■用語 もやもや病 [用語(も)]
原因不明で、脳底部にもやもやとした異常血管網が現れる脳血管疾患
もやもや病とは、日本人に多発する原因不明の脳血管疾患。ウィリス動脈輪閉塞(へいそく)症、脳底部異常血管網症ともいいます。
厚生労働省指定の難病の一つで、1950年代の後半に初めてその存在が気付かれました。脳底部のウィリス動脈輪に狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)がみられ、脳虚血症状を示し、体の各部のまひ、知覚異常、不随意運動、頭痛、けいれんなどを起こします。
脳血管撮影をすると、脳底部にもやもやとした異常血管網が認められます。大脳へ血液を送る頸(けい)動脈が頭の中で狭くなったり、詰まったりするために、脳の深い部分の細い動脈が不足する脳の血流を補うための側副血行路として発達して太くなり、異常な血管網の構造を示すことになります。
脳への血液の供給が足りない状態である脳虚血や、脳の血管が破綻(はたん)して出血する脳出血で発症しますが、発症時の年齢分布には2つピークがあり、5歳を中心とする10歳までの子供は脳虚血で発症することが多く、30〜40歳代の大人は脳出血で発症することが多くなっています。もちろん、子供での脳出血、大人での脳虚血もありますが、前者が小児(若年)型、後者が成人型と区別され、その症状とその発症機序が異なっています。
女性と男性の比率は1・8対1とされ、女性の発症者のほうが多くなっています。発症頻度は10万人に対して0・35〜0・5人とされ、日本では年間に約400〜500人の新たな発症者が発生し、常に約4000人の患者がいます。世界中で、もやもや病の報告はありますが、なぜか東アジアに多く、中でも圧倒的に日本に多く発生しています。
疾患の原因はいまだ不明で、先天性血管奇形という先天説や、感染症などの生後に何らかの原因があるとする後天説がありました。兄弟や親子間での発生が約10パーセント弱と多いことや、日本人に多く発生することなど遺伝的な要素もあり、現在では遺伝子で規定された要素に、何らかの後天的要素が加わって発症すると考えられています。細菌やウイルスが原因の感染症ではありませんので、周辺の人に移る可能性は全くありません。
小児型もやもや病では、元気だった子供に突然、脳卒中のような発作、つまり左右半身の脱力や運動障害、ろれつが回らないなどの言語障害、視野の一部が欠けるなどの視力障害、意識障害、感覚異常が一過性に出現し、症状が出てもすぐに元に戻るのが典型的な症状です。その他の症状としては、手足が勝手に前後・上下に動く不随意運動、けいれん、頭痛などがみられます。
脳卒中のような発作は、泣いたり、大声で歌ったり、笛やハーモニカを吹いたり、熱いラーメンやうどんをフーフー吹いて食べたり、全力で走ったりする時の過呼吸により誘発されます。過呼吸状態では、脳血管の拡張に必要な血中の二酸化炭素が低下し、もやもやとした血管網も含めた脳血管が収縮するために、それまで辛うじて維持されていた脳血流が急に低下し、脳の代謝に必要な酸素の不足により脳虚血発作が生じます。
脳虚血発作は一過性に出現し繰り返す場合が多くみられますが、重症な場合には、脳梗塞(こうそく)を来し、運動障害、言語障害、知能障害、視力障害などが固定症状として残ります。
成人型もやもや病では、脳内出血、脳室内出血、くも膜下出血などの頭蓋(ずがい)内出血による発症が一般的で、症状は出血の部位や程度により異なり、軽度の頭痛から重度の意識障害、運動障害、言語障害、精神症状までさまざまです。代償性に拡張した数多くの細いもやもやとした血管網に、血行力学的なストレスが加わり、薄くなった血管壁が破綻すると考えられています。
出血の場所と大きさにより、後遺症が全く残らない場合から、さまざまな後遺症が残る場合まであります。命にかかわるのは、頭蓋内出血を起こした場合が多く、再度、出血を起こすことも多くなっています。
もやもや病が疑われた場合は、脳神経外科、神経内科、小児神経(内)科などを受診することが必要です。強い頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、意識がなくなる、まひ、言葉が出ない、視野の一部が欠けるなどの症状が出た時は、すぐに受診するべきです。
