So-net無料ブログ作成

■用語 家族性腎性尿崩症 [用語(か)]





[メール]先天的な遺伝が原因で、抗利尿ホルモンに腎臓が反応しないために多尿を示す疾患
 家族性腎性(じんせい)尿崩症とは、先天的な遺伝が原因で、抗利尿ホルモン(バソプレシン)に腎臓が反応しなくなることで、薄い尿が大量に排出される疾患。先天性腎性尿崩症、遺伝性腎性尿崩症とも呼ばれます。
 利尿を妨げる働きをする抗利尿ホルモンは、大脳の下部に位置する視床下部で合成され、神経連絡路を通って下垂体(脳下垂体)後葉に運ばれて貯蔵された後、血液中に放出されて腎臓に作用し尿の量を調節します。家族性腎性尿崩症では、利尿を妨げる働きをする抗利尿ホルモンの分泌は正常でも、腎尿細管における作用障害に由来して腎臓が反応しなくなり、体内への水分の再吸収が低下するために、尿の濃縮障害が引き起こされ、水分が過剰に尿として排出されます。
 一方、利尿を妨げる働きをする抗利尿ホルモンの分泌量の低下で、体内への水分の再吸収が低下するために、水分が過剰に尿として排出される疾患は、家族性(先天性、原発性)ないし続発性(後天性)の中枢性尿崩症です。
 腎性尿崩症にも家族性(先天性、遺伝性)と続発性(後天性)があり、家族性腎性尿崩症が先天的な遺伝が原因で、ある家族や家系に集中して、出生直後から症状が出現することが多いのに対して、続発性腎性尿崩症は薬剤の副作用や腎臓障害などが原因となって、あらゆる年代において徐々にあるいは突然、症状が出現します。
 家族性腎性尿崩症は、腎臓の腎尿細管の抗利尿ホルモン2型受容体の遺伝子異常で90パーセント以上が出現するとされ、性染色体であるX染色体の劣性遺伝のため、男性にのみに発症します。X染色体を2本持つ女性は、発症しないものの保因者になるため、妊娠した場合、家族性腎性尿崩症を受け継ぐ男子が生まれる可能性があります。
 また、まれに尿細管の抗利尿ホルモン感受性アクアポリン(水チャンネル)の遺伝子異常によっても出現します。この遺伝子異常は、常染色体の劣性遺伝によって約9パーセントで発症し、常染色体の優性遺伝によって1パーセントで発症します。
 家族性腎性尿崩症を胎児期に発症した場合は、母胎の中で大量に尿を排出するため羊水が多くなります。
 生後数日からの新生児期に発症した場合は、1日2・5リットルから3リットル以上の著しい多尿、のどの渇きによる多飲を示し、夜間尿の増加などが起こります。
 大多数の新生児は生後1年以内に診断されますが、未治療の新生児では、のどの渇きを訴えることができないため、保護者が水の補給を控えた場合や高温環境にさらされた場合には、激しい脱水による発熱と嘔吐(おうと)、けいれんを起こし、血液中のナトリウム値が上昇します。この高ナトリウム血症が起こると、脳が障害され、発達障害や精神遅滞を起こしてしまう可能性があります。
 通常、低身長がみられ、慢性的で過大な多尿に伴い、水腎症や水尿管症、巨大膀胱(ぼうこう)など尿路系の拡張が発生し、その結果、逆流性腎症さらに腎不全に至る例もあります。
 しかし、一部の軽症型(部分型)の家族性腎性尿崩症の新生児では、これらの症状は気付かれない程度か、軽度です。明らかな脱水の症状を示さずに、嘔吐、吐き気、授乳力低下、便秘もしくは下痢、発育不全、原因不明の発熱、不活発、興奮性といった症状を現します。低身長や発達障害はみられず、小児期の後期に診断される傾向があります。
 常染色体優性遺伝によって家族性腎性尿崩症を発症した新生児では、症状の出現は遅く、成人初期まで現れない場合もあります。
 早期に診断された場合も、家族性腎性尿崩症を根治できる治療法がないため、長期にわたって飲水とトイレの使用が自由にできる状況を用意することが必要になります。乳児では自分ののどの渇きに従って水を求めることができないので、通常の食事のほかに水を摂取させることが必要です。
