■病気 虫刺され(虫刺症) [病気(む)]
虫に皮膚を刺されてできる傷
虫刺されとは、虫に皮膚を刺された時にできる傷であり、外傷の一つ。虫刺(ちゅうし)症とも呼ばれます。
傷は、ハチ、蚊、ノミ、ダニ、ブヨ、アリなどに刺されて、皮膚に注入される虫の唾液腺(だえきせん)物質に対するアレルギー反応です。主に腕や足の外側に多く、引っかき壊して水膨れを作ったり、皮膚がむけたり、出血したり、かさぶたとなります。幼児が主で、春夏に著しく、秋冬にはよくなるのが普通です。
同じ虫刺されといっても、人間を刺す虫の種類は多く、その毒性の強弱、あるいは刺された人の毒物に対する反応の差により、症状が異なります。
ハチ
一般的には、ハチに刺された場合は、その強い毒性のために、刺された部位が強い痛みとかゆみとともに、大きく赤く膨れ上がり、治るのに数日かかります。特に、ハチの毒液の成分に対し、アレルギーを持っている人は、反応が強いと、血圧低下、呼吸困難などのショック症状を起こすこともあります。反応が異常に強い時は、ショック死することもあります。
しかし、ショックを起こすのはハチだけではなく、蚊でも、その毒液の成分にアレルギーのある人は、ショックを起こすことがありますので、注意が必要です。
蚊
蚊による虫刺されは、一番ポピュラーな虫刺され。普通は刺されたところが、銅貨大くらいまでに赤くはれ、強いかゆみがありますが、数時間以内に治まります。
ただ反応の強い人では、水膨れになったり、数カ月間に渡って硬いしこりが残って、かゆみの非常に強い固定じんましんといわれる皮膚病になることがあります。
国内ではあまりないものの、海外では蚊に刺されてマラリア病やフィラリア症に感染することがありますので、海外旅行をする時は注意が必要です。
ノミ
ノミもまた、刺す虫の代表的なもの。最近は衛生設備の整備により、人ノミはあまり都会ではみられなくなり、現在よくみられるのは、犬、猫につく犬ノミ、猫ノミの虫刺されです。
このノミは元来、人につくことはないのですが、たまたま地面や畳などに落ちていると、人の足について刺したりします。かゆみの強い、赤いボツボツと水膨れができます。
ダニ
ダニは非常に種類の多い昆虫ですが、虫刺されと一番関係が深いのは家ダニです。家ダニはネズミに寄生していて、ネズミがいなくなると人を刺します。
最近は家屋が密閉されたために、昔ほどネズミはみられなくなり、家ダニの被害も減っているものの、食品を扱っている店などでは、ネズミも多く、そのネズミの移動によって被害に遭うことがあります。
野鳥に寄生しているトリサシダニ類は、鳥が巣を捨てると人を刺します。
畳やカーペットの下に巣くうコナダニ類では、ツメダニが人を刺すことがあります。
これらの非常に小さくて、肉眼ではなかなか見付けにくいダニ類は、皮膚の軟らかいところを好んで刺しますので、軟らかい部分に赤いボツボツがあれば、ダニの虫刺されも考えられます。
山や草原を歩いている時に、体長1~2センチのマダニに刺されることがあります。激しい痛みと赤いはれを起こします。しかも、虫体が皮膚の中に深く食い込んでいて、一度刺されるとなかなか引き離すことができません。手術的に周囲の皮膚と一緒に虫を切り取るか、1~2週間放置して、虫が満腹になり、自然に離れるのを待つしか手はないようです。
日本海側の河川領域のネズミに寄生するアカツツガムシ、全国の山林にいるネズミに寄生するフトゲツツガムシ、タテツツガムシの虫刺されにより、ツツガムシ病を起こすこともあります。発病すると、高熱とリンパ腺のはれと同時に、全身に淡紅色から淡紫紅色の大小の紅斑(こうはん)が生じます。刺された部位の中央に、かさぶたのついた大豆(だいず)より大きな潰瘍(かいよう)を持つしこりができるのが、ツツガムシ病の特徴です。
南京虫
南京虫(トコジラミ)は、家屋の透き間や、織物、紙の間などに潜んでいて、夜間に活動して人を刺します。刺されると、強いかゆみと痛みがあり、やや大きな赤いしこりがたくさんできます。
都会では、南京虫による虫刺されはあまりみることがなくなっているものの、織物や紙を扱う職業の人は刺されることが多いようです。また、家具について移動するため、新築の家でも油断することはできません。
虫刺されの検査と診断と治療
