■アフリカ向け医療機器の開発へ、まず日本企業2社を支援 現地ニーズ把握し成長市場への進出を後押し [健康ダイジェスト]
政府は、アフリカ向け医療機器の実用化を目指し、日本メーカーに対する開発支援に乗り出します。公衆衛生上の課題解決などに貢献できるよう、現地ニーズに合った製品づくりを進めます。経済成長が著しい市場への進出を後押しするとともに、新興・途上国の人たちに適切な医療が届くようにします。2024年度からメーカー2社を4年間程度支援し、2025年度にも、2社程度を追加する方針です。
開発支援では、日本メーカーの担当者が現地の病院を訪問し、医療現場の視察や医師らへのヒアリングを通して、アフリカ特有の課題やニーズを把握してもらいます。専門家らを交えた意見交換会なども実施します。この結果を踏まえ、製品開発に着手し、試作品を現場で使ってもらいながら改良を重ねて実用化につなげます。
開発サポート機関としては、東京大が参画します。医学や工学などの専門家チームが試作品の開発や事業戦略の策定、訪問先の調整などを支援します。厚生労働省は、現地の保健省や規制当局と連携します。
第1弾となる支援企業には、東京都内の医療機器メーカーと慶応大発のベンチャー(新興企業)が公募で選ばれました。この医療機器メーカーは、西アフリカ地域で主にみられる皮膚病の治療機器を開発する計画です。
日本の医療機器産業は2022年の貿易収支が約1・8兆円の赤字となっています。欧米企業との競争が激しく、放射線治療装置などで市場を奪われています。国連によると、2022年のアフリカの人口は約14億人で、2050年までに約25億人に急増し、世界の4分の1を占めると予測されています。経済成長が著しく、「最後のフロンティア」とも呼ばれる市場を開拓することで、産業競争力を高める狙いがあります。
日本メーカーは内視鏡やMRI、CTなどの画像診断装置に強みを持つものの、アフリカ市場への参入には難しさもあります。電力や上下水道などのインフラ整備は途上で、日本向けの高機能で高価格な製品はマッチしないケースも多いからです。このため、現地ニーズに合った製品をいかに開発できるかがカギとなります。
一方、アフリカは乳幼児や妊産婦の死亡率が高く、マラリアは2022年に50万人以上が死亡し、エイズ、結核が流行するなど、公衆衛生上の問題を抱えています。厚労省は「先行する海外製品との差別化を図る。まずは2社を支援してアフリカ進出の足掛かりにし、日本の国際貢献にもつなげていきたい」としています。
2024年9月1日(日)
開発支援では、日本メーカーの担当者が現地の病院を訪問し、医療現場の視察や医師らへのヒアリングを通して、アフリカ特有の課題やニーズを把握してもらいます。専門家らを交えた意見交換会なども実施します。この結果を踏まえ、製品開発に着手し、試作品を現場で使ってもらいながら改良を重ねて実用化につなげます。
開発サポート機関としては、東京大が参画します。医学や工学などの専門家チームが試作品の開発や事業戦略の策定、訪問先の調整などを支援します。厚生労働省は、現地の保健省や規制当局と連携します。
第1弾となる支援企業には、東京都内の医療機器メーカーと慶応大発のベンチャー(新興企業)が公募で選ばれました。この医療機器メーカーは、西アフリカ地域で主にみられる皮膚病の治療機器を開発する計画です。
日本の医療機器産業は2022年の貿易収支が約1・8兆円の赤字となっています。欧米企業との競争が激しく、放射線治療装置などで市場を奪われています。国連によると、2022年のアフリカの人口は約14億人で、2050年までに約25億人に急増し、世界の4分の1を占めると予測されています。経済成長が著しく、「最後のフロンティア」とも呼ばれる市場を開拓することで、産業競争力を高める狙いがあります。
日本メーカーは内視鏡やMRI、CTなどの画像診断装置に強みを持つものの、アフリカ市場への参入には難しさもあります。電力や上下水道などのインフラ整備は途上で、日本向けの高機能で高価格な製品はマッチしないケースも多いからです。このため、現地ニーズに合った製品をいかに開発できるかがカギとなります。
一方、アフリカは乳幼児や妊産婦の死亡率が高く、マラリアは2022年に50万人以上が死亡し、エイズ、結核が流行するなど、公衆衛生上の問題を抱えています。厚労省は「先行する海外製品との差別化を図る。まずは2社を支援してアフリカ進出の足掛かりにし、日本の国際貢献にもつなげていきたい」としています。
