■用語 レストレス・レッグス症候群 [用語(れ)]
下肢を中心に不快な感覚、むずむずする運動が発生
レストレス・レッグス症候群(RLS:Restless legs syndrome)とは、夜間の睡眠時などに下肢を中心に不快な感覚が起こり、むずむずする不穏な運動を生じて、慢性的に寝付けない病状。むずむず脚症候群、下肢静止不能症候群とも呼ばれています。
調査によると、日本では人口の3~5パーセントにみられ、およそ130万人の発症者がいます。症状の軽い人も含めると、200万人近くになります。年代別と性別でいえば、40歳以上の中高年に多く、特に40~60歳の女性に多くみられます。不眠症の発症者の10人に1人の割合で、レストレス・レッグス症候群の人がいるともいわれています。
正確な原因は不明ですが、神経伝達物質であるドーパミンの機能低下、中枢神経における鉄分の不足による代謝の異常、脊髄(せきずい)や末梢(まっしょう)神経の異常、遺伝的な要素などが考えられています。 鉄欠乏性貧血、パーキンソン病、尿毒症、妊娠、糖尿病、痛風、結核、肝炎、肺炎、関節リウマチ、胃切除後の下肢静脈血栓などの状態にある人や、慢性腎(じん)不全で人工透析をしている人、抗うつ薬や抗精神病薬を服用している人などに多くみられます。
症状としては、足の裏、ふくらはぎ、太ももに、虫がはっているような感覚や、むずむず感、ほてり感などの不快な感覚が起こるために、じっとしていられません。横になっている時や座っている時などに起こり、多くは夕方から夜にかけて強くなります。立って歩いたり、脚を動かすと症状が治まったりして楽になるものの、じっとしていると再び症状が現れます。
症状が最も現れやすいのが、夜、寝床に入っている時です。最初は時々起こる程度ですが、悪化すると毎日起こるようになり、不眠症や日中の眠気の原因となります。次第に、夜だけでなく昼間でも、テレビを見ている時、会議の最中、電車での移動中など、座ってじっとしていると症状が起こるようになり、日常生活のあらゆる場面で支障を来すようになります。また、不快感が下肢だけでなく、腰から背中、腕、手など全身にまで広がることもあります。
このレストレス・レッグス症候群の診断は、国際RLS研究班が考案した診断基準に従って行います。以下の4つが、その必須項目です。
1、脚を動かしたいという強い欲求が、かゆみや痛みなどの不快な下肢の異常感覚に伴って生じる。2、 その症状は、安静にして静かに横になったり座ったりしている状態で始まる、あるいはひどくなる 。3、その症状は、歩いたり脚を伸ばすなどの運動を続けている間は改善する、または治る。4、 その症状は、日中より夕方から夜間にかけて強まる、または夕方から夜間のみに起こる。
なお、レストレス・レッグス症候群は、皮膚の乾燥によってかゆみを感じる乾皮症との区別が必要です。高齢になると、皮膚が乾燥してかゆみが起こりやすくなります。特に、空気が乾燥しやすい冬は、かゆみに悩まされる人が多くなります。こういう乾皮症によるかゆみは、皮膚の表面に起こるものです。通常、保湿剤を塗ってスキンケアしたり、室内の乾燥を防ぐなど、日常生活の中で注意することで改善します。
一方、レストレス・レッグス症候群でのむずむず感は、皮膚の表面ではなく、脚の内部に起こります。症状が重い場合には、脚の中に手を入れてかき回したいと表現されるほどです。
また、レストレス・レッグス症候群では多くの場合、周期性四肢運動障害を伴います。睡眠中に、片側または両側の足首から先が何かをける時のようにピクッと動き、この不随意な動きを1時間に15回以上繰り返すために眠れなくなる疾患です。
通常、20~30秒周期で脚の動きを繰り返します。悪化すると回数が増え、多い人では1時間に100回以上起こる場合もあります。脚が動いても、多くの場合本人は気付きませんが、脚がピクッと動くと、脳は目覚めてしまうので眠りが妨げられます。熟睡感が得られず、昼間に眠気が起こるようになります。
レストレス・レッグス症候群の検査と診断と治療
レストレス・レッグス症候群や周期性四肢運動障害で起こる不眠は、睡眠薬を服用しても解消されません。レストレス・レッグス症候群の場合は、睡眠障害を専門にしている医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。
