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■用語 光線角化症 [用語(か行)]

[晴れ]長期間、紫外線を受けて起こる前がん性の皮膚変化
 光線角化症とは、長い年月にわたって日光紫外線を受けたことが原因で起こる前がん性の皮膚変化。日光角化症、老人性角化腫(しゅ)とも呼ばれます。
 日光紫外線を受けやすい顔面、耳、前腕、手の甲の皮膚、頭部に好発します。直射日光を受けて急性に起こるいわゆる日焼けとは異なり、長い年月にわたって慢性的に日光紫外線、特に中波長紫外線を受けることにより表皮細胞のDNAに傷ができるのが、その原因と考えられています。
 日光に含まれる紫外線は肉眼では見えませんが、皮膚に最も大きな影響を与えます。体がビタミンDを作り出すのを助ける働きがあるので、少量ならば紫外線は有益なものの、大量に浴びると遺伝物質であるDNAが損傷を受け、皮膚細胞が作り出す化学物質の量と種類が変わってしまうのです。
 発症者の年齢は、中高年層がほとんど。性差は、やや男性に多い傾向があります。日焼けの際に皮膚に紅斑(こうはん)を生じやすい人のほうが、褐色変化する人よりもなりやすいと見なされています。白色人種に比べて黒色人種、黄色人種では発症率が低く、日本人での発症率については沖縄県が高いという報告もあります。
 症状としては、黄褐色のかさぶたを伴う大きさ1〜3cmの紅褐色の皮疹(ひしん)が現れることが多く、角化した部分はかさかさしたうろこ状となり、ぼろぼろむけます。色が濃くなったり、灰色がかったりすることもあり、触れると硬く感じられます。周囲の皮膚は薄くなり、多少の赤みがあります。皮疹が1カ所だけにできることも、複数の部位にできることもあります。
 軽度のかゆみを訴えるケースもありますが、皮疹以外に自覚症状を来すことはまれ。皮疹は自然に消えることもあれば、同じ部位や別の部位に再発することもあります。
 老人性のいぼと間違いやすいので注意が必要なものの、前がん性の皮膚変化といっても実際に、扁平(へんぺい)上皮がん、または有棘(ゆうきょく)細胞がんにまで発展するケースは、数パーセントにとどまります。
 有棘細胞がんに発展した場合は、治療せず放置していると命にかかわることもあります。
[晴れ]光線角化症の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、光線角化症では、いぼ(脂漏性角化症あるいは尋常性疣贅〔ゆうぜい〕)などと紛らわしいことがありますので、疑わしい場合は病変の一部を切り取って組織検査をする皮膚生検を行います。
 組織所見に基づいて、光線角化症を委縮性、ボーエン病様、棘(きょく)融解性、肥厚性、色素性に分類することもあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、通常、局所麻酔は行わず、液体窒素を浸した綿棒などを病変に押し付けて凍結、壊死させて除去する凍結療法を施します。簡便な処置法ですが、凍結時にかなり強い痛みを伴います。また、多くの場合、数回の処置が必要となります。
 高齢者や角化部分の多発例では、液体窒素による凍結療法やCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)照射なども行います。
 角化傾向の強い病変の場合や、有棘細胞がんに発展している可能性がある場合は、局所麻酔を行い、病変をメスで切除する外科切除を施します。
 薬物療法として、抗がん剤の1種であるフルオロウラシル入りのローションやクリーム、またはイミキモド(ベセルナクリーム)を病変に塗ることもあります。フルオロウラシル入りのローションやクリームは、1日2回単純に塗布するか、1日1回塗布後にラップ類で密封します。イミキモドは、1日1回、週3回、自分で患部に直接塗布します。薬物療法は、塗り薬の副作用で皮膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがありますが、治療に伴うものであるため頻度を調節して継続します。
 治療後も、外科切除の取り残しがないことや再発の有無をみるため、定期的な経過観察が必要です。
 日常生活での注意点としては、一見正常にみえる皮膚も日光紫外線のダメージをすでに受けているので、新たな病巣を生じないためにも、サンスクリーンを使用するとともに帽子などで直射日光を避けるようにします。日光の紫外線が最も強いのは、1日の中では午前10時から午後3時までの日中、季節では夏、地域では海抜の高い場所です。

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■用語 形質細胞性口唇炎 [用語(か行)]