虫刺されの治療には、抗ヒスタミン剤含有軟こうを塗布します。炎症症状の強い時は、短期間のステロイド外用剤の塗布が有効です。特に、テープ状のものを発疹(はっしん)の大きさに切って張り付けるのが、効果的です。
しかし、慢性の硬い結節ではなかなか治りません。これにはステロイドの注射薬を少量ずつ、一つ一つの結節に直接注射する方法もあります。引っかくのが疾患を悪化させ、長引かせるもとですから、かゆみ止めの飲み薬も必要な場合があります。
ハチの場合は、刺された直後には、毒を中和する意味でアンモニア水の塗布が有効です。刺されて時間がたち、赤く膨れ上がっている時には、ステロイド外用剤の塗布、あるいは短期間のステロイド剤の内服を行います。
虫刺されの予防法は、虫に刺されないように注意すればすむことです。蚊に刺されそうな場所に出掛ける時には、市販されている虫よけの外用剤を使います。
家庭における予防法としては、生活環境からのノミ、ダニなどの駆虫が第一で、まず家の大掃除をして、畳、カーペットは直接日に干し、さらに駆虫剤を散布します。部屋は風通しをよくして、湿気を払います。飼っている犬、猫の虫退治、家の中や周囲にいるネズミの退治、鳥の巣の取り除きも行います。
かいてあまり傷にならないように、週2回はつめを切る、寝る時に手袋をするなどの工夫も必要です。
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虫刺されとは、虫に皮膚を刺された時にできる傷であり、外傷の一つ。虫刺(ちゅうし)症とも呼ばれます。
傷は、ハチ、蚊、ノミ、ダニ、ブヨ、アリなどに刺されて、皮膚に注入される虫の唾液腺(だえきせん)物質に対するアレルギー反応です。主に腕や足の外側に多く、引っかき壊して水膨れを作ったり、皮膚がむけたり、出血したり、かさぶたとなります。幼児が主で、春夏に著しく、秋冬にはよくなるのが普通です。
同じ虫刺されといっても、人間を刺す虫の種類は多く、その毒性の強弱、あるいは刺された人の毒物に対する反応の差により、症状が異なります。
ハチ
一般的には、ハチに刺された場合は、その強い毒性のために、刺された部位が強い痛みとかゆみとともに、大きく赤く膨れ上がり、治るのに数日かかります。特に、ハチの毒液の成分に対し、アレルギーを持っている人は、反応が強いと、血圧低下、呼吸困難などのショック症状を起こすこともあります。反応が異常に強い時は、ショック死することもあります。
しかし、ショックを起こすのはハチだけではなく、蚊でも、その毒液の成分にアレルギーのある人は、ショックを起こすことがありますので、注意が必要です。
蚊
蚊による虫刺されは、一番ポピュラーな虫刺され。普通は刺されたところが、銅貨大くらいまでに赤くはれ、強いかゆみがありますが、数時間以内に治まります。
ただ反応の強い人では、水膨れになったり、数カ月間に渡って硬いしこりが残って、かゆみの非常に強い固定じんましんといわれる皮膚病になることがあります。
国内ではあまりないものの、海外では蚊に刺されてマラリア病やフィラリア症に感染することがありますので、海外旅行をする時は注意が必要です。
ノミ
ノミもまた、刺す虫の代表的なもの。最近は衛生設備の整備により、人ノミはあまり都会ではみられなくなり、現在よくみられるのは、犬、猫につく犬ノミ、猫ノミの虫刺されです。
このノミは元来、人につくことはないのですが、たまたま地面や畳などに落ちていると、人の足について刺したりします。かゆみの強い、赤いボツボツと水膨れができます。
ダニ
ダニは非常に種類の多い昆虫ですが、虫刺されと一番関係が深いのは家ダニです。家ダニはネズミに寄生していて、ネズミがいなくなると人を刺します。
最近は家屋が密閉されたために、昔ほどネズミはみられなくなり、家ダニの被害も減っているものの、食品を扱っている店などでは、ネズミも多く、そのネズミの移動によって被害に遭うことがあります。
野鳥に寄生しているトリサシダニ類は、鳥が巣を捨てると人を刺します。
畳やカーペットの下に巣くうコナダニ類では、ツメダニが人を刺すことがあります。
これらの非常に小さくて、肉眼ではなかなか見付けにくいダニ類は、皮膚の軟らかいところを好んで刺しますので、軟らかい部分に赤いボツボツがあれば、ダニの虫刺されも考えられます。
