■救急車出動に際して「負担金」徴収を一部自治体が導入 軽症者搬送率が低下、出動数も2割減 [健康ダイジェスト]
緊急性のない軽症患者らを救急車で搬送した際、患者から負担金を徴収する制度が今年、一部自治体で始まりました。全国で救急車の出動が増える中、救急医療の逼迫(ひっぱく)を防ぐのが狙いで、実際に軽症者の搬送率が減少する効果もみられます。ただ、救急車の要請が本来必要な人までためらう可能性もあり、専門家は「丁寧な説明と相談体制の充実が必要だ」と指摘します。
茨城県は12月2日、救急車の要請時に緊急性が認められない場合、大病院(病床数200床以上)を紹介状なく受診する際にかかる「選定療養費」を求める取り組みを開始しました。都道府県単位での導入は初めて。料金は搬送先の病院によって異なり、最大で1万3200円が徴収されます。
軽い切り傷やすり傷、37・4度以下の微熱、慢性的な歯痛や腰痛など、緊急性が明らかに認められないか、緊急性が低い症状が対象です。呼吸困難や意識障害、突然の激しい頭痛や腹痛など、緊急性のある可能性が高い場合は、病院到着時に回復して結果的に軽症と診断されても徴収しません。
県医療政策課によると、県内では救急搬送の6割以上が大病院に集中しているものの、約半数は軽症者で緊急性が低いケースも多いといいます。担当者は「救急医療がさらに逼迫し、緊急性の高い患者に医療が提供できなくなる事態を防ぎたい」と導入の理由を説明します。
総務省消防庁のまとめなどによると、2023年の全国での救急車出動件数(速報値)は前年比5・6%増の763万7967件、搬送人員も同6・8%増の663万9959人で過去最多を更新しました。また、現場到着にかかる時間も長くなっており、2022年の全国平均は約10・3分と前年比0・9分増でした。
全国的な搬送者の増加で救急医療体制の逼迫が進む中、茨城県のような取り組みを一足早く始めたのが三重県松阪市です。今年6月から市内の基幹3病院を対象に、搬送して入院に至らなかった軽症患者から、選定療養費として7700円を徴収しています。
市によると、導入後の3カ月間で、救急車の出動件数は3604件で前年同期比2割減、搬送者の軽症率は52・9%と同6・5ポイント減りました。徴収を受けた軽症患者は7・4%(278人)で、打撲傷やめまい、胃腸炎などでした。
市の担当者は、全体的な傾向まではまだ見えていないとしながらも、「医療機関の適正受診につながり、持続可能な救急医療体制の整備に寄与していることが確認できた」と評価しています。
取り組みに一定の効果が見えたことで、今後導入を検討する自治体が増える可能性があります。ただ、救急車の要請に料金負担がかかれば、真に要請が必要な患者が控えてしまう懸念もあります。導入自治体では要請するか判断に迷う場合、電話相談窓口などの利用を呼び掛けています。
患者搬送の在り方を研究する日本搬送学会の後藤玲司事務局長は、「『救急車が有料になった』と誤解される可能性もあり、丁寧な説明が必要だ」とし、「患者によっては電話相談もためらうケースも想定される。スマートフォンアプリなど、相談体制の充実が求められる」と指摘しました。
2024年12月23日(月)
茨城県は12月2日、救急車の要請時に緊急性が認められない場合、大病院(病床数200床以上)を紹介状なく受診する際にかかる「選定療養費」を求める取り組みを開始しました。都道府県単位での導入は初めて。料金は搬送先の病院によって異なり、最大で1万3200円が徴収されます。
軽い切り傷やすり傷、37・4度以下の微熱、慢性的な歯痛や腰痛など、緊急性が明らかに認められないか、緊急性が低い症状が対象です。呼吸困難や意識障害、突然の激しい頭痛や腹痛など、緊急性のある可能性が高い場合は、病院到着時に回復して結果的に軽症と診断されても徴収しません。
県医療政策課によると、県内では救急搬送の6割以上が大病院に集中しているものの、約半数は軽症者で緊急性が低いケースも多いといいます。担当者は「救急医療がさらに逼迫し、緊急性の高い患者に医療が提供できなくなる事態を防ぎたい」と導入の理由を説明します。
総務省消防庁のまとめなどによると、2023年の全国での救急車出動件数(速報値)は前年比5・6%増の763万7967件、搬送人員も同6・8%増の663万9959人で過去最多を更新しました。また、現場到着にかかる時間も長くなっており、2022年の全国平均は約10・3分と前年比0・9分増でした。