もやもや病の検査と診断と治療
もやもや病の医師による診断は、臨床所見と画像診断で行われます。ラーメンを食べる時に時々、手の力が抜ける、大泣きしたら手足がしびれるといった典型的な症状の一過性脳虚血発作であれば、診断はさほど困難ではありません。
しかし、てんかんや不随意運動で発症した場合には、わかりにくい場合もあります。てんかんと診断されて、抗けいれん薬を投与され、その後、脳虚血の症状が出た場合など、もやもや病の診断まで時間がかかる場合もあります。ほかに、精神的なものとか自閉症と誤診されることもあります。
もやもや病の画像診断は、主にカテーテルによる脳血管撮影と、核磁気共鳴画像法(MRI)によって行われます。脳血管撮影は、直径1・3ミリほどの細い管であるカテーテルを足の付け根の動脈から入れて行います。このカテーテルを頸部の動脈まで持っていき、造影剤を注入して撮影します。そのため検査自体にわずかながら危険性が伴うため、その適応は慎重であるべきです。大人では、足の付け根への局所麻酔だけで可能な検査ですが、小学生やそれ以下の場合は全身麻酔で行います。
近年は、強い磁場を利用した核磁気共鳴画像法(MRI)による診断法が、主に行われています。この診断法は、入院の必要はありませんし、検査時間は30分ぐらいで寝ている間に可能です。小さな子供の場合は、眠り薬が必要です。X線を使った断層撮影であるX線CTも、緊急時の脳虚血と脳出血の鑑別に有用です。
急性期のもやもや病の治療は、他の原因で起こる脳虚血や脳出血の治療と同じです。脳虚血の場合は、脳細胞保護薬、抗血栓薬、循環改善薬などの点滴が行われます。脳出血で小さな出血の場合は、保存的な治療が行われます。脳室内の出血の場合は、緊急で細い管を脳室に入れて、髄液や血腫(けっしゅ)を抜く手術が行われます。大きな脳内出血の場合は、開頭による血腫除去術を必要とする場合もあります。脳圧を下げ、脳のはれを改善する点滴治療も行われます。けいれん発作があれば、抗けいれん薬が投与されます。
慢性期のもやもや病の脳虚血に対する内科的な治療としては、抗血小板薬、抗凝固薬、血管拡張薬などの投与が行われます。これらの薬剤を積極的に投与する医師と、そうでない医師に分かれます。けいれんのある場合には、抗けいれん薬が投与されます。
虚血発作の再発を抑える目的で、血管吻合(ふんごう)術が有効とされています。この血管吻合術には、耳の前の頭皮内を走行している浅側頭動脈と頭蓋内の中大脳動脈の枝を顕微鏡で見ながら吻合する直接吻合と、脳を包んでいる脳硬膜や側頭部の筋肉やその筋膜を脳の表面に置き、その間に自然に小さな血管の吻合が形成されるのを待つ間接吻合があります。直接吻合を行う場合、大なり小なり間接吻合と組み合わせるのが一般的です。
もやもや病は、左右に病変があるため、両側の手術が必要なことが多く、普通2回に分けて、症状の強い側の手術を先に行います。手術の効果はすぐに現れるものではなく、虚血発作が徐々に減少し、その後、消失します。その時間経過は、脳循環の状態、手術方法などによりさまざまです。
慢性期のもやもや病の脳出血に対する治療として、血管吻合術が行われる場合があります。側副血行路になっている脳の深部の細い血管に負担がかかり、破綻するのが脳出血の原因と考えられているため、この負担を軽減するために行われますが、この吻合術が再出血を予防するとは必ずしも証明されていません。血圧の高い発症者には、降圧剤を投与します。
脳梗塞や脳出血により、運動障害、言語障害、知能障害、視力障害などが残った場合には、早期に運動療法、作業療法、言語療法などのリハビリテーションを開始することが重要です。特に小児の場合は、適切なリハビリで大きな障害がかなり軽減するケースもあります。
もやもや病とは、日本人に多発する原因不明の脳血管疾患。ウィリス動脈輪閉塞(へいそく)症、脳底部異常血管網症ともいいます。
厚生労働省指定の難病の一つで、1950年代の後半に初めてその存在が気付かれました。脳底部のウィリス動脈輪に狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)がみられ、脳虚血症状を示し、体の各部のまひ、知覚異常、不随意運動、頭痛、けいれんなどを起こします。
