■用語 ミルメシア [用語(み)]
子供の足の裏や手のひらに生じるウイルス性いぼで、魚の目に類似
ミルメシアとは、ヒト乳頭腫(にゅうとうしゅ)ウイルス(ヒトパピローマウイルス)1型が皮膚に感染して、子供の足の裏や手のひらにいぼができる疾患。
ウイルス性いぼ、すなわちウイルス性疣贅(ゆうぜい)の一種で、足の裏や手の平に多くは単発性に生じ、多発しても融合することはありません。
足の裏にできるミルメシアは学童期の子供に多く発症し、素足になる学校のプールサイドや脱衣所の床などで接触感染するとみられます。皮膚の弱い子供やアトピーを持つ子供に、比較的多く感染すると見なされます。
皮膚面からドーム状に非常に硬く隆起したいぼで、全体は赤色調ですが、中央部がややへこんで白っぽい色で、形が蟻塚(ありづか)に似ています。
足の裏にミルメシアができた場合は、体重が掛かって、いぼがめり込んでしまうため、歩く時に不快を感じたり、小石を踏んでいるように痛むことがあります。
しばしば魚(うお)の目(鶏眼〔けいがん〕)と間違われるものの、魚の目は靴などによる長期間の摩擦や圧迫が原因で、ミルメシアはウイルス感染症という違いがあります。
ちなみに、子供には魚の目は、まずできません。魚の目は、加重による皮膚表面の角質層の部分的な角化であり、一種の老化現象として大人にできるものです。
ミルメシアを放置しておくと、ほかの部位に移ります。自分で削ったりいじったり、市販の薬で取ろうとしたりすると、いぼが周囲やほかの部位により広がることになります。
素人判断は禁物で、まず皮膚科、皮膚泌尿器科の医師を受診し、適切な治療を受けるべきです。
ミルメシアの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、皮膚症状から判断します。確実に診断する方法は、いぼを切除して組織学的に診断するか、ウイルス抗原または核酸を検出します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、いぼを凍結して取る凍結療法や、電気焼灼(しょうしゃく)が一般的に行われます。
凍結療法は、液体窒素を綿棒に含ませて、いぼの凍結、融解を繰り返す方法です。いぼの部分を超低温で瞬間的に凍結させ、部分的にやけどの状態を起こすことで、皮膚内部のいぼの芯(しん)を表面に押し上げ、徐々にいぼを縮小させます。
処置そのものにかなりの痛みを伴うほか、場合によっては水膨れが発生し、処置後も患部に激痛が伴うこともあります。 また、場合によっては水膨れ内部に出血が発生し、黒く変色することもありますが、この状態になると激痛こそあるものの、治りは早くなります。
通常、凍結療法は4~7日が効果のピークであるために、1~2週間に1回の通院で治療しなければならず、効果に個人差こそありますが、およそ数週から2カ月以上と長い日数が必要とされます。治癒率の低いことも欠点で、特に足底ではなかなか治りません。
なお、家庭用のいぼ治療薬として知られるイボコロリは、角質を溶かすだけなのでかえって広げてしまうことがあります。凍結療法と組み合わせると、よい結果が得られます。
電気焼灼は、レーザーメスや電気メスでいぼを焼く方法です。液体窒素による凍結療法と違って一度で治るものの、麻酔が必須で、傷跡を残すことがあります。凍結療法などと異なり、保険適応外でもあります。
一部の医療機関では、凍結療法で治りにくいケースや痛みに耐えられないケースで、DNCB(2.4-ジニトロクロロベンゼン)という薬を塗布していぼを取る治療法を行っています。DNCBは本来、かぶれの状態を見る検査薬で、これを治療に応用し、いぼをかぶれた状態にして取ります。多少かゆみを伴ったり、じくじくした状態になったりすることがありますが、痛みはありません。
