■用語 スキルス胃がん [用語(す)]
胃の壁全体が硬くなる胃がんで、胃がんの中で発見が非常に難しいタイプ
スキルス胃がんとは、胃の壁全体が硬くなる胃がん。スキルスとは、硬いという意味です。
スキルス胃がんは、胃の粘膜面から隆起することなく、がん細胞が粘膜の下をはうように広がっていきます。そのため、粘膜が荒れるために出てくる胃炎や胃潰瘍(かいよう)のような症状にも乏しく、初期では自覚症状がほとんどないのが特徴です。発見された時には、がん細胞が胃の粘膜の下で胃全体に広がっていることがしばしばあり、治療成績がよくない原因になっています。
通常、がんは、粘膜面に発生します。胃がんなら、胃の粘膜に最初の兆候が現れ、発生したがん細胞は、浸潤といって周囲の細胞に染み込むように広がるとともに、増殖して塊を作ります。この過程で、胃の粘膜から出血したり、胃潰瘍などの症状が出ることがあります。
通常は、がん細胞の塊は粘膜面から隆起する形で出てきますので、内視鏡検査(胃カメラ)や胃X線造影(胃バリウム)検査での早期発見が可能ですし、内視鏡下胃粘膜切除術など胃カメラによる治療も可能で、治療成績の向上につながっています。
現在、スキルス胃がんは、胃がん全体の10パーセント程度を占めます。特徴としては、男女比2対3と女性に多いこと、ほかの胃がんに比べて発症年齢が3~4歳低く、特に女性にその傾向が強いことが挙げられます。
卵巣から分泌される女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の関与や、スキルス胃がんに特有な遺伝子変化も徐々に解明されてはいますが、詳しい発がんの過程はわかっていません。ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の関与は、胃がん全体の90パーセント程度を占める分化型腺(せん)がんよりは低いものの、関連はあると考えられています。
スキルス胃がんの初期症状は、何となく食欲がない、胃がもたれるといった一般的な症状が多く、特有の症状はありません。病状が進行してくると、胃全体が硬くなり、食物をたくさん受け入れられなくなるため、食欲不振や体重減少が起こってきます。
また、胃の内側から外側に向かってがん細胞が広がった結果、胃を覆っている膜を越えると、腹膜播種(はしゅ)といって腹部全体にがん細胞が散らばるケースがあります。この腹膜播種の場合には、下痢止めや便秘薬ではあまり改善されない下痢や便秘の症状がみられるようになります。
食欲不振、体重減少、便通異常といった自覚症状や、喫煙、過度の飲酒といった生活習慣、がん家系など少しでも気になることがある場合には、まずは、内科を受診することが勧められます。
スキルス胃がんの検査と診断と治療
内科、外科、消化器科の医師による診断では、ほかの胃がんと同様に、内視鏡検査(胃カメラ)と胃X線造影(胃バリウム)検査を行います。
進行したスキルス胃がんの場合は、診断は容易です。胃の一部に病変が限られている比較的初期のスキルス胃がんの場合は、がん細胞が胃の粘膜の下で増殖するために粘膜面の変化が乏しく、胃に細いファイバースコープを挿入し、患部を直接観察する内視鏡検査(胃カメラ)では、なかなか発見されにくいケースもあります。
比較的多いのは、バリウム(造影剤)と発泡剤を飲んで、胃全体の形や動きを観察する胃X線造影(胃バリウム)検査で、胃の壁が硬くなっているために、胃の動きが通常と違うことが確認され、早期発見につながるというケースです。
また、腹膜播種によって腹水が発生していて、CT(コンピュータ断層撮影)検査や腹部超音波(エコー)検査で発見されるケースや、肝臓や肺への転移巣が先に見付かって、いろいろ調べていく過程で発見されるケースもあります。
内科、外科、消化器科の医師による治療では、ほかの胃がんと同様に、手術、抗がん剤治療、放射線療法の3大療法を組み合わせ、がんの進行度に合わせて施していきます。
