■マイナ保険証利用の患者、電子カルテ情報を病院間で共有へ 病歴や検査結果も把握可能に [健康ダイジェスト]
政府は、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を利用する患者の電子カルテ情報について、医療機関同士で共有する新システムの運用を、2025年度に始める方針を固めました。既存のシステムでは確認できない過去の検査結果など詳細な情報を把握できるようになります。医療の安全性の向上や効率化につなげる狙いがあります。
新システムは「電子カルテ情報共有サービス」で、厚生労働省所管の法人が管理します。各医療機関から、電子カルテに記録された病名やアレルギー、感染症と生活習慣病の検査や健診結果、処方薬の情報が集まり、データベースに蓄積されます。データの保存期間は3カ月〜5年間となります。全国の医療機関がデータを閲覧するためには、患者の同意を得る必要があります。
新システムの導入で、救急患者の症状と、データを突き合わせて診断したり、初診患者の検査結果を、過去の数値と比べて病状の変化をみたりすることが可能になります。アレルギー情報は、安全な薬の処方に役立ちます。
医療機関がシステムを通じて、別の医療機関に紹介状を送る機能も備え、患者が紹介状を入手する手間が不要となります。
現在、マイナ保険証で受診する患者については、同意した上で、過去の受診歴や処方薬などの情報を確認できる別のシステムがあります。ただ、何の検査を受けたかはわかっても、結果はわからないなど得られる情報は限られています。
医療機関が新システムに接続するためには、電子カルテの改修が必要となります。厚労省は運用に向けて、改修費の一部を補助しています。2025年初めから全国10カ所で実証事業を行い、安全で有効な使い方や課題を検証し、同年度中の本格稼働を目指します。
政府は、マイナ保険証の利用を基本とする仕組みへの移行を進めており、12月2日、現行の健康保険証の新規発行を停止します。医療機関や薬局でのマイナ保険証の利用率は10月時点で2割弱と低調で、利用促進が課題となっています。
2024年11月30日(土)
新システムは「電子カルテ情報共有サービス」で、厚生労働省所管の法人が管理します。各医療機関から、電子カルテに記録された病名やアレルギー、感染症と生活習慣病の検査や健診結果、処方薬の情報が集まり、データベースに蓄積されます。データの保存期間は3カ月〜5年間となります。全国の医療機関がデータを閲覧するためには、患者の同意を得る必要があります。
新システムの導入で、救急患者の症状と、データを突き合わせて診断したり、初診患者の検査結果を、過去の数値と比べて病状の変化をみたりすることが可能になります。アレルギー情報は、安全な薬の処方に役立ちます。
医療機関がシステムを通じて、別の医療機関に紹介状を送る機能も備え、患者が紹介状を入手する手間が不要となります。
現在、マイナ保険証で受診する患者については、同意した上で、過去の受診歴や処方薬などの情報を確認できる別のシステムがあります。ただ、何の検査を受けたかはわかっても、結果はわからないなど得られる情報は限られています。
医療機関が新システムに接続するためには、電子カルテの改修が必要となります。厚労省は運用に向けて、改修費の一部を補助しています。2025年初めから全国10カ所で実証事業を行い、安全で有効な使い方や課題を検証し、同年度中の本格稼働を目指します。
政府は、マイナ保険証の利用を基本とする仕組みへの移行を進めており、12月2日、現行の健康保険証の新規発行を停止します。医療機関や薬局でのマイナ保険証の利用率は10月時点で2割弱と低調で、利用促進が課題となっています。
2024年11月30日(土)
■血圧測定時にAIで心房細動の発症リスク検知 オムロンヘルスケア [健康ダイジェスト]
医療機器メーカーのオムロンヘルスケア(京都府向日市)は28日、不整脈の一種である心房細動の発症の可能性について、血圧計で調べる技術を開発したと発表しました。人工知能(AI)技術を活用し、心臓の一部がけいれんすることで脈拍が不規則になる心房細動の症状を血圧測定時に検知します。従来は心電図検査が必要でした。家庭用血圧計で心不全や脳梗塞などの発症リスクを確認できるようになります。
この技術を搭載した血圧計は、中国とヨーロッパで8〜9月から販売しています。アメリカでは10月に食品医薬品局(FDA)の認可を取得し、2025年2月に販売する見込み。日本でも2025年度中に厚生労働省から認可を取得し、2026年以降に販売する計画です。
