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■遺伝子検査活用し減酒指導、2つの酵素で体質5分類  「有効」と筑波大チーム [健康ダイジェスト]

 「お酒は全く飲めません」「飲むとすぐ顔が赤くなる」「酔いが残りやすい」。こうしたアルコール体質は、主に2つのアルコール分解酵素で決まり、日本人は5種類のタイプに分けられることが知られています。飲みすぎの人に遺伝子情報に基づいた減酒指導をしたところ、飲酒量を減らすことができたとの研究成果を、筑波大のチームが5月、専門誌に発表しました。チームは「個々人の体質を重視した減酒指導が有効である可能性が示された」としています。
 お酒を飲むと、肝臓などでアルコールがアルコール脱水素酵素(ADH1B)により、強い毒性を持つアセトアルデヒドに分解され、これがさらにアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)により無害な酢酸に分解されます。酵素の活性度の組み合わせにより、A型からE型までの5タイプに分類されます。
 A型はADH1Bが低活性でALDH2が活性。アルコールが分解されにくいため、酔いが残り、お酒の快感が持続するタイプ。アルコール依存症になりやすいといいます。
 日本人の半分が該当するB型は両方の酵素が活性で、酒に強く、たくさん飲めるタイプ。一方で、飲めるだけあって、肝臓を壊しやすくなります。
 C型は両方が低活性で、アセトアルデヒドが残り不快症状があるはずですが、アルコールも分解されにくく酔った状態が続き、不快症状に気付きにくくなります。一見お酒に強いが後でつらいといいます。
 日本人の40%を占めるD型はADH1Bが活性、ALDH2が低活性で、アセトアルデヒドが残り顔が赤くなるタイプ。アセトアルデヒドは毒性が強いので、このタイプはC型とともに、食道がんや口腔(こうくう)がんになるリスクが高いことがわかっています。
 E型はALDH2が不活性で、少量のお酒で不快な症状が強く出て全く飲めません。日本人の4%がこのタイプです。
 この分類法は、久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の医師らが2010年代に開発し、専門家の間では受け入れられています。
 筑波大健幸(けんこう)ライフスタイル開発研究センターのチームは、飲みすぎの基準に該当する20~30歳の大学生や職員計約200人を2つのグループに分け、一方のグループに唾液を使う市販のキットでアルコール分解酵素を決める遺伝子の検査をした後、個々人の型に応じた体質やリスクの説明を30分受けてもらいました。
 もう一方のグループには一般的な飲酒の注意点やマナーを説明したパンフレットを配布した。
 3カ月後、遺伝子検査を踏まえた指導を受けたグループでは、他方のグループに比べて、1日当たりビール350ミリリットル缶1本に相当するアルコール量が減少した。6カ月後では、飲んだ日の飲酒量では両者で統計上有意な差はなくなったものの、前者については飲酒頻度と飲みすぎた日の日数を合わせた評価項目で改善が続いていました。
 今年2月に国が公表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、遺伝子によって規定されるアルコール分解酵素の働きの強弱が個人によって大きく異なることが指摘されています。だが、個々人が自分の酵素の働きの違いを知ることで、飲酒量にどのくらい影響があるか調べた研究はほとんどありませんでした。
 研究をまとめた吉本尚・同センター長は、「遺伝子による体質分けは正確で、それを知ることで減酒に役立つことがわかった。今回は遺伝子検査に関心を寄せやすい若者が対象だったが、中高年でも効果があるかどうか確かめたい」と話しています。

 2024年10月15日(火)

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■卵巣予備能検査が一般の不妊治療でも保険適用に 専門家「妊活の目安に」 [健康ダイジェスト]

 結婚の高年齢化に伴い妊娠しにくくなり、不妊治療を受ける人が増えています。卵巣にどれくらい卵子が残っているかを示す卵巣予備能を測る「抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査」が今年6月から一般の不妊治療でも保険適用になり、産婦人科医は「不妊治療をどこまで続けるか、方針決定がしやすくなる」と期待を寄せています。
 女性の卵子は胎児の間に原始卵胞という形で数百万個がつくられ、出生後は減る一方となっています。卵巣の中で待機していた原始卵胞は、思春期以降、定期的に発育して卵子となって排卵されますが、卵巣の中にある特定の時期に分泌されるAMHの濃度を測定することで、卵子がどのくらい残っているかの目安となります。生理の周期などによって増減する卵胞刺激ホルモンとは異なり、卵巣機能を安定的に評価することができるとされます。
 AMH検査は血液を採取し測定しますが、従来は体外受精をする前提としてのみ、保険適用でした。産婦人科クリニックなどからの要望があり、一般的な不妊症の患者に対する卵巣機能の評価や治療方針の決定などに対し、6カ月間で1回に限り保険適用が決まりました。保険適用後のAMH検査の費用は、3割負担で1800円程度です。
 AMHの数値は20歳代で平均4台、30歳代で3〜1台、40歳代では1以下になるものの、個人差が大きいため、厳密なものではありません。だが、産婦人科医によると、AMH値が高いほど採卵できる数が多いといいます。
 保険適用に尽力した絹谷産婦人科(広島市)の絹谷正之院長は、「妊娠を希望する人にとって自分の妊娠可能な残り時間を早めに知ることがとても重要で、少子化対策にもつながると考える」と話しています。

 2024年10月15日(火)

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