■病気 結核 [病気(け)]
結核菌による感染症で、2万5000人が発症
結核とは、結核菌によって主に肺に炎症を起こす感染症。昔の疾患、あるいは発展途上国の疾患と考えられがちですが、日本では2007年の1年間で2万5000人余が新たに発症し、約1割の人が亡くなっています。
明治時代から昭和20年代にかけて、長らく死因のトップで国民病、亡国病とも呼ばれていた結核も、国を挙げて予防や治療に取り組んで死亡者は激減しましたが、現在でも決して発症者数の少ない感染症ではありません。人口10万人当たり発症者は19・8人と、米独仏伊などの10人以下に比べて高く、世界保健機関(WHO)の分類では、中まん延国とされています。
人口10万人当たり10人以下の低まん延国になるには10年以上、日本から結核を根絶できるまでには50年以上かかるだろうという予測もあります。結核をなかなか根絶できないのは、結核菌がしぶとい菌だからです。世界に目を転じれば、結核はアジアやアフリカで猛威を奮い、2006年には165万人が命を落としています。
日本の結核を巡る状況は、新しい時代に移りました。2005年4月1日に結核予防法がおよそ50年ぶりに改正され、乳幼児へのツベルクリン反応検査は廃止され、BCG接種を生後6カ月までに行うこととなり、定期結核健診の対象も変更されました。
一方、結核の抱える問題は多様化し、発症者の高齢化、都市部への集中、重症発症の増加などが認められるほか、集団感染の発生もなかなか減らず、20年前と比べて20、30歳代の発症者の減り方が他の世代に比べて鈍くなっています。
現在の高齢者は若い頃に結核流行時を経験しているため、すでに結核に感染している人が多く、体力と免疫力が低下した時に、眠っていた結核菌が目を覚まして増殖し始め、結核を発症しやすくなります。2007年の発症者のうち、70歳以上が48パーセントを占めています。
反対に、若い世代の多くは結核菌に未感染のため、結核菌を吸い込むと感染しやすく、比較的早い時期に発症する危険があります。さらに、若年層で増加するエイズ(AIDS、免疫不全症候群)と結核感染が重なると死期を早めるため、十分な注意が必要です。
結核に感染しても、必ず発症するわけではありません。発症する確率は、10人に1人程度です。通常は免疫機能が働いて、結核菌の増殖を抑えます。ただ、免疫力だけでは結核菌を殺すことはできないので、高齢になって免疫力が弱まると発症するというケースが増えているのです。免疫力の弱い乳幼児も、発症しやすくなります。
結核は、結核の発症者と接触してもそれほど簡単に感染することはありません。結核の感染は、次の4つの条件がそろうことによって決まります。
(1)感染源となる重症の発症者の、たんの中に結核菌が出ていること。たんを塗抹して調べたら、大量の菌がみられたという塗抹陽性の場合が、特に危険です。
(2)重症の発症者が激しいせきをしていること。結核菌は、せきをした際に飛び散る、飛沫(ひまつ)の中に含まれています。せきがなければ、結核菌が外に飛び散ることはめったにありません。
(3)感染を受ける側の人は、今までに結核に感染していないこと。なぜなら、すでに一度、結核に感染している人が再び感染する再感染および重感染は、普通まずあり得ないからです。
(4)感染源の発症者と感染を受ける人が、ある程度の距離で接触していること。結核は空気感染するといわれています。せき、あるいは、くしゃみの時に飛び散った飛沫の液体成分が蒸発すると、中にあった菌は裸の状態となります。こうなると軽いので、空気の流れに乗って思わぬ遠いところにいる人が感染することもあります。しかし、普通は話をする程度の距離で接触した場合に感染することが多いようです。
食べ物や食器を通して、結核が伝染することはありません。たんの中に結核菌を出していない軽症の発症者から、感染を受ける恐れもありません。重症の発症者でも結核の薬を飲み始めると、たんの中の菌は激減しますので、せきが止まれば周囲の人が感染を受ける危険性は少なくなります。
結核の約8割を占める肺結核の症状は、せき、たん、微熱、体重減少、胸痛、血痰(けったん)など。せきは最も多くて、80パーセントの肺結核発症者が訴えています。病状はゆっくり進行するので、初めは喫煙、風邪の名残、あるいは喘息(ぜんそく)が原因ではないかと思っているうちに、朝、せきをすると黄色や緑色のたんが出るようになり、やがて血液の筋が混じるようになります。たんに大量の血液が混じることは、まれです。
夜中におびただしい量の寝汗が出ることも、もう1つの症状です。汗が大量で、寝間着や寝具まで取り換えなければならないこともあります。ただし、寝汗は結核だけに特有のものではありません。せきと寝汗に加えて、全体的に気分が優れず、元気や食欲もなくなってきます。少したってから、体重も減少してきます。
急に息切れがして胸痛がある場合は、肺と胸壁の間に空気(気胸)または水(胸水)がたまっている徴候です。結核の約3分の1は、胸水から症状が始まります。放置すると、感染が肺に広がるにつれて息切れが強くなります。
新しい結核感染症の場合、菌は肺から付近のリンパ節まで移動します。体の自然な免疫機能が感染症を制御できれば、そこで感染症は止まり、菌は休眠状態になります。ところが、乳幼児の場合は自然の免疫機能が万全でないため、気管支や動脈、静脈が肺に入っていく部分の肺門にあって、肺のリンパ液の大部分が集められて流れ込んくる肺門リンパ節に結核性病巣ができて、大きくはれます。気管を圧迫し、高い音の空せきが出て、場合によっては肺虚脱まで起こることがあります。
また、リンパ管を伝って首のリンパ節まで感染症が広がる頸部(けいぶ)リンパ節結核になることもあり、はれたリンパ節から膿(うみ)が皮膚を破って出てきます。
肺以外の結核、すなわち肺外結核は、結核菌が血管を通って全身にばらまかれ、そこに病巣を作る粟粒(ぞくりゅう)結核によって起こります。肺外結核は腎(じん)臓とリンパ節に起こるものが最も多く、骨、脳、腹腔(ふくこう)、心膜、関節、生殖器にも起こります。疲労、食欲不振、時々出る熱、発汗、時に体重減少がある以外は症状に乏しく、結核が生じた部位によって痛みや不快感があったり、なかったりします。
