■用語 グリーンネイル [用語(く)]
爪が緑膿菌に感染し、緑色になる状態
グリーンネイルとは、細菌の一種である緑膿(りょくのう)菌が感染して、爪(つめ)の甲が緑色になる状態。 緑色爪(りょくしょくそう)とも呼ばれます。
この緑膿菌は腸内細菌の一種で、湿潤な自然環境中に広く存在している常在菌の一つであるため、健康な爪には感染することはありません。緑色の色素を持つ緑膿菌が感染して、爪の甲の色が緑色に変色したように見えるグリーンネイルは、爪が何らかの疾患にかかって傷付いている場合や、爪が常に湿っていて軟らかい状態の場合に起こります。
元になる爪の疾患として多いのは、爪カンジダ症や爪白癬(はくせん)、爪乾癬(かんせん)、爪甲剥離(はくり)症で、これらの疾患に合併して緑膿菌が爪の甲の下に侵入、繁殖して、グリーンネイルを引き起こします。
水仕事をする女性に多くみられ、抵抗力が低下している時には、感染した爪から、ほかの爪へ感染することもあります。時に爪囲炎を伴うと、圧痛が生じます。
女性が指先のおしゃれとして、爪の甲の上に付け爪(人工爪)をしている場合も、付け爪と爪の甲との間に透き間ができてきて、そこに水仕事や手洗いや入浴時に水が入り込んで湿潤した環境ができると、緑膿菌が侵入、繁殖して、グリーンネイルを引き起こします。
グリーンネイルになると、最悪の場合には爪を失ってしまうこともありますし、体内に入り込んでしまう可能性もあります。体内に感染すると、角膜炎や外耳炎、発疹(はっしん)、肺炎、敗血症、心内膜炎を引き起こしてしまう可能性があります。
緑膿菌は、消毒や抗生物質に対して抵抗力が強いため、治療が困難であるとされています。免疫不全や栄養状態が悪い場合は、重篤な全身感染症を引き起こし、致死的ともなります。また、ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性緑膿菌も多いのが特徴で、院内感染を引き起こす起因菌となっています。
まずは、爪の緑色の変色に気付いたら、付け爪をしている場合は使用をやめ、自然治癒を待つことです。そして、変色した爪とその周囲も清潔に保つこと、水仕事や手洗いや入浴後は、ぬれたまま放置せず、しっかり乾燥させることが大切です。それでも改善がみられない場合は、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科での治療が必要になります。
元になる爪の疾患に合併して生じているグリーンネイルの場合は、自然治癒しないので、自己判断で間違った対処をしたり、たかが爪とほうっておかないで、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科で治療を受けることが必要になります。
グリーンネイルの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、症状や問診でグリーンネイルと判断します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、緑膿菌は湿潤な環境で増殖するため、患部を乾燥させます。また、元になっている爪の疾患を治します。
爪カンジダ症で爪の甲が緑色になっている時は、浮き上がっている爪の甲をニッパー型の爪切りで取り除いて乾燥させ、緑膿菌に感受性のある外用抗真菌剤を半年ほど毎日、爪が伸びて緑色に変色した部分がなくなり、健康な爪に生え変わるまで塗ります。
また、症状によっては、血液検査などで状態をよく見極めて、経口抗真菌剤を内服するケースもあります。
爪白癬で爪の甲が緑色になっている時は、水虫の外用剤はほとんど効果がないため、経口抗真菌剤を内服します。少なくとも、3〜6カ月間は内服します。硬く厚くなった爪の外側から外用剤を塗っても、奥深く潜んでいる白癬菌まで薬の有効成分がゆき渡りませんが、飲み薬ならば血流に乗って直接白癬菌にダメージを与え、体の内側から治すことができます。
爪乾癬で爪の甲が緑色になっている時は、爪乾癬に対する根本的な治療法はまだなく、完治させることは難しいと考えられているため、症状に合わせて外用剤、内服剤、光線療法などいろいろな治療を行います。
爪甲剥離症で爪の甲が緑色になっている時は、カンジダ菌の感染の可能性が強い場合には、外用抗真菌剤を塗ります。一般的には、爪の角質に浸透しやすい保湿剤やステロイド剤をこまめに塗ったり、ビタミンEの内服剤を使用する場合もあります。完治には1年程度を要します。
付け爪(人工爪)で爪の甲が緑色になっている時は、付け爪を取り除いて、患部を乾燥させます。自然の爪の甲の表面が変色していれば、爪やすりで着色部分を削り、緑膿菌に感受性のある外用抗菌剤を塗ります。