[キスマーク]良性の慢性炎症性疾患が口唇にできたもの
 形質細胞性口唇炎とは、開口部形質細胞症と呼ばれる良性の慢性炎症性疾患が口唇にできたもの。
 開口部形質細胞症は、口唇、頬(ほお)粘膜、歯肉、男性外陰部、女性性器など人体の開口部に、浮腫(ふしゅ)性変化や暗紅色のびらん、痂皮(かひ)などの症状が認められる珍しい疾患です。そして、この開口部形質細胞症の中でも特に口唇に発生するものは、形質細胞性口唇炎と呼ばれています
 珍しい疾患で、症状の現れ方は他の一般的な口唇炎と異なる特徴を持ちます。慢性的な炎症により、口唇がむくんだり、はれたり、出血を繰り返したりします。このため、口唇には1ミリ大ほどの境界明瞭(めいりょう)で出血と痂皮、すなわち、かさぶたを伴う暗紅色のびらんが混在するようになります。
 びらんに触っても痛みはありませんが、かゆみを認めます。また、かさぶたを除去した際には、除去部より出血を認めます。
 形質細胞性口唇炎の発生する部位は下唇が圧倒的に多く、上唇のみに発生するケース、上下唇に併発するケースはまれです。男女の性差はほとんどなく、年齢は50歳代以降に好発し平均は62歳であったという報告もあります.
 繰り返される外的な刺激、加齢による口唇粘膜の弾性線維の変性、内分泌による影響、あるいは高血圧症、糖尿病などの全身疾患が原因として挙げられていますが、明確な発症メカニズムは解明されていません。
[キスマーク]形質細胞性口唇炎の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、口唇の一部を採取して顕微鏡で調べる生検を行うことで、粘膜固有層や皮膚真皮層に形質細胞の浸潤が認められれば、形質細胞性口唇炎と確定します。
 口の中にいる一般的なカビであるカンジダや細菌、ウイルスなどの感染を伴うことが疑われる場合には、口唇の表皮や拭(ぬぐ)い液を培養し、病原体を特定する検査を行うこともあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、形質細胞性口唇炎の治療法が確立していないため、一般的にステロイド軟こうの塗布やステロイドの局所注射を行います。
 タクロリムス軟こうなどの非ステロイド軟こうの塗布、グリセオフルビンなどの抗真菌薬軟こうの塗布、インターフェロンなどの抗ウイルス薬の局所注射、放射線療法、電気焼灼(しょうしゃく)、外科的療法としての全切除を行うこともあります。
 さらに、口唇に感染症を伴っている場合には、抗生物質(抗菌剤)、抗ウイルス薬、抗真菌薬など、それぞれの病原体に適した塗り薬や内服薬を使用します。

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■用語 溝状舌 [用語(か行)]

[キスマーク]舌の表面に多数の溝が形成されている状態
 溝状舌(こうじょうぜつ)とは、舌の表面に多数の溝(みぞ)が形成されている状態で、しばしば左右の側面に対称的に溝が生じます。皺襞舌(しゅうへきぜつ)とも呼ばれます。
 ほとんどは先天性で、染色体の異常によって生じるダウン症候群では80%に確認されます。一方で何らかの全身疾患の症状として生じることもあり、虫歯が悪化して発症するメルカーソン・ローゼンタール症候群では前兆現象として出現することもあります。
 舌の表面に溝、あるいは亀裂(きれつ)、しわができる原因は、わかっていません。人によって舌にできる溝の数や走行方向、深さなどに違いがあり、特定の形状の溝ができるという法則がないことが一因として考えられます。
 溝状舌には、遺伝性である先天性溝状舌と、全身疾患や外傷感染、口腔(こうくう)乾燥などが原因で生じる後天性溝状舌があります。
 ほとんどが先天性溝状舌とされており、これは形成異常、奇形、変型症といった疾患に分類されます。
 一方、後天性溝状舌は、小児期にはまれで、青年期で増加して症状も顕著になり、老年期が最も多く、加齢とともに頻度が上昇するのが特徴です。
 後天性溝状舌は、舌炎や外傷、ビタミン欠乏症、メルカーソン・ローゼンタール症候群などの全身疾患に付随して起こることもあります。メルカーソン・ローゼンタール症候群では、再発性顔面神経まひ、肉芽腫(にくげしゅ)性口唇炎とともに溝状舌を併発することがあります。高齢者では、免疫力や唾液(だえき)分泌量の低下による口腔衛生状況の悪化が切っ掛けで、発症しやすくなるともいわれています。
 舌の表面の形成異常のためほぼ無症状で、発声、味覚、嚥下(えんげ)機能などの舌の諸機能に対する影響もありません。
 溝状舌による溝は幅が狭く、安静時には溝が密着しているため、歯磨きやうがいによる清掃が不十分だと細菌の増殖や炎症などが生じ、口臭、痛み、味覚障害や運動障害が生じる場合があります。
 また、舌ブラシで舌の表面を強くこすりすぎて粘膜を損傷したために、痛みが生じる場合もあります。舌の表面の粘膜にある多数の微小な小突起である舌乳頭の発達が不良で、舌の表面に淡紅色の地図のような1ミリから3ミリの模様が見られる地図状舌を合併していることも多く見受けられます。
[サーチ(調べる)]溝状舌の検査と診断と治療
 歯科口腔外科、口腔内科などの医師による診断では、舌の表面に特徴的な形成異常が出現するため、基本的には視診と問診を実施します。
 ほとんどの場合では、組織の一部を採取し顕微鏡で調べる生検は不要とされていますが、全身疾患の関与が考えられる場合や、症状がひどい場合には、生検を実施することもあります。
 歯科口腔外科、口腔内科などの医師による治療では、症状がない場合の溝状舌は正常範囲と考え、処置を施しません。
 しかし、溝に舌苔(ぜったい)がたまって細菌が付着しやすいため、日ごろから溝の内部が不潔にならないように、舌ブラシなどを用いて舌の表面を清掃したり、マウスウォッシュ(洗口液)を用いて口腔内の清潔を保つことが重要です。
 炎症のため症状がある場合には、殺菌効果のあるうがい薬(イソジンガーグルなど)が効果的です。