ほかにも、抗生物質のブレオマイシン剤などの軟こうの塗布、ブレオマイシン剤の局所注射、ウイルス消毒薬の使用、はと麦の種を成分とする漢方薬ヨクイニンの内服、免疫療法などいろいろの治療法があります。
ミルメシアとは、ヒト乳頭腫(にゅうとうしゅ)ウイルス(ヒトパピローマウイルス)1型が皮膚に感染して、子供の足の裏や手のひらにいぼができる疾患。
ウイルス性いぼ、すなわちウイルス性疣贅(ゆうぜい)の一種で、足の裏や手の平に多くは単発性に生じ、多発しても融合することはありません。
足の裏にできるミルメシアは学童期の子供に多く発症し、素足になる学校のプールサイドや脱衣所の床などで接触感染するとみられます。皮膚の弱い子供やアトピーを持つ子供に、比較的多く感染すると見なされます。
皮膚面からドーム状に非常に硬く隆起したいぼで、全体は赤色調ですが、中央部がややへこんで白っぽい色で、形が蟻塚(ありづか)に似ています。
足の裏にミルメシアができた場合は、体重が掛かって、いぼがめり込んでしまうため、歩く時に不快を感じたり、小石を踏んでいるように痛むことがあります。
しばしば魚(うお)の目(鶏眼〔けいがん〕)と間違われるものの、魚の目は靴などによる長期間の摩擦や圧迫が原因で、ミルメシアはウイルス感染症という違いがあります。
ちなみに、子供には魚の目は、まずできません。魚の目は、加重による皮膚表面の角質層の部分的な角化であり、一種の老化現象として大人にできるものです。
ミルメシアを放置しておくと、ほかの部位に移ります。自分で削ったりいじったり、市販の薬で取ろうとしたりすると、いぼが周囲やほかの部位により広がることになります。
素人判断は禁物で、まず皮膚科、皮膚泌尿器科の医師を受診し、適切な治療を受けるべきです。
ミルメシアの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、皮膚症状から判断します。確実に診断する方法は、いぼを切除して組織学的に診断するか、ウイルス抗原または核酸を検出します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、いぼを凍結して取る凍結療法や、電気焼灼(しょうしゃく)が一般的に行われます。
凍結療法は、液体窒素を綿棒に含ませて、いぼの凍結、融解を繰り返す方法です。いぼの部分を超低温で瞬間的に凍結させ、部分的にやけどの状態を起こすことで、皮膚内部のいぼの芯(しん)を表面に押し上げ、徐々にいぼを縮小させます。
処置そのものにかなりの痛みを伴うほか、場合によっては水膨れが発生し、処置後も患部に激痛が伴うこともあります。 また、場合によっては水膨れ内部に出血が発生し、黒く変色することもありますが、この状態になると激痛こそあるものの、治りは早くなります。
通常、凍結療法は4~7日が効果のピークであるために、1~2週間に1回の通院で治療しなければならず、効果に個人差こそありますが、およそ数週から2カ月以上と長い日数が必要とされます。治癒率の低いことも欠点で、特に足底ではなかなか治りません。
なお、家庭用のいぼ治療薬として知られるイボコロリは、角質を溶かすだけなのでかえって広げてしまうことがあります。凍結療法と組み合わせると、よい結果が得られます。
電気焼灼は、レーザーメスや電気メスでいぼを焼く方法です。液体窒素による凍結療法と違って一度で治るものの、麻酔が必須で、傷跡を残すことがあります。凍結療法などと異なり、保険適応外でもあります。
一部の医療機関では、凍結療法で治りにくいケースや痛みに耐えられないケースで、DNCB(2.4-ジニトロクロロベンゼン)という薬を塗布していぼを取る治療法を行っています。DNCBは本来、かぶれの状態を見る検査薬で、これを治療に応用し、いぼをかぶれた状態にして取ります。多少かゆみを伴ったり、じくじくした状態になったりすることがありますが、痛みはありません。
