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■病気 精巣上体炎(副睾丸炎) [病気(せ)]

[iモード]精巣に付着している精巣上体に、炎症が起こる疾患
 精巣上体炎とは、男性の陰嚢(いんのう)内に左右各1個あって卵形をしている精巣の上面、および後面に付着している精巣上体に、炎症が起こる疾患。副睾丸(こうがん)炎とも呼ばれます。
 精巣上体、すなわち副睾丸は、精巣から出た精子を運ぶ精管が精巣、すなわち睾丸のすぐ近くで膨れている部分に相当します。精管はこの精巣上体から、精嚢腺(せいのうせん)と前立腺につながり、そこで分泌された精液と一緒になって尿道に出ていくのが、射精です。
 発症経過によって、急性精巣上体炎(急性副睾丸炎)と慢性精巣上体炎(慢性副睾丸炎)に分けられます。
【急性精巣上体炎(急性副睾丸炎)】
 急性精巣上体炎の多くは、精巣の上面に付着している精巣上体に起こります。尿の中の細菌などが精巣上体に入り込んで、感染を起こすことが原因です。
 通常、尿には炎症を起こすほどの細菌はいませんが、前立腺肥大症、尿道狭窄(きょうさく)、膀胱(ぼうこう)結石などの疾患があると、尿は汚れて細菌が増殖しますから、急性精巣上体炎を起こしやすくなります。これらは高齢者に多く、大腸菌などの一般的な細菌が原因菌となります。
 一方、青年層にみられる場合は、性行為感染症(STD)の1つである尿道炎から引き起こされます。尿道炎の原因であるクラミジアや淋菌(りんきん)が精巣上体に至ることによって、炎症を起こします。  
 症状は、陰嚢内の精巣上体の一部の軽い痛みで始まります。自覚症状としては、精巣そのものの痛みのように感じるかもしれません。徐々に陰嚢全体に痛みが広がり、陰嚢が硬くはれ上がり、皮膚が赤みを帯びてきます。
 歩行時に激しく痛んだり、はれているところを圧迫すると強い痛みを感じ、38度以上の発熱を伴うことがしばしばあります。さらに悪化すると、陰嚢の中にうみがたまり、破れて出てくることもあります。精管に沿って炎症が広がっていると、大ももの付け根の鼠径(そけい)部や下腹部の痛みを感じることもあります。
 普通は、膿尿(のうにょう)、細菌尿を伴って症状が全般的に強いのですが、クラミジアの感染では症状が軽度で膿尿もみられないことがあります。精巣に炎症がおよぶことはまれで、精巣にはれ、圧痛は認められません。
【慢性精巣上体炎(慢性副睾丸炎)】
 慢性精巣上体炎は、急性精巣上体炎の局所症状が完全に消えないで慢性症に移る場合が多いのですが、初めから慢性あるいは潜行性に起こることもあります。また、外傷が誘因となって起こることもあります。さらに、結核菌による炎症など特殊な菌による感染で炎症が長引く場合とがあります。
 尿道炎や前立腺炎を起こした時に、大腸菌、ブドウ球菌などの一般細菌や、クラミジア、淋菌などの性行為感染症菌が尿道や前立腺から精巣上体に逆流し、炎症を起こすのが急性精巣上体炎であり、この治療が不十分であると、細菌が精巣上体の中にこもってしまい、慢性的精巣上体炎を生じると考えられます。
 結核性の場合は、肺結核から尿に結核菌の感染が移行して引き起こされます。尿路性器結核の部分現象として発症するので、睾丸を除く前性器が侵されていることが多く、尿路結核を合併することがしばしばあります。20~30歳代に多い疾患です。
 慢性精巣上体炎では、全身症状は乏しく、陰嚢内の違和感や不快感、鈍い痛みが長期に渡って続きます。陰嚢に触ると、精巣上体に硬いしこりを感じます。発熱、急激なはれ、激しい痛みなどは伴いません。
 結核性の場合も、精巣上体が数珠状に硬くはれ、鈍い痛みが続きます。
[iモード]精巣上体炎の検査と診断と治療
【急性精巣上体炎(急性副睾丸炎)】
 適切な抗生剤を早期に使用することによって比較的治りやすい疾患ですが、悪化すると治療が困難になり慢性化してしまったり、精巣を摘出しなければならないことがあります。早めに泌尿器科の専門医を受診することが大切で、治療中は激しい運動や飲酒は控えます。
 医師の側では、尿検査で尿中の白血球や細菌を検出します。クラミジア感染が疑われる場合も、尿で検査できます。細菌については、その種類とどのような抗生剤が効くかを同時に調べますが、細菌が検出されないこともまれではありません。
