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■用語 緊張性尿失禁 [用語(き)]

[位置情報]せきをした際など腹部に急な圧迫が加わった時に、尿が一時的に漏れる状態
 緊張性尿失禁とは、せきやくしゃみ、運動時など、腹部に急な圧迫が加わった時に尿が漏れる状態。腹圧性尿失禁とも呼ばれます。
 尿意とは無関係に、膀胱(ぼうこう)にたまった尿が一時的に漏れるもので、その程度はさまざまです。
 尿失禁のうち、一時的な漏れではなく、一日中、常に漏れ続ける失禁は、真性尿失禁または全尿失禁と呼びます。真性尿失禁、全尿失禁の代表例として挙げられるのは、尿管開口異常などの先天性尿路奇形によって常に尿が漏れているもの、または手術などの際に尿道括約筋を完全に損傷したものです。
 一時的な漏れを示す尿失禁の一つである緊張性尿失禁は、中年以降の出産回数の多い女性に、しばしば認められます。
 起こる原因は、膀胱を支え、尿道を締めている骨盤底筋群が加齢や出産、肥満などで緩んで、弱くなったためです。骨盤底筋群の緩みが進むと、子宮脱、膀胱瘤(りゅう)、直腸脱などを合併することもあります。
 まれに、放射線治療やがんの手術によって、尿道を締める神経が傷付くことが原因となることもあります。
 腹部に急な圧迫が加わるような動作をした時、例えばせきやくしゃみをした時、笑った時、階段や坂道を上り下りした時、重い荷物を持ち上げた時、急に立ち上がった時、走り出した時、テニスやゴルフなどの運動をした時、性交時などに、一時的に尿が漏れます。通常、睡眠中にはみられません。
 この骨盤底筋の衰えによる緊張性尿失禁と、急に強い尿意を感じてトイレに間に合わず尿を漏らしてしまう切迫(急迫)性尿失禁の両方の症状がみられる場合もあります。切迫(急迫)性尿失禁は、脳、脊髄(せきずい)など中枢神経系に障害があるものと、膀胱炎、結石などによって膀胱の刺激性が高まって起こるものとがあります。
 緊張性尿失禁は頻度が高く、比較的若い女性にもみられる状態です。症状が続き社会生活、日常生活に支障を来すようであれば、泌尿器科を受診することが勧められます。
[位置情報]緊張性尿失禁の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、症状および各種検査を総合し、緊張性尿失禁の原因を確定します。一般的には問診、尿検査、超音波検査、血液検査、パッドテスト、尿流動態(ウロダイナミクス)検査(膀胱内圧、腹圧、排尿筋圧、外尿道括約筋活動、尿流量測定、残尿測定)、尿路造影検査、内視鏡検査などを行って、緊張性尿失禁の原因を探ります。
 問診では、出産歴、手術歴、婦人科疾患の有無、便秘の有無、尿失禁の状況などを質問します。パッドテストでは、パッドをつけた状態で水分を取ってもらい、せき、くしゃみ、手洗い、足踏みなど腹部に圧迫が加わりやすい動作を行ってもらい、1時間後のパッドの重量増加で尿失禁の程度を確認します。
 泌尿器科の医師による治療では、緊張性尿失禁の程度が軽い場合、尿道、膣(ちつ)、肛門(こうもん)を締める骨盤底筋体操が割合効果的です。肛門の周囲の筋肉を5秒間強く締め、次に緩める簡単な運動で、 仰向けの姿勢、いすに座った姿勢、 ひじ・ひざをついた姿勢、机に手をついた姿勢、 仰向けになり背筋を伸ばした姿勢という5つの姿勢で、20回ずつ繰り返します。
 朝、昼、夕、就寝前の4回に分けて、根気よく毎日続けて行うのが理想的です。3カ月以上続けても効果のない場合には、手術が必要となる可能性が高くなります。
 骨盤底筋の強化を目的として、電気刺激によって骨盤底筋や尿道括約筋など必要な筋肉を収縮させる電気刺激療法もあります。また、腟内コーンという器具を腟内に15分程度、1日2回ほど保持し、それを徐々に重たいものに変えていくことで骨盤底筋を強化し、緊張性尿失禁の症状を軽減する方法もあります。
 薬物による治療としては、交感神経に働いて膀胱壁の筋肉である排尿筋の収縮を阻止し、尿道括約筋を収縮させる作用のある抗コリン剤を用います。状況に応じて、抗うつ薬を用いることもあります。閉経後の女性に対しては、女性ホルモン剤を用いることもあります。
 重症例や希望の強い場合などには、手術による治療を行います。尿道括約筋の機能が低下している場合には、尿道の周囲にコラーゲンを注入する治療や、尿道括約筋を圧迫するように腹部の組織や人工線維で尿道を支えるスリング手術、日本ではあまり行われていない人工括約筋埋め込み術などがあります。