ほかの臓器に転移がないと判断された場合は、まず手術を行いますが、胃での広がりが進んでいる場合は、先に点滴や内服薬での抗がん剤治療を行ってから手術を予定するケースもあります。
腹膜播種の場合は、手術が難しく、手術でがん細胞を切除できたとしても、5年生存率は10パーセント程度で、予後は不良です。
スキルス胃がんとは、胃の壁全体が硬くなる胃がん。スキルスとは、硬いという意味です。
スキルス胃がんは、胃の粘膜面から隆起することなく、がん細胞が粘膜の下をはうように広がっていきます。そのため、粘膜が荒れるために出てくる胃炎や胃潰瘍(かいよう)のような症状にも乏しく、初期では自覚症状がほとんどないのが特徴です。発見された時には、がん細胞が胃の粘膜の下で胃全体に広がっていることがしばしばあり、治療成績がよくない原因になっています。
通常、がんは、粘膜面に発生します。胃がんなら、胃の粘膜に最初の兆候が現れ、発生したがん細胞は、浸潤といって周囲の細胞に染み込むように広がるとともに、増殖して塊を作ります。この過程で、胃の粘膜から出血したり、胃潰瘍などの症状が出ることがあります。
通常は、がん細胞の塊は粘膜面から隆起する形で出てきますので、内視鏡検査(胃カメラ)や胃X線造影(胃バリウム)検査での早期発見が可能ですし、内視鏡下胃粘膜切除術など胃カメラによる治療も可能で、治療成績の向上につながっています。
現在、スキルス胃がんは、胃がん全体の10パーセント程度を占めます。特徴としては、男女比2対3と女性に多いこと、ほかの胃がんに比べて発症年齢が3~4歳低く、特に女性にその傾向が強いことが挙げられます。
卵巣から分泌される女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の関与や、スキルス胃がんに特有な遺伝子変化も徐々に解明されてはいますが、詳しい発がんの過程はわかっていません。ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の関与は、胃がん全体の90パーセント程度を占める分化型腺(せん)がんよりは低いものの、関連はあると考えられています。
スキルス胃がんの初期症状は、何となく食欲がない、胃がもたれるといった一般的な症状が多く、特有の症状はありません。病状が進行してくると、胃全体が硬くなり、食物をたくさん受け入れられなくなるため、食欲不振や体重減少が起こってきます。
また、胃の内側から外側に向かってがん細胞が広がった結果、胃を覆っている膜を越えると、腹膜播種(はしゅ)といって腹部全体にがん細胞が散らばるケースがあります。この腹膜播種の場合には、下痢止めや便秘薬ではあまり改善されない下痢や便秘の症状がみられるようになります。
食欲不振、体重減少、便通異常といった自覚症状や、喫煙、過度の飲酒といった生活習慣、がん家系など少しでも気になることがある場合には、まずは、内科を受診することが勧められます。
スキルス胃がんの検査と診断と治療
内科、外科、消化器科の医師による診断では、ほかの胃がんと同様に、内視鏡検査(胃カメラ)と胃X線造影(胃バリウム)検査を行います。
進行したスキルス胃がんの場合は、診断は容易です。胃の一部に病変が限られている比較的初期のスキルス胃がんの場合は、がん細胞が胃の粘膜の下で増殖するために粘膜面の変化が乏しく、胃に細いファイバースコープを挿入し、患部を直接観察する内視鏡検査(胃カメラ)では、なかなか発見されにくいケースもあります。
比較的多いのは、バリウム(造影剤)と発泡剤を飲んで、胃全体の形や動きを観察する胃X線造影(胃バリウム)検査で、胃の壁が硬くなっているために、胃の動きが通常と違うことが確認され、早期発見につながるというケースです。
また、腹膜播種によって腹水が発生していて、CT(コンピュータ断層撮影)検査や腹部超音波(エコー)検査で発見されるケースや、肝臓や肺への転移巣が先に見付かって、いろいろ調べていく過程で発見されるケースもあります。
