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■用語 バッセン・コルンツヴァイク症候群 [用語(は)]

[ダイヤ]深刻な結果を招くほど脂質濃度が低下する遺伝性疾患
 バッセン・コルンツヴァイク症候群とは、血液に含まれる脂質濃度が低下して著しい低脂血症を示す、まれな常染色体劣性遺伝疾患。アメリカの医師であるフランク・バッセンとエイブラハム・コルンツヴァイクが1950年に、初めて報告しました。
 無βリポ蛋白(たんぱく)血症、MTP(ミクロソームトリグリセライド〔中性脂肪〕転送蛋白)欠損症とも呼ばれます。
 アポB含有リポ蛋白であるカイロミクロン、VLDL(超低比重リポ蛋白)、LDL(低比重リポ蛋白)が血液中に欠損しており、乳児期から著しい低コレステロール血症、および低トリグリセライド(中性脂肪)血症を来します。
 原因は、MTP(ミクロソームトリグリセライド〔中性脂肪〕転送蛋白)遺伝子の変異です。
 MTPは、肝臓と小腸で合成されたアポ B 蛋白にトリグリセライド(中性脂肪)が転送され、VLDL(超低比重リポ蛋白)とカイロミクロン粒子が形成される過程に不可欠。肝臓での VLDL(超低比重リポ蛋白)の産生により末梢(まっしょう)組織に必要なコレステロールの輸送がなされ、小腸でのカイロミクロンの形成により脂肪が吸収されます。MTPの欠損により、トリグリセライド(中性脂肪)と結合しないアポ B蛋白は速やかに分解されて、血液中に分泌されません。
 本来なら、トリグリセライド(中性脂肪)と結合したアポB蛋白は、LDL(低比重リポ蛋白)と略されるβリポ蛋白、VLDL(超低比重リポ蛋白)と略されるプレβリポ蛋白として血液中に分泌され、脂溶性の物質を吸収したり、運搬したりします。従って、血液中にβリポ蛋白、プレβリポ蛋白がないと、脂肪やビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンなど多くの栄養素が臓器や組織に運ばれず、さまざまな症状が起こってきます。
 バッセン・コルンツヴァイク症候群の症状はまず乳児期に現れ、発育不全がみられます。脂肪吸収の障害により、授乳開始とともに便に過度の脂肪が含まれる脂肪便という状態になり、便は脂っぽく、悪臭があり、水に浮かびやすくなります。慢性下痢、嘔吐(おうと)も生じます。
 また、ビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンの吸収障害により、思春期までに網膜色素変性による夜盲、視野狭窄(きょうさく)、視力低下などの目の症状が生じ、失明する可能性もあります。中枢神経系の損傷による運動失調症や精神遅滞、末梢神経系の損傷による知覚低下や腱(けん)反射消失などが起きる可能性もあります。
 未治療のケースでは、30歳前後までに中枢神経系の損傷により、歩行など通常の日常生活に必要な基本的な活動が著しく障害されることもあります。
[ダイヤ]バッセン・コルンツヴァイク症候群の検査と診断と治療
 内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液検査で血中のコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)の値を測定します。朝食前の空腹時に採血します。
 血中の総コレステロールの値が50mg/dl未満、血中のトリグリセライド(中性脂肪)の値が15mg/dl 未満で、特徴的な脂肪便、神経症状、目の症状が認められる場合に、バッセン・コルンツヴァイク症候群と確定します。
 鑑別する疾患には、家族性低βリポ蛋白血症、カイロミクロン停滞病(アンダーソン病)、甲状腺(せん)機能高進症があります。
 内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、脂溶性ビタミン、特にビタミンEのサプリメントを使用し、多量に補充します。
 バッセン・コルンツヴァイク症候群は遺伝子異常を背景とし、代謝異常が生涯持続するために治癒しませんが、幼児には1日1000〜2000mg、成人には5000〜10000mgの脂溶性ビタミンを長期にわたって大量に補充することによって、中枢神経系の損傷の発生と進行を遅らせることができます。
 消化器症状に対しては、脂肪の摂取、特に長鎖脂肪酸の摂取を制限します。栄養障害に対しては、カイロミクロンを経ずに吸収される中鎖脂肪酸を補充することもあります。