2024年9月1日(日)
■実用化済みの抗がん剤、がん細胞で働きやすく 東北大が構造を改良 [健康ダイジェスト]
東北大学の小関良卓助教や笠井均教授らは実用化済みの抗がん剤の構造を改良し、がん細胞で働きやすくしました。がん細胞が多く含む物質が作用すると、構造が変わって効果を発揮します。がんの成長を抑える効果が既存薬よりも高いことを動物実験で確認しました。今後は安全性の検証を進めて臨床試験につなげ、副作用の少ない抗がん剤の実用化を目指します。
抗がん作用を持つ物質「SN-38」を改良しました。この物質は細胞がDNAを複製するのを邪魔して細胞分裂を抑えます。そのままの構造では水に溶けにくく薬として使いづらいため、構造を一部変えた成分「イリノテカン」が薬剤として使われています。肝臓の酵素が作用すると働き始める仕組みです。
ただ、がん細胞以外への作用を十分抑えられず、下痢などの強い副作用が起きることがあります。研究チームはがん細胞がグルタチオンという抗酸化物質を多く持つことに着目しました。2つのSN-38を化学結合でつなぎ、グルタチオンが作用すると結合が切れて働き始めるようにしました。がんを持つマウスにこの成分を投与すると、イリノテカンを与えるよりもがんの増殖を抑えられた。深刻な毒性などもみられませんでした。
グルタチオンは血中にはごくわずかしか存在しません。新成分を投与すると血中にはSN-38がほとんどできず、がん細胞で多く生じるので副作用を抑えやすいとみています。グルタチオンをあまり含まないがん細胞もあるものの、平均的には正常な細胞よりも多く含むといいます。
今後は新成分を医薬品に求められる品質で作製した上で安全性などを改めて検証し、早ければ5〜10年後をめどに臨床試験の開始を目指します。
研究成果をまとめた論文がイギリスの科学誌「ナノスケール」に掲載されました。
2024年9月1日(日)
抗がん作用を持つ物質「SN-38」を改良しました。この物質は細胞がDNAを複製するのを邪魔して細胞分裂を抑えます。そのままの構造では水に溶けにくく薬として使いづらいため、構造を一部変えた成分「イリノテカン」が薬剤として使われています。肝臓の酵素が作用すると働き始める仕組みです。
ただ、がん細胞以外への作用を十分抑えられず、下痢などの強い副作用が起きることがあります。研究チームはがん細胞がグルタチオンという抗酸化物質を多く持つことに着目しました。2つのSN-38を化学結合でつなぎ、グルタチオンが作用すると結合が切れて働き始めるようにしました。がんを持つマウスにこの成分を投与すると、イリノテカンを与えるよりもがんの増殖を抑えられた。深刻な毒性などもみられませんでした。
グルタチオンは血中にはごくわずかしか存在しません。新成分を投与すると血中にはSN-38がほとんどできず、がん細胞で多く生じるので副作用を抑えやすいとみています。グルタチオンをあまり含まないがん細胞もあるものの、平均的には正常な細胞よりも多く含むといいます。
今後は新成分を医薬品に求められる品質で作製した上で安全性などを改めて検証し、早ければ5〜10年後をめどに臨床試験の開始を目指します。
研究成果をまとめた論文がイギリスの科学誌「ナノスケール」に掲載されました。
2024年9月1日(日)
■房総沖の海域に年間2・8万トンの微小プラスチック流入 海洋研究開発機構が分析 [健康ダイジェスト]
海洋に流出したプラスチックごみが波などの作用で壊れて直径5ミリ以下になった「マイクロプラスチック」が、千葉県の房総半島沖の水深4900メートルの海域に年間2・8万トン流れ込んでいるとの分析を海洋研究開発機構のチームがまとめました。この海域は東南アジアなどで発生したプラスチックごみが黒潮に乗って運ばれ、集積地になっていると考えられます。
黒潮は親潮とぶつかり、房総半島沖付近で進路を東に変えます。チームが分析したのはこの進路の南側で、渦が頻繁に発生する「黒潮続流再循環域」。この海域にある水深4900メートルの観測地点に、プランクトンの死骸やふんなどが集まり、雪のように海中を沈降する「マリンスノー」を捕集する容器を設置。2014~2016年に集めた試料を分析しました。
