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■新型コロナウイルス肺炎の影響広がる 日本企業は現地渡航自粛も [健康ダイジェスト]

 中国内陸部の湖北省武漢市を中心に新型コロナウイルスによる肺炎が多発している影響で、21日の東京株式市場では、企業活動に悪影響を及ぼすとの懸念が広がりました。日経平均株価(225種)の終値は前日比218円95銭安の2万3864円56銭となり、4営業日ぶりに下落しました。
 同日の香港・ハンセン指数が下げ幅を広げたことで、東京市場でも売り注文が拡大しました。
 旅行や出張の自粛につながるとの懸念から、空運など旅行関連株が大きく値を下げたほか、化粧品や小売りなど中国人観光客の消費の多い一部の銘柄で売りが広がりました。中国向けの輸出が多い電気機器や機械などの銘柄でも下落が目立ちました。一方、マスクや防護服などの需要は拡大するとの見方から、繊維など一部銘柄には買い注文が集まりました。
 日本企業も、現地への渡航の自粛といった対応に乗り出しました。日本貿易振興機構によりますと、武漢市やその周辺の都市には昨年10月の時点で156社の日系企業が拠点を置いています。
 武漢市内でショッピングモール3店を運営するイオンは、発熱がないかどうかなど従業員の体調チェックを厳格化し、売り場の消毒範囲も広げています。KDDIは現地社員にマスクを配布し、外出時に着用するよう指示しました。合弁会社のある日本製鉄は、急ぎではない出張を控えるよう国内外の社員に通知したといいます。
 中国企業との合弁会社「東風汽車有限公司」の本社を置く日産自動車は、国内外の社員に、感染源とされる現地の海鮮市場への接近や野生動物との接触を避けるよう注意を呼び掛けています。ホンダは現地社員と家族に手洗い、うがいの徹底、マスクの着用を呼び掛けているといい、必要があればさらなる対策を取る考えです。
 自動車部品メーカーのヨロズは1月9日から拠点を置く武漢市と広州市への出張を見合わせています。また、中国から帰国した社員に対しては病院で検査を受けるよう指示しているということです。
 中国で新型のコロナウイルスによるとみられる肺炎の感染が広がっていることについて、中国駐在の横井大使は21日、北京で記者会見し、一層の情報収集に取り組み、中国に在留する日本人に対し、丁寧な情報提供を行うよう努める考えを示しました。
 この中で、横井大使は「中国で患者数が増加し、日本を含む第三国での感染例も出ており、大使館としては高い関心を持って情報収集を行っている」と述べました。
 その上で、大使館としては、これまでにも在留する日本人に対しメールやホームページなどを通じて、最新の情報の提供や注意喚起を行ってきたとした上で、「今後も一層の情報収集に取り組むとともに適切な情報提供や注意喚起を行っていく」と強調しました。
 大使館によりますと、中国側から得ている情報では、今のところ中国国内での日本人の感染者は確認されていないということです。

 2020年1月21日(火)

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■新型コロナウイルス肺炎、台湾でも1人の感染を確認 中国・武漢から戻った女性 [健康ダイジェスト]

 中国で新型のコロナウイルスによるとみられる肺炎への感染が広がっている問題で、台湾の保健当局は21日、1人の感染が確認されたと発表しました。台湾で患者が確認されたのは今回が初めてです。
 台湾の保健当局は21日夜に記者会見を開き、中国の湖北省武漢市から戻った台湾南部の50歳代の女性が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表しました。
 女性は仕事のため昨年12月から武漢市に滞在しており、1月11日から発熱やのどの痛みの症状があったということです。
 保健当局は昨年12月末から、武漢市から直行便が台湾に到着するのに合わせて機内に職員を派遣し、症状がある乗客は申し出るよう求める措置をとっており、女性は20日夜、到着時の機内で症状を訴えたということです。
 感染が確認されたことを受けて、女性は現在病院で治療を受けているということです。
 女性は教育関係の仕事に従事しており、今回肺炎患者が相次いでいる武漢市の海鮮市場には立ち寄っておらず、鳥などの野生動物にも接触していないと話しているということで、台湾当局では人から人に感染したケースに当たる可能性が高いという見解を示しています。
 中国大陸以外で感染が確認されたのは、タイ、日本、韓国に次いで、台湾が4例目です。

 2020年1月21日(火)

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■新型コロナウイルス肺炎、中国の死者6人患者291人に 感染力増大に警戒 [健康ダイジェスト]