全国的な搬送者の増加で救急医療体制の逼迫が進む中、茨城県のような取り組みを一足早く始めたのが三重県松阪市です。今年6月から市内の基幹3病院を対象に、搬送して入院に至らなかった軽症患者から、選定療養費として7700円を徴収しています。
市によると、導入後の3カ月間で、救急車の出動件数は3604件で前年同期比2割減、搬送者の軽症率は52・9%と同6・5ポイント減りました。徴収を受けた軽症患者は7・4%(278人)で、打撲傷やめまい、胃腸炎などでした。
市の担当者は、全体的な傾向まではまだ見えていないとしながらも、「医療機関の適正受診につながり、持続可能な救急医療体制の整備に寄与していることが確認できた」と評価しています。
取り組みに一定の効果が見えたことで、今後導入を検討する自治体が増える可能性があります。ただ、救急車の要請に料金負担がかかれば、真に要請が必要な患者が控えてしまう懸念もあります。導入自治体では要請するか判断に迷う場合、電話相談窓口などの利用を呼び掛けています。
患者搬送の在り方を研究する日本搬送学会の後藤玲司事務局長は、「『救急車が有料になった』と誤解される可能性もあり、丁寧な説明が必要だ」とし、「患者によっては電話相談もためらうケースも想定される。スマートフォンアプリなど、相談体制の充実が求められる」と指摘しました。
2024年12月23日(月)
■平日の日中だけ稼働「日勤救急隊」続々、全国の13%が導入 高齢化で増え続ける搬送依頼に対応 [健康ダイジェスト]
交代制で24時間勤務の通常の救急隊とは別に、搬送依頼が集中する平日の日中だけ稼働する「日勤救急隊」が全国の消防に広がっています。高齢化で増え続ける搬送依頼に対応し、働き方改革につなげるためです。総務省消防庁によると、今年4月時点で全体の13%に相当する95消防本部が導入。現場到着までの時間が短縮される成果も上がっています。
同庁によると、昨年の救急車の出動件数は過去最多の763万7967件(速報値)で、20年間で約1・5倍になりました。高齢化で急な体調不良を訴える患者が増えているほか、救急車をタクシー代わりに使う患者もいて、2022年は搬送者の半数近くが入院不要の軽症だったといいます。
救急車の現場到着所要時間も延びています。2022年は前年から0・9分延び、過去最長の10・3分。20年前の6・3分から4分遅れています。また、2022年で搬送最多の時間帯は午前10時〜正午。午前8時から午後6時までに、搬送人員の約6割が集中していました。
救急現場では「勤務日の朝から翌日朝まで24時間勤務に入り、その後休む」というのが一般的ですが、介護や子育てなどを抱える職員もいます。日勤救急隊は、こうした職員らが忙しい日中に交代制で稼働し、全体の出動の負担を軽減させる仕組みで、全国の消防で導入が相次いでいます。
昨年7月に導入した富山市消防局では、今年3月までに現着時間を前年比で約50秒短縮。名古屋市消防局も昨年4月に2隊を導入し、約16秒縮めました。また、2021年から導入した群馬県の高崎市等広域消防局は、育休を取得した隊員の復職支援で活用しています。今年4月に復帰し、日勤の隊員として働く秋山彩夏さん(29)は「復帰後も現場に出たかったのでありがたい」と話しています。
今年5月に導入した高松市消防局では、シニアが活躍。隊長の伏見忠さん(61)は20年以上の救急隊経験があり、定年延長を機に志願しました。「通常勤務は体力的に厳しいが、日勤なら無理なく働ける。経験を生かして貢献できれば」と語りました。
2024年12月23日(月)
同庁によると、昨年の救急車の出動件数は過去最多の763万7967件(速報値)で、20年間で約1・5倍になりました。高齢化で急な体調不良を訴える患者が増えているほか、救急車をタクシー代わりに使う患者もいて、2022年は搬送者の半数近くが入院不要の軽症だったといいます。
救急車の現場到着所要時間も延びています。2022年は前年から0・9分延び、過去最長の10・3分。20年前の6・3分から4分遅れています。また、2022年で搬送最多の時間帯は午前10時〜正午。午前8時から午後6時までに、搬送人員の約6割が集中していました。
