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■用語 モントゴメリー腺 [用語(も)]

[位置情報]妊娠中や産後に、乳頭の周辺に目立つようになるブツブツと小さく隆起した突起物
 モントゴメリー腺(せん)とは、乳首、すなわち乳頭の周囲を取り囲む輪状の部位である乳輪の中に、にきびやいぼのようにブツブツと小さく隆起した突起物として認められる皮脂腺。モンゴメリー腺、乳輪腺とも呼ばれます。
 呼称は、これを最初に定義したアイルランドのウィリアム・フェザーストーン・モントゴメリー産科医にちなんでいます。
 このモントゴメリー腺は、一種のアポクリン汗腺であり、男性、女性を問わず誰(だれ)にでも10 個ほど存在し、乳頭と乳輪を乾燥や刺激から保護するための皮脂を分泌しています。皮脂腺にしては非常に珍しく、表皮に近い位置に存在するので、その大きさや数の多い少ないに個人差こそあれ、多くの人に目で見てわかるくらいのブツブツとした突起物として認められます。乳頭を刺激すると、モントゴメリー腺はより隆起し、突出します。
 妊娠中や産後の授乳中の女性では、今まで気にも留めていなかったのに、いきなりブツブツとした突起物が目立つようになるということが、よくみられます。
 妊娠すると、女性の体は少しずつ、産後の授乳のための準備を始めます。乳房や乳頭もそれに伴い、変化していきます。乳輪の中にブツブツとした突起物が目立つようになるのも、授乳のための準備の一つです。
 個人差もありますが、特に妊娠初期から妊娠中期は、卵巣で分泌される女性ホルモンの影響で母乳(乳汁)を作る乳腺が肥大し、乳腺を支える脂肪組織も増えて乳房が次第に大きくなっていきます。乳房が大きくなるとともに、モントゴメリー腺も大きくなります。
 出産後の授乳中には、モントゴメリー腺から分泌される皮脂がにおいを発して、視覚がまだ未発達で明暗を認識することができるだけの新生児に、乳頭の位置を知らせる役割を果たしているといわれています。
 このようにモントゴメリー腺は機能的にも本来必要なもので、授乳期が終わると自然にブツブツとした突起物が目立たなくなることもありますので、気にならなければ何もしなくて構いません。しかし、女性ホルモンの分泌が過剰になると、モントゴメリー腺の働きが促進されて皮脂が多く分泌され、かゆみが出ることがあります。
 また、分泌された皮脂を、にきびのような感覚で無理やり絞って押し出したり、つぶしたりすると、白い皮脂が出ることがあります。その際に手についていた細菌に感染してしまうと、炎症を起こして痛みを感じたり、膿(うみ)が出てきたりすることにつながります。
 分泌された皮脂の薄黄色の残りカスが乳頭や乳輪に付着した場合は、ガーゼやタオルで優しくふき取りましょう。風呂やシャワーの際に、そっと洗い流すだけでもかまいません。洗浄した後は、保湿をしましょう。乳首専用のケアクリームなどを塗って保湿することで、かゆみ対策にもなります。
 モントゴメリー腺が必要以上に発達して、乳頭より大きくなったり、乳輪が膨らんで見た目が気になるなどの症状がある場合は、健康上に害がない範囲で目立つものだけ除去することができますので、乳腺外科、形成外科、整形外科、あるいは美容整形外科を受診し、手術によって整えることを考えてみてもよいのではないかと思われます。
[位置情報]モントゴメリー腺の検査と診断と治療
 乳腺外科、形成外科、整形外科、美容整形外科の医師による診断では、視診、触診で判断します。
 乳腺外科、形成外科、整形外科、美容整形外科の医師による治療では、いぼやほくろを除去するような手術で、モントゴメリー腺を切除します。入院の必要はなく、30分程度の通院手術で取り除くことが可能です。傷跡もほとんど残りません。切除手術はモントゴメリー腺1個ずつの治療となり、大きさや数によって費用は異なります。
 手術後、麻酔が切れると若干痛みが出る場合があり、痛み止めの薬を内服します。患部はガーゼで保護しますが、その上から締め付けの少ないブラジャーを使えます。
 患部を保護するガーゼは手術の翌日に外し、以後、せっけんを使いシャワーで洗い流すことができます。微量の出血が数日程度続く場合は、シャワー後に交換用のガーゼを患部に当てます。湯船の入浴は、1週間後から可能です。
 日常生活や家事、事務仕事は、翌日から可能です。飲酒や運動は1週間控え、激しい運動や乳首への強い刺激は1カ月間程度避けます。1週間後に抜糸の通院があります。
 切除縫合した部分が一時的に感覚が鈍くなる場合も、傷がいえるにつれて元の感覚に戻ります。モントゴメリー腺を切除した後でも、妊娠や授乳には影響はありません。