 中国で新型のコロナウイルスによるとみられる肺炎への感染が広がっている問題で、患者の数は291人、死亡した人は2人増えて6人となりました。感染拡大が最も深刻な湖北省武漢市では対策本部が設置されるなど、中国政府は感染の拡大防止を強化する姿勢を示しています。
 感染が最も深刻な武漢市の周先旺市長は21日、中国中央テレビの取材に対し、武漢での死者が6人になったと明らかにしました。
 また国家衛生健康委員会は21日、患者が武漢市を含めた湖北省でさらに72人増えて270人になったほか、湖北省以外では北京市で5人、上海市で2人、広東省で14人の感染が確認され、患者は合わせて291人となったと発表しています。
 医療従事者についても15人の感染が確認されており、中国政府の専門家チームのトップは国営メディアの取材に対し、「人から人への感染が確認された」と明らかにしました。
 専門家チームは、新型肺炎「SARS」のウイルスよりも感染力は強くないとみられるとしていますが、警戒が必要だと強調しています。
 こうした中、国営メディアは、感染が深刻な武漢市で20日、対策本部が設置され、患者への対応強化とともに感染拡大を抑え込む方針が示されたと伝えました。
 今後、武漢市では人が大勢集まるイベントを極力中止するほか、現地の旅行会社なども武漢市以外へ旅行する団体ツアーを組むのを取りやめるということで、人の往来の管理が強化されています。
 中国では1月24日から旧正月の「春節」に合わせた大型連休が始まり、人の往来が活発化するため、当局は感染拡大の防止に取り組む姿勢を示しています。

 2020年1月21日(火)

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■患者希望の人工透析中止も許容 透析医学会が提言案を公表 [健康ダイジェスト]

 東京都の公立福生病院で2018年、人工透析をやめると申し出た腎臓病の女性が中止後に死亡した問題で、日本透析医学会(理事長、中元秀友埼玉医大教授)は20日、末期がんなど終末期(人生の最終段階)にある患者ではなくても、一定の条件を満たせば申し出を受けた透析中止は許容されるなどとした提言案をホームページ上で公表しました。
 今月26日までメールでの意見を受け付けるほか、2月16日に東京都文京区の東京医科歯科大で公聴会を開催。同学会は3月末までに取りまとめたいとしています。
 提言案は「最終的な意思決定は患者の基本的権利」と明記。透析を続けさせる努力をした上で、患者と家族、医療者が合意すれば「透析を見合わせることも許容されるであろう」としました。
 中止すればつらい症状が起き、透析の再開も希望できるもののすぐにできなかったり、死亡したりする恐れがあることを説明すべきだと指摘。患者と家族から中止の確認書を取得するとしました。中止決定後も、受診時には患者に透析の必要性を引き続いて説明するよう求めています。
 透析医学会は「提言をどのように使用するかは各施設の判断にゆだねる」としています。
 公立福生病院では2018年8月、人工透析中だった腎臓病の女性からの要望で医師が治療を中止し、女性は1週間後に死亡しました。女性の夫と次男は2019年10月、女性が透析再開を訴えたのに聞き入れなかったとして、病院側に損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。
 病院を立ち入り検査した東京都も2019年4月、患者への説明記録が十分残っていなかったとして文書指導しました。

  2020年1月21日(火)

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☐用語 サラセミア [用語(さ)]

