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■病気 絨毛がん [病気(し)]

[ダイヤ]妊娠した女性の胎盤を作っている絨毛組織から発生するがん
 絨毛(じゅうもう)がんとは、妊娠した女性の胎盤を作っている絨毛組織から発生するがん。
 胎盤は、子宮と胎児との間でガスや栄養、老廃物を交換する器官で、母胎由来の組織と胎児由来の組織からできています。絨毛組織は胎児由来の組織であり、母胎に接する部分にあります。この絨毛組織から発生する疾患には、絨毛がんのほかに胞状奇胎、侵入胞状奇胎などがあり、絨毛性疾患と総称されます。
 ほとんどの絨毛がんは、妊娠の後に発生する妊娠性絨毛がんです。大部分は子宮に病巣を作りますが、肺などの転移巣だけが認められて、子宮に病巣が見付からないこともあります。まれに、妊娠とは無関係に、卵巣や精巣にある生殖細胞から非妊娠性絨毛がんが発生することがあります。
 絨毛がんのほとんどを占める妊娠性絨毛がんは、約半数が胞状奇胎後に、4分の1が正常妊娠後に、残りの4分の1が流産や子宮外妊娠後に発生します。逆に、胞状奇胎の中の約20パーセントが侵入胞状奇胎や絨毛がんになります。
 そのために、胞状奇胎の治療後は定期検診が重要です。胞状奇胎の治療後に定期検診を受けている場合は、無症状の段階で絨毛がんが発見できます。
 自覚症状としては、生理以外の不正性器出血や、下り物の増量がみられます。子宮、卵巣のはれや腹腔(ふくくう)内出血による下腹部痛が起こることもあります。つわりが生じることもあります。肺への転移により、胸痛、せき、血痰たん、呼吸困難が起こる場合もあります。
 かつては、絨毛がんが肺、腟(ちつ)、肝臓、脳などに血行性転移を非常に起こしやすかったため、致死的とされてきました。近年では、抗がん剤による化学療法により大部分が治癒するようになりました。
[ダイヤ]絨毛がんの検査と診断と治療
 絨毛性疾患は初めは正常妊娠と変わらないので、早期発見は必ずしも容易ではありません。生理以外の不正性器出血を認めた場合、出産や流産の後に子宮が大きくなってきた場合、妊娠したのに予想したような胎児の動きを感じない場合は、婦人科、産婦人科の専門医を受診します。
 医師の側では、絨毛がんなどの絨毛性疾患が疑われた場合には、血液中および尿中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンを測定します。絨毛性疾患では、このホルモンが高値となります。ただし、正常妊娠や流産、子宮外妊娠でもhCGは高値となります。
 子宮およびその他の腹部臓器への病変の広がりは、婦人科的な診察や腹部超音波検査、MRI検査、CT検査によって調べます。超音波検査などにより、豊富な血流像が観察されます。骨盤内の血管造影を行うこともあります。
 絨毛性疾患は肺への転移が高率にみられるので、胸部単純X線写真も撮影します。肺への転移や神経症状がある場合は、脳への転移の有無を頭部CT検査、MRI検査で調べます。
 子宮、腟、肺などの病変を切除して、病理学的に診断を確定することもあります。しかし、hCGが異常に高い場合は病理学的診断を行わずに、臨床的に診断することも少なくありません。この場合は、経過や転移部位などを点数化した絨毛がん診断スコアを用いて、臨床的侵入奇胎と臨床的絨毛がんとの区別をします。
 絨毛性疾患に対する治療としては、抗がん剤による化学療法が非常に有効です。侵入奇胎に対しては通常1種類の抗がん剤による治療を行いますが、絨毛がんの場合は3〜5種類の抗がん剤を組み合わせた多剤併用療法を行います。
 化学療法のみで効果が不十分な時は、病巣を切除する手術や、高エネルギーX線を用いる放射線療法を組み合わせて行います。

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■病気 小腸がん [病気(し)]

[クラブ]小腸に発生するがんで、大変まれな疾患
 小腸がんとは、胃と大腸の間にある消化器官である小腸に発生するがん。消化器管の長さ全体の75%パーセント、消化器管の表面積全体の90パーセントを占める臓器でありながら、小腸に発生するがんは大変まれです。
