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■ニュージーランド、コロナ感染ゼロ戦略を断念 デルタ型封じ込めできず [健康ダイジェスト]

 ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は4日、これまで推進してきた「コロナ感染ゼロ」戦略について、主要都市オークランドでの新型コロナウイルス感染封じ込めに失敗したと事実上認め、新たな取り組みが必要だと述べました。
 ニュージーランドは、新型コロナウイルスの根絶を目指す厳格な政策により国土の大半が流行から守られ、国境封鎖下で国民はパンデミック(世界的な大流行)以前に近い日常生活を送っています。しかし、人口の多いオークランドで8月に発生した半年ぶりの市中感染は、7週間に及ぶロックダウン(都市封鎖)を実施した後も感染者数の減少に至っていません。
 アーダーン首相は記者会見で、感染力の強いデルタ型変異ウイルスが局面を一変させる「ゲームチェンジャー」となり、「長期にわたる制限を導入しても、感染者数がゼロになっていないのは明らかだ」として、ウイルス根絶ができなくなったことが確認されたと語りました。
 アーダーン首相は、コロナゼロ戦略を直ちに撤回するわけではないとしつつ、オークランドのロックダウンについては新規感染者数が減らなくても一部緩和する方針を示しました。
 ウイルス根絶という当初の目標からは大きな方針転換となるものの、アーダーン氏は新型コロナウイルスワクチンの接種が劇的に進んだことで、政策変更が可能になったと説明。  「根絶が重要だったのは、ワクチンがなかったからだ。今はワクチンがあるので、やり方を変えることができる」と述べました。
 感染ゼロ戦略はシドニーとメルボルンの2大都市で都市封鎖が続く隣国オーストラリアも8月に断念し、経済再開に向けかじを切っています。

 2021年10月4日(月)




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■AIで酒飲まぬ人の脂肪肝を診断 大阪府済生会吹田病院が開発 [健康ダイジェスト]

 飲酒以外の原因で肝臓に中性脂肪がたまる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD(ナッフルディー))や、悪化した非アルコール性脂肪肝炎(NASH(ナッシュ))を、血液検査とAI(人工知能)で発見する手法を大阪府済生会吹田病院(吹田市)などが開発しました。肝臓の組織を採取する既存の「生検」より負担が小さく、健康診断などで発見できる可能性があるといいます。
 NAFLDは酒量が少ない肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病患者に多く、国内の患者数は2000万人以上とされ、うち約2割がNASHに進行します。放置すれば、肝臓が線維化して硬くなる肝硬変を起こし、肝臓がんなどの発症リスクが高まるため、早期の確定診断が必要とされます。ただ、確定診断には生検が必要で、簡便な診断法が求められてきました。
 同院の岡上(おかのうえ)武名誉院長らは、生検でNAFLDと診断した324人について血液検査や体形データだけでNASHやNAFLDと診断できるか、AIに学習させて検証しました。
 その結果、年齢や性別、腹囲などのデータと、血液検査でわかる肝機能の計11項目があれば、生検による専門医の診断と95%以上一致した結果をAIが導き出せることがわかりました。京都府立医大など3大学病院のデータの検証でも、ほぼ合致しました。
 肝臓が硬くなる「線維化」の血液検査結果を加えれば、NASHの進行も診断できたとしています。
 一部の医療機関に導入され、福井県済生会病院(福井市)ではAIでNASHが疑われると判定された約20人が実際に生検でNASHと診断されたといいます。
 判定費用は1回1000~数千円程度といい、公的医療保険が適用されるソフトとして全国での実用化を目指します。岡上院長は「安全、安価に検査を受けてもらい、早期発見や治療につなげたい」と話しています。

 2021年10月4日(月)




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■アメリカのメルク社の新型コロナ飲み薬、年内にも日本調達へ 軽症者向けに特例承認 [健康ダイジェスト]

