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■用語 超男性 [用語(ち)]

[喫茶店]男性だけにみられる性染色体異常で、背が高く、言語発達の遅れがみられたりする疾患を有する人
 超男性とは、染色体異常のうちの性染色体異常の疾患で、男性にだけ起こる先天的なスーパー男性症候群(XYY症候群)を有する人。スーパー男性、Y過剰男性とも呼ばれます。
 染色体は、体を作るすべての細胞の内部にあり、2つに分かれる細胞分裂の一定の時期のみ、色素で染めると棒状の形で確認できます。染色体には、22対の常染色体と2対の性染色体とがあります。父親から22本の常染色体と1本の性染色体、母親から同じく22本の常染色体と1本の性染色体を受け継いで、全部で46対の染色体を持つことになります。
 性染色体にはXとYという2つの種類があり、Xを2本持つ場合は女性に、XとYを1本ずつ持つ場合は男性になります。染色体は女性だと46XX、男性だと46XYということになります。
 先天的なスーパー男性症候群を有する超男性の場合は、性染色体がXYYと1本多く、47XYYということになります。性染色体が3本ある異常で、性染色体トリソミーにも該当します。トリソミーとは、3本という意味です。
 47XYYの完全型のほか、性染色体異常の細胞と通常の細胞が混在する47XYY/46XYのモザイク型もありますが、大半が完全型です。
 超男性は、約1000人に1人の割合で生まれるといわれます。
 正確な原因は不明ですが、減数分裂の際に2対の染色体が分裂し損なってYが1つ多い卵子もしくは精子を作り出す、もしくは減数分裂後の受精段階で、胎児の前身の胎芽の細胞分裂でYが1つ多くなることで起こるとされます。
 超男性は身長が高くなるのが特徴といわれ、出生時の身長は平均的なので、思春期に急速に伸びると考えられます。これは、Y染色体にあって身長を高くするSHOX (身長伸長蛋白〔たんぱく〕質)遺伝子が二重に働き、身長伸長蛋白質が多く作られるためと考えられます。
 知能指数がほかの家族よりやや低い傾向があり、軽い言語発達の遅れがみられたりします。軽度の行動障害、多動性、注意欠陥障害、および学習障害を来すこともあります。
 男性ホルモンの一種であるテストステロンのレベルは、先天的にも後天的にも一般の男性と同じ値で、精子の造成機能にやや難があり精子の数が少ないものの、子供を作ることは可能です。
 超男性のほとんどは、原則として知能と生殖能力は正常で、一般の人と変わりはありません。障害が全くないこともあり、本人も家族も気が付かないまま通常に学校を卒業し、通常に就職し、通常に結婚して、一生を通じて全く気が付かないこともあります。性染色体は1本多いトリソミーになっても不活性化し、症状が軽くなるためです。
 一説によると、スーパー男性症候群を有する超男性は男性としての特徴が極端に出て、背が高くて、攻撃的、または活動的な性格になりやすく、この性格が良い方向に向かえば成功者になる確率が高くなる一方、悪い方に向かえば犯罪に結び付くこともあるとされています。この説に対しては、現在では否定的な意見が多いようです。
 1960年代のアメリカでは、1966年にシカゴの看護婦寮に押し入り8人の女性を殺害した事件など、いくつかの殺人事件の犯人が47XYYの染色体構成を持つ男性だったという報告があり、注目を集めました。
 このため、要注意の染色体異常であるというイメージが広まり、47XYY型の男性に対する偏見、差別が生まれました。しかし、現在では、検査ミスであったと判明し、スーパー男性症候群を有する超男性と犯罪との関連性は否定されています。
 超男性のほとんどは、普通に日常生活を送っていますので、治療の必要はありません。




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■用語 中枢性尿崩症 [用語(ち)]