内科、外科、消化器科の医師による治療では、ほかの胃がんと同様に、手術、抗がん剤治療、放射線療法の3大療法を組み合わせ、がんの進行度に合わせて施していきます。
ほかの臓器に転移がないと判断された場合は、まず手術を行いますが、胃での広がりが進んでいる場合は、先に点滴や内服薬での抗がん剤治療を行ってから手術を予定するケースもあります。
腹膜播種の場合は、手術が難しく、手術でがん細胞を切除できたとしても、5年生存率は10パーセント程度で、予後は不良です。
■用語 スキーン腺嚢胞 [用語(す)]
膣の上部に位置する左右一対のスキーン腺の排出管が詰まり、尿道口付近に嚢胞が生じる疾患
スキーン腺嚢胞(せんのうほう)とは、女性の膣(ちつ)の上部に位置する左右一対の分泌腺であるスキーン腺の排出管が詰まり、尿道口付近に嚢胞が生じる疾患。スキーン管嚢胞とも呼ばれます。
スキーン腺は、スケネー腺、小前庭腺、傍尿道腺とも呼ばれ、陰核(クリトリス)と膣口の間に位置する尿道口の左右両側に、小さな穴として開口しています。開口部の大きさは一人一人ばらつきがあり、完全に消失している女性もいるとされています。
スキーン腺からは、性的刺激によって粘液が分泌され、膣から分泌される粘液とも混ざり合い、性交時の潤滑液としての役割を果たしています。
また、スキーン腺のある位置は、女性の膣の内部にある快感スポット、いわゆるGスポット(グレフェンベルグ・スポット)として知られています。スキーン腺は発生学的に男性の前立腺に相当し、女性の射精中、俗にいう潮吹き現象で現れてくる透明、あるいは乳白色の液体は、男性の前立腺で産出される液体と非常によく似た酸性フォスファターゼなどの構成成分を持っています。この液体は、オーガスムの際に時々緊張から解放されて放たれる尿の中に混ざります。
このスキーン腺の開口部から、細菌などが侵入し、それらの細菌に感染すると、急性期には排出管に炎症が起こり、開口部が発赤して、はれが現れます。炎症が治まった後に、開口部の閉鎖が起こると、本来は外に分泌される粘液が排出管内部にたまり、拡大して嚢胞を形成します。嚢胞は液体を満たした袋を意味し、これがスキーン腺嚢胞です。
スキーン腺嚢胞はまれで、主に成人に発症します。ほとんどの嚢胞は、大きさが直径約1センチメートル未満で、症状はありません。大きくなると、性交時に痛みを感じたり、排尿のトラブルが生じることがあります。
こうした場合の初期症状には、尿道を通る尿の流れをスキーン腺嚢胞が遮るために、なかなか尿が出ない、排尿が終わる時に尿がポタポタと滴る、尿が出なくなるなどがあります。尿路感染症が生じ、切迫した尿意が頻繁にみられたり、排尿時に痛みを感じることもあります。
さらに、スキーン腺嚢胞内に細菌感染が起きると、うみが排出管内部にたまって、膿瘍(のうよう)を形成することがあります。膿瘍はうみの塊を意味し、これをスキーン腺膿瘍といいます。
膿瘍ができるとスキーン腺がある部分の皮膚は赤くなり、はれが生じ、何もしていなくても痛む自発痛と、押すと痛む圧痛が生じます。発熱はほとんどみられません。膿瘍が大きくなりすぎて自然に破裂して、うみが出ることもあります。
スキーン腺嚢胞、スキーン腺膿瘍の症状に気付いたら、婦人科、産婦人科、あるいは泌尿器科を受診することが勧められます。
スキーン腺嚢胞の検査と診断と治療
婦人科、産婦人科、あるいは泌尿器科の医師による診断では、嚢胞や膿瘍が大きくなって症状が現れるようになると、通常、内診の際に触れることができます。
ただし、診断を確定するために、超音波(エコー)検査や、柔軟性のある内視鏡で膀胱(ぼうこう)を観察する膀胱鏡検査を行うこともあります。鑑別すべき疾患には、女性の尿道の前部3分の1に発生する遠位尿道の憩室があります。
時には、スキーン腺の排出管内部にたまっている粘液やうみを培養して、原因となっている菌を特定する細胞検査を行うこともあります。