 自分で水を求めることができる小児期になっても、こまめな水分補給を常に行いながらの生活となります。そのぶん尿量も増えますので、トイレに行く回数もほかの人よりも圧倒的に増え、生活は大きく影響を受け、幼稚園生活、学校生活や、成人後の社会活動、グループ活動も障害されます。
[メール]家族性腎性尿崩症の検査と診断と治療 
 内科、内分泌科の医師による診断では、下垂体(脳下垂体)に由来する抗利尿ホルモンが存在するにもかかわらず、血漿(けっしょう)抗利尿ホルモン濃度が高く、かつ利尿ホルモンの合成類似体であるバソプレシン剤やデスモプレシン剤を投与しても尿の濃縮ができないことによって、家族性腎性尿崩症と確定します。
 内科、内分泌科の医師による治療では、家族性腎性尿崩症を根治できる治療法がないため、経験的に対症療法として、尿量を減らす目的で、抗利尿ホルモンの産生を刺激するサイアザイド系(チアジド系)利尿薬、それに加えてインドメタシンなどの非ステロイド系抗炎症薬を使用しますが、十分な効果は得られていません。
 サイアザイド系(チアジド系)利尿薬を使用すると、カリウム喪失を招くため、血清カリウム濃度を測定し、必要に応じて食事や薬剤の形で補充します。水腎症、水尿管症、巨大膀胱に対しては、尿量を減らす治療を行い、残尿が多量の場合には周期的もしくは持続的な膀胱カテーテル留置を行います。
 また、長期の療養が必要なため、腎臓障害、高度脱水、高ナトリウム血症を起こさないように長期的な経過観察を続けます。
 軽症型(部分型)の家族性腎性尿崩症では、利尿ホルモンの合成類似体であるバソプレシン剤や、デスモプレシン剤を使用した治療によって、ある程度尿量を減少させることが可能です。




nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

■用語 顔面多汗症 [用語(か)]





[ふらふら]体のほかの部分はそうでもないのに、顔だけに異常なほど汗をかく症状
 顔面多汗症とは、顔から出る汗が異常に多く分泌し、日常生活にも影響が及んでいる症状。顔汗とも呼ばれます。
 体温の調節に必要な範囲を超えて、汗が異常に多く分泌する症状を多汗症といい、全身性多汗症と、手のひら、足の裏、わきの下、頭、鼻の頭などにみられる局所性多汗症がありますが、特に顔にその症状が多く現れる顔面多汗症は、局所性多汗症の一種です。
 暑い時、激しい運動をした時、緊張した時、興奮した時、熱い物・辛い物を食べた時などに、顔から汗がたくさん出るのは、誰(だれ)にでも起こる生理現象です。こうした機会とは関係なく、体温を下げる必要がない時、リラックスしている時にも常に汗が出てしまい、日常生活に支障が出るほどの症状を指して多汗症とされています。
 体のほかの部分はそうでもないのに、顔から噴き出る汗ですぐに化粧崩れを起こしてしまう、常に汗で顔が湿っている、緊張するとポタポタと滴り落ちるほど顔の汗が出るといった場合は、顔面多汗症の可能性が高くなります。
 顔面多汗症を含め、体の特定の部分に異常なほどたくさん汗が出る局所性多汗症は、その原因がはっきりとは解明されていません。ただし、発汗を促すのは自律神経の1つである交感神経なので、何らかの理由で交感神経の働きが過敏になっていると考えられています。
 体が健康な状態であれば、汗は全身から出るのが普通です。顔にばかり汗をかいてしまうという場合、その原因としてまず、運動不足の可能性が考えられます。
 発汗の最も重要な役割は、体温の調節です。体温が上昇しすぎると脳細胞がダメージを受けるため、体は汗を出すことで熱を逃がしているのです。
 体温調節のための汗を分泌しているのはエクリン汗腺(かんせん)で、ほぼ全身に分布して、汗腺の数は平均で350万個、少ない人で200万個、多い人で500万個あるといわれています。分布密度は1平方センチメートル当たり130~600個とされていて、肉眼では見えないほど小さな汗腺です。