一番の問題点は、医師による身体所見や検査で異常が認められず、レストレス・レッグス症候群と診断できずに、無駄な投薬治療と時間を費やすことがある点です。ドクターショッピングをする発症者がいることも、まれではありません。もし、近くに睡眠障害の専門医療機関がない場合は、精神科もしくは神経内科に相談してみましょう。
医師による診断では、1週間における脚の不快な感覚の程度や動き回りたい欲求の程度、睡眠の障害や日中の疲労感、眠気を聞くことにより重症度がわかり、治療効果の判定に活用されます。睡眠ポリグラフ検査を行うと、周期性四肢運動障害の合併が50〜80パーセントで認められます。その他、MRI(機能性磁気共鳴画像装置)を利用した検査を行い、診断します。
レストレス・レッグス症候群の治療は、原因となる疾患がある場合にはその治療と、症状を抑えて不眠を改善することが基本になります。軽症の場合、多くは日常生活の改善で解消されます。症状が強い場合は、薬による治療を行います。
薬で主に使われるのは、パーキンソン病の治療薬であるカルビドパ/レボドパ合剤(メネシット)。脳神経に指令を伝えるドーパミンの働きを改善する薬で、パーキンソン病の治療で使うよりも少ない量を服用します。
十分な効果が得られない場合は、抗てんかん薬であるクロナゼパム(リボトリール、ランドセン)やバルプロ酸をさらに用いることもあります。また、鉄分不足が原因となっていると考えられる場合には、鉄分を補充するための鉄剤を使います。これらの薬物療法で、9割以上の人に症状の改善がみられます。
睡眠導入剤や抗うつ薬を用いると、むずむず感が解消されないまま眠気だけがどんどん増し、かえって症状を悪化させる可能性があるため、一般には処方されません。
日常生活の改善としては、カフェインは脚の不快感を強くしたり、眠りを浅くすることがあるので、コーヒーや紅茶などの摂取を制限します。たばこに含まれるニコチン、アルコールも同様ですので、特に症状が現れやすくなる夕方以降は摂取を控えるようにします。
起床時と就寝前に、ストレッチやヨガなどの軽い運動やマッサージをすれば、症状が治まります。ただし、体を激しく動かすスポーツなどを行うと、その反動が夜寝てから現れて、かえって症状が悪化してしまいますので、注意が必要となります。症状の軽い人なら、ウォーキング程度で十分で、自転車やエアロバイクも太ももやふくらはぎの筋肉を使うので同様の効果が期待できます。
レストレス・レッグス症候群(RLS:Restless legs syndrome)とは、夜間の睡眠時などに下肢を中心に不快な感覚が起こり、むずむずする不穏な運動を生じて、慢性的に寝付けない病状。むずむず脚症候群、下肢静止不能症候群とも呼ばれています。
調査によると、日本では人口の3~5パーセントにみられ、およそ130万人の発症者がいます。症状の軽い人も含めると、200万人近くになります。年代別と性別でいえば、40歳以上の中高年に多く、特に40~60歳の女性に多くみられます。不眠症の発症者の10人に1人の割合で、レストレス・レッグス症候群の人がいるともいわれています。
正確な原因は不明ですが、神経伝達物質であるドーパミンの機能低下、中枢神経における鉄分の不足による代謝の異常、脊髄(せきずい)や末梢(まっしょう)神経の異常、遺伝的な要素などが考えられています。 鉄欠乏性貧血、パーキンソン病、尿毒症、妊娠、糖尿病、痛風、結核、肝炎、肺炎、関節リウマチ、胃切除後の下肢静脈血栓などの状態にある人や、慢性腎(じん)不全で人工透析をしている人、抗うつ薬や抗精神病薬を服用している人などに多くみられます。
症状としては、足の裏、ふくらはぎ、太ももに、虫がはっているような感覚や、むずむず感、ほてり感などの不快な感覚が起こるために、じっとしていられません。横になっている時や座っている時などに起こり、多くは夕方から夜にかけて強くなります。立って歩いたり、脚を動かすと症状が治まったりして楽になるものの、じっとしていると再び症状が現れます。
症状が最も現れやすいのが、夜、寝床に入っている時です。最初は時々起こる程度ですが、悪化すると毎日起こるようになり、不眠症や日中の眠気の原因となります。次第に、夜だけでなく昼間でも、テレビを見ている時、会議の最中、電車での移動中など、座ってじっとしていると症状が起こるようになり、日常生活のあらゆる場面で支障を来すようになります。また、不快感が下肢だけでなく、腰から背中、腕、手など全身にまで広がることもあります。
