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■用語 緑色爪 [用語(ら行)]

[手(グー)]爪が緑膿菌に感染し、緑色になる状態
 緑色爪(りょくしょくそう)とは、細菌の一種である緑膿(りょくのう)菌が感染して、爪(つめ)の甲が緑色になる状態。
 この緑膿菌は腸内細菌の一種で、湿潤な自然環境中に広く存在している常在菌の一つであるため、健康な爪には感染することはありません。緑色の色素を持つ緑膿菌が感染して、爪の甲の色が緑色に変色したように見える緑色爪は、爪が何らかの疾患にかかって傷付いている場合や、爪が常に湿っていて軟らかい状態の場合に起こります。
 元になる爪の疾患として多いのは、爪カンジダ症や爪白癬(はくせん)、爪乾癬(かんせん)、爪甲剥離(はくり)症で、これらの疾患に合併して緑膿菌が爪の甲の下に侵入、繁殖して、緑色爪を起こします。
 水仕事をする女性に多くみられ、抵抗力が低下している時には、感染した爪から、ほかの爪へ感染することもあります。時に爪囲炎を伴うと、圧痛が生じます。
 女性が指先のおしゃれとして、爪の甲の上に付け爪(人工爪)をしている場合も、付け爪と爪の甲との間に透き間ができてきて、そこに水仕事や手洗いや入浴時に水が入り込んで湿潤した環境ができると、緑膿菌が侵入、繁殖して、緑色爪を起こします。
 緑色爪になると、最悪の場合には爪を失ってしまうこともありますし、体内に入り込んでしまう可能性もあります。体内に感染すると、角膜炎や外耳炎、発疹(はっしん)、肺炎、敗血症、心内膜炎を引き起こしてしまう可能性があります。
 緑膿菌は、消毒や抗生物質に対して抵抗力が強いため、治療が困難であるとされています。免疫不全や栄養状態が悪い場合は、重篤な全身感染症を引き起こし、致死的ともなります。また、ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性緑膿菌も多いのが特徴で、院内感染を引き起こす起因菌となっています。
 まずは、爪の緑色の変色に気付いたら、付け爪をしている場合は使用をやめ、自然治癒を待つことです。そして、変色した爪とその周囲も清潔に保つこと、水仕事や手洗いや入浴後は、ぬれたまま放置せず、しっかり乾燥させることが大切です。それでも改善がみられない場合は、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科での治療が必要になります。
 元になる爪の疾患に合併して生じている緑色爪の場合は、自然治癒しないので、自己判断で間違った対処をしたり、たかが爪とほうっておかないで、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科で治療を受けることが必要になります。
[手(チョキ)]緑色爪の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、症状や問診で緑色爪と判断できます。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、緑膿菌は湿潤な環境で増殖するため、患部を乾燥させます。また、元になっている爪の疾患を治します。
 爪カンジダ症で爪の甲が緑色になっている時は、浮き上がっている爪の甲をニッパー型の爪切りで取り除いて乾燥させ、緑膿菌に感受性のある外用抗真菌剤を半年ほど毎日、爪が伸びて緑色に変色した部分がなくなり、健康な爪に生え変わるまで塗ります。
 また、症状によっては、血液検査などで状態をよく見極めて、経口抗真菌剤を内服するケースもあります。
 爪白癬で爪の甲が緑色になっている時は、水虫の外用剤はほとんど効果がないため、経口抗真菌剤を内服します。少なくとも、3〜6カ月間は内服します。硬く厚くなった爪の外側から外用剤を塗っても、奥深く潜んでいる白癬菌まで薬の有効成分がゆき渡りませんが、飲み薬ならば血流に乗って直接白癬菌にダメージを与え、体の内側から治すことができますす。
 爪乾癬で爪の甲が緑色になっている時は、爪乾癬に対する根本的な治療法はまだなく、完治させることは難しいと考えられているため、症状に合わせて外用剤、内服剤、光線療法などいろいろな治療を行います。
 爪甲剥離症で爪の甲が緑色になっている時は、カンジダ菌の感染の可能性が強い場合には、外用抗真菌剤を塗ります。一般的には、爪の角質に浸透しやすい保湿剤やステロイド剤をこまめに塗ったり、ビタミンEの内服剤を使用する場合もあります。完治には1年程度を要します。
 付け爪(人工爪)で爪の甲が緑色になっている時は、付け爪を取り除いて、患部を乾燥させます。自然の爪の甲の表面が変色していれば、爪やすりで着色部分を削り、緑膿菌に感受性のある外用抗菌剤を塗ります。




