■大阪大、暗闇で目が慣れるメカニズムを解明 網膜保護の薬剤開発に期待 [健康ダイジェスト]
暗闇でも目が慣れると見えるようになるなどの「明暗順応」について、マウスを使ってメカニズムを解明したと、大阪大学の研究チームが7日、ヨーロッパの分子生物学専門誌で発表しました。
明暗順応は生物にとって重要な機能ですが、網膜の損傷や老化を招く一因にもなります。明暗順応を制御し、網膜を保護できる薬剤の開発を可能にする研究成果です。
光を感じる網膜の視細胞の中では「トランスデューシンα(Tα)」というタンパク質が移動し、明るさに応じて感度を調節することが知られています。暗い場所では感度が上がる結果、視細胞の変性や細胞死も引き起こし、視力低下や失明につながる病気の悪化など悪影響も及ぼします。しかし、感度調節の詳しいメカニズムは、わかっていませんでした。
研究チームは、Tαの移動にかかわる分子を突き止め、この分子を作れないようにしたマウスで実験しました。すると、暗い場所で目の感度が上がらない一方、強い光を当てても視細胞の死滅を通常のマウスの半分ほどに防げたとしています。
明暗順応にはTαの移動が必要で、この分子はTαを捉えているタンパク質を壊し、移動を促す働きがありました。この分子を失ったマウスではTαの移動が生じず、明暗順応が起きませんでした。
研究チームの大阪大蛋白(たんぱく)質研究所の古川貴久教授(神経発生学)は、「この分子の働きを阻害する薬ができれば、暗所での視力は多少落ちるものの、網膜を保護できる可能性がある。網膜変性や老化の進行を遅らせる効果が期待できる」と話しています。
2019年11月10日(日)
明暗順応は生物にとって重要な機能ですが、網膜の損傷や老化を招く一因にもなります。明暗順応を制御し、網膜を保護できる薬剤の開発を可能にする研究成果です。
光を感じる網膜の視細胞の中では「トランスデューシンα(Tα)」というタンパク質が移動し、明るさに応じて感度を調節することが知られています。暗い場所では感度が上がる結果、視細胞の変性や細胞死も引き起こし、視力低下や失明につながる病気の悪化など悪影響も及ぼします。しかし、感度調節の詳しいメカニズムは、わかっていませんでした。
研究チームは、Tαの移動にかかわる分子を突き止め、この分子を作れないようにしたマウスで実験しました。すると、暗い場所で目の感度が上がらない一方、強い光を当てても視細胞の死滅を通常のマウスの半分ほどに防げたとしています。
明暗順応にはTαの移動が必要で、この分子はTαを捉えているタンパク質を壊し、移動を促す働きがありました。この分子を失ったマウスではTαの移動が生じず、明暗順応が起きませんでした。
研究チームの大阪大蛋白(たんぱく)質研究所の古川貴久教授(神経発生学)は、「この分子の働きを阻害する薬ができれば、暗所での視力は多少落ちるものの、網膜を保護できる可能性がある。網膜変性や老化の進行を遅らせる効果が期待できる」と話しています。
2019年11月10日(日)
■医師の遠隔死亡診断、全国で1度も実施されず 2017年に開始 [健康ダイジェスト]
人生の最期を自宅で迎えやすいようにしようと、厚生労働省は2017年に医師が遠隔で死亡診断を行える体制を整えましたが、全国で一例も実施されていないことがわかりました。医師が患者のもとに到着するまでに12時間以上かかることなどが要件になっており、現場の医師はこれを満たすのは厳しいと指摘しています。
自宅など希望する場所で人生の最期を迎えたいという人は多くいますが、過疎地や離島などでは死亡診断を行う医師が少なく、すぐには患者のもとに駆け付けられないため、患者が入院を余儀なくされるなどして、自宅での「みとり」が困難になるケースがあります。
厚労省は2017年9月に、遠隔で死亡診断を行うためのガイドラインを作り、医師の到着までに12時間以上かかる場合などに、看護師から患者の写真やデータを受け取って診断できるとしましたが、その後、全国で一例も行われていないことがわかりました。
現場の医師や看護師は、医師の到着までに12時間以上という要件を満たせないことや、亡くなった患者を撮影することに看護師が抵抗感を持っていることが背景にあると指摘しています。
厚労省は、需要があるかなど情報を集め、必要に応じてガイドラインを見直していきたいとしています。
日本医師会の今村聡副会長は、「死亡診断は本来、医師が対面で行うのが最も望ましい形で、遠隔で行う需要があるのかなど実態を検証する必要がある」と指摘しています。
遠隔での死亡診断について、ガイドラインでは患者や家族による事前の同意が必要で、医師が患者のもとに到着するのに12時間以上かかる場合などに限られています。 そして、あらかじめ研修を受けた看護師が患者のもとに駆け付け、決められた手順で呼吸や心臓の停止などを確認した上で、テレビ電話やスマートフォンを通じて、医師に患者の写真などの情報を送ります。これを受けて最終的に、医師が死亡診断を行うとしています。
このガイドラインについて、在宅医療を行う現場からは、要件が厳しいという声が出ています。長野市で在宅医療に取り組む平方眞医師は、地域を回って自宅や施設で暮らす高齢者の訪問診療を行っています。
勤務する病院で訪問診療を行っている医師は平方医師を含めて3人で、患者の自宅や施設で死亡診断を行ったのは、2017年の1年間だけでも150人に上ります。この10年ほどで増える傾向にあり、時には片道100キロ、3時間をかけて患者の自宅を訪問して死亡診断を行うこともあるということです。
