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■病気 軟骨石灰化症 [病気(な)]

[ゴルフ]高齢者に多発性の関節痛を起こし、痛風とよく似た疾患
 軟骨石灰化症とは、多発性の関節痛を起こし、痛風とよく似た疾患。偽(ぎ)痛風とも呼ばれます。
 高齢者では、特に風邪などの切っ掛けもなく、急にあちこちの関節が痛み出すことを比較的よく経験します。血液検査でも関節リウマチや痛風の反応は異常がなく、医師が診断に苦しむことがあります。このような疾患の中に、軟骨石灰化症があります。
 この軟骨石灰化症は、関節液中にピロリン酸カルシウム(CPPD)結晶という結晶が沈殿することによって起こります。よく似た痛風は、血中の尿酸が増加して高尿酸血症となり、関節液内に尿酸ナトリウム結晶が生じることによって起こります。
 ピロリン酸カルシウムの結晶ができる原因としては、軟骨変性が重要です。軟骨内の結晶は関節破壊により関節腔(くう)内へ脱落し、関節腔内では白血球、単球などがこの結晶をきれいに掃除しようとします。その時に、細胞からはさまざまな化学物質が放出されて、炎症はいよいよ強くなります。
 痛風発作でも同様に、白血球などが尿酸の結晶を掃除しようとして炎症が起こります。
 軟骨石灰化症の発症年齢は、痛風に比べて60~80歳の高齢者での発症が多いと見なされています。痛みの起こりやすい部位は膝(ひざ)の関節が最も多く、次いで手、足、股(また)、肘(ひじ)、肩の関節など比較的大きな関節で、男女差はありません。
 痛風が男性に圧倒的に多くみられ、痛みの部位も足首や足の親指の付け根に起こりやすいのと対照的。
 軟骨石灰化症の発作は数日、ないしそれ以上持続し、1カ所から数箇所の関節炎が特徴です。痛風発作のように突然出現して自然に軽快しますが、痛風より痛みは軽度。急性発作時には、関節腫脹(しゅちょう)、局所発熱、痛みがあり、関節の動きが悪くなります。
 腕や足の関節に慢性の痛みやこわばりが長引くこともあり、関節リウマチと混同されることもあります。
[ゴルフ]軟骨石灰化症の検査と診断と治療
 医師による診断では、膝関節痛などに多発性関節炎の所見がみられ、X線検査で軟骨石灰化症の存在が認められ、関節腔内に針を刺し関節液を吸引してピロリン酸カルシウム結晶を調べることにより、総合的に判断されます。軟骨石灰化症(偽痛風)では、血液中の尿酸値は基準範囲内ですが、痛風でも発作時の尿酸値は正常のことが多くあります。
 軟骨石灰化症のほかにも、多発性関節炎は慢性関節リウマチ、リウマチ性筋痛症、膠原(こうげん)病、乾癬(かんせん)性関節炎、サルコイド関節炎、悪性腫瘍(しゅよう)に伴う関節炎、再発性多発軟骨炎、感染症に伴う関節炎、変形性関節症などいろいろな疾患で起こり、診断が困難なことも多くあります。長期間の経過観察により診断が明らかになる場合が多いのですが、それでも診断ができないケースもあります。
 治療法はほとんどが対症療法で、完治につながるような決定的な治療法はありません。炎症をコントロールすることで痛みを抑えるために、ステロイド剤や非ステロイド系抗炎症剤などが用いられます。治療により急性発作を止めて、次の発作を予防することが可能ですが、関節へのダメージを防ぐことはできません。
 ステロイド剤などで痛みが抑えられない場合は、内視鏡で関節内を洗浄する手術も考慮されます。
 発作のない時には、通常の変形性関節症のような病像をとりますが、多くの発症者では膝の変形と慢性的な運動痛、動作の開始時の痛みで特徴とされる変形性関節症に移行します。
 日常での注意点としては、関節への負担をかけないように、体重を増やさないことが基本で、 適度な運動をして筋肉をつけることも大切です。太ももの筋肉を鍛えるなら、膝を伸ばしたまま足を上げたり、片足立ちしたりするなど、家の中でも簡単にできます。

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■病気 軟部肉腫 [病気(な)]

