由来しています。
 その後、南スーダン、コンゴ民主共和国、象牙海岸で散発的なエボラ出血熱の流行が確認されていましたが、1995年にコンゴ民主共和国中央部のバンドゥンドゥン州キクウィトの総合病院を中心として、エボラ出血熱の大規模な流行が発生しました。その流行では、計315人が発症して244人が死亡しました。
 さらに、2014年3月には、アフリカ西部に位置するギニアでエボラ出血熱の流行が確認され、患者・感染者が国境を越えて移動することにより、隣国のリベリア、シエラレオネの3カ国を中心に過去最悪の規模で流行し、2016年1月にリベリアで終息するまでに2万8000人以上が発症し、世界全体で1万1300人以上が死亡しました。
 2018年8月には、コンゴ民主共和国北東部の北キブ州において、同国10回目の新たなエボラ出血熱の流行が発生し、2019年6月現在、感染者が疑い例を含めると2000人を超え、死者が1400人を超えています。また、隣国のウガンダでも、コンゴ民主共和国から飛び火したエボラ出血熱により2人の死者が出たことが確認されました。
[天秤座]エボラ出血熱の検査と診断と治療
 内科、感染症科、感染症内科の医師による診断では、エボラ出血熱が疑われる患者の血液を採取して、エボラウイルスの抗原や、エボラウイルスに対して特異的な抗体が存在するかどうかなどを調べます。血液だけではなく、のどから採取する咽頭(いんとう)ぬぐい液や尿も検体として用います。血液、体液などからウイルスを分離する検査法も重要な検査法ですが、通常1週間以上を要します。
 鑑別すべき疾患には、マラリア、デング熱、腸チフスなどがあります。エボラ出血熱の感染が発生している地域は、マラリア、デング熱などの流行地域でもあり、発熱、頭痛、筋肉痛などといったエボラ出血熱の初期症状がマラリア、腸チフスなどと似ていることから、鑑別が必要になります。
 内科、感染症科、感染症内科の医師による治療では、エボラウイルスそのものに対して科学的に治療効果が証明されている薬剤はないため、研究段階にあるいくつかの薬剤を投与しつつ、表面的な症状をやわらげる対症療法を行います。
 嘔吐、下痢などによって脱水や血圧の低下が起こった場合は、輸液を行います。電解質のバランスが狂った場合も、それぞれの成分を補正します。呼吸状態が悪くなった場合は呼吸管理、血圧が下がった場合は循環管理と、それぞれの症状をコントロールするための治療を行います。
 日本では、エボラ出血熱は感染症法において1類感染症に分類され、これらの患者の治療専用に設計されている病室に隔離して、治療を行います。
 また、診断した医師は、無症状病原体保有者、疑似症患者例も含めてエボラ出血熱の患者および感染症死亡者の死体を認めた際には、直ちに都道府県知事(実際的には保健所)に届け出ることが義務付けられています。
 エボラウイルスに感染しないための予防策を講じることも、重要になります。流行地域に赴く際には、コウモリやチンパンジーなどの野生動物に接触しないのはもちろん、調理状況のわからない肉類の摂取も避ける必要があります。また、葬儀で死者に対して接触する風習を持つ地域もありますが、こうした行為を避けることも大切です。
 感染拡大を予防するためにも、渡航歴や症状からエボラ出血熱が疑われる場合には、検疫所で申告したり地域の保健所に連絡することも大切です。
 ワクチンについては治療薬と同様で、一定の効果が期待できるものも開発されていますが、確実性のあるワクチンとして利用可能なものはありません。

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