平方医師は、遠隔での死亡診断は有効な選択肢の1つだと考えていますが、「医師の到着までに12時間以上」という要件を満たすことは自身が受け持つ患者ではなく、実施は難しいと考えています。
平方医師は、「在宅医療の需要は増え続け、現場の医師は厳しい状況に置かれているので、より柔軟性のある現実的な条件を考えてほしい」と話しています。
2019年11月10日(日)
自宅など希望する場所で人生の最期を迎えたいという人は多くいますが、過疎地や離島などでは死亡診断を行う医師が少なく、すぐには患者のもとに駆け付けられないため、患者が入院を余儀なくされるなどして、自宅での「みとり」が困難になるケースがあります。
厚労省は2017年9月に、遠隔で死亡診断を行うためのガイドラインを作り、医師の到着までに12時間以上かかる場合などに、看護師から患者の写真やデータを受け取って診断できるとしましたが、その後、全国で一例も行われていないことがわかりました。
現場の医師や看護師は、医師の到着までに12時間以上という要件を満たせないことや、亡くなった患者を撮影することに看護師が抵抗感を持っていることが背景にあると指摘しています。
厚労省は、需要があるかなど情報を集め、必要に応じてガイドラインを見直していきたいとしています。
日本医師会の今村聡副会長は、「死亡診断は本来、医師が対面で行うのが最も望ましい形で、遠隔で行う需要があるのかなど実態を検証する必要がある」と指摘しています。
遠隔での死亡診断について、ガイドラインでは患者や家族による事前の同意が必要で、医師が患者のもとに到着するのに12時間以上かかる場合などに限られています。 そして、あらかじめ研修を受けた看護師が患者のもとに駆け付け、決められた手順で呼吸や心臓の停止などを確認した上で、テレビ電話やスマートフォンを通じて、医師に患者の写真などの情報を送ります。これを受けて最終的に、医師が死亡診断を行うとしています。
このガイドラインについて、在宅医療を行う現場からは、要件が厳しいという声が出ています。長野市で在宅医療に取り組む平方眞医師は、地域を回って自宅や施設で暮らす高齢者の訪問診療を行っています。
勤務する病院で訪問診療を行っている医師は平方医師を含めて3人で、患者の自宅や施設で死亡診断を行ったのは、2017年の1年間だけでも150人に上ります。この10年ほどで増える傾向にあり、時には片道100キロ、3時間をかけて患者の自宅を訪問して死亡診断を行うこともあるということです。
平方医師は、遠隔での死亡診断は有効な選択肢の1つだと考えていますが、「医師の到着までに12時間以上」という要件を満たすことは自身が受け持つ患者ではなく、実施は難しいと考えています。
平方医師は、「在宅医療の需要は増え続け、現場の医師は厳しい状況に置かれているので、より柔軟性のある現実的な条件を考えてほしい」と話しています。
2019年11月10日(日)
■女性医師の割合、日本が最下位で平均の半分以下 OECD調査 [健康ダイジェスト]
日本の女性医師の割合は21%と経済協力開発機構(OECD)に加盟する欧米などの36カ国の中で最も少なく、平均の半分以下であることが、わかりました。
これは、OECDが加盟する国の医療に関するデータをまとめた2019年版の報告書の中で、明らかにしたものです。
それによりますと、36カ国の女性医師の割合が最も多いのは、バルト3国のラトビアとエストニアで74%、リトアニアが69%、次いでスロベニアが63%でした。
日本は21%と加盟国の中で最も少なく、次いで韓国が23%、ルクセンブルクが36%となっています。
日本は平均の48%の半分以下という結果となり、女性の社会進出が進んでいないことが、改めて浮き彫りになりました。
また、人口10万人当たりの医学部を卒業した学生の数も日本は6・8人で最も少なく、55歳以上の医師の割合が日本は37%と平均の34%を上回っています。
報告書によりますと、アイルランド(24・9人)、デンマーク(21・5人)など医学部の卒業生の割合が多い国では、海外からの留学生を積極的に受け入れているほか、外国人医師を活用しているということです。
日本の医師数の先細り感に関し「医療提供体制を維持していく上で課題だ」と、報告書は指摘しています。
2019年11月10日(日)
これは、OECDが加盟する国の医療に関するデータをまとめた2019年版の報告書の中で、明らかにしたものです。
それによりますと、36カ国の女性医師の割合が最も多いのは、バルト3国のラトビアとエストニアで74%、リトアニアが69%、次いでスロベニアが63%でした。
日本は21%と加盟国の中で最も少なく、次いで韓国が23%、ルクセンブルクが36%となっています。
日本は平均の48%の半分以下という結果となり、女性の社会進出が進んでいないことが、改めて浮き彫りになりました。
また、人口10万人当たりの医学部を卒業した学生の数も日本は6・8人で最も少なく、55歳以上の医師の割合が日本は37%と平均の34%を上回っています。
報告書によりますと、アイルランド(24・9人)、デンマーク(21・5人)など医学部の卒業生の割合が多い国では、海外からの留学生を積極的に受け入れているほか、外国人医師を活用しているということです。
日本の医師数の先細り感に関し「医療提供体制を維持していく上で課題だ」と、報告書は指摘しています。
2019年11月10日(日)