脳血管撮影をすると、脳底部にもやもやとした異常血管網が認められます。大脳へ血液を送る頸(けい)動脈が頭の中で狭くなったり、詰まったりするために、脳の深い部分の細い動脈が不足する脳の血流を補うための側副血行路として発達して太くなり、異常な血管網の構造を示すことになります。
脳への血液の供給が足りない状態である脳虚血や、脳の血管が破綻(はたん)して出血する脳出血で発症しますが、発症時の年齢分布には2つピークがあり、5歳を中心とする10歳までの子供は脳虚血で発症することが多く、30〜40歳代の大人は脳出血で発症することが多くなっています。もちろん、子供での脳出血、大人での脳虚血もありますが、前者が小児(若年)型、後者が成人型と区別され、その症状とその発症機序が異なっています。
女性と男性の比率は1・8対1とされ、女性の発症者のほうが多くなっています。発症頻度は10万人に対して0・35〜0・5人とされ、日本では年間に約400〜500人の新たな発症者が発生し、常に約4000人の患者がいます。世界中で、もやもや病の報告はありますが、なぜか東アジアに多く、中でも圧倒的に日本に多く発生しています。
疾患の原因はいまだ不明で、先天性血管奇形という先天説や、感染症などの生後に何らかの原因があるとする後天説がありました。兄弟や親子間での発生が約10パーセント弱と多いことや、日本人に多く発生することなど遺伝的な要素もあり、現在では遺伝子で規定された要素に、何らかの後天的要素が加わって発症すると考えられています。細菌やウイルスが原因の感染症ではありませんので、周辺の人に移る可能性は全くありません。
小児型もやもや病では、元気だった子供に突然、脳卒中のような発作、つまり左右半身の脱力や運動障害、ろれつが回らないなどの言語障害、視野の一部が欠けるなどの視力障害、意識障害、感覚異常が一過性に出現し、症状が出てもすぐに元に戻るのが典型的な症状です。その他の症状としては、手足が勝手に前後・上下に動く不随意運動、けいれん、頭痛などがみられます。
脳卒中のような発作は、泣いたり、大声で歌ったり、笛やハーモニカを吹いたり、熱いラーメンやうどんをフーフー吹いて食べたり、全力で走ったりする時の過呼吸により誘発されます。過呼吸状態では、脳血管の拡張に必要な血中の二酸化炭素が低下し、もやもやとした血管網も含めた脳血管が収縮するために、それまで辛うじて維持されていた脳血流が急に低下し、脳の代謝に必要な酸素の不足により脳虚血発作が生じます。
脳虚血発作は一過性に出現し繰り返す場合が多くみられますが、重症な場合には、脳梗塞(こうそく)を来し、運動障害、言語障害、知能障害、視力障害などが固定症状として残ります。
成人型もやもや病では、脳内出血、脳室内出血、くも膜下出血などの頭蓋(ずがい)内出血による発症が一般的で、症状は出血の部位や程度により異なり、軽度の頭痛から重度の意識障害、運動障害、言語障害、精神症状までさまざまです。代償性に拡張した数多くの細いもやもやとした血管網に、血行力学的なストレスが加わり、薄くなった血管壁が破綻すると考えられています。
出血の場所と大きさにより、後遺症が全く残らない場合から、さまざまな後遺症が残る場合まであります。命にかかわるのは、頭蓋内出血を起こした場合が多く、再度、出血を起こすことも多くなっています。
もやもや病が疑われた場合は、脳神経外科、神経内科、小児神経(内)科などを受診することが必要です。強い頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、意識がなくなる、まひ、言葉が出ない、視野の一部が欠けるなどの症状が出た時は、すぐに受診するべきです。
もやもや病の検査と診断と治療
もやもや病の医師による診断は、臨床所見と画像診断で行われます。ラーメンを食べる時に時々、手の力が抜ける、大泣きしたら手足がしびれるといった典型的な症状の一過性脳虚血発作であれば、診断はさほど困難ではありません。
しかし、てんかんや不随意運動で発症した場合には、わかりにくい場合もあります。てんかんと診断されて、抗けいれん薬を投与され、その後、脳虚血の症状が出た場合など、もやもや病の診断まで時間がかかる場合もあります。ほかに、精神的なものとか自閉症と誤診されることもあります。