 また、全身への影響をみるため、血液検査で炎症反応などをチェックします。精巣(精索)捻転(ねんてん)症や精巣腫瘍(しゅよう)との区別が難しい場合もあります。
 治療は、局所の安静と冷湿布、抗生剤の経口投与が主体となります。抗生剤は、尿路感染症に有効なユナシンなどのペニシリン系、セフゾンなどのセフェム系、クラビットなどのニューキノロン系が用いられます。また、サポーターなどで陰嚢を持ち上げることで、症状が和らぎます。
 発熱などの全身症状がみられる場合は、消炎鎮痛剤の投与とともに、入院した上で安静を保ち、抗生剤の点滴による治療が必要になります。
 発熱を伴う急性期の炎症は、1〜2週間で治まります。精巣上体のはれや鈍い痛みは、数カ月続く場合が多く、時には精巣上体に硬いしこりが残ってしまうことがあります。
 初期の治療が不十分だと炎症が悪化してうみがたまり、陰嚢を切開してうみを出さなければならなかったり、精巣を含めて精巣上体を摘出しなければならないこともあります。
 後遺症として、慢性精巣上体炎に移行したり、精巣上体部の精子通過障害をもたらすことがあります。精巣にも炎症が波及し、両側性であれば男性不妊につながることもあります。
【慢性精巣上体炎(慢性副睾丸炎)】
 激しい症状がないので放置してしまう場合もみられますすが、徐々に悪化してしまったり、他の疾患が見付かったりすることもありますので、泌尿器科の専門医を受診します。
 医師の側はまず、尿中の白血球や細菌の検査をします。しかし、慢性精巣上体炎では細菌を検出することが難しい場合も多く、原因菌の特定ができないことがあります。
 細菌が検出されない場合は、結核性を疑って特殊な検査で尿中の結核菌の有無を調べますが、結核菌は検出されずに、手術で精巣上体を摘出した結果、結核感染が証明されることもあります。
 また、慢性前立腺炎などの慢性尿路感染や、前立腺肥大症などの他の疾患を合併している場合もあるので、腎臓(じんぞう)、膀胱、前立腺など他の尿路に異常がないかどうか検査します。
 治療においては、抗生剤の投与では効果が得られない場合が多いため、消炎鎮痛剤などの痛みと炎症を抑える薬を長期間投与します。不快な痛みが続く場合は、精巣上体を摘出することもあります。
 結核性の場合は、他の尿路にも結核菌の感染を起こしている可能性があり、結核菌が臓器の奥深くに潜んでいることも多いので、半年以上の長期間、抗結核剤を投与します。イソニアジド(イスコチン)とリファンピシン(リファジン)に、ストレプトマイシンまたはエサンブトールを組み合わせた治療が標準的です。
 それでも改善しなければ、精巣上体だけを摘出する手術、あるいは精巣上体を含めて精管、精嚢、前立腺まで摘出する根治手術を行うこともあります。
 後遺症として、精巣上体部の精子通過障害をもたらすことがあります。精巣にも炎症が波及し、両側性であれば男性不妊につながることもあります。

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■病気 精巣炎(睾丸炎) [病気(せ)]

[iモード]細菌やウイルスの感染などで、精巣に炎症が起こる疾患
 精巣炎とは、細菌やウイルスなどに感染することによって、男性の生殖器官である精巣に炎症が起こる疾患。睾丸(こうがん)炎とも呼ばれます。
 精巣、すなわち睾丸は、男性の陰嚢(いんのう)内に左右各1個あって卵形をしており、男性ホルモンおよび精子を産生しています。
 精巣炎の原因のほとんどは、後部尿道からの細菌の感染によるものです。原因細菌は、大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌など。細菌の感染によって精巣だけに炎症が起こることはまれで、その多くは細菌性の精巣上体炎(副睾丸炎)が波及して精巣にも炎症が起きます。
 また、流行性耳下腺(せん)炎(おたふく風邪)を起こすムンプスウイルスの血行感染によって起こることがあり、思春期以降に流行性耳下腺炎にかかった人の10〜30パーセントが精巣炎も発症します。両方の精巣に炎症を起こすと、後遺症として無精子症など男性不妊の原因になることがあります。
 そのほか、外傷で精巣が強く打たれた時に、精巣炎が起こることもあります。
