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■用語 側副靱帯損傷 [用語(そ)]

[スキー]膝の内側と外側にあって、関節の横ぶれを防いでいる側副靱帯が損傷、断裂した状態
 側副靱帯(そくふくじんたい)損傷とは、膝(ひざ)の内側と外側にあって、関節の横ぶれを防ぐ役目をしている側副靱帯が損傷、断裂した状態。
 側副靱帯はすじ状の繊維性結合組織で、大腿骨と下腿骨の脛骨(けいこつ)および腓骨(ひこつ)とを連結しています。
 スキーやサッカーなどのスポーツで急激な反転、方向転換をした時に、下腿が無理に内側や外側へ曲げられて起こります。この側副靱帯の損傷は、内側に多く、外側の受傷は比較的まれです。
 損傷を受けると、階段を降りる時や歩行などの時に膝がグラグラして、安定しなくなります。断裂すると、断裂部の圧痛と腫脹(しゅちょう)、膝を軽く屈曲した位置で側方へ動揺する不安定性をみます。
[スキー]側副靱帯損傷の検査と診断と治療
 整形外科医の診断では、膝の不安定性を検査します。この場合、麻酔下で、痛みのために起こる筋肉の防御的緊張を取り除いた状態で行うと、はっきりします。不安定性の程度によって、痛みのみで不安定性はない1度、膝を伸ばした状態、伸展位で不安定性はないが、30度ほど屈曲すると認められる2度、伸展位で不安定性を認める3度に分類されています。
 側副靱帯単独の損傷のことが多いのですが、3度の不安定性がある場合は、前十字靭帯損傷を合併している可能性があります。そのほか、X線撮影、関節造影、MRI、関節鏡などの所見を総合的に判断して、診断します。
 内側の側副靱帯の損傷の場合、損傷の程度により2週間から4週間、弾性包帯、ギプス、固定装具による安静固定を行います。痛みや炎症の強い時期は、冷湿布などで冷やします。
 内側の側副靱帯の単独損傷では、しっかりした固定とリハビリによって、回復することも多くみられます。しかし、しっかりした固定をしないと、痛めた靱帯が伸びた状態で修復され、膝関節が不安定な状態となり、痛みや腫(は)れも慢性化するケースがあります。慢性化した場合は、サポーターなどによる固定をしたり大腿四頭筋の強化訓練をして、膝関節がグラグラしないように安定させる必要があります。
 また、完全に靱帯が断裂している重症のケースでは、膝関節の不安定性が大きくなるために手術を要することもあり、靱帯縫合術、靱帯再建術を行います。前十字靱帯の損傷と合併している場合も、その不安定性が大きく、スポーツや重作業に復帰するには手術をしたほうが予後も良好のようです。
 外側の側副靱帯の損傷の場合も、損傷の程度により2週間から4週間、ギプスなどによる安静固定を行います。炎症や痛みの強い時期は、冷湿布などで冷やします。
 スポーツや事故による損傷では、外側の側副靱帯の単独損傷を発生するケースはほとんどみられず、十字靱帯損傷や、膝裏の筋肉である膝窩(しっか)筋損傷、膝関節の中の軟骨である半月板損傷に合併して生ずることが多いため、固定期間や安静期間は、専門医の判断に委ねるべきです。
 単独損傷では、後遺症として関節の不安定性が起こる場合は少なく、また不安定性を起こしても内側の側副靱帯と比較して、その動揺の程度は小さく回復も良好ですが、複合靱帯損傷では、多くが強固な靭帯修復術が必要になります。

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■用語 爪郭炎 [用語(そ)]