もやもや病の画像診断は、主にカテーテルによる脳血管撮影と、核磁気共鳴画像法(MRI)によって行われます。脳血管撮影は、直径1・3ミリほどの細い管であるカテーテルを足の付け根の動脈から入れて行います。このカテーテルを頸部の動脈まで持っていき、造影剤を注入して撮影します。そのため検査自体にわずかながら危険性が伴うため、その適応は慎重であるべきです。大人では、足の付け根への局所麻酔だけで可能な検査ですが、小学生やそれ以下の場合は全身麻酔で行います。
近年は、強い磁場を利用した核磁気共鳴画像法(MRI)による診断法が、主に行われています。この診断法は、入院の必要はありませんし、検査時間は30分ぐらいで寝ている間に可能です。小さな子供の場合は、眠り薬が必要です。X線を使った断層撮影であるX線CTも、緊急時の脳虚血と脳出血の鑑別に有用です。
急性期のもやもや病の治療は、他の原因で起こる脳虚血や脳出血の治療と同じです。脳虚血の場合は、脳細胞保護薬、抗血栓薬、循環改善薬などの点滴が行われます。脳出血で小さな出血の場合は、保存的な治療が行われます。脳室内の出血の場合は、緊急で細い管を脳室に入れて、髄液や血腫(けっしゅ)を抜く手術が行われます。大きな脳内出血の場合は、開頭による血腫除去術を必要とする場合もあります。脳圧を下げ、脳のはれを改善する点滴治療も行われます。けいれん発作があれば、抗けいれん薬が投与されます。
慢性期のもやもや病の脳虚血に対する内科的な治療としては、抗血小板薬、抗凝固薬、血管拡張薬などの投与が行われます。これらの薬剤を積極的に投与する医師と、そうでない医師に分かれます。けいれんのある場合には、抗けいれん薬が投与されます。
虚血発作の再発を抑える目的で、血管吻合(ふんごう)術が有効とされています。この血管吻合術には、耳の前の頭皮内を走行している浅側頭動脈と頭蓋内の中大脳動脈の枝を顕微鏡で見ながら吻合する直接吻合と、脳を包んでいる脳硬膜や側頭部の筋肉やその筋膜を脳の表面に置き、その間に自然に小さな血管の吻合が形成されるのを待つ間接吻合があります。直接吻合を行う場合、大なり小なり間接吻合と組み合わせるのが一般的です。
もやもや病は、左右に病変があるため、両側の手術が必要なことが多く、普通2回に分けて、症状の強い側の手術を先に行います。手術の効果はすぐに現れるものではなく、虚血発作が徐々に減少し、その後、消失します。その時間経過は、脳循環の状態、手術方法などによりさまざまです。
慢性期のもやもや病の脳出血に対する治療として、血管吻合術が行われる場合があります。側副血行路になっている脳の深部の細い血管に負担がかかり、破綻するのが脳出血の原因と考えられているため、この負担を軽減するために行われますが、この吻合術が再出血を予防するとは必ずしも証明されていません。血圧の高い発症者には、降圧剤を投与します。
脳梗塞や脳出血により、運動障害、言語障害、知能障害、視力障害などが残った場合には、早期に運動療法、作業療法、言語療法などのリハビリテーションを開始することが重要です。特に小児の場合は、適切なリハビリで大きな障害がかなり軽減するケースもあります。
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■用語 モルトン病 [用語(も)]
足先への過度の荷重が原因で、足にしびれ、痛みが現れる疾患
モルトン病とは、足の指と指の間に有痛性神経腫(しゅ)ができ、しびれ、痛みなどの神経症状が現れる疾患。モートン病とも呼ばれます
神経腫といっても本当の腫瘍(しゅよう)ではなく、指にゆく足の裏の外足底神経が、足の指(中足骨)を連結する靭帯(じんたい)と地面の間で圧迫されて変形し、腫大する仮性神経腫といわれるものです。
足の指の障害部位は、主に第3趾(し)と第4趾の間で、第2趾と第3趾の間、第4趾と第5趾の間のこともあります。
現れる神経症状はさまざまで、体重をかけると前足部の足底に焼けるような痛みが走り、歩くのがままならなくなることもあります。時には、痛みが下腿(かたい)まで及ぶこともあります。