 症状は、急激な寒けと震えがきて、高熱が出ます。陰嚢は赤くなってはれ上がり、熱感を持ち、精巣も大きく硬くなり、強く痛みます。圧痛も激しく腹部まで及びます。
 ムンプスウイルスによるものは、流行性耳下腺炎を発症した4〜7日後に、急激な精巣の痛みとはれが起き、発熱や倦怠(けんたい)感などが現れます。通常、排尿に関する症状はありません。
[iモード]精巣炎の検査と診断と治療
 精巣炎(睾丸炎)を発症したら、できるだけ精巣へのダメージを少なくするため家で安静にし、陰嚢をつり上げて固定し、さらに冷湿布をすると痛みは軽くなります。 男性不妊になるのを予防するために、やはり一度は泌尿器科の専門医を受診しておいたほうが安心です。
 医師の側は、精巣の症状から簡単に診断できます。ムンプスウイルスによるものは、流行性耳下腺炎の先行と、咽頭や精液からのウイルス分離や、血液中のウイルスに対する抗体の値が初回より2回目の測定で上昇することで、確定診断できます。尿中に、うみや細菌は認められません。
 治療としては、全身の安静、陰嚢の固定や冷湿布とともに、大腸菌、ブドウ球菌などの細菌が原因の時は抗生物質を強力に投与します。
 ムンプスウイルスが原因の時は、抗生物質は有効ではないため、熱を抑えるための消炎鎮痛剤を投与します。1週間程度で炎症は治まりますが、長期化したり両側に炎症を起こすと、精巣の中の精子のもとになる細胞が死んでしまい、精巣が委縮し、不妊症の原因になってしまいます。20〜30パーセントに起きると見なされます。

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■病気 前立腺炎 [病気(せ)]

[ダイヤ]男性の尿道後部を囲む前立腺に、炎症が起こる疾患
 前立腺(ぜんりつせん)炎とは、細菌などによって、男性の尿道後部を囲む前立腺が炎症を起こす疾患。あらゆる年代の男性に起こります。
 前立腺はクルミ大の器官で膀胱(ぼうこう)のすぐ下にあり、この中を尿道が貫いています。成人では重さ15~17gグラムで、男性ホルモンに支配されており、分泌される前立腺液は精液の一部を占め、精子の運動を活発にするものといわれています。
 排尿時に前立腺が収縮、緩和を行うことで、排尿をコントロールをする働きもあります。
 炎症だけにとどまっている場合を前立腺炎といい、これが化膿(かのう)してうみを持った状態を前立腺膿瘍(のうよう)といいます。また、前立腺炎がある時は、ほとんど隣接する精嚢(せいのう)にも炎症が起こっていることが多いものです。
 原因としては、以前は淋菌(りんきん)によって起こるものが多かったのですが、近年は大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌などによって起こるものが増えています。感染経路は、病原菌が尿道から直接侵入するものが一般的ですが、ほかの化膿巣から血液によって運ばれる血液感染もまれにみられます。
 急性(細菌性)前立腺炎と慢性前立腺炎があり、慢性前立腺炎は慢性(細菌性)前立腺炎、慢性(非細菌性)前立腺炎、前立腺痛の3タイプに分類できます。
 急性(細菌性)前立腺炎では、初期には微熱が出て、頻尿と排尿の終わりに痛みがある程度です。進行すると、症状も強くなり、会陰(えいん)部から直腸部に痛みが起こり、腰部に走ります。頻尿は強くなり、排尿時の痛みも強くなるとともに、排尿困難を生じ、時に尿閉も起こります。
 排便も困難になり、寒けと震えを伴った高熱が出ます。時には、著しい高熱発作で、急激に発症することもあります。
 慢性前立腺炎には、急性のものから移行するものと、初めから慢性に起こるものがあります。慢性(細菌性)前立腺炎は、急性前立腺炎が治りきらず細菌感染が継続した状態ですが、尿道炎などから前立腺の炎症を併発することもあります。
 朝、尿道から少量のうみが分泌し、頻尿、排尿時の痛みと不快感、残尿感などのほか、会陰部、直腸部、膀胱部に痛みを感じたり、腰痛などが起こります。人により、性欲減退、勃起(ぼっき)不全、早漏、遺精、精液漏など、いろいろな性機能障害を覚えます。
 慢性(非細菌性)前立腺炎 は、疲労やストレスなどが原因となることもある最も一般的なタイプ。頻尿や排尿時の痛み、残尿感、会陰部の痛みなどがありますが、急性(細菌性)前立腺炎に比べれば症状は軽く、なかなか疾患と認識されません。どの年代の男性にもみられ、症状が消えたり現れたりを繰り返します。