■用語 類乾癬 [用語(ら行)]

[ハートたち(複数ハート)]皮膚に赤く、ガサガサする円形の発疹ができる慢性の皮膚疾患
 類乾癬(るいかんせん)とは、皮膚に赤く、ガサガサする円形の発疹(はっしん)ができる非感染性の慢性炎症性皮膚疾患。
 一見、乾癬に似ていることから類乾癬といわれますが、かゆみは乾癬より少ないのが一般的です。乾癬との大きな違いは、発疹部に集まっている白血球のタイプの違いで、発疹を表面から見ただけではなかなか区別はつきません。
 類乾癬は中高年に多くみられますが、原因は乾癬と同じくいまだ不明で、疾患の分類も明確な解釈が定まっておらず、はっきりしない部分の多い疾患です。  
 類乾癬は、発疹の大きさから滴状類乾癬と局面状類乾癬の2つに分類されます。
 滴状類乾癬は、1センチほどの水滴状の赤い発疹が腹部や背中、尻(しり)などの体幹にできるもので、赤い発疹がはれて、次第に垢(あか)のようになっていきます。
 新しい発疹と古い発疹が混在してみられ、古い発疹は色素沈着や、皮膚の一部の色が白く抜け落ちる白斑(はくはん)を残すことがあります。通常は、痛みやかゆみの少ない、良性の疾患です。  
 局面状類乾癬は、滴状類乾癬より大きく、5センチ前後の赤い発疹が腹部や背中、尻などの体幹にできます。進行すると、菌状息肉症(皮膚悪性T細胞リンパ腫〔しゅ〕)に移行する場合もまれにあります。
 菌状息肉症は、リンパ球のT細胞が悪性化し、皮膚に現れてくるものです。悪性度は低いのですが、発疹が出る状態が長く続き、中には10~20年経過して硬く盛り上がって腫瘍(しゅよう)になったり、リンパ節や内臓に転移することもあります。
 悪性化の可能性もあるので、類乾癬の症状に気付いたら、早めに皮膚科、皮膚泌尿器科を受診しておくと安心です。
[ハートたち(複数ハート)]類乾癬の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、乾癬の場合と同じように、特徴的な発疹とその分布、経過から判断します。局面状類乾癬では、悪性かどうかを判断するために、発疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行います。
 乾癬やジベルばら色粃糠疹(ひこうしん)との区別が、必要です。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、原因が不明で、根本的に治す方法が今のところはっきりしていないため、経過をみながらの対症療法を行います。
 対症療法としては、主に炎症を抑制するステロイド(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の外用薬を用います。そのほか、皮膚の細胞が増殖するのを阻害する活性型ビタミンD3外用薬も、ステロイド外用薬ほどの速効性はありませんが、副作用が軽微なので併せて使用します。
 内服薬としては、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)や、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられ、一定の効果が得られています。
 外用薬で大きな改善がみられない場合は、PUVA(プーバ)療法という光線療法を用い、紫外線の増感剤であるメトキサレン(オクソラレン)を発疹部に塗り、長波長紫外線UVAを当てることもあります。PUVA療法に代わる光線療法として、特定の紫外線波長を利用したナローバンドUVB療法を用いることもあります。




■用語 ランナー黒爪 [用語(ら行)]