このレストレス・レッグス症候群の診断は、国際RLS研究班が考案した診断基準に従って行います。以下の4つが、その必須項目です。
1、脚を動かしたいという強い欲求が、かゆみや痛みなどの不快な下肢の異常感覚に伴って生じる。2、 その症状は、安静にして静かに横になったり座ったりしている状態で始まる、あるいはひどくなる 。3、その症状は、歩いたり脚を伸ばすなどの運動を続けている間は改善する、または治る。4、 その症状は、日中より夕方から夜間にかけて強まる、または夕方から夜間のみに起こる。
なお、レストレス・レッグス症候群は、皮膚の乾燥によってかゆみを感じる乾皮症との区別が必要です。高齢になると、皮膚が乾燥してかゆみが起こりやすくなります。特に、空気が乾燥しやすい冬は、かゆみに悩まされる人が多くなります。こういう乾皮症によるかゆみは、皮膚の表面に起こるものです。通常、保湿剤を塗ってスキンケアしたり、室内の乾燥を防ぐなど、日常生活の中で注意することで改善します。
一方、レストレス・レッグス症候群でのむずむず感は、皮膚の表面ではなく、脚の内部に起こります。症状が重い場合には、脚の中に手を入れてかき回したいと表現されるほどです。
また、レストレス・レッグス症候群では多くの場合、周期性四肢運動障害を伴います。睡眠中に、片側または両側の足首から先が何かをける時のようにピクッと動き、この不随意な動きを1時間に15回以上繰り返すために眠れなくなる疾患です。
通常、20~30秒周期で脚の動きを繰り返します。悪化すると回数が増え、多い人では1時間に100回以上起こる場合もあります。脚が動いても、多くの場合本人は気付きませんが、脚がピクッと動くと、脳は目覚めてしまうので眠りが妨げられます。熟睡感が得られず、昼間に眠気が起こるようになります。
レストレス・レッグス症候群の検査と診断と治療
レストレス・レッグス症候群や周期性四肢運動障害で起こる不眠は、睡眠薬を服用しても解消されません。レストレス・レッグス症候群の場合は、睡眠障害を専門にしている医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。
一番の問題点は、医師による身体所見や検査で異常が認められず、レストレス・レッグス症候群と診断できずに、無駄な投薬治療と時間を費やすことがある点です。ドクターショッピングをする発症者がいることも、まれではありません。もし、近くに睡眠障害の専門医療機関がない場合は、精神科もしくは神経内科に相談してみましょう。
医師による診断では、1週間における脚の不快な感覚の程度や動き回りたい欲求の程度、睡眠の障害や日中の疲労感、眠気を聞くことにより重症度がわかり、治療効果の判定に活用されます。睡眠ポリグラフ検査を行うと、周期性四肢運動障害の合併が50〜80パーセントで認められます。その他、MRI(機能性磁気共鳴画像装置)を利用した検査を行い、診断します。
レストレス・レッグス症候群の治療は、原因となる疾患がある場合にはその治療と、症状を抑えて不眠を改善することが基本になります。軽症の場合、多くは日常生活の改善で解消されます。症状が強い場合は、薬による治療を行います。
薬で主に使われるのは、パーキンソン病の治療薬であるカルビドパ/レボドパ合剤(メネシット)。脳神経に指令を伝えるドーパミンの働きを改善する薬で、パーキンソン病の治療で使うよりも少ない量を服用します。
十分な効果が得られない場合は、抗てんかん薬であるクロナゼパム(リボトリール、ランドセン)やバルプロ酸をさらに用いることもあります。また、鉄分不足が原因となっていると考えられる場合には、鉄分を補充するための鉄剤を使います。これらの薬物療法で、9割以上の人に症状の改善がみられます。
睡眠導入剤や抗うつ薬を用いると、むずむず感が解消されないまま眠気だけがどんどん増し、かえって症状を悪化させる可能性があるため、一般には処方されません。
日常生活の改善としては、カフェインは脚の不快感を強くしたり、眠りを浅くすることがあるので、コーヒーや紅茶などの摂取を制限します。たばこに含まれるニコチン、アルコールも同様ですので、特に症状が現れやすくなる夕方以降は摂取を控えるようにします。