ほかにも、抗生物質のブレオマイシン剤などの軟こうの塗布、ブレオマイシン剤の局所注射、ウイルス消毒薬の使用、はと麦の種を成分とする漢方薬ヨクイニンの内服、免疫療法などいろいろの治療法があります。
■用語 ミクリッツ病 [用語(み)]
耳下腺などの唾液腺と涙腺に、慢性の痛みのないはれができる疾患
ミクリッツ病とは、両側または片側の唾液腺(だえきせん)と涙腺に、慢性の痛みのないはれができる疾患。自己免疫疾患であるIgG4関連疾患の一種と見なされます。
唾液腺の耳下(じか)腺にはれが好発し、時に唾液腺の顎下(がくか)腺、舌下(ぜっか)腺、涙腺にもはれが発生し、まれには複数の腺に同時にはれが発生することがあります。
はれが増すにつれ、唾液が出にくくなり、口やのどの渇きなどが発生して耳下腺炎を起こし、涙が出にくくなって結膜炎を起こし、視力障害が出ることがあります。口内や目の乾燥感は強くありませんが、顔全体が熱っぽい感じになり、不快になります。
唾液腺や涙腺にリンパ球が浸潤することで、慢性の炎症に類似した症状が現れます。リンパ球の浸潤の原因は、不明です。性別では、男女で症状の現れ方や、症状の現れる頻度に差はありません。
従来、このミクリッツ病は、目と口が乾燥する自己免疫疾患であるシェーグレン症候群の亜型または同一の病態として認識されてきました。しかし、21世紀に入り、ミクリッツ病を発症すると、血中に免疫蛋白(たんぱく)IgG4が多くなり、唾液腺、リンパ節、膵臓(すいぞう)や胆管などにIgG4を分泌する細胞が多数集まっていることがわかったことから、IgG4関連疾患の一種と考えられるようになりました。
Ig(免疫グロブリン)のG型は4つありますが、このうちIgG4はIgG全体の2パーセント程度しかなく、機能もよくわかっていません。
ミクリッツ病として症状が表に現れた場合、IgG4関連疾患をしばしば合併し、時間経過を経て、膵臓、腎臓(じんぞう)、肺臓、後腹膜など全身のさまざまな臓器にこぶやはれが見付かることも多くなります。
IgG4関連疾患は、全身性の慢性炎症性疾患であり、ミクリッツ病や自己免疫性膵炎、自己免疫性下垂体炎、リーデル甲状腺炎、間質性肺炎、間質性腎炎(じんえん)、後腹膜線維症などがあり、悪性腫瘍(しゅよう)が潜在していることもあります。
長い期間、耳の前や顎(あご)の下がはれているようであればミクリッツ病の可能性もあり、耳鼻咽喉(いんこう)科か歯科口腔(こうくう)外科、上まぶたがはれているのであれば眼科を受診することが勧められます。
ミクリッツ病の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)検査や超音波検査を始めとするさまざまな検査で、腫脹(しゅちょう)がある部位と全身的な広がりを確認します。
悪性リンパ腫を始めとする悪性腫瘍、白血病などの除外を慎重に行い、IgG4関連疾患の合併を念頭に置き、確定診断には、血液検査と、腫脹した組織の一部を切り取って顕微鏡検査を行う細胞診を行います。
従来、シェーグレン症候群と診断されていた中に、ミクリッツ病がみられる場合もあります。シェーグレン症候群とは異なり、血液検査で高IgG4血症を認め、唾液腺と涙腺組織の細胞診で明らかなIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めます。
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による治療では、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)による薬物治療を行います。ステロイド剤に対する治療反応性は良好で、唾液腺と涙腺機能の回復がみられます。しかし、ステロイド剤を減量すると再燃することが多くみられます。