婦人科、産婦人科、あるいは泌尿器科の医師による治療では、症状のあるスキーン腺嚢胞ができている場合、切除します。切除は、外来の処置室や手術室で行います。処置室で切除を行う場合は、通常、局所麻酔を用います。
膿瘍ができている場合は、抗生物質(抗生剤、抗菌剤)のセファレキシンなどの経口剤を7~10日間投与し、その後切除を行います。あるいは、膿瘍を小さく切開して、切開創の縁を外陰部の表面に縫い合わせる造袋を行い、膿瘍内の液を出すこともあります。
スキーン腺嚢胞(せんのうほう)とは、女性の膣(ちつ)の上部に位置する左右一対の分泌腺であるスキーン腺の排出管が詰まり、尿道口付近に嚢胞が生じる疾患。スキーン管嚢胞とも呼ばれます。
スキーン腺は、スケネー腺、小前庭腺、傍尿道腺とも呼ばれ、陰核(クリトリス)と膣口の間に位置する尿道口の左右両側に、小さな穴として開口しています。開口部の大きさは一人一人ばらつきがあり、完全に消失している女性もいるとされています。
スキーン腺からは、性的刺激によって粘液が分泌され、膣から分泌される粘液とも混ざり合い、性交時の潤滑液としての役割を果たしています。
また、スキーン腺のある位置は、女性の膣の内部にある快感スポット、いわゆるGスポット(グレフェンベルグ・スポット)として知られています。スキーン腺は発生学的に男性の前立腺に相当し、女性の射精中、俗にいう潮吹き現象で現れてくる透明、あるいは乳白色の液体は、男性の前立腺で産出される液体と非常によく似た酸性フォスファターゼなどの構成成分を持っています。この液体は、オーガスムの際に時々緊張から解放されて放たれる尿の中に混ざります。
このスキーン腺の開口部から、細菌などが侵入し、それらの細菌に感染すると、急性期には排出管に炎症が起こり、開口部が発赤して、はれが現れます。炎症が治まった後に、開口部の閉鎖が起こると、本来は外に分泌される粘液が排出管内部にたまり、拡大して嚢胞を形成します。嚢胞は液体を満たした袋を意味し、これがスキーン腺嚢胞です。
スキーン腺嚢胞はまれで、主に成人に発症します。ほとんどの嚢胞は、大きさが直径約1センチメートル未満で、症状はありません。大きくなると、性交時に痛みを感じたり、排尿のトラブルが生じることがあります。
こうした場合の初期症状には、尿道を通る尿の流れをスキーン腺嚢胞が遮るために、なかなか尿が出ない、排尿が終わる時に尿がポタポタと滴る、尿が出なくなるなどがあります。尿路感染症が生じ、切迫した尿意が頻繁にみられたり、排尿時に痛みを感じることもあります。
さらに、スキーン腺嚢胞内に細菌感染が起きると、うみが排出管内部にたまって、膿瘍(のうよう)を形成することがあります。膿瘍はうみの塊を意味し、これをスキーン腺膿瘍といいます。
膿瘍ができるとスキーン腺がある部分の皮膚は赤くなり、はれが生じ、何もしていなくても痛む自発痛と、押すと痛む圧痛が生じます。発熱はほとんどみられません。膿瘍が大きくなりすぎて自然に破裂して、うみが出ることもあります。
スキーン腺嚢胞、スキーン腺膿瘍の症状に気付いたら、婦人科、産婦人科、あるいは泌尿器科を受診することが勧められます。
スキーン腺嚢胞の検査と診断と治療
婦人科、産婦人科、あるいは泌尿器科の医師による診断では、嚢胞や膿瘍が大きくなって症状が現れるようになると、通常、内診の際に触れることができます。
ただし、診断を確定するために、超音波(エコー)検査や、柔軟性のある内視鏡で膀胱(ぼうこう)を観察する膀胱鏡検査を行うこともあります。鑑別すべき疾患には、女性の尿道の前部3分の1に発生する遠位尿道の憩室があります。
時には、スキーン腺の排出管内部にたまっている粘液やうみを培養して、原因となっている菌を特定する細胞検査を行うこともあります。
婦人科、産婦人科、あるいは泌尿器科の医師による治療では、症状のあるスキーン腺嚢胞ができている場合、切除します。切除は、外来の処置室や手術室で行います。処置室で切除を行う場合は、通常、局所麻酔を用います。