すべての試料に微小プラスチックが含まれ、ポリエチレンやポリプロピレンなど17種類の素材を確認。1日の沈降量は1平方メートル当たり平均352個で、年間20ミリグラム、海域全体では年間2・8万トンと推計しました。
河川から海に流出する世界全体のプラごみの大部分は、東アジアや東南アジア由来とされます。
2024年9月1日(日)
黒潮は親潮とぶつかり、房総半島沖付近で進路を東に変えます。チームが分析したのはこの進路の南側で、渦が頻繁に発生する「黒潮続流再循環域」。この海域にある水深4900メートルの観測地点に、プランクトンの死骸やふんなどが集まり、雪のように海中を沈降する「マリンスノー」を捕集する容器を設置。2014~2016年に集めた試料を分析しました。
すべての試料に微小プラスチックが含まれ、ポリエチレンやポリプロピレンなど17種類の素材を確認。1日の沈降量は1平方メートル当たり平均352個で、年間20ミリグラム、海域全体では年間2・8万トンと推計しました。
河川から海に流出する世界全体のプラごみの大部分は、東アジアや東南アジア由来とされます。
2024年9月1日(日)
■主治医が薬の処方を失念して入院の男性死亡 千葉県循環器病センター、遺族と和解成立し公表 [健康ダイジェスト]
千葉県は8月30日、市原市にある千葉県循環器病センターで2022年2月、入院中の70歳代男性に血栓予防の抗凝固薬を処方し忘れ、男性が死亡する医療事故があったと発表しました。外部の有識者を招いた事故調査委員会の調査が終了し、遺族との和解が成立したため、詳細を公表しました。
同センターによると、男性は県内在住で、心不全や不整脈の持病がありました。2022年2月、呼吸苦でセンターに救急搬送され、集中治療室に緊急入院しました。その際、主治医は抗凝固薬「リクシアナ」の内服を中断し、注射用の抗凝固薬「ヘパリン」の点滴に切り替えました。
治療で症状が改善し、男性は入院4日目に一般病棟に移りました。この時にヘパリンの点滴は終了しましたが、主治医がリクシアナの再開を失念し、処方しませんでした。
男性は入院11日目、血栓が脳血管に詰まる心原性脳梗塞(こうそく)を発症。大脳機能に障害が起きて死亡しました。
事故調査委員会は調査報告書で、「抗凝固薬の中断が脳梗塞の発症に影響した可能性がある」としています。主治医は、心臓に関係した症状のある患者を10人以上担当し、多忙でした。看護師や薬剤師らが再開の手立てを講じることもできませんでした。
センターは再発防止のため、電子カルテに抗凝固薬の内服状況を入力するチェックリストを設け、看護師が情報を記入する、入院患者が病棟を移動する際はチェックリストを移動先の看護師に引き継ぐ、といった運用を始めています。医師以外の医療従事者が内服状況を共有するためです。
センターの中村精岳病院長は、「患者や家族に申し訳ない。今後は医師や薬剤師、看護師などで薬の服用状況を共有する体制をつくるなどして、再発防止に努めたい」と述べました。
2024年9月1日(日)
同センターによると、男性は県内在住で、心不全や不整脈の持病がありました。2022年2月、呼吸苦でセンターに救急搬送され、集中治療室に緊急入院しました。その際、主治医は抗凝固薬「リクシアナ」の内服を中断し、注射用の抗凝固薬「ヘパリン」の点滴に切り替えました。
治療で症状が改善し、男性は入院4日目に一般病棟に移りました。この時にヘパリンの点滴は終了しましたが、主治医がリクシアナの再開を失念し、処方しませんでした。
男性は入院11日目、血栓が脳血管に詰まる心原性脳梗塞(こうそく)を発症。大脳機能に障害が起きて死亡しました。
事故調査委員会は調査報告書で、「抗凝固薬の中断が脳梗塞の発症に影響した可能性がある」としています。主治医は、心臓に関係した症状のある患者を10人以上担当し、多忙でした。看護師や薬剤師らが再開の手立てを講じることもできませんでした。
センターは再発防止のため、電子カルテに抗凝固薬の内服状況を入力するチェックリストを設け、看護師が情報を記入する、入院患者が病棟を移動する際はチェックリストを移動先の看護師に引き継ぐ、といった運用を始めています。医師以外の医療従事者が内服状況を共有するためです。
センターの中村精岳病院長は、「患者や家族に申し訳ない。今後は医師や薬剤師、看護師などで薬の服用状況を共有する体制をつくるなどして、再発防止に努めたい」と述べました。
2024年9月1日(日)