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■用語 期外収縮 [用語(き)]

[ゴルフ]心臓が本来の拍動のリズムを外れて、不規則に収縮する不整脈
 期外収縮とは、異常な電気刺激によって心臓が本来の拍動のリズムを外れて、不規則に収縮する不整脈の一つ。
 不整脈は、一定間隔で行われている心臓の拍動のリズムに、何らかの原因によって乱れが生じる疾患の総称。この不整脈は、脈が正常よりも速くなり、1分間当たりの心拍数が100回を大きく上回る症状をみせる頻脈性不整脈、脈が正常よりも遅くなり、1分間当たりの心拍数が60回未満まで下回る症状をみせる徐脈性不整脈、そして、普段規則正しく打っている脈が不規則なリズムになる期外収縮の3つに分類されます。
 期外収縮は、不整脈の中で一番多く起こります。健康な人でもみられ、年齢を重ねていくにつれてみられる頻度も高くなっていきます。
 脈が不規則になり、「トン、トン、トン」と規則正しく打っている脈の中に時々「トトン」と早く打つ脈が現れたり、急に心臓の1拍動が欠け、1秒飛んで2秒後に拍動するといったリズムの乱れを伴います。心室性期外収縮と、より良性の心房(上室)性期外収縮に分かれますが、いずれの場合も心臓がドキンとしたり、心臓が一時止まったように感じたりします。
 心臓は全身に血液を送り出すために、規則正しいリズムで収縮と拡張を繰り返しています。心臓の右心房にある洞結節(どうけっせつ)という部位で電気刺激が発生し、電気刺激は房室結節を通って心室へと伝えられます。期外収縮は洞結節以外の部位で電気刺激が発生し、心臓に伝えられるものです。心房で電気刺激が発生した場合が心房(上室)性期外収縮、心室で電気刺激が発生した場合が心室性期外収縮に相当します。
 通常の洞結節から発生する電気刺激よりも、早いタイミングで心臓に伝えられるため、脈をとった時に「早いタイミングで打つ」、「リズムが不規則になる」、「脈拍として触れることができず、脈が一拍飛ぶ」ように感じます。
 期外収縮は起きても無症状であることが多いのですが、胸の違和感や痛み、喉(のど)の詰まった感じなどの症状が出ることもあります。連続して起こると、血圧の低下や動悸(どうき)、めまいなどが生じることもあります。
 心室性期外収縮であれば、命の危険にかかわる心臓の疾患から起きている可能性もあります。突然死の原因にもなる心筋梗塞(こうそく)や、心機能の低下を来すこともある心筋症、心臓に負担がかかる弁膜症などです。
 心房(上室)性期外収縮であれば、発生する数も少なく、無症状であれば、ひとまず心配はありません。ただし、症状が連続して起こる場合には、心房細動などの危険な不整脈へと移行することがあるので注意が必要です。
 通常は洞結節から規則正しく1分間当たり60~100回の電気刺激の発生がみられますが、心房細動では1分間当たり400~600回も心房が不規則に動きます。心房内の血液の流れは悪くなり、意識の消失や心機能の低下、血栓を生じて脳梗塞を招くこともあります。
 健康診断などの検査で期外収縮を指摘されたり、自分で脈をとった時に脈が飛ぶなどして期外収縮だと感じたりした場合は、1日に起こる回数や頻度などを確認してみるといいでしょう。頻繁に起こるような場合は、医療機関で検査を受けて確認してみるといいでしょう。
[ゴルフ]期外収縮の検査と診断と治療
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による診断では、心電図検査が基本となります。一般的に通常の検査は限られた時間の中で情報を集めますが、詳しく検査する場合はホルター心電計を利用します。これは胸に電極をつけて24時間にわたる心電図を記録する携帯式の小型の装置で、運動中や食事中、就寝中などでの期外収縮の出現頻度と出現形態を確認できます。
 また、基礎心疾患の有無や運動前後での期外収縮の出現頻度をみる目的で、心臓超音波検査や運動負荷心電図を行います。
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による治療では、健常な人でも自分の年齢数くらいは期外収縮が現れてもおかしくないので、単発の期外収縮で無症状であれば、日常生活に制限を設けません。
 症状が強い時には、まず抗不安薬を投与します。それでも症状がある場合には、抗不整脈薬を使うことになります。薬物治療を行う場合には、副作用のリスクを考慮して、十分に検討した上で慎重に行います。
 運動をすると期外収縮が頻発する場合には、期外収縮の連続による頻脈(頻拍)や持続性の頻脈が生じる可能性があるので、運動を控えるよう制限を設けます。逆に、運動によって期外収縮がなくなる場合には、運動制限を設ける必要はありません。
 期外収縮自体の予後は、良好です。しかし、心室性期外収縮が引き金になって致死的な頻脈が生じることがあります。このような場合は治療が必要で、鼠径(そけい)部などから挿入した細いカテーテルにより、心臓の期外収縮の原因組織を高周波電流で焼灼(しょうしゃく)する経皮的カテーテル心筋焼灼術を行うことがあります。
 一般的な期外収縮の予防には、規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることなどが大切です。喫煙や過度の飲酒も控えます。

