■再生医療などの新拠点「中之島クロス」、大阪市で全面開業 [健康ダイジェスト]
再生医療の産業化を進める大阪市北区の新拠点「中之島クロス」が29日、全面開業しました。地上16階の建物には、循環器科や眼科などの医療機関のほか、製薬会社や医療機器メーカーなど30社・団体がオフィスを構えました。三井不動産が運営する賃貸ラボ「三井リンクラボ中之島」も入り、スタートアップや大阪大学が入居。相互の連携で実用化を進めます。
中之島クロスの運営は、大阪府のほかロート製薬や岩谷産業など21の企業、病院が参画する「未来医療推進機構」が担います。
開業セレモニーで、同機構の理事長を務める大阪大大学院医学系研究科の澤芳樹特任教授は「(再生医療は)研究開発が進みながらも実用化はなかなか進まなかった。社会実装に向けて、スタートアップ育成を加速する中之島クロスがいよいよ始動する」と挨拶しました。
大阪府の吉村洋文知事は「一つ屋根の下に病院、研究機関、スタートアップ、行政、企業が集まって未来医療をつくる。ここに大きな意味がある」と期待を示しました。
京都大学iPS細胞研究財団(京都市)は研究開発施設を設け、患者本人の血液から医療用iPS細胞を安価で製造し提供するプロジェクトを進めます。山中伸弥理事長はビデオメッセージで、「最適なiPS細胞を良心的な価格で企業に届ける」と意欲を語りました。
未来医療推進機構は、再生医療の産業化を目指すスタートアップ向けのポータルサイトを今年秋をめどに開設し、市場調査や医薬品・サービスの設計サポートなどを提供します。
2024年6月30日(日)
中之島クロスの運営は、大阪府のほかロート製薬や岩谷産業など21の企業、病院が参画する「未来医療推進機構」が担います。
開業セレモニーで、同機構の理事長を務める大阪大大学院医学系研究科の澤芳樹特任教授は「(再生医療は)研究開発が進みながらも実用化はなかなか進まなかった。社会実装に向けて、スタートアップ育成を加速する中之島クロスがいよいよ始動する」と挨拶しました。
大阪府の吉村洋文知事は「一つ屋根の下に病院、研究機関、スタートアップ、行政、企業が集まって未来医療をつくる。ここに大きな意味がある」と期待を示しました。
京都大学iPS細胞研究財団(京都市)は研究開発施設を設け、患者本人の血液から医療用iPS細胞を安価で製造し提供するプロジェクトを進めます。山中伸弥理事長はビデオメッセージで、「最適なiPS細胞を良心的な価格で企業に届ける」と意欲を語りました。
未来医療推進機構は、再生医療の産業化を目指すスタートアップ向けのポータルサイトを今年秋をめどに開設し、市場調査や医薬品・サービスの設計サポートなどを提供します。
2024年6月30日(日)
■厚労省、がんゲノム検査の負担軽減を検討 ゲノム登録は5年で7万6000件超 [健康ダイジェスト]
がんに関連する数十から数百の遺伝子を一度に調べて有効な治療を探す「がん遺伝子検査」について、厚生労働省が幅広い患者が受けられるよう負担費用の軽減策の検討を始めたことが29日、明らかになりました。自由診療と保険診療を例外的に組み合わせる制度の対象とする方向です。2019年6月に保険適用となって5年。がんゲノム情報管理センターに登録された検査件数は今年4月末までに7万6000件を超えました。
国はがんゲノム医療の推進に力を入れており、遺伝子検査では患者のがん組織で起きている遺伝子の変化を網羅的に調べ、治療に有効な薬剤を探します。これまでの検査で約1割が治療に結び付きました。検査の裾野は広がっているものの、年約100万人が新たに診断されるがん患者のうち検査を受けられる人はごく一部にとどまっていることが浮き彫りになりました。
現在、公的保険の対象は、臓器ごとの標準治療が終わった固形がんや治療法のない希少がん、小児がんの検査に限られています。標準治療前に検査を受けるには50万円程度の検査費のほか、治療に関連する費用すべてを自費で負担する必要があります。
2024年6月30日(日)
国はがんゲノム医療の推進に力を入れており、遺伝子検査では患者のがん組織で起きている遺伝子の変化を網羅的に調べ、治療に有効な薬剤を探します。これまでの検査で約1割が治療に結び付きました。検査の裾野は広がっているものの、年約100万人が新たに診断されるがん患者のうち検査を受けられる人はごく一部にとどまっていることが浮き彫りになりました。