山や草原を歩いている時に、体長1~2センチのマダニに刺されることがあります。激しい痛みと赤いはれを起こします。しかも、虫体が皮膚の中に深く食い込んでいて、一度刺されるとなかなか引き離すことができません。手術的に周囲の皮膚と一緒に虫を切り取るか、1~2週間放置して、虫が満腹になり、自然に離れるのを待つしか手はないようです。
日本海側の河川領域のネズミに寄生するアカツツガムシ、全国の山林にいるネズミに寄生するフトゲツツガムシ、タテツツガムシの虫刺されにより、ツツガムシ病を起こすこともあります。発病すると、高熱とリンパ腺のはれと同時に、全身に淡紅色から淡紫紅色の大小の紅斑(こうはん)が生じます。刺された部位の中央に、かさぶたのついた大豆(だいず)より大きな潰瘍(かいよう)を持つしこりができるのが、ツツガムシ病の特徴です。
南京虫
南京虫(トコジラミ)は、家屋の透き間や、織物、紙の間などに潜んでいて、夜間に活動して人を刺します。刺されると、強いかゆみと痛みがあり、やや大きな赤いしこりがたくさんできます。
都会では、南京虫による虫刺されはあまりみることがなくなっているものの、織物や紙を扱う職業の人は刺されることが多いようです。また、家具について移動するため、新築の家でも油断することはできません。
虫刺されの検査と診断と治療
虫刺されの治療には、抗ヒスタミン剤含有軟こうを塗布します。炎症症状の強い時は、短期間のステロイド外用剤の塗布が有効です。特に、テープ状のものを発疹(はっしん)の大きさに切って張り付けるのが、効果的です。
しかし、慢性の硬い結節ではなかなか治りません。これにはステロイドの注射薬を少量ずつ、一つ一つの結節に直接注射する方法もあります。引っかくのが疾患を悪化させ、長引かせるもとですから、かゆみ止めの飲み薬も必要な場合があります。
ハチの場合は、刺された直後には、毒を中和する意味でアンモニア水の塗布が有効です。刺されて時間がたち、赤く膨れ上がっている時には、ステロイド外用剤の塗布、あるいは短期間のステロイド剤の内服を行います。
虫刺されの予防法は、虫に刺されないように注意すればすむことです。蚊に刺されそうな場所に出掛ける時には、市販されている虫よけの外用剤を使います。
家庭における予防法としては、生活環境からのノミ、ダニなどの駆虫が第一で、まず家の大掃除をして、畳、カーペットは直接日に干し、さらに駆虫剤を散布します。部屋は風通しをよくして、湿気を払います。飼っている犬、猫の虫退治、家の中や周囲にいるネズミの退治、鳥の巣の取り除きも行います。
かいてあまり傷にならないように、週2回はつめを切る、寝る時に手袋をするなどの工夫も必要です。
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タグ:病気(む) 老人性角化腫(日光角化症) 赤あざ(血管腫) せつ、よう やけど(熱傷) 多形滲出性紅斑 紅皮症(剥脱性皮膚炎) 紫斑病 虫刺され(虫刺症) 若はげ 異所性蒙古斑 ストロベリーマーク 二枚爪 あざ ジベルばら色粃糠疹 ケロイド 蒙古斑 酒さ リンゴ病 天疱瘡 帯状疱疹 腋臭 円形脱毛症 多汗症 アトピー性皮膚炎 メラノーマ 赤ら顔 ヘルペス 体臭 突発性発疹 しみ(肝斑) たこ、魚の目 ふけ症 脂漏性皮膚炎 黒なまず(癜風) 白なまず(白斑) 結節性紅斑 疥癬(かいせん) 乾癬(かんせん) カポジ肉腫 脱毛、薄毛 サーモンパッチ 白癬(はくせん) 水虫(足白癬) 皮膚掻痒症 ベーチェット病 ひょうそ 痒疹 じんましん(蕁麻疹) 主婦湿疹(手湿疹) 接触皮膚炎(かぶれ) かぶれ(接触皮膚炎) 爪白癬(爪の水虫) 爪甲剥離症 爪甲周囲炎(爪囲炎) 皮膚結核 爪甲白斑症 にきび(尋常性痤瘡) そばかす(雀卵斑) あせも(汗疹) 陥入爪 乾皮症 白板症 白皮症 爪甲軟化症 爪甲横溝 蜂窩織炎、丹毒 掌蹠膿疱症 酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎) 時計ガラスつめ(ヒポクラテスつめ) 匙状づめ 口腔カンジダ症(鵞口瘡) しらくも(頭部白癬) 単純性疱疹(単純性ヘルペス) いんきんたむし(股部白癬) 虫刺症(虫刺され) 癜風(黒なまず) 青あざ 