複数の臓器障害を伴う場合は、ステロイド剤を増量します。
ミクリッツ病から悪性リンパ腫を始めとする悪性腫瘍に変化する可能性があるので、厳重な経過観察と定期的な検査が必要です。
ミクリッツ病とは、両側または片側の唾液腺(だえきせん)と涙腺に、慢性の痛みのないはれができる疾患。自己免疫疾患であるIgG4関連疾患の一種と見なされます。
唾液腺の耳下(じか)腺にはれが好発し、時に唾液腺の顎下(がくか)腺、舌下(ぜっか)腺、涙腺にもはれが発生し、まれには複数の腺に同時にはれが発生することがあります。
はれが増すにつれ、唾液が出にくくなり、口やのどの渇きなどが発生して耳下腺炎を起こし、涙が出にくくなって結膜炎を起こし、視力障害が出ることがあります。口内や目の乾燥感は強くありませんが、顔全体が熱っぽい感じになり、不快になります。
唾液腺や涙腺にリンパ球が浸潤することで、慢性の炎症に類似した症状が現れます。リンパ球の浸潤の原因は、不明です。性別では、男女で症状の現れ方や、症状の現れる頻度に差はありません。
従来、このミクリッツ病は、目と口が乾燥する自己免疫疾患であるシェーグレン症候群の亜型または同一の病態として認識されてきました。しかし、21世紀に入り、ミクリッツ病を発症すると、血中に免疫蛋白(たんぱく)IgG4が多くなり、唾液腺、リンパ節、膵臓(すいぞう)や胆管などにIgG4を分泌する細胞が多数集まっていることがわかったことから、IgG4関連疾患の一種と考えられるようになりました。
Ig(免疫グロブリン)のG型は4つありますが、このうちIgG4はIgG全体の2パーセント程度しかなく、機能もよくわかっていません。
ミクリッツ病として症状が表に現れた場合、IgG4関連疾患をしばしば合併し、時間経過を経て、膵臓、腎臓(じんぞう)、肺臓、後腹膜など全身のさまざまな臓器にこぶやはれが見付かることも多くなります。
IgG4関連疾患は、全身性の慢性炎症性疾患であり、ミクリッツ病や自己免疫性膵炎、自己免疫性下垂体炎、リーデル甲状腺炎、間質性肺炎、間質性腎炎(じんえん)、後腹膜線維症などがあり、悪性腫瘍(しゅよう)が潜在していることもあります。
長い期間、耳の前や顎(あご)の下がはれているようであればミクリッツ病の可能性もあり、耳鼻咽喉(いんこう)科か歯科口腔(こうくう)外科、上まぶたがはれているのであれば眼科を受診することが勧められます。
ミクリッツ病の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)検査や超音波検査を始めとするさまざまな検査で、腫脹(しゅちょう)がある部位と全身的な広がりを確認します。
悪性リンパ腫を始めとする悪性腫瘍、白血病などの除外を慎重に行い、IgG4関連疾患の合併を念頭に置き、確定診断には、血液検査と、腫脹した組織の一部を切り取って顕微鏡検査を行う細胞診を行います。
従来、シェーグレン症候群と診断されていた中に、ミクリッツ病がみられる場合もあります。シェーグレン症候群とは異なり、血液検査で高IgG4血症を認め、唾液腺と涙腺組織の細胞診で明らかなIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めます。
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による治療では、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)による薬物治療を行います。ステロイド剤に対する治療反応性は良好で、唾液腺と涙腺機能の回復がみられます。しかし、ステロイド剤を減量すると再燃することが多くみられます。
