■患者ごとの「オーダーメイドiPS細胞」を全自動作成 京都大財団のプロジェクト4月に始動 [健康ダイジェスト]
患者一人ひとりの血液からオーダーメイドのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を全自動で作る京都大iPS細胞研究財団(理事長=山中伸弥・京都大教授)のプロジェクトが4月、大阪市北区にある最先端医療の国際拠点「中之島クロス」で始動します。年内にも大学や企業に試験的に細胞の提供を始め、将来は年間1000人分の作製を目指します。
山中教授は2019年に「my iPSプロジェクト」を提唱。「みかん箱くらいの密閉された装置の中で、iPS細胞を全自動で作れるようにする」と構想を語りました。その後、国内外の企業と研究を進め、装置がみかん箱より一回り大きい点を除けば、ほぼ実現可能な段階にきたといいます。
中之島クロスではドイツ製の自動培養装置を4台から14台に増やし、iPS細胞を安定して作製できるラインを構築します。日本製の装置の開発も進んでおり、1人分で5000万円かかるとされた製造コストを、100万円以下に抑える目標を掲げています。
再生医療に使うiPS細胞は、健康な人の血液から作って財団が備蓄する細胞が大半を占めています。山中教授らは、これまでに日本人の4割に適合する細胞をそろえましたが、さらに増やすには珍しい型の細胞を持つ人を見付ける必要があり、難しいといいます。今回のプロジェクトで患者本人から安くiPS細胞を作れるようになれば、理想的な形で補完できます。
財団の塚原正義・研究開発センター長はプロジェクトについて、「患者の治療に使われなければ意味がない、という思いで進めてきた。医療現場に届けるまでやり遂げたい」と話しています。
2025年2月17日(月)
山中教授は2019年に「my iPSプロジェクト」を提唱。「みかん箱くらいの密閉された装置の中で、iPS細胞を全自動で作れるようにする」と構想を語りました。その後、国内外の企業と研究を進め、装置がみかん箱より一回り大きい点を除けば、ほぼ実現可能な段階にきたといいます。
中之島クロスではドイツ製の自動培養装置を4台から14台に増やし、iPS細胞を安定して作製できるラインを構築します。日本製の装置の開発も進んでおり、1人分で5000万円かかるとされた製造コストを、100万円以下に抑える目標を掲げています。
再生医療に使うiPS細胞は、健康な人の血液から作って財団が備蓄する細胞が大半を占めています。山中教授らは、これまでに日本人の4割に適合する細胞をそろえましたが、さらに増やすには珍しい型の細胞を持つ人を見付ける必要があり、難しいといいます。今回のプロジェクトで患者本人から安くiPS細胞を作れるようになれば、理想的な形で補完できます。
財団の塚原正義・研究開発センター長はプロジェクトについて、「患者の治療に使われなければ意味がない、という思いで進めてきた。医療現場に届けるまでやり遂げたい」と話しています。
2025年2月17日(月)
■PFAS血液検査、水飲んだ住民の濃度突出 岡山県吉備中央町の説明会 [健康ダイジェスト]
岡山県吉備中央町の一部浄水場の水から健康への影響が懸念される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が検出された問題で、町は16日、全国初となる公費での血中濃度検査の結果について住民説明会を開きました。データを集計した岡山大大学院の頼藤貴志教授(疫学・衛生学)は「(PFASの一種の)PFOA(ピーフォア)の値が特に高かった」と説明しました。
検査では7種類のPFASを調べた。PFOAの血中濃度の中央値は、浄水場の水を飲んだ地区の住民は1ミリリットル当たり156・3ナノグラム。この地区以外に住み、水を飲んでいない住民は3・0ナノグラムでした。また、この地区に勤務するなどして水を飲んだ人(非居住)は14・2ナノグラムでした。昨年11〜12月、給水地区の住民521人と非居住の188人の計709人に検査をしましたが、比較のため水を飲んでいない住民20人にも行い、今回報告しました。
それぞれの平均値は171・9ナノグラム、3・1ナノグラム、35・2ナノグラム。ほかの6種ではこれほどの大きな差はみられませんでした。町内の資材置き場にあった使用済み活性炭がPFASの発生源とみられており、付近の土壌からは高濃度のPFOAが検出されていました。
国内ではPFASの血中濃度の基準は設けられていませんが、アメリカの学術機関は20ナノグラムを指針とします。
頼藤教授は「飲んだ人の濃度は高かったが、健康影響への解釈は難しい」と説明。その上で「PFASはゆっくりだが体外に排出される。定期健診を受け、何かあれば医療機関の受診を」と促しました。
町は対象者に後期高齢者健診などを無料実施すると説明しました。説明会には約200人が参加。住民の男性(71)は「すっきりはしなかった」と不満げ。「アメリカには指針があるのに、健康への影響がわからないという説明には納得がいかない。町は検査を毎年実施すべきだ」と話しました。
2025年2月17日(月)
検査では7種類のPFASを調べた。PFOAの血中濃度の中央値は、浄水場の水を飲んだ地区の住民は1ミリリットル当たり156・3ナノグラム。この地区以外に住み、水を飲んでいない住民は3・0ナノグラムでした。また、この地区に勤務するなどして水を飲んだ人(非居住)は14・2ナノグラムでした。昨年11〜12月、給水地区の住民521人と非居住の188人の計709人に検査をしましたが、比較のため水を飲んでいない住民20人にも行い、今回報告しました。