現在、公的保険の対象は、臓器ごとの標準治療が終わった固形がんや治療法のない希少がん、小児がんの検査に限られています。標準治療前に検査を受けるには50万円程度の検査費のほか、治療に関連する費用すべてを自費で負担する必要があります。
2024年6月30日(日)
■「紅麹」サプリの死者調査報告3月以降なし、武見厚労相「もう任せておけない」 小林製薬「確認を重視」と釈明 [健康ダイジェスト]
小林製薬の「紅麹(べにこうじ) 」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、同社が摂取との因果関係を調査している76人の死者について、厚生労働省に報告していなかったことが28日、明らかになりました。問題の発覚時にも行政への報告の遅れが指摘されており、同社の姿勢に批判の声が上がっています。
「報告がなかったことは極めて遺憾。もう小林製薬だけに任せておけない。厚生労働省が小林製薬に調査計画を立てさせ、進捗(しんちょく)状況も管理する」。この日、報道陣の取材に応じた武見敬三厚労相は、語気を強めました。
今回の健康被害を巡っては、小林製薬が1月に「紅麹コレステヘルプ」などのサプリによる健康被害の情報を把握してから、国や自治体に報告するまで約2カ月かかったことが問題視されました。
このサプリは機能性表示食品で、問題を受け、政府は5月末、同食品の製造・販売事業者に医師の診断がある健康被害情報を把握した場合、因果関係にかかわらず、速やかな報告を義務付ける再発防止策をとりまとめた経緯があります。
今回、76人の死亡事例の相談が寄せられていることは、厚労省が13日に同社に問い合わせたことが切っ掛けで明らかになりました。厚労省の担当者は、「毎日やり取りしており、会社の対応を信頼していた。非常に悲しい」と話しました。
小林製薬は問題発覚後の3月29日の記者会見で、「我々がやるべきことは、被害を受けた患者や不安を感じている方に情報を提供することだ」などと述べ、患者らの不安払拭(ふっしょく)のために、情報開示を進めていく方針を示していました。
同社に寄せられた相談を基に、死者数や入院者数、医療機関の受診者数を厚労省に報告していました。だが、3月29日に関連が疑われる死者数を5人と発表して以降、2カ月余りにわたって、この5人以外の死者に関する情報は、一切報告していませんでした。
同社は28日、報告をしていなかった理由について「確認手続きが完了していなかった。詳細な確認を(した後で報告することを)重視していた」と釈明しました。
死者に関しては、これまでは摂取との関連性が疑われる腎関連疾患と診断されたケースに限っていた報告の対象を、がんや脳梗塞、肺炎など他の疾患の診断などにも広げたといいます。
同社はこの日、記者会見を開きませんでした。理由については「伝えたい内容が多岐にわたり、正確かつ同時に知らせるには、文書による発表が適切だと判断した」と回答しました。
小林製薬は、この問題に関する補償対応本部を新設することも発表しました。
太田肇・同志社大教授(組織論)は、 「死亡事例の公表の遅れは、原因究明の遅れに直結する。小林製薬は少しでもリスクを把握した段階で報告すべきだった。最初の健康被害を把握してから公表まで2カ月余りかかった初動対応に続き、情報発信への消極的な姿勢が改善されておらず、重大な社会問題と認識できているか疑わしい」と話しました。
台湾紙・「自由時報」によると、小林製薬の「紅麹」成分入りのサプリメントの健康被害問題で、台湾消費者保護協会は27日、摂取した後に体調不良を訴えた約30人が同社の子会社「台湾小林製薬」を相手取って集団訴訟を起こし損害賠償を求めると明らかにしました。
報道によると、台湾当局は6月14日までに60件以上の被害を確認しています。同協会は、被害者に訴訟への参加を呼び掛けています。
2024年6月29日(土)
「報告がなかったことは極めて遺憾。もう小林製薬だけに任せておけない。厚生労働省が小林製薬に調査計画を立てさせ、進捗(しんちょく)状況も管理する」。この日、報道陣の取材に応じた武見敬三厚労相は、語気を強めました。
今回の健康被害を巡っては、小林製薬が1月に「紅麹コレステヘルプ」などのサプリによる健康被害の情報を把握してから、国や自治体に報告するまで約2カ月かかったことが問題視されました。