脳や脊髄(せきずい)を包む髄膜に感染する結核性髄膜炎は、致死的な病気です。発熱、持続する頭痛などの症状で始まり、やがて嘔吐(おうと)、意識障害など重篤な症状を呈します。早い時期に強力な治療を始めないと、まひ、認知症など重大な後遺症を残すことがあり、救命できない場合も少なくありません。
結核は脳に感染することもあり、結核腫(しゅ)という病巣ができることがあります。結核腫は、頭痛、けいれん発作、筋肉脱力感などの症状を起こします。結核性心膜炎は、心膜を侵す結核です。この感染が起こると心膜が厚くなり、心臓と心膜の間に水がたまります。こうなると、心臓のポンプ機能が損なわれ、頸静脈がふくれ、呼吸が苦しくなります。
結核予防のためのBCG接種を受けていない人の場合には、結核への初めての感染に引き続いて肺門リンパ節がはれたり、4~5カ月で結核性髄膜炎になるなど、比較的早期に発症することが少なくありません。
BCG接種を受けている人の場合には、結核性髄膜炎など重い疾患は約80パーセント、肺結核は約50パーセント防止できますので、発症率はずっと低くなります。たとえ発症しても、感染後6カ月くらいたってからのことが多く、病状自体も軽くすみます。
ただし、BCGの効果は絶対的なものではないので、発症を完全に防ぐわけではないこと、一度感染を受けると、3~5年の間は大丈夫でも、もっと後になって発病することがあることを知っておいてください。
結核の検査と診断と治療
せき、たん、微熱、体重減少、胸痛、血痰などの症状が出た時、特に2週間以上たっても治らない時、あるいは治ったと思っても繰り返す時には、風邪をこじらせたか、あるいは結核も含めた何らかの呼吸器感染症かもしれないので、念のため、検査することが勧められます。
結核の感染を調べるには、ツベルクリン反応検査とQFT(クオンティフェロンTBー2G)検査が行われます。ツベルクリン反応検査だけでは、結核菌に感染したのか、類似の非結核性抗酸菌に感染したのか、BCG接種の影響であるのかを区別できません。QFT検査はより精度が高く、2006年1月1日から保険適用されています。
結核の発症を調べるには、胸部X線検査が行われます。X線撮影では、白黒が反転して映ります。肺は空気が多いためX線を通しやすく、全体に明るく(=黒く)映ります。この肺の中に暗く(=白く)映る影があれば、何らか異常があると考えられます。
結核菌の質を調べるには、喀痰(かくたん)検査が行われます。たんを顕微鏡で見て細菌を調べたり、菌の一部を培養したりして、菌の種類を見極めます。
結核を発症したとしても、せき、たんと共に結核菌が空気中に吐き出されていない場合は、他の人に感染させる心配はありませんので、入院しなくても通院で治療ができます。医師による治療の基本は、服薬です。1944年にストレプトマイシンが開発されて以降、続々と抗結核薬が開発され、今では10種類以上の抗結核薬があります。このため結核の治療は、昔とは比べものにならないほど進歩しました。
とりわけリファンピシンという薬ができてから、治療成績はまた一段とよくなりました。リファンピシンはほかの薬に比べ、殺菌力が非常に強いからです。今では特別に重症や高齢の患者でない限り、肺結核患者は100パーセント治すことができるといえるほどです。
治療では普通、最初の2カ月間はリファンピシン、ヒドラジド、ピラジナミド、エタンブトールまたはストレプトマイシンの4種類の薬を使い、その後はリファンピシンとヒドラジドの2種類、または、エタンブトールを加えた3種類の薬にし、合計6カ月で治療を完了します。
ピラジナミドを初め2カ月間使うと殺菌力が強く有効ですが、80歳以上の高齢者や肝機能障害のある人には使えません。この場合には、治療は6カ月では短すぎ、最も短くて9カ月の治療が必要です。
たんの中に結核菌が出ていず、結核菌が増殖する病巣である空洞が胸部X線検査でも見えない軽症の場合にも、同じ治療が進められます。最近はヒドラジドの耐性が増えているので、初めから2つの薬だけで治療することは進められず、少なくとも最初は3つの薬で治療することが必要です。
結核の服薬治療で大切なことは、以下の3点になります。
(1)薬を確実に服用すること。結核が治るようになったのは、抗結核薬ができたからで、結核という疾患が変わったわけではありません。薬を飲まなければ昔と同じで、結核は非常に恐ろしい疾患であることに変わりはありません。せきが治まったからといって治療の途中で薬をやめてしまうと、菌は薬への耐性を増し、時に薬の効かない多剤耐性菌になることがありますので、医師の指示を守って服薬を続けてください。
(2)必ず全部の薬を飲むこと。結核の治療は2種類または3~4種類の薬を同時に使うことが原則です。どれかを飲むのを忘れ、例えば1種類だけの薬を服用すると、その薬に対し、結核菌が耐性になり、効かなくなってしまうことがあります。こうして一度効かなくなってしまうと、元には戻りません。抗結核薬のうち最も強力で副作用が少ないのがリファンピシンとヒドラジドで、このどちらかに耐性をつけてしまうと治療は難しくなりますし、副作用の多い薬を飲まなければならなくなります。全部の薬を必ず飲むことが必要です。
(3)最初の2カ月間の薬の服用を特に大切にすること。もちろん、6カ月ないし12カ月、場合によってはもっと長期間の服薬はすべて確実に行うことが大切ですが、特に最初の2カ月間の服薬がポイントです。初めのうち、疾患発見のショックや、胃腸の調子が悪いなどのために、服薬が不確実になることが少なくありません。しかし、病巣内には多数の結核菌がいますので、強力な治療が必要。初めにいい加減に飲んでいては、後になって一生懸命に飲んでも、病巣は治りにくくなり耐性ができたりしますので、初めのマイナスは取り戻せないのです。抗結核薬の服用は副作用を伴うこともあるので、疑問があれば小さなことでも主治医に相談してください。
なお、結核は継続して治療が受けられるように、2005年4月1日に改正された結核予防法に基づく結核医療費公費負担制度により、治療が公費により負担される場合があります。このような負担制度の詳細につきましては、最寄りの保健所に相談してください。