同社が50年間にわたって蓄積してきた血圧計の測定データをAIで解析し、心房細動の特徴を識別できるようになりました。これまでは症状パターンが無数にあり、発症の可能性を識別することが難しかったといいます。
心房細動は高血圧の人の発症リスクが高く、心不全や脳梗塞を引き起こす原因にもなります。ただ自覚症状がないこともあり、早期発見が難しかったといいます。家庭の血圧計で常時、変調の兆しを確認できるようになります。
2024年11月30日(土)
この技術を搭載した血圧計は、中国とヨーロッパで8〜9月から販売しています。アメリカでは10月に食品医薬品局(FDA)の認可を取得し、2025年2月に販売する見込み。日本でも2025年度中に厚生労働省から認可を取得し、2026年以降に販売する計画です。
同社が50年間にわたって蓄積してきた血圧計の測定データをAIで解析し、心房細動の特徴を識別できるようになりました。これまでは症状パターンが無数にあり、発症の可能性を識別することが難しかったといいます。
心房細動は高血圧の人の発症リスクが高く、心不全や脳梗塞を引き起こす原因にもなります。ただ自覚症状がないこともあり、早期発見が難しかったといいます。家庭の血圧計で常時、変調の兆しを確認できるようになります。
2024年11月30日(土)
■「リンゴ病」が東京都内を中心に流行、6年ぶりに警報基準超える 大人も感染、流産リスクも [健康ダイジェスト]
「リンゴ病(伝染性紅斑)」が、東京都内を中心に流行しています。両ほおや体に赤い発疹が出ることが特徴で、妊婦が感染すると流産の原因となるケースもあります。全国の定点医療機関(約3000カ所)から報告された患者数は数年ぶりに増加傾向。東京都は2018年から6年ぶりに警報を出しており、警戒が高まっています。
国立感染症研究所によりますと、全国の定点医療機関から報告された患者数は、11月17日までの1週間に1医療機関当たり0・56人。過去4年連続で同期の患者数は0・01人で、少ない状況が続いていました。これまでの大きな流行は2007年、2011年、2015年などとほぼ4〜6年ごとの周期で流行を繰り返しているといいます。
都道府県別では、東京都(1・93人)、埼玉県(1・92人)、神奈川県(1・44人)、千葉県(1・29人)、青森県(1・14人)の順で多く、ほぼ全国から患者報告があります。
国が示す基準値では、リンゴ病の警報レベルは、1医療機関当たりの報告数が「2・0」を超えた場合に大きな流行が疑われるとしています。これに加え、東京都は「警報レベルにある保健所の管轄する人口の総計が、都全体の人口の30%を超えた場合」も基準として定めています。
都によると、11月17日までの1週間に1医療機関当たりの患者数が、警報レベルにある保健所が15カ所あり、その保健所管内の人口は都全体の57・75%となるため、警報基準に達したといいます。
今年の都内の累計患者数は4966人で、95・3%が9歳以下の子供で、うち5〜6歳が32・0%で最多でした。
厚生労働省などによると、リンゴ病はヒトパルボウイルスB19を原因とする感染症で、主にせきやくしゃみを介して感染します。患者は小学校入学前後の子供に多くなっています。
数日〜2週間ほどの潜伏期間の後、両ほおや腕、足などに赤い発疹が出ます。両ほおに発疹が出る前に発熱や風邪のような症状が出ることが多くなっています。
ほとんどが自然に回復するものの、大人がかかると頭痛や関節炎などがみられることもあります。特に妊婦が感染すると胎児に感染し、流産や死産などの原因となることがあるため、注意が必要としています。
リンゴ病には特別な治療法はなく、患者に合わせた対症療法を行うのみ。各自治体などは予防策として、アルコール消毒が効きにくいため、せっけんでの手洗いやマスクの着用、せきエチケットの徹底などを呼び掛けています。
2024年11月30日(土)
国立感染症研究所によりますと、全国の定点医療機関から報告された患者数は、11月17日までの1週間に1医療機関当たり0・56人。過去4年連続で同期の患者数は0・01人で、少ない状況が続いていました。これまでの大きな流行は2007年、2011年、2015年などとほぼ4〜6年ごとの周期で流行を繰り返しているといいます。