[喫茶店]抗利尿ホルモンの分泌低下により、体内の水分が過剰に尿として排出される疾患
 中枢性尿崩症とは、体内の水分が過剰に尿として排出される疾患。バソプレシン感受性尿崩症とも呼ばれます。
 抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌量の低下で、体内への水分の再吸収が低下するために、多尿を呈します。抗利尿ホルモンは大脳の下部に位置する視床下部で合成され、神経連絡路を通って脳下垂体後葉に運ばれて貯蔵され、血液中に放出されます。この抗利尿ホルモンの分泌低下による尿崩症が、中枢性尿崩症です。
 一方、抗利尿ホルモンの腎尿細管における作用障害に由来し、抗利尿ホルモンに腎臓が反応しなくなる尿崩症は、腎性(じんせい)尿崩症です。
 中枢性尿崩症のうち、抗利尿ホルモンを産生する視床下部や脳下垂体後葉の機能が腫瘍(しゅよう)や炎症、外傷などで障害されたものが続発性尿崩症、このような原因のはっきりしないものを特発性尿崩症といいます。また、遺伝子異常が報告されている家族性尿崩症もあります。
 続発性尿崩症の病因では、頭蓋咽頭(ずがいいんとう)腫などの腫瘍が多くみられます。下垂体後葉などに非特異性慢性炎症がみられる下垂体後葉炎が病因となっているものもあります。
 症状はいずれの年代でも、徐々にあるいは突然、発症します。発症すると、脱水状態になるため、のどが渇いて過剰に飲水するといった症状が現れ、多尿を呈します。1日に排出される尿量は3~15リットルと、通常の2倍~10倍にもなります。ひどい時には、1日30リットル〜40リットルになることもあります。
 薄い尿の大量排出は、特に夜間に著しくなります。水をたくさん飲むために、食べ物があまり取れず、体重は減少します。
 続発性尿崩症では、口渇、多飲、多尿に加えて、原因となる疾患の症状を示します。腫瘍が原因の場合、腫瘍が拡大すれば頭痛、視野障害、視床下部・脳下垂体前葉機能低下症状などを示します。
 脳下垂体前葉機能低下の程度が強く、高度の副腎皮質刺激ホルモンの分泌不全を伴うと、尿量は減少し、尿崩症の症状ははっきりしなくなります。この場合、副腎皮質ホルモンを補充すると多尿がはっきりしてきます。
 一般に、口渇中枢は正常であるため、多尿に見合った飲水をしていれば脱水状態になることはありませんが、続発性尿崩症で口渇中枢も障害されている場合は重症の脱水を来すことがあります。
 1日3リットル以上の著しい多尿や口渇、多飲などの症状がみられた際には、糖尿病や腎疾患、心因性多飲症とともに尿崩症である可能性があります。内科か内分泌科、頭部外傷や脳手術の既往歴がある人は脳外科か脳神経外科の専門医と相談して下さい。
[喫茶店]中枢性尿崩症の検査と診断と治療
 内科、内分泌科、脳外科、脳神経外科の医師による診断では、まず多飲、多尿を示す糖尿病、腎疾患を除外する必要があります。これらが除外された後、心因性多飲症などとの鑑別が必要になります。
 心因性多飲症は、精神的原因で強迫的に多飲してしまう疾患です。血漿(けっしょう)浸透圧と血中の抗利尿ホルモンを測定して、鑑別診断に用います。鑑別が難しい場合、水制限試験を行います。水分摂取の制限を行っても、中枢性尿崩症では尿浸透圧が血漿浸透圧を超えることはありませんが、心因性多飲症では尿浸透圧が血漿浸透圧を超えて濃縮がみられます。
 中枢性尿崩症では、下垂体後葉に抗利尿ホルモンの枯渇を反映する変化がみられます。また、続発性尿崩症の原因となる脳腫瘍などの疾患の検索にも有用です。
 中枢性尿崩症と腎性尿崩症の区別は、利尿ホルモンの合成類似体であるバソプレシン剤の投与によって、尿が濃縮されるかで調べます。尿が濃縮されるのが中枢性であり、反応しないのが腎性です。
 内科、内分泌科、脳外科、脳神経外科の医師による治療では、中枢性尿崩症には補充療法として、バソプレシン剤や、デスモプレシン剤を点鼻液、あるいはスプレーとして用います。1日2〜3回使用すると尿が濃縮され、尿量は普通並みに減少します。そのほか、注射製剤も使用できます。
 意識がなくなったり、胃腸障害で水が飲めなくなった時には、速やかに点滴静脈注射をして水分を補給します。腫瘍が原因で続発性尿崩症が起こった時には、手術をして腫瘍を取り除きます。




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■用語 遅発閉経 [用語(ち)]