足先への過度の荷重が発症の原因とされていて、中腰の作業やハイヒールの常用などで、足の指の付け根の関節でつま先立ちをする格好が長時間続く人に、起こりやすくなります。幅の狭い靴、底が薄くて硬い靴を履くことの多い人、硬い床の上でダンスや運動をする人に、起こることもあります。
また、モルトン病は足のアーチの崩れとも関係していて、足が徐々に偏平になってくる中年以降の女性に多く発症します。
整形外科の医師による診断では、障害部位の足趾(そくし)間に感覚障害、中足骨頭間の足底に仮性神経腫があり、仮性神経腫をたたくとその支配領域に痛みが放散するティネルサインがあれば、モルトン病と確定できます。
また、足趾を背屈するか、つま先立ちをしてもらうと痛みが強くなります。X線(レントゲン)検査、筋電図検査、MRI検査、超音波検査なども、必要に応じて行われます。
治療では、まず中腰の作業やハイヒールを禁止して局所の安静を図り、消炎鎮痛剤などの薬剤内服、足のアーチを整える足底挿板などを使う装具療法、温熱療法、運動療法などを用いた保存的治療をします。それでも効果がない場合や、神経腫の塊が触れるような時は、塊の部分にステロイドの注射を行います。
3カ月ほど様子をみて、保存療法で症状が回復しなかったり、日常生活に支障を来すようなら、手術で神経腫や靱帯などを切除することもあります。しかし、神経腫を切除しても痛みが楽にならないこともあるので、神経腫状態にしないことが肝心です。
そのためには、足指と足底筋を鍛えて足のアーチを維持する必要があり、足じゃんけん、ビー玉拾いエクササイズ、歩行運動などが勧められます。足じゃんけんは、指全体を曲げてグー、親指だけ立ててチョキ、全部広げてパーをするもので、風呂の中などでするのも一案です。
また、足に負担をかけないためにも適切な体重を維持するとともに、自分の足に合った靴を選ぶことも大切です。お勧めの靴は、つま先に1~1・5cmくらいの余裕があり、靴紐(ひも)かマジックベルトが付いていて、靴底は硬めで、ある程度の重さのあるタイプ。
モルトン病とは、足の指と指の間に有痛性神経腫(しゅ)ができ、しびれ、痛みなどの神経症状が現れる疾患。モートン病とも呼ばれます
神経腫といっても本当の腫瘍(しゅよう)ではなく、指にゆく足の裏の外足底神経が、足の指(中足骨)を連結する靭帯(じんたい)と地面の間で圧迫されて変形し、腫大する仮性神経腫といわれるものです。
足の指の障害部位は、主に第3趾(し)と第4趾の間で、第2趾と第3趾の間、第4趾と第5趾の間のこともあります。
現れる神経症状はさまざまで、体重をかけると前足部の足底に焼けるような痛みが走り、歩くのがままならなくなることもあります。時には、痛みが下腿(かたい)まで及ぶこともあります。
足先への過度の荷重が発症の原因とされていて、中腰の作業やハイヒールの常用などで、足の指の付け根の関節でつま先立ちをする格好が長時間続く人に、起こりやすくなります。幅の狭い靴、底が薄くて硬い靴を履くことの多い人、硬い床の上でダンスや運動をする人に、起こることもあります。
また、モルトン病は足のアーチの崩れとも関係していて、足が徐々に偏平になってくる中年以降の女性に多く発症します。
整形外科の医師による診断では、障害部位の足趾(そくし)間に感覚障害、中足骨頭間の足底に仮性神経腫があり、仮性神経腫をたたくとその支配領域に痛みが放散するティネルサインがあれば、モルトン病と確定できます。
また、足趾を背屈するか、つま先立ちをしてもらうと痛みが強くなります。X線(レントゲン)検査、筋電図検査、MRI検査、超音波検査なども、必要に応じて行われます。
治療では、まず中腰の作業やハイヒールを禁止して局所の安静を図り、消炎鎮痛剤などの薬剤内服、足のアーチを整える足底挿板などを使う装具療法、温熱療法、運動療法などを用いた保存的治療をします。それでも効果がない場合や、神経腫の塊が触れるような時は、塊の部分にステロイドの注射を行います。
3カ月ほど様子をみて、保存療法で症状が回復しなかったり、日常生活に支障を来すようなら、手術で神経腫や靱帯などを切除することもあります。しかし、神経腫を切除しても痛みが楽にならないこともあるので、神経腫状態にしないことが肝心です。