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■用語 蒙古斑 [用語(も)]

[蟹座]日本人の新生児の9割にみられ、尻や腰、背中の下部に現れる青い染み
 蒙古斑(もうこはん)とは、生後1週から1カ月ころまでに、新生児の尻(しり)や腰、背中の下部に現れる青い染み。
 胎生期に皮膚の深い部分の真皮に生じたメラノサイト(メラニン細胞)の残存と考えられています。通常は表皮にあって、メラニンという皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイトが、表皮に出ていけずに真皮にとどまって増殖しているために、青い染みに見えてしまうのです。
 日本人の新生児の9割にみられ、誰でも知っているあざの一種ですが、濃淡には個人差があります。多くは中心が濃くて、境界線付近は薄くはっきりしていません。境界線もはっきりして、ほくろのように濃い蒙古斑もあります。小さいとほくろのようですが、蒙古斑は隆起がないのが特徴です。
 この蒙古斑は生後2歳ころまでには青色調が強くなり、その後は徐々に薄くなって、5、6歳までには、遅くとも10歳前後までには自然に消失し、さほど問題にはなりません。
 まれに、尻などの通常の部位以外の手足や顔、腹部、背中の上部、胸などにも、青みを帯びた黒色調の蒙古斑が見られることがあります。これは異所性蒙古斑に相当し、通常の蒙古斑よりも消えにくい特徴があります。
 といっても、異所性蒙古斑の大半は学童期までに消失することが多く、蒙古斑同様に治療の必要はありません。中には、青い染みが学童期になっても残る場合があります。しかし、その大半は成人期までに消えることが多く、放置しておいてもかまいません。
 なかなか消えない異所性蒙古斑が衣服に隠れない露出部などに現れている場合は、子供が気にしてしまうケースもあり、外見的コンプレックスになることがあります。いくつかの側面から考えて、治療の対象にするべきか、皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは形成外科の医師と対処を考えることが勧められます。
 なかなか消えない青いあざの中には、まれに異所性蒙古斑ではなく、青色母斑(せいしょくぼはん)であることもあります。この青色母斑の中でも細胞増殖型と呼ばれるものは、幼少時に異所性蒙古斑と区別がつかないこともあり、悪性化することもあって治療法も異なるため、通常の部位以外にみられる青いあざは時々専門医の診察を受けることも必要でしょう。
[蟹座]蒙古斑、異所性蒙古斑、青色母斑の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは形成外科の医師による診断では、特徴的な色素斑なので、ほとんどは見ただけで診断はつきます。細胞増殖型青色母斑の確定診断は、切除した小結節を顕微鏡を用いて病理組織検査することでつきます。
 細胞増殖型青色母斑が疑われる場合は、リンパ節転移を起こすことがあるため、CT(コンピュータ断層撮影)検査やシンチグラム検査(RI検査、アイソトープ検査)といった全身の検査も行う必要があります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による治療では、通常の蒙古斑の場合、ほとんどが自然に消えるのでそのまま経過をみます。異所性蒙古斑の場合は、悪性化の心配はほとんどないため、見た目の問題で気になるならQスイッチレーザーにより、あざを除去します。
 Qスイッチレーザーには、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザーなどがあり、レーザーの種類により多少の効果や経過の違いがみられます。特定のレーザー光線を患部に照射すると、皮膚の中にあるメラニン色素に対してのみ反応するため、周辺の正常な皮膚組織へのダメージを極力抑えながら、あざの元になっているメラニン色素だけを破壊することができます。
 いずれのレーザー治療も痛みを伴うため、麻酔シール、注射などを使用して痛みの緩和を行います。治療対象となる異所性蒙古斑の色が濃く、範囲が広い場合、1~2回程度のレーザー照射では終わらない場合もあります。
 異所性蒙古斑の治療の難しさは、治療をすべきかどうか、その見極めにあるともいわれています。乳幼児に現れた大半は、成長とともに消えてしまう、あるいは薄くなるケースが多いことから、早い時期に治療を選択してしまうことで、かえって傷跡を残してしまう恐れがあるためです。
 また、手の甲に境界線のはっきりしない異所性蒙古斑ができた場合、レーザーを照射することで逆に色を目立たせてしまう結果に至ることもあります。
 一方で、異所性蒙古斑は、まだ皮膚の薄い幼児期に治療したほうが、レーザーが皮膚内に届きやすく、治療効果が高いといった意見もありますので、担当医とよく相談し、治療の有無を決めるようにします。
 細胞増埴型青色母斑が疑われる場合は、原則として、局所麻酔による手術で深く広範囲に切除します。リンパ節転移が見付かった場合には、リンパ節を切除します。