[iモード]筋肉など体の軟部組織に発生する悪性腫瘍
 軟部肉腫(にくしゅ)とは、体の軟部組織から発生する悪性の腫瘍(しゅよう)。悪性軟部腫瘍とも呼ばれます。
 軟部組織あるいは軟部は、体の肺や肝臓などの実質臓器と支柱である骨や皮膚を除く、筋肉、脂肪、腱(けん)、血管、リンパ管、関節、神経などを含んでいます。軟部肉腫は、四肢、体幹、後腹膜、頭頸(とうけい)部など、体のいろいろな部位の軟部組織に発生します。
 日本での発生率は10万人に2人くらいで、まれな腫瘍です。種類は多く、30種類以上あります。頻度の高い順に悪性線維性組織球腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、滑膜肉腫、線維肉腫、悪性神経鞘(しょう)腫、血管肉腫などがあります。
 好発年齢は、悪性線維性組織球腫と平滑筋肉腫は高齢者に、脂肪肉腫と線維肉腫は多少中年に傾き、滑膜肉腫と悪性神経鞘腫は若年者に多いようです。小児の軟部肉腫の大部分は、横紋筋肉腫が占めています。
 男女別では、男女同数または男性にやや多い腫瘍が多数を占めていますが、平滑筋肉腫、滑膜肉腫などは女性に多いようです。
 肉腫の種類により、発生部位に違いがみられます。脂肪肉腫と悪性線維性組織球腫は特に大腿(だいたい)に多く、滑膜肉腫は大きな関節の近くに発生します。平滑筋肉腫は後腹膜や腸間膜に発生することが圧倒的に多く、横紋筋肉腫は頭頸部や膀胱(ぼうこう)の周囲に多く発生します。線維肉腫はいろいろな部位に発生しますが、比較的体幹に多くみられます。
 症状としては、多くの場合、上肢、下肢の皮下や筋肉の中にしこりを触れます。これがピンポン玉大から握りこぶし大にもなったら要注意。ふつう痛みはありませんが、しこりの部分には熱感があります。
 大腿など筋肉の厚い部位で、骨に近く深い部分に発生すると、しこりを触れることが難しく、大腿全体が大きくはれたようになっていることもあります。手足に発生した腫瘍が大きくなると、はれてきて関節が曲がらなくなったり、座れなくなったりすることもあります。
 一部にはしこり自体に痛みがあったり、しこりが大きくなり神経を圧迫して痛みを伴うこともあります。また、皮膚に色が付いたり、潰瘍(かいよう)ができることもあります。
 また、軟部肉腫には転移しやすいという特徴があり、転移の大部分は肺で、種類によってはリンパ節に起こります。
[iモード]軟部肉腫の検査と診断と治療
 軟部肉腫は難治性の腫瘍の一つであり、最初の治療の成否により予後に大きな差が出てきますので、疑わしい症状に気付いたら多少の地理的な不便があっても、がん専門病院の整形外科を受診します。
 医師による診断では、まず視診と触診を行います。皮膚に治りにくい潰瘍ができているもの、腫瘍が深い部位に発生し硬いもの、腫瘍が5センチを超えるものは、軟部肉腫の可能性があります。その場合は、針を刺して組織の一部を取り出して調べる針生検を行ったり、CTやMRI、超音波、血管造影などの検査を行います。
 肺の転移を調べるためには肺の断層撮影やCT、リンパ節転移やその他の転移を調べるためにはアイソトープを使った腫瘍シンチグラフィー(RI)などの検査を行います。同時に、1センチ角の組織を切開して病理組織学的に調べ、腫瘍の種類を判断します。
 現在、軟部肉腫治療の主体は、外科療法です。腫瘍を広範囲に切除すれば完全に除去できるため、上肢や下肢を切断する必要は少なくなっています。近年、腫瘍を大きく切除した後、別の部位の皮膚、筋肉、骨などを移植して再建したり、顕微鏡下で血管をつないだり、人工血管を移植したりする技術が進歩してきたためです。
 しかし、腫瘍が大きくなり血管や神経が侵された場合は、切断することもあります。
 悪性度の高い腫瘍では、手術だけではなく、抗がん剤を用いる化学療法や、腫瘍を小さくする放射線療法、さらには電磁波を当てて温める温熱療法など、さまざまな治療を組み合わせて集学的治療を行います。従来、化学療法は副作用が強く、つらい治療の一つでしたが、最近は副作用を軽減する新しい薬剤や、いろいろな支援療法が行われています。

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■病気 ナルコレプシー [病気(な)]