[手(パー)]指の爪の根元が赤くはれて、爪がでこぼこになる皮膚疾患
 爪郭炎(そうかくえん)とは、指の爪(つめ)の根元が赤くはれて、爪がでこぼこになる皮膚疾患。オニキアとも呼ばれます。
 爪の甲の表面と、爪の甲を根元で固定している皮膚である後爪郭(こうそうかく)の間に透き間ができて、そこに、かびの一種である真菌のカンジダなどや、そのほかの細菌が入り込んで、増殖することで炎症が起き、爪郭炎を生じます。
 ほとんどが手の指の爪に起こり、中指、薬指の爪に多くみられます。最初は爪の根元が白く濁り、周囲の皮膚が赤くはれ上がり、押すと圧痛があります。悪化すると、爪と皮膚の間が化膿(かのう)して、うみが出たり、痛みが生じます。
 非常に治りにくく、爪の根元の後爪郭に炎症が起きるために、新しく生えた爪が変形して、爪の表面がでこぼこになり、横に筋(横溝)がみられたり、爪が褐色や灰色に変色することがあります。
 爪郭炎は、指先が湿る水仕事の機会の多い中年女性や料理人に起こりやすいものです。マニキュアを不適切に行ったり、不衛生な器具を使って行った後にも、しばしば起こります。
 感染している指で食品を触ると、カンジダなどの真菌や、そのほかの細菌が移り、調理後食べるまでの時間が長い場合には、食中毒の原因となる可能性もあります。
 爪郭炎の症状に気付いたら、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。
[手(チョキ)]爪郭炎の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、病変部の皮膚の表面をピンセットで軽く引っかき、採取した角質を顕微鏡で見る直接鏡検法KOH(苛性〔かせい〕カリ)法で真菌や細菌を検出することで、確定します。
 真菌や細菌の種類を特定するために、培養検査を行うこともあります。
 皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による治療では、カンジダなどの真菌が原因となっている爪郭炎の場合、1日1回、外用抗真菌剤を後爪郭から爪甲表面に塗布し、内用抗真菌剤の内服を行います。
 黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌などの細菌が原因となっている爪郭炎で軽い場合は、外用抗生物質を後爪郭から爪甲表面に塗布します。治りが悪い場合には、内用抗生物質の内服と、局所の安静が必要となります。
 それと同時に、患部を濡らさないように水から避けて、手を乾燥した状態に保つことが大切です。指先の炎症が治まっても、爪が正常の状態に戻るにはさらに数カ月かかります。
 また、化膿が強い場合は、切開排膿が必要となります。メスで皮膚を切開して、たまっているうみを排出すると、痛みは弱まります。
 予防法としては、爪郭炎は水仕事の機会の多い中年女性や料理人などがかかりやすく、特にささくれ、小さい傷がある時に真菌や細菌が入りやすくなりますので、指先に小さい傷がある時には、まめに消毒を行い、水などに指先をつける時には、手袋をして直接、触らないように注意する必要があります。




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■用語 爪異栄養症 [用語(そ)]