グリーンネイルとは、細菌の一種である緑膿(りょくのう)菌が感染して、爪(つめ)の甲が緑色になる状態。 緑色爪(りょくしょくそう)とも呼ばれます。
この緑膿菌は腸内細菌の一種で、湿潤な自然環境中に広く存在している常在菌の一つであるため、健康な爪には感染することはありません。緑色の色素を持つ緑膿菌が感染して、爪の甲の色が緑色に変色したように見えるグリーンネイルは、爪が何らかの疾患にかかって傷付いている場合や、爪が常に湿っていて軟らかい状態の場合に起こります。
元になる爪の疾患として多いのは、爪カンジダ症や爪白癬(はくせん)、爪乾癬(かんせん)、爪甲剥離(はくり)症で、これらの疾患に合併して緑膿菌が爪の甲の下に侵入、繁殖して、グリーンネイルを引き起こします。
水仕事をする女性に多くみられ、抵抗力が低下している時には、感染した爪から、ほかの爪へ感染することもあります。時に爪囲炎を伴うと、圧痛が生じます。
女性が指先のおしゃれとして、爪の甲の上に付け爪(人工爪)をしている場合も、付け爪と爪の甲との間に透き間ができてきて、そこに水仕事や手洗いや入浴時に水が入り込んで湿潤した環境ができると、緑膿菌が侵入、繁殖して、グリーンネイルを引き起こします。
グリーンネイルになると、最悪の場合には爪を失ってしまうこともありますし、体内に入り込んでしまう可能性もあります。体内に感染すると、角膜炎や外耳炎、発疹(はっしん)、肺炎、敗血症、心内膜炎を引き起こしてしまう可能性があります。
緑膿菌は、消毒や抗生物質に対して抵抗力が強いため、治療が困難であるとされています。免疫不全や栄養状態が悪い場合は、重篤な全身感染症を引き起こし、致死的ともなります。また、ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性緑膿菌も多いのが特徴で、院内感染を引き起こす起因菌となっています。
まずは、爪の緑色の変色に気付いたら、付け爪をしている場合は使用をやめ、自然治癒を待つことです。そして、変色した爪とその周囲も清潔に保つこと、水仕事や手洗いや入浴後は、ぬれたまま放置せず、しっかり乾燥させることが大切です。それでも改善がみられない場合は、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科での治療が必要になります。
元になる爪の疾患に合併して生じているグリーンネイルの場合は、自然治癒しないので、自己判断で間違った対処をしたり、たかが爪とほうっておかないで、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科で治療を受けることが必要になります。
グリーンネイルの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、症状や問診でグリーンネイルと判断します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、緑膿菌は湿潤な環境で増殖するため、患部を乾燥させます。また、元になっている爪の疾患を治します。
爪カンジダ症で爪の甲が緑色になっている時は、浮き上がっている爪の甲をニッパー型の爪切りで取り除いて乾燥させ、緑膿菌に感受性のある外用抗真菌剤を半年ほど毎日、爪が伸びて緑色に変色した部分がなくなり、健康な爪に生え変わるまで塗ります。
また、症状によっては、血液検査などで状態をよく見極めて、経口抗真菌剤を内服するケースもあります。
爪白癬で爪の甲が緑色になっている時は、水虫の外用剤はほとんど効果がないため、経口抗真菌剤を内服します。少なくとも、3〜6カ月間は内服します。硬く厚くなった爪の外側から外用剤を塗っても、奥深く潜んでいる白癬菌まで薬の有効成分がゆき渡りませんが、飲み薬ならば血流に乗って直接白癬菌にダメージを与え、体の内側から治すことができます。
爪乾癬で爪の甲が緑色になっている時は、爪乾癬に対する根本的な治療法はまだなく、完治させることは難しいと考えられているため、症状に合わせて外用剤、内服剤、光線療法などいろいろな治療を行います。
爪甲剥離症で爪の甲が緑色になっている時は、カンジダ菌の感染の可能性が強い場合には、外用抗真菌剤を塗ります。一般的には、爪の角質に浸透しやすい保湿剤やステロイド剤をこまめに塗ったり、ビタミンEの内服剤を使用する場合もあります。完治には1年程度を要します。
付け爪(人工爪)で爪の甲が緑色になっている時は、付け爪を取り除いて、患部を乾燥させます。自然の爪の甲の表面が変色していれば、爪やすりで着色部分を削り、緑膿菌に感受性のある外用抗菌剤を塗ります。
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■用語 黒あざ [用語(く)]