複数の臓器障害を伴う場合は、ステロイド剤を増量します。
ミクリッツ病から悪性リンパ腫を始めとする悪性腫瘍に変化する可能性があるので、厳重な経過観察と定期的な検査が必要です。
タグ:耳閉感 ハント症候群 第8脳神経腫 用語(み) 耳垢栓塞 急性中耳炎 滲出性中耳炎 前庭神経鞘腫 耳性帯状疱疹 耳ヘルペス 騒音性難聴 用語 用語(ま行) ミクリッツ病 ミクリッツ症候群 耳鳴り 中耳炎 突発性難聴 耳詰まり 真珠腫性中耳炎 外耳道炎 メニエール病 聴神経腫瘍 健康創造塾 慢性中耳炎 聾(ろう) 耳管狭窄症、滲出性中耳炎 感音難聴 老人性難聴 耳管開放症 ラムゼー・ハント症候群 ムンプス難聴 職業性難聴 鼓膜裂傷 生理的老人性難聴 外傷性鼓膜裂傷 鼓膜炎 遅発性内リンパ水腫 薬剤性難聴 癒着性中耳炎 慢性化膿性中耳炎 外耳道閉鎖症 外耳道真珠腫 外耳道外骨腫 サーファーズイヤー 外耳道真菌症 めまい 心因性めまい 良性発作性めまい 前庭神経炎
■用語 ミクリッツ症候群 [用語(み)]
耳下腺、顎下腺、涙腺に、慢性の痛みのないはれができる疾患
ミクリッツ症候群とは、唾液腺(だえきせん)である両側の耳下(じか)腺、顎下(がくか)腺と涙腺に、慢性の痛みのないはれができる疾患。
白血病、悪性リンパ腫(しゅ)、結核、サルコイドーシス、軟部好酸球肉芽(にくげ)腫症(木村病)、シェーグレン症候群などが基礎にあって起こるものと、疾患の本体を明らかにできない原因不明ものとがあります。
白血病、悪性リンパ腫などが原因のミクリッツ症候群の時は、発熱、全身倦怠(けんたい)感、強い口内乾燥がみられることがあります。両側対称的に耳下腺、顎下腺、眼瞼(がんけん)部がはれるため、特徴的な顔貌(がんぼう)になります。
疾患の本体を証明できない原因不明のミクリッツ症候群は、ミクリッツ病、ないし良性リンパ上皮性疾患と呼ばれています。両側または片側の耳下腺、顎下腺、涙腺がはれる症状が現れ、痛みは伴いません。
はれが増すにつれ、唾液が出にくくなり、口やのどの渇きなどが発生して耳下腺炎を起こし、涙が出にくくなって結膜炎を起こします。口内や目の乾燥感は強くありませんが、顔全体が熱っぽい感じになり、不快になります。
病理学的には、ミクリッツ病はシェーグレン症候群に類似しています。良性の病変で、唾液腺や涙腺にリンパ球が浸潤することで、慢性の炎症に類似した症状が現れます。リンパ球の浸潤の原因は、不明です。性別では、男女で症状の現れ方や、症状の現れる頻度に差はありません。経過をみている間に症状が消えることも、まれではありません。
長い期間、耳の前や顎(あご)の下がはれているようであればミクリッツ症候群、ミクリッツ病(良性リンパ上皮性疾患)の可能性もありますので、耳鼻咽喉(いんこう)科か歯科口腔(こうくう)外科、上まぶたがはれているのであれば眼科を受診することが勧められます。
ミクリッツ症候群の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)検査や超音波検査を始めとするさまざまな検査で、腫脹(しゅちょう)がある部位と全身的な広がりを確認します。
確定診断には、腫脹した組織の一部を切り取って顕微鏡検査を行う細胞診の必要がありますが、白血病などが原因であるとわかっていれば判断しやすくなります。
白血病、悪性リンパ腫などの基礎疾患が明らかになった際はミクリッツ症候群と確定し、これらの基礎疾患を除外するとミクリッツ病(良性リンパ上皮性疾患)と判断します。
従来、シェーグレン症候群と診断されていた中に、ミクリッツ病がみられる場合もあります。シェーグレン症候群とは異なり、血液検査で高IgG4血症を認め、唾液腺と涙腺組織の細胞診で明らかなIgG4陽性形質細胞浸潤を認めます。