膿瘍ができている場合は、抗生物質(抗生剤、抗菌剤)のセファレキシンなどの経口剤を7~10日間投与し、その後切除を行います。あるいは、膿瘍を小さく切開して、切開創の縁を外陰部の表面に縫い合わせる造袋を行い、膿瘍内の液を出すこともあります。
タグ:用語(す) スキーン腺嚢胞 ワギニスムス ウイルス性いぼ 外陰上皮内腫瘍 膣狭窄症 委縮性膣炎 性器結核 女性性器結核 非特異性膣炎 バルトリン腺炎 大前庭腺炎 小前庭腺嚢胞 膣けいれん 膣壁裂傷 性病 更年期障害 子宮筋腫 子宮頸がん 子宮内膜症 卵巣腫瘍 卵巣がん 半陰陽 子宮がん 子宮後屈 若年性更年期障害 子宮内膜炎 子宮膣部びらん 子宮体がん 子宮頸管炎 月経痛 クラミジア感染症 性感染症(STD) カンジダ膣炎 無月経 単純性疱疹(単純性ヘルペス) 卵巣の形態異常(ターナー症候群) 卵巣嚢腫(嚢胞性腫瘍) 性器ヘルペス症 機能性子宮出血 膣がん 外陰がん 卵管がん 絨毛がん 子宮下垂、子宮脱 尖圭コンジローム 続発性無月経 原発性無月経 外陰炎 ウーマンオンコロジー 老人性膣炎 膣炎 副腎性器症候群 先天性副腎過形成症 性腺機能低下症 膣トリコモナス感染症 ロキタンスキー症候群 膣閉鎖症 鎖陰 性器閉鎖症 処女膜閉鎖症 処女膜強靭症 仮性半陰陽 真性半陰陽 女性仮性半陰陽 メイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群 細菌性膣炎 性器クラミジア感染症
■用語 スポロトリコーシス [用語(す)]
スポロトリックス・シェンキーという真菌の一種の感染によって、皮膚と皮下組織に潰瘍性の病変を生じる疾患
スポロトリコーシスとは、スポロトリックス・シェンキーという真菌の一種が皮膚に感染して、皮膚と皮下組織に潰瘍(かいよう)性の病変を生じる疾患。スポロトリクム症とも呼ばれます。
原因菌となるスポロトリックス・シェンキーは、枯木や土中など自然環境中に存在する二形性の真菌、いわゆるかびの一種で、特に熱帯や温帯地方に広く分布しています。
日本では、晩秋から冬期に主に東北以南で、土と接触する機会の多い農業従事者、園芸業従事者や、土をいじって遊ぶ小児に発生します。関東、近畿、四国、九州地方に多くみられましたが、都市化が進んだ1980年前半を境に減少し、発生数は年間数十例以下と少数です。
スポロトリックス・シェンキーが切り傷や擦り傷、刺し傷などの軽微な外傷を介して、皮膚内に侵入して発症するので、露出しやすい顔面、手、前腕などに好発します。下肢に発症する場合は、下肢を露出する春から夏にみられます。
数週間から数カ月の潜伏期を経て、スポロトリックス・シェンキーの接種部分に一致して、紅色の小さなあせも(汗疹)様の赤いぶつぶつ(丘疹〔きゅうしん〕〉)や、小さなうみ(膿疱〔のうほう〕)を形成し、次第に増大して、皮下組織に硬い浸潤を触れる皮下結節(しこり)となります。この結節は自潰しやすく、病変中央部で慢性の潰瘍を形成します。
軽度の痛みを伴う場合がありますが、そのほかの自覚症状はありません。
皮疹が単発して徐々に増大する限局型、リンパ管に沿って上行性に多発するリンパ管型、原発巣から血行性に全身汎発(はんぱつ)性の皮下結節がみられる播種(はしゅ)型のほか、骨・関節や肺など皮膚以外の臓器に発生する型に分類されます。
限局型は、小児の顔面や上肢などの外傷部位に多く発生し、リンパ管を介しての転移は認められず、肉芽腫(にくげしゅ)性結節を示します。
リンパ管型は、成人の手や指、前腕などの外傷部位に多く発生し、腫瘍(しゅよう)状、あるいは肉芽腫状に盛り上がって潰瘍を伴う結節が原発巣として生じ、その後、飛び石状にリンパ管を介して、上行性に連続して結節状の転移巣を示します。
日本における深在性皮膚真菌症としては、スポロトリコーシスが最も発生率が高くなっていますが、人から人への感染は原則としてありません。放置すると数年にわたって悪化し、普通は自然治癒に至りません。