日光角化症(老人性角化腫) ページェット病 ボーエン病 リール黒皮症 色素性母斑 シラミ症 伝染性膿痂疹(とびひ) ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSS症候群) 乾性脂漏 口囲皮膚炎(酒さ様皮膚炎) 悪性黒色腫 母斑 母斑細胞性母斑 乳房外パジェット病 乳房パジェット病 マラセチア毛包炎 ミルメシア 尋常性乾癬 毛嚢炎 熱傷(やけど) 尋常性白斑 手湿疹(主婦湿疹) 白子症(白皮症) 頭部白癬(しらくも) 足白癬(水虫) マヨッキー紫斑 ポートワイン母斑 単純性血管腫 イチゴ状血管腫 正中部母斑 ウンナ母斑 スピッツ母斑 特発性色素性紫斑 シャンバーグ病 慢性色素性紫斑 特発性血小板減少性紫斑病 単純性紫斑 アレルギー性紫斑病 尋常性魚鱗癬 毛孔性紅色粃糠疹 進行性指掌角皮症 頭部粃糠疹 伊藤母斑 遠心性後天性白斑 サットン白斑 爪肥厚症 爪甲縦裂症 爪甲脱落症 爪甲鉤弯症 太田母斑 茶あざ ベッカー母斑 扁平母斑 青色母斑 蟹足腫 ほくろのがん アナフィラクトイド紫斑病 エリトラスマ 紅色陰癬 うっ滞性皮膚炎 血管拡張性環状紫斑 日光過敏症(日光過敏症) 血管腫(赤あざ) 紡錐細胞性母斑 脱色素性母斑 桜根母斑 黒あざ 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) デング熱
■病気 無症候性心筋虚血(SMI) [病気(む)]
一過性に心筋の虚血がありながら、自覚症状がない病態
無症候性心筋虚血(SMI:silent myocardial ischemia)とは、検査上では狭心症と全く同じく冠動脈に狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)を持ち、一過性に心筋の虚血を起こす所見がありながら、胸痛の自覚症状がない病態。無痛性心筋虚血とも呼びます。
無症候性心筋虚血の起こる原因は、狭心症と同じで高血圧、高脂血症、肥満、高尿酸血症、ストレス、性格など。この無症候性心筋虚血を持つ発症者は、基本的に痛みを感じる限界値の高いことがわかっています。また、糖尿病にかかっていたり、年齢が高くなるとともに、発症頻度が増加します。
すでに大きな心筋梗塞(こうそく)がある場合にも、痛みを感じないことがあります。心臓を移植した場合にも、神経がつながっていないために痛みを自覚できず、虚血性心疾患の発見が遅れることが欧米では問題になっていますが、日本でも決して対岸の火事ではありません。
無症候性心筋虚血は、1型、2型、3型の3つに分けられます。
1型は全く症状がない厄介なもので、日本では健康と思っている人の2〜3パーセントにあると見なされます。検診やほかの疾患で診察を受けた際に、偶然見付けられる程度です。
2型は、心筋梗塞に合併します。狭心症と一緒にみられることが多く、比較的診断されやすいもの。普通、心筋梗塞の20〜50パーセントにみられますが、急性期ほど頻発します。
3型は、狭心症と一緒に発症するものです。一般的に、安定狭心症とは20〜40パーセントに合併し、不安定狭心症とは50〜80パーセントと高率に合併します。しかも、発生する心筋虚血の4分の3が無症候性心筋虚血なのです。
従って、狭心症や心筋梗塞例を治療する際には、自覚症状の改善だけではなく、無症候性心筋虚血発作の有無を適宜、検査してもらう必要があります。自覚症状だけを目標に治療すると中途半端となり、心筋梗塞や心臓性急死に進む危険があります。胸痛を自覚しなくなったことは改善を意味しますが、心筋虚血発作が完全に消えたわけではなく治療は十分とはいえないことを、忘れないようにします。
無症候性心筋虚血の検査と診断と治療
無症候性心筋虚血では自覚症状がないため、診断には各種の検査が欠かせません。よく行われるものに、運動負荷試験とホルター心電計があります。心筋シンチグラフィも、症例を選んで行われます。全体像を把握した上で、必要に応じて冠動脈造影も行われます。
治療は、基本的に狭心症と同じです。高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病がリスクを高めるため、生活習慣病にかからないように留意し、もしかかってしまった場合には、そちらの治療をすることが先決となります。肥満している人は減量、喫煙している人は禁煙を図ります。