[蟹座]正常なヘモグロビンを作ることができず、貧血を起こす疾患
 サラセミアとは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の合成障害によって、貧血を来す疾患。地中海貧血とも呼ばれます。
 血液にはさまざまな細胞が含まれ、骨の中心にある骨髄で作られます。ヘモグロビンは赤血球の主要な構成要素であり、肺から各臓器や組織に酸素を運び、不必要になった二酸化炭素を持ち帰って、肺から外に出すなど重要な働きをしています。合成障害によって正常なヘモグロビンの産生が不足すると、全身に運ばれる酸素の量が減少し、体が酸素不足になって貧血を起こし、めまいや、立ちくらみが現れたりします。
 ヘモグロビンは、141個のアミノ酸を持つα鎖グロビンと呼ばれる蛋白(たんぱく)質と、146個のアミノ酸を持つ非α鎖グロビンと呼ばれる蛋白質の各2分子からなる構造をしています。4分子には鉄を含むヘムが1個結合しており、計4個のヘムが酸素と結合し、各臓器や組織に酸素を運んでいます。
 サラセミアは、α鎖グロビンや非α鎖グロビンの合成障害によって、正常なヘモグロビンを作ることができず、1つ1つの赤血球が小さい小球性で、その1つの赤血球に含まれるヘモグロビンの量が少ない低色素性という小球性低色素性貧血を示します。α鎖グロビンの異常によるものをαサラセミア、β鎖グロビンの異常によるものをβサラセミアといいます。
 サラセミアの発症者は生まれ付き、グロビンを作る設計図に相当する遺伝子に異常があるため、正常なヘモグロビンを作ることができません。常染色体優性遺伝という形式で遺伝する疾患で、両親のいずれかがサラセミアを発症していた場合に、子供に遺伝する可能性が高くなります。自然発生することは、ほとんどありません。
 もともと地中海に面した地域に多く、日本人の発症者は少ないと考えられていましたが、最近になって日本人にも決して少なくないことが調査研究で明らかになっており、九州や西日本に多いとされています。
 日本人におけるサラセミアの頻度は、αサラセミアで新生児3500人に1人、βサラセミアで新生児1000人に1人程度であると見なされています。αサラセミア、βサラセミアともに軽症型であるため、赤血球の寿命が短くなって壊れ、ヘモグロビンが多量に血球外に出される溶血という現象が発生する溶血性貧血の割合は少なく、特にβサラセミアでは全体の6%にしか溶血性貧血は認められません。
 遺伝子の異常により軽症型から重症型まであり、サラセミアの症状はさまざまです。発症者はヘモグロビンが不足するために貧血を起こし、黄疸(おうだん)、皮膚潰瘍(かいよう)、脾腫(ひしゅ)、胆石、肝機能障害などの症状を示しますす。心臓や脳に運ばれる酸素が少なくなることで、心不全や意識消失を引き起こすこともあります。
 日本人の場合は軽症型が多く認められ、一般には小球性低色素性貧血の症状が生後2~3カ月から出始めます。自覚症状としては、皮膚が白くなる、成長が遅くなる、気難しくなったりふさぎ込んだりする、お腹が張る感じがするなどがあります。
 日本人にまれな重症型のβサラセミアで、父親由来と母親由来の両方の遺伝子に異常があるホモ接合体、父親由来と母親由来のいずれか一方のみの遺伝子に異常が認められる複合ヘテロ接合体では、不均衡なヘモグロビン産生が赤血球膜障害を招いて溶血性貧血を起こし、一生涯、輸血を余儀なくされます。顔面の骨や頭蓋(ずがい)骨が通常よりも肥厚化するサラセミア様顔貌(がんぼう)を示すこともあります。
 胎児のうちに重症型のβサラセミアのホモ接合体、複合ヘテロ接合体が診断されれば、子宮内胎児死亡を防ぐための胎児輸血や、研究段階である胎児遺伝子治療への道が開けます。
[蟹座]サラセミアの検査と診断と治療
 小児科、ないし血液内科の医師による診断では、血液検査を行い、血液に含まれる細胞の数や形態などを調べます。ヘモグロビンA2やヘモグロビンFという異常なヘモグロビン、形態が崩れたり壊れたりした赤血球が含まれていないかどうか確認します。
 次に骨髄検査を行い、腰骨の中の骨髄をほんの一部を針で採取します。採取した骨髄は、病理医が顕微鏡を使って、造血幹細胞の状態を詳細に観察します。さらに超音波検査を行い、腹の中にある脾臓や肝臓が大きくなっていないかどうか調べます。
 遺伝子検査では、グロビンを作る設計図に相当する遺伝子を調べて、どのような異常があるか調べます。複数の遺伝子異常が存在し、どの遺伝子異常があるかによって重症度が大きく異なるため、治療の選択が大きく変わります。
 小児科、ないし血液内科の医師による治療では、外来への通院により、貧血の改善を図ります。軽症の場合は、定期的に血液検査を行い貧血の有無をチェックします。不必要な鉄製剤の投与などを避け、妊娠や感染症の合併などの要因で一過性に引き起こされる貧血症状の増悪に注意を払います。
 重症の場合は、輸血療法を行い、不足しているヘモグロビンを補充します。輸血療法では、点滴と同じ要領で腕の静脈に針を刺し、1回で200~400mlの血液を補充します。血液検査を行って赤血球の値を確認しながら、月に数回、外来への通院により、血液補充を継続します。ヘモグロビンが補充されて運ばれる酸素が多くなるため、心臓や脳にかかる負担が減ることで自覚症状が改善します。
 場合によっては、数十年という長期間にわたって輸血療法を継続する必要があります。その際は、頻回な輸血の副作用である鉄過剰症が問題となります。鉄は心臓や肝臓に少しずつ蓄積するため、頻回の輸血により鉄が過剰になると、心臓や肝臓の機能が低下するため、経口除鉄剤の服用により、体内からの鉄の排出を促進する鉄キレート療法を併用します。また、鉄製剤の内服薬は禁止します。
 鉄キレート療法の副作用として、吐き気や下痢、嘔吐(おうと)、腹痛などの胃腸症状、腎(じん)障害が出ることがあります。
 重症型の一部の症例では、造血幹細胞移植が選択肢の一つとなります。HLA(ヒト白血球抗原)という型が一致する臓器提供者(ドナー) から提供された造血幹細胞を移植することで、血液を作る細胞を入れ替える治療で、サラセミアを完全に治すことのできる唯一の治療法です。

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☐用語 遺伝性アロマターゼ発現異常症 [用語(い)]