それぞれの平均値は171・9ナノグラム、3・1ナノグラム、35・2ナノグラム。ほかの6種ではこれほどの大きな差はみられませんでした。町内の資材置き場にあった使用済み活性炭がPFASの発生源とみられており、付近の土壌からは高濃度のPFOAが検出されていました。
国内ではPFASの血中濃度の基準は設けられていませんが、アメリカの学術機関は20ナノグラムを指針とします。
頼藤教授は「飲んだ人の濃度は高かったが、健康影響への解釈は難しい」と説明。その上で「PFASはゆっくりだが体外に排出される。定期健診を受け、何かあれば医療機関の受診を」と促しました。
町は対象者に後期高齢者健診などを無料実施すると説明しました。説明会には約200人が参加。住民の男性(71)は「すっきりはしなかった」と不満げ。「アメリカには指針があるのに、健康への影響がわからないという説明には納得がいかない。町は検査を毎年実施すべきだ」と話しました。
2025年2月17日(月)
■みちのく記念病院の殺人隠蔽、不適切な死亡診断が常態化か 記載された死因の大半が「肺炎」 [健康ダイジェスト]
みちのく記念病院(青森県八戸市、413床)の元院長らによる患者間殺人隠蔽(いんぺい)事件で、医師免許を持つ男性患者が虚偽の死亡診断書を書いたとみられることに関連し、県警が同じ男性患者の署名が入った数十人分の死亡診断書を押収していたことが、捜査関係者への取材でわかりました。記載された死因は大半が「肺炎」でした。県警は、不適切な死亡診断が常態化していた可能性があるとみています。
この事件では、「肺炎」という虚偽の死亡診断書を遺族に渡すなどし、事件の隠蔽を図ったとして、県警が、当時院長だった石山隆容疑者(61)と、その弟で殺人事件の被害者(当時73歳)の主治医だった石山哲容疑者(60)を犯人隠避容疑で逮捕しました。被害者の死因は頭部や顔面の損傷でした。
虚偽の死亡診断書の医師署名欄には男性患者(当時89歳)の氏名がありました。医師免許を持っていましたが、認知症などの疑いで2022年12月から同病院に入院していました。病院職員などによると、対応できる医師がいない夜間などに患者が亡くなった場合、男性患者が死亡診断を任されることがあり、院内では「みとり医」と呼ばれていました。
ある看護師は取材に対し、「(死亡診断書を書く時は)死因欄を肺炎としていた。本人の署名がある死亡診断書を確認したが、ほとんどが肺炎だった」と証言しています。一方で捜査関係者によると、押収した死亡診断書の中には、同じ氏名の署名でも筆跡が本人と異なるものがあり、県警は別の人物が書いた可能性もあるとみています。
男性患者の署名が入った数十人分の死亡診断書が押収されたのは、殺人事件の発生翌月の2023年4月、県警が虚偽診断書作成容疑などで病院を捜索した際だといいます。県警は当時、男性患者にも事情聴取を試みたものの、認知症の影響か意思疎通が難しく、短時間で打ち切っていました。男性患者は昨年死亡しました。
捜索時の任意聴取では、男性患者について、石山隆容疑者が「医師として働かせている」と説明していましたが、男性患者に勤務医としての賃金は支給されていなかったとみられます。男性患者の長男は取材に、「父は病院から給与は受け取っていなかった。会話は成り立たず、死亡診断をするのは難しい状態だったと思う」と話しています。
県警は15日午前、石山隆、哲両容疑者を犯人隠避容疑で青森地検に送検しました。
2025年2月17日(月)
この事件では、「肺炎」という虚偽の死亡診断書を遺族に渡すなどし、事件の隠蔽を図ったとして、県警が、当時院長だった石山隆容疑者(61)と、その弟で殺人事件の被害者(当時73歳)の主治医だった石山哲容疑者(60)を犯人隠避容疑で逮捕しました。被害者の死因は頭部や顔面の損傷でした。
虚偽の死亡診断書の医師署名欄には男性患者(当時89歳)の氏名がありました。医師免許を持っていましたが、認知症などの疑いで2022年12月から同病院に入院していました。病院職員などによると、対応できる医師がいない夜間などに患者が亡くなった場合、男性患者が死亡診断を任されることがあり、院内では「みとり医」と呼ばれていました。
ある看護師は取材に対し、「(死亡診断書を書く時は)死因欄を肺炎としていた。本人の署名がある死亡診断書を確認したが、ほとんどが肺炎だった」と証言しています。一方で捜査関係者によると、押収した死亡診断書の中には、同じ氏名の署名でも筆跡が本人と異なるものがあり、県警は別の人物が書いた可能性もあるとみています。
男性患者の署名が入った数十人分の死亡診断書が押収されたのは、殺人事件の発生翌月の2023年4月、県警が虚偽診断書作成容疑などで病院を捜索した際だといいます。県警は当時、男性患者にも事情聴取を試みたものの、認知症の影響か意思疎通が難しく、短時間で打ち切っていました。男性患者は昨年死亡しました。
捜索時の任意聴取では、男性患者について、石山隆容疑者が「医師として働かせている」と説明していましたが、男性患者に勤務医としての賃金は支給されていなかったとみられます。男性患者の長男は取材に、「父は病院から給与は受け取っていなかった。会話は成り立たず、死亡診断をするのは難しい状態だったと思う」と話しています。
県警は15日午前、石山隆、哲両容疑者を犯人隠避容疑で青森地検に送検しました。
2025年2月17日(月)