 小腸にできる腫瘍(しゅよう)は、消化器管の腫瘍全体の1〜3パーセントを占め、良性に比べて悪性が多い特徴があります。組織学的には、小腸がんは腺(せん)がん、悪性カルチノイド、悪性リンパ腫、平滑筋肉腫の4つの型に大きく分類されます。腺がん、悪性カルチノイドは悪性上皮性腫瘍に、悪性リンパ腫、平滑筋肉腫は悪性非上皮性腫瘍に相当します。
 小腸がんの発生部位は、十二指腸に最も多く、空腸、回腸には少ない傾向にあります。悪性リンパ腫に限っては、回腸に多くみられます。
 原因は、はっきりとはわかっていません。原因となっている可能性が高いとされているのは、クローン病やセリアック病などの慢性炎症。一般に、小腸がんは女性に比べて男性に多くみられます
 主な症状は、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛、腸閉塞(へいそく)、体重減少、貧血、出血、腹部膨満、腹鳴、腫瘤(しゅりゅう)触知、下痢など。特異的な症状がないために、診断が確定するまでに長期間経過してしまうこともあります。
[クラブ]小腸がんの検査と診断と治療
 小腸がんは特異的な症状に乏しいため、進行した状態で発見されることが多くなっています。早期に発見するには、貧血や吐き気、腹痛などの症状がある場合は、胃、大腸、肝臓、胆囊(たんのう)、膵臓(すいぞう)などの検査を受け、異常を認めない時でも積極的に小腸の検査を受ける必要があります。
 医師による診断では、X線による小腸全体の造影検査と小腸内視鏡検査が行われます。超音波検査、CT検査、血管造影検査なども行われ、腫瘍の大きさや性状、リンパ節転移、腹水などの有無、さらに肝臓や肺などへの転移の有無を調べます。
 従来、消化器管のちょうど中央に位置する小腸全体を内視鏡で調べることが難しかったため、神経性疾患や腸過敏性症候群と誤診されるケースも多くみられました。近年では、カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡の開発により、診断が容易になりつつあります。
 しかし、小腸がんの早期診断、治療法の確立は、今日も重要課題です。
 治療としては、外科的切除が基本です。進行度に応じて、がんから5〜10cmセンチ離して小腸部分を切除し、領域リンパ節も切除します。ポリープ状の早期がんの場合は、内視鏡的切除が可能です。外科的切除ができない場合には、緩和的切除術やバイパス手術などが考慮されます。
 手術ができない場合には、抗がん剤による化学療法や、放射線療法が行われます。化学療法、放射線療法とも治療法は確立していませんので、現状では、結腸がんなど大腸がんに類似する療法が適用されます。

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■病気 子宮がん [病気(し)]

[蟹座]女性性器のがんで、子宮頸がんと子宮体がんの別
 子宮がんとは、胎児を宿す子宮に発生するがん。女性性器のがんの中で、最も多いものです。
 がんの発生する部位によって、子宮頸(けい)がんと子宮体がんの2つに分けられます。
【子宮頸がんは40、50歳代に多く、若年層にも増加傾向】
 子宮頸がんとは、子宮頸部の上皮から発生するがんのことをいいます。子宮頸部は、膣(ちつ)から子宮への入り口部分で、とっくりを逆さにしたような形をしている子宮の細い部分に当たり、その先端が腟の側に突き出ています。
 先端の部分と内方の部分では、上皮の組織が異なっています。腟の側に突き出ている先端部分は、皮膚と同じく、数層の平ベったい細胞が重なった扁平(へんぺい)上皮で覆われています。これに対して、子宮体部の側の内方部分は、粘液を分泌する一層の細胞である腺(せん)上皮(円柱上皮)で覆われています。
 一般にいう子宮頸がんは、約85パーセントが扁平上皮の細胞から発生する子宮頸部扁平上皮がんで、性成熟期に多く発症します。一方、腺上皮の細胞から発生する子宮頸部腺がんは、閉経後に多く発症します。子宮頸部扁平上皮がんは子宮膣部がん、子宮頸部腺がんは子宮頸管がんとも呼びます。