起床時と就寝前に、ストレッチやヨガなどの軽い運動やマッサージをすれば、症状が治まります。ただし、体を激しく動かすスポーツなどを行うと、その反動が夜寝てから現れて、かえって症状が悪化してしまいますので、注意が必要となります。症状の軽い人なら、ウォーキング程度で十分で、自転車やエアロバイクも太ももやふくらはぎの筋肉を使うので同様の効果が期待できます。
タグ:用語(れ) レストレス・レッグス症候群 寝違え 不眠症 ノンレム睡眠 レム睡眠 過眠症 睡眠改善薬 睡眠薬 いびき ナルコレプシー レム睡眠行動障害 中途覚醒 睡眠時無呼吸症候群 歯ぎしり こむら返り 早朝覚醒 夜尿症 夜間頻尿 夢遊病 夜驚症 健康創造塾 用語 用語(ら行) むずむず脚症候群 入眠障害 熟眠障害 睡眠相後退症候群 周期性四肢運動障害 薬原性不眠 睡眠時遺尿症 成人夜尿症 遺尿症 居眠り病 下肢静止不能症候群 RBD(レム睡眠行動障害) 概日リズム睡眠障害 腓腹筋けいれん 有痛性筋けいれん 筋クランプ 睡眠時遊行症 RLS(レストレス・レッグス症候群) PLMD(周期性四肢運動障害)
■用語 レム睡眠行動障害 [用語(れ)]
夢の内容に反応して、異常行動が出現する睡眠障害
レム睡眠行動障害(RBD:Rapid Eye Movement Sleep Behavior Disorder)とは、睡眠中、夢体験と同じ行動をとってしまう疾患。発症者は多くの場合、夢の内容を覚えています。
健康な人であれば、浅い眠りの状態であるレム睡眠中には、骨格筋が脱力して動きません。しかし、レム睡眠行動障害では、夢の内容に反応して筋肉が動かないようにしている抑制機構が障害されるため、夢の中での行動がそのまま現実の行動となって現れてしまいます。
大声で寝言をいったり、腕を上げて何かを探す仕草をしたりします。症状が強い場合では、起き上がって歩き回る、壁を殴る、立ち上がった際に家具にぶつかって頭にけがを負う、窓から飛び出して骨折する、あるいは、ベッドパートナーに殴る、けるなどの暴力を振るってけがを負わせるなど、危険を伴うこともあります。
多くの場合、恐怖感を伴う悪夢に合わせて声を上げて暴れたり、何かと闘っているつもりで、暴力的な行為をしてしまいます。
人間は眠っている際、レム睡眠とノンレム睡眠という2つのタイプの睡眠を繰り返しています。レム睡眠は、体が深く眠っているにもかかわらず、脳が起きているような状態です。そのため、よく夢を見たり、眼球がキョロキョロ動いたりします。一方、ノンレム睡眠は、脳が眠っている状態です。夢はほとんど見ず、もし見たとしても覚えていないことが多いでしょう。
一般的には、入眠してから60~120分で、最初のレム睡眠が出現。その後、深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠が、交互に現れて、1セット約90分で繰り返されます。
レム睡眠行動障害の発症は、50歳代以降の中高年の男性に集中しています。60歳代半ばごろが多く、80歳代でも発症します。
原因のわからない原発性のほか、頭部外傷、脳炎、髄膜炎など頭部の炎症性疾患、アルコールの摂取、睡眠の不足、抗うつ薬の服用など二次的要因によるものがあります。最近では、パーキンソン病、レビー小体病(レビー小体型認知症)、他系統委縮症などの神経疾患との関連が指摘され、これらの神経疾患の発症に先立ってレム睡眠行動障害がみられることもあるとされています。
手足を軽く動かす程度の軽症であればあまり問題にはなりませんが、自傷行為や暴力的な行為の症状がひどいようであれば、早めに睡眠科や精神科、神経内科などを受診することが勧められます。現状では専門医が少ないのも課題になっていますが、検査ができる認定施設は日本睡眠学会のホームページに記載されています。
医師による診断は、病歴の聴取により夢の内容と行動が一致するかどうかを調べることで可能です。レム睡眠行動障害では、寝言や睡眠時の異常行動が本人の見ていた夢と一致します。また、異常行動中に覚醒(かくせい)させることも容易であるため、周囲の人が本人に夢の内容を確認しておくことが参考になります。ビデオ記録も参考になります。