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による治療では、基礎疾患が明らかになった際は、その白血病、悪性リンパ腫などの治療を行います。
基礎疾患が不明の場合は、ステロイド剤(副腎〔ひくじん〕皮質ホルモン)による薬物治療を行います。ステロイド剤に対する治療反応性は良好で、唾液腺と涙腺機能の回復がみられます。悪性リンパ腫に変化する可能性があるので、定期的な検査が必要です。
ミクリッツ症候群とは、唾液腺(だえきせん)である両側の耳下(じか)腺、顎下(がくか)腺と涙腺に、慢性の痛みのないはれができる疾患。
白血病、悪性リンパ腫(しゅ)、結核、サルコイドーシス、軟部好酸球肉芽(にくげ)腫症(木村病)、シェーグレン症候群などが基礎にあって起こるものと、疾患の本体を明らかにできない原因不明ものとがあります。
白血病、悪性リンパ腫などが原因のミクリッツ症候群の時は、発熱、全身倦怠(けんたい)感、強い口内乾燥がみられることがあります。両側対称的に耳下腺、顎下腺、眼瞼(がんけん)部がはれるため、特徴的な顔貌(がんぼう)になります。
疾患の本体を証明できない原因不明のミクリッツ症候群は、ミクリッツ病、ないし良性リンパ上皮性疾患と呼ばれています。両側または片側の耳下腺、顎下腺、涙腺がはれる症状が現れ、痛みは伴いません。
はれが増すにつれ、唾液が出にくくなり、口やのどの渇きなどが発生して耳下腺炎を起こし、涙が出にくくなって結膜炎を起こします。口内や目の乾燥感は強くありませんが、顔全体が熱っぽい感じになり、不快になります。
病理学的には、ミクリッツ病はシェーグレン症候群に類似しています。良性の病変で、唾液腺や涙腺にリンパ球が浸潤することで、慢性の炎症に類似した症状が現れます。リンパ球の浸潤の原因は、不明です。性別では、男女で症状の現れ方や、症状の現れる頻度に差はありません。経過をみている間に症状が消えることも、まれではありません。
長い期間、耳の前や顎(あご)の下がはれているようであればミクリッツ症候群、ミクリッツ病(良性リンパ上皮性疾患)の可能性もありますので、耳鼻咽喉(いんこう)科か歯科口腔(こうくう)外科、上まぶたがはれているのであれば眼科を受診することが勧められます。
ミクリッツ症候群の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)検査や超音波検査を始めとするさまざまな検査で、腫脹(しゅちょう)がある部位と全身的な広がりを確認します。
確定診断には、腫脹した組織の一部を切り取って顕微鏡検査を行う細胞診の必要がありますが、白血病などが原因であるとわかっていれば判断しやすくなります。
白血病、悪性リンパ腫などの基礎疾患が明らかになった際はミクリッツ症候群と確定し、これらの基礎疾患を除外するとミクリッツ病(良性リンパ上皮性疾患)と判断します。
従来、シェーグレン症候群と診断されていた中に、ミクリッツ病がみられる場合もあります。シェーグレン症候群とは異なり、血液検査で高IgG4血症を認め、唾液腺と涙腺組織の細胞診で明らかなIgG4陽性形質細胞浸潤を認めます。
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による治療では、基礎疾患が明らかになった際は、その白血病、悪性リンパ腫などの治療を行います。
基礎疾患が不明の場合は、ステロイド剤(副腎〔ひくじん〕皮質ホルモン)による薬物治療を行います。ステロイド剤に対する治療反応性は良好で、唾液腺と涙腺機能の回復がみられます。悪性リンパ腫に変化する可能性があるので、定期的な検査が必要です。