救急現場では「勤務日の朝から翌日朝まで24時間勤務に入り、その後休む」というのが一般的ですが、介護や子育てなどを抱える職員もいます。日勤救急隊は、こうした職員らが忙しい日中に交代制で稼働し、全体の出動の負担を軽減させる仕組みで、全国の消防で導入が相次いでいます。
昨年7月に導入した富山市消防局では、今年3月までに現着時間を前年比で約50秒短縮。名古屋市消防局も昨年4月に2隊を導入し、約16秒縮めました。また、2021年から導入した群馬県の高崎市等広域消防局は、育休を取得した隊員の復職支援で活用しています。今年4月に復帰し、日勤の隊員として働く秋山彩夏さん(29)は「復帰後も現場に出たかったのでありがたい」と話しています。
今年5月に導入した高松市消防局では、シニアが活躍。隊長の伏見忠さん(61)は20年以上の救急隊経験があり、定年延長を機に志願しました。「通常勤務は体力的に厳しいが、日勤なら無理なく働ける。経験を生かして貢献できれば」と語りました。
2024年12月23日(月)
■妊婦健診に交通費8割補助 こども家庭庁、遠方・リスク者ら対象 [健康ダイジェスト]
こども家庭庁は、妊婦健診を受けられる最寄りの分娩施設まで1時間以上かかる場合、ガソリン代など交通費の8割を補助する制度を創設します。関係者が22日、明らかにしました。健診の頻度が増す妊娠後期や、基礎疾患などリスクがある人らを対象とします。少子化に伴う分娩の取り扱い減少などの影響で、近くに出産施設がない地域では、遠方に行かざるを得ないことが背景にあります。
子育て支援の一環として、経済的な負担を軽減する狙い。早期の実施を目指します。
電車やバスの公共交通機関、自家用車の利用が要件で、運賃やガソリン代、高速料金などを補助します。タクシー代は含みません。自宅からだけではなく、里帰りした場合も対象。居住地や里帰り先の自治体に申請します。
妊娠32週ごろからの妊娠後期の人は、7回を上限に補助を受けられます。
基礎疾患などリスクがある妊婦が、高度な医療を提供する最寄りの周産期母子医療センターまで1時間以上かかる場合、妊娠前期も含め14回まで同様に補助されます。
2024年度補正予算に関連費用1億3000万円を計上しました。
2024年12月23日(月)
子育て支援の一環として、経済的な負担を軽減する狙い。早期の実施を目指します。
電車やバスの公共交通機関、自家用車の利用が要件で、運賃やガソリン代、高速料金などを補助します。タクシー代は含みません。自宅からだけではなく、里帰りした場合も対象。居住地や里帰り先の自治体に申請します。
妊娠32週ごろからの妊娠後期の人は、7回を上限に補助を受けられます。
基礎疾患などリスクがある妊婦が、高度な医療を提供する最寄りの周産期母子医療センターまで1時間以上かかる場合、妊娠前期も含め14回まで同様に補助されます。
2024年度補正予算に関連費用1億3000万円を計上しました。
2024年12月23日(月)
■給食のウズラ卵で小1窒息死、第三者委「原因特定に至らず」 福岡県みやま市 [健康ダイジェスト]
今年2月、福岡県みやま市の小学1年生が給食で出たウズラの卵をのどに詰まらせて死亡した事故を受けて、外部の専門家でつくる第三者委員会は原因の調査結果と再発防止策をまとめました。
原因の特定には至らなかったとする一方、教職員による児童への注意喚起がなかったなどとして、対応の改善を求めています。
みやま市の小学校では2月26日、1年生の男子児童が給食の「みそおでん」に入っていたウズラの卵をのどに詰まらせて死亡しました。
事故を受けて、弁護士や医師など、外部の専門家7人からなる「学校安全調査委員会」は、原因の調査結果と再発防止策を答申にまとめ、22日、市の教育委員会に提出しました。
それによりますと、亡くなった児童の健康状態に問題はなく、なぜウズラの卵がのどに詰まったのか、原因を特定するには至らなかったとしています。
その一方で、教職員による児童への注意喚起がなかったなどと指摘し、7つの項目について対応の改善を求めています。
具体的には、給食でのウズラの卵の提供を一切やめるべきではないものの、教職員が窒息の原因になることを十分認識し、児童に注意を呼び掛けること、教職員を対象にした救命講習の内容を拡充すること、それに学校の危機管理マニュアルに窒息事故の対応についても定めることなどが必要だとしました。