スポロトリコーシスの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、真菌検査、病理組織検査を行い、補助的に皮膚反応を行います。
真菌検査には、直接鏡検と培養検査があり、直接鏡検では、局所麻酔をして病変の一部をメスなどで採取して顕微鏡で調べるものの、菌要素を検出しにくい疾患です。培養検査では、条件により菌糸形と酵母形の二形性の集落が形成されます。
病理組織検査では、一部の組織を培養検査に回すこともでき、最も確実な診断方法です。病変の一部を採取し、特徴的な菌要素の検出や、炎症を伴う慢性肉芽腫像などで確定できます。
皮膚反応は、スポロトリキン皮内反応といい、菌の培養液で作った抗原液を皮内注射し、結核のツベルクリン反応と同じように皮内反応させて48時間後の硬結の程度をみるもので、直径10ミリ以上を陽性とします。まれに偽陰性もあるので、注意を必要とします。
近年は、組織や分離菌からのDNA診断が、迅速で正確な菌同定法として利用されてきています。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、ヨウ化カリウムの内服と、使い捨てカイロを当てるなどの局所温熱療法を第一選択として行います。ヨウ化カリウムの内服が著効し、通常1~3カ月で治癒しますが、胃腸障害を生じやすいのが難点です。
ヨウ化カリウムの内服が難しい場合は、イトラコナゾール(イトリゾール)やテルビナフィン(ラミシール)などの抗真菌剤の内服と、局所温熱療法を併用します。
外科的に病変を切除することもあります。
スポロトリコーシスとは、スポロトリックス・シェンキーという真菌の一種が皮膚に感染して、皮膚と皮下組織に潰瘍(かいよう)性の病変を生じる疾患。スポロトリクム症とも呼ばれます。
原因菌となるスポロトリックス・シェンキーは、枯木や土中など自然環境中に存在する二形性の真菌、いわゆるかびの一種で、特に熱帯や温帯地方に広く分布しています。
日本では、晩秋から冬期に主に東北以南で、土と接触する機会の多い農業従事者、園芸業従事者や、土をいじって遊ぶ小児に発生します。関東、近畿、四国、九州地方に多くみられましたが、都市化が進んだ1980年前半を境に減少し、発生数は年間数十例以下と少数です。
スポロトリックス・シェンキーが切り傷や擦り傷、刺し傷などの軽微な外傷を介して、皮膚内に侵入して発症するので、露出しやすい顔面、手、前腕などに好発します。下肢に発症する場合は、下肢を露出する春から夏にみられます。
数週間から数カ月の潜伏期を経て、スポロトリックス・シェンキーの接種部分に一致して、紅色の小さなあせも(汗疹)様の赤いぶつぶつ(丘疹〔きゅうしん〕〉)や、小さなうみ(膿疱〔のうほう〕)を形成し、次第に増大して、皮下組織に硬い浸潤を触れる皮下結節(しこり)となります。この結節は自潰しやすく、病変中央部で慢性の潰瘍を形成します。
軽度の痛みを伴う場合がありますが、そのほかの自覚症状はありません。
皮疹が単発して徐々に増大する限局型、リンパ管に沿って上行性に多発するリンパ管型、原発巣から血行性に全身汎発(はんぱつ)性の皮下結節がみられる播種(はしゅ)型のほか、骨・関節や肺など皮膚以外の臓器に発生する型に分類されます。
限局型は、小児の顔面や上肢などの外傷部位に多く発生し、リンパ管を介しての転移は認められず、肉芽腫(にくげしゅ)性結節を示します。
リンパ管型は、成人の手や指、前腕などの外傷部位に多く発生し、腫瘍(しゅよう)状、あるいは肉芽腫状に盛り上がって潰瘍を伴う結節が原発巣として生じ、その後、飛び石状にリンパ管を介して、上行性に連続して結節状の転移巣を示します。
日本における深在性皮膚真菌症としては、スポロトリコーシスが最も発生率が高くなっていますが、人から人への感染は原則としてありません。放置すると数年にわたって悪化し、普通は自然治癒に至りません。