[双子座]遺伝性の原因により、アロマターゼの発現に異常が生じて発症する疾患
 遺伝性アロマターゼ発現異常症とは、遺伝性の原因により、アンドロゲン(男性ホルモン)をエストロゲン(女性ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼが過剰に、あるいは過少に発現することにより発症する疾患。
 アンドロゲン(男性ホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)は、性差の決定にかかわるホルモンです。これらは男性だけ、あるいは女性だけが持つのではなく、両方の性ホルモンは適切な時期に適量でそれぞれの性において産生されています。テストステロン、デヒドロテストステロン、アンドロステロンなどのアンドロゲン(男性ホルモン)をエストロゲン(女性ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼは、体内のさまざまな部位で発現し、血流によって運ばれてくるアンドロゲン(男性ホルモン)を基質として、局所的にエストロゲン(女性ホルモン)を産生しています。
 遺伝性アロマターゼ発現異常症の代表的な疾患は、アロマターゼ過剰症とアロマターゼ欠損症です。
[双子座]男性に乳房の発育を認めるアロマターゼ過剰症
 アロマターゼ過剰症は、遺伝性の原因により、男性に乳房の発育を認める疾患。遺伝性女性化乳房症とも呼ばれます。
 常染色体優性遺伝性の単一遺伝子病で、エストロゲン(女性ホルモン)合成酵素であるアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異により発症します。全身の臓器や細胞で、アロマターゼが過剰に発現し、血中のエストロゲン(女性ホルモン)が上昇します。
 血中のエストロゲンが持続的に高値となるため、思春期より前の小児期に発症し、症状が現れ始めます。大きな症状としては、高度で反復性の乳房増大、骨年齢進行による低身長、性欲の低下、精巣機能の低下などがあります。
 乳房の増大の程度は、強い場合が多いのですが、比較的軽い場合もあります。一過性でなく、進行性に乳房が増大してくる場合、父親または兄弟に同様の症状がある場合には、このアロマターゼ過剰症が疑われます。
 男性の乳房の増大は、身体的問題だけでなく、精神的問題を引き起こします。そのため、社会的活動性の著しい低下を来すことがあります。
 また、このアロマターゼ過剰症は、女性にも発症することがあり、症状としては巨大乳房、低身長、不正性器出血などがあります。乳がんや子宮体がんが発生することも懸念され、不妊症の原因になることもあります。
 アロマターゼ過剰症の発生はまれで、かつ新しい疾患概念であるため、専門に診断や治療を行う診療科はなく、小児科、内科、外科、産婦人科、乳腺(にゅうせん)外科など複数の診療科で別々に取り扱われています。
[双子座]エストロゲンが働かないアロマターゼ欠損症
 アロマターゼ欠損症は、遺伝性の原因により、女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が働かない疾患。
 常染色体劣性遺伝性の単一遺伝子病で、男性ホルモンの一つであるテストステロンをエストロゲン(卵胞ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異により発症します。
 アロマターゼ欠損症を発症した女性は、胎盤アロマターゼ欠損症により新生児の時から外性器が不明瞭(めいりょう)に男性化し、女性仮性半陰陽と診断されることがあります。2~4歳の女児では、エストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣の一部にできた袋状の腫瘍(しゅよう)内に液体がたまる卵巣嚢腫(のうしゅ)(未破裂卵胞)が出現します。
 思春期には、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が高く、エストロゲン(卵胞ホルモン)が低くなり、第2次性徴が起こリません。テストステロンが増加し、徐々に男性化します。骨減少症、骨粗鬆(こつそしょう)症を引き起こすこともあります。
 一方、アロマターゼ欠損症を発症した男性は、正常な性分化、正常な思春期を迎えますが、エストロゲン(卵胞ホルモン)の低下のため、類宦官(るいかんがん)体形という子供のような体形がみられ、骨端線の閉鎖不全によって大人になってもどんどん骨が成長し続け、極めて身長が高くなります。性欲減退が著しく、骨減少症、骨粗鬆症、インスリン抵抗性(耐糖能異常)になります。
 アロマターゼ欠損症の発生はまれで、かつ新しい疾患概念であるため、専門に診断や治療を行う診療科はなく、小児科、小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科など複数の診療科で別々に取り扱われています。
 アロマターゼ欠損症を発症した女性は、出生時に医師や看護師によって女性仮性半陰陽が発見されることが望ましいのですが、思春期や成人後に発見されることもあります。思春期になって女子のはずなのに初経(初潮)がなかったり、陰核の肥大や多毛、声の低下などの男性化が起こってくる場合には、できるだけ早く小児科、あるいは小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科などの診断を受けるようにします。
[双子座]アロマターゼ過剰症の検査と診断と治療
 小児科、外科、乳腺外科などの医師による診断では、乳房増大などの症状があり、かつ血中エストロゲンが高値があることからアロマターゼ過剰症と判断します。確定するために、遺伝学的診断でアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異を検索することもあります。
 小児科、外科、乳腺外科などの医師による治療では、症状が軽い場合はそのまま経過観察しますが、程度が強い場合や、若年発症で低身長が予測される場合には、乳がんなどの治療に用いられているアロマターゼ阻害剤を投与することにより、過剰なエストロゲン(女性ホルモン)の産生を抑制し、症状の改善や発症の予防を図ります。しかし、遺伝子の異常によって生じる疾患であるため、根本的な治療はできません。
 男児が女性のように乳房が大きくなることで身体的、精神的問題を抱えている場合は、外科的手術を行い、肥大した乳腺の組織をほぼ全部、または一部を切除することもあります。
 手術後にも、アロマターゼ阻害剤を投与し、乳房増大の再発を予防します。
[双子座]アロマターゼ欠損症の検査と診断と治療
 小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による診断では、女性仮性半陰陽を手掛かりとして、血中エストロゲンが低値であることからアロマターゼ欠損症と判断します。確定するために、遺伝学的診断でアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異を検索することもあります。
 小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による治療では、アロマターゼ欠損症の2~4歳の女児ではエストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣嚢腫(未破裂卵胞)が出現しますが、少量のエストロゲンを投与すると嚢腫は消失し、正常な卵胞発育を起こします。
 エストロゲンの投与は2歳からが望ましく、結合型エストロゲン0・15mg(エストラジオール0・25mg)を使用します。10~12歳では、これを0・3mg~1・25mgに増加させ、さらに黄体ホルモン剤も投与し、生理を起こすようにします。14歳までには、低用量経口避妊薬(OCピル)へスイッチします。
 第2次性徴の欠如によりアロマターゼ欠損症が発見された女性に対しても、同じようなエストロゲンの投与により女性ホルモンの補充療法を行います。しかし、遺伝子の異常によって生じる疾患であるため、アロマターゼ欠損症の根本的な治療はできません。
 アロマターゼ欠損症の男性では、14~16歳から少量のエストロゲン(12・5~25μg貼付〈ちょうふ〉剤)を使用します。これにより、骨端線が閉鎖し、骨粗鬆症が予防され、インスリン抵抗性(耐糖能異常)が正常になります。しかし、過剰のエストロゲンの投与は、男性の乳房が女性のような乳房に膨らむ女性化乳房を引き起こしますので、注意が必要です。