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■用語 網膜前膜 [用語(も)]

[眼鏡]網膜の黄斑部の手前に膜が癒着し、物がゆがんで見えたり、視力が低下する疾患
 網膜前膜(ぜんまく)とは、網膜の中心部の黄斑(おうはん)部の手前に線維性の膜が癒着した結果、網膜にしわが生じ、物がゆがんで見えたり、視力が低下する疾患。黄斑前膜、黄斑上膜、偽黄斑円孔(えんこう)とも呼ばれます。
 加齢に伴う老化現象のほかに、他の眼底の疾患に続いて、あるいは網膜剥離(はくり)や網膜裂孔の治療後に生じることもあります。
 老化現象による網膜前膜の場合は、50歳、60歳代に多く、女性に多い傾向があります。初期には、血管が膜に引っ張られて蛇行するものの、膜が透明のために視力などは正常で自覚症状はありません。進行して、膜の厚みが増したり、網膜の収縮の度合いが増して、網膜にしわが生じたり、網膜がずれたり、網膜の中心部の中や下に水がたまったりすると、物がゆがんで見えたり、大きく見えたり、霧がかかったように見えたり、視力が低下したります。
 線維性の膜ができる原因は、網膜に接している硝子体(しょうしたい)の加齢による変化です。眼球の内部は透明なゼリー状の物質である硝子体で満たされていますが、硝子体は年齢とともに少しずつ液体に変化して、体積が小さくなってきます。そのために、60歳くらいになると硝子体が眼底から離れてきます。これは誰にでも起きる状態で、後部硝子体剥離といい、物がチラチラ見えるようになります。
 硝子体と網膜の癒着が強いと、うまく離れないで硝子体の一部だけが網膜に張り付いてしまいます。残った硝子体の一部から、新しい細胞が増殖してきたり、眼球内のごみが付着して、少しずつ膜を作ってきます。これが黄斑部の手前を覆う前膜です。
 網膜前膜では、網膜の黄斑部に穴が開く疾患である黄斑円孔のように視野の中心が全く見えなくなることはありませんが、頻度的には黄斑円孔よりも多くみられます。
 網膜前膜が自然に治る可能性は5パーセント程度とされていますので、物がゆがんで見えたり、視力が低下するなどの自覚症状がある場合は、眼科を受診し手術を受けたほうが、症状が改善する可能性が高くなります。
[眼鏡]網膜前膜との検査と診断と治療
 眼科の医師による診断では、眼底検査で簡単に網膜前膜と確定できます。OCT(光学的干渉断層計)を使用すれば、黄斑部の手前を覆う前膜の下にある網膜の状態をきれいに映し出すことができ、有用です。
 眼科の医師による治療では、硝子体手術が唯一の方法となります。網膜前膜を薬で改善させることはできませんし、進行を止めることもできませんので、疾患が進行したら、手術が必要になります。最近では、手術法の進歩によりかなり治せるようになってきました。
 手術をする場合、視力がかなり低下してしまってからだと、膜を除去しても視力がよくならないことがあります。ただし、急に悪化するような疾患でもないので、急を要することもありません。ゆがみが気になったり、視力低下が気になるようなら手術を行います。視力の目安としては、0・6くらいと考えられます。
 適切な時期を選んで手術を行い、硝子体を取り除き、黄斑部の手前に癒着している薄い膜を除去すれば、視力は正常になります。薄い膜を除去した後の網膜の状態によっては、眼球内にガスを注入して終了することがあり、その際は手術後、うつ伏せの姿勢を保つ必要があります。
 手術の合併症として一番多いのが、白内障です。多くの場合、白内障も同時に手術します。手術法が進歩した最近では、内境界膜という網膜の最表面にあり、後部硝子体皮質と接する膜を併せて取り除く方法が広まっており、網膜前膜の再発は少なくなっています。
 手術後、視力が落ち着いてくるのは、半年から1年です。最終的な視力は、手術前の状態によりさまざまですが、物がゆがんで見える変視症は手術後も残ることが多く、改善するのは50パーセントくらいにとどまります。

