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■インプラント治療で、重篤なトラブル400件余り  [健康ダイジェスト]

 あごの骨に金属を埋め込んで人工の歯を取り付けるインプラント治療で、手術の際に神経を傷付けてしびれが残ったなどの重篤な医療トラブルが去年までの3年間に全国で400件余り起きていたことが、専門の歯科医師などで作る学会の初めての実態調査で明らかになりました。
 この調査は、インプラント治療を巡るトラブルが後を絶たないことを受けて「日本顎顔面インプラント学会」が、口腔外科がある病院や歯科大学の付属病院など、地域の拠点となっている全国の79の施設を対象に初めて行ったもので、9割を超える74施設から回答がありました。
 それによりますと、歯科医院などでインプラントの手術を受けた後に再治療が必要になった重篤な医療トラブルは、去年までの3年間で合わせて421件報告されました。このうち、あごの骨の中を通る神経を傷つけて、しびれ、まひなどが残ったケースが158件で最も多く、全体の4割近くを占めました。
 また、インプラントが上あごの骨を貫通し、誤って眼の下にある「上顎洞(じょうがくどう)」と呼ばれる空洞内に入ったケースが63件で15パーセント。このほか、上顎洞が炎症を起こしたケースが61件、経過観察を十分しなかったため骨粗鬆症の治療薬の影響などでインプラント周辺のあごの骨が壊死したケースが10件報告されました。
 あごの骨が壊死したケースは、「ビスホスホネート系薬剤」と呼ばれる骨粗鬆症の治療薬の影響とされています。ビスホスホネート系薬剤は高齢の女性に多くみられる骨粗鬆症の進行を遅らせる効果がある一方で、細菌などへの抵抗力が弱まるという指摘もあり、感染症などに注意が必要とされています。
 このため、専門家で作る「日本口腔外科学会」などは、細菌が多い口の中の手術が必要なインプラントの手術する前には、この薬の服用を一定期間やめるよう呼び掛けています。あごの骨が壊死した場合、多くは大きく切除しなくてはならず、患者には重い負担がかかります。
 実態調査を行った日本顎顔面インプラント学会の瀬戸晥一理事長は、「インプラント治療が急速に広がる中、歯科医師は、基本的な技術や知識を身に着ける必要がある。患者の側も、手術のリスクや、服用している薬の影響などについて十分説明してくれる歯科医師を選んでほしい」と話しています。
 学会は、今回の調査結果を詳しく分析して再発防止策を検討するとともに、6月1日から安全対策の一つとして、試行的に「インプラント手帳」の活用を始めました。
 この手帳には、服用している薬の名前、金属アレルギーなどがあるか、過去に大きな病気をしたことがあるかなどの記入欄があって、歯科医師が記入して患者に渡します。事前のチェックに生かしてもらおうというねらいです。
 また、インプラントの手術日や埋め込んだインプラントのメーカーの名前や種類などの記入欄もあり、医療機関が変わっても基本的な情報を共有することができます。全国に79ある日本顎顔面インプラント学会の「認定医療機関」で、インプラント手帳は使われることになっています。

 2012年6月6日(水)




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