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☐用語 遺伝性楕円赤血球症 [用語(い)]

[牡羊座]赤血球が先天的に楕円形に変形して本来の機能が低下し、壊れやすくなる疾患
 遺伝性楕円(だえん)赤血球症とは、先天的な赤血球膜蛋白質(たんぱくしつ)の異常により赤血球異常が引き起こされる疾患。卵形赤血球症とも呼ばれ、赤血球膜異常症の一つ、また先天性溶血性貧血の一つです。
 血液を構成する細胞のうち、各臓器や組織への酸素運搬を担う赤血球という細胞の赤血球膜蛋白質の1種のバンド3蛋白質、αスペクトリン、βスペクトリンなどの遺伝的な異常によって、20~100%の赤血球の形状が楕円形または卵円形に変形して本来の機能が低下し、壊れやすくなります。
 常染色体優性遺伝という形式で遺伝するまれな疾患です。
 主要な症状は貧血、黄疸(おうだん)、脾臓(ひぞう)のはれですが、症状の程度は個人差が強く、新生児期に重篤な症状を起こす場合もあれば、成人してから検査結果の異常で偶然発見される場合もあります。同じ赤血球膜異常症の一つで、赤血球の形状が球状に変形する遺伝性球状赤血球症と症状が類似しているものの、より軽度である傾向がみられ、貧血を示す例は少なく、脾臓のはれを示す例が多くみられます。
 赤血球は体内で狭い血管をも通過できるように、正常では中央部分がへこんだ円盤状の形をしています。この形態によって、狭い部分を通過する際に細胞が折り畳まれることで細胞を傷付けずにより先に流れていくことができます。
 遺伝性楕円赤血球症では、この特殊な形を保つための細胞骨格を作り上げるバンド3蛋白質などの遺伝子異常があるため、赤血球が通常通り変形することができず、細い血管や脾臓を通過するたびにその抵抗により細胞膜がどんどん削り取られてゆきます。細胞膜の面積が減っても細胞の中身の量は変わらないため、同じ表面積で体積を多くできる楕円形に赤血球が近付いてゆきます。それでも最終的には、細胞膜が薄くなることで形を保てずに赤血球が壊れてしまい、血色素(ヘモグロビン)が多量に赤血球外に出される溶血という現象が発生します。
 細胞骨格にかかわる蛋白質には多くの種類があり、どの蛋白質にどのような異常が出るかによっても疾患の深刻さは異なってきます。
 最重症の場合は、胎児期に高度の貧血のため、胎児水腫(すいしゅ)という状態を起こし得ます。新生児期に症状が出る場合の多くは、溶血のために血液中にビリルビン(胆汁色素)が増え新生児黄疸を起こして発見されます。黄疸の程度がひどい場合は、脳へのビリルビンの沈着とそれによる発達障害を起こすこともありますが、貧血による症状が深刻なことはまれです。新生児期をすぎると、皮膚の黄疸が問題となることは少なくなります。
 遺伝性楕円赤血球症の発症者では、赤血球が壊れずに体内を循環できる期間が疾患のない人と比べて少ないため、常に骨髄が活性化して多めに赤血球を作り続けている状態です。そのため、俗にリンゴ病と呼ばれる伝染性紅斑(こうはん)の原因になるヒトパルボウイルスB19型というウイルス感染への感染、赤血球を作る際に必要なビタミンB12や葉酸の不足など、骨髄の活動を抑制するような出来事があると急激に貧血が進行して症状を起こす可能性が高くなります。
 また、皮膚の黄疸を起こすほどではないにしろ、溶血によって赤血球からビリルビンが漏れ出続けているため肝臓がそれを処理し切れずに、ビリルビンが胆石を作りそれによる胆石疝痛(せんつう)発作を起こす可能性が高くなります。
[牡羊座]遺伝性楕円赤血球症の検査と診断と治療
 小児科、ないし血液内科の医師による診断では、足の裏などから末梢(まっしょう)血を採取して、赤血球の形態観察で楕円形赤血球または卵円形赤血球の増加、赤血球の浸透圧抵抗の低下、血液中の間接型ビリルビン値の上昇、直接抗グロブリン(直接クームス)試験の結果が陰性になることによる遺伝性球状赤血球症の除外、脾臓のはれ、類似する疾患の家族歴などを総合して診断します。可能であれば、赤血球膜の蛋白質を電気泳動で解析し、遺伝的異常を同定します。
 なお、新生児期には赤血球の形態、赤血球の浸透圧抵抗ともに典型的な所見を示さないことも多いため、診断が難しいことがあります。
 小児科、ないし血液内科の医師による治療では、疾患の原因が遺伝的な蛋白質の異常であるため、ほかの先天性溶血性貧血と同様に根本的な治療法はありません。
 対症療法として、正常より多くの量が必要となる葉酸を経口で補充します。まれに新生児期から貧血による症状が出る場合は、成熟に伴って骨髄が赤血球の消費を補えるだけ新たに赤血球を生産できるようになるまで、赤血球輸血や、エリスロポエチンという赤血球の生産を増やすホルモンの投与などを行います。
 また、溶血や貧血に伴う症状が高度な場合や、これらの症状が軽度でも胆石が認められる場合などでは、赤血球を主に壊している脾臓を外科手術、あるいは腹腔(ふくくう)鏡下手術によって取り除く脾摘が治療法となります。脾摘後も遺伝性楕円赤血球症は持続するものの、循環血液中での赤血球の寿命は延長します。元々の症状の程度によってどの程度の改善がみられるか個人差はありますが、軽症の場合はビリルビンなどの検査値がほぼ正常範囲になり、重症の場合でも輸血を必要とする頻度がかなり改善するなど大きな効果が見込めます。
 しかし、脾臓という臓器が肺炎球菌など一部の細菌感染に対抗する上で重要な役割を持っているため、脾摘後はこれらの感染症に対して抵抗力が弱くなってしまいます。そのため脾摘の前にワクチン接種を受けることが推奨されます。また、脾摘を受けた発症者は脾摘を受けない遺伝性楕円赤血球症の発症者と比べて、動脈/静脈塞栓(そくせん)の危険性が上がるという報告もあるため、元々の危険性が高い発症者では注意が必要になります。
 特に乳幼児期は脾摘後に重症細菌感染症にかかりやすくなるため、重症の場合でも6歳になるまで脾摘は待つほうが安全とされます。軽症の場合は、青年期まで待機可能なこともあります。
 そのほかの疾患の治療のため骨髄移植を行った場合には、骨髄の細胞が根本的に入れ替わるため遺伝性楕円赤血球症も改善しますが、この疾患単独に対する治療としては治療に伴う合併症のリスクが高すぎるため通常は行われません。

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☐用語 先天性溶血性貧血 [用語(せ)]