 前立腺痛は、前立腺そのものには異常がないのに、下腹部や会陰部に痛みを感じるタイプ。はっきりした原因は不明で、誘因としては前立腺や膀胱周辺の筋肉の機能障害やストレスが考えられます。
[ダイヤ]前立腺炎の検査と診断と治療
 前立腺炎の症状に気付いたら、泌尿器科の専門医を受診します。
 医師による診断では、尿検査、エコー検査、血液検査、直腸診などが行われます。細菌性の前立腺炎では、尿検査で尿中に白血球が多数出現し、炎症所見がみられます。直腸診で前立腺を触れると、圧痛が現れます。前立腺マッサージをして出てくる前立腺分泌液にも、白血球を認めます。急性(細菌性)前立腺炎では、細菌の存在も確認できます。
 強い痛みや不快症状がある急性(細菌性)前立腺炎は、入院して鎮痛剤で痛みや不快症状を抑え、同時に感染菌に効く強力な抗生物質による治療を行います。前立腺は薬物移行が悪いため、治療効果が得られるまでに時間がかかることも多く、敗血症に移行することもあるので注意が必要です。
 また、再発を繰り返すと慢性化してしまうので、医師の指示通り、服薬や治療を継続しなければなりません。
 逆に、慢性前立腺炎は大事に至ることはありません。慢性(細菌性)前立腺炎では、抗菌剤を4~12週間程度服用します。また、前立腺のマッサージで、分泌腺内にたまっている膿性分泌物を排出させます。
 慢性(非細菌性)前立腺炎でも、細菌感染の可能性もある場合には、抗菌剤を4〜8週間程度服用します。細菌の可能性がない場合や、前立腺痛では、筋弛緩(しかん)剤、温座浴などの温熱治療、漢方薬が用いられます。さらに、精神科医との連携も必要な場合があります。
 慢性前立腺炎の場合、原因もさまざまでで、かつ治りづらいので、気長に治療することが大切。日常生活の摂生や軽い運動などによる体力増進も、不可欠となります。

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■病気 前立腺がん [病気(せ)]

[乙女座]男性の尿道後部を囲む前立腺に発生するがん
 前立腺(ぜんりつせん)がんとは、男性の尿道後部を囲む分泌腺である前立腺に発生するがん。
 前立腺はクルミ大の器官で膀胱(ぼうこう)のすぐ下にあり、この中を尿道が貫いています。男性ホルモンに支配されており、分泌される前立腺液は精液の一部を占め、精子の運動を活発にするものといわれています。
 前立腺がんは、前立腺肥大症とともに高齢者に多い疾患の一つです。従来から欧米に多く、日本では少なかったのですが、近年はその発病率が徐々に増加しています。平均寿命が延びて高齢者が増えているのが関係しているばかりでなく、食生活が欧米化していることも関係しているといわれています。
 また、腫瘍(しゅよう)マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)検査の普及に伴って、その発見頻度も徐々に増加しています。
 現在、1年間に前立腺がんにかかる日本人男性は、現在10万人当たり15人程度。年齢別では、45歳以下ではまれなものの、50歳以後その頻度が増え、70歳代では10万人当たり約200人、80歳以上では300人以上になります。
 原因は遺伝子の異常とされており、加齢と男性ホルモンの存在が影響しますが、いまだ明確ではありません。欧米の報告によると、肉やミルクなど脂肪分が多く含まれている食事を多く摂取することにより、前立腺がんの発生が増えると考えられています。一方、穀類や豆類など繊維を多く含む食事は、がんの発生を抑える効果があると考えられています。肥満、過度の飲酒、喫煙が誘因になるとの指摘もあります。
 前立腺がんは前立腺の外側の腺上皮から発生する率が高く、初期にはほとんど症状がありません。がんが大きくなって尿道が圧迫されると、尿が出にくい、尿の回数が多い、排尿後に尿が残った感じがする、夜間の尿の回数が多いなど、前立腺肥大症と同じ症状が現れます。
 がんが尿道または膀胱に広がると、排尿の時の痛みや、尿漏れ、肉眼でわかる血尿が認められ、さらに大きくなると尿が出なくなります。精嚢(せいのう)腺に広がると、精液が赤くなることがあります。