先天的もしくは後天的に、皮膚のすべての部位の一部分にできる黒色調の色素斑
黒あざとは、先天的もしくは後天的に、皮膚のすべての部位の一部分にできる褐色から青黒色、あるいは黒色の色素斑(はん)。色素性母斑、母斑細胞性母斑とも呼ばれます。
あざは、医学的には母斑(ぼはん)といわれ、通常は表皮にあって、メラニンという皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイト(メラニン細胞、色素細胞)が、皮膚のやや深い部分の真皮の上層に存在し、母斑細胞に変化して増殖しているために、皮膚の一部分に色調や形状の異常が現れます。
あざはさまざまなタイプに分けられますが、一般的には、その皮膚の一部分の色によって、赤あざ、青あざ、茶あざ、黒あざなどに分けられます。生まれた時からあざがあることもあるし、生後数年、あるいは数十年後に初めてあざが出てくることもあります。
あざの代表的なものが、黒あざ、すなわち色素性母斑です。黒あざの大きさは大小いろいろで、皮膚の表面と同じ高さのものから、半球状に隆起したものまであります。
黒あざの一番小さい型が、いわゆるほくろ(黒子)で、メラニン色素を産生するメラノサイトが変化した母斑細胞からなる良性腫瘍(しゅよう)です。
ほくろの色は一般に濃い黒色か褐色ですが、中には皮膚と同色や、黄色みを帯びた褐色のものもあります。最初は赤く、やがて色が濃くなる場合もあります。
ほくろの大きさは、小さい点程度から直径が約2・5センチメートルを超えるものまでさまざまです。ほくろの表面は、平らなもの、盛り上がったもの、滑らかなもの、ザラザラしていぼのようなものなどさまざまで、毛が生えていることもあります。
ほとんどの人には顔や全身に、いくつかはほくろがあり、たくさんある人も珍しくありません。多くの人では小児期から思春期にかけてよくできますが、中には一生増え続ける人もいます。一度できたほくろは、自然には消えません。
女性の場合、ほくろはホルモン量に対応して変化するので、妊娠中はほくろができる、大きくなる、色が濃くなるなどの変化がみられます。皮膚の色が薄い人では、ほくろは主に日光にさらされる部分にできます。
かゆみや痛みを伴うことはなく、ほとんどは無害で切除の必要はありません。見た目や位置によっては、ほくろは魅力的だと見なされることさえあります。
しかし、比較的大きく、通常と異なる外観を有する異形成ほくろ(異形成母斑)が少数でも生じている場合は、ほくろのがんといわれる皮膚がんの一種で、メラノサイトががん化してできる悪性黒色腫(メラノーマ)に発展することがあります。この異形成ほくろは、さまざまな色で、全体の形も縁も不規則でゆがんでいます。
もし血縁者の中に悪性黒色腫にかかった人がいる場合、リスクは非常に高くなります。異形成ほくろができる体質は、遺伝します。
時には、黒あざが皮膚の広い範囲に生じる場合もあり、先天性巨大色素性母斑と呼ばれます。まれには、全身に大小の黒褐色のあざが多発し、その上に剛毛が密生し、その外見から獣皮様母斑と呼ばれる場合もあります。この型の黒あざは、脳を始め全身の神経組織の色素異常を伴うこともあり、神経皮膚黒色症と呼ばれ、ほくろのがんといわれる悪性黒色腫ができやすい型です。
時には、まぶたの上、下に黒あざが分かれている場合もあり、分離母斑と呼ばれます。胎生期のまぶたが分離する前から黒あざがあった場合に、分離母斑がみられます。
特に、成人以降に足の裏や手のひらに急に黒あざができて、色や大きさの変化が激しい場合、色の濃淡が強い場合、出血する場合などは、たとえ小さくても悪性黒色腫の可能性もあるので、早めに皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科を受診します。
生まれ付きの大きい黒あざも、生後早めに医師と相談します。
黒あざの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による診断は、特徴的な色素斑なので、ほとんどは見ただけで診断はつきます。
ただし、黒あざ自体は良性ですが、皮膚の悪性腫瘍の中でも悪性度が高い悪性黒色腫と見分けがつきにくいものも時々あります。悪性黒色腫の確定診断は、切除したほくろを病理組織検査することでつきます。
皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による治療では、放置しておいてもかまわない黒あざであっても、顔などに大きなものがあり、本人が非常に気にしたり、他人に悪印象を与える時などは、手術で除去することになります。非常に小さなほくろであっても、本人が悪性化や、その他の面で気にする時にも、手術を行うこともあります。