[手(グー)]複数の爪の甲の表面に、波打つようなでこぼこが現れた状態
 爪異栄養(そういえいよう)症とは、複数の爪(つめ)の甲の表面に、波打つようなでこぼこが現れた状態。二十爪発育異常症粗造爪と呼ばれることもあります。
 爪は、爪の甲と、爪の根元の皮下にあって爪を作り出している爪母、爪の甲を下で支える爪床から成り立っています。複数の爪の甲の表面に、波打つようなでこぼこが現れるのは、爪の甲のその部分が爪母で形成された時に、発育を抑制するような刺激が加わったせいです。爪の甲が根元から伸びるのに伴って、その刺激によって生じたでこぼこが次第に爪先へと移行して現れます。
 食事による栄養不足や水分不足により、爪に必要な蛋白(たんぱく)質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンBなどが足りないと、爪の甲の表面にでこぼこが現れることがあります。過労や睡眠不足、不規則な生活が連続することにより、爪の甲の表面にでこぼこが現れることもあります。
 環境におけるストレスが多いことにより、爪の甲の表面にでこぼこが現れることもあります。ストレスとの因果関係が高いため、爪の甲の表面にでこぼこが見られる人は、円形脱毛症になる可能性が高いといわれています。
 うつ病を患っていることにより、爪の甲の表面にでこぼこが現れることもあります。
 また、爪の甲の表面にでこぼこが現れるだけでなく、縦方向や横方向の線や溝が現れたり、爪の甲が薄くなり、光沢が消え、もろくなることもあります。
 爪異栄養症の症状が手足の複数の爪に現れた場合は、心身ともに疲れがたまっているサインと見なし、食事による栄養不足を解消し、ゆっくり体を休めたり、リフレッシュして心をすっきりさせることを心掛ければよいでしょう。
 ただし、いくつかの疾患が合わさって爪異栄養症を生じていることもあり、見た目で扁平苔癬(へんぺいたいせん)や爪乾癬(つめかんせん)、アトピー性皮膚炎と区別が付かないこともあるので、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診して、確認してもらうことが勧められます。
[手(チョキ)]爪異栄養症の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、症状と問診から判断します。確定診断には、爪床や爪母を含めて爪組織の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行い、扁平苔癬や爪乾癬などと鑑別します。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、基本的には外用ステロイド剤を患部に塗ります。内用ステロイド剤の内服で軽快することもあります。治りにくい場合には、光線療法も行います。
 光線療法は、紫外線の増感剤であるメトキサレン(オクソラレン)を患部に塗り、長波長紫外線UVAを当てる治療で、PUVA(プーバ)療法といいます。近年、PUVA療法に代わる光線療法として、特定の紫外線波長を利用したナローバンドUVB療法も利用されるようになってきています。




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■用語 爪甲色素線条 [用語(そ)]