改正された結核予防法では、高齢者や、大都市などの特定地域に発症者が集中している状況に対応するため、集団から個々のリスクに応じた、予防・治療中心の対策を中心としています。具体的には、リスクに応じた健康診断の実施、乳幼児期のツベルクリン反応検査を廃止しBCGの直接接種の導入、DOTS(ドッツ、直接服薬確認療法)体制の強化、国・都道府県による結核予防計画の策定、といった内容が盛り込まれています。
DOTSとは、服薬を確実にするために、確実に服薬したことをチェックしながら行う治療法です。チェックは、看護師、保健師、薬剤師など実情に応じてさまざまな医療従事者により、いろいろな方法で行われています。治療の途中で服薬を止めてしまうのを防ぐためにもDOTSは有効で、入院患者に対する院内DOTSから始めて、退院者への手厚いケアを行う地域DOTSの必要も叫ばれています。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
結核とは、結核菌によって主に肺に炎症を起こす感染症。昔の疾患、あるいは発展途上国の疾患と考えられがちですが、日本では2007年の1年間で2万5000人余が新たに発症し、約1割の人が亡くなっています。
明治時代から昭和20年代にかけて、長らく死因のトップで国民病、亡国病とも呼ばれていた結核も、国を挙げて予防や治療に取り組んで死亡者は激減しましたが、現在でも決して発症者数の少ない感染症ではありません。人口10万人当たり発症者は19・8人と、米独仏伊などの10人以下に比べて高く、世界保健機関(WHO)の分類では、中まん延国とされています。
人口10万人当たり10人以下の低まん延国になるには10年以上、日本から結核を根絶できるまでには50年以上かかるだろうという予測もあります。結核をなかなか根絶できないのは、結核菌がしぶとい菌だからです。世界に目を転じれば、結核はアジアやアフリカで猛威を奮い、2006年には165万人が命を落としています。
日本の結核を巡る状況は、新しい時代に移りました。2005年4月1日に結核予防法がおよそ50年ぶりに改正され、乳幼児へのツベルクリン反応検査は廃止され、BCG接種を生後6カ月までに行うこととなり、定期結核健診の対象も変更されました。
一方、結核の抱える問題は多様化し、発症者の高齢化、都市部への集中、重症発症の増加などが認められるほか、集団感染の発生もなかなか減らず、20年前と比べて20、30歳代の発症者の減り方が他の世代に比べて鈍くなっています。
現在の高齢者は若い頃に結核流行時を経験しているため、すでに結核に感染している人が多く、体力と免疫力が低下した時に、眠っていた結核菌が目を覚まして増殖し始め、結核を発症しやすくなります。2007年の発症者のうち、70歳以上が48パーセントを占めています。
反対に、若い世代の多くは結核菌に未感染のため、結核菌を吸い込むと感染しやすく、比較的早い時期に発症する危険があります。さらに、若年層で増加するエイズ(AIDS、免疫不全症候群)と結核感染が重なると死期を早めるため、十分な注意が必要です。
結核に感染しても、必ず発症するわけではありません。発症する確率は、10人に1人程度です。通常は免疫機能が働いて、結核菌の増殖を抑えます。ただ、免疫力だけでは結核菌を殺すことはできないので、高齢になって免疫力が弱まると発症するというケースが増えているのです。免疫力の弱い乳幼児も、発症しやすくなります。
結核は、結核の発症者と接触してもそれほど簡単に感染することはありません。結核の感染は、次の4つの条件がそろうことによって決まります。
(1)感染源となる重症の発症者の、たんの中に結核菌が出ていること。たんを塗抹して調べたら、大量の菌がみられたという塗抹陽性の場合が、特に危険です。
(2)重症の発症者が激しいせきをしていること。結核菌は、せきをした際に飛び散る、飛沫(ひまつ)の中に含まれています。せきがなければ、結核菌が外に飛び散ることはめったにありません。
(3)感染を受ける側の人は、今までに結核に感染していないこと。なぜなら、すでに一度、結核に感染している人が再び感染する再感染および重感染は、普通まずあり得ないからです。
(4)感染源の発症者と感染を受ける人が、ある程度の距離で接触していること。結核は空気感染するといわれています。せき、あるいは、くしゃみの時に飛び散った飛沫の液体成分が蒸発すると、中にあった菌は裸の状態となります。こうなると軽いので、空気の流れに乗って思わぬ遠いところにいる人が感染することもあります。しかし、普通は話をする程度の距離で接触した場合に感染することが多いようです。
食べ物や食器を通して、結核が伝染することはありません。たんの中に結核菌を出していない軽症の発症者から、感染を受ける恐れもありません。重症の発症者でも結核の薬を飲み始めると、たんの中の菌は激減しますので、せきが止まれば周囲の人が感染を受ける危険性は少なくなります。
結核の約8割を占める肺結核の症状は、せき、たん、微熱、体重減少、胸痛、血痰(けったん)など。せきは最も多くて、80パーセントの肺結核発症者が訴えています。病状はゆっくり進行するので、初めは喫煙、風邪の名残、あるいは喘息(ぜんそく)が原因ではないかと思っているうちに、朝、せきをすると黄色や緑色のたんが出るようになり、やがて血液の筋が混じるようになります。たんに大量の血液が混じることは、まれです。
夜中におびただしい量の寝汗が出ることも、もう1つの症状です。汗が大量で、寝間着や寝具まで取り換えなければならないこともあります。ただし、寝汗は結核だけに特有のものではありません。せきと寝汗に加えて、全体的に気分が優れず、元気や食欲もなくなってきます。少したってから、体重も減少してきます。
急に息切れがして胸痛がある場合は、肺と胸壁の間に空気(気胸)または水(胸水)がたまっている徴候です。結核の約3分の1は、胸水から症状が始まります。放置すると、感染が肺に広がるにつれて息切れが強くなります。
新しい結核感染症の場合、菌は肺から付近のリンパ節まで移動します。体の自然な免疫機能が感染症を制御できれば、そこで感染症は止まり、菌は休眠状態になります。ところが、乳幼児の場合は自然の免疫機能が万全でないため、気管支や動脈、静脈が肺に入っていく部分の肺門にあって、肺のリンパ液の大部分が集められて流れ込んくる肺門リンパ節に結核性病巣ができて、大きくはれます。気管を圧迫し、高い音の空せきが出て、場合によっては肺虚脱まで起こることがあります。