手術では、病変部の皮膚をメスで全部切り取った後、皮膚の欠損部を縫い合わせるか、植皮術を行います。最近では、顔の小さいほくろの場合に、メスの代わりに炭酸ガスレーザーで切除した後、縫い合わせないで自然に治るのを待つ、くり抜き療法も行われています。
いずれにして、多少の傷跡は残ります。特に、植皮術で植皮した皮膚は、周囲の皮膚とは細かい性状が異なり、完全にはなじみません。従って、手術の跡と、ほくろや黒あざとどちらが目立つかを考えてから、手術をする必要があります。手術をしなくても、カバー・マークを利用して、色を隠せばよいからです。
なお、炭酸ガスレーザーを用いる、くり抜き療法は顔面ではあまり傷跡が目立たないことが多いようですが、他の部位ではくり抜いたところの傷跡が目立つ場合もあります。
また、レーザー治療では多くの場合、病変部を焼き飛ばすため、病理組織検査を行えません。悪性黒色腫と見分けがつきにくい場合もあるので、レーザー治療を選択する場合には、担当する医師の十分な診断力が必要とされます。
異形成ほくろが悪性黒色腫に発展した場合は、医師による治療は原則的に、悪性黒色腫の部位を外科手術によって円形に切除することになります。
手術が成功するかどうかは、皮膚のどの程度の深さにまで悪性黒色腫が侵入しているかによって決まります。初期段階で最も浅い悪性黒色腫であれば、ほぼ100パーセントは手術で治りますので、周囲の皮膚を腫瘍の縁から最低でも約1センチメートルは一緒に切除します。
皮膚の中に約0・8ミリメートル以上侵入している悪性黒色腫の場合、リンパ管と血管を通じて転移する可能性が非常に高くなります。転移した悪性黒色腫は致死的なものになることがしばしばあるものの、抗がん剤による化学療法、インターフェロンによる免疫療法、および放射線療法などいろいろな手段を組み合わせた集学的治療が行うことで、健康を保って何年も生存する人もいます。
日光の紫外線は、異形成ほくろの発生や性状の変化を助長します。子供のころに普通に日に当たるだけでも、数十年後に悪性黒色腫が発症するリスクが高まります。ですから、生まれ付き皮膚の色が白い人や異形成ほくろがある人は、日光に当たるのを避けるべきです。
悪性黒色腫を始め、その他の皮膚がんの発生数も年々増加傾向にあり、今まで紫外線に対する防御対策をしてこなかったことが増加の一因であると考えられます。海水浴やスポーツ、仕事などで長時間、過度の紫外線を浴びる場合は、皮膚を紫外線から防御することが非常に大切です。日焼け止めクリームの使用、帽子や日傘の使用、長袖(ながそで)で腕を覆うなどの予防策があります。
黒あざとは、先天的もしくは後天的に、皮膚のすべての部位の一部分にできる褐色から青黒色、あるいは黒色の色素斑(はん)。色素性母斑、母斑細胞性母斑とも呼ばれます。
あざは、医学的には母斑(ぼはん)といわれ、通常は表皮にあって、メラニンという皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイト(メラニン細胞、色素細胞)が、皮膚のやや深い部分の真皮の上層に存在し、母斑細胞に変化して増殖しているために、皮膚の一部分に色調や形状の異常が現れます。
あざはさまざまなタイプに分けられますが、一般的には、その皮膚の一部分の色によって、赤あざ、青あざ、茶あざ、黒あざなどに分けられます。生まれた時からあざがあることもあるし、生後数年、あるいは数十年後に初めてあざが出てくることもあります。
あざの代表的なものが、黒あざ、すなわち色素性母斑です。黒あざの大きさは大小いろいろで、皮膚の表面と同じ高さのものから、半球状に隆起したものまであります。
黒あざの一番小さい型が、いわゆるほくろ(黒子)で、メラニン色素を産生するメラノサイトが変化した母斑細胞からなる良性腫瘍(しゅよう)です。
ほくろの色は一般に濃い黒色か褐色ですが、中には皮膚と同色や、黄色みを帯びた褐色のものもあります。最初は赤く、やがて色が濃くなる場合もあります。
ほくろの大きさは、小さい点程度から直径が約2・5センチメートルを超えるものまでさまざまです。ほくろの表面は、平らなもの、盛り上がったもの、滑らかなもの、ザラザラしていぼのようなものなどさまざまで、毛が生えていることもあります。
ほとんどの人には顔や全身に、いくつかはほくろがあり、たくさんある人も珍しくありません。多くの人では小児期から思春期にかけてよくできますが、中には一生増え続ける人もいます。一度できたほくろは、自然には消えません。
女性の場合、ほくろはホルモン量に対応して変化するので、妊娠中はほくろができる、大きくなる、色が濃くなるなどの変化がみられます。皮膚の色が薄い人では、ほくろは主に日光にさらされる部分にできます。
かゆみや痛みを伴うことはなく、ほとんどは無害で切除の必要はありません。見た目や位置によっては、ほくろは魅力的だと見なされることさえあります。
