■アメリカの酪農場で鳥インフルエンザ感染拡大 政府への反感が大流行の原因にも [健康ダイジェスト]
アメリカの酪農場で春先から高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1型に感染した乳牛や労働者の報告が相次ぎ、ジョー・バイデン政権は今月、ワクチン開発を支援するためアメリカのモデルナ社に1億7600万ドル(約268億円)を拠出すると発表しました。新たなパンデミック(世界的大流行)への備えですが、人への感染拡大の実態を把握するためのアメリカ政府主導の調査には「障壁」があり、十分に進んでいません。
アメリカでは今年3月以降、12州で乳牛など家畜の感染が確認されました。アメリカ疾病対策センター(CDC)は5月、南部テキサス州の酪農場で、乳牛との接触で感染したとみられる労働者が確認されたと発表。「人以外の哺乳類から人に感染した世界初の報告例」とみられています。
乳牛が感染した酪農場での患者は、その後も中西部ミシガン州で2人、西部コロラド州で1人がそれぞれ確認され、7月8日時点で計4人となりました。いずれも軽症で、抗ウイルス薬の服用などで回復しています。
ウイルスがパンデミックを起こすには、①人に簡単に感染する能力を獲得すること②人から人へ簡単に感染すること③重大な病気を引き起こすこと-が必要とされます。
パンデミック発生時に人にどんな症状が現れるかは不明です。感染牛の死亡例は少なくなっています。ただ、ウイルスに汚染された生乳を飲んだ畜舎の猫の中には、失明や脳腫脹(しゅちょう)に苦しみ、死亡したケースがありました。また、マウスを使った実験では、呼吸器でウイルスが検出される度合いが高かったといいます。
これまでの感染者は酪農関係者。CDCは「現時点で一般の人の感染リスクは低い」としているものの、感染した動物や乳、ふんなどに触れる場合はリスクが大きくなると注意を喚起しました。
人への感染は報告された以上に広がっている可能性があります。無症状で感染に気付かないケースが想定されるものの、各州で「病気の牛に接触した人の検査はほとんど行われていない」ためです。
アメリカの公衆衛生対応で中心的な役割を担うのは州や地方レベルの政府。連邦レベルで義務付けられているのは現在、州境を越えて移動する牛の検査だけだといいます。
CDCは人の感染実態を把握するため、農務省と連携し、酪農場に調査協力を求めています。ただ、科学ジャーナリストのマギー・フォックス氏は「成功例は限られている」と指摘します。6月2日付のアメリカの科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」(電子版)に寄せた論考によると、酪農家たちは、ウイルスが見付かった場合の風評被害や、雇用している外国人労働者の不法就労発覚を恐れているようです。
実態把握が遅れる別の要因として、複数の専門家が新型コロナウイルス禍を機に顕著となった「アメリカ政府機関に対する信頼の低下」を指摘しています。
それどころか、殺菌処理をしていない生乳からウイルスが検出されたとして、アメリカ食品医薬品局(FDA)が生乳を避けるよう消費者に呼び掛けた際は、直後に生乳の売り上げが急増するという逆転現象まで起きました。コロナ禍でマスク着用やワクチン接種を推進したアメリカ政府機関やバイデン政権に「反感」を抱いた層が、売り上げを押し上げた可能性があります。
健康志向の強い自然食品愛好家の中には、「生乳が身体によい」という間違った情報を信じ込んでいる人がいます。交流サイトで「鳥インフルエンザにかからないために生乳を飲みましょう」と誤情報を発信するアカウントも少なくありません。CDCの「生乳を飲む人は、口、喉、鼻、肺を通じてウイルスに感染する理論上の可能性がある」という警告は、浸透しづらい状況です。
フォックス氏は先の論考で、「アメリカ人は指図されるのが嫌いで、政府を信用しない人が多い」と解説し、頑迷な態度が「鳥インフルエンザの世界的大流行をもたらすかもしれない」と指摘しました。
2024年7月15日(月)
アメリカでは今年3月以降、12州で乳牛など家畜の感染が確認されました。アメリカ疾病対策センター(CDC)は5月、南部テキサス州の酪農場で、乳牛との接触で感染したとみられる労働者が確認されたと発表。「人以外の哺乳類から人に感染した世界初の報告例」とみられています。
乳牛が感染した酪農場での患者は、その後も中西部ミシガン州で2人、西部コロラド州で1人がそれぞれ確認され、7月8日時点で計4人となりました。いずれも軽症で、抗ウイルス薬の服用などで回復しています。
ウイルスがパンデミックを起こすには、①人に簡単に感染する能力を獲得すること②人から人へ簡単に感染すること③重大な病気を引き起こすこと-が必要とされます。