また、リンパ管を伝って首のリンパ節まで感染症が広がる頸部(けいぶ)リンパ節結核になることもあり、はれたリンパ節から膿(うみ)が皮膚を破って出てきます。
肺以外の結核、すなわち肺外結核は、結核菌が血管を通って全身にばらまかれ、そこに病巣を作る粟粒(ぞくりゅう)結核によって起こります。肺外結核は腎(じん)臓とリンパ節に起こるものが最も多く、骨、脳、腹腔(ふくこう)、心膜、関節、生殖器にも起こります。疲労、食欲不振、時々出る熱、発汗、時に体重減少がある以外は症状に乏しく、結核が生じた部位によって痛みや不快感があったり、なかったりします。
脳や脊髄(せきずい)を包む髄膜に感染する結核性髄膜炎は、致死的な病気です。発熱、持続する頭痛などの症状で始まり、やがて嘔吐(おうと)、意識障害など重篤な症状を呈します。早い時期に強力な治療を始めないと、まひ、認知症など重大な後遺症を残すことがあり、救命できない場合も少なくありません。
結核は脳に感染することもあり、結核腫(しゅ)という病巣ができることがあります。結核腫は、頭痛、けいれん発作、筋肉脱力感などの症状を起こします。結核性心膜炎は、心膜を侵す結核です。この感染が起こると心膜が厚くなり、心臓と心膜の間に水がたまります。こうなると、心臓のポンプ機能が損なわれ、頸静脈がふくれ、呼吸が苦しくなります。
結核予防のためのBCG接種を受けていない人の場合には、結核への初めての感染に引き続いて肺門リンパ節がはれたり、4~5カ月で結核性髄膜炎になるなど、比較的早期に発症することが少なくありません。
BCG接種を受けている人の場合には、結核性髄膜炎など重い疾患は約80パーセント、肺結核は約50パーセント防止できますので、発症率はずっと低くなります。たとえ発症しても、感染後6カ月くらいたってからのことが多く、病状自体も軽くすみます。
ただし、BCGの効果は絶対的なものではないので、発症を完全に防ぐわけではないこと、一度感染を受けると、3~5年の間は大丈夫でも、もっと後になって発病することがあることを知っておいてください。
結核の検査と診断と治療
せき、たん、微熱、体重減少、胸痛、血痰などの症状が出た時、特に2週間以上たっても治らない時、あるいは治ったと思っても繰り返す時には、風邪をこじらせたか、あるいは結核も含めた何らかの呼吸器感染症かもしれないので、念のため、検査することが勧められます。
結核の感染を調べるには、ツベルクリン反応検査とQFT(クオンティフェロンTBー2G)検査が行われます。ツベルクリン反応検査だけでは、結核菌に感染したのか、類似の非結核性抗酸菌に感染したのか、BCG接種の影響であるのかを区別できません。QFT検査はより精度が高く、2006年1月1日から保険適用されています。
結核の発症を調べるには、胸部X線検査が行われます。X線撮影では、白黒が反転して映ります。肺は空気が多いためX線を通しやすく、全体に明るく(=黒く)映ります。この肺の中に暗く(=白く)映る影があれば、何らか異常があると考えられます。
結核菌の質を調べるには、喀痰(かくたん)検査が行われます。たんを顕微鏡で見て細菌を調べたり、菌の一部を培養したりして、菌の種類を見極めます。
結核を発症したとしても、せき、たんと共に結核菌が空気中に吐き出されていない場合は、他の人に感染させる心配はありませんので、入院しなくても通院で治療ができます。医師による治療の基本は、服薬です。1944年にストレプトマイシンが開発されて以降、続々と抗結核薬が開発され、今では10種類以上の抗結核薬があります。このため結核の治療は、昔とは比べものにならないほど進歩しました。
とりわけリファンピシンという薬ができてから、治療成績はまた一段とよくなりました。リファンピシンはほかの薬に比べ、殺菌力が非常に強いからです。今では特別に重症や高齢の患者でない限り、肺結核患者は100パーセント治すことができるといえるほどです。
治療では普通、最初の2カ月間はリファンピシン、ヒドラジド、ピラジナミド、エタンブトールまたはストレプトマイシンの4種類の薬を使い、その後はリファンピシンとヒドラジドの2種類、または、エタンブトールを加えた3種類の薬にし、合計6カ月で治療を完了します。
ピラジナミドを初め2カ月間使うと殺菌力が強く有効ですが、80歳以上の高齢者や肝機能障害のある人には使えません。この場合には、治療は6カ月では短すぎ、最も短くて9カ月の治療が必要です。
たんの中に結核菌が出ていず、結核菌が増殖する病巣である空洞が胸部X線検査でも見えない軽症の場合にも、同じ治療が進められます。最近はヒドラジドの耐性が増えているので、初めから2つの薬だけで治療することは進められず、少なくとも最初は3つの薬で治療することが必要です。
結核の服薬治療で大切なことは、以下の3点になります。
(1)薬を確実に服用すること。結核が治るようになったのは、抗結核薬ができたからで、結核という疾患が変わったわけではありません。薬を飲まなければ昔と同じで、結核は非常に恐ろしい疾患であることに変わりはありません。せきが治まったからといって治療の途中で薬をやめてしまうと、菌は薬への耐性を増し、時に薬の効かない多剤耐性菌になることがありますので、医師の指示を守って服薬を続けてください。
(2)必ず全部の薬を飲むこと。結核の治療は2種類または3~4種類の薬を同時に使うことが原則です。どれかを飲むのを忘れ、例えば1種類だけの薬を服用すると、その薬に対し、結核菌が耐性になり、効かなくなってしまうことがあります。こうして一度効かなくなってしまうと、元には戻りません。抗結核薬のうち最も強力で副作用が少ないのがリファンピシンとヒドラジドで、このどちらかに耐性をつけてしまうと治療は難しくなりますし、副作用の多い薬を飲まなければならなくなります。全部の薬を必ず飲むことが必要です。
(3)最初の2カ月間の薬の服用を特に大切にすること。もちろん、6カ月ないし12カ月、場合によってはもっと長期間の服薬はすべて確実に行うことが大切ですが、特に最初の2カ月間の服薬がポイントです。初めのうち、疾患発見のショックや、胃腸の調子が悪いなどのために、服薬が不確実になることが少なくありません。しかし、病巣内には多数の結核菌がいますので、強力な治療が必要。初めにいい加減に飲んでいては、後になって一生懸命に飲んでも、病巣は治りにくくなり耐性ができたりしますので、初めのマイナスは取り戻せないのです。抗結核薬の服用は副作用を伴うこともあるので、疑問があれば小さなことでも主治医に相談してください。