一方、睡眠時の異常行動としてよく知られている夢遊症(夢遊病、睡眠時遊行症)は覚醒させることが困難な上、行動中の記憶はほとんどありません。夢遊症は通常、深い眠りのノンレム睡眠の時に起こり、夢とは関係なく起こります。これが両者の違いであり、重要な診断基準となります。
終夜睡眠ポリグラフ検査により、レム睡眠中の筋活動高進も確認します。
医師による治療には、誘発因子の除去と薬物療法があります。誘発因子の除去においては、ストレスやアルコールが症状を悪化させるため、深酒などを控えます。薬物療法においては、抗てんかん薬のクロナゼパムを就寝時に服用するのが有効です。完全に治ることは少ないものの、服用を開始後1週間ほどで約8割の人は異常行動がなくなったり、頻度が減少したりします。
ただし、クロナゼパムは睡眠時無呼吸を増悪させるので、いびき、睡眠時の無呼吸がある場合は、クロナゼパムによる治療の前に睡眠時無呼吸症候群の評価が必要です。
クロナゼパムで症状が十分に改善されなかったり、副作用が問題とされる場合には、不眠治療に用いられることがあるホルモン剤のメラトニンや、ドーパミン神経の促進薬などを組み合わせて服用します。
薬は飲み続ける必要があり、よくなったからといってやめると、再び悪くなります。なお、レム睡眠行動障害では、周囲の環境を安全にしておくことが重要になります。
レム睡眠行動障害(RBD:Rapid Eye Movement Sleep Behavior Disorder)とは、睡眠中、夢体験と同じ行動をとってしまう疾患。発症者は多くの場合、夢の内容を覚えています。
健康な人であれば、浅い眠りの状態であるレム睡眠中には、骨格筋が脱力して動きません。しかし、レム睡眠行動障害では、夢の内容に反応して筋肉が動かないようにしている抑制機構が障害されるため、夢の中での行動がそのまま現実の行動となって現れてしまいます。
大声で寝言をいったり、腕を上げて何かを探す仕草をしたりします。症状が強い場合では、起き上がって歩き回る、壁を殴る、立ち上がった際に家具にぶつかって頭にけがを負う、窓から飛び出して骨折する、あるいは、ベッドパートナーに殴る、けるなどの暴力を振るってけがを負わせるなど、危険を伴うこともあります。
多くの場合、恐怖感を伴う悪夢に合わせて声を上げて暴れたり、何かと闘っているつもりで、暴力的な行為をしてしまいます。
人間は眠っている際、レム睡眠とノンレム睡眠という2つのタイプの睡眠を繰り返しています。レム睡眠は、体が深く眠っているにもかかわらず、脳が起きているような状態です。そのため、よく夢を見たり、眼球がキョロキョロ動いたりします。一方、ノンレム睡眠は、脳が眠っている状態です。夢はほとんど見ず、もし見たとしても覚えていないことが多いでしょう。
一般的には、入眠してから60~120分で、最初のレム睡眠が出現。その後、深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠が、交互に現れて、1セット約90分で繰り返されます。
レム睡眠行動障害の発症は、50歳代以降の中高年の男性に集中しています。60歳代半ばごろが多く、80歳代でも発症します。
原因のわからない原発性のほか、頭部外傷、脳炎、髄膜炎など頭部の炎症性疾患、アルコールの摂取、睡眠の不足、抗うつ薬の服用など二次的要因によるものがあります。最近では、パーキンソン病、レビー小体病(レビー小体型認知症)、他系統委縮症などの神経疾患との関連が指摘され、これらの神経疾患の発症に先立ってレム睡眠行動障害がみられることもあるとされています。
手足を軽く動かす程度の軽症であればあまり問題にはなりませんが、自傷行為や暴力的な行為の症状がひどいようであれば、早めに睡眠科や精神科、神経内科などを受診することが勧められます。現状では専門医が少ないのも課題になっていますが、検査ができる認定施設は日本睡眠学会のホームページに記載されています。
医師による診断は、病歴の聴取により夢の内容と行動が一致するかどうかを調べることで可能です。レム睡眠行動障害では、寝言や睡眠時の異常行動が本人の見ていた夢と一致します。また、異常行動中に覚醒(かくせい)させることも容易であるため、周囲の人が本人に夢の内容を確認しておくことが参考になります。ビデオ記録も参考になります。