 しかし、すべてのエクリン汗腺が汗を分泌しているのではなく、実際に活動している能動汗腺は全体の半分程度といわれています。また、運動不足などで体温の上昇が極端に少ない生活をしていると、汗を分泌する機会が少なくなることから、心臓から離れていて冷えやすい下半身や腕などの汗腺は休眠状態に入ってしまいます。そのために、体温の調節をする際は、動きの多い顔などに集中して汗腺から出る汗が増えるのです。
 顔の汗が気になる理由の一つに、蒸発しにくいベタベタの汗で気持ちが悪いという面があると思われます。
 本来、エクリン汗腺から出る汗は、熱を逃がして体温を下げる働きがあり、皮膚表面から蒸発する際に気化熱を奪うため、サラサラしていて、すぐに蒸発するという特徴があります。体温が上昇すると、汗腺はオーバーヒートを防ぐために、血液から赤血球、白血球、血小板を除いた血漿(けっしょう)という液体を汗としてくみ出します。しかし、血漿には体に必要なミネラルも含まれているため、そのまま汗として出してしまうと体のミネラルが不足してしまいます。そこで、汗腺はくみ出した血漿から、体に必要なミネラルを再吸収して血液に戻し、水分とわずかな塩分だけを汗として分泌するのです。こうして、きちんと再吸収が行われた汗は、水のようなサラサラした汗になります。
 しかし、汗をかく機会が少なく、汗腺の機能が衰えていると、再吸収がうまくできなくなります。その結果、ミネラルが汗に混じって分泌され、蒸発しくいベタベタの汗になってしまうのです。顔にばかり汗をかく人が顔の汗を気にするのには、このような理由もあると考えられます。
 また、汗には体温調節のための温熱性発汗とは別に、緊張した時や動揺した時、ストレスを感じた時などに発汗を促す交感神経が刺激されることで出る精神性発汗、いわゆる冷や汗もあります。この場合も、突発的に出ることからミネラルの再吸収が間に合わず、ベタベタした汗になります。
 精神性発汗も誰にでも起こる生理現象ですが、顔面多汗症の人は汗を気にしやすいため、早く汗を止めようと焦ったりしがちな結果、交感神経がさらに刺激され、余計に汗を増やしてしまうという悪循環に陥ることがあります。
 また、顔にばかり汗をかいてしまうという場合、生まれ付きの体質や遺伝によって起こるケースもあるとされています。
 次に、顔だけに限らず、全身に大量の汗をかいてしまう場合、甲状腺機能高進症、自律神経失調症、更年期障害、糖尿病神経障害などの疾患が潜んでいる可能性も考えられます。
 甲状腺機能高進症は、新陳代謝を活性化させる甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患で、代表的なものにバセドー病があります。全身の代謝が高まるため汗をかきやすくなるだけでなく、動悸(どうき)や息切れ、イライラ、食欲が盛んでよく食べるのに体重が減少するなど、さまざまな症状が現れます。
 自律神経失調症は、呼吸や体温、血液の流れ、内臓の働きなどを自動的に調節して体の恒常性を維持している自律神経のバランスが乱れることで、体にさまざまな不調が現れる疾患で、発汗も自律神経の1つである交感神経がコントロールしているため、自律神経失調症になると汗が異常にたくさん出ることがあります。
 更年期障害は、女性の月経閉止時期に当たる45~55歳ころに現れる不定愁訴で、加齢に伴う卵巣機能の低下によって女性ホルモンの分泌が低下すると、自律神経のバランスが乱れてしまいます。すると、血管の拡張や収縮をうまくコントロールできなくなり、汗が出たり、顔が火照ったり、のぼせたりするホットフラッシュという症状が起こることがあります。
 糖尿病神経障害は、糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、末梢(まっしょう)神経が障害されてなることがある疾患で、自律神経も末梢神経の1つなので、その働きが低下すると発汗異常や立ちくらみ、便秘、下痢、尿意を感じないなど、体にさまざまな症状が現れます。