[牡牛座]赤血球の寿命が短くなり、骨髄が赤血球を作る造血機能が追い付かずに現れる先天性の貧血
 先天性溶血性貧血とは、先天的に起きる溶血性貧血の総称。
 溶血性貧血とは、全身に酸素を運ぶ役割を持つ赤血球そのものの寿命が短く、正常の約120日の寿命より早く消失してしまい、骨髄の造血機能が追い付けなくなって貧血を起こす疾患で、その原因が赤血球自体にあるものと、赤血球以外にあるものとがあります。原因が赤血球自体にあるもののほとんどは、先天性あるいは遺伝性の赤血球異常による溶血性貧血で、日本人には比較的まれな疾患です。
 先天性溶血性貧血には、赤血球自体に異常がある遺伝性球状赤血球症や遺伝性楕円(だえん)赤血球症(卵形赤血球症)、酵素に異常がある赤血球酵素異常症、ヘモグロビン異常症、サラセミアなどがあります。日本で発見される先天性溶血性貧血の中では、遺伝性球状赤血球症が約70%、遺伝性楕円赤血球症が約2%、赤血球酵素異常症が約5%、ヘモグロビン異常症が約5%を占めます。
 先天性溶血性貧血の代表的な疾患である遺伝性球状赤血球症は、血液を構成する細胞のうち、各臓器や組織への酸素運搬を担う赤血球細胞の遺伝的な異常によって、形状が球状に変形して本来の機能が低下し、壊れやすくなる疾患。慢性家族性黄疸(おうだん)、先天性溶血性黄疸、家族性球状赤血球症、球状赤血球性貧血とも呼ばれます。
 常染色体優勢遺伝という形式で遺伝することが多いものの、常染色体劣性遺伝という形式で遺伝することもあり、突然変異による弧発例も存在します。
 日本で発見される先天性溶血性貧血の中で最も頻度が高い疾患で、人口5〜10万人に1人の頻度とされています。主要な症状は貧血、黄疸、脾臓(ひぞう)のはれですが、症状の程度は個人差が大変強く、新生児期に重篤な症状を起こす場合もあれば、成人してから検査結果の異常で偶然発見される場合もあります。
 赤血球は体内で狭い血管をも通過できるように、正常では中央部分がへこんだ円盤状の形をしています。この形態によって、狭い部分を通過する際に細胞が折り畳まれることで細胞を傷付けずにより先に流れていくことができます。
 遺伝性球状赤血球症では、この特殊な形を保つための細胞骨格を作り上げる蛋白(たんぱく)質の遺伝子異常があるため、赤血球が通常通り変形することができず、細い血管や脾臓を通過するたびにその抵抗により細胞膜がどんどん削り取られてゆきます。細胞膜の面積が減っても細胞の中身の量は変わらないため、同じ表面積で最も体積を多くできる球状に赤血球が近付いてゆきます。それでも最終的には、細胞膜が薄くなることで形を保てずに赤血球が壊れてしまい、血色素(ヘモグロビン)が多量に赤血球外に出される溶血という現象が発生します。
 細胞骨格にかかわる蛋白質には多くの種類があり、どの蛋白質にどのような異常が出るかによっても疾患の深刻さは異なってきます。
 最重症の場合は、胎児期に高度の貧血のため、胎児水腫(すいしゅ)という状態を起こし得ます。新生児期に症状が出る場合の多くは、溶血のために血液中にビリルビン(胆汁色素)が増え新生児黄疸を起こして発見されます。黄疸の程度がひどい場合は、脳へのビリルビンの沈着とそれによる発達障害を起こすこともありますが、貧血による症状が深刻なことはまれです。新生児期をすぎると、皮膚の黄疸が問題となることは少なくなります。
