■哺乳類、お尻からも呼吸可能 武部教授らイグ・ノーベル賞、日本人受賞は18年連続 [健康ダイジェスト]
ノーベル賞のパロディーで、人を笑わせ、そして考えさせる研究に贈られるイグ・ノーベル賞の今年の受賞者がアメリカのマサチューセッツ工科大で12日発表され、東京医科歯科大の武部貴則教授(37)のチームが生理学賞に選ばれました。哺乳類がお尻からも呼吸できることを発見。肺機能が低下した患者に腸経由で酸素を補い、症状を緩和することを目指した臨床試験が始まっています。
日本人の受賞は18年連続。武部教授は取材に対し、「呼吸に苦しむ患者さんの役に立つ日が早く来るよう、心を新たにまい進したい」と語りました。
研究は、ドジョウが泥の中など低酸素環境では腸でも呼吸できるようになることから着想しました。呼吸不全のブタやマウスに対し、多量の酸素を溶かし込んだ液体をお尻から投与すると血中の酸素が増えることを発見。研究の論文は3年前の2021年、新型コロナウイルスの感染拡大によって各地の医療機関で重い肺炎の患者が相次ぐ中、発表しました。
お尻からの呼吸で肺の機能を完全に肩代わりするのは難しいものの、出生時に呼吸が十分にできない赤ちゃんへの一時的な酸素供給手段になる可能性があり、呼吸不全の新たな治療法として、実用化に向けた研究は現在も進められていて、今年6月には武部教授が創業したベンチャー企業などが人での安全性などを確認する臨床試験を始めています。
武部教授は、「受賞の一報を聞いた時は複雑な心境でしたが、『人を笑わせ、考えさせる研究』という主催者の哲学を知り、感動しました。人工呼吸器を使うのが難しい患者などへの新たな治療法になる可能性があり、遅くとも4年後の2028年には医療機器としての実用化を目指したいです」と話していました。
2024年9月13日(金)
日本人の受賞は18年連続。武部教授は取材に対し、「呼吸に苦しむ患者さんの役に立つ日が早く来るよう、心を新たにまい進したい」と語りました。
研究は、ドジョウが泥の中など低酸素環境では腸でも呼吸できるようになることから着想しました。呼吸不全のブタやマウスに対し、多量の酸素を溶かし込んだ液体をお尻から投与すると血中の酸素が増えることを発見。研究の論文は3年前の2021年、新型コロナウイルスの感染拡大によって各地の医療機関で重い肺炎の患者が相次ぐ中、発表しました。
お尻からの呼吸で肺の機能を完全に肩代わりするのは難しいものの、出生時に呼吸が十分にできない赤ちゃんへの一時的な酸素供給手段になる可能性があり、呼吸不全の新たな治療法として、実用化に向けた研究は現在も進められていて、今年6月には武部教授が創業したベンチャー企業などが人での安全性などを確認する臨床試験を始めています。
武部教授は、「受賞の一報を聞いた時は複雑な心境でしたが、『人を笑わせ、考えさせる研究』という主催者の哲学を知り、感動しました。人工呼吸器を使うのが難しい患者などへの新たな治療法になる可能性があり、遅くとも4年後の2028年には医療機器としての実用化を目指したいです」と話していました。
2024年9月13日(金)
■東京湾に漂う微小プラスチック25トンに上る 東京海洋大「近海の中でも特に高濃度」 [健康ダイジェスト]
東京湾の海面や海中を漂う直径5ミリ以下の「マイクロプラスチック」は25トンに上るとの推計を、東京海洋大の荒川久幸教授(環境測定学)らのチームが13日までに、
国際科学誌に発表しました。海面付近には1立方メートル当たり6000個もの微小プラスチックが浮遊。荒川教授は「汚染度が高いとされる日本近海の中でも特に高い濃度だ」と指摘しました。
東京湾周辺の人口は約3000万人。荒川や多摩川などから大量のプラスチックごみが流入しているとみられますが、湾内の微小プラ総量は詳しくわかっていませんでした。
チームは2021年7月、湾内の6地点で調査。海面付近の表層は網目の大きさが350マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と数十マイクロメートルの網を二重にして微小プラスチックを採取し、水深200メートルまでの海中は網目が数十マイクロメートルの網を備えたポンプで採取しました。
350マイクロメートルより大きい微小プラは表層だけで見付かり、1立方メートル当たり平均1・26個。それ以下のものは表層では同6000個余りで、水深2メートル辺りでは同1500個。さらに深い海中では同500個前後でした。これらの濃度から湾全体で25・3トンと推計しました。