しかし、比較的大きく、通常と異なる外観を有する異形成ほくろ(異形成母斑)が少数でも生じている場合は、ほくろのがんといわれる皮膚がんの一種で、メラノサイトががん化してできる悪性黒色腫(メラノーマ)に発展することがあります。この異形成ほくろは、さまざまな色で、全体の形も縁も不規則でゆがんでいます。
もし血縁者の中に悪性黒色腫にかかった人がいる場合、リスクは非常に高くなります。異形成ほくろができる体質は、遺伝します。
時には、黒あざが皮膚の広い範囲に生じる場合もあり、先天性巨大色素性母斑と呼ばれます。まれには、全身に大小の黒褐色のあざが多発し、その上に剛毛が密生し、その外見から獣皮様母斑と呼ばれる場合もあります。この型の黒あざは、脳を始め全身の神経組織の色素異常を伴うこともあり、神経皮膚黒色症と呼ばれ、ほくろのがんといわれる悪性黒色腫ができやすい型です。
時には、まぶたの上、下に黒あざが分かれている場合もあり、分離母斑と呼ばれます。胎生期のまぶたが分離する前から黒あざがあった場合に、分離母斑がみられます。
特に、成人以降に足の裏や手のひらに急に黒あざができて、色や大きさの変化が激しい場合、色の濃淡が強い場合、出血する場合などは、たとえ小さくても悪性黒色腫の可能性もあるので、早めに皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科を受診します。
生まれ付きの大きい黒あざも、生後早めに医師と相談します。
黒あざの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による診断は、特徴的な色素斑なので、ほとんどは見ただけで診断はつきます。
ただし、黒あざ自体は良性ですが、皮膚の悪性腫瘍の中でも悪性度が高い悪性黒色腫と見分けがつきにくいものも時々あります。悪性黒色腫の確定診断は、切除したほくろを病理組織検査することでつきます。
皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による治療では、放置しておいてもかまわない黒あざであっても、顔などに大きなものがあり、本人が非常に気にしたり、他人に悪印象を与える時などは、手術で除去することになります。非常に小さなほくろであっても、本人が悪性化や、その他の面で気にする時にも、手術を行うこともあります。
手術では、病変部の皮膚をメスで全部切り取った後、皮膚の欠損部を縫い合わせるか、植皮術を行います。最近では、顔の小さいほくろの場合に、メスの代わりに炭酸ガスレーザーで切除した後、縫い合わせないで自然に治るのを待つ、くり抜き療法も行われています。
いずれにして、多少の傷跡は残ります。特に、植皮術で植皮した皮膚は、周囲の皮膚とは細かい性状が異なり、完全にはなじみません。従って、手術の跡と、ほくろや黒あざとどちらが目立つかを考えてから、手術をする必要があります。手術をしなくても、カバー・マークを利用して、色を隠せばよいからです。
なお、炭酸ガスレーザーを用いる、くり抜き療法は顔面ではあまり傷跡が目立たないことが多いようですが、他の部位ではくり抜いたところの傷跡が目立つ場合もあります。
また、レーザー治療では多くの場合、病変部を焼き飛ばすため、病理組織検査を行えません。悪性黒色腫と見分けがつきにくい場合もあるので、レーザー治療を選択する場合には、担当する医師の十分な診断力が必要とされます。
異形成ほくろが悪性黒色腫に発展した場合は、医師による治療は原則的に、悪性黒色腫の部位を外科手術によって円形に切除することになります。
手術が成功するかどうかは、皮膚のどの程度の深さにまで悪性黒色腫が侵入しているかによって決まります。初期段階で最も浅い悪性黒色腫であれば、ほぼ100パーセントは手術で治りますので、周囲の皮膚を腫瘍の縁から最低でも約1センチメートルは一緒に切除します。
皮膚の中に約0・8ミリメートル以上侵入している悪性黒色腫の場合、リンパ管と血管を通じて転移する可能性が非常に高くなります。転移した悪性黒色腫は致死的なものになることがしばしばあるものの、抗がん剤による化学療法、インターフェロンによる免疫療法、および放射線療法などいろいろな手段を組み合わせた集学的治療が行うことで、健康を保って何年も生存する人もいます。
日光の紫外線は、異形成ほくろの発生や性状の変化を助長します。子供のころに普通に日に当たるだけでも、数十年後に悪性黒色腫が発症するリスクが高まります。ですから、生まれ付き皮膚の色が白い人や異形成ほくろがある人は、日光に当たるのを避けるべきです。