一方、睡眠時の異常行動としてよく知られている夢遊症(夢遊病、睡眠時遊行症)は覚醒させることが困難な上、行動中の記憶はほとんどありません。夢遊症は通常、深い眠りのノンレム睡眠の時に起こり、夢とは関係なく起こります。これが両者の違いであり、重要な診断基準となります。
終夜睡眠ポリグラフ検査により、レム睡眠中の筋活動高進も確認します。
医師による治療には、誘発因子の除去と薬物療法があります。誘発因子の除去においては、ストレスやアルコールが症状を悪化させるため、深酒などを控えます。薬物療法においては、抗てんかん薬のクロナゼパムを就寝時に服用するのが有効です。完全に治ることは少ないものの、服用を開始後1週間ほどで約8割の人は異常行動がなくなったり、頻度が減少したりします。
ただし、クロナゼパムは睡眠時無呼吸を増悪させるので、いびき、睡眠時の無呼吸がある場合は、クロナゼパムによる治療の前に睡眠時無呼吸症候群の評価が必要です。
クロナゼパムで症状が十分に改善されなかったり、副作用が問題とされる場合には、不眠治療に用いられることがあるホルモン剤のメラトニンや、ドーパミン神経の促進薬などを組み合わせて服用します。
薬は飲み続ける必要があり、よくなったからといってやめると、再び悪くなります。なお、レム睡眠行動障害では、周囲の環境を安全にしておくことが重要になります。
タグ:用語(れ) 用語(ら行) 用語 PLMD(周期性四肢運動障害) RLS(レストレス・レッグス症候群) 脳、脊髄、神経の病気 入眠障害 健康創造塾 薬原性不眠 睡眠相後退症候群 周期性四肢運動障害 レストレス・レッグス症候群 むずむず脚症候群 熟眠障害 レム睡眠行動障害 寝違え 不眠症 ノンレム睡眠 レム睡眠 過眠症 睡眠改善薬 睡眠時遺尿症 成人夜尿症 遺尿症 居眠り病 下肢静止不能症候群 RBD(レム睡眠行動障害) 概日リズム睡眠障害 いびき ナルコレプシー 睡眠薬 中途覚醒 睡眠時無呼吸症候群 歯ぎしり こむら返り 早朝覚醒 夜尿症 夜間頻尿 夜驚症 腓腹筋けいれん 有痛性筋けいれん 筋クランプ 睡眠時遊行症
■用語 レートリル [用語(れ)]
水溶性のビタミン様作用物質で、抗がん作用があるとされる天然物質
レートリルとは、杏(あんず)などの未熟果実の種子に含まれる水溶性のビタミン様作用物質で、抗がん作用があるとされる青酸配糖体。アミグダリン、ビタミンB17とも呼ばれています。
杏以外にも、梅や桃(もも)などの未熟果実の種子に含まれ、果肉や葉、樹皮にも微量含まれています。
抗がん作用については、β-グルコシダーゼという分解酵素がレートリルに含まれるシアン化合物(青酸化合物)を分解させることで、毒性となり、がん細胞のみを死滅させると見なされています。正常細胞は、ロ一ダネーゼというミトコンドリアの酵素により保護され、何ら影響を受けません。むしろ抵抗力や活性度は上がり、レートリルによってがんに伴う痛みも沈静化されます。
このように、レートリルに含まれているシアン化合物にがんを抑制する効果があるとされていて、アメリカでは多くの州で、がんの治療薬として認められていますが、その効果については評価が定まっていません。
日本でも、杏や桃の種子は漢方薬の材料である杏仁(きょうにん)、桃仁(とうにん)でもあり、レートリルを薬効成分として経口で去痰(きょたん)、鎮咳(ちんがい)などの用途に利用されています。また、皮膚に塗布すると、かゆみを止めるなどの作用があります。
レートリルを多く含む食品としては、杏、梅、桃のほか、さくらんぼ、りんご、プラム、びわなどの種子や、ぴわの葉が挙げられます。1回に食べる量の目安は1gぐらいまでとされています。
なぜなら、レートリルそのものには毒性はありませんが、腸内細菌のβ-グルコシダーゼという酵素によって加水分解されると猛毒のシアン化合物(青酸化合物)を発生するので、多量の摂取は危険であるともいわれているからです。
日常摂取している梅干し、梅漬け、梅酒などの梅加工品の種子にも微量ながら含まれていますが、食品として常識的な量を摂取する場合には、健康被害の危険性はそれほどないと考えられます。しかし、特別な効果を期待して過剰に摂取することは、期待した効果が得られないばかりか思わぬ健康障害を招く危険性をはらんでいます。