 さらにがんが進行すると、リンパ節や、脊椎(せきつい)、骨盤骨に転移します。リンパ節に転移すると下肢のむくみ、骨に転移すると腰痛や背痛、下半身まひを起こすことがあります。
 なお、前立腺肥大症ではどんなに進んでも、下肢のむくみ、骨の痛みなどはみられません。2つの疾患が合併することもあります。
[乙女座]前立腺がんの検査と診断と治療
 前立腺がんは、遺伝の要素が強いがんの一つと考えられているため、親族が前立腺がんの場合、早めにPSA(前立腺特異抗原)検査を受けます。一般開業医あるいは検診センターで検査を受けた結果がPSA値4ng/ml以上だったら、泌尿器科の専門医を受診します。
 PSA値は血液検査だけで測定可能で、一般に正常値は4ng/mlとされ、10ng/mlまでの間をグレーゾーン(灰色の値)といいます。グレーゾーンの人では、おおむね20〜30パーセントに前立腺がんが発見され、しかも発見されたとしても早期がんです。PSA値が高いほどがんの可能性が高く、100ng/mlを超えるようなこともあります。
 ただし、がんだけが異常値を示すわけではなく、前立腺肥大症でも高値を示すことがあり、年齢とともに上昇する傾向があります。PSA値があまり上昇しない前立腺がんも15〜20パーセントあるため、注意が必要です。
 医師による診断では、PSA値の高さ、PSA検査に関連したさまざまな判断基準、年齢による基準を考えに入れて、次の検査を進めます。肛門(こうもん)から指を入れて前立腺を触る直腸診を行うと、がんは硬いしこりとして前立腺内に触れます。経直腸超音波診断を行うと、がんは前立腺の変形、低エコー領域として認められます。
 確定診断のためには、生検(組織診)が行われます。超音波検査の道具をガイドにして、直腸方向から生検針を用いて組織を採取して調べるもので、現在は短期間入院して麻酔下で行います。
 周囲への進み具合は、腹部リンパ節のCT、骨盤部のMRIによって調べます。全身の骨の転移については、骨シンチグラフィが有用です。
 前立腺がんの治療法には、ホルモン療法、放射線療法、手術などがあり、がんの進行程度、年齢により、他の部位のがんより幅広い治療法の選択ができます。
 早期がんに相当する前立腺内限局がん(病期A、B)の場合は、第1選択が開腹あるいは腹腔(ふくくう)鏡下による前立腺摘除手術、第2選択が放射線療法となり、どちらでも完治できます。高齢者などでは、ホルモン療法で疾患を抑えます。
 放射線療法は、高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺す治療です。1日1回、週5回照射し、5〜6週間の治療期間が必要です。外照射療法のほかに、小線源療法といって前立腺に放射線を出す小さな線源を埋め込む方法があります。
 ホルモン療法は、男性ホルモンを血液中から排除する治療で、LH—RHアナログという薬を皮下注射をする方法と、精巣(睾丸)を切除する方法があります。ほかにも、がんの進行程度によって抗男性ホルモン剤や、女性ホルモン剤を用いて治療します。
 前立腺から少しはみ出したがんに相当する局所進展がん(病期C)の場合は、ホルモン療法+放射線療法や前立腺摘除手術+ホルモン療法が行われます。ホルモン療法だけでもがんを抑えておくことはできますが、時期をみて放射線療法に移るのが疾患の再燃を防ぐよい方法となります。
 進行がんに相当し、リンパ節などへの転移のあるがん(病期D)の場合は、ホルモン療法が行われ、がんの原発巣は縮小し、骨転移による腰痛や背痛も軽減または全く消失します。しかし、進行がんでは2〜3年以内の再発が多く認められ、再発に対する標準的な治療法はまだ定まっていません。
 前立腺がんの予防策としては、過食、過飲、喫煙を避け、動物性脂肪を減らし、豆腐、納豆などの豆製品を多く食べ、緑黄野菜の摂取を忘れず、戸外での適度な運動を楽しむことです。
 とりわけ、豆類に含まれるイソフラボノイドがエストロゲン(女性ホルモン)様の構造を持つことから、前立腺がんを抑制する可能性があると推定されていますし、野菜、果物も前立腺がんに限らず、一般的にがん予防効果があるとされています。

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