 さらに、汗が出るのが顔の片側だけの場合は、大動脈瘤(りゅう)や、縦隔腫瘍(しゅよう)の可能性があります。大動脈瘤は、心臓から送り出されたすべての血液を運ぶ大動脈にコブができること。縦隔腫瘍は、胸腔(きょうくう)を左右に区切る縦隔の中に発生した腫瘍のこと。どちらのケースも、その部分の交感神経が刺激されることで顔の発汗が異常に起こってしまうことがあります。
 多量の汗には、ただ単に汗っかきなだけの場合と、多汗症などの疾患が潜んでいるケースがあります。日常生活に支障が出るほど顔の汗が多い、リラックスしている時でも顔の汗が気になるなど、何かしらの異常を感じる場合は、そのほかの疾患が潜んでいる可能性もあるので、まずは皮膚科、ないし皮膚泌尿器を受診してみるといいでしょう。
[ふらふら]顔面多汗症の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、問診、視診、触診で症状を確認します。また、客観的に発汗量を検査するためにヨード紙法、換気カプセル法も行います。
 ヨード紙法は、ヨード(ヨウ素)を吸収させた紙を発汗部位に触れさせ、汗の量を見る検査法です。発汗部位に触れると汗を吸収して黒色に変色するのですが、重症の場合はヨード紙が全体的にベッタリと変色し、中等度の場合は汗腺と同じ位置に点状に変色するだけというように、視覚的にわかりやすいのが特徴です。
 換気カプセル法は、発汗部分の皮膚に密閉できる小型カプセルを装着し、そこに乾燥ガスを入れて汗を蒸発させ、出てきたガスの湿度から発汗量を調べる方法です。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、薬物療法を行うこともあります。有効とされる治療薬は特定されていませんが、手のひら、足の裏、わきの下の局所性多汗症と同じように、ボツリヌス注射や神経遮断薬、漢方薬、精神安定剤なら効果があるとされています。
 ボツリヌス注射は、食中毒の原因菌でもあるボツリヌス菌が産生するボツリヌス毒素が作るタンパク質を有効成分とした注射です。汗は、交感神経の末端から放出されるアセチルコリンという神経伝達物質が、汗腺に発汗を促すことで分泌されます。ボツリヌス注射は、このアセチルコリンの放出を抑制し、汗を減らす注射で、1回の注射で半年ほど効果が持続します。顔の場合は、額に注射をして、額の汗を減らすために使います。ただし、副作用などのリスクもあります。
 神経遮断薬は、アセチルコリンの放出を阻害して発汗を抑制する飲み薬で、多汗症の治療薬としては「プロパンテリン(商品名プロバンサリン)」が、唯一の認可薬となっています。全身に作用するので、顔に限らず全身の汗を止めるのに有効ですが、口の渇き、目のかすみ、眠気、胃腸障害、便秘などの副作用が出る場合があります。
 漢方薬は、西洋医学の薬のように症状に直接作用するわけではないので、即効性がありません。しかし、体全体のバランスを本来の状態に戻して自己治癒力を高める効果が期待できるため、西洋医学では原因が解明できず、対処し切れないような疾患にも効果を発揮することがあります。同じ症状でも、患者によって処方される漢方薬は異なりますが、顔の汗が多い場合は柴胡桂枝乾姜(さいこけいしかんきょうとう)がよく用いられます。
 精神安定剤は、精神的な緊張が強くて汗をかく精神性発汗の場合に内服することで、気持ちが落ち着き、症状が緩和されることもあります。
 顔の汗が異常に出て仕事やプライベートに支障を来している場合、皮膚科の紹介により、外科、胸部外科、麻酔科などで手術を行うこともあります。ただし、多汗症の手術は副作用を伴うこともあるので、手術を受けるかどうかには慎重な検討が必要です。
 手術は、主に胸腔鏡下交感神経節遮断術(ETS)が行われます。これは、発汗の指令を伝達している交感神経を切断する内視鏡手術です。交感神経は背骨の左右を上下方向に走っていますが、これを胸の辺りの高さで切断すると、汗が減少します。手のひらの汗を止めるための手術ですが、顔やわきの下などの汗も減少することから、顔面多汗症の改善にも用いられます。