[夜]突然に起きる強い睡眠発作を中核症状とする神経疾患
 ナルコレプシーとは、突然に眠り込んでしまう激しい睡眠発作を中核症状とする神経疾患。過眠症、居眠り病とも呼ばれます。
 夜の睡眠は十分に取れていても、昼間、急に睡魔が襲ってきて自分では抑制できず、眠ってしまいます。会話中、車の運転中、食事中、はたまたセックスの最中など、通常では考えられない状況で、突然、すーっと眠り込んでしまうといった具合です。
 睡眠発作は1日に何度も起こることもあれば、ほんの数回しか起こらないこともあります。1回の発作で眠っている時間は、普通30分以下。意図的に短い仮眠を取った時には、すっきりと目覚めます。この睡眠発作は、ノンレム睡眠を経過せずに、いきなりレム催眠に入るのが特徴です。
 ナルコプレシーのもう1つの特徴は、脱力発作(情動脱力発作、カタプレキシー)です。笑ったり、喜んだり、怒ったり、驚いたり、自尊心がくすぐられたりなどの突発的な感情が誘因となって、全身の脱力発作が起こって力が抜け、物を落としてしまったり、ろれつが回らなくなったり、数秒~数分間、筋肉がまひしてその場に崩れ込んでしまったりします。
 意識ははっきりしているし、見たり聞いたりもできますが、ただ動けないだけです。この脱力発作は、レム睡眠に入ると筋肉の緊張が完全に消えることと似ています。
 ほかに、睡眠まひ、入眠時幻覚を伴います。睡眠まひでは、寝入ったばかりや目が覚めた直後に、体を動かそうとして動かせない状態になります。いわゆる金縛りと呼ばれる状態で、開眼し意識はあるものの随意筋を動かすことができません。本人は非常な恐怖に駆られますが、他の人に体に触れてもらうと治ります。周りに人がいなくても、まひは数分後には自然に治まります。
 入眠時幻覚では、睡眠発作により眠り込んだ際や、夜間に寝入った直後、まれに目覚めた際に、現実感の強い幻覚、幻聴を経験します。これらの幻覚、幻聴は正常な夢に似ていますが、もっと強烈で鮮明です。
 夜間は、頻回の中途覚醒(かくせい)や、睡眠まひ、幻覚を体験するなどのため、睡眠も妨げられます。
 日本人のナルコレプシーの有病率は、1万人当たり16人~18人といわれています。すべての人種において発病がみられる中で、日本人の有病率は世界で最も高く、欧米では1万人に2~4人といわれています。
 家族内に起こる傾向がありますが、原因は不明です。ナルコプレシーのほとんどは通常、思春期から青年期にかけて発症するため、脳の性的成熟と関係があるとも考えられています。また、オレキシンという視床下部から分泌される神経伝達物質の欠乏と関係があるとも考えられています。
 症状は一生涯続きますが、症状のすべてが現れる人は全体の約10パーセントにすぎず、大部分の人は2、3の症状が出るだけです。
[夜]ナルコレプシーの検査と診断と治療
 昼間に強い眠気を感じる時は、内科や睡眠外来、神経内科を受診します。
 診断は症状に基づいて行われますが、別の疾患が原因で同じ症状が起こることもあります。睡眠まひと幻覚は、特に問題がない健康な成人にも起こり得ます。診断が確定しない時は、脳波検査を行って脳の電気活動の記録を取ります。ナルコレプシーがあると、寝入りばなにレム睡眠の活動が起きていることを示す典型的な波形が現れます。正常であれば、レム睡眠は睡眠サイクルの後のほうで起こります。画像診断で見付かるような異常によっては、ナルコレプシーは起こりません。
 根治的治療方法はありませんが、対症的療法でかなりよくなります。中枢神経刺激剤を使用することで眠気を抑制することができ、メチルフェニデート、モダフィニル、ペモリンアンフェタミン、デキストロアンフェタミンなどが使用されます。中で、モダフィニルは他より副作用の少ない薬剤です。
 脱力発作や睡眠まひの症状を軽くするためには、イミプラミン、クロミプラミンなどの三環系抗うつ剤、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が使用されます。
 イライラ、異常行動、体重減少などの副作用が起こらないように薬剤の量の調整が必要なため、薬物療法を行っている人の体調は慎重に監視されます。
 抗うつ剤によって夜の眠りを安定させ、中枢神経刺激剤を朝と昼に服用することにより、日中の睡眠発作をほとんどなくすことができます。しかし、根気よく治療を続けることが必要で、長い年月がたつと症状がかなり軽くなり、多くのケースでは薬剤の量を減らすことができるようになります。
 治療では、薬剤によって症状を軽減するとともに、生活習慣の改善も図ります。大事なのは規則正しく生活をし、夜にしっかり睡眠を取ることで、睡眠表をきちんとつけることにより、自分の睡眠生活が理解できるようになります。日中に15〜20分程度の短い昼寝をこまめに取ると、睡眠発作の予防効果があります。

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■病気 軟性下疳 [病気(な)]

[トイレ]痛みの強い潰瘍ができる性感染症
 軟性下疳(げかん)は、軟性下疳菌という細菌が起こす性感染症で、生殖器に痛みのある潰瘍(かいよう)ができます。
 世界中でよくみられますが、日本では第二次世界大戦の後、非常に少なくなり、今日ではほとんどみられない疾患となりました。
 2~7日の潜伏期間の後、性器や肛門(こうもん)付近の皮膚に、紅色で米粒大のはれたおできができ、中に膿(うみ)がたまって破れると、痛みのある潰瘍になります。単発または多発で、容易に出血します。潰瘍が広がって合体することもあります。
 少し遅れて、太ももの付け根の鼠径(そけい)リンパ節がはれて大きくなり、皮膚も赤くはれ上がります。痛みが強いので、有痛性横痃(おうげん、よこね)といいます。
 軟性下疳には、数種類の抗生物質が有効です。潰瘍には、抗生物質の入った軟こうを用います。

[ダイヤ]詳しい病気の解説は四百四病の事典http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ[ダイヤ]




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