スポロトリコーシスの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、真菌検査、病理組織検査を行い、補助的に皮膚反応を行います。
真菌検査には、直接鏡検と培養検査があり、直接鏡検では、局所麻酔をして病変の一部をメスなどで採取して顕微鏡で調べるものの、菌要素を検出しにくい疾患です。培養検査では、条件により菌糸形と酵母形の二形性の集落が形成されます。
病理組織検査では、一部の組織を培養検査に回すこともでき、最も確実な診断方法です。病変の一部を採取し、特徴的な菌要素の検出や、炎症を伴う慢性肉芽腫像などで確定できます。
皮膚反応は、スポロトリキン皮内反応といい、菌の培養液で作った抗原液を皮内注射し、結核のツベルクリン反応と同じように皮内反応させて48時間後の硬結の程度をみるもので、直径10ミリ以上を陽性とします。まれに偽陰性もあるので、注意を必要とします。
近年は、組織や分離菌からのDNA診断が、迅速で正確な菌同定法として利用されてきています。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、ヨウ化カリウムの内服と、使い捨てカイロを当てるなどの局所温熱療法を第一選択として行います。ヨウ化カリウムの内服が著効し、通常1~3カ月で治癒しますが、胃腸障害を生じやすいのが難点です。
ヨウ化カリウムの内服が難しい場合は、イトラコナゾール(イトリゾール)やテルビナフィン(ラミシール)などの抗真菌剤の内服と、局所温熱療法を併用します。
外科的に病変を切除することもあります。
タグ:用語(す)
■用語 水疱性角膜症 [用語(す)]
角膜の内側にある角膜内皮細胞の機能不全により、角膜が浮腫状に混濁し、視力が下がる疾患
水疱(すいほう)性角膜症とは、角膜の内側にある角膜内皮細胞の機能不全により、角膜が浮腫(ふしゅ)状に混濁し、視力が下がる疾患。
角膜は、黒目の表面を覆う透明な無血管組織で、表面から内側に向かって上皮細胞層、角膜固有層、デスメ層 、そして内皮細胞層という4つの異なった層からなっています。外界の光が目の中に入る入り口となるとともに、目の屈折力の約7割を担うレンズとしての役割も果たしています。
三叉(さんさ)神経が多岐に分布し、知覚が非常に鋭敏であるという特徴があり、厚さ1ミリながら眼の中の組織を守るために膠原線維(こうげんせんい)というとても丈夫な線維組織で作られています。
角膜の一番内側にある内皮細胞層を構成している角膜内皮細胞は、角膜内の水分量を調節する役割を果たしています。具体的には、角膜に入ってくる眼内の水(房水)をポンプ機能により眼内へ戻す役割を担っています。この機能により、角膜の水分量は一定に保たれ、角膜の厚みや透明性が維持されています。
しかし、何らかの原因で角膜内皮細胞の機能不全が起こり、そのポンプ機能が障害されますと、角膜内の水分が排出できなくなるため、角膜はむくんで厚くなり、透明性も低下します。
角膜が浮腫状に混濁することにより、外界の光が通りにくくなりますし、角膜の表面を覆っている角膜上皮にも水がたまって、水疱ができます。そのため、視力が低下しますし、表面の水疱のために痛みもあります。
また、角膜上皮がはがれやすくなり、はがれてしまうと非常に強い痛みを生じます。原因によって、両眼性であったり片眼性であったりします。
角膜の内皮細胞は、生まれてから死ぬまで増えることはないので、フックス角膜内皮ジストロフィなどの角膜内皮疾患で遺伝的に内皮細胞が弱かったり、眼内の手術や炎症、外傷、角膜感染など外的な原因で内皮細胞が障害されたりすることにより、水泡性角膜症が生じます。
最近では、白内障の手術後や、緑内障に対するレーザー治療後に、水泡性角膜症が生じることも増えています、コンタクトレンズの長期装用によっても、内皮細胞は少しずつ減少するので、注意が必要です。
水疱性角膜症の検査と診断と治療