委員長を務める田中文弁護士は記者会見で、「教育委員会の事故後の対応はその深刻さを勘案し、遺族の心情に配慮して行うべきだった」と述べ、市側に対し、遺族に寄り添った対応も強く求めました。
2024年12月23日(月)
原因の特定には至らなかったとする一方、教職員による児童への注意喚起がなかったなどとして、対応の改善を求めています。
みやま市の小学校では2月26日、1年生の男子児童が給食の「みそおでん」に入っていたウズラの卵をのどに詰まらせて死亡しました。
事故を受けて、弁護士や医師など、外部の専門家7人からなる「学校安全調査委員会」は、原因の調査結果と再発防止策を答申にまとめ、22日、市の教育委員会に提出しました。
それによりますと、亡くなった児童の健康状態に問題はなく、なぜウズラの卵がのどに詰まったのか、原因を特定するには至らなかったとしています。
その一方で、教職員による児童への注意喚起がなかったなどと指摘し、7つの項目について対応の改善を求めています。
具体的には、給食でのウズラの卵の提供を一切やめるべきではないものの、教職員が窒息の原因になることを十分認識し、児童に注意を呼び掛けること、教職員を対象にした救命講習の内容を拡充すること、それに学校の危機管理マニュアルに窒息事故の対応についても定めることなどが必要だとしました。
委員長を務める田中文弁護士は記者会見で、「教育委員会の事故後の対応はその深刻さを勘案し、遺族の心情に配慮して行うべきだった」と述べ、市側に対し、遺族に寄り添った対応も強く求めました。
2024年12月23日(月)
■新型コロナ、沖縄県が独自で注意喚起へ 流行時に「拡大準備情報」を発出 [健康ダイジェスト]
沖縄県は19日、新型コロナウイルス感染症の流行が疑われる場合、県独自で「新型コロナ感染拡大準備情報」を発出すると発表しました。新型コロナについては、過去の感染データの蓄積が乏しいことなどから、国がインフルエンザのような注意報や警報の発令基準を設けていない一方、重症化する高齢者は多く、医療関係者から県独自の注意喚起を求める声が出ていました。
新型コロナが5類に移行した昨年5月(第19週)以降、県は定点医療機関からの患者報告数を毎週金曜に公表しています。
県感染症対策課によると、準備情報は原則として、定点当たり報告数が直近13週の平均値と、標準偏差の2倍との合計を上回った時に出します。医療機関や高齢者施設での面会制限や換気の徹底など具体的な注意事項も添えます。解除の発表はしないといいます。
感染の平穏期の定点当たり報告数は夏と冬で異なっていましたが、標準偏差を用いることで、より正確に感染拡大の兆候をつかめます。広島県や鳥取県は定点当たり報告数を基に独自の注意喚起をしているものの、標準偏差は用いていないといいます。
県内でも高齢化が進み、感染拡大時に医療機関が対応できなくなる恐れが強まっています。県感染症対策課は「インフルエンザのように注意報や警報を発令することも検討したが、今後、国が新基準を設定した場合に混乱する可能性があることから準備情報とした」と説明し、「現状では県民が感染拡大の実感を持ちにくく、準備情報で明確なメッセージを伝え、感染対策を呼び掛けたい」としています。
2024年12月23日(月)
新型コロナが5類に移行した昨年5月(第19週)以降、県は定点医療機関からの患者報告数を毎週金曜に公表しています。
県感染症対策課によると、準備情報は原則として、定点当たり報告数が直近13週の平均値と、標準偏差の2倍との合計を上回った時に出します。医療機関や高齢者施設での面会制限や換気の徹底など具体的な注意事項も添えます。解除の発表はしないといいます。
感染の平穏期の定点当たり報告数は夏と冬で異なっていましたが、標準偏差を用いることで、より正確に感染拡大の兆候をつかめます。広島県や鳥取県は定点当たり報告数を基に独自の注意喚起をしているものの、標準偏差は用いていないといいます。
県内でも高齢化が進み、感染拡大時に医療機関が対応できなくなる恐れが強まっています。県感染症対策課は「インフルエンザのように注意報や警報を発令することも検討したが、今後、国が新基準を設定した場合に混乱する可能性があることから準備情報とした」と説明し、「現状では県民が感染拡大の実感を持ちにくく、準備情報で明確なメッセージを伝え、感染対策を呼び掛けたい」としています。
2024年12月23日(月)