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■用語 ばち指 [用語(は)]

[手(グー)]爪が肥大化、変形して指先を丸く包むような状態
 ばち指とは、爪(つめ)の成長が著しくて湾曲度を増し、手指や足指の指先を丸く包むような状態。
 ばち状指とも呼ぶほか、古代ギリシアの医学者であるヒポクラテスが発見したことにちなんでヒポクラテス爪、あるいは時計ガラス爪、時計皿爪とも呼びます。
 見た目は、爪の甲が時計の風防ガラスのようになります。さらに変化が強くなると、指の先端も肥大してきて、爪の付け根が隆起してへこみがなくなった状態になり、見た目は、太鼓を打ち鳴らす棒であるばちのような感じになり、爪が手のひら側へ湾曲します。
 こういう状態は、爪の甲が乗っている皮膚である爪床のすぐ下にある軟らかい組織が、指の先端で隆起した場合にみられます。このような隆起が起きる原因は不明ですが、血管の成長を刺激するムコ多糖類が沈着するために、軟部組織が肥厚して引き起こされる可能性があります。
 このばち指の症状自体に痛みなどはありませんが、多くは重大な疾患の症状として現れます。症状の進行は、まず親指、人差し指から始まり、やがてほかの指でも起こるようになります。
 ばち指が起こる代表的疾患としては、肺の慢性疾患である肺がん、肺膿瘍(のうよう)、気管支拡張症、肺気腫(きしゅ)、肺結核などのほか、チアノーゼを伴う先天性心臓疾患および亜急性心内膜炎、甲状腺(せん)機能高進症、肝硬変、潰瘍(かいよう)性大腸炎などが挙げられ、それらの一症状として現れます。
 ほかに、内臓の疾患と関係のない特発性のもの、厚皮骨膜症の一症状として現れる遺伝性のものもあります。片側だけの爪が肥大化し、変形した場合は、その側の大きな血管に異常があることがあります。
 思い当たる疾患がないのに症状が出た場合は、どこか悪いところがあるというサインかもしれないので、呼吸器科、内科などで診てもらうことが勧められます。
[手(チョキ)]ばち指の検査と診断と治療
 呼吸器科、内科などの医師による診断では、指の先端の第1関節(DIP関節)の高さで比べる指骨深さ比率を用います。
 例えば、手の親指の爪を横から見て、爪と指の第1関節の角度が約160度くらいなら正常な指ですが、爪の付け根にへこみがなくなり、爪と指の角度が大きくなって180度以上、つまり爪のある指頭の部分が下向きに曲がった状態なら、ばち指と判断します。
 呼吸器科、内科などの医師による治療では、原因となっている疾患を治すことを最優先します。ばち指というのは可逆性で、慢性に経過する呼吸器疾患などの原因疾患が治れば、正常な指に戻ることもあります。




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■用語 ハングネイル [用語(は)]

