■臓器移植待機者数や術後生存率、年度内にも病院別に公開へ 移植希望患者の複数登録化も検討、厚労省 [健康ダイジェスト]
脳死者から提供された臓器を移植する医療体制が逼迫(ひっぱく)する中、厚生労働省は18日、移植を待つ患者数や移植後の生存率などを移植施設ごとに公開する方針を表明しました。臓器あっせん機関の日本臓器移植ネットワーク(JOT)などが構築を進めるデータベースを活用し、今年度中の公開を目指します。手術実績の多い移植施設に待機患者が集中する事態の緩和が期待されます。
移植を希望する患者は現在、手術を受ける移植施設を原則1カ所選びます。施設ごとの詳細なデータは公開されておらず、主治医の意見や移植手術の実績などを参考に決めるしかありませんでした。
脳死下の臓器提供件数の増加に伴い、東京大など有数の移植手術実績を持つ施設では待機患者が集中する一方、人員や病床の不足から、提供された臓器の受け入れを断念する事例が相次いでいます。施設別のデータが公開されることが、断念問題の解消につながる可能性があります。
今回の方針は、同日の参院厚労委員会で、大坪寛子健康・生活衛生局長が、日本維新の会の梅村聡参院議員の質問に対して答えました。
厚労省が公開に際して活用するのは、JOTが国の補助金を受けて日本移植学会とともに構築中のデータベース「 TRACERトレーサー 」。国内で行われる臓器移植に関する情報を一元化します。
公開はこのデータベースを基に、施設ごとに、臓器別の待機患者数、登録から移植までの平均待機期間、移植後の生存率の3項目を示すことを想定しています。データベースは今年度中にも運用が始まる見通しで、大坪氏は「国民から信頼される移植医療の推進のために、施設ごとのデータ公表が重要だ」と答弁しました。
JOTは、今後公開を検討する3項目について、臓器ごとにまとめた数のみを公表してきました。待機患者数は5月時点で、腎臓1万4194人、心臓84人、肺615人の順に多く、6臓器全体で1万6000人超に上っています。
データベースの構築に携わる日本移植学会前理事長の江川裕人・浜松ろうさい病院長は「移植施設別の(生存率などの)治療成績に大きな違いはないとみられる。各施設のデータが公開されることで、待機患者の一部の施設への偏りを解消することが期待できる。JOT、厚労省、学会が緊密に連携して進めていきたい」と話しています。
また、厚労省は、この日の厚労委で、臓器移植を希望する患者が、手術を受けるために登録する施設を複数にする方向で検討を進めると明らかにしました。優先順位の高い患者への移植が、手術の態勢が組めないなどの施設側の事情で見送られるのを防ぐのが目的。
厚労省によると、患者が手術実施施設として登録できるのは、心臓や肺、肝臓、膵臓、小腸が1カ所で、腎臓は2カ所。登録数は関係学会が決めます。JOTは症状や年齢などを考慮し、優先順位の高い患者からあっせんします。
複数の病院に登録できれば、施設側に実施できない事情があっても、順番通りに手術が受けられる可能性が高くなります。厚労省は2023年以降の移植の見送り件数や理由をJOTに報告するよう求めており、結果を踏まえて学会に働き掛けるといいます。
2024年6月19日(水)
移植を希望する患者は現在、手術を受ける移植施設を原則1カ所選びます。施設ごとの詳細なデータは公開されておらず、主治医の意見や移植手術の実績などを参考に決めるしかありませんでした。
脳死下の臓器提供件数の増加に伴い、東京大など有数の移植手術実績を持つ施設では待機患者が集中する一方、人員や病床の不足から、提供された臓器の受け入れを断念する事例が相次いでいます。施設別のデータが公開されることが、断念問題の解消につながる可能性があります。
今回の方針は、同日の参院厚労委員会で、大坪寛子健康・生活衛生局長が、日本維新の会の梅村聡参院議員の質問に対して答えました。
厚労省が公開に際して活用するのは、JOTが国の補助金を受けて日本移植学会とともに構築中のデータベース「 TRACERトレーサー 」。国内で行われる臓器移植に関する情報を一元化します。
公開はこのデータベースを基に、施設ごとに、臓器別の待機患者数、登録から移植までの平均待機期間、移植後の生存率の3項目を示すことを想定しています。データベースは今年度中にも運用が始まる見通しで、大坪氏は「国民から信頼される移植医療の推進のために、施設ごとのデータ公表が重要だ」と答弁しました。
JOTは、今後公開を検討する3項目について、臓器ごとにまとめた数のみを公表してきました。待機患者数は5月時点で、腎臓1万4194人、心臓84人、肺615人の順に多く、6臓器全体で1万6000人超に上っています。
データベースの構築に携わる日本移植学会前理事長の江川裕人・浜松ろうさい病院長は「移植施設別の(生存率などの)治療成績に大きな違いはないとみられる。各施設のデータが公開されることで、待機患者の一部の施設への偏りを解消することが期待できる。JOT、厚労省、学会が緊密に連携して進めていきたい」と話しています。