[手(グー)]爪の甲の根元から縦方向に、黒色や褐色の線状の色素沈着が生じた状態
 爪甲色素線条(そうこうしきそせんじょう)とは、爪(つめ)の甲の根元から縦方向に、黒色や褐色の線状、または帯状の色素沈着が生じた状態。
 爪は、爪の甲と、爪の根元の皮下にあって爪を作り出している爪母、爪の甲を下で支える爪床から成り立っています。このうち爪母や爪母付近に何らかの病変があると、まず爪の甲の根元の表面に爪甲色素線条が現れ、爪が伸びるのに伴って、その直線状の色素沈着が次第に爪先へと移行します。
 爪母や爪母付近にある病変としては、メラニンという皮膚の色を濃くする色素が異常に増加したほくろや、あざなどの色素性母斑(ぼはん)があり、爪母に色素性母斑が生じた後に、爪に爪甲色素線条が現れます。
 粘液嚢腫(のうしゅ)やグロムス腫瘍(しゅよう)などの良性の腫瘍、爪部悪性黒色腫(爪メラノーマ)や基底細胞がんやボーエン病など悪性の腫瘍が爪母に生じた後にも、爪に爪甲色素線条が現れます。
 また、扁平苔癬(へんぺいたいせん)や線状苔癬のなど皮膚疾患、アジソン病やクッシング症候群などの内分泌異常、ポルフィリン症や栄養失調などの代謝異常、ポイツ・イエーガー症候群や妊娠などの全身疾患、細菌や真菌の感染症、抗がん剤などの薬剤の内服、手指への放射線治療や紫外線療法、靴あるいはギターの演奏などによる繰り返す外的刺激が、爪母や爪母付近に病変を及ぼした後にも、爪に爪甲色素線条が現れます。
 一般に、爪の根元に現れた爪甲色素線条は横幅1ミリ程度で始まり、次第に拡大して、その色調も濃くなります。時には爪の甲全体に拡大するばかりか、爪の根元の皮膚を覆っている後爪廓(こうそうかく)の皮膚にも色素斑がみられることもあります。多くの爪に帯状の爪甲色素線条が現れた場合は、全身疾患や薬剤の内服が原因です。
 手の爪に現れる爪甲色素線条は、親指に生じることが多く、次いで人差し指や薬指です。足の爪に現れる爪甲色素線条は、親指(第一趾)がほとんどです。
 新生児や幼児に生じた色素線条は、一時的に広がったりすることもありますが、いずれ思春期ころまでに自然消失することが多いものです。
 成人になってから生じた爪甲色素線条で、直線状の色素沈着が淡く、輪郭がぼんやりしていれば、ほくろや、あざなどの色素性母斑が原因の可能性が高く、そのまま放置してかまいません。
 しかし、爪甲色素線条の横幅が6センチ以上で、黒褐色の色調に不規則な濃淡がみられるか真黒色、20歳以後、特に中高齢者になって発生したもの、色素線条が爪の表面を越えて皮膚の部分にまで及んでいる状態であれば、爪部悪性黒色腫(爪メラノーマ)かもしれません。
 がん化したメラニン細胞が増えるにつれて、色素線条が増えるだけでなく太くなっていき、長さも伸びていきます。やがて、爪全体が黒くなります。進行すると、爪が変形したり破壊されてしまいます。
 爪部悪性黒色腫は、がんの中でも繁殖しやすいタイプです。そのため、爪から全身に転移していくというデメリットもあります。短期間で転移してしまうため、爪の症状の変化に気付いたら、すぐに皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。
[手(チョキ)]爪甲色素線条の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、問診、視診、触診を行い、続いてダーモスコピー検査を行います。
 ダーモスコピー検査は、病変部に超音波検査用のジェルを塗布してから、ダーモスコープという特殊な拡大鏡を皮膚面に当て、皮膚に分布するメラニンや毛細血管の状態を調べ、デジタルカメラで記録するだけの簡単なもので、痛みは全くありません。
 すべての指の爪に爪甲色素線条がみられた時は、原因となり得る疾患があるか否かを検査します。また、爪部悪性黒色腫(爪メラノーマ)が疑われる場合に生検を行います。通常は色の濃い増殖部分全体を切除し、顕微鏡で病理学的に調べます。もし爪部悪性黒色腫だった場合、がんが完全に切除されたかどうかを確認します。
 一方、爪部悪性黒色腫の周囲組織を切り取ると、がん細胞が刺激されて転移を起こすことが考えられるため、生検をせずに視診と触診などで診断する医師もいます。
 確定診断に至ったら、ほかの部位への転移の有無を調べるためのCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、PET(陽電子放射断層撮影)検査、X線(レントゲン)検査、超音波(エコー)検査などの画像検査や、心機能、肺機能、腎機能などを調べる検査を行います。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は原則的に、爪部悪性黒色腫の部位を外科手術によって円形に切除します。手術が成功するかどうかは、皮膚のどの程度の深さにまで爪部悪性黒色腫が侵入しているかによって決まります。
 初期段階で最も浅い爪部悪性黒色腫であれば、ほぼ100パーセントは手術で治りますので、周囲の皮膚を腫瘍の縁から最低でも約1センチメートルは一緒に切除します。
 皮膚の中に約0・8ミリメートル以上侵入している爪部悪性黒色腫の場合、リンパ管と血管を通じて転移する可能性が非常に高くなります。転移した爪部悪性黒色腫は致死的なものになることがしばしばあり、抗がん剤による化学療法を行いますが、治療の効果はあまりなく余命が9カ月を切る場合もあります。
 とはいえ、このがんの進行の仕方には幅がありますし、発症者の体の免疫防御能によっても差がありますので、化学療法、インターフェロンによる免疫療法、および放射線療法などいろいろな手段を組み合わせた集学的治療を行い、たとえ爪部悪性黒色腫が転移しても健康を保って何年も生存する人もいます。
 一度、爪部悪性黒色腫を発症した人は、再発するリスクが高くなります。そのため、発症者は毎年皮膚科、皮膚泌尿器科で検査を受けるべきです。
 良性の腫瘍による爪甲色素線条の場合は、放置して経過を観察します。皮膚疾患、内分泌異常、代謝異常、全身疾患、細菌や真菌の感染症などによる爪甲色素線条の場合は、原因を除去すれば数年後には色素沈着が消失します。薬剤の内服による爪甲色素線条の場合は、内服を中止すると色素沈着は消失します。




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