そのためには、足指と足底筋を鍛えて足のアーチを維持する必要があり、足じゃんけん、ビー玉拾いエクササイズ、歩行運動などが勧められます。足じゃんけんは、指全体を曲げてグー、親指だけ立ててチョキ、全部広げてパーをするもので、風呂の中などでするのも一案です。
また、足に負担をかけないためにも適切な体重を維持するとともに、自分の足に合った靴を選ぶことも大切です。お勧めの靴は、つま先に1~1・5cmくらいの余裕があり、靴紐(ひも)かマジックベルトが付いていて、靴底は硬めで、ある程度の重さのあるタイプ。
タグ:用語(も) モルトン病 趾間神経痛 行軍腫(趾間神経痛) ヒップポインター 坐骨結節裂離骨折 腸骨稜打撲 腸骨稜裂離骨折 上前腸骨棘裂離骨折 下前腸骨棘裂離骨折 恥骨疲労骨折 下肢長不等 テニスレッグ 腓腹筋肉離れ 大腿骨疲労骨折 大腿骨頸部疲労骨折 大腿骨骨幹部疲労骨折 側副靭帯損傷 十字靭帯損傷 大腿骨頭壊死 用語(ま行) フライバーグ病 ジャンパー膝 挫滅症候群 脚長差 後脛骨筋腱炎 アキレス腱炎 膝内障 膝靭帯損傷 離断性骨軟骨炎 関節遊離体(関節ねずみ) 成長痛(骨端症) 成長痛(反復性四肢痛) 第一ケーラー病 第二ケーラー病 ケーラー病 踵骨骨端症 シーバー病 シンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎) 脛骨疲労性骨膜炎 鵞足炎 過労性脛部痛 ランナー膝 感覚異常性大腿神経痛 第5中足骨基部骨折 ジョーンズ骨折 下駄履き骨折 ジョガー足 大腿神経痛 中足骨疲労骨折 種子骨炎 母趾種子骨炎 強剛母趾
■用語 毛髪ミネラル検査 [用語(も)]
毛髪から体内のミネラル成分を分析する予防医学検査のこと。水銀・カドミウム・ヒ素などの有害ミネラルの蓄積度や、カルシウム・マグネシウム・亜鉛など必須ミネラルの過不足を検査します。頭皮に近い部分から数カ所に分けて、約150本、約0.2グラムに相当する毛髪を採取します。
血液や尿の検査よりも、より正確に測定できるとされています。血液には体の機能を一定に保とうという働きが加わったり、尿には検査の直前の飲食物が影響するなど、短期的な結果を知ることになりがちですが、毛髪は伸びるのに時間がかかるため、長期的な結果を知ることが可能です。
栄養状態を正しく把握し、欠乏や過剰となっている栄養素について対処することで、代謝機能の正常化、体力・自然治癒力・抵抗力の強化に役立ちます。
血液や尿の検査よりも、より正確に測定できるとされています。血液には体の機能を一定に保とうという働きが加わったり、尿には検査の直前の飲食物が影響するなど、短期的な結果を知ることになりがちですが、毛髪は伸びるのに時間がかかるため、長期的な結果を知ることが可能です。
栄養状態を正しく把握し、欠乏や過剰となっている栄養素について対処することで、代謝機能の正常化、体力・自然治癒力・抵抗力の強化に役立ちます。
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■用語 燃えつき症候群 [用語(も)]
勤労意欲が高く、誠実に、かつ活発に働いてきた人が突然、燃えつきるように急速に、無気力状態に陥ることをいいます。体重減少、不眠、抑うつ、全身倦怠(けんたい)感があり、興味や関心が低下した状態を示すことが多くなります。
管理職や専門技術者においてみられる一種の現代病で、社会の生活様式や価値観、技術面の変化が急速で、これに追従することに疲れ果てた状態と考えられます。
うつ病と類似した無気力、易疲労感、イライラ、不眠などの症状を訴えても、抗うつ薬の投与はあまり効果がなく、いまだ治療法は十分確立しているとはいえません。休養すれば回復するわけでもなく、精神療法を含めた人間学的な接近が必要とされます。
管理職や専門技術者においてみられる一種の現代病で、社会の生活様式や価値観、技術面の変化が急速で、これに追従することに疲れ果てた状態と考えられます。
うつ病と類似した無気力、易疲労感、イライラ、不眠などの症状を訴えても、抗うつ薬の投与はあまり効果がなく、いまだ治療法は十分確立しているとはいえません。休養すれば回復するわけでもなく、精神療法を含めた人間学的な接近が必要とされます。
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