しかし、無症候性心筋虚血では自覚症状がないために、無理をしたり、受診や治療が遅れたりなど、医師と発症者の双方とも好ましくない状況を作りやすい危険性があります。この疾患を十分に理解するようにします。
無症候性心筋虚血などの虚血性心疾患にかからないためには、狭心症、心筋梗塞、冠動脈硬化を促進させる危険因子を遠ざけて、改善することが大切です。そのためには、40歳になったら毎年1回、心電図、血圧、血中総コレステロールなどの脂質を測定することです。特に、こうした疾患が発生した家系の人には起こりやすいので、心臓、血管系の検診を毎年受けるようにします。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
無症候性心筋虚血(SMI:silent myocardial ischemia)とは、検査上では狭心症と全く同じく冠動脈に狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)を持ち、一過性に心筋の虚血を起こす所見がありながら、胸痛の自覚症状がない病態。無痛性心筋虚血とも呼びます。
無症候性心筋虚血の起こる原因は、狭心症と同じで高血圧、高脂血症、肥満、高尿酸血症、ストレス、性格など。この無症候性心筋虚血を持つ発症者は、基本的に痛みを感じる限界値の高いことがわかっています。また、糖尿病にかかっていたり、年齢が高くなるとともに、発症頻度が増加します。
すでに大きな心筋梗塞(こうそく)がある場合にも、痛みを感じないことがあります。心臓を移植した場合にも、神経がつながっていないために痛みを自覚できず、虚血性心疾患の発見が遅れることが欧米では問題になっていますが、日本でも決して対岸の火事ではありません。
無症候性心筋虚血は、1型、2型、3型の3つに分けられます。
1型は全く症状がない厄介なもので、日本では健康と思っている人の2〜3パーセントにあると見なされます。検診やほかの疾患で診察を受けた際に、偶然見付けられる程度です。
2型は、心筋梗塞に合併します。狭心症と一緒にみられることが多く、比較的診断されやすいもの。普通、心筋梗塞の20〜50パーセントにみられますが、急性期ほど頻発します。
3型は、狭心症と一緒に発症するものです。一般的に、安定狭心症とは20〜40パーセントに合併し、不安定狭心症とは50〜80パーセントと高率に合併します。しかも、発生する心筋虚血の4分の3が無症候性心筋虚血なのです。
従って、狭心症や心筋梗塞例を治療する際には、自覚症状の改善だけではなく、無症候性心筋虚血発作の有無を適宜、検査してもらう必要があります。自覚症状だけを目標に治療すると中途半端となり、心筋梗塞や心臓性急死に進む危険があります。胸痛を自覚しなくなったことは改善を意味しますが、心筋虚血発作が完全に消えたわけではなく治療は十分とはいえないことを、忘れないようにします。
無症候性心筋虚血の検査と診断と治療
無症候性心筋虚血では自覚症状がないため、診断には各種の検査が欠かせません。よく行われるものに、運動負荷試験とホルター心電計があります。心筋シンチグラフィも、症例を選んで行われます。全体像を把握した上で、必要に応じて冠動脈造影も行われます。
治療は、基本的に狭心症と同じです。高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病がリスクを高めるため、生活習慣病にかからないように留意し、もしかかってしまった場合には、そちらの治療をすることが先決となります。肥満している人は減量、喫煙している人は禁煙を図ります。
しかし、無症候性心筋虚血では自覚症状がないために、無理をしたり、受診や治療が遅れたりなど、医師と発症者の双方とも好ましくない状況を作りやすい危険性があります。この疾患を十分に理解するようにします。
無症候性心筋虚血などの虚血性心疾患にかからないためには、狭心症、心筋梗塞、冠動脈硬化を促進させる危険因子を遠ざけて、改善することが大切です。そのためには、40歳になったら毎年1回、心電図、血圧、血中総コレステロールなどの脂質を測定することです。特に、こうした疾患が発生した家系の人には起こりやすいので、心臓、血管系の検診を毎年受けるようにします。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