 発生したがんは初め、扁平上皮、あるいは腺上皮の中にとどまっていますが、次第に子宮の筋肉に浸潤。さらに、腟や子宮の周りの組織に及んだり、骨盤内のリンパ節に転移したりします。ひどく進行すると、膀胱(ぼうこう)、直腸を侵したり、肺、肝臓、骨などに転移したりします。
 子宮がん全体の中では、子宮頸がんは60~70パーセントを占めています。30歳代で増え始め、40、50歳代で最も多くみられますが、20歳代の人や80歳以上の人にもみられます。とりわけ、性交開始が低年齢化するとともに若年者の発症が多くなっているために、平成16年4月の厚生労働省の通達で、子宮頸がん検診の開始年齢を20歳に引き下げました。
 死亡数は、激減しています。前がん病変での早期発見、早期治療のケースが増加し、がんになる前に治療がされるようになったことと、がんになったとしても、がんの進み具合を表す臨床進行期で0(ゼロ)期~Ia期に当たる早期がんのうちに、約65パーセントが発見され、ほぼ100パーセント治癒するようになったためです。
 しかしながら、発生率は少なくなっていません。子宮頸部腺がんでは、検診で比較的発見されにくく、進行してから発見される場合もあります。放射線治療や化学療法が効きにくいなど、扁平上皮がんと比べると子宮頸部腺がんの予後は、悪い傾向にあります。
【子宮頸がんはヒトパピローマウイルスの感染が誘因に】
 直接、発がんと結び付く原因はまだわかっていませんが、いくつかの疑わしい因子はわかっています。以前から、多産婦に多いことが統計学的に証明されているほか、高リスクの因子として、初めての性交年齢の若い人、性行為の相手が複数いる人、喫煙歴のある人などが挙げられています。
 近年、注目されている高リスク因子は、性行為によって感染するヒトパピローマウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス:HPV)。ほとんどの子宮頸がんで、このウイルスが組織中から検出されるため、がんの発生の引き金となると考えられています。
 ヒトパピローマウイルスは、いぼを作るウイルスの一種で、男性性器の分泌物などに含まれています。70種類以上あるタイプの中のいくつかのものが、前がん病変の形成や頸がんの発生に関与。一般に、ウイルスを持った男性との性交渉によって、外陰部、腟、子宮頸部などの細胞に感染します。
 外陰がんや腟がんは非常にまれにしか生じないのに対して、子宮頸がんは比較的多く発生します。とはいっても、実際に子宮頸がんになる人は、ヒトパピローマウイルスに感染した人の中の一部にすぎません。
 前がん病変が形成されても、軽度の場合は経過観察しているうちに、約70パーセントが自然に消失することも知られています。発がんには、ウイルスに感染した人の体質、すなわち遺伝子の不安定性や免疫なども関係しているようです。
 初期の子宮頸がんではほとんどが無症状ですが、子宮がん検診で行う子宮頸部細胞診により発見することができます。
 進行した際の自覚症状としては、月経以外の出血である不正性器出血が最も多く、特に性交時に出血しやすくなります。膿(うみ)のような下り物が増えることもあります。下腹部痛、腰痛、下肢痛や血尿、排尿障害、血便、下痢などが現れることもあります。
【子宮体がんは子宮体部の内膜に発生するがん】
 子宮体がんとは、子宮体部の粘膜にできる悪性腫瘍(しゅよう)。子宮頸部(けいぶ)に悪性腫瘍ができる子宮頸がんと合わせて、子宮がんと呼ばれていますが、子宮体がんと子宮頸がんの二つは、発生部位はもとより、好発年齢、発生原因、症状が異なるため 、区別して扱う疾患です。
 子宮体部は、子宮の奥の赤ちゃんを育てる部分。外側は筋肉に覆われており、内側は子宮内膜という粘膜でできています。その内膜にがんができるのが、子宮体がんです。
 主に閉経後の50歳以上の人に好発し、若い人では、不妊症の人や卵巣機能に障害がある人に起こります。
 初期の症状としては、何らかの不正出血、下り物がみられます。閉経前では、月経が長引いたり、周期が乱れるという形で不正出血があります。閉経後では、少量の出血が長く続く場合には注意が必要です。
 下り物は黄色、褐色から始まり、次第に血性、肉汁様になって、進行すると膿(のう)性になり、悪臭を放つようになります。高齢者では、子宮の入り口が狭くなって詰まってしまい、子宮の中に出血や分泌物が貯留することもあります。