なお、結核は継続して治療が受けられるように、2005年4月1日に改正された結核予防法に基づく結核医療費公費負担制度により、治療が公費により負担される場合があります。このような負担制度の詳細につきましては、最寄りの保健所に相談してください。
改正された結核予防法では、高齢者や、大都市などの特定地域に発症者が集中している状況に対応するため、集団から個々のリスクに応じた、予防・治療中心の対策を中心としています。具体的には、リスクに応じた健康診断の実施、乳幼児期のツベルクリン反応検査を廃止しBCGの直接接種の導入、DOTS(ドッツ、直接服薬確認療法)体制の強化、国・都道府県による結核予防計画の策定、といった内容が盛り込まれています。
DOTSとは、服薬を確実にするために、確実に服薬したことをチェックしながら行う治療法です。チェックは、看護師、保健師、薬剤師など実情に応じてさまざまな医療従事者により、いろいろな方法で行われています。治療の途中で服薬を止めてしまうのを防ぐためにもDOTSは有効で、入院患者に対する院内DOTSから始めて、退院者への手厚いケアを行う地域DOTSの必要も叫ばれています。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
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■病気 月経痛 [病気(け)]
女性の誰にでもある月経痛
「月経痛」は、程度の差こそあっても、ほとんどの女性が悩まされるものです。月経が始まる2〜4日前から月経中にかけて起こる下腹痛、腰痛、頭痛、下痢などの症状を総じて、月経痛と呼びます。多くの人の場合、月経が始まった1〜2日目が痛みのピーク。
月経とは、卵巣から出るホルモンの働きにより、子宮の内側にある子宮内膜がはがれ落ちて起こる出血のこと。毎月、一定の周期で行われ、卵子が受精しなかったために、不要になった子宮内膜がはがれ、子宮口から血液とともに排出されます。
この月経時には、プロスタグランディンというホルモンが子宮内膜で作り出され、子宮の筋肉を収縮させて、子宮内にたまった月経血の排出を促す働きをします。本来、プロスタグランディンとは、出産に際して大量に分泌されて陣痛を起こすものであり、子宮はたとえ妊娠していなくても、出産用のホルモンの分泌により、毎回、陣痛のような収縮を行っているのです。
月経に際して、このプロスタグランディンの分泌量が多いと、子宮の収縮が強くなり、月経痛がひどくなります。不規則な生活やストレスによって、ホルモンのバランスが乱れたり、骨盤内の血液循環が悪くなると、症状が重くなるケースもあります。
また、夏より冬のほうが、月経痛が激しくなります。月経痛は子宮の収縮によって起こるもので、子宮は筋肉でできています。寒い冬は筋肉が縮こまり、体がスムーズに動くのに時間がかかるのと同じような原理で、子宮の動きも収縮がスムーズにゆかず、痛みを強く感じるのです。加えて、冬は毛細血管まで血液が届くのが遅くなり、体が冷えると痛みが起こりやすくなります。
女性が一度出産すると、子宮の入り口が広がって、月経血がスムーズに出やすくなるため、月経痛が軽くなる人がほとんどです。妊娠、出産経験のない若い女性は子宮口が狭く、血液がスムーズに流れないと下腹痛、腰痛などの月経痛が生じます。20代後半からの痛みは、子宮内膜から出るプロスタグランディンが体質的に多いことが挙げられます。
月経痛から考えられる病気
月経が始まると、下腹痛や腰痛を伴う人は多いもので、中には、頭痛や吐き気を伴う人もいます。これらの症状が寝込むほどに重く、家事や仕事ができなくなるなど、日常生活に支障がある場合を、「月経困難症」といいます。
月経困難症には、特に原因となる病気がない「機能性の月経痛」のケースと、骨盤腔内に隠れている病気が原因となる「器質性の月経痛」のケースとがあります。同じ月経困難症でも、器質性の月経痛には注意が必要です。引き起こす病気としては、子宮筋腫(きんしゅ)、骨盤内の炎症、子宮内膜症、卵巣嚢腫(のうしゅ)などが考えられます。
現在、毎月、耐えられないほどの月経痛に悩んでいる人は、子宮の収縮からくる機能性の月経痛なのか、器質性の月経痛なのか、婦人科医に相談してください。以前の月経時と比較して、痛みが強くなったり、出産後に症状が重くなったという人も、婦人科を受診して、検査を受けましょう。
医師の側では、原因となる病気が見付かれば、その治療を行います。特に原因となる病気がなければ、鎮痛剤、漢方薬、ピルなど、体質や副作用を考慮した上で、受診者に適した内服薬を処方します。
「毎回の月経痛はつらいけど、薬を飲むと体によくないのでは?」などと、薬を飲むことに抵抗があり、ためらってしまう人も、少なくないようです。しかし、用法と用量を守って正しく飲めば、心配ありません。
むしろ「また、あのつらい症状に悩まされる」という恐怖心や、ストレスで痛みが増すこともありますから、あまり我慢しないほうがいいでしょう。症状を和らげるための鎮痛剤や漢方の服用で、痛みを緩和するのは、問題ありません。ピルなどで排卵を抑えることにより、痛みがとれる場合もあります。
薬を服用する際は、痛みが軽いうちに飲むのがコツです。自分の月経痛が起こるパターンがわかっている人なら、痛みが出る前に飲んでもいいでしょう。
市販の薬が効かない時や、薬を飲む量が次第に増している時は、婦人科を受診したほうがよいでしょう。
月経痛を乗り切る方法と予防法
月経痛とは、女性としての機能がちゃんと働いている証として、上手に付き合いたいものです。
月経中は心も体もブルー。ふだんより、睡眠をたっぷりとりましょう。月経痛が激しい時には、楽な姿勢で睡眠をとるのが一番です。横向きに寝て、お腹にクッションを抱えるようにすると楽になる、という人が多いようです。
とにかく、月経中は無理をせずに、リラックス。血行を妨げるようなキツイ服装はやめましょう。薄着や冷たいものの取りすぎも、禁物です。月経時の基礎体温は低温期で、体が冷えて血行が悪くなっているところに、さらに体を冷やせば、痛みを強く感じやすくなるからです。