都道府県別では、東京都(1・93人)、埼玉県(1・92人)、神奈川県(1・44人)、千葉県(1・29人)、青森県(1・14人)の順で多く、ほぼ全国から患者報告があります。
国が示す基準値では、リンゴ病の警報レベルは、1医療機関当たりの報告数が「2・0」を超えた場合に大きな流行が疑われるとしています。これに加え、東京都は「警報レベルにある保健所の管轄する人口の総計が、都全体の人口の30%を超えた場合」も基準として定めています。
都によると、11月17日までの1週間に1医療機関当たりの患者数が、警報レベルにある保健所が15カ所あり、その保健所管内の人口は都全体の57・75%となるため、警報基準に達したといいます。
今年の都内の累計患者数は4966人で、95・3%が9歳以下の子供で、うち5〜6歳が32・0%で最多でした。
厚生労働省などによると、リンゴ病はヒトパルボウイルスB19を原因とする感染症で、主にせきやくしゃみを介して感染します。患者は小学校入学前後の子供に多くなっています。
数日〜2週間ほどの潜伏期間の後、両ほおや腕、足などに赤い発疹が出ます。両ほおに発疹が出る前に発熱や風邪のような症状が出ることが多くなっています。
ほとんどが自然に回復するものの、大人がかかると頭痛や関節炎などがみられることもあります。特に妊婦が感染すると胎児に感染し、流産や死産などの原因となることがあるため、注意が必要としています。
リンゴ病には特別な治療法はなく、患者に合わせた対症療法を行うのみ。各自治体などは予防策として、アルコール消毒が効きにくいため、せっけんでの手洗いやマスクの着用、せきエチケットの徹底などを呼び掛けています。
2024年11月30日(土)
■全国14カ所の水道でPFAS基準超え、2020〜2023年度 2024年度はゼロ [健康ダイジェスト]
環境省と国土交通省は29日、健康への悪影響が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」のうち「PFOS(ピーフォス)」「PFOA(ピーフォア)」について、全国の水道事業者が実施した水質検査の結果をとりまとめました。2020年度から2023年度にかけ、全国の14カ所において、PFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)という国の暫定目標値を一時的に上回っていたことがわかりました。
2024年度については9月末時点で、暫定目標値を上回る水道事業者はありませんでした。岩倉市水道事業(愛知県)と新上五島町水道事業(長崎県)、むかわ町穂別簡易水道事業(北海道)では、49〜47ナノグラムと暫定目標値に近い数値が検出されました。
環境省と国交省は2024年5月末から9月末にかけ、全国の水道事業者から水質検査の結果を集めました。回答した3595の事業者のうち、検査実績があったのは6割強でした。給水人口が少ない事業者も対象にした大規模調査は初めてとなります。環境省は回答結果を参考にPFASの規制強化について検討を進めます。
2020年度は東京都や神奈川県座間市など11カ所、2021年度は兵庫県西脇市など5カ所で国の目標値を上回りました。
目標値を超えた水道事業者は2022年度は4カ所、2023年度は3カ所と減少傾向にあるものの、岐阜県各務原市と岡山県吉備中央町では4年連続で目標値を上回っていました。各務原市では活性炭による浄化システムの稼働など、応急工事を実施しました。吉備中央町でも水源の変更や活性炭の入れ替えなど対策を進めました。
厚生労働省は2020年、PFOSとPFOAについて水道水1リットル当たり計50ナノグラムとする暫定目標値を設定しました。体重50キロの人が生涯毎日2リットルの水を飲んだとしても、健康に悪影響が生じないと考えられる水準とされます。
環境省は暫定目標値の位置付けや数値を見直す検討をしています。現在は水道法上で検査の義務が課されない「水質管理目標設定項目」で、目標値を超えることがないよう事業者に管理を依頼する形にとどまっています。
検査義務などが課される「水質基準」とするかや、目標値を個別に設定するかなどが焦点となります。今回の調査で検査実績がないと回答した事業者は4割程度に上りました。測定義務がないことを理由としているところもありました。
PFASは炭素とフッ素などが結合した有機化合物の総称で、1万種類以上あるとされます。ほとんど分解されることなく自然界に蓄積される特徴があり、「永遠の化学物質」と呼ばれます。