[足]ランニングにより足指の爪床が傷付くことで内出血を起こし、爪下に血液がたまった状態
 ランナー黒爪(くろづめ)とは、ランニングによる持続的な圧迫がかかることにより、足指の爪床が傷付くことで内出血を起こし、爪(つめ)と皮膚の間に血液がたまった状態。爪下血腫(そうかけっしゅ)、爪下出血とも呼ばれます。
 特にマラソンなどの長距離ランナーに好発するほかに、サッカー、バスケットボールなどを行う人にも起こります。シューズで足指を踏み付けられるなどの1回の外的な衝撃で起こることもあり、日常生活で足指に重い物を落としたり、足指を段差にぶつけるなどの1回の外的な衝撃で起こることもあります。
 一般には、ランナー黒爪は、ランニング中に足指の爪に接触するシューズの先から持続的な圧迫がかかることが主な原因となって起こります。そのほか、過剰なランニング時間と距離、ランニング中の急激なスピードの変化、クッションの悪いシューズや擦り減ったシューズの使用、不整地や硬い路面や下り坂でのランニング、ランニングフォームの崩れなど、さまざまな要因が加味されて起こります。
 両足の親指、人差し指、中指などの爪にランナー黒爪を起こした場合、すぐに爪の甲の一部分または全体が黒く変色します。爪の甲の色が変化するのは、爪の奥で内出血が起こり、爪と皮膚の間に血液がたまるためです。つまり、ランナー黒爪は、打撲による内出血によって皮膚にできる青あざのようなものです。
 たまった血液により爪の下の内圧が上がるため、ズキズキする強い痛みを生じます。また、爪の根元の部分がたまった血液ではれ、爪がグラグラすることがあります。
 時間が経つにつれて、爪の黒い部分は消えていきます。また、爪が伸びるに従って、黒い部分が移動するケースもあります。
 痛みのない場合に放置しておくと、たまった血液によって爪の甲が爪床から離れているため、血腫が小さくない限り、通常は数週間で変色した爪がはがれ落ちます。爪の下の爪床に変形がなければ、元の爪の下に根元から新しい爪が作られ、指先まで伸び切れば古い爪に置き換わります。
 ただし、成人の足指の爪は0・05ミリしか伸びないため、爪が置き換わるには半年から1年と長い期間がかかります。
 ランナー黒爪が軽く、痛みがなければ、治療をせずに放置していてもかまいません。ランナー黒爪が重く、痛みがある場合、爪の根元の1/3に血液がたまっている場合は、皮膚科、皮膚泌尿器科、ないし整形外科、形成外科で治療してもらうことが勧められます。
 爪床に重度の損傷が生じたり、爪の根元の1/3に血液がたまって爪母の状態が悪くなると、新しく作られる爪が変形したまま、元の形に戻らない場合がよくあるからです。このリスクを減らすためには、早期に血腫を抜いて爪を圧迫、固定しておくか、爪を除去して爪床の損傷をすぐに修復する必要があります。
[足]ランナー黒爪の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、ないし整形外科、形成外科の医師による診断では、症状や問診でランナー黒爪と判断できます。爪のはれや痛みが強い時は、X線(レントゲン)検査で骨折の有無を確認します。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、ないし整形外科、形成外科の医師による治療では、骨折があれば、骨折の治療を優先します。
 爪に対しては、痛みを和らげ、黒爪の範囲が広がらないようにする目的で、消毒した注射針や熱したクリップの先などでゆっくりと爪に小さな穴を開けて、たまった血液を外に出します。これで痛みは緩和されます。
 爪には痛みを感じる細胞がないので、爪に穴を開ける際に痛みは伴いません。爪に穴を開けた後は、不潔にならないように数日間、血液を吸収する素材を使用したガーゼで覆い、薄く伸縮性があるテープで圧迫しておきます。
 痛みがひどい時には、爪とその下の皮膚に少し圧力をかけただけでも痛みが伴うので、麻酔を使用してから爪に穴を開けます。
 長距離走やサッカーなどで、足指に持続的な圧迫がかかることにより黒爪になった場合は、なるべく走ることを控えるようにしてもらいます。軽度の黒爪の場合でも、さらに足や爪を酷使し続けると症状が悪化してしまうからです。
 走ることによる黒爪を防ぐためには、クッションの効いた指先に圧力がかからないシューズを選び、足に負担をかけないように気を付けることです。また、シューズのひもをしっかり結ぶ、ストレスがかかる部分にパッドなどの緩衝剤を入れる、足指にテープを巻いたりワセリンを塗る、5本指の靴下を履くこともお勧めで、足指を清潔に保ち、足裏から見て爪先が出ないように爪を切ることも必要です。