タグ:病気(む) 心内膜炎 無症候性心筋虚血(SMI) 心筋梗塞 貧血 ファロー四徴症 リンパ浮腫 不整脈 高血圧症 高脂血症 心臓病 動脈硬化 狭心症 心房中隔欠損症 息切れ 虚血性心疾患 心室中隔欠損症 心臓弁膜症 悪性リンパ腫 脳貧血 うっ血 血栓症 顕微鏡的多発血管炎 結節性多発動脈炎 鉄欠乏性貧血 低血圧症 エコノミークラス症候群 静脈瘤 心筋炎 WPW症候群 閉塞性動脈硬化症 ブルガダ症候群 レイノー病 静脈血栓症 門脈血栓症 白血球増加症 白衣高血圧 肺動脈狭窄症 肺性心 バージャー病 ボタロー管開存症(動脈管開存症) 原発性心筋症 旅行者血栓症 慢性リンパ性白血病 二次性赤血球増加症 真性多血症 本態性血小板血症 続発性赤血球増加症 ロングフライト血栓症 血栓性静脈炎 表在性血栓性静脈炎 急性肺血栓塞栓症 対称性壊疽 神経循環無力症 胃マルトリンパ腫
■病気 無痛性甲状腺炎 [病気(む)]
痛みの出ない一過性の甲状腺炎
無痛性甲状腺(せん)炎とは、何らかの原因により甲状腺の細胞が壊れ、中に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出して、一過性の甲状腺機能亢進(こうしん)症を示す疾患。
亜急性甲状腺炎と違って、甲状腺に痛みがないので無痛性甲状腺炎と呼ばれています。別名、無痛性亜急性甲状腺炎、無症性リンパ球性甲状腺炎、分娩(ぶんべん)後甲状腺炎。
出産を切っ掛けに起こることがよく知られていますが、特に誘因がなく発症する場合もあります。原因はまだわかっていません。自己免疫性の疾患と考えられていて、慢性甲状腺炎(橋本病)をもともと持っている人がかかりやすいともいわれています。
病気の早期には、動悸(どうき)、暑がり、体重の減少などの甲状腺機能亢進症の症状が現れます。このような甲状腺ホルモンが多いための症状は、約1カ月でなくなります。この後、壊れた甲状腺の細胞が回復するまでは、一時的に甲状腺ホルモンが少なくなり、むくみ、体重増加、寒がりなどの症状が現れます。
甲状腺機能亢進症の5~10パーセント程度が、この無痛性甲状腺炎と見なされています。甲状腺機能亢進症の代表的な疾患であるバセドウ病との相違は、無痛性甲状腺炎の症状が比較的軽度であること、病気で悩む期間が短いこと、眼球突出などの眼症状がないことなどが挙げられます。
しかしながら、両者は紛らわしいために、しばしばバセドウ病と誤診されていました。バセドウ病では治療しないと甲状腺ホルモンは低下しないのに対して、無痛性甲状腺炎の甲状腺機能亢進症は一過性で、特に治療しなくても正常化します。治療法は全く異なり、両者の区別は重要です。不必要な治療は避けたいものです。
検査と診断と治療
この病気を診断するには、血液中の甲状腺ホルモンの量だけでは、バセドウ病と区別がつきません。血液中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定により、抗TSHレセプター抗体が陰性であって、甲状腺機能亢進症であれば、無痛性甲状腺炎の可能性が大きくなります。バセドウ病では、抗TSHレセプター抗体が陽性になるからです。
また、バセドウ病と区別する一番確実な手段は、放射性ヨード摂取率の測定です。バセドウ病では高値になり、無痛性甲状腺炎では甲状腺が壊れているために、ヨードがほとんど取り込まれず極めて低値になるので、両者の区別ができます。しかし、この放射性ヨード摂取率の測定は、どの医療機関でもできるものではありません。
自覚症状が強くない時は、無痛性甲状腺炎と考えて治療をせずに、経過をみることも重要です。
無痛性甲状腺炎であれば、最初は甲状腺組織の破壊のために、濾胞(ろほう)に蓄えられた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出て、甲状腺ホルモンが高くなります。しかし、バセドウ病と違ってホルモンが過剰に作られているわけではないので、1~2カ月すると甲状腺ホルモンは低下してきて、反対に甲状腺機能低下症になります。壊れた甲状腺組織が修復される間、甲状腺ホルモンが作れないためです。