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■用語 毛嚢炎 [用語(も)]

[ダイヤ]毛穴の奥で毛根を包んでいる毛嚢にブドウ球菌が感染して、発疹が生じる皮膚疾患
 毛嚢(もうのう)炎とは、毛穴の奥で毛根を包んでいる一つの毛嚢(毛包)にブドウ球菌が感染して、発疹(はっしん)が生じる皮膚疾患。毛包炎とも呼ばれます。
 黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌を主とするコアグラーゼ陰性ブドウ球菌、あるいは両方が同時に、感染する場合があります。毛嚢部にごく軽い傷が付いた場合、皮膚の湿った状態が長く続いた場合、あるいは、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤を塗っている場合などが、誘因となります。
 表在性毛嚢炎と深在性毛嚢炎があり、表在性毛嚢炎の場合は、毛嚢の上部だけの浅い部分の感染症で、個々の発疹は毛嚢に一致した赤い丘疹、ないしは中央にうみを持った膿疱(のうほう)で、回りに赤みがあります。かゆみはなく、痛みもほとんどありません。
 かみそり負け(尋常性毛瘡〔もうそう〕)や、無駄毛の毛抜きによる処理によって生じる一つ一つの丘疹も、表在性毛嚢炎に相当します。
 深在性毛包炎は、毛包の奥深い部分の感染症で、丘疹や膿疱の部分がやや硬く触れる根を持ちます。せつ(おでき)の軽度のものに相当し、軽い痛みがあり、表皮ブドウ球菌より黄色ブドウ球菌による場合が多いようです。
 毛嚢炎は、首の後ろ、太もも、尻(しり)などにできることが多く、1個あるいは数個~数十個になることもあります。
 ブドウ球菌の感染による炎症が毛嚢とその周囲、皮下の脂肪組織にまで及ぶと、せつ、ように移行する可能性があります。
 せつは、毛嚢に一致した小さな赤いしこりで始まり、次第に大きくはれ、鶏卵大までの自発痛、圧痛のある赤いしこりとなり、その中心にうみの集合した膿栓を作ります。顔面にできたせつは、特に面疔(めんちょう)と呼ばれています。
 ようは、せつが数個以上集合したものをいいます。それと同時に、周囲のリンパ腺(せん)もはれ、激しい時には、全身の発熱を伴うこともあります。ようはせつより症状が重いことが多く、大抵はうみが出て治った後、皮膚に瘢痕(はんこん)が残ります。できることが多いのは、首の後ろ、肩、尻、太もも。
 毛嚢炎がたまにできる程度であれば、気にすることはありません。次々とたくさんできる場合は、毛嚢炎ができる切っ掛け、例えば首筋や太ももではいつも衣類で皮膚が刺激を受けていないかどうか、副腎皮質ステロイド剤を必要以上に塗っていないかを考えてみましょう。
 思い当たる誘因もなく、長く続くようであれば皮膚科、あるいは皮膚泌尿器科の医師を受診しましょう。
[ハート]毛嚢炎の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、膿疱のうみを培養すると、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌を主とするコアグラーゼ陰性ブドウ球菌、あるいは両方の菌が検出されます。
 にきび(尋常性痤瘡〔ざそう〕)の一つ一つの丘疹は毛嚢炎ですが、にきびは毛嚢炎、黄白色に見える毛穴が詰まった状態で炎症がない面皰(めんぽう)、にきび痕(こん)が混在している状態をいい、思春期の人たちの顔、胸、背中の上部に多くみられます。
 あせもにブドウ球菌が感染して起こるエクリン汗孔(かんこう)炎や汗孔周囲炎は、毛嚢炎に似ていて区別は難しいのですが、乳幼児の首周囲や肘(ひじ)の内側など汗のたまりやすい場所にみられ、夏に多いことが診断の参考となります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、丘疹の数が少ない場合には無治療で経過を観察することがあります。特に治療をしなくても、患部を清潔に保つことで自然に治ります。
 次から次にたくさんできる場合や、痛みがあり、せつ(おでき)に近いものは、化膿止めの抗菌剤を3~4日間内服します。
 なお、せつ、ようの治療としては、抗菌剤を内服し、痛みの強い時には消炎鎮痛剤を併用し、局所の安静を行います。化膿が進んでいる時には、メスで切開排膿したほうが治りが早く、痛みも楽になります。ようでは、抗菌剤の点滴注射を行うこともあります。




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