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■用語 耳詰まり [用語(み)]
耳が詰まったり、耳がこもったりする感じが生じる症状
耳詰まりとは、耳が詰まったり、耳がこもったりする感じが生じる症状。耳閉感とも呼ばれます。
耳詰まりはごく有り触れた症状で、耳がふさがれた感じ、音が耳や頭に響く感じ、さらに耳の圧迫感、軽い痛みを感じることもあり、誰でも何度か経験していることと思いますが、原因はいろいろなことが考えられます。
外から見える耳の部分から鼓膜までの外耳に原因のある耳詰まりとしては、耳垢(みみあか)が塊になって耳の穴をふさぐ耳垢栓塞(じこうせんそく)、外耳炎、水滴・髪の毛・綿棒の先端・子供ではプラスチックのおもちゃや消しゴムなどが耳の穴に詰まる外耳道異物で起こります。
鼓膜の内側から耳小骨あたりまでの中耳に原因のある耳詰まりとしては、滲出(しんしゅつ)性中耳炎で最も多く起こります。大人も風邪引き後などに滲出性中耳炎になることがあり、耳管の働きが悪くなるために耳詰まりを生じます。
そのほかの中耳疾患では、好酸球性中耳炎で高率に耳詰まりを生じます。好酸球中耳炎は喘息(ぜんそく)に伴いやすい中耳炎で、中耳に粘液がたまることにより難聴を生じます。滲出性中耳炎に似ていますが、音を感じる内耳から聴覚中枢路にかけて障害が生じたために起こる感音難聴も合併しやすいので注意が必要です。
体の平衡感覚を保つ三半規管や脳に音を直接伝える蝸牛(かぎゅう)などの器官がある内耳に原因のある耳詰まりとしては、急性低音障害型感音難聴で片側、まれに両側の耳詰まりを生じます。
メニエール病の発作時にも、耳詰まりが起こります。耳鳴りやめまいを伴うのが特徴です。
耳詰まりの検査と診断と治療
耳鼻咽喉(いんこう)科の医師による診断では、まず問診で、耳の聞こえは悪くないか、風邪を引いていなかったか、耳に何か入れなかったか、ストレスが多くなかったかなど確認します。
次に視診で、顕微鏡を使用して耳の中を丹念に診ることにより、外耳や中耳の病変はおおよそ把握できます。外耳、中耳に異常がなければ、消去法で内耳の疾患の可能性が高くなります。中耳炎があれば、鼻の中もよく診ます。
標準純音聴力検査で、難聴の有無も調べます。もし難聴があれば、音を聴神経へ伝える外耳・中耳・鼓膜に障害が生じたために起こる伝音難聴なのか、音を感じる内耳から聴覚中枢路にかけて障害が生じたために起こる感音難聴なのかを調べます。
伝音難聴であれば、滲出性中耳炎の可能性が高くなりますので、耳の穴に耳栓をして外耳道を加圧、減圧しながら鼓膜の響きやすさを調べるティンパノメトリィ検査を行います。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、耳垢栓塞や外耳道異物の場合、耳垢や異物を取り除けば耳詰まりは治ります。
外耳炎の場合、耳の消炎処置と抗生剤内服などを行います。
滲出性中耳炎、好酸球性中耳炎の場合、まずは鼓膜切開や、鼓膜の一部を切開して中耳を換気するためのチューブを入れる鼓膜チューブ留置術(チュービング)で、鼓室内の貯留液を除去します。
鼻や副鼻腔(ふくびくう)に炎症を伴っていることが多いので、鼻処置や、副鼻腔に抗生物質、ステロイド剤(副腎〔ひくじん〕皮質ホルモン)などの薬液を吸入するネブライザー療法を行い、炎症やはれを抑えます。マクロライド系抗生物質の少量長期療法や、抗アレルギー剤内服を行うこともあります。
内耳疾患で耳詰まりを生じた場合、内リンパ水腫(すいしゅ)という病態が原因のことが多いため、これを取り除くことが必要です。具体的にはストレスを避けることと、高浸透圧利尿剤の内服です。そのほかには、内耳の代謝を助けるために、ビタミンB12や、アデホスという代謝を促進する薬などを内服することもあります。