 具体的な手術方法としては、わきの下の皮膚を2~4ミリほど切って、小さなカメラを胸腔に入れ、モニター画面で胸の中を見ながら、胸の辺りにある汗の分泌を調節する交感神経を見付けて切断します。手術は基本的に、まず片方の交感神経を切除し、その後の体調の経過をみてから、もう一方の交感神経も切除するかどうかを決定します。
 手術のメリットは成功率が高く効果に永続性があるということ、デメリットは交感神経を一度切除してしまうと元には戻らないということと、副作用として代償性発汗になる場合がほとんどであることです。
 代償性発汗とは、顔から汗が出なくなった代わりに、背中や下半身などこれまでと違った部位から大量の発汗が起こるものです。




nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

■用語 下垂乳房 [用語(か)]





[バー]出産、授乳、加齢などが原因となって乳房が垂れた状態
 下垂乳房とは、出産や授乳、加齢などが原因となって、女性の乳房が垂れ下がった状態を指す症状。乳房下垂症、垂れ乳とも呼ばれます。
 女性の乳房の理想は、両鎖骨間のくぼみである鎖骨上窩(じょうか)と左右の乳房にある乳頭の3点をそれぞれ結んだ三角形が正三角形であることとされていますが、左右の乳頭の位置が垂れ下がると縦長の二等辺三角形となります。このような状態を指す症状が、下垂乳房です。
 女性の乳房の膨らみを形作っているのは、乳腺(にゅうせん)組織、脂肪組織、クーパー靭帯(じんたい)と呼ばれる繊維の束の3種類です。クーパー靭帯は、乳房内に網の目のように張り巡らされており、乳腺組織、脂肪組織を大胸筋とつなぎ、乳房の膨らみを形作る役割を果たしています。
 下垂乳房は、乳腺組織、脂肪組織を支えているクーパー靭帯が伸び切ってしまうことと、乳房を覆っている皮膚の衰えが主な原因となって、乳房の形が保てなくなることで起こります。
 そのクーパー靭帯の伸び切り、乳房の皮膚の衰えは、加齢などによるホルモンバランスの変化、妊娠出産授乳時の乳房の大きさの急激な変化、乳房自体の重さ、物理的な刺激、姿勢の悪さなどが要因となって、起こります。
 乳腺を発達させ、乳房の張りを保つのは、エストロゲンという女性ホルモンの役割です。加齢や不規則な生活によりホルモンのバランスが変化すると、エストロゲンの分泌が少なくなり、下垂乳房の原因となります。
 また、妊娠出産授乳時に乳房の大きさの急激な変化を経験すると、クーパー靭帯と乳房の皮膚が伸びます。出産授乳時には、母乳を作るためのホルモンが働いて乳腺が発達して大きくなり、併せて乳房が大きくなり、それに合わせて皮膚も張って伸びてきます。やがて授乳の必要がなくなると、乳腺は委縮し、線維化し、脂肪化します。
 しかし、クーパー靭帯と皮膚のほうは、それと同じように委縮しません。中身が減ったのに伸びているので、乳房の形が保てなくなり下垂するわけです。妊娠や出産、授乳を重ねることにより、次第に形状の変化が明らかになります。
 同じ意味で、体重の急激な増減に伴う乳房の大きさの変化も、下垂乳房の原因となります。
 元々乳房が大きく、乳房自体の重さがあることも、クーパー靭帯と乳房の皮膚の伸びにつながり、下垂乳房の原因となります。乳房が大きすぎて下垂している場合には、重さで肩が凝ったり、猫背になったり、ブラジャーのストラップが肩に食い込んだり、乳房の下縁部に皮膚炎ができたりすることもあります。
 ノーブラでランニング、ジョギングなど胸が上下に動くような激しい運動を頻繁にしたり、過度の乳房マッサージをしたりなどの物理的刺激によっても、乳腺組織やクーパー靭帯が痛められることがあり、下垂乳房につながることがあります。
 日ごろから背中が丸まった猫背など悪い姿勢をとっていると、大胸筋などの胸付近の血流が滞って悪くなる結果、乳房が冷えて栄養がゆき届かなくなり、張りを失って、下垂乳房を招くこともあります。