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■用語 急性音響性難聴 [用語(か行)]

[耳]極めて大きな音により急性に引き起こされる音響性聴力障害
 急性音響性難聴とは、極めて大きな音を急に聞くことで引き起こされる聴力障害。音響外傷と呼ばれることもあります。
 音量の大きな音楽を演奏するロックバンドのライブコンサートやショー、イベントなどの数時間の観覧、ヘッドホンやイヤホンを介した大音量での長時間の音楽鑑賞が原因となって、若い人に症状が起こることもあり、ロック難聴やヘッドホン難聴と呼ばれることもあります。
 また、祝賀用の爆竹の破裂音、花火の破裂音、ピストルの発砲音を繰り返し聞く、大音量の爆発音を何度も聞く、工場の機械の瞬間的に生じた大きな作動音を聞くことでも、急性音響性難聴の症状が起こります。 
 音は空気の振動によって、外耳道から鼓膜を介して中耳へと伝わります。中耳にある骨が振動すると内耳へと情報が伝わり、内耳の中の蝸牛(かぎゅう)にあるリンパ液が振動を受けます。この振動を有毛細胞と呼ばれる感覚細胞が感知することで、脳へと音の情報が伝わります。
 急性音響性難聴は、一定レベルを超える大音量にさらされることにより、音を感知する有毛細胞が障害を受けることで発症します。
 症状は、音が聞こえにくくなる難聴、耳鳴り、耳が詰まったり、こもったりする感じが生じる耳閉感、耳の痛みです。めまいや吐き気を伴うこともあります。
 音が聞こえにくくなる難聴の場合、音全般が聞こえにくくなったり、低音だけ聞こえが悪くなったりなど症状はさまざまです。
 症状は一時的に起こり、自然に回復する場合もあります。また、音の発生源に近いほうの耳だけに、症状が起こることもあります。
 軽度のものであれば音から離れることで症状が改善しますが、重篤な場合には難聴や耳鳴りが永続化してしまうこともあります。
 大音量にさらされた後、難聴、耳鳴りなどの症状が続く場合は、早めに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診してください。
[耳]急性音響性難聴の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、大きな音にさらされたという情報が有益になります。
 検査としては、まずは耳の中をのぞくことができる耳鏡を使って、鼓膜に穴が開く鼓膜穿孔(せんこう)がないかを確かめます。次に、耳の聞こえが低下していることを確認するために、純音聴力検査を行います。さまざまな振動数の音がどれくらい聞こえているかを調べる検査で、左右それぞれの耳で行います。状況によっては、めまいに関する検査をすることもあります。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、耳の神経の修復を助けるホルモン剤、ビタミン剤、循環改善剤などを用いることがあります。状況によっては、ステロイド剤を使うこともあります。
 難聴の程度が軽く、早期に治療を始めた場合には、回復する可能性があります。
 難聴の症状が固定すると、症状を完全に回復させることが難しい場合もあるため、音を聞く際には適度に休憩をとるなど予防策を講じることが大切です。
 イヤホンで音楽を聞く際には、音量を大きくしすぎず、長時間にわたって聞かないようにします。また、ライブコンサートなどの観覧に際しては、会場の音が強いと感じるようであればその場から離れたり、耳栓を使用したりするなど耳を保護する対策を講じることが重要です。
 耳の神経は疲れやストレスの影響を受けるため、心身の安静を保つことも必要です。規則正しい生活を送り、ストレスをため込まないことが大切。

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