パンデミック発生時に人にどんな症状が現れるかは不明です。感染牛の死亡例は少なくなっています。ただ、ウイルスに汚染された生乳を飲んだ畜舎の猫の中には、失明や脳腫脹(しゅちょう)に苦しみ、死亡したケースがありました。また、マウスを使った実験では、呼吸器でウイルスが検出される度合いが高かったといいます。
これまでの感染者は酪農関係者。CDCは「現時点で一般の人の感染リスクは低い」としているものの、感染した動物や乳、ふんなどに触れる場合はリスクが大きくなると注意を喚起しました。
人への感染は報告された以上に広がっている可能性があります。無症状で感染に気付かないケースが想定されるものの、各州で「病気の牛に接触した人の検査はほとんど行われていない」ためです。
アメリカの公衆衛生対応で中心的な役割を担うのは州や地方レベルの政府。連邦レベルで義務付けられているのは現在、州境を越えて移動する牛の検査だけだといいます。
CDCは人の感染実態を把握するため、農務省と連携し、酪農場に調査協力を求めています。ただ、科学ジャーナリストのマギー・フォックス氏は「成功例は限られている」と指摘します。6月2日付のアメリカの科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」(電子版)に寄せた論考によると、酪農家たちは、ウイルスが見付かった場合の風評被害や、雇用している外国人労働者の不法就労発覚を恐れているようです。
実態把握が遅れる別の要因として、複数の専門家が新型コロナウイルス禍を機に顕著となった「アメリカ政府機関に対する信頼の低下」を指摘しています。
それどころか、殺菌処理をしていない生乳からウイルスが検出されたとして、アメリカ食品医薬品局(FDA)が生乳を避けるよう消費者に呼び掛けた際は、直後に生乳の売り上げが急増するという逆転現象まで起きました。コロナ禍でマスク着用やワクチン接種を推進したアメリカ政府機関やバイデン政権に「反感」を抱いた層が、売り上げを押し上げた可能性があります。
健康志向の強い自然食品愛好家の中には、「生乳が身体によい」という間違った情報を信じ込んでいる人がいます。交流サイトで「鳥インフルエンザにかからないために生乳を飲みましょう」と誤情報を発信するアカウントも少なくありません。CDCの「生乳を飲む人は、口、喉、鼻、肺を通じてウイルスに感染する理論上の可能性がある」という警告は、浸透しづらい状況です。
フォックス氏は先の論考で、「アメリカ人は指図されるのが嫌いで、政府を信用しない人が多い」と解説し、頑迷な態度が「鳥インフルエンザの世界的大流行をもたらすかもしれない」と指摘しました。
2024年7月15日(月)
■診療報酬の請求で違法な助言 訪問看護巡り東京都の法人 [健康ダイジェスト]
障害福祉サービス事業者を主な対象に経営コンサルタント事業を手がける一般社団法人「介護福祉サポート協会」(東京都港区)が、コンサルタント契約を結んだ訪問看護事業者に対し、法令違反となる診療報酬の請求を助言していたことが14日、わかりました。同協会がコンサルタント先に示した資料をマスコミが入手しました。
訪問看護を巡っては、一部の事業者で不正・過剰な診療報酬の請求が指摘されています。こうしたコンサルタントのアドバイスを受けている例もあり、対策が求められそうです。
同協会の佐藤国英代表理事(64)によると、開業を支援した訪問看護や障害者向けグループホームなどの事業者は全国で約300。ウェブサイトでは、コンサルタント先が運営する障害者向けグループホームは2021年時点で約1000カ所あるとしています。
佐藤代表理事は約10の会社や法人で代表を務めており、自身でも精神科の訪問看護ステーションなど約70カ所を各地で運営。取材に対し「(コンサルタント先への)説明が間違っているなら、スタッフの確認不足だと思うので、すぐに訂正する。自分の会社では適正にやっている」としています。
2024年7月15日(月)
訪問看護を巡っては、一部の事業者で不正・過剰な診療報酬の請求が指摘されています。こうしたコンサルタントのアドバイスを受けている例もあり、対策が求められそうです。
同協会の佐藤国英代表理事(64)によると、開業を支援した訪問看護や障害者向けグループホームなどの事業者は全国で約300。ウェブサイトでは、コンサルタント先が運営する障害者向けグループホームは2021年時点で約1000カ所あるとしています。
佐藤代表理事は約10の会社や法人で代表を務めており、自身でも精神科の訪問看護ステーションなど約70カ所を各地で運営。取材に対し「(コンサルタント先への)説明が間違っているなら、スタッフの確認不足だと思うので、すぐに訂正する。自分の会社では適正にやっている」としています。
2024年7月15日(月)
■2035年度に「60~66%削減」軸に検討へ 温室効果ガス排出削減、新目標で政 [健康ダイジェスト]
