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■用語 薬剤性鼻炎 [用語(や)]

[位置情報]市販の点鼻薬や内服薬を使用し続けた時、その副作用で起こる鼻炎
 薬剤性鼻炎とは、治療のために使用している薬物によって、鼻粘膜がうっ血して膨張し、鼻詰まりを起こした状態。薬剤誘発性鼻炎とも呼ばれます。
 この薬剤性鼻炎には、市販の血管収縮性点鼻薬によるものと、内服薬によるものとがあります。
 鼻には、吸い込んだ空気を加温、加湿する役目があります。鼻の中には甲介骨(こうかいこつ)という数枚の骨が突き出しており、ちょうど暖房器の放熱板のように表面積を広くして、呼気を加温、加湿しやすくしています。とりわけ下鼻甲介骨の表面には、海綿状静脈洞という分厚い血管網が取り巻き、その表面をさらに粘膜が覆っていて、吸い込んだ呼気と温かい血液の間で熱交換することで呼気を温めます。
 このように血管が豊富な鼻粘膜の組織が、さまざまな鼻疾患によって充血して病的に膨張すると、鼻の空気の通り道が狭くなって鼻詰まりが生じます。鼻詰まりに対して、市販の血管収縮性点鼻薬は即効性があり、海綿状静脈洞の血管を急激に収縮させてその場で鼻詰まりを取ります。最初は4時間程度効果が続きますが、長期間に渡って連用すると効果が少なくなり、さらには生理的な血管調節が障害され、鼻粘膜はかえってはれ上がります。
 鼻炎が悪化すると、血管収縮性点鼻薬の効き目が切れる時の呼吸困難感は耐えられず、何度も血管収縮性点鼻薬を使用するという悪循環を繰り返します。使用をやめると、症状が以前よりも悪化することがあります。使用している人に、血管収縮性点鼻薬が鼻炎の悪化の原因になっているという自覚がないこともあります。
 症状としては、鼻詰まりを主に、嗅覚(きゅうかく)障害、鼻漏(びろう)、前頭部の頭痛などがみられるほかに、鼻部の不快感や乾燥感、イライラ感、鼻出血なども生じることがあります。また、血管収縮性点鼻薬を常用する切っ掛けとなったアレルギー性鼻炎や、花粉症などのの症状を合併している場合もあります。
 血管収縮性点鼻薬を大量に使用すると、心臓の血管が収縮し、心筋梗塞(しんきんこうそく)を起こした報告もあります。薬物依存を起こし、重大な副作用の原因にもなるので、薬局、薬店では買わず医療機関で相談してから使用するのが安全です。
 一方、原疾患の治療のために使用している内服薬にも、長期間に渡って連用すると薬剤性鼻炎の原因となって、鼻詰まりなどの副作用を発現するものがあります。
 原因となる内服薬には、高血圧薬として使われる交感神経遮断性降圧剤やベータ受容体刺激性降圧剤、アスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症鎮痛薬、点鼻用血管収縮薬、利尿剤、抗精神病薬、抗パーキンソン薬、気管支拡張剤、経口避妊薬、勃起(ぼっき)不全治療薬などがあります。
[位置情報]薬剤性鼻炎の自己治療と医師による治療
 薬剤性鼻炎の症状を治すには、常用している血管収縮性点鼻薬などの中止が第一です。1〜2週間の完全中止で、血管収縮性点鼻薬の影響はおよそ消失するといわれます。
 しかし、鼻詰まりの症状を苦にして血管収縮性点鼻薬を常用するようになったのであり、使用を中止すれば、少なくとも一時的には鼻詰まりが強くなることが多いため、急に中止することが困難なこともしばしばあります。この際は、まず副腎(ふくじん)皮質ステロイドの入った抗アレルギー用の点鼻薬を併用して、血管収縮性点鼻薬の使用は就寝前などに制限して減量していき、1ないし3週間かけて完全に中止します。
 また、血管収縮性点鼻薬を常用する切っ掛けとなった原疾患が存在するならば、その治療を行わなければ、たとえいったん血管収縮性点鼻薬を中止できても、問題を解決したとはいえません。
 症状がひどいケースでは、耳鼻咽喉(いんこう)科の医師によるアレルギー性鼻炎などの原疾患に対する手術も行われます。はれ上がった下鼻甲介骨粘膜を電気やレーザーで焼いて取り除いたり、アルゴンガスの中に特殊な高周波電流を流すことで生じるプラズマで焼いて取り除いたりして、鼻詰まりを取ります。




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■用語 やぶにらみ [用語(や)]