 さらに進行すると、子宮体部の内膜に発生したがんは、徐々に子宮体部壁に広がっていきます。広がりが深くなると、骨盤リンパ節や腹部動脈節に転移が起こり、卵巣、卵管、子宮頸部、腹膜へも進展します。さらに、肺、肝臓などの遠隔臓器へも転移します。
 一般に、子宮体がんの進行は、子宮頸がんより遅いといわれています。以前は子宮頸がんが子宮がんの大半を占めていましたが、最近では食生活及び生活習慣の欧米化や、高齢化などにより、子宮体がんが増える傾向にあります。今後はさらに増加するものと予測されます。
 発生や進行には、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)が影響を与えています。エストロゲンは内膜を増殖させる作用があり、一方、排卵後に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)は、増殖を抑制する作用があります。更年期には、月経があっても排卵が起こっていないことが多く、排卵後に分泌されるプロゲステロンが十分に出ないため、内膜が過剰に増殖して子宮内膜症になり、さらに、子宮体がんに進展する可能性があります。
 子供がいないか少ない人や、不妊、卵巣機能不全、肥満、高脂血症、糖尿病などを抱えている人も、エストロゲンが子宮内膜に働いている時間が長くなるため、子宮体がんのリスクを高めるといわれています。
[蟹座]子宮がんの検査と診断と治療
【進行度で異なる子宮頸がんの治療法】
 不正性器出血があったら、婦人科で検査を受けるのがよいでしょう。症状がなくても、年に1回程度は子宮がん検診を受けることが最善です。
 子宮頸がんの検査では、子宮頸部を綿棒などでこすって、細胞診用の検体を採取します。細胞診で異型細胞が認められた場合には、コルポスコープと呼ぶ膣拡大鏡で5~25倍に拡大して観察しながら、疑わしい部分の組織を組織診用に採取し、病理学的に検査して診断を確定します。
 進行がんの場合は肉眼で見ただけでわかりますが、確定のために細胞診と組織診が行われます。さらに、内診、直腸診で腫瘍(しゅよう)の大きさや広がりを調べます。
 子宮頸がんの診断が付いた場合は、胸部X線検査、経静脈性尿路造影、膀胱鏡、直腸鏡検査を行い、臨床進行期が決定されます。腹部超音波検査、CT、MRIによって病変の広がりを調べることも、治療法の選択に当たって重要視されます。
 子宮頸がんの主な治療法は、手術療法または放射線療法。年齢、全身状態、病変の進行期を考慮して、治療法が選択されます。治療成績は手術、放射線ともほぼ同じですが、日本では手術が可能な進行期までは、手術療法が選ばれる傾向にあります。
 早期がんである0期に対しては、子宮頸部だけを円錐(えんすい)形に切り取る円錐切除術を行うことで、術後に妊娠の可能性を残すことができます。また、レーザーによる治療を行うこともあります。レーザー治療では、子宮頸部をほぼ原形のまま残し、術中まったく出血することなく、痛みもないので無麻酔下で行える利点があり、治療成績も良好です。妊娠の希望がない場合は、単純子宮全摘術を行うこともあります。
 進行期の中で浸潤が浅いIa 期の場合は、単純子宮全摘術が標準的ですが、妊娠を強く希望される人の場合は、円錐切除術のみが行われることがあります。
 明らかな浸潤がんのIa2期や、子宮の周囲にがんが広がるII期の場合は、広汎(こうはん)子宮全摘術が一般的です。広汎子宮全摘術では、子宮だけでなく、子宮の周りの組織や腟を広い範囲で切除し、通常は卵巣も切除します。40歳未満の場合は、卵巣を温存することもあります。摘出物の病理診断でリンパ節転移や切除断端にがんがあった場合は、術後に放射線療法を追加します。
 がんの浸潤が深く、広い範囲に及んで手術ができないIII~IV期の進行がんの場合や、高齢者、全身状態の悪い人の場合は、手術の負担が大きいため放射線療法を行います。
 放射線療法は通常、子宮を中心とした骨盤内の臓器におなかの外側から照射する外部照射と、子宮、腟の内側から細い器具を入れて照射する腔内照射を組み合わせて行われます。外部照射ではリニアックというX線を用い、腔内照射ではラジウムに替わってイリジュウムが使われるようになっています。