温かい下着を身に着けたり、冬なら使い捨てカイロなどで、おなかや腰を温めると、楽になります。足浴で下半身を温めるのも、痛みを和らげる良案です。
残念ながら、月経痛を軽くする食品はありません。ふだんから、バランスのよい食事を取るように心掛け、血液となる食べ物を意識して取るのもよいでしょう。
血行をよくするビタミンE、月経血を抑える働きをするマンガン、貧血に効く鉄分にビタミンCをプラスして、鉄分の吸収率を高めましょう。
また、便秘や排便痛といった症状がある人は、食物繊維を取りましょう。辛いものやアルコールは、痛みが強くなることもあるので、控えめに。
ストレスをためないことも大切。入浴、アロマ、好きな音楽を聴くなど、自分に適したリラックス方法を見付けましょう。適度な運動やストレッチを行って、気分転換をはかるのもよいでしょう。骨盤の血液の流れをよくするので、痛みも和らぎます。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
「月経痛」は、程度の差こそあっても、ほとんどの女性が悩まされるものです。月経が始まる2〜4日前から月経中にかけて起こる下腹痛、腰痛、頭痛、下痢などの症状を総じて、月経痛と呼びます。多くの人の場合、月経が始まった1〜2日目が痛みのピーク。
月経とは、卵巣から出るホルモンの働きにより、子宮の内側にある子宮内膜がはがれ落ちて起こる出血のこと。毎月、一定の周期で行われ、卵子が受精しなかったために、不要になった子宮内膜がはがれ、子宮口から血液とともに排出されます。
この月経時には、プロスタグランディンというホルモンが子宮内膜で作り出され、子宮の筋肉を収縮させて、子宮内にたまった月経血の排出を促す働きをします。本来、プロスタグランディンとは、出産に際して大量に分泌されて陣痛を起こすものであり、子宮はたとえ妊娠していなくても、出産用のホルモンの分泌により、毎回、陣痛のような収縮を行っているのです。
月経に際して、このプロスタグランディンの分泌量が多いと、子宮の収縮が強くなり、月経痛がひどくなります。不規則な生活やストレスによって、ホルモンのバランスが乱れたり、骨盤内の血液循環が悪くなると、症状が重くなるケースもあります。
また、夏より冬のほうが、月経痛が激しくなります。月経痛は子宮の収縮によって起こるもので、子宮は筋肉でできています。寒い冬は筋肉が縮こまり、体がスムーズに動くのに時間がかかるのと同じような原理で、子宮の動きも収縮がスムーズにゆかず、痛みを強く感じるのです。加えて、冬は毛細血管まで血液が届くのが遅くなり、体が冷えると痛みが起こりやすくなります。
女性が一度出産すると、子宮の入り口が広がって、月経血がスムーズに出やすくなるため、月経痛が軽くなる人がほとんどです。妊娠、出産経験のない若い女性は子宮口が狭く、血液がスムーズに流れないと下腹痛、腰痛などの月経痛が生じます。20代後半からの痛みは、子宮内膜から出るプロスタグランディンが体質的に多いことが挙げられます。
月経痛から考えられる病気
月経が始まると、下腹痛や腰痛を伴う人は多いもので、中には、頭痛や吐き気を伴う人もいます。これらの症状が寝込むほどに重く、家事や仕事ができなくなるなど、日常生活に支障がある場合を、「月経困難症」といいます。
月経困難症には、特に原因となる病気がない「機能性の月経痛」のケースと、骨盤腔内に隠れている病気が原因となる「器質性の月経痛」のケースとがあります。同じ月経困難症でも、器質性の月経痛には注意が必要です。引き起こす病気としては、子宮筋腫(きんしゅ)、骨盤内の炎症、子宮内膜症、卵巣嚢腫(のうしゅ)などが考えられます。
現在、毎月、耐えられないほどの月経痛に悩んでいる人は、子宮の収縮からくる機能性の月経痛なのか、器質性の月経痛なのか、婦人科医に相談してください。以前の月経時と比較して、痛みが強くなったり、出産後に症状が重くなったという人も、婦人科を受診して、検査を受けましょう。
医師の側では、原因となる病気が見付かれば、その治療を行います。特に原因となる病気がなければ、鎮痛剤、漢方薬、ピルなど、体質や副作用を考慮した上で、受診者に適した内服薬を処方します。
「毎回の月経痛はつらいけど、薬を飲むと体によくないのでは?」などと、薬を飲むことに抵抗があり、ためらってしまう人も、少なくないようです。しかし、用法と用量を守って正しく飲めば、心配ありません。
むしろ「また、あのつらい症状に悩まされる」という恐怖心や、ストレスで痛みが増すこともありますから、あまり我慢しないほうがいいでしょう。症状を和らげるための鎮痛剤や漢方の服用で、痛みを緩和するのは、問題ありません。ピルなどで排卵を抑えることにより、痛みがとれる場合もあります。
薬を服用する際は、痛みが軽いうちに飲むのがコツです。自分の月経痛が起こるパターンがわかっている人なら、痛みが出る前に飲んでもいいでしょう。
市販の薬が効かない時や、薬を飲む量が次第に増している時は、婦人科を受診したほうがよいでしょう。
月経痛を乗り切る方法と予防法
月経痛とは、女性としての機能がちゃんと働いている証として、上手に付き合いたいものです。
月経中は心も体もブルー。ふだんより、睡眠をたっぷりとりましょう。月経痛が激しい時には、楽な姿勢で睡眠をとるのが一番です。横向きに寝て、お腹にクッションを抱えるようにすると楽になる、という人が多いようです。
とにかく、月経中は無理をせずに、リラックス。血行を妨げるようなキツイ服装はやめましょう。薄着や冷たいものの取りすぎも、禁物です。月経時の基礎体温は低温期で、体が冷えて血行が悪くなっているところに、さらに体を冷やせば、痛みを強く感じやすくなるからです。
温かい下着を身に着けたり、冬なら使い捨てカイロなどで、おなかや腰を温めると、楽になります。足浴で下半身を温めるのも、痛みを和らげる良案です。
残念ながら、月経痛を軽くする食品はありません。ふだんから、バランスのよい食事を取るように心掛け、血液となる食べ物を意識して取るのもよいでしょう。
血行をよくするビタミンE、月経血を抑える働きをするマンガン、貧血に効く鉄分にビタミンCをプラスして、鉄分の吸収率を高めましょう。
ビタミンEを多く含む食品 | アーモンド、ごま、かぼちゃ、サフランなど |