[手(グー)]爪の周囲の皮膚が細かく裂けたり、めくれたりする状態
 ハングネイルとは、爪(つめ)の周囲の皮膚部分が指先の部分から細かく裂けたり、めくれたりする状態。ささくれ、逆むけとも呼ばれます。
 ハングネイルができる原因の一つは、皮膚の水分が不足する乾燥。洗い物や掃除、洗濯などの家事が、指先の乾燥を招き、ハングネイルを引き起こします。
 特に、空気が乾燥した冬の寒い日にお湯を使って洗い物をしている人は、温度差により指先が一気に乾燥しやすく、ハングネイルになりやすいといえます。さらに、食器を洗う時に使う洗剤には強い殺菌作用があるため、指先の皮脂が出す油分も一緒に洗い流してしまうため、乾燥してしまう原因になります。
 最近では、パソコン作業でのデスクワークが原因で、ハングネイルを起こす人が増えています。パソコン作業を長時間続けることにより、指先に負担がかかってしまい、乾燥することがあります。同じ姿勢のままタイピングをする時間が長いため、指先まで保湿成分がゆき渡らなくなっている可能性があります。
 また、血行不良もハングネイルの原因。冷え性の女性の特に指先が冷たいのは、血流が悪い証拠。血流が悪いと栄養素や酸素が十分にゆき届かないことが原因で、乾燥しやすくなり、ハングネイルもできやすくなります。
 さらに、栄養バランスが悪いと、ハングネイルができやすくなります。爪や爪の周囲の皮膚は蛋白(たんぱく)質でできていますから、蛋白質やビタミンC、ビタミンA、カルシウムなどの栄養素が不足すると、ハングネイルができやすくなります。
 ハングネイルは、無理に引きはがしてはいけません。ハングネイルを無理に引きはがすと、真皮が露出したり出血したりして、そこからばい菌が入ってしまうことがあり、ひどくなると化膿(かのう)してしまいます。
 カンジダという真菌の一種に感染するとカンジダ性爪囲爪炎(そういそうえん)になり、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌などの化膿菌に感染すると化膿性爪囲炎(ひょうそ)になります。
[手(チョキ)]ハングネイルの対処方法
 ハングネイルをそのままにして置くと、何かに引っ掛かったりして痛いなど、どうしても気になる時は、眉毛(まつげ)をカットするような先の細いハサミで処理するのがよいでしょう。爪の根元にある甘皮の処理をするキューティクルニッパーなどがあると便利で、できるだけハングネイルの根元からカットするとよいでしょう。
 カットした跡が傷になっていたり、痛みを感じるようであれば、絆創膏(ばんそうこう)などで保護したほうがいいでしょう。
 ハングネイルができないように予防するには、手を乾燥させないことが大切で、そのためにはハンドクリームを塗るのが効果的です。洗い物や掃除、洗濯をして水やお湯を使った後や、パソコン作業の合間などに、こまめにハンドクリームを塗るのがよいでしょう。
 指先のマッサージで血行をよくすることも、ハングネイルの予防になります。小指から1本1本、マッサージをしていきます。その際には、爪の横をもみほぐすようにしてマッサージをしましょう。
 また、指の根元から指先までしっかりマッサージすると、より血行がよくなります。マッサージをする際には、摩擦を避けるためにもクリームやオイルを使いましょう。
 マニキュアや除光液などは指を乾燥させる原因になりますので、マニキュアを塗る前や除光液を使った際には、オイルで爪と指をマッサージするようにしましょう。爪を強くするためにも、オイルを塗ってのマッサージは必要です。また、除光液に入っているアセトンという成分は、水分や油分を取り去ってしまうもの。アセトンが入っていない除光液を選ぶとよいでしょう。
 乾燥がひどかったりし、ハングネイルがひどい時には、まずは化粧水で水分補給をしましょう。顔のケアを同じで、まずは化粧水で水分をしっかりと浸透させて、保湿クリームを塗ります。
 時には、ネイルサロンで甘皮のケアなど、爪のケアをしてもらうと、指先もきれいになります。ネイルサロンにいったからといって、マニキュアを塗らなくてもいいのです。
 甘皮は必要以上にあると、水分を吸収してしまうこともあります。余分な甘皮を処理することで、爪や指先の乾燥対策にもなるのです。ハンドケアとしてハンドパックなどをしてもらうと、手がしっとりとして乾燥対策にもなります。
 栄養バランスの取れた食事をしていないために、ハングネイルができることもありますので、蛋白質やビタミン、ミネラルなどの栄養素をしっかりと食事から取り入れるようにしましょう。
 睡眠不足や酒の飲みすぎ、ストレスなどをためない生活をすることも、ハングネイルを作らないようにするためには必要です。また、血流が悪くなっている可能性が高いため、長時間パソコン作業をする際は適度に体を動かすなどして、体に血液を巡らせると効果的です。




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■用語 バルトリン腺炎 [用語(は)]