 さらに近年、新しく有効な抗がん薬の開発が進み、主治療の手術や放射線療法を行う前に、原発病巣の縮小と遠隔転移の制御を目的にして、主治療前補助化学療法(NAC)も行われるようになりました。点滴で薬を投与するのが一般的な投与法ですが、子宮動脈へ動注する方法もあります。
 IIb期やIIIa期でも、先に化学療法を行ってがんを小さくしてから、手術することもあります。IIIb~IVa期などの本来は手術ができない進行期のがんも、NACを行った後に、手術ができることもあります。NAC併用後に手術ができた場合、放射線療法単独の場合よりも治療効果が高いことが報告されており、最近ではNACを行うことが標準的になっています。
【早期の発見、治療が大切な子宮体がん】
 子宮がんでは、早期発見、早期治療が重要です。子宮体がんは子宮頸がんと同様、初期には自覚症状がない場合が多いので、早期発見のために、年に一度は定期検診を受けましょう。50歳前後に発症が多く、最近は閉経後の子宮体がんが増加していますから、閉経後も検診が必要です。
 不正出血は大きな手掛かりで、がんになる前の状態の子宮内膜増殖症の段階でも、不正出血が出ることがあります。症状が出てから検診しても、進行がんとは限らないわけです。逆に、進行がんの段階になっても、不正出血のない人もいますので、やはり定期的な検診が大切なのです。
 ふだんから自分の体の健康状態に気を付け、不正出血や下り物の異常、性交時の出血、下腹部痛などいつもと違う兆候があったら、ためらわず婦人科を受診することも大切です。
 なお、子宮がんの検査を受けた場合でも、実際には子宮頸がんの検査だけを行っている場合もありますから、注意して確認してください。子宮体がんは子宮の奥にできるので、頸がんの検査では発見できません。
 検査はまず、細胞診でチェックします。細いチューブを腟から子宮の中に入れて子宮内膜の細胞を吸引採取したり、挿入したブラシでかき取った細胞を、調べます。多少痛みがあります。
 細胞診で疑わしい兆候があった場合、あるいは子宮体がんの疑いが強い場合は、最初から組織診が行われることもあります。キューレットと呼ばれる細い金属棒の先に小さな爪のある道具で、子宮体部の組織をかき取り、顕微鏡で検査する方法が中心になっています。少し痛みがあり、出血が数日続くこともあります。
 子宮体がんの治療では、手術、放射線、抗がん剤に加え、ホルモン療法が有効な場合もあります。基本は、やはり手術です。
 主な手術には、単純子宮全摘術と附属器の切除、広汎子宮全摘術があります。前者の手術は、腹部を切開して子宮と卵巣、卵管を切除する手術です。進行の程度により、周囲のリンパ節の切除も加えます。後者の手術は、子宮と卵巣、卵管、腟、さらに子宮周囲の組織を広く切除する手術で、周囲のリンパ節も一緒に切除します。
 手術によって、リンパ節転移が発見されたり、がんが子宮の壁に深く食い込んでいることがわかった場合に、手術後に放射線療法を行うこともあります。抗がん剤を投与して腫瘍を小さくしてから、手術を行うこともあります。
 手術が難しい場合は、抗がん剤や放射線による治療を行うことになります。抗がん剤の場合は副作用を抑える薬などが併用され、放射線治療の場合も重い放射線障害が起こらない範囲で治療が行われています。それでも、ある程度の副作用があることは、やむを得ないところです。
 また、子宮体がんは女性ホルモンと関係が深いので、ホルモン療法が有効なことがあり、注目されています。基本的には、プロゲステロン(黄体ホルモン)の働きをする薬を飲みます。
【予防の基本は生活習慣と食生活の改善】
 子宮がんの予防の基本は、体や局部を清潔に保つことです。また、日常の生活習慣や食生活と子宮がんは、密接な関係にあるといわれています。
 改善できる生活習慣では禁煙があり、お酒を飲みすぎない、バランスのとれた食事をし、決して食べすぎず、適切な運動と休養をとり、ストレスをためない工夫を心掛けることです。
 特に、食べ物では、高塩分、高コレステ ロール食は避け、繊維質、緑黄色野菜、魚類や、がんを抑える作用があるといわれる大豆食品をたくさん摂取するようにします。