過剰摂取による健康障害としては、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、頭痛、めまい、血中酸素の低下による皮膚の青白、肝障害、異常な低血圧、眼瞼(がんけん)下垂、神経障害による歩行困難、発熱、意識混濁、昏睡(こんすい)、死亡などが知られています。
レートリルとは、杏(あんず)などの未熟果実の種子に含まれる水溶性のビタミン様作用物質で、抗がん作用があるとされる青酸配糖体。アミグダリン、ビタミンB17とも呼ばれています。
杏以外にも、梅や桃(もも)などの未熟果実の種子に含まれ、果肉や葉、樹皮にも微量含まれています。
抗がん作用については、β-グルコシダーゼという分解酵素がレートリルに含まれるシアン化合物(青酸化合物)を分解させることで、毒性となり、がん細胞のみを死滅させると見なされています。正常細胞は、ロ一ダネーゼというミトコンドリアの酵素により保護され、何ら影響を受けません。むしろ抵抗力や活性度は上がり、レートリルによってがんに伴う痛みも沈静化されます。
このように、レートリルに含まれているシアン化合物にがんを抑制する効果があるとされていて、アメリカでは多くの州で、がんの治療薬として認められていますが、その効果については評価が定まっていません。
日本でも、杏や桃の種子は漢方薬の材料である杏仁(きょうにん)、桃仁(とうにん)でもあり、レートリルを薬効成分として経口で去痰(きょたん)、鎮咳(ちんがい)などの用途に利用されています。また、皮膚に塗布すると、かゆみを止めるなどの作用があります。
レートリルを多く含む食品としては、杏、梅、桃のほか、さくらんぼ、りんご、プラム、びわなどの種子や、ぴわの葉が挙げられます。1回に食べる量の目安は1gぐらいまでとされています。
なぜなら、レートリルそのものには毒性はありませんが、腸内細菌のβ-グルコシダーゼという酵素によって加水分解されると猛毒のシアン化合物(青酸化合物)を発生するので、多量の摂取は危険であるともいわれているからです。
日常摂取している梅干し、梅漬け、梅酒などの梅加工品の種子にも微量ながら含まれていますが、食品として常識的な量を摂取する場合には、健康被害の危険性はそれほどないと考えられます。しかし、特別な効果を期待して過剰に摂取することは、期待した効果が得られないばかりか思わぬ健康障害を招く危険性をはらんでいます。
過剰摂取による健康障害としては、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、頭痛、めまい、血中酸素の低下による皮膚の青白、肝障害、異常な低血圧、眼瞼(がんけん)下垂、神経障害による歩行困難、発熱、意識混濁、昏睡(こんすい)、死亡などが知られています。
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■用語 レイキ [用語(れ)]
レイキとは、大正末期に日本で創始された民間療法である臼井霊気療法が日本国内外で発展、普及した代替医療。霊気とも表され、手かざし健康法とも呼ばれています。国外では、ReikiあるいはRay-Kiと表されています。
体に手をかざすことで、心身のエネルギーの調和を図り、健康増進につなげるボディーワークの一つで、自律神経失調症、肩凝り、頭痛、不眠、腰痛の改善や、能力開発、精神性向上、願望達成などにも用いられます。
日本では医療行為として認可されていませんが、海外では看護学や医学として認められていたり、イギリスやオランダでは公的健康保険が適用されたりしています。
世界のレイキ実践者は推定で500〜800万人、日本国内では8万人。レイキは日本発祥であるにもかかわらず、海外での認知度が圧倒的に高くなっています。
体に手をかざすことで、心身のエネルギーの調和を図り、健康増進につなげるボディーワークの一つで、自律神経失調症、肩凝り、頭痛、不眠、腰痛の改善や、能力開発、精神性向上、願望達成などにも用いられます。
日本では医療行為として認可されていませんが、海外では看護学や医学として認められていたり、イギリスやオランダでは公的健康保険が適用されたりしています。
世界のレイキ実践者は推定で500〜800万人、日本国内では8万人。レイキは日本発祥であるにもかかわらず、海外での認知度が圧倒的に高くなっています。
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