代表例がPFOSとPFOAで、発がん性が指摘されています。2023年12月、国際がん研究機関はPFOAを4段階のうち最も高い「発がん性がある」に分類しました。たばこやアスベストと同じ扱いになります。PFOSは下から2番目の「発がん性がある可能性がある」としました。
国内ではPFOSは2010年、PFOAは2021年に製造・輸入が原則禁じられました。土壌などの環境中に残っていて、現在も検出されます。
その他のPFASは熱に強く水や油をはじく性質があるため、生活の身近なところで広く利用されています。フライパンや食品包装のコーティング剤や、カーペットなどのはっ水加工のほか、産業用途ではリチウムイオン電池や太陽光パネルの部材、半導体の製造工程に使われています。
欧米を中心に規制が進みます。アメリカではPFOSとPFOAをそれぞれ1リットル当たり4ナノグラムとする規制値を4月に公表しました。基準を超過した場合は、5年以内に削減の措置を設けます。世界保健機関(WHO)は2022年、暫定ガイドライン値としてPFOSとPFOAをそれぞれ1リットル当たり100ナノグラムとの値を示しました。
2024年11月30日(土)
2024年度については9月末時点で、暫定目標値を上回る水道事業者はありませんでした。岩倉市水道事業(愛知県)と新上五島町水道事業(長崎県)、むかわ町穂別簡易水道事業(北海道)では、49〜47ナノグラムと暫定目標値に近い数値が検出されました。
環境省と国交省は2024年5月末から9月末にかけ、全国の水道事業者から水質検査の結果を集めました。回答した3595の事業者のうち、検査実績があったのは6割強でした。給水人口が少ない事業者も対象にした大規模調査は初めてとなります。環境省は回答結果を参考にPFASの規制強化について検討を進めます。
2020年度は東京都や神奈川県座間市など11カ所、2021年度は兵庫県西脇市など5カ所で国の目標値を上回りました。
目標値を超えた水道事業者は2022年度は4カ所、2023年度は3カ所と減少傾向にあるものの、岐阜県各務原市と岡山県吉備中央町では4年連続で目標値を上回っていました。各務原市では活性炭による浄化システムの稼働など、応急工事を実施しました。吉備中央町でも水源の変更や活性炭の入れ替えなど対策を進めました。
厚生労働省は2020年、PFOSとPFOAについて水道水1リットル当たり計50ナノグラムとする暫定目標値を設定しました。体重50キロの人が生涯毎日2リットルの水を飲んだとしても、健康に悪影響が生じないと考えられる水準とされます。
環境省は暫定目標値の位置付けや数値を見直す検討をしています。現在は水道法上で検査の義務が課されない「水質管理目標設定項目」で、目標値を超えることがないよう事業者に管理を依頼する形にとどまっています。
検査義務などが課される「水質基準」とするかや、目標値を個別に設定するかなどが焦点となります。今回の調査で検査実績がないと回答した事業者は4割程度に上りました。測定義務がないことを理由としているところもありました。
PFASは炭素とフッ素などが結合した有機化合物の総称で、1万種類以上あるとされます。ほとんど分解されることなく自然界に蓄積される特徴があり、「永遠の化学物質」と呼ばれます。
代表例がPFOSとPFOAで、発がん性が指摘されています。2023年12月、国際がん研究機関はPFOAを4段階のうち最も高い「発がん性がある」に分類しました。たばこやアスベストと同じ扱いになります。PFOSは下から2番目の「発がん性がある可能性がある」としました。
国内ではPFOSは2010年、PFOAは2021年に製造・輸入が原則禁じられました。土壌などの環境中に残っていて、現在も検出されます。
その他のPFASは熱に強く水や油をはじく性質があるため、生活の身近なところで広く利用されています。フライパンや食品包装のコーティング剤や、カーペットなどのはっ水加工のほか、産業用途ではリチウムイオン電池や太陽光パネルの部材、半導体の製造工程に使われています。
欧米を中心に規制が進みます。アメリカではPFOSとPFOAをそれぞれ1リットル当たり4ナノグラムとする規制値を4月に公表しました。基準を超過した場合は、5年以内に削減の措置を設けます。世界保健機関(WHO)は2022年、暫定ガイドライン値としてPFOSとPFOAをそれぞれ1リットル当たり100ナノグラムとの値を示しました。
2024年11月30日(土)