 また、がんの発生要因とされている活性酸素を抑える物質を多く含む食品を取ることも、有効ながん予防策。活性酸素を消去する物質としては、体内で作り出される抗酸化酵素と、食事等から摂取する抗酸化力のあるビタミンA(β―カロチン)、C、E、B群やポリフェノール、カロ チノイド、大豆イソフラボンなどがあります。

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■病気 腎臓がん [病気(し)]

[iモード]細胞にできる腎細胞がんと、尿の通路にできる腎盂がん
 腎臓(じんぞう)がんとは、血液から不要物をこし取って尿を作る器官である腎臓に発生するがん。
 成人にも幼小児にも腎臓のがんはできますが、幼小児にできる腎臓のがんはウイルムス腫瘍(しゅよう)といい、成人の腎臓がんと全く違う性質のものです。
 成人の腎臓にできるがんには、腎臓の細胞にできる腎細胞がんと、腎臓の尿の通路にできる腎盂がんの2つがあります。
 がん全体の中で、腎臓がんが占める割合は1パーセント以下です。腎臓がんの中で、腎細胞がんが占める割合は90パーセント、腎盂がんが占める割合は残りの10パーセントです。
【腎細胞がん】
 腎細胞がんとは、腎臓の細胞にできるがん。腎臓に発生するがんの約90パーセントを占めることから、単に腎がんとも呼ばれます。
 がんは、腎臓の実質で、尿を作る腎尿細管上皮細胞から発生します。年間発生者数は1万〜1万2000人と推定され、発症年齢は50〜60歳代が最も多く、男女比はほぼ2〜3対1の割合。
 原因は不明ですが、発症の危険因子として、たばこや鎮痛解熱剤の大量摂取、ホルモン薬の常用、肥満、高血圧、糖尿病、心筋梗塞(こうそく)の既往がいわれています。
 また、腎不全により長期間血液透析を受けている人における腎細胞がんの発生頻度は、一般の人に比べて100倍ぐらい高いといわれています。これは血液中の尿毒症物質が原因と考えられています。
 初期は、無症状です。近年は画像診断の普及により、人間ドックや他の疾患で医療機関を受診した際に偶然、無症状の小さな腎細胞がんが発見されることが多くなりました。
 サイズの大きい腫瘍(しゅよう)においては、出たり止まったりの肉眼でわかる血尿、腎臓の疼痛(とうつう)、側腹部の腫瘤(しゅりゅう)が認められます。また、全身的症状として倦怠(けんたい)感、発熱、体重減少、食欲不振、貧血などを来す場合は、進行が速いといわれています。
 腫瘍が静脈内に進展した場合は、下大静脈という腹部で一番大きな静脈が閉塞(へいそく)し、血液が他の静脈を通って心臓に戻るため、腹部体表の静脈が目立ったり、男性の陰嚢(いんのう)内の静脈が目立つ現象が起こることもあります。
 腎細胞がんの転移しやすい臓器は肺と骨で、肺転移の多くは自覚症状に乏しく、骨に転移すると痛みを伴います。
 まれに、腎細胞がんが産生するサイトカインという物質によって、赤血球増多症や高血圧、高カルシウム血症などが引き起こされることがあります。
【腎盂がん】
 腎盂(じんう)がんとは、腎臓で作られた尿の最初の通路である腎盂にできるがん。
 腎盂がんは尿の流れてくる通路の表面のところにできますので、何ら特別の自覚症状もないのに突然、無症候性の血尿が約5人に4人の割合で出ます。この血尿は、血が膀胱よりも上のほうから流れてくるわけですから、尿の全部が真っ赤になります。
 その他の症状としては、がんからの出血により、たまたま尿の流れが阻害されると腎臓がはれるために、腹部に痛みが出ることもあります。しかし、腎盂がんそのもので痛むということはなく、血尿が唯一の症状といえるものです。
 40歳以降の男性、特に60〜70歳代に多くみられます。男女比はほぼ3対1の割合です。
 漏斗状の腎盂の周辺には、長さ25〜30センチ、内腔(ないくう)約5ミリの尿管などの臓器が隣接しているため、腎盂がんがみられた場合には、いろいろな部位にもがんが発生していることもあります。
[iモード]腎臓がんの検査と診断と治療
【腎細胞がん】
 肉眼的血尿に気付いたら、泌尿器科、腎臓内科の専門医を受診します。人間ドックや検診などで腎細胞がんが疑われた場合は、すぐに泌尿器科の専門医を受診します。
 医師による診断では、まず尿検査と腎臓の画像診断を行います。尿の検査では、血液の出血の有無、がん細胞の有無を調べます。画像診断では、超音波検査、CT検査(コンピューター断層撮影)、静脈性腎盂造影や腎動脈造影で、腎臓の形の変化や動脈の分布状態を調べます。