このサプリは機能性表示食品で、問題を受け、政府は5月末、同食品の製造・販売事業者に医師の診断がある健康被害情報を把握した場合、因果関係にかかわらず、速やかな報告を義務付ける再発防止策をとりまとめた経緯があります。
今回、76人の死亡事例の相談が寄せられていることは、厚労省が13日に同社に問い合わせたことが切っ掛けで明らかになりました。厚労省の担当者は、「毎日やり取りしており、会社の対応を信頼していた。非常に悲しい」と話しました。
小林製薬は問題発覚後の3月29日の記者会見で、「我々がやるべきことは、被害を受けた患者や不安を感じている方に情報を提供することだ」などと述べ、患者らの不安払拭(ふっしょく)のために、情報開示を進めていく方針を示していました。
同社に寄せられた相談を基に、死者数や入院者数、医療機関の受診者数を厚労省に報告していました。だが、3月29日に関連が疑われる死者数を5人と発表して以降、2カ月余りにわたって、この5人以外の死者に関する情報は、一切報告していませんでした。
同社は28日、報告をしていなかった理由について「確認手続きが完了していなかった。詳細な確認を(した後で報告することを)重視していた」と釈明しました。
死者に関しては、これまでは摂取との関連性が疑われる腎関連疾患と診断されたケースに限っていた報告の対象を、がんや脳梗塞、肺炎など他の疾患の診断などにも広げたといいます。
同社はこの日、記者会見を開きませんでした。理由については「伝えたい内容が多岐にわたり、正確かつ同時に知らせるには、文書による発表が適切だと判断した」と回答しました。
小林製薬は、この問題に関する補償対応本部を新設することも発表しました。
太田肇・同志社大教授(組織論)は、 「死亡事例の公表の遅れは、原因究明の遅れに直結する。小林製薬は少しでもリスクを把握した段階で報告すべきだった。最初の健康被害を把握してから公表まで2カ月余りかかった初動対応に続き、情報発信への消極的な姿勢が改善されておらず、重大な社会問題と認識できているか疑わしい」と話しました。
台湾紙・「自由時報」によると、小林製薬の「紅麹」成分入りのサプリメントの健康被害問題で、台湾消費者保護協会は27日、摂取した後に体調不良を訴えた約30人が同社の子会社「台湾小林製薬」を相手取って集団訴訟を起こし損害賠償を求めると明らかにしました。
報道によると、台湾当局は6月14日までに60件以上の被害を確認しています。同協会は、被害者に訴訟への参加を呼び掛けています。
2024年6月29日(土)
■精神障害の労災883件、過去最高を5年連続で更新 カスハラは52件 [健康ダイジェスト]
厚生労働省は28日、仕事によってうつ病などの精神障害を発症し、2023年度に労災認定を受けたのは883件だったと発表しました。前年度から173件増加し、統計を始めた1983年度以降の過去最多を5年連続で更新しました。自殺や自殺未遂に至ったケースは計79件で、前年度より12件多くなりました。
精神障害の原因で最も多かったのは「上司などからのパワハラ」(157件)で、「セクハラ」(103件)が続きました。2023年9月に精神障害による労災の認定基準が改正され、原因項目に追加されたカスタマーハラスメント(カスハラ)による労災は、今回の初集計で52件に上りました。うち45件は女性で、顧客から迷惑行為の標的にされやすい傾向を示す結果となりました。
厚労省の担当者は労災件数の増加について、「精神障害が認定の対象だという周知が進んだほか、心理的負荷の原因となった出来事別の項目が拡充され、労働者が自身のケースを当てはめやすくなったのではないか」としています。
2024年6月29日(土)
精神障害の原因で最も多かったのは「上司などからのパワハラ」(157件)で、「セクハラ」(103件)が続きました。2023年9月に精神障害による労災の認定基準が改正され、原因項目に追加されたカスタマーハラスメント(カスハラ)による労災は、今回の初集計で52件に上りました。うち45件は女性で、顧客から迷惑行為の標的にされやすい傾向を示す結果となりました。
厚労省の担当者は労災件数の増加について、「精神障害が認定の対象だという周知が進んだほか、心理的負荷の原因となった出来事別の項目が拡充され、労働者が自身のケースを当てはめやすくなったのではないか」としています。
2024年6月29日(土)