[バー]一般的な停止年齢より遅れて、55歳以降になって閉経する状態
 遅発(ちぱつ)閉経とは、女性が55歳以降になって閉経する状態。晩発(ばんぱつ)閉経とも呼ばれます。
 閉経の年齢は個人によって異なりますが、一般的には45~56歳くらい、平均では2012年度で52・2歳、遅い人でも60歳前には閉経に至るといわれています。かつては平均閉経年齢は50歳といわれていましたが、平均寿命や健康寿命が延びているように、平均閉経年齢も延長しています。
 そもそも閉経とは、女性が性成熟期の終わりに達し、更年期になって卵巣の活動性が次第に消失し、卵巣における卵胞の消失によって月経が永久に停止することをいい、その時期を閉経期といいます。
 女性によっては、一度月経が停止したのに半年後に再開するケースもあるため、無月経になってから1年以上経過したことを目安に閉経と見なされます。
 遅発閉経で、55歳以降になって月経が続いているということは、ほかの女性よりも長く女性ホルモンを分泌できる恩恵を受けられるということで、骨粗鬆(こつそしょう)症などになる可能性は低く、一見QOL(生活の質)はよいように思われます。
 一方、生殖機能にかかわる女性ホルモンには、乳がんの増殖を促す作用があり、分泌期間が長いと発症しやすくなります。子宮体がんや卵巣がんを発症するリスクも、高まるといわれています。
 月経の経血量が多いタイプの女性が、閉経が遅い傾向にあります。特に、子宮の筋肉にできる良性腫瘍(しゅよう)である子宮筋腫(きんしゅ)が原因で経血量が多い女性は、卵巣から出る女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が多い傾向があり、閉経時期が50歳代半ば以降になることもあります。
 子宮筋腫があると、それまで月経トラブルがなかった女性でも、更年期に経血量が増えたり、突然大量出血することもあります。
 子宮筋腫などで貧血を伴う場合は、婦人科、産婦人科を受診することが勧められます。単なる遅発閉経の場合は、特に治療の必要はないものの、乳がん、子宮体がん、卵巣がんの危険因子として挙げられているので、少なくとも年1回程度の定期検診は欠かさず受けることが勧められます。
[バー]遅発閉経の検査と診断と治療
 婦人科、産婦人科の医師による診断では、子宮筋腫が疑われる場合、触診に続いて、超音波(エコー)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行って、子宮内部の様子を外から観察し、確定します。
 婦人科、産婦人科の医師による治療では、単なる遅発閉経の場合、経過を観察します。
 子宮筋腫によって貧血がある場合、薬物療法と摘出手術という2つの方法がありますが、根本的な治療は手術になります。
 薬物療法は、ホルモン剤によって、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌を一時的に停止させる方法です。Gn-RH製剤と呼ばれる薬が使われ、月1回注射を打つ方法、1日に2~3回、鼻に噴霧する方法などがあります。これによって、子宮筋腫の重さを半分から3分の2くらいまで縮小させることができます。
 しかしながら、この方法では人工的に閉経したのと同じような状態を作るため、更年期障害が現れ、骨粗鬆症のリスクも高めることになります。Gn-RH製剤を使うのは、半年が限度とされています。
 その後、半年治療を中断すれば、骨も元に戻り、骨粗鬆症のリスクも低下しますが、子宮筋腫もまた元の大きさ近くに戻りますので、根本的な治療にはなりません。最近は、閉経が間近な女性などに対して、補助的な意味合いで使われることも多いようです。
 また、子宮に栄養を供給する子宮動脈を人工的に詰まらせ、子宮筋腫を栄養不足にすることで小さくする、子宮動脈塞栓(そくせん)術という治療法があります。X線でモニターしながら、大腿(だいたい)部の動脈から子宮動脈まで細い管を挿入し、詰め物で血管に栓をします。まだ一般的な治療ではなく、一部の施設で試みられている段階です。
 手術で子宮筋腫を摘出する場合は、子宮筋腫のみを摘出して子宮を残す方法と、子宮ごと子宮筋腫を摘出する方法とがあります。どの方法を選ぶかは、筋腫の状態、症状の程度などによって決定されます。
 手術の方法も、おなかにメスを入れる開腹手術だけではなく、腟(ちつ)から子宮を取る手術や、腹腔(ふくくう)鏡など内視鏡によって開腹せずに行う手術もあります。


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■用語 遅発月経 [用語(ち)]