 下垂乳房は主にごく自然な生理現象として起こるので、加齢に伴う経年変化として受け入れられるのであれば、特に治療の必要はなく、放置してかまいません。
 美容的な問題により、改善したいと望むのであれば、乳腺(にゅうせん)外科、形成外科、あるいは美容整形外科を受診し、下垂乳房を治療する形成外科手術によって整えることを考えてみてもよいのではないかと思われます。
[バー]下垂乳房の検査と診断と治療
 乳腺外科、形成外科、美容整形外科の医師による診断では、視診、触診で判断します。超音波(エコー)検査、マンモグラフィー(乳腺X線検査)で脂肪化した乳腺を確認すれば、診断は確定します。
 乳腺外科、形成外科、美容整形外科の医師による治療では、乳頭の高さによって軽度、中等度、重度の段階があり、それぞれで方法が違ってきます。
 軽度の下垂乳房に対する手術は、乳輪の周囲の皮膚を切除し引き締める乳輪移動術が一般的で、乳輪から上部に渡って皮膚を切り取り、上にずらして縫合します。
 中等度の下垂乳房に対する手術は、乳房固定術が一般的で、乳輪の上部の皮膚を丸く切り取り、乳輪をそこへ移動させ、乳腺組織と脂肪組織を上部に縫合し、固定します。手術の後、どうしても重力の影響で乳輪の形が微妙に縦型になったり、おむすび型になったりすることがあります。これに対しては、手術部が十分落ち着いてから必要に応じて乳輪の形の修正を行います。
 重度の下垂乳房に対する手術は、乳房縮小術が一般的で、乳輪を上部に移動させるだけでなく、乳房の下方をピラミッド型に切除して上に持ち上げて縫合します。
 また、乳房の大きい人の場合、中身も大きく垂れていることが多いため、乳腺組織や脂肪組織を同時に除去する乳房縮小術を併用する場合もあります。
 逆に、乳房が小さかったり、張りがなくなったために下垂している場合には、脂肪注入やフィラー注入、あるいは人工乳腺(豊胸バッグ)挿入による乳房形成手術(豊胸手術)を行うことで、よい結果が得られることがあります。
 左右非対称の下垂乳房の治療の場合も、同じように小さいほうの乳房を乳房形成手術(豊胸手術)で大きくする方法、もしくは大きいほうの乳房を乳房縮小術で小さくする方法で、大きさをそろえる治療をします。
 ほとんどのケースは、局所麻酔下の手術が可能で日帰り手術です。入浴に関しては、手術部がぬれない半身浴なら翌日から可能です。
 手術後数時間程度で麻酔が切れると、徐々に痛みが出てくる場合がありますが、処方された薬を服用することにより軽減できます。また、一時的に乳頭の感覚が鈍くなる場合がありますが、時間の経過により徐々に通常の感覚に戻ります。傷が目立たなくなり希望の状態になるまで、約半年ほどかかります。




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

■用語 仮性陥没乳頭 [用語(か)]





[バー]乳頭が乳房の内部に埋もれているものの、指でつまんで突出できる状態
 仮性陥没乳頭とは、乳房の先にあって通常は突出しているはずの乳頭が、乳房の内側に埋没しているものの、指でつまみ出すことができる状態を指す症状。陥没乳頭の一種で、仮性陥没乳首とも呼ばれます。
 乳頭が乳房の内側に埋没する陥没乳頭は、男女を問わず生じますが、主に女性において、外見のコンプレックスや授乳、衛生面などでのデリケートな問題が起こります。主に若い女性に多く、成人女性の1割以上が、陥没乳頭の症状に悩んでいるともいわれています。
 陥没乳頭には、両側の乳房先の乳頭が埋没するケース、片側だけの乳頭が埋没するケースがあり、軽症、中等症、重症の別があります。
 軽症、中等症が仮性陥没乳頭に相当し、重症は真性陥没乳頭に相当します。
 軽症の仮性陥没乳頭では、乳頭を容易に指でつまみ出すことができるものの、しばらくすると埋もれてしまいます。中等症の仮性陥没乳頭では、乳頭を何とか指でつまみ出すことができるものの、指を離すとすぐに埋もれてしまいます。重症の真性陥没乳頭では、乳頭を指でつまみ出すこともできず、常にへこんでいます。