マンガンを多く含む食品 | アーモンド、ほうれん草、アサリなど |
鉄分を多く含む食品 | 干しえび、海苔、昆布、ひじき、レバー、卵黄、にんにく、ごまなど |
ビタミンCを多く含む食品 | 緑黄色野菜、果物、緑茶など |
また、便秘や排便痛といった症状がある人は、食物繊維を取りましょう。辛いものやアルコールは、痛みが強くなることもあるので、控えめに。
ストレスをためないことも大切。入浴、アロマ、好きな音楽を聴くなど、自分に適したリラックス方法を見付けましょう。適度な運動やストレッチを行って、気分転換をはかるのもよいでしょう。骨盤の血液の流れをよくするので、痛みも和らぎます。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
タグ:病気(け) 月経痛 無月経 続発性無月経 原発性無月経 性病 更年期障害 子宮筋腫 子宮頸がん 子宮内膜症 卵巣腫瘍 卵巣がん 半陰陽 子宮がん 子宮後屈 若年性更年期障害 子宮内膜炎 子宮膣部びらん 子宮体がん 子宮頸管炎 クラミジア感染症 性感染症(STD) カンジダ膣炎 単純性疱疹(単純性ヘルペス) 卵巣の形態異常(ターナー症候群) 卵巣嚢腫(嚢胞性腫瘍) 性器ヘルペス症 機能性子宮出血 膣がん 外陰がん 卵管がん 絨毛がん 子宮下垂、子宮脱 尖圭コンジローム 外陰炎 ウーマンオンコロジー 老人性膣炎 膣炎 副腎性器症候群 先天性副腎過形成症 性腺機能低下症 膣トリコモナス感染症 ロキタンスキー症候群 膣閉鎖症 鎖陰 性器閉鎖症 処女膜閉鎖症 処女膜強靭症 仮性半陰陽 真性半陰陽 女性仮性半陰陽 メイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群 細菌性膣炎 性器クラミジア感染症 ワギニスムス ウイルス性いぼ 外陰上皮内腫瘍 膣狭窄症 委縮性膣炎 性器結核 女性性器結核 非特異性膣炎 バルトリン腺炎 大前庭腺炎 スキーン腺嚢胞 小前庭腺嚢胞 膣けいれん 膣壁裂傷 膣カンジダ症 先天性膣欠損症 膣中隔 膣欠損症
■病気 結節性紅斑 [病気(け)]
皮膚の下に硬いしこりのある紅斑ができる炎症性の疾患
結節性紅斑(こうはん)とは、皮膚の下に硬いしこりのある紅斑ができる炎症性の疾患。病理学的には、皮下脂肪組織を中心とする炎症です。
若い成人、特に女性が最も発症しやすく、数カ月から数年に渡って繰り返し再発します。細菌、ウイルス、真菌などの感染アレルギーが、主な原因と考えられています。そのほか、サルファ系抗菌薬や経口避妊薬などの薬剤によるもの、内臓の悪性腫瘍(しゅよう)、ベーチェット病、結核、サルコイドーシス、クローン病などに伴うものがあります。
円形ないし不規則形の紅斑が主にむこうずねに現れ、徐々に赤色から青みがかった茶色へと変化するところは、はれ物やあざに似ています。圧痛を伴い、時には何もしなくても痛みます。重症の場合は、紅斑が太ももや腕にまで広がることがあります。通常、数日から数週間で、紅斑、圧痛、しこりは消えます。繰り返して発症しますが、それ以上悪化することはありません。
症状が出る時には、発熱や関節痛、全身の倦怠(けんたい)感を伴うこともあります。
結節性紅斑の検査と診断と治療
類似の症状を示す疾患が多数あるので、皮膚科専門医を受診し、皮膚生検により確定診断を受けることが勧められます。
医師は、皮膚を数ミリ切り取って調べる検査である皮膚生検を行い、皮下脂肪組織を中心とする炎症であることを確認します。病理組織学的な特徴から、バザン硬結性紅斑、結節性多発動脈炎、スウィート病、深在性エリテマトーデス、ウェーバー・クリスチャン病などと区別します。血液検査では白血球の増加、赤沈やCRPなどの炎症反応の高進がみられます。
治療では、ベッドで安静にしていることが最も重要です。薬物療法としては、非ステロイド性消炎鎮痛剤やヨウ化カリウムの錠剤の内服が一般的ですが、重症例では副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の内服も行われます。原因となる薬剤がある場合は、その使用を中止します。感染症など基礎疾患がある場合は、その治療を行います。
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結節性紅斑(こうはん)とは、皮膚の下に硬いしこりのある紅斑ができる炎症性の疾患。病理学的には、皮下脂肪組織を中心とする炎症です。
若い成人、特に女性が最も発症しやすく、数カ月から数年に渡って繰り返し再発します。細菌、ウイルス、真菌などの感染アレルギーが、主な原因と考えられています。そのほか、サルファ系抗菌薬や経口避妊薬などの薬剤によるもの、内臓の悪性腫瘍(しゅよう)、ベーチェット病、結核、サルコイドーシス、クローン病などに伴うものがあります。
円形ないし不規則形の紅斑が主にむこうずねに現れ、徐々に赤色から青みがかった茶色へと変化するところは、はれ物やあざに似ています。圧痛を伴い、時には何もしなくても痛みます。重症の場合は、紅斑が太ももや腕にまで広がることがあります。通常、数日から数週間で、紅斑、圧痛、しこりは消えます。繰り返して発症しますが、それ以上悪化することはありません。
症状が出る時には、発熱や関節痛、全身の倦怠(けんたい)感を伴うこともあります。
結節性紅斑の検査と診断と治療
類似の症状を示す疾患が多数あるので、皮膚科専門医を受診し、皮膚生検により確定診断を受けることが勧められます。
医師は、皮膚を数ミリ切り取って調べる検査である皮膚生検を行い、皮下脂肪組織を中心とする炎症であることを確認します。病理組織学的な特徴から、バザン硬結性紅斑、結節性多発動脈炎、スウィート病、深在性エリテマトーデス、ウェーバー・クリスチャン病などと区別します。血液検査では白血球の増加、赤沈やCRPなどの炎症反応の高進がみられます。
治療では、ベッドで安静にしていることが最も重要です。薬物療法としては、非ステロイド性消炎鎮痛剤やヨウ化カリウムの錠剤の内服が一般的ですが、重症例では副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の内服も行われます。原因となる薬剤がある場合は、その使用を中止します。感染症など基礎疾患がある場合は、その治療を行います。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