悪性黒色腫を始め、その他の皮膚がんの発生数も年々増加傾向にあり、今まで紫外線に対する防御対策をしてこなかったことが増加の一因であると考えられます。海水浴やスポーツ、仕事などで長時間、過度の紫外線を浴びる場合は、皮膚を紫外線から防御することが非常に大切です。日焼け止めクリームの使用、帽子や日傘の使用、長袖(ながそで)で腕を覆うなどの予防策があります。
■用語 クラミジア結膜炎 [用語(く)]
性行為によって、微生物のクラミジア・トラコマーティスが目に感染し、引き起こされる結膜炎
クラミジア結膜炎とは、性行為によって、細菌よりも微細なクラミジア・トラコマーティスという微生物が目に感染し、引き起こされる結膜炎。
封入体結膜炎とも呼ばれます。この疾患名は、まぶたの裏側から眼球につながる結膜の上皮細胞内に寄生し、増殖するクラミジア・トラコマーティスの塊が「封入体」と呼ばれることに、由来しています。
同じクラミジア・トラコマーティスによって引き起こされる結膜炎にトラコーマがありますが、こちらはクラミジア・トラコマーティス血清型A、B、Ba、Cによって起こり、年齢的には10歳未満の小児や子供に多くみられます。
クラミジア結膜炎は、クラミジア・トラコマーティス血清型D、E、F、G、H、I、J、Kによって起こり、成人に多くみられます。同じクラミジア・トラコマーティス血清型D〜Kは、性行為により性器に感染して性器クラミジア感染症も引き起こします。
クラミジア結膜炎はほとんどの場合、性器にクラミジア・トラコマーティス血清型D〜Kの感染を持っている人との性行為の後、発症します。まれに、汚染されたプールの水から伝染し、発症することもあります。また、新生児が母親から産道感染して、発症することもあります。
2〜19日の潜伏期の後、上下のまぶたの裏側と、眼球の表面から黒目の周囲までを覆う結膜の急性の炎症として、まぶたがはれ、まぶたの裏側の眼瞼(がんけん)結膜が充血してむくみ、膿性(のうせい)の目やにが出ます。
かゆみやヒリヒリした痛みが生じ、涙が多く出ます。下のまぶたの眼瞼結膜には、多数の小さなぶつぶつ(ろ胞)が現れます。明るい光に対して過敏になり、まぶしく感じます。
眼球の黒目の前面を覆う透明な膜である角膜の上皮下に、点状混濁ができることもあります。小さなぶつぶつが大きくなり、血管が徐々に発達して結膜から角膜の上にまで侵入する新血管形成が現れることもあります。
目やにが出ると、特に朝、目が開けにくくなります。視界もぼやけますが、目やにを洗い流すと元のように見えます。角膜にまで感染が広がった場合、視界のぼやけは目を洗っても解消しません。
非常にまれですが、重度の感染により結膜に瘢痕(はんこん、ひきつれ)ができて荒れた粘膜となると、涙液の層に異常が生じることがあり、長期間に渡って視力が障害されます。
通常、初めは片目だけに症状が現れることが多いものの、放置しておくと両目ともに症状が現れることもあります。
目の症状のほか、多くの場合、感染した目と同じ側の耳の前のリンパ節がはれ、痛みを伴います。通常、このような症状が1~3週間続きます。
出生時に、母親の産道を通る際に感染した新生児では、生後1週間前後で発症し、まぶたのはれ、充血、膿性の目やになどが起こります。しばしば、偽膜という分泌物の塊が結膜にできます。
中耳炎や肺炎を合併することもあります。性器クラミジア感染症にかかり、十分な治療をしていない母親の場合、出産時に産道のクラミジア・トラコマーティスが新生児の結膜のほか、のど、肺などにも付着するためです。
なお、新生児のクラミジア結膜炎では、眼瞼結膜に多数の小さなぶつぶつが現れる、ろ胞性結膜炎とはなりません。
クラミジア結膜炎に気付いたら、早めに眼科の専門医の診察を受けることが勧められます。
クラミジア結膜炎の検査と診断と治療
眼科の医師による診断では、症状の視診と目の検査を行います。目の検査では、目の表面を拡大して見るスリットランプという機器を用いて、詳細に調べます。スリットランプを使うと、結膜の炎症や、角膜、目の前方部分に当たる前房への感染の様子を観察できます。
また、点眼麻酔後、結膜表面から綿棒で擦過して得られた上皮細胞サンプルを顕微鏡で調べると、封入体と呼ばれる増殖するクラミジア・トラコマーティスの塊が見付かります。血液検査でクラミジア・トラコマーティス抗原のタイプを調べると、より綿密な治療方針を決めることができます。
上皮細胞サンプルからクラミジア・トラコマーティスを培養する方法もありますが、時間がかかります。
性行為の相手に、性器クラミジア感染症があるかないかの情報も重要です。最近では特に、不特定多数との性行為とクラミジア結膜炎の関係が注目されているところです。新生児の発症では、母親の性器に性器クラミジア感染症があります。
眼科の医師による治療では、クラミジア・トラコマーティスに有効な、エリスロマイシンやアジスロマイシンなどのマクロライド系、ドキシサイクリンやミノサイクリンなどのテトラサイクリン系の抗生物質(抗生剤、抗菌剤)の点眼剤や、眼軟こうが用いられます。