 政府は、新型コロナウイルスの軽症者向け治療薬として、アメリカの製薬大手メルク社の経口薬(飲み薬)を日本国内で年内にも特例承認し、一定量を調達する方向で同社などと調整に入りました。飲み薬タイプの抗ウイルス薬は自宅で服用できるなど扱いやすく、ワクチン接種とともに感染対策の切り札となります。今後の調整次第では年内にも国内で流通する可能性が出てきました。
 政府関係者によると、年内調達を目指しているのは、メルク社が開発する抗ウイルス薬「モルヌピラビル」。ウイルスが体内で増殖するために必要な酵素の働きを阻害する仕組みで、発熱やせきなどの初期症状がある患者が対象。12時間おきに1日2回、5日間、計10回服用することで重症化を防ぐ効果があるとされます。
 菅義偉首相は9月の記者会見で、軽症者用の飲み薬について早ければ年内にも実用化するとの考えを示していましたが、調達先などについては明らかにしていませんでした。
 メルク社は、アメリカ国内外の約1500人を対象とした最終段階の国際共同治験を今年春から始めており、日本も参加しています。治験は10月中に終える計画で、11月にもアメリカ食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する方針。認められれば、新型コロナ向けとしては世界初の飲み薬になる可能性があります。
 メルク社が1日に発表した国際共同治験の中間結果によると、軽症や中等症の患者が入院したり、死亡したりするリスクを半減させる効果があったといいます。
 アメリカ政府は6月に、170万人分を12億ドル(約1300億円)で購入する契約を結んでいます。日本も、医薬品の審査を担う独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」がメルク社側と臨床データなどについてやりとりを開始しました。日本政府関係者は「アメリカで緊急使用許可が出れば、日本国内での申請を経て、年末には特例承認されるだろう」との見通しを示しています。
 国内で承認済みの軽症・中等症患者向けの治療薬は「ソトロビマブ」と、抗体カクテル療法の「ロナプリーブ」がありますが、いずれも点滴薬で、医療関係者の作業が必要になります。一方、モルヌピラビルは自宅で服用できるため医療機関の負担が軽減されるとの期待もあります。
 新型コロナの飲み薬を巡ってはメルクのほか、スイス製薬大手ロシュやアメリカのファイザーなどが開発を急いでいます。日本国内では塩野義製薬が来年1~3月の実用化を目指しているほか、富士フイルム富山化学も抗インフルエンザ薬を転用し、現在治験を進めています。

 2021年10月4日(月)




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■京大、白血病の薬をALS患者に投与し症状の進行停止 iPS創薬で成果 [健康ダイジェスト]

 京都大学iPS細胞研究所の井上治久教授らは9月30日、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)について、iPS細胞を使った創薬研究で見付けた治療薬候補を患者に投与する臨床試験(治験)で、症状の進行を止める効果が一部の患者で出たと発表しました。投薬で病気の進行を止める効果は世界初といいます。根本的な治療法を目指し、より大規模な治験をして詳しく調べます。
 ALSは運動神経の障害で筋肉が徐々に衰える進行性の難病で、国内に約9000人の患者がいます。個人差があるものの、発症から数年で人工呼吸器を装着したり亡くなったりします。既存薬は病気の進行を数カ月遅らせる効果はあるものの、根本的な治療法は確立されていません。
 京大は患者のiPS細胞から病気の細胞を再現し、さまざまな薬剤を試して慢性骨髄性白血病の治療薬「ボスチニブ」をALSの治療薬候補としました。2019年、安全性などを調べる第1相と呼ばれる初期の医師主導治験を始め、20歳以上80歳未満の比較的軽症の12人の患者にボスチニブを投与しました。用量が多く肝機能障害が出て投薬を中止した3人を除く9人で効果を調べました。
 1日に100~300ミリグラムを12週間投与し、投与期間中と終了後に、会話や食事、歩行などをもとにALSの重症度を評価する方法で調べると、9人中5人で病気の進行が3カ月止まりました。
 傾向を調べると、神経細胞が壊れた際に放出される物質が血液中に少ない患者で、効果が出やすくなりました。軽症の患者には薬が効きやすい可能性があるといいます。
 井上教授は、「科学的にALSを制圧することが視野に入ったのではないか」と話しています。
 ただ今回の治験は対象の患者数が少なく、効果の検証に必要な偽薬(プラセボ)を投与する患者群との比較がありません。
 井上教授は、「科学的に有効性を示すには、第2相以降の治験が必要だ。より多くの患者を対象にして薬の有効性を調べていきたい」と話しています。ボスチニブが効く仕組みの検証も進める計画です。
 iPS細胞を使う創薬研究では、慶応義塾大学が5月、パーキンソン病の治療薬を投与する治験でALSの進行を約7カ月遅らせる効果を確認したと発表しています。さまざまな治療薬候補の治験が進めば、ALSの根治法が見付かる可能性が高まると期待を集めます。

 2021年10月3日(日)




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