 これらの検査で腎静脈や下大静脈の腫瘍による閉塞が疑われる場合には、MRI検査により進展範囲を診断します。
 肺転移の有無は、胸部X線写真や肺CTによって検索します。骨転移の有無は、骨シンチグラフィを行って確認します。
 医師による治療では、腎臓を摘出する手術が最善の方法です。薬物療法、放射線療法もありますが、これらはあくまでも手術の補助療法です。
 手術は従来、開腹手術による腎臓の摘出だけでしたが、近年は開腹手術よりも術後が楽な腹腔鏡下の手術が開発され、この方法で周囲脂肪組織も含めた腎臓の摘出も行われています。リンパ節切除も腹腔鏡下で行われます。
 各種画像診断の普及から発見される機会が増加している、腫瘍サイズが3〜4センチと小さい腎細胞がんに対しては、腎臓を全部摘出せず、腫瘍とともに腎臓の一部のみを摘出する手術が行われています。このような手術を受けた場合でも、腎臓を全部摘出する手術を受けた場合でも、再発率、生存率については大差がないといわれています。
 腎臓が摘出ができない症例に対しては、動脈塞栓(そくせん)術や凍結術が有効なこともあります。動脈塞栓術は、腎動脈を人工的に閉塞させ、がんに血液が流れ込まないようにする方法で、大きな腫瘍を摘出する手術に先立って行われることもあります。
 薬物療法については、抗がん剤はほとんど無効ですが、インターフェロンやインターロイキンが有効なこともあります。
 肺や骨などへの転移に対しては、自己の免疫力を高める免疫療法や分子標的治療を行うことが一般的です。転移巣が少数で、腫瘍の大きさや数が変わらない場合、経過観察後あるいは免疫療法後に、手術による転移部位の摘出が行われることがあります。
 肺の転移巣に対する外科療法では、長期生存も期待されます。さらに骨転移、脳転移などに対しても、外科療法や放射線療法が行われることがあります。
 腫瘍サイズが3〜4センチと小さい腎細胞がんは、90パーセント以上が治癒しています。5〜6センチの腫瘍では20〜30パーセント、7〜8センチの腫瘍では、30〜40パーセントで再発を認めるといわれています。
 10センチ以上の大きな腫瘍や、転移のある腫瘍では、治癒率はより劣ります。発熱、体重減少、貧血などの症状のある腎細胞がんの予後は、無症状のがんより明らかに不良です。
【腎盂がん】
 痛くない血尿が出たら腎盂がんを疑い、すぐに泌尿器科を受診します。
 医師による診断では、まず尿検査と腎臓、腎盂の画像診断を行います。尿の検査では、血液の出血の有無、がん細胞の有無を調べます。画像診断では、超音波検査、CT検査(コンピューター断層撮影)、静脈性腎盂造影や腎動脈造影で、腎臓の形の変化や動脈の分布状態を調べます。近年は、超音波検査やCT検査で発見率が向上してきました。
 また、専用の内視鏡で直接がんを確認する方法もあり、内視鏡を利用してがんと思われる組織の一部を採取して、診断を確実なものにすることもあります。
 治療法としては、腎盂や尿管、あるいは腎臓の摘出と、膀胱部分を切除する手術を行います。通常、がんが発生した腎盂のみを摘出するという方法は、行われません。周辺の臓器にもがんが発生している可能性も高いため、同時に摘出、切除手術を行います。腎盂のみを摘出した場合では、残った尿管や腎臓にがんが発生する可能性が出てきます。
 しかし、がんがまだ小さい場合では、大掛かりな摘出、切除手術を行わず、内視鏡を使って病巣のみを切除する方法が行われることもあります。
 補助療法として手術後に、放射線療法を行うこともあります。さらに、がんが転移していた場合には、化学療法として、マイトマイシン、メソトレキセート、シスプラチン、アドリアマイシンなどの抗がん剤を併用して治療を行います。
 早期のうちに治療を行うことができ、がんをすべて切除することができれば、予後はよくなっています。手術後も定期的な検査は受け、他の臓器への転移がないかどうか調べておいたほうがよいでしょう。
 腎盂がんの5年生存率は、40〜60パーセントです。

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