点眼剤は涙で洗い流されてしまうので、2~3時間ごとに点眼します。軟こうは長くとどまるので、6時間ごとの使用ですみますが、ものがぼやけて見えるという難点があります。
重篤な場合や性器クラミジア感染症があれば、抗生物質の内服も一緒に行います。点眼剤と内服薬が同時に処方される理由は、新生児の場合、のどや肺にも感染が起きていることが多いからです。大人の場合は、性器から感染し、女性では子宮の入り口に当たる子宮頸管(けいかん)、尿道などでクラミジア・トラコマーティスが増殖しているからです。
治療の原則は、抗生物質の眼軟こうを8週、抗生物質の内服薬を3週ほど続けることです。新生児の場合、2カ月ほど毎日点眼することが原則で、かなり根気が必要です。病原体のクラミジア・トラコマーティスそのものを除去し、完治するには少し時間がかかり、数週間から数か月ぐらい薬が必要となります。
クラミジア結膜炎にかかったら、まぶたを水道水ときれいな布でやさしく洗って、目やにのない清潔な状態に保ちます。冷湿布をすると目のかゆみや痛みが和らぐことがあります。感染力が強いので、目を洗ったり薬を塗った後には、手をよく洗う必要があります。
さらに、感染している目に触れた後で、感染していない目に触れないように気を付けます。感染している目をふいたタオルや布は、ほかのタオル類と別にしておかなくてはいけません。
クラミジア結膜炎にかかった場合は、風邪を引いた時と同じように学校や仕事を数日間休むようにします。疾患を完全に治し、感染を防ぐために、性交渉のパートナーの検査、治療も必要です。
クラミジア結膜炎とは、性行為によって、細菌よりも微細なクラミジア・トラコマーティスという微生物が目に感染し、引き起こされる結膜炎。
封入体結膜炎とも呼ばれます。この疾患名は、まぶたの裏側から眼球につながる結膜の上皮細胞内に寄生し、増殖するクラミジア・トラコマーティスの塊が「封入体」と呼ばれることに、由来しています。
同じクラミジア・トラコマーティスによって引き起こされる結膜炎にトラコーマがありますが、こちらはクラミジア・トラコマーティス血清型A、B、Ba、Cによって起こり、年齢的には10歳未満の小児や子供に多くみられます。
クラミジア結膜炎は、クラミジア・トラコマーティス血清型D、E、F、G、H、I、J、Kによって起こり、成人に多くみられます。同じクラミジア・トラコマーティス血清型D〜Kは、性行為により性器に感染して性器クラミジア感染症も引き起こします。
クラミジア結膜炎はほとんどの場合、性器にクラミジア・トラコマーティス血清型D〜Kの感染を持っている人との性行為の後、発症します。まれに、汚染されたプールの水から伝染し、発症することもあります。また、新生児が母親から産道感染して、発症することもあります。
2〜19日の潜伏期の後、上下のまぶたの裏側と、眼球の表面から黒目の周囲までを覆う結膜の急性の炎症として、まぶたがはれ、まぶたの裏側の眼瞼(がんけん)結膜が充血してむくみ、膿性(のうせい)の目やにが出ます。
かゆみやヒリヒリした痛みが生じ、涙が多く出ます。下のまぶたの眼瞼結膜には、多数の小さなぶつぶつ(ろ胞)が現れます。明るい光に対して過敏になり、まぶしく感じます。
眼球の黒目の前面を覆う透明な膜である角膜の上皮下に、点状混濁ができることもあります。小さなぶつぶつが大きくなり、血管が徐々に発達して結膜から角膜の上にまで侵入する新血管形成が現れることもあります。
目やにが出ると、特に朝、目が開けにくくなります。視界もぼやけますが、目やにを洗い流すと元のように見えます。角膜にまで感染が広がった場合、視界のぼやけは目を洗っても解消しません。
非常にまれですが、重度の感染により結膜に瘢痕(はんこん、ひきつれ)ができて荒れた粘膜となると、涙液の層に異常が生じることがあり、長期間に渡って視力が障害されます。
通常、初めは片目だけに症状が現れることが多いものの、放置しておくと両目ともに症状が現れることもあります。
目の症状のほか、多くの場合、感染した目と同じ側の耳の前のリンパ節がはれ、痛みを伴います。通常、このような症状が1~3週間続きます。
出生時に、母親の産道を通る際に感染した新生児では、生後1週間前後で発症し、まぶたのはれ、充血、膿性の目やになどが起こります。しばしば、偽膜という分泌物の塊が結膜にできます。
中耳炎や肺炎を合併することもあります。性器クラミジア感染症にかかり、十分な治療をしていない母親の場合、出産時に産道のクラミジア・トラコマーティスが新生児の結膜のほか、のど、肺などにも付着するためです。
なお、新生児のクラミジア結膜炎では、眼瞼結膜に多数の小さなぶつぶつが現れる、ろ胞性結膜炎とはなりません。