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■用語 奇乳 [用語(き)]

[ゴルフ]生後間もない新生児の乳頭から乳汁様の液体が分泌される現象
 奇乳(きにゅう)とは、生後2~3日ころから1週間ころの間に、新生児の胸が膨らむとともに、乳頭(乳首)から乳汁様の半透明から白色の液体が分泌される状態。魔乳、鬼乳とも呼ばれます。
 妊娠中、母体では女性ホルモンの一つである卵胞ホルモン(エストロゲン)が卵巣から多量に分泌され、これが乳腺(にゅうせん)を発達させるとともに、脳下垂体に作用して乳汁分泌を促すプロラクチンの分泌を抑制しています。ところが、出産とともに、卵胞ホルモンの分泌が急速に低下し、プロラクチンの分泌の抑制がなくなるために、プロラクチンの分泌が増加し、乳汁(母乳)の分泌が開始されます。
 妊娠中、母体の卵胞ホルモンは胎盤を通じて胎児の血液にも移行していますが、出生後、臍帯(さいたい)が切断され、母体との関係が絶たれると、卵胞ホルモンが急激に減少して、その影響が急速に失われるため、母体と同様な機構でプロラクチンが少量分泌され、これが作用して乳腺が刺激され、新生児の乳頭から乳汁様の液体が分泌されるのです。乳汁様の液体の成分は、乳汁と同一です。
 奇乳は生後2~3日ころから分泌され始めることが多く、搾ったりせずに放置すれば数日から1週間程度で出なくなります。中には、5~6週間にわたって分泌がある場合もあります。新生児の体質や、母体から移行していたホルモンの量で、期間は変わってきます。
 成熟した新生児では、生まれた当初から左右の乳房が大きな場合がありますが、これも胎盤経由のホルモンと自分自身のホルモンによって乳腺が発達したものと考えられています。
 この時期の乳腺の発達には男女差はなく、男の子の新生児でも乳房が膨らんだり、奇乳が見られたりすることがあります。
 ヨ-ロッパでは昔、魔女信仰の影響から、新生児の乳頭から分泌される乳汁様の液体が魔女の薬の材料になるとされて「Witch’s milk(魔女のミルク)」と呼ばれていたことから、日本では奇乳、魔乳、鬼乳などと呼ばれるようになったようです。
 ヨーロパでは魔法使いの女が採りに来る前に早く搾ってしまわなくてはならないと信じられていたそうですが、近年では搾ったり、触ったりすると、かえって乳腺が刺激されていつまでも液体が出続けたり、細菌が入って感染を起こすことがあるため、搾ったり、触ったりしてはいけないものとされています。
 新生児の奇乳は自然に止まるのを待てばよく、特別な処置は必要ありません。乳汁とは少し違うような色の液体が出てくる場合は、乳腺などが傷付いている可能性がありますので、一度、産科、または小児科を受診し診察を受けてください。

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■用語 虚血肢 [用語(き)]