タグ:爪甲白斑症 病気(け) 結節性紅斑 にきび(尋常性痤瘡) ひょうそ 皮膚カンジダ症 ベーチェット病 皮膚掻痒症 水虫(足白癬) 白癬(はくせん) 脱毛、薄毛 カポジ肉腫 乾癬(かんせん) 疥癬(かいせん) 白なまず(白斑) 黒なまず(癜風) 脂漏性皮膚炎 ふけ症 たこ、魚の目 しみ(肝斑) そばかす(雀卵斑) 皮膚結核 爪甲周囲炎(爪囲炎) 爪甲剥離症 爪白癬(爪の水虫) 日光過敏症(光線過敏症) かぶれ(接触皮膚炎) 主婦湿疹(手湿疹) じんましん(蕁麻疹) 痒疹 多形滲出性紅斑 紅皮症(剥脱性皮膚炎) 紫斑病 せつ、よう 単純性疱疹(単純性ヘルペス) しらくも(頭部白癬) 口腔カンジダ症(鵞口瘡) 匙状づめ 時計ガラスつめ(ヒポクラテスつめ) 酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎) 掌蹠膿疱症 蜂窩織炎、丹毒 爪甲横溝 爪甲軟化症 白皮症 白板症 乾皮症 陥入爪 あせも(汗疹) とびひ(伝染性膿痂疹) スピッツ母斑 ウンナ母斑 正中部母斑 ポートワイン母斑 青色母斑 扁平母斑 脂腺母斑 茶あざ 太田母斑 伊藤母斑 遅発性扁平母斑 赤あざ 桜根母斑 脱色素性母斑 紡錐細胞性母斑 黒あざ(血管腫)
■病気 結節性多発動脈炎 [病気(け)]
全身の中小動脈に炎症が起こる疾患
結節性多発動脈炎とは、全身の中小動脈の動脈壁に炎症が起こる疾患。中小動脈に血管炎が起こる本症と、細小動脈から静脈に血管炎が起こる顕微鏡的多発血管炎とを併せて、結節性動脈周囲炎とも呼ばれます。
膠原(こうげん)病の中でも非常にまれで重い疾患といえ、全身の諸臓器に分布する中小動脈に血管炎が生じるため、多様な症状を示します。ほかの膠原病が女性に多くみられるのと異なり、やや男性に多く、通常中年から壮年に発症します。日本では、国の特定疾患(難病)に指定されています。
原因は不明です。B型肝炎ウイルスやヘアリーセル白血病、大気汚染などの関与が、示唆されています。初発症状としては、高熱が出て、関節痛、筋肉痛が起こり、体重減少、全身の消耗がみられます。
侵される血管の部位によって、引き起こされる障害は異なります。皮膚の場合は、結節性紅斑(こうはん)や紫斑、潰瘍(かいよう)、時に指先に壊疽(えそ)が起こることがあります。心臓の場合は、狭心症や心筋梗塞(こうそく)が起こります。腎(じん)臓の場合は、高血圧、腎不全が起こります。腸管の場合は、激しい腹痛、嘔吐(おうと)、下血などがみられます。神経の場合は、末梢(まっしょう)神経障害が起こります。筋肉の場合は、筋肉痛の原因となります。目の場合は、黒内障といって突然失明することがまれにあります。
結節性多発動脈炎の検査と診断と治療
結節性多発動脈炎はまれな疾患ながら、生命や臓器不全の危険性があるので、専門医の意見を聞いて入院治療を受けることが重要です。早期診断、早期治療が望まれますので、膠原病内科、腎臓内科などを受診します。
血液検査によって、血管の炎症の程度を調べます。皮膚や筋肉などの生検、血管造影、障害が起こっている臓器を調べる検査なども、診断のために重要です。区別すべき疾患は、顕微鏡的多発血管炎など他の血管炎および膠原病です。
治療には、高用量の副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)と免疫抑制剤が用いられます。重篤な臓器病変が生じたら、それに応じた治療も行われます。腎臓が侵されやすく、腎不全では人工透析が行われます。心筋梗塞では、冠動脈形成術も行われます。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
結節性多発動脈炎とは、全身の中小動脈の動脈壁に炎症が起こる疾患。中小動脈に血管炎が起こる本症と、細小動脈から静脈に血管炎が起こる顕微鏡的多発血管炎とを併せて、結節性動脈周囲炎とも呼ばれます。
膠原(こうげん)病の中でも非常にまれで重い疾患といえ、全身の諸臓器に分布する中小動脈に血管炎が生じるため、多様な症状を示します。ほかの膠原病が女性に多くみられるのと異なり、やや男性に多く、通常中年から壮年に発症します。日本では、国の特定疾患(難病)に指定されています。
原因は不明です。B型肝炎ウイルスやヘアリーセル白血病、大気汚染などの関与が、示唆されています。初発症状としては、高熱が出て、関節痛、筋肉痛が起こり、体重減少、全身の消耗がみられます。
侵される血管の部位によって、引き起こされる障害は異なります。皮膚の場合は、結節性紅斑(こうはん)や紫斑、潰瘍(かいよう)、時に指先に壊疽(えそ)が起こることがあります。心臓の場合は、狭心症や心筋梗塞(こうそく)が起こります。腎(じん)臓の場合は、高血圧、腎不全が起こります。腸管の場合は、激しい腹痛、嘔吐(おうと)、下血などがみられます。神経の場合は、末梢(まっしょう)神経障害が起こります。筋肉の場合は、筋肉痛の原因となります。目の場合は、黒内障といって突然失明することがまれにあります。
結節性多発動脈炎の検査と診断と治療
結節性多発動脈炎はまれな疾患ながら、生命や臓器不全の危険性があるので、専門医の意見を聞いて入院治療を受けることが重要です。早期診断、早期治療が望まれますので、膠原病内科、腎臓内科などを受診します。
血液検査によって、血管の炎症の程度を調べます。皮膚や筋肉などの生検、血管造影、障害が起こっている臓器を調べる検査なども、診断のために重要です。区別すべき疾患は、顕微鏡的多発血管炎など他の血管炎および膠原病です。
治療には、高用量の副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)と免疫抑制剤が用いられます。重篤な臓器病変が生じたら、それに応じた治療も行われます。腎臓が侵されやすく、腎不全では人工透析が行われます。心筋梗塞では、冠動脈形成術も行われます。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
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