耳詰まりとは、耳が詰まったり、耳がこもったりする感じが生じる症状。耳閉感とも呼ばれます。
耳詰まりはごく有り触れた症状で、耳がふさがれた感じ、音が耳や頭に響く感じ、さらに耳の圧迫感、軽い痛みを感じることもあり、誰でも何度か経験していることと思いますが、原因はいろいろなことが考えられます。
外から見える耳の部分から鼓膜までの外耳に原因のある耳詰まりとしては、耳垢(みみあか)が塊になって耳の穴をふさぐ耳垢栓塞(じこうせんそく)、外耳炎、水滴・髪の毛・綿棒の先端・子供ではプラスチックのおもちゃや消しゴムなどが耳の穴に詰まる外耳道異物で起こります。
鼓膜の内側から耳小骨あたりまでの中耳に原因のある耳詰まりとしては、滲出(しんしゅつ)性中耳炎で最も多く起こります。大人も風邪引き後などに滲出性中耳炎になることがあり、耳管の働きが悪くなるために耳詰まりを生じます。
そのほかの中耳疾患では、好酸球性中耳炎で高率に耳詰まりを生じます。好酸球中耳炎は喘息(ぜんそく)に伴いやすい中耳炎で、中耳に粘液がたまることにより難聴を生じます。滲出性中耳炎に似ていますが、音を感じる内耳から聴覚中枢路にかけて障害が生じたために起こる感音難聴も合併しやすいので注意が必要です。
体の平衡感覚を保つ三半規管や脳に音を直接伝える蝸牛(かぎゅう)などの器官がある内耳に原因のある耳詰まりとしては、急性低音障害型感音難聴で片側、まれに両側の耳詰まりを生じます。
メニエール病の発作時にも、耳詰まりが起こります。耳鳴りやめまいを伴うのが特徴です。
耳詰まりの検査と診断と治療
耳鼻咽喉(いんこう)科の医師による診断では、まず問診で、耳の聞こえは悪くないか、風邪を引いていなかったか、耳に何か入れなかったか、ストレスが多くなかったかなど確認します。
次に視診で、顕微鏡を使用して耳の中を丹念に診ることにより、外耳や中耳の病変はおおよそ把握できます。外耳、中耳に異常がなければ、消去法で内耳の疾患の可能性が高くなります。中耳炎があれば、鼻の中もよく診ます。
標準純音聴力検査で、難聴の有無も調べます。もし難聴があれば、音を聴神経へ伝える外耳・中耳・鼓膜に障害が生じたために起こる伝音難聴なのか、音を感じる内耳から聴覚中枢路にかけて障害が生じたために起こる感音難聴なのかを調べます。
伝音難聴であれば、滲出性中耳炎の可能性が高くなりますので、耳の穴に耳栓をして外耳道を加圧、減圧しながら鼓膜の響きやすさを調べるティンパノメトリィ検査を行います。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、耳垢栓塞や外耳道異物の場合、耳垢や異物を取り除けば耳詰まりは治ります。
外耳炎の場合、耳の消炎処置と抗生剤内服などを行います。
滲出性中耳炎、好酸球性中耳炎の場合、まずは鼓膜切開や、鼓膜の一部を切開して中耳を換気するためのチューブを入れる鼓膜チューブ留置術(チュービング)で、鼓室内の貯留液を除去します。
鼻や副鼻腔(ふくびくう)に炎症を伴っていることが多いので、鼻処置や、副鼻腔に抗生物質、ステロイド剤(副腎〔ひくじん〕皮質ホルモン)などの薬液を吸入するネブライザー療法を行い、炎症やはれを抑えます。マクロライド系抗生物質の少量長期療法や、抗アレルギー剤内服を行うこともあります。
内耳疾患で耳詰まりを生じた場合、内リンパ水腫(すいしゅ)という病態が原因のことが多いため、これを取り除くことが必要です。具体的にはストレスを避けることと、高浸透圧利尿剤の内服です。そのほかには、内耳の代謝を助けるために、ビタミンB12や、アデホスという代謝を促進する薬などを内服することもあります。
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