■用語 リトルリーグ肩 [用語(ら行)]

[野球]少年期の野球のピッチャーに最も多くみられる肩の障害
 リトルリーグ肩とは、少年期の野球のピッチャーに最も多くみられる肩の障害の総称。リトルリーガーズショルダーと呼ばれます。
 特に、満9歳から12歳までの少年少女たちを対象とした野球組織であるリトルリーグに所属していたりする、小学生高学年から中学生の野球のピッチャーなどが、利き腕を後方に引き上げてから力を入れて前方に振り下ろす動作を繰り返すことで、肩を酷使して発症することが多くみられます。バレーボールやバドミントンの選手が発症することもあります。
 15歳未満の成長期では、骨や関節、筋肉がまだ未発達なため、繰り返すボールの投球動作などでストレスを繰り返し受けることによって、利き腕の上腕骨上端部の成長軟骨に障害が起こり、肩の痛みを発生します。
 まず、上腕骨骨頭の成長軟骨である骨端(こったん)線に損傷が起こり、投球動作をした時や肩周辺を押した際に痛みを感じます。放置したまま投球動作を続けると、骨端線が離開して骨折のような状態になることがあります。
 初めは、投球動作をした時だけの痛みであることが多く、肩の付け根の前方に鈍い痛みがあって速いボールを投げることができなくなります。そのほかの日常動作ではほとんど痛みが出ないのですが、損傷や離開が進行していくと日常の動作でも痛みを訴えるようになります。痛みの範囲は、肩関節を中心に肩甲骨や鎖骨周囲、上腕外側にみられ、前腕に至る場合もあります。
 肩にだるさを感じ、腕が上がらないこともあります。発症初期はみられませんが、症状が進行するとともに、肩周囲の筋肉の委縮を起こす場合があります。
 骨端線は骨を成長させる重要な部分なため、治療せずに放置すると上腕骨の成長障害を起こすことがあり、腕の長さが短くなったり、肩の動きが悪くなったりすることがあります。
 リトルリーグ肩の症状としては、まず一球の投球動作で急に痛みが出ることは少ないので、徐々に痛みがある時は要注意です。
[野球]リトルリーグ肩の検査と診断と治療
 整形外科の医師による診断では、問診をしたり、上腕の内旋運動と外旋運動を強制して関節の動きを調べ、上腕上端部の成長軟骨に沿って圧痛がある場合に、リトルリーグ肩を疑います。
 X線(レントゲン)検査を行い、成長軟骨やその隣接する骨に損傷がみられれば骨端線損傷、いわゆるひびや骨折状態であれば、完全な離断がなくても骨端線離開と確定します。
 整形外科の医師による治療では、安静が基本となります。従って、投球動作の禁止を指示した上で、除痛や消炎目的で消炎鎮痛剤を処方したり、三角巾による固定を行います。また、転位のある骨端線離開では、整復処置とギプス固定などを行う場合もあります。
 固定後約3週間が経過したら、自動運動による運動療法を開始します。骨端線の修復が完成されるのに要する期間は、その損傷の程度により3カ月から6カ月と見なされています。
 修復の完成後にキャッチボールを許可し、完全復帰までは早くても6カ月、場合によっては1年以上を要することもあります。また、スポーツに復帰する場合には、再発防止のために投球フォームなどのスポーツ動作のチェックや指導を行い改善していくことがあります。

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