また、厚労省は、この日の厚労委で、臓器移植を希望する患者が、手術を受けるために登録する施設を複数にする方向で検討を進めると明らかにしました。優先順位の高い患者への移植が、手術の態勢が組めないなどの施設側の事情で見送られるのを防ぐのが目的。
厚労省によると、患者が手術実施施設として登録できるのは、心臓や肺、肝臓、膵臓、小腸が1カ所で、腎臓は2カ所。登録数は関係学会が決めます。JOTは症状や年齢などを考慮し、優先順位の高い患者からあっせんします。
複数の病院に登録できれば、施設側に実施できない事情があっても、順番通りに手術が受けられる可能性が高くなります。厚労省は2023年以降の移植の見送り件数や理由をJOTに報告するよう求めており、結果を踏まえて学会に働き掛けるといいます。
2024年6月19日(水)
■第一三共mRNAワクチン、厚労省の支援事業に採択 [健康ダイジェスト]
第一三共は18日、開発中のワクチンが厚生労働省の「ワクチン大規模臨床試験等事業」に採択されたと発表しました。将来のパンデミック(世界的な大流行)に備えワクチンを開発する企業に対する支援事業で、第一三共は国際臨床試験(治験)の経費について支援を受けることができます。
第一三共はインフルエンザ向けメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンと、季節性インフルエンザと新型コロナウイルスの混合mRNAワクチンの2種類を開発しています。
同社は新型コロナで培ったmRNA技術を活用し、将来のパンデミックに備え早期開発と供給体制の構築を目指します。
2024年6月19日(水)
第一三共はインフルエンザ向けメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンと、季節性インフルエンザと新型コロナウイルスの混合mRNAワクチンの2種類を開発しています。
同社は新型コロナで培ったmRNA技術を活用し、将来のパンデミックに備え早期開発と供給体制の構築を目指します。
2024年6月19日(水)
■旧大口病院患者殺害、元看護師に1審に続き無期懲役 東京高裁 [健康ダイジェスト]
横浜市の病院で入院患者3人の点滴に消毒液を混入して殺害した罪などに問われた元看護師に対し、東京高等裁判所は1審に続き無期懲役を言い渡しました。
横浜市神奈川区の旧「大口病院」の元看護師、久保木愛弓被告(37)は、8年前の2016年9月、70歳代から80歳代の入院患者3人の点滴に消毒液を混入し、殺害した罪などに問われています。
1審の横浜地方裁判所は3年前、起訴された内容を認定した上で、「立ち直りの可能性が認められる」などとして無期懲役を言い渡し、検察と弁護側の双方が控訴していました。
19日の判決で、東京高等裁判所の三浦透裁判長は、久保木元看護師に対し、1審に続いて無期懲役を言い渡しました。
これまでの裁判では、久保木元看護師の責任能力と刑の重さが争点となっていました。
1審の横浜地方裁判所は、久保木元看護師の当時の精神状態について「自閉スペクトラム症の特性を有し、うつ状態と認められるが、完全責任能力があった」と判断し、責任能力が限定的だったとする弁護側の主張を退けました。
一方で、刑の重さについては「患者が亡くなった際に家族にどなられて強い恐怖を感じた。ストレスをため込み、一時的な不安軽減のため、患者を消し去るほかないと考えた。こうした動機の形成過程は被告のために考えるべき事情と言える。立ち直りの可能性もあり、死刑を選択するのはちゅうちょを感じざるをえない」として、無期懲役を言い渡しました。
検察と弁護側の双方が控訴し、2審で検察は「3人を殺害した事件であり、死刑を回避すべき事情はない」などと主張したのに対し、弁護側は死刑にすべきではないと主張していました。
久保木愛弓被告は、神奈川県秦野市の県立高校を卒業後、看護の専門学校に通い、2008年に看護師の免許を取りました。
1審の裁判では、看護師のイメージについて「患者の近くに寄り添い、不安や苦痛を取り除く素晴らしい仕事だと思いました」と述べていました。
1審判決によりますと、免許を取った後に旧大口病院とは別の病院のリハビリ病棟や老人保健施設などに勤めましたが、患者が亡くなった際に同僚の看護師が遺族から責められているのを見てショックを受けるなどし、その後、抑うつ状態と診断されました。
勤め先を辞め、事件が発覚する前の年の2015年に旧「大口病院」に採用されました。
およそ1年後、夜勤中に救命措置をとった患者が亡くなる出来事があり、遺族から「看護師に殺された」などと、どなられることがあったということです。
これを切っ掛けに、自分が勤務していない時間帯に患者が亡くなれば、患者の家族から責められるリスクが減ると考えるようになったと、1審判決は認定しました。
1審の審理の最後、久保木元看護師は「身勝手な理由で大切な家族を奪ってしまい、申し訳なく思っています。死んで償いたいと思います」と述べていました。
2024年6月19日(水)