河口に近い湾奥部のほか、河川から流れ込む淡水と太平洋からの海水がぶつかる湾中央部で、濃度が特に高くなりました。こうした海域は魚やエビなどの餌となるプランクトンが多く、荒川教授は「微小プラスチックが海洋生物に取り込まれ、成長や繁殖に影響が出ている可能性がある」と述べました。
2024年9月13日(金)
国際科学誌に発表しました。海面付近には1立方メートル当たり6000個もの微小プラスチックが浮遊。荒川教授は「汚染度が高いとされる日本近海の中でも特に高い濃度だ」と指摘しました。
東京湾周辺の人口は約3000万人。荒川や多摩川などから大量のプラスチックごみが流入しているとみられますが、湾内の微小プラ総量は詳しくわかっていませんでした。
チームは2021年7月、湾内の6地点で調査。海面付近の表層は網目の大きさが350マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と数十マイクロメートルの網を二重にして微小プラスチックを採取し、水深200メートルまでの海中は網目が数十マイクロメートルの網を備えたポンプで採取しました。
350マイクロメートルより大きい微小プラは表層だけで見付かり、1立方メートル当たり平均1・26個。それ以下のものは表層では同6000個余りで、水深2メートル辺りでは同1500個。さらに深い海中では同500個前後でした。これらの濃度から湾全体で25・3トンと推計しました。
河口に近い湾奥部のほか、河川から流れ込む淡水と太平洋からの海水がぶつかる湾中央部で、濃度が特に高くなりました。こうした海域は魚やエビなどの餌となるプランクトンが多く、荒川教授は「微小プラスチックが海洋生物に取り込まれ、成長や繁殖に影響が出ている可能性がある」と述べました。
2024年9月13日(金)
■自己増幅型の新型コロナワクチン承認へ、少量接種で免疫が持続 厚労省部会が了承 [健康ダイジェスト]
厚生労働省の専門家部会は12日、製薬会社「Meiji Seika ファルマ」(東京都中央区)が開発した、新型コロナウイルスのオミクロン株の新系統「JN・1」に対応したワクチン「コスタイベ」(商品名)について、製造販売の承認を了承しました。遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」ワクチンを改良した新しいタイプで、少量の接種で効果が長く続く特性があります。
このワクチンのタイプは、レプリコン(自己増幅型)と呼ばれます。mRNAをコピーして増やす「増殖装置」の設計図も成分に組み込むことで、接種からしばらくの間、ウイルスの働きを抑える中和抗体の産生につながるmRNAが体内で増えます。このため、接種量は従来の6分の1から20分の1で済むといいます。
同社が、約830人を対象に行った臨床試験では、接種後1カ月時点で、血液中の中和抗体量は接種前の8倍、半年時点では同4倍でした。海外製の承認済みワクチンと比べて高く、副反応の頻度には違いがみられませんでした。
承認されれば、10月に始まる定期接種用も含めて約430万回分が供給される予定です。
北里大の中山哲夫名誉教授(臨床ウイルス学)は、「ワクチンの選択肢が増えるのは望ましい。新しいタイプであるため、承認された場合は、国や製薬会社は安全性の調査を続け、科学的根拠に基づいた情報を丁寧に発信する必要がある」と話しています。
2024年9月13日(金)
このワクチンのタイプは、レプリコン(自己増幅型)と呼ばれます。mRNAをコピーして増やす「増殖装置」の設計図も成分に組み込むことで、接種からしばらくの間、ウイルスの働きを抑える中和抗体の産生につながるmRNAが体内で増えます。このため、接種量は従来の6分の1から20分の1で済むといいます。
同社が、約830人を対象に行った臨床試験では、接種後1カ月時点で、血液中の中和抗体量は接種前の8倍、半年時点では同4倍でした。海外製の承認済みワクチンと比べて高く、副反応の頻度には違いがみられませんでした。
承認されれば、10月に始まる定期接種用も含めて約430万回分が供給される予定です。
北里大の中山哲夫名誉教授(臨床ウイルス学)は、「ワクチンの選択肢が増えるのは望ましい。新しいタイプであるため、承認された場合は、国や製薬会社は安全性の調査を続け、科学的根拠に基づいた情報を丁寧に発信する必要がある」と話しています。
2024年9月13日(金)