眼科の医師による診断では、眼球内を観察する細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査を行い、角膜の浮腫状の混濁、角膜の厚さの増加、角膜内皮細胞の密度の低下もしくは測定不能により確定します。
年齢にもよりますが、角膜内皮細胞の密度の正常値は2500〜3000個/mm2程度ですが、密度の値が約500個/mm2以下になると水泡性角膜症と見なされます。
眼科の医師による治療では、非常に初期の場合、濃度の濃い生理食塩水の点眼や眼軟こうで角膜内の水分を吸い取ることによって、視力の改善を図ります。痛みに対しては、治療用ソフトコンタクトレンズを装用します。
根本的な治療としては、角膜内皮細胞は増えて再生しないために、角膜移植が必要になります。従来は、全層角膜移植のみが行われていましたが、最近では、角膜の内皮側だけを入れ替える角膜内皮移植も行われるようになっています。
水疱(すいほう)性角膜症とは、角膜の内側にある角膜内皮細胞の機能不全により、角膜が浮腫(ふしゅ)状に混濁し、視力が下がる疾患。
角膜は、黒目の表面を覆う透明な無血管組織で、表面から内側に向かって上皮細胞層、角膜固有層、デスメ層 、そして内皮細胞層という4つの異なった層からなっています。外界の光が目の中に入る入り口となるとともに、目の屈折力の約7割を担うレンズとしての役割も果たしています。
三叉(さんさ)神経が多岐に分布し、知覚が非常に鋭敏であるという特徴があり、厚さ1ミリながら眼の中の組織を守るために膠原線維(こうげんせんい)というとても丈夫な線維組織で作られています。
角膜の一番内側にある内皮細胞層を構成している角膜内皮細胞は、角膜内の水分量を調節する役割を果たしています。具体的には、角膜に入ってくる眼内の水(房水)をポンプ機能により眼内へ戻す役割を担っています。この機能により、角膜の水分量は一定に保たれ、角膜の厚みや透明性が維持されています。
しかし、何らかの原因で角膜内皮細胞の機能不全が起こり、そのポンプ機能が障害されますと、角膜内の水分が排出できなくなるため、角膜はむくんで厚くなり、透明性も低下します。
角膜が浮腫状に混濁することにより、外界の光が通りにくくなりますし、角膜の表面を覆っている角膜上皮にも水がたまって、水疱ができます。そのため、視力が低下しますし、表面の水疱のために痛みもあります。
また、角膜上皮がはがれやすくなり、はがれてしまうと非常に強い痛みを生じます。原因によって、両眼性であったり片眼性であったりします。
角膜の内皮細胞は、生まれてから死ぬまで増えることはないので、フックス角膜内皮ジストロフィなどの角膜内皮疾患で遺伝的に内皮細胞が弱かったり、眼内の手術や炎症、外傷、角膜感染など外的な原因で内皮細胞が障害されたりすることにより、水泡性角膜症が生じます。
最近では、白内障の手術後や、緑内障に対するレーザー治療後に、水泡性角膜症が生じることも増えています、コンタクトレンズの長期装用によっても、内皮細胞は少しずつ減少するので、注意が必要です。
水疱性角膜症の検査と診断と治療
眼科の医師による診断では、眼球内を観察する細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査を行い、角膜の浮腫状の混濁、角膜の厚さの増加、角膜内皮細胞の密度の低下もしくは測定不能により確定します。
年齢にもよりますが、角膜内皮細胞の密度の正常値は2500〜3000個/mm2程度ですが、密度の値が約500個/mm2以下になると水泡性角膜症と見なされます。
眼科の医師による治療では、非常に初期の場合、濃度の濃い生理食塩水の点眼や眼軟こうで角膜内の水分を吸い取ることによって、視力の改善を図ります。痛みに対しては、治療用ソフトコンタクトレンズを装用します。
根本的な治療としては、角膜内皮細胞は増えて再生しないために、角膜移植が必要になります。従来は、全層角膜移植のみが行われていましたが、最近では、角膜の内皮側だけを入れ替える角膜内皮移植も行われるようになっています。