温室効果ガス排出削減の新たな目標を巡り、政府が2035年度に2013年度比「60~66%削減」を軸に検討を進める方向であることが14日、明らかになりました。産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える国際枠組み「パリ協定」の実現に向け、ヨーロッパはより高い目標を掲げており、日本もこの軸からどれだけ上積みできるかが焦点になります。今年も各地で猛暑、真夏日を記録する中、温暖化対策の強化は待ったなしの状況です。
現在の目標は2030年度に2013年度比「46%削減」。環境省は今年4月、森林吸収などを差し引いた2022年度の実質的な排出量は過去最少となり、2013年度比「22・9%削減」になったと発表。パリ協定のもと、政府が目指す2050年の実質排出ゼロに向けて「順調に減少」と評価しました。
このペースで削減していくと、2035年度時点では約60%となり、新たな削減目標のベースになるとの見方が政府内で強くなっています。
一方、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、パリ協定の目標実現には2019年度比で60%削減が必要と指摘。日本が基準とする2013年度比では66%となります。
2024年7月15日(月)
現在の目標は2030年度に2013年度比「46%削減」。環境省は今年4月、森林吸収などを差し引いた2022年度の実質的な排出量は過去最少となり、2013年度比「22・9%削減」になったと発表。パリ協定のもと、政府が目指す2050年の実質排出ゼロに向けて「順調に減少」と評価しました。
このペースで削減していくと、2035年度時点では約60%となり、新たな削減目標のベースになるとの見方が政府内で強くなっています。
一方、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、パリ協定の目標実現には2019年度比で60%削減が必要と指摘。日本が基準とする2013年度比では66%となります。
2024年7月15日(月)
■健康と要介護の中間「フレイル」をAIが早期発見、自宅の電気使用量を分析 群馬県安中市が導入 [健康ダイジェスト]
群馬県安中市は、加齢で心身が衰えて「健康」と「要介護」の中間の状態「フレイル」に陥っているかどうかをAI(人工知能)が早期発見するサービスを、7月から県内で初めて実施しています。
導入したのは、中部電力のサービス「eフレイルナビ」。対象者の自宅の電気使用量を同社が30分ごとに測り、AIが分析してフレイルの可能性があるかどうかを判定します。
市によると、フレイルになると自宅にこもりがちになり、消費電力が一定になる傾向があるといいます。eフレイルナビは、AIが使用電力から外出回数や睡眠時間なども分析します。
市は分析結果を利用者に伝え、フレイルと判定されたら職員が訪問して体力測定を行うなど、健康状態の改善を助言します。市によると、このサービスを導入した長野県松本市などでは、住民の意識向上につながり、運動などの予防に取り組む人が増えたといいます。
安中市は事業費184万円を今年度予算に計上。利用者は無料でサービスを受けられます。6月21日の記者会見で、大谷雄一保健福祉部長は「フレイルかどうかを早期に気付いて対策を取り、健康寿命を延ばす切っ掛けにしてほしい」と話しました。
対象は一人暮らしの65歳以上で、要介護認定を受けていないなどの条件を満たした先着100人。希望者は、市役所か松井田支所に必要書類を持参して申し込みます。市高齢者支援課の佐藤美佳主査は、「今は不要と思っても、いつフレイルになるかわからない。元気なうちに申し込んで、早期発見につなげてほしい」と話しています。
2024年7月15日(月)
導入したのは、中部電力のサービス「eフレイルナビ」。対象者の自宅の電気使用量を同社が30分ごとに測り、AIが分析してフレイルの可能性があるかどうかを判定します。
市によると、フレイルになると自宅にこもりがちになり、消費電力が一定になる傾向があるといいます。eフレイルナビは、AIが使用電力から外出回数や睡眠時間なども分析します。
市は分析結果を利用者に伝え、フレイルと判定されたら職員が訪問して体力測定を行うなど、健康状態の改善を助言します。市によると、このサービスを導入した長野県松本市などでは、住民の意識向上につながり、運動などの予防に取り組む人が増えたといいます。
安中市は事業費184万円を今年度予算に計上。利用者は無料でサービスを受けられます。6月21日の記者会見で、大谷雄一保健福祉部長は「フレイルかどうかを早期に気付いて対策を取り、健康寿命を延ばす切っ掛けにしてほしい」と話しました。
対象は一人暮らしの65歳以上で、要介護認定を受けていないなどの条件を満たした先着100人。希望者は、市役所か松井田支所に必要書類を持参して申し込みます。市高齢者支援課の佐藤美佳主査は、「今は不要と思っても、いつフレイルになるかわからない。元気なうちに申し込んで、早期発見につなげてほしい」と話しています。
2024年7月15日(月)