 先天性と後天性の別もあります。どちらかというと、先天性の生まれ付きの体質によるほうが、多いとされています。
 先天性陥没乳頭は、乳頭下にあって乳頭を支える乳管などの線維組織が発達しなかったり、繊維組織が癒着したりしたために起こります。先天性陥没乳頭が起こる根本的な原因や要因は、明確になっていません。
 一説には、10歳代の成長期に、部活などで激しい運動をしたり、ストレスを感じたり、たばこを吸ったりした経験が原因で、成長ホルモンのバランスが崩れ、乳腺(にゅうせん)や乳管などが完全に発育できず、未発育にとどまってしまうために、陥没乳頭になることがあるともいわれています。
 一方、後天性陥没乳頭のほとんどは、乳腺炎や乳管炎、乳がんなどが原因となって、起こります。先天性陥没乳頭は疾患を患っていませんが、後天性陥没乳頭はほかの疾患を発症している可能性もあり、やや危険です。生まれたころはごく普通な状態でも、ある日気付くと陥没乳頭になっていた場合、疾患の合図かもしれません。
 原因となる疾患の一つである乳管炎では、何らかの炎症が乳管に及ぶと、乳管が委縮、屈曲、癒着および閉塞(へいそく)などを来します。つまり、炎症が及んだ乳管は伸展性が乏しく、正常な乳管の伸展性も妨げてしまい、乳頭が突出できなくなります。
 陥没乳頭を起こしていると、子供ができた時の授乳の際に手間がかかります。授乳のためには、まず乳頭を突出させなくてはいけません。軽症、あるいは中等症の仮性陥没乳頭の場合は、指でつまんで乳頭を突出させることができるため、吸引反射を有する乳児は乳頭に吸い付き、自らも乳頭を突出させるようにして母乳(乳汁)を飲みます。重症の真性陥没乳頭の場合は、乳頭が突出しないため、乳児は母乳(乳汁)を飲むことをあきらめてしまいます。
 衛生面での問題もあり、突出しているはずの乳頭が埋没している状態のため、清潔な乳頭を維持しにくくなります。そのために、細菌が感染しやすく、いくつかの疾患を発症することがあります。
 その一つが、乳輪下膿瘍(のうよう)。乳頭の乳管開口部から化膿(かのう)菌が侵入することにより、乳輪の下に膿(うみ)がたまり、乳輪周囲の皮膚にまで広がる疾患です。乳輪の下に痛みのある硬いしこりができては破れて、膿が出ることを何回も繰り返します。
 ほかにも、急性うっ滞性乳腺炎や慢性乳腺炎などを発症することもあります。急性うっ滞性乳腺炎は、授乳も関係しています。慢性乳腺炎は、妊娠や授乳に関係なく起こります。急性うっ滞性乳腺炎が進行すると、急性化膿性乳腺炎を起こし、痛み、熱感、はれなどの症状が発生します。
 さらには、乳がんを発症するリスクもありますし、後天性陥没乳頭が乳がんを伴っていることもあります。がん細胞が乳頭付近の乳管に浸潤すると、乳管を短縮させてしまい、乳頭が陥没します。これは乳がんの合図ですから、突然、陥没乳頭になり、痛みや体調不良も伴うようなら、その可能性も視野に入れなければなりません。
 このように、陥没乳頭が原因で疾患を発症することがあります。疾患を発症してからでは遅いので、まずは陥没乳頭を改善していきましょう。
[バー]マッサージと矯正器具による仮性陥没乳頭のセルフケア
 軽症、あるいは中等症の仮性陥没乳頭なら、自宅での矯正で改善できることがあり、刺激を与えることで乳頭が突出し、授乳も可能となります。
 日ごろからマッサージで乳頭に刺激を与えて、突出させ、乳児に実際に乳頭を吸わせて授乳を繰り返すと、突出状態を保つようになることもあります。
 マッサージ法は多々ありますが、一例を紹介します。1)親指と人差し指を乳輪の外側に置く、2)乳頭を優しく押し出す、3)乳輪を優しく広げるように親指と人差し指を水平に伸ばす、4)親指と人差し指を乳輪の上下に置く、5)乳頭を優しく押し出す、6)乳輪を優しく広げるように親指と人差し指を上下に伸ばす。