[リボン]膣の入り口付近に位置する左右一対のバルトリン腺に、細菌が侵入して炎症が起こる疾患
 バルトリン腺炎(せんえん)とは、膣(ちつ)の入り口付近に位置する左右一対の分泌腺に、細菌が侵入し、その細菌に感染することが原因で炎症が起こる疾患。
 バルトリン腺は、大前庭(だいぜんてい)腺とも呼ばれ、女性が性的興奮を起こした時に、性行為を滑らかにする薄い乳白色の粘液を分泌する働きがあります。男性のカウパー腺、あるいはクーパー腺、尿道球腺とも呼ばれる分泌線に相当します。
 バルトリン腺の存在について最初に記述されたのは17世紀で、デンマークの解剖学者キャスパー・バルトリン(1655年〜1738年)によります。
 その粘液の排出管であるバルトリン腺は、長さ約2センチのスポイトのような袋で、腟の入り口の横、小陰唇の下端にある腟前庭に開口しています。
 エンドウ豆ほどの大きさのバルトリン腺の開口部から、ブドウ球菌、淋菌(りんきん)、クラミジア・トラコマーティス、あるいは腸内細菌のバクテロイデスや大腸菌などが侵入し、それらの細菌に感染すると、急性期には排出管に炎症が起こり、開口部が発赤して、はれ、痛み、違和感が現れます。
 時には、小陰唇の外側、大陰唇にまで、発赤、はれ、痛みが現れます。
 バルトリン腺炎による炎症が治まった後に、開口部の閉鎖が起こると、本来は外に分泌される粘液が排出管内部にたまり、拡大して嚢胞(のうほう)を形成します。嚢胞は液体を満たした袋を意味し、これをバルトリン腺嚢胞といいます。
 多くはバルトリン腺の片側だけに形成され、小さい際には気が付かないこともあります。次第に大きくなって、嚢胞がクルミ大ないし鶏卵大などさまざまな大きさになると、膣の入り口付近の時計に例えると5時または7時の位置に、紙でふいた際に丸いものが手に触れるようになってきます。
 歩行時や性交時に軽い痛みが生じることもありますが、細菌感染を伴っていなければ無痛性のことも多く、また自然に開口部が再び開いて、排出管内部にたまった粘液が流れ出して、嚢胞が縮小してしまうこともあります。
 一方、バルトリン腺嚢胞内に細菌感染が起きると、うみが排出管内部にたまって、膿瘍(のうよう)を形成します。膿瘍はうみの塊を意味し、バルトリン腺膿瘍といいます。
 発赤、はれ、痛みがはっきりしてきて、膿瘍全体に押すと痛む圧痛を認めます。
 さらにひどくなると、大陰唇も膨張して熱感を伴う腫瘤(しゅりゅう)を形成し、歩行時や性交時に痛みが生じたり、何もしていないのに感じる自発痛が生じたりします。ひどい痛みによって、歩行困難に陥ることもあります。
 バルトリン腺炎が悪化して、バルトリン腺膿瘍になる前に症状に気付き、婦人科、産婦人科を受診することが勧められます。
[リボン]バルトリン腺炎の検査と診断と治療
 婦人科、産婦人科の医師による診断では、嚢胞のある位置や、圧痛のある膿瘍の位置で判断し、排出管内部にたまっている粘液やうみを培養して原因となっている菌を特定します。
 婦人科、産婦人科の医師による治療では、急性期では、抗生物質(抗生剤、抗菌剤)の全身投与、局所の湿布を行います。バルトリン腺炎の段階では、多くが抗生物質の投与で治ります。
 慢性化して嚢胞を形成した場合は、排出口をつくる手術を行うこともあります。膿瘍を形成し、痛みが強い場合は、切開してうみを出す手術を行います。再発を繰り返す場合や、嚢胞や膿瘍が大きい場合は、嚢胞や膿瘍を摘出する手術を行います。
 予防法は、膣や外陰部の清潔を保ち、バルトリン腺内への細菌の侵入を防ぐ以外にありません。特に、大小便の排出の時や性交渉の時に清潔を心掛けることです。


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