甲状腺機能低下症は2~3カ月で治まり、通常は元の正常な甲状腺機能に戻ります。ただし、20~30パーセントくらいの確率で、そのまま永続的な甲状腺機能低下症になる人もおり、甲状腺ホルモン剤の服用が生涯必要になります。定期的なホルモン値の検査を行い、最後まできちんと経過をみることが必要です。
通常、治療は特に必要ありません。動悸や手の震えなどの症状が強い時は、対症療法としてβ(ベータ)遮断薬を使い、過労を避けるようにして甲状腺ホルモンが低下するのを待ちます。甲状腺から血液中に漏れ出てしまった甲状腺ホルモンを減らす治療法は、ありません。
甲状腺機能低下症の症状が強い場合や、続く場合には、甲状腺ホルモン剤の内服が必要となります。
なお、この無痛性甲状腺炎は自然に治る病気ですが、亜急性甲状腺炎と違って繰り返すことがあるので、年に1~2回程度の検査を受けたほうがよいでしょう。毎年同じ時期に再発したり、一生のうちで何回も繰り返し起こすこともありますので、注意が必要です。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
無痛性甲状腺(せん)炎とは、何らかの原因により甲状腺の細胞が壊れ、中に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出して、一過性の甲状腺機能亢進(こうしん)症を示す疾患。
亜急性甲状腺炎と違って、甲状腺に痛みがないので無痛性甲状腺炎と呼ばれています。別名、無痛性亜急性甲状腺炎、無症性リンパ球性甲状腺炎、分娩(ぶんべん)後甲状腺炎。
出産を切っ掛けに起こることがよく知られていますが、特に誘因がなく発症する場合もあります。原因はまだわかっていません。自己免疫性の疾患と考えられていて、慢性甲状腺炎(橋本病)をもともと持っている人がかかりやすいともいわれています。
病気の早期には、動悸(どうき)、暑がり、体重の減少などの甲状腺機能亢進症の症状が現れます。このような甲状腺ホルモンが多いための症状は、約1カ月でなくなります。この後、壊れた甲状腺の細胞が回復するまでは、一時的に甲状腺ホルモンが少なくなり、むくみ、体重増加、寒がりなどの症状が現れます。
甲状腺機能亢進症の5~10パーセント程度が、この無痛性甲状腺炎と見なされています。甲状腺機能亢進症の代表的な疾患であるバセドウ病との相違は、無痛性甲状腺炎の症状が比較的軽度であること、病気で悩む期間が短いこと、眼球突出などの眼症状がないことなどが挙げられます。
しかしながら、両者は紛らわしいために、しばしばバセドウ病と誤診されていました。バセドウ病では治療しないと甲状腺ホルモンは低下しないのに対して、無痛性甲状腺炎の甲状腺機能亢進症は一過性で、特に治療しなくても正常化します。治療法は全く異なり、両者の区別は重要です。不必要な治療は避けたいものです。
検査と診断と治療
この病気を診断するには、血液中の甲状腺ホルモンの量だけでは、バセドウ病と区別がつきません。血液中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定により、抗TSHレセプター抗体が陰性であって、甲状腺機能亢進症であれば、無痛性甲状腺炎の可能性が大きくなります。バセドウ病では、抗TSHレセプター抗体が陽性になるからです。
また、バセドウ病と区別する一番確実な手段は、放射性ヨード摂取率の測定です。バセドウ病では高値になり、無痛性甲状腺炎では甲状腺が壊れているために、ヨードがほとんど取り込まれず極めて低値になるので、両者の区別ができます。しかし、この放射性ヨード摂取率の測定は、どの医療機関でもできるものではありません。
自覚症状が強くない時は、無痛性甲状腺炎と考えて治療をせずに、経過をみることも重要です。
無痛性甲状腺炎であれば、最初は甲状腺組織の破壊のために、濾胞(ろほう)に蓄えられた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出て、甲状腺ホルモンが高くなります。しかし、バセドウ病と違ってホルモンが過剰に作られているわけではないので、1~2カ月すると甲状腺ホルモンは低下してきて、反対に甲状腺機能低下症になります。壊れた甲状腺組織が修復される間、甲状腺ホルモンが作れないためです。