横浜市神奈川区の旧「大口病院」の元看護師、久保木愛弓被告(37)は、8年前の2016年9月、70歳代から80歳代の入院患者3人の点滴に消毒液を混入し、殺害した罪などに問われています。
1審の横浜地方裁判所は3年前、起訴された内容を認定した上で、「立ち直りの可能性が認められる」などとして無期懲役を言い渡し、検察と弁護側の双方が控訴していました。
19日の判決で、東京高等裁判所の三浦透裁判長は、久保木元看護師に対し、1審に続いて無期懲役を言い渡しました。
これまでの裁判では、久保木元看護師の責任能力と刑の重さが争点となっていました。
1審の横浜地方裁判所は、久保木元看護師の当時の精神状態について「自閉スペクトラム症の特性を有し、うつ状態と認められるが、完全責任能力があった」と判断し、責任能力が限定的だったとする弁護側の主張を退けました。
一方で、刑の重さについては「患者が亡くなった際に家族にどなられて強い恐怖を感じた。ストレスをため込み、一時的な不安軽減のため、患者を消し去るほかないと考えた。こうした動機の形成過程は被告のために考えるべき事情と言える。立ち直りの可能性もあり、死刑を選択するのはちゅうちょを感じざるをえない」として、無期懲役を言い渡しました。
検察と弁護側の双方が控訴し、2審で検察は「3人を殺害した事件であり、死刑を回避すべき事情はない」などと主張したのに対し、弁護側は死刑にすべきではないと主張していました。
久保木愛弓被告は、神奈川県秦野市の県立高校を卒業後、看護の専門学校に通い、2008年に看護師の免許を取りました。
1審の裁判では、看護師のイメージについて「患者の近くに寄り添い、不安や苦痛を取り除く素晴らしい仕事だと思いました」と述べていました。
1審判決によりますと、免許を取った後に旧大口病院とは別の病院のリハビリ病棟や老人保健施設などに勤めましたが、患者が亡くなった際に同僚の看護師が遺族から責められているのを見てショックを受けるなどし、その後、抑うつ状態と診断されました。
勤め先を辞め、事件が発覚する前の年の2015年に旧「大口病院」に採用されました。
およそ1年後、夜勤中に救命措置をとった患者が亡くなる出来事があり、遺族から「看護師に殺された」などと、どなられることがあったということです。
これを切っ掛けに、自分が勤務していない時間帯に患者が亡くなれば、患者の家族から責められるリスクが減ると考えるようになったと、1審判決は認定しました。
1審の審理の最後、久保木元看護師は「身勝手な理由で大切な家族を奪ってしまい、申し訳なく思っています。死んで償いたいと思います」と述べていました。
2024年6月19日(水)
■改正地方自治法成立、感染症の大流行など発生時に国が指示可能に [健康ダイジェスト]
感染症の大流行や大規模災害などが発生した場合に国が自治体に必要な指示ができる特例を盛り込んだ、改正地方自治法が、19日の参議院本会議で賛成多数で可決・成立しました。
改正地方自治法は、2020年にクルーズ船で新型コロナの集団感染が発生した際、国の権限が明確でなかったことから、自治体をまたぐ患者の移送の調整に時間がかかったことなどを踏まえたものです。
改正法には、感染症の大流行や大規模災害など国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合、個別の法律に規定がなくても国が自治体に必要な指示ができるとした特例が盛り込まれています。
指示を行う際はあらかじめ国が自治体に意見の提出を求める努力をしなければならないとしています。
衆議院の審議では、国の指示が適切だったか検証する必要があるとして、国会への事後報告を義務付ける規定を設ける修正が行われました。
19日は参議院本会議での採決の結果、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。立憲民主党と共産党などは反対しました。
改正法は一部を除き9月に施行されます。
2024年6月19日(水)
改正地方自治法は、2020年にクルーズ船で新型コロナの集団感染が発生した際、国の権限が明確でなかったことから、自治体をまたぐ患者の移送の調整に時間がかかったことなどを踏まえたものです。
改正法には、感染症の大流行や大規模災害など国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合、個別の法律に規定がなくても国が自治体に必要な指示ができるとした特例が盛り込まれています。
指示を行う際はあらかじめ国が自治体に意見の提出を求める努力をしなければならないとしています。
衆議院の審議では、国の指示が適切だったか検証する必要があるとして、国会への事後報告を義務付ける規定を設ける修正が行われました。
19日は参議院本会議での採決の結果、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。立憲民主党と共産党などは反対しました。
改正法は一部を除き9月に施行されます。
2024年6月19日(水)