[目]注視点に向かう両目の視線がずれている状態
 やぶにらみとは、両目が見ようとする目標に向かわず、一方の目は目標に向いているのに、片方の目はよそを向いている状態。斜視とも呼ばれます。
 よそを向く方向によって、内やぶにらみ、外やぶにらみ、上やぶにらみ、下やぶにらみ、回旋やぶにらみなどに区別されます。
 内やぶにらみでは、右目または左目だけが内側(中心)を向いています。外やぶにらみでは、右目または左目だけが外側を向いています。上やぶにらみでは、右目または左目だけが上を向いています。下やぶにらみでは、右目または左目だけが下を向いています。回旋やぶにらみでは、視野が時計回りか反時計回りかに回るようなずれ方をします。人間の目には、回転する円盤のような物を見た時にも視野をぶれなくする仕組みがあり、それに対応したやぶにらみが回旋やぶにらみです。どちらの目がよそを向くかは、人によってさまざまです。
 また、やぶにらみの状態によって、恒常性やぶにらみ、間欠性やぶにらみ、隔日性やぶにらみに区別されます。恒常性やぶにらみでは、 常にやぶにらみの状態にあります。間欠性やぶにらみでは、時々視線がずれます。隔日性やぶにらみでは、やぶにらみの日とそうでない日が交互に現れます。
 さらに、やぶにらみには両目で見ている時、明らかに視線がずれているやぶにらみと、ある種の検査によって初めてずれがわかる斜位(潜在性やぶにらみ)とがあります。
 やぶにらみの自覚症状としては、その独特の目の動きのほか、物が二重に見える復視、眼精疲労、距離感がつかみにくいっといった空間知覚の異常、目の違和感、頭痛など、さまざまなものがあります。
 一般に、やぶにらみは子供に多くみられます。特に、生後6カ月以内に発症した乳児内やぶにらみは、目の寄り方が大きく、目が外へ向かずに上を向いている上斜位を伴っていたり、やぶにらみになったほうの目が使われないので弱視になりやすいという特徴があります。その他、調節性内やぶにらみといい、遠視が強いために物を見ようと努力することによって、内やぶにらみになっているものがあります。
 早期に治療を開始したほうがよく、早期発見のために母親などの十分な注意が必要となります。子供が物を見る時、顔を傾けて見る、あごを上げて見る、あごを下げて見る、片目をつぶって見るといったような、何らかの見づらそうな行動をとった時は要注意です。
 斜位(潜在性やぶにらみ)は、左右の眼筋の均衡がとれていないために、眼球を正しい位置に保つのに努力がいる状態です。この斜位が軽度の場合は無症状のことが多いのですが、強度の人や軽度であっても神経質な人は、読書時の疲労や頭痛、時には、めまい、吐き気などを生じることがあります。
 やぶにらみのようにみえても、眼科的にはやぶにらみではないものを偽やぶにらみといいます。特に、子供のころには、内やぶにらみにみえても実際には内やぶにらみではないものが多いようです。小さな子供で目頭に余分な皮膚がある状態があると、目の鼻寄りの白目の部分が皮膚で覆われるために、目が寄っているようにみえ、本当のやぶにらみか偽やぶにらみかわかりにくいことがあります。この場合、光の反射像が両目同じ位置にあればやぶにらみです。
[目]やぶにらみの検査と診断と治療
 子供の目に異変を感じたら、できるだけ早く眼科の医師の診断を受けることが勧められます。
 やぶにらみ(斜視)の治療では、まず眼鏡による屈折矯正が行われます。屈折矯正だけで治ることもありますが、症状によっては手術が必要になってくることもあります。手術の時期については、疾患の状態によって異なるものの、乳幼児やぶにらみでは2歳頃までの早期手術が勧められています。
 手術では、目の筋肉のバランスを整えることでやぶにらみを治療します。例えば、外に目が向いている場合は、外についている筋肉を弱める、または内についている筋肉を強めれば、目の位置が正常に戻ります。子供の場合は全身麻酔が必要ですが、大人なら局所麻酔で入院なしに手術を行うことができます。手術では、1つの筋肉で30分程度を要します。術後は目が赤くなりますが、10~14日ほどで赤みは次第に消えていきます。
 なお、成長期にある子供の場合には、内やぶにらみの手術後数年で外やぶにらみになることもありますし、外やぶにらみの手術後数年で内やぶにらみになってしまうこともありますので、再手術が必要になる可能性があることも考慮すべきです。
 ボツリヌス毒素注射療法といって、ボツリヌス菌が出すボツリヌス毒素を注射して、筋肉の収縮を抑制させ、バランスをとってやぶにらみを治療する方法もあります。例えば、内やぶにらみの内直筋に注射すると、外側に目が動きます。治療効果が永続的でないため、繰り返し行う必要があります。
 遠視が原因でやぶにらみが起こっている調節性内やぶにらみの場合は、まず遠視の眼鏡で矯正します。眼鏡で治らない部分については、手術を行います。
 斜視のずれがわずかな斜位(潜在性やぶにらみ)が軽度の場合は、自覚症状がなければ治療の必要はありません。プリズム眼鏡と呼ばれる光線を曲げる眼鏡をかけることで、物が二重に見えるのを治療できることもあります。




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■用語 薬膳 [用語(や)]