[バー]一般的な年齢より遅く、15歳以上18歳未満で初めての月経を迎える状態
 遅発(ちぱつ)月経とは、一般的な開始年齢より遅れて、15歳以上18歳未満で初めての月経である初潮を迎える状態。晩発(ばんぱつ)月経とも呼ばれます。
 月経は、ホルモン分泌の調整をする脳の視床下部と脳下垂体が卵巣を刺激し、それによって卵巣から分泌される女性ホルモンが子宮に働き掛けて起こる出血です。
 女児が初めての月経である初潮を迎える時期にはそれぞれ個人差がありますが、一般的には、12歳が平均的な年齢とされ、14歳までにはほとんどの女児が月経を経験しています。
 しかし、遅発月経の場合は、その平均的な年齢よりも遅れて月経が始まることになります。そして、18歳になっても月経が始まらない場合は、原発性無月経と呼ばれます。
 15歳以上になっても初潮が起きないという場合は、乳房の発育に加えて恥毛や腋毛(えきもう)の発毛など、ほかの二次性徴も遅いのが普通です。12〜13歳になっても乳房の発育が始まらない、14歳になっても恥毛が発毛しない、そして遅発月経であるという場合は、遅発思春期(思春期遅発症)と呼ばれます。
 遅発月経の原因には、さまざまなものが考えられます。体質が関係しているために、明白な原因がなく、ただ初潮が遅れているだけというような場合は、特に大きな問題はないといえるでしょう。
 治療が必要になる原因には、視床下部や脳下垂体など中枢性の異常があり、刺激が弱いために卵巣からの女性ホルモンの分泌が年齢に応じて増加しないために、月経が起こりません。
 また、生まれ付きの遺伝的なものとして、形態異常や染色体異常があると、月経が起こりません。
 このうち形態異常には、膣(ちつ)閉鎖または処女膜閉鎖があります。膣や膣の入り口が閉鎖しているために、実際には月経があるのに、外へ流れ出てこないために、遅発月経と思われているものです。この場合は、脳下垂体や卵巣機能は正常のことが多く、女性ホルモン分泌は正常で二次性徴も認められて乳房などは発達しており、周期的な下腹部痛が繰り返されるのが特徴です。
 そのほか、卵巣や子宮が先天的になかったり、発育が不完全の場合には、月経が起こりません。
 染色体異常としては、ターナー症候群、精巣性女性化症候群、副腎(ふくじん)性器症候群などがあり、甲状腺(せん)機能低下症など疾患が原因のこともあります。
 卵巣形成障害や染色体異常が原因の場合は、乳房の発育、恥毛や腋毛の発毛など、思春期に起こる二次性徴の出現がみられないことが特徴的です。
 そのほか、無理なダイエットによるホルモンバランスの乱れ、激しいスポーツによるホルモンバランスの乱れが原因のこともあります。
 遅発月経の場合は、結局18歳までに初潮を迎えることがなく、18歳を超えても月経の経験がない原発性無月経へと移行してしまうということが、少なくありません。そのために、遅発月経になる原因は、必然的に原発性無月経の原因と同じになります。
 いずれにしても、15歳過ぎても初潮がない場合は、原発性無月経になる可能性がありますから、早めに婦人科、産婦人科、思春期外来を受診することが勧められます。
[バー]遅発月経の検査と診断と治療
 婦人科、産婦人科、思春期外来の医師による診断では、まずは問診によって、無月経や遺伝的疾患の家族歴、内科的疾患の有無、薬剤服用の有無を確認します。また、基礎体温を測り、排卵の有無も確認します。
 問診、視診、内診などで、子宮や腟の存在の有無、二次性徴の発現の有無を調べた後、血液検査、超音波(エコー)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、腹腔(ふくくう)鏡検査、場合により染色体検査や慢性疾患の検査などを行い、遅発月経の原因を探ります。
 婦人科、産婦人科、思春期外来の医師による治療では、原因が体質による単なる遅れだという診断がなされた場合、経過観察のみで特に治療は行いません。
 染色体の異常や卵巣の異常が原因の場合は、性ホルモン補充療法により二次性徴の促進と維持を図ります。染色体に異常がない場合は、排卵誘発剤の投与などを行います。
 また、膣や処女膜などの閉鎖が原因の場合は、手術療法で閉鎖部の切開を行います。内科的疾患が原因の場合は、その改善を図ります。ダイエットなどが原因の場合は、食生活の見直しやカウンセリングなどを行います。


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