 遺伝性球状赤血球症の発症者では、赤血球が壊れずに体内を循環できる期間が疾患のない人と比べて少ないため、常に骨髄が活性化して多めに赤血球を作り続けている状態です。そのため、俗にリンゴ病と呼ばれる伝染性紅斑(こうはん)の原因になるヒトパルボウイルスB19型というウイルス感染への感染、赤血球を作る際に必要なビタミンB12や葉酸の不足など、骨髄の活動を抑制するような出来事があると急激に貧血が進行して症状を起こす可能性が高くなります。
 また、皮膚の黄疸を起こすほどではないにしろ、溶血によって赤血球からビリルビンが漏れ出続けているため肝臓がそれを処理し切れずに、ビリルビンが胆石を作りそれによる胆石疝痛(せんつう)発作を起こす可能性が高くなります。
[牡牛座]先天性溶血性貧血の検査と診断と治療
 小児科、ないし血液内科の医師による溶血性貧血の診断では、血液の検査が最も重要です。これによって、貧血とともに、ビリルビンや乳酸脱水素酵素(LDH)といわれる物質の上昇が認められれば、溶血が強く疑われます。
 身内に溶血性貧血の人がいる場合、先天性溶血性貧血の可能性があり、遺伝子や蛋白の異常を生化学的に検査していきます。
 先天性溶血性貧血の代表的な疾患である遺伝性球状赤血球症の診断では、足の裏などから末梢(まっしょう)血を採取して、赤血球の形態観察で球状赤血球や小型球状赤血球の増加、赤血球の浸透圧抵抗の低下、血液中の間接型ビリルビン値の上昇、脾臓のはれなどを総合して診断します。可能であれば、赤血球膜の蛋白質を電気泳動で解析し、遺伝的異常を同定します。
 なお、新生児期には赤血球の形態、赤血球の浸透圧抵抗ともに典型的な所見を示さないことも多いため、診断が難しいことがあります。
 小児科、ないし血液内科の医師による遺伝性球状赤血球症の治療では、疾患の原因が遺伝的な蛋白質の異常であるため、ほかの先天性溶血性貧血と同様に根本的な治療法はありません。
 対症療法として、正常より多くの量が必要となる葉酸を経口で補充します。まれに新生児期から貧血による症状が出る場合は、成熟に伴って骨髄が赤血球の消費を補えるだけ新たに赤血球を生産できるようになるまで、赤血球輸血や、エリスロポエチンという赤血球の生産を増やすホルモンの投与などを行います。
 また、溶血や貧血に伴う症状が高度な場合や、これらの症状が軽度でも胆石が認められる場合などでは、赤血球を主に壊している脾臓を外科手術、あるいは腹腔(ふくくう)鏡下手術によって取り除く脾摘が治療法となります。元々の症状の程度によってどの程度の改善がみられるか個人差はありますが、軽症の場合はビリルビンなどの検査値がほぼ正常範囲になり、重症の場合でも輸血を必要とする頻度がかなり改善するなど大きな効果が見込めます。
 しかし、脾臓という臓器が肺炎球菌など一部の細菌感染に対抗する上で重要な役割を持っているため、脾摘後はこれらの感染症に対して抵抗力が弱くなってしまいます。そのため脾摘の前にワクチン接種を受けることが推奨されます。また、脾摘を受けた発症者は脾摘を受けない遺伝性球状赤血球症の発症者と比べて、動脈/静脈塞栓(そくせん)の危険性が上がるという報告もあるため、元々の危険性が高い発症者では注意が必要になります。
 特に乳幼児期は脾摘後に重症細菌感染症にかかりやすくなるため、重症の場合でも6歳になるまで脾摘は待つほうが安全とされます。軽症の場合は、青年期まで待機可能なこともあります。
 そのほかの疾患の治療のため骨髄移植を行った場合には、骨髄の細胞が根本的に入れ替わるため遺伝性球状赤血球症も改善しますが、この疾患単独に対する治療としては治療に伴う合併症のリスクが高すぎるため通常は行われません。