甲状腺機能低下症は2~3カ月で治まり、通常は元の正常な甲状腺機能に戻ります。ただし、20~30パーセントくらいの確率で、そのまま永続的な甲状腺機能低下症になる人もおり、甲状腺ホルモン剤の服用が生涯必要になります。定期的なホルモン値の検査を行い、最後まできちんと経過をみることが必要です。
通常、治療は特に必要ありません。動悸や手の震えなどの症状が強い時は、対症療法としてβ(ベータ)遮断薬を使い、過労を避けるようにして甲状腺ホルモンが低下するのを待ちます。甲状腺から血液中に漏れ出てしまった甲状腺ホルモンを減らす治療法は、ありません。
甲状腺機能低下症の症状が強い場合や、続く場合には、甲状腺ホルモン剤の内服が必要となります。
なお、この無痛性甲状腺炎は自然に治る病気ですが、亜急性甲状腺炎と違って繰り返すことがあるので、年に1~2回程度の検査を受けたほうがよいでしょう。毎年同じ時期に再発したり、一生のうちで何回も繰り返し起こすこともありますので、注意が必要です。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
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■病気 胸焼け [病気(む)]
消化液の逆流が原因で発症
胃からのどにかけて、胸がジリジリと焼けるように、熱く感じる症状をいいます。胃液や胆汁などの消化液が、食道に逆流することで起きます。
逆流の原因は、加齢や肥満、食べすぎによって、胃が広がり、胃と食道の境目にある弁が緩むことによります。また、逆流性食道炎、胃潰瘍(かいよう)や十二指腸潰瘍、糖尿病などの病気も原因になります。胃液の逆流が慢性化して、食道の粘膜に異常が生じると、食道がんの発症率が高くなります。
胸焼けを頻繁に感じるようならば、市販薬を服用します。総合胃腸薬よりも、胃酸分泌を抑える作用の強いH2ブロッカー配合薬が効果的ですが、胸焼けが毎日続いたり、程度がひどい場合には、医療機関の消化器科を受診しましょう。効果の高いPPI(プロトンポンプ阻害薬)という特効薬があります。
軽い胸焼けならば、生活習慣を改めるだけで、かなり改善できます。(1)暴飲暴食をしない、(2)リラックスして食事を取る、(3)増えた脂肪が胃への圧力を高めやすいので、肥満を解消する、(4)食事中や食後に背中をまるめた姿勢にならない。以上の4つの点に注意しましょう。
実際に胸焼けが起きたら、水や牛乳をこまめに飲むのが、お勧めです。単純に食道の胃酸を洗い流すわけですが、意外に効果があります。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
胃からのどにかけて、胸がジリジリと焼けるように、熱く感じる症状をいいます。胃液や胆汁などの消化液が、食道に逆流することで起きます。
逆流の原因は、加齢や肥満、食べすぎによって、胃が広がり、胃と食道の境目にある弁が緩むことによります。また、逆流性食道炎、胃潰瘍(かいよう)や十二指腸潰瘍、糖尿病などの病気も原因になります。胃液の逆流が慢性化して、食道の粘膜に異常が生じると、食道がんの発症率が高くなります。
胸焼けを頻繁に感じるようならば、市販薬を服用します。総合胃腸薬よりも、胃酸分泌を抑える作用の強いH2ブロッカー配合薬が効果的ですが、胸焼けが毎日続いたり、程度がひどい場合には、医療機関の消化器科を受診しましょう。効果の高いPPI(プロトンポンプ阻害薬)という特効薬があります。
軽い胸焼けならば、生活習慣を改めるだけで、かなり改善できます。(1)暴飲暴食をしない、(2)リラックスして食事を取る、(3)増えた脂肪が胃への圧力を高めやすいので、肥満を解消する、(4)食事中や食後に背中をまるめた姿勢にならない。以上の4つの点に注意しましょう。
実際に胸焼けが起きたら、水や牛乳をこまめに飲むのが、お勧めです。単純に食道の胃酸を洗い流すわけですが、意外に効果があります。
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