[レストラン]薬膳(やくぜん)とは、中国伝統医学の理論に基づいて調理される料理のこと。
 中国料理の底流には医食同源という考え方があり、すべての食物は薬品としての効能も併せ持っているとされています。この考え方に基づき、漢方薬の素材や異なる薬効のある食物を取り合わせ、料理で健康増進を図ります。
 病気を予防し健康な状態を保つことを目的とする「食養」と、病気の治療を目的とする「食療」があります。
 また、漢方薬の素材など特別な材料を使ったものだけでなく、穀物、野菜、肉、魚など、身近な食材を使った料理も含まれます。
 具体的には、食べ物の味や性質、色を「五味」「五性」「五色」に分類し、それぞれの効能や組み合わせによる効果、内臓との関係など考慮し、体調、体質、季節に合わせて作ります。
 例えば、季節ごとに「体を温める食材」「体を冷やす食材」などを使い分けることで、病気を予防する食生活を実践できるとされています。




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■用語 夜尿症 [用語(や)]

[眠い(睡眠)]5〜6歳を過ぎても夜のお漏らしがある状態
 夜尿症とは、肉体的にも知能的にも正常なのに、5〜6歳を過ぎても継続的に夜のお漏らしがある状態。排泄(はいせつ)障害の1つで、遺尿症とも呼ばれます。
 睡眠中に無意識に排尿してしまうのは、膀胱(ぼうこう)に尿がいっぱいになったのが自覚できなかったり、膀胱に尿が十分にたまっていないのに我慢できないために起こります。
 乳児のお漏らしは当たり前のことで、成長するに連れて夜尿の回数は減っていき、ほとんど5〜6歳までにはなくなります。しかし、その年齢にはかなり個人差があり、5歳を過ぎて夜尿があっても、必ずしも病的というわけではありません。経過をみて、次第に回数が減ってくるようであれば、夜尿症として大騒ぎすることはありません。
 一説では、5〜6歳児では約20パーセント、小学校低学年では約10パーセント、小学校高学年では約5パーセントに夜尿症がみられるとされています。男女別では、児童・学童では男子のほうが多く、成人では女性のほうに多いとされ、遺伝する傾向も指摘されています。
 原因としては、いくつかのことが考えられています。一つには、排尿のメカニズムに関係する自律神経の緊張状態が考えられます。自律神経の一つである副交感神経が過敏で、排尿を促す信号をすぐに出してしまう状態です。
 二つ目は、普通は尿は夜間に作られる量が減るはずですが、ホルモンの調節が未熟で脳下垂体から出る抗利尿ホルモンが少ないため、夜中にもたくさんの尿ができるのも一つの原因と考えられています。
 さらに、先天的に膀胱の容量が小さいことも、夜尿症の原因になります。これらの原因が発症者個人について、必ずしも明確にわかるわけではありません。
 以上の原因のほかに、夜尿が尿路感染症や尿崩症の症状としてみられる場合があります。夜尿症の治療を希望する場合は、小児科の専門医を受診します。
[眠い(睡眠)]夜尿症の検査と診断と治療
 医師はまず、尿路感染症や尿崩症などの基礎疾患がないことを確かめた上で、夜尿症の治療に取り掛かります。
 医師による治療では、原因を想定して、順次それに応じた対策を試みていくことになります。副交感神経が過敏なためと考えられる場合は、緊張状態を解くために三環系抗うつ剤や抗コリン剤、精神安定剤を試します。三環系抗うつ剤の有効率は40〜50パーセント程度で、飲んでいる時は尿意で起きたり、朝まで尿を我慢できるようになりますが、中止すると元に戻ることが多い薬です。
 抗利尿ホルモンの分泌が少ないためと考えられる場合は、夜の就寝前に抗利尿ホルモンを投与します。これには点鼻薬があり、寝る前に鼻にスプレーするだけなので簡単に治療を行うことができます。有効率は40〜50パーセント程度で、尿量を減らす薬なので使用している時は夜尿は減りますが、短期間で中止すると元に戻ることも多い薬です。また、使用時に水分を取りすぎると水中毒という合併症を起こすため、使用2〜3時間前から次の朝まで水分を制限し、コップ一杯程度にする必要があります。
 膀胱の容量が小さいためと考えられる場合は、昼間たくさん水を飲ませて、できるだけ排尿を我慢させる方法がとられます。また、排尿時に一時的に排尿をストップさせることにより、排尿をコントロールする訓練も行われます。
 眠った後に無理やり起こして排尿させる方法は、目が覚めない状態で排尿するというパターンが身に着いてしまうといわれ、今は行われていません。尿が少し漏れるとアラームが鳴る夜尿アラームという装置が開発されており、有効であることがわかっています。
 夜尿アラームは睡眠中の膀胱容量を増やし、尿意により起きやすくする効果がある方法で、少なくとも3カ月間行い、有効率は約60パーセントです。ただし、アラームでは患児本人は起きないことがほとんどのため、家族が起こす必要があり、毎日行うとかなりの負担になります。
 夜尿症が精神的、心理的原因で起きるという考え方は、今ではあまりいわれなくなりました。従って、育児に問題があるとか、何か心理的要因があるというふうに考える必要はありません。夜尿症は膀胱や排尿にかかわるメカニズムが未熟なために生じていることで、体の発育とともにいずれは治るのだという考え方が大切です。
 お漏らしをしたからといって子供をしからず、本人に引け目を感じさせないようにします。親や子供が神経質になって、治るものも治りにくくすることがあるので、注意が必要です。




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