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☐用語 アロマターゼ欠損症 [用語(あ)]

[喫茶店]遺伝性の原因により、エストロゲンが働かない疾患
 アロマターゼ欠損症とは、遺伝性の原因により、女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が働かない疾患。
 常染色体劣性遺伝性の単一遺伝子病で、男性ホルモンの一つであるテストステロンをエストロゲン(卵胞ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異により発症します。
 アロマターゼ欠損症を発症した女性は、胎盤アロマターゼ欠損症により新生児の時から外性器が不明瞭(めいりょう)に男性化し、女性仮性半陰陽と診断されることがあります。2~4歳の女児では、エストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣の一部にできた袋状の腫瘍(しゅよう)内に液体がたまる卵巣嚢腫(のうしゅ)(未破裂卵胞)が出現します。
 思春期には、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が高く、エストロゲン(卵胞ホルモン)が低くなり、第2次性徴が起こリません。テストステロンが増加し、徐々に男性化します。骨減少症、骨粗鬆(こつそしょう)症を引き起こすこともあります。
 一方、アロマターゼ欠損症を発症した男性は、正常な性分化、正常な思春期を迎えますが、エストロゲン(卵胞ホルモン)の低下のため、類宦官(るいかんがん)体形という子供のような体形がみられ、骨端線の閉鎖不全によって大人になってもどんどん骨が成長し続け、極めて身長が高くなります。性欲減退が著しく、骨減少症、骨粗鬆症、インスリン抵抗性(耐糖能異常)になります。
 アロマターゼ欠損症の発生はまれで、かつ新しい疾患概念であるため、専門に診断や治療を行う診療科はなく、小児科、小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科など複数の診療科で別々に取り扱われています。
 アロマターゼ欠損症を発症した女性は、出生時に医師や看護師によって女性仮性半陰陽が発見されることが望ましいのですが、思春期や成人後に発見されることもあります。思春期になって女子のはずなのに初経(初潮)がなかったり、陰核の肥大や多毛、声の低下などの男性化が起こってくる場合には、できるだけ早く小児科、あるいは小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科などの診断を受けるようにします。
[喫茶店]アロマターゼ欠損症の検査と診断と治療
 小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による診断では、女性仮性半陰陽を手掛かりとして、血中エストロゲンが低値であることからアロマターゼ欠損症と判断します。確定するために、遺伝学的診断でアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異を検索することもあります。
 小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による治療では、アロマターゼ欠損症の2~4歳の女児ではエストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣嚢腫(未破裂卵胞)が出現しますが、少量のエストロゲンを投与すると嚢腫は消失し、正常な卵胞発育を起こします。
 エストロゲンの投与は2歳からが望ましく、結合型エストロゲン0・15mg(エストラジオール0・25mg)を使用します。10~12歳では、これを0・3mg~1・25mgに増加させ、さらに黄体ホルモン剤も投与し、生理を起こすようにします。14歳までには、低用量経口避妊薬(OCピル)へスイッチします。
 第2次性徴の欠如によりアロマターゼ欠損症が発見された女性に対しても、同じようなエストロゲンの投与により女性ホルモンの補充療法を行います。しかし、遺伝子の異常によって生じる疾患であるため、アロマターゼ欠損症の根本的な治療はできません。
 アロマターゼ欠損症の男性では、14~16歳から少量のエストロゲン(12・5~25μg貼付〈ちょうふ〉剤)を使用します。これにより、骨端線が閉鎖し、骨粗鬆症が予防され、インスリン抵抗性(耐糖能異常)が正常になります。しかし、過剰のエストロゲンの投与は、男性の乳房が女性のような乳房に膨らむ女性化乳房を引き起こしますので、注意が必要です。

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