[ゴルフ]血管の病変が手足の動脈に慢性的に起こっている状態
 虚血肢とは、足や手の動脈が動脈硬化になって細くなったり、詰まったりして、慢性的に血の巡りが悪くなっている状態。
 閉塞(へいそく)性動脈硬化症、もしくは慢性動脈閉塞症と呼ばれている疾患が、末梢(まっしょう)動脈、すなわち足や手の動脈に起きている状態で、症状は主に足に現れます。
 動脈に脂肪分が沈着して粥状(じゅくじょう)硬化(アテローム硬化)が起こると、血管の内膜が肥厚して内腔(ないくう)が狭くなったり、潰瘍(かいよう)ができたりします。結果として、血流に障害が起き、血液が固まって血栓を生じ、詰まりやすい状態になります。
 虚血肢を起こした場合、足や手の動脈だけでなく、全身の血管にも動脈硬化を来している場合が少なくありません。3割の人で冠動脈疾患の合併、2割の人で脳血管障害の合併が認められます。
 発症しやすいのは、糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙などの動脈硬化の危険因子を持っている人。食生活やライフスタイルの欧米化により、動脈硬化を基盤とする虚血肢が急速に増えています。
 初期の症状は、足の冷感やしびれです。進行すると、短い距離を歩いただけで、ふくらはぎや太ももの裏側が重くなってきたり、痛みを感じるようになります。2〜3分休むとよくなり、再び歩くことができます。この間欠性跛行(はこう)や足のしびれなどの症状が神経痛の症状と似ているために、勘違いされて見逃されることも多く見受けられます。
 さらに進行して重症虚血肢になると、じっとしている安静時にも足に痛みが現れるようになったり、靴擦れや深爪(ふかづめ)といったちょっとしたけがが治らず、足先に潰瘍ができてただれ、傷口が治りにくくなったりします。病変がある動脈で、急に血液が固まって急性閉塞が起きた場合には、24時間を経過した後で、筋肉に壊死(えし)が起こることもあります。
 重症虚血肢は自然によくなることはなく、個人差はありますが次第に進行してゆきます。重症虚血肢をほうっておくと、最終的には末期重症虚血肢となって全く血が通わない虚血のために足が腐敗し、切断しなければならない可能性が高くなります。
[ゴルフ]虚血肢の検査と診断と治療
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科などの医師による診断では、血管が閉塞した部位より先の動脈は、拍動が触れなくなります。四肢の血圧から足関節/上腕血圧比を測ることにより、さらに詳しく下肢の虚血を診断できます。
 血管の閉塞した部位を確認するために、CT(コンピュータ断層撮影)検査 、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うこともあります。確定診断には、血管造影検査が必要になります。
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科などの医師による治療では、初期の足の冷感やしびれに対しては、血管を広げる血管拡張薬や、血液を固まりにくくする抗血小板薬を中心に治療を行います。手足の痛みが強く、肘(ひじ)や膝(ひざ)から上の比較的狭い範囲で慢性の動脈閉塞が起きている場合には、カテーテル治療、レーザー血管形成術、バイパス手術、血管新生療法などを行います。
 カテーテル治療は、狭心症や心筋梗塞(こうそく)の治療で行われるバルーン療法と同じ血管内治療。閉塞した部位にカテーテルを通し、そこで風船を膨らませて閉塞を治した後、再閉塞を防ぐためにコイルを留置します。レーザー血管形成術は、閉塞部近くまでカテーテルを挿入し、レーザー光を発して血栓や肥厚した内膜を霧状に散らす療法。
 バイパス手術は、閉塞した動脈の代わりに人工血管や自家静脈、自家動脈を使ってバイパス(側副血行路)を作り、動脈の血行を再建する治療。腹部から太ももにある太い動脈の再建には、ダクロンやゴアテックスなどの素材でできた人工血管が用いられることが多く、膝下から足先にある細い動脈の再建には、自家静脈が適しています。自家静脈としては、足の表面近くにある大伏在静脈や小伏在静脈が用いられます。
 血管新生療法は、肝細胞を増殖させる物質の遺伝子が血管を新しく作ることがわかったため、それを使って行う新しい治療。血管を新生する因子(HGF)を産生する遺伝子を含む医薬を筋肉に注射し、新しい血管を誕生させて血流をよみがえらせます。
 治療方法は数多くあるものの、虚血肢が進行して重症虚血肢、末期重症虚血肢になり、壊死が進行した場合は、足の切断が必要になることがあります。日本では毎年、1万人程度が足の切断を余儀なくされていると推定されます。しかし、血液の流れを改善して壊死に陥った足指を切断すれば、脛(すね)や太ももで切断する大切断を避けられる可能性があります。
 この虚血肢は、糖尿病や高血圧、高脂血症がある人に起こりやすいので、このような既往症のある人は、食生活を正して食べすぎを避け、減塩を守ること、ストレスを解消すること、禁煙をすることが必要です。
 また、足の症状が出るまでは、休みながらも繰り返し歩くように心掛けます。歩くことにより、バイパス(側副血行路)が発達し血行が改善します。靴下、毛布などを使って、足の保温にも努めます。寒冷刺激は足の血管をさらに収縮させ、血液の循環を悪くさせるからで、入浴も血行の改善に役立ちます。
 足はいつも清潔にしておき、爪を切る時は深爪をしないようにし、靴も足先のきつくないものを選ぶようにします。

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