 これが、基本的なマッサージ法です。マッサージは、定期的に続けることで効果が出ますから、根気よく続けることが大切です。タイミングとしては、入浴時がお勧めで、体がポカポカに温まると血行が促されるので効果的です。1日1回でも、たった2~3分でも構いません。
 また、マッサージ以外にも、販売されているプチフィット、ピペトップといった吸引器などの矯正器具を利用します。吸引器の場合は、胸に吸引カップを装着して真空状態にし、吸引力によって乳頭を突出させます。毎日続けることにより、少しずつですが症状を改善していきます。
 ただし、妊娠中の陥没乳頭のマッサージは、早産を招くという説もあります。慢性的な陥没乳頭の女性が、無理やりに乳頭を突出させることで、皮膚が切れて出血し、痛み、さらに感染して炎症を起こす危険もありますので、細心の注意が必要になります。
 症状に合わせての治療を望む場合は、婦人科、産婦人科、乳腺外科、形成外科、あるいは美容整形外科などを受診することが勧められます。女性は出産や授乳などの将来性があるため、ほとんどの医療機関で保険が適応されますが、美容整形外科は適応外になることもあります。男性の場合は、適応外になることも少なくありません。
[バー]仮性陥没乳頭の検査と診断と治療
 婦人科、産婦人科、乳腺外科、形成外科、あるいは美容整形外科の医師による診断では、陥没乳頭は見た目にも明らかになることが多いので、まず視診、触診で判断します。
 続いて、治療を必要とする乳腺炎や乳管炎などの有無、腫瘍の関連の有無を調べるために、マンモグラフィー(乳房X線撮影)、超音波(エコー)、MRI(核磁気共鳴画像)検査、CT(コンピュータ断層撮影法)検査、血液検査、乳頭分泌液の細胞検査、細菌検査などを行うこともあります。
 婦人科、産婦人科、乳腺外科、形成外科、あるいは美容整形外科の医師による治療では、その症状や状態によって異なる処置で改善を図ります。
 軽症、あるいは中等症の仮性陥没乳頭の場合は、乳頭吸引器などの器具を活用したり、乳房マッサージを習慣にしたり、食生活を見直したりすることで、改善することも可能です。乳頭吸引器は、専用のローションを乳頭とその周辺に塗り、吸引カップで毎日乳頭を吸引していくものです。就寝中に装着、あるいは24時間装着し、持続的な吸引の力により、乳頭を少しずつ出っ張らせていきます。
 ほかの疾患により後天性陥没乳頭を発症している場合、原因となっている疾患の治療を行います。
 乳腺炎の治療としては、抗生剤(抗生物質)を内服したり、状況により鎮痛薬を内服します。
 乳輪下膿瘍の治療としては、炎症性の膿瘍(しゅよう)と拡張した乳管の切除と、炎症の元になっている陥没乳頭が外に出る形成手術との両方を行わなければ、必ずといっていいほど再発します。まず抗生物質などで炎症を鎮静させて、それから根治手術を行います。
 急性うっ滞性乳腺炎の治療としては、乳汁のうっ滞を取り除くために、乳房を温めて血液の流れをよくし、乳頭と乳輪をよくマッサージして授乳を続ければ、症状はすぐにとれてきます。また、乳頭を乳児がくわえやすいような形にしておくなどの工夫も必要です。
 急性化膿性乳腺炎の治療としては、初期には乳房を冷湿布して、乳汁は搾乳器で搾り出し、抗生物質の注射か内服と、鎮痛薬、消炎薬の内服をします。化膿が進み膿瘍ができたら、注射針を刺して膿を吸引したり、局所麻酔をかけて皮膚を切開して膿を出さなければなりません。これらの治療が功を奏すると、急速に症状は改善します。膿瘍ができた場合、抗プロラクチン薬で乳汁分泌を抑制します。
 重症の真性陥没乳頭の場合など症状によっては、乳輪部分を切開し、裏側から乳頭を押し上げて突出させ、固定する形成手術を行います。手術法にはいくつものパターンがあり、大きく分けると、乳管を温存する方法と乳管を切断する方法の2種類があります。乳管を切断すると乳頭の陥没は改善されますが、母乳(乳汁)の分泌が不能になり、将来の授乳などに影響を来します。




nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康