クラミジア結膜炎に気付いたら、早めに眼科の専門医の診察を受けることが勧められます。
クラミジア結膜炎の検査と診断と治療
眼科の医師による診断では、症状の視診と目の検査を行います。目の検査では、目の表面を拡大して見るスリットランプという機器を用いて、詳細に調べます。スリットランプを使うと、結膜の炎症や、角膜、目の前方部分に当たる前房への感染の様子を観察できます。
また、点眼麻酔後、結膜表面から綿棒で擦過して得られた上皮細胞サンプルを顕微鏡で調べると、封入体と呼ばれる増殖するクラミジア・トラコマーティスの塊が見付かります。血液検査でクラミジア・トラコマーティス抗原のタイプを調べると、より綿密な治療方針を決めることができます。
上皮細胞サンプルからクラミジア・トラコマーティスを培養する方法もありますが、時間がかかります。
性行為の相手に、性器クラミジア感染症があるかないかの情報も重要です。最近では特に、不特定多数との性行為とクラミジア結膜炎の関係が注目されているところです。新生児の発症では、母親の性器に性器クラミジア感染症があります。
眼科の医師による治療では、クラミジア・トラコマーティスに有効な、エリスロマイシンやアジスロマイシンなどのマクロライド系、ドキシサイクリンやミノサイクリンなどのテトラサイクリン系の抗生物質(抗生剤、抗菌剤)の点眼剤や、眼軟こうが用いられます。
点眼剤は涙で洗い流されてしまうので、2~3時間ごとに点眼します。軟こうは長くとどまるので、6時間ごとの使用ですみますが、ものがぼやけて見えるという難点があります。
重篤な場合や性器クラミジア感染症があれば、抗生物質の内服も一緒に行います。点眼剤と内服薬が同時に処方される理由は、新生児の場合、のどや肺にも感染が起きていることが多いからです。大人の場合は、性器から感染し、女性では子宮の入り口に当たる子宮頸管(けいかん)、尿道などでクラミジア・トラコマーティスが増殖しているからです。
治療の原則は、抗生物質の眼軟こうを8週、抗生物質の内服薬を3週ほど続けることです。新生児の場合、2カ月ほど毎日点眼することが原則で、かなり根気が必要です。病原体のクラミジア・トラコマーティスそのものを除去し、完治するには少し時間がかかり、数週間から数か月ぐらい薬が必要となります。
クラミジア結膜炎にかかったら、まぶたを水道水ときれいな布でやさしく洗って、目やにのない清潔な状態に保ちます。冷湿布をすると目のかゆみや痛みが和らぐことがあります。感染力が強いので、目を洗ったり薬を塗った後には、手をよく洗う必要があります。
さらに、感染している目に触れた後で、感染していない目に触れないように気を付けます。感染している目をふいたタオルや布は、ほかのタオル類と別にしておかなくてはいけません。
クラミジア結膜炎にかかった場合は、風邪を引いた時と同じように学校や仕事を数日間休むようにします。疾患を完全に治し、感染を防ぐために、性交渉のパートナーの検査、治療も必要です。
■用語 クラッシュ症候群 [用語(く)]
四肢の筋肉に持続的な圧迫が加えられ、その圧迫から解放された後に起こる全身障害
クラッシュ症候群とは、体の一部が長時間にわたって何かに挟まれるなどして、四肢の筋肉に持続的な圧迫が加えられ、その圧迫から解放された後に起こる各種の全身障害。挫滅(ざめつ)症候群とも呼ばれます。
地震や台風、竜巻などの災害時には、倒壊した建物や家具の下敷きになって多発します。災害時以外では、交通事故などで何かに挟まれ、救出までに時間を要した場合にも発症します。まれに、特定の筋肉を過度に酷使する運動を行うことにより発症する場合もあります。
体の一部、特に四肢が長時間にわたって持続的な圧迫を受けると、筋肉が損傷を受け、組織の一部が壊死(えし)します。その後、圧迫された状況から解放されると、壊死した筋細胞からカリウム、ミオグロビン、乳酸などが血液中に大量に漏出します。
そのため、クラッシュ症候群を発症すると意識の混濁、唇や指先が紫色になるチアノーゼ、失禁などの症状がみられるほか、高カリウム血症、ミオグロビン血症、凝固障害などの全身的な異常を示します。高カリウム血症により心室細動、心停止が引き起こされたり、ミオグロビン血症により腎臓(じんぞう)の尿細管が壊死し、急性腎不全が引き起こされたりします。
圧迫から解放された直後は、意識があるために軽傷とみなされ、その後突然、容体が悪化して重篤となり、死に至ることも少なくありません。
両下肢に起こったクラッシュ症候群では、損傷部にはれと点状出血を生じ、両下肢はまひします。下肢の知覚障害、運動障害もみられますが、少なくとも多少の左右差があります。
クラッシュ症候群の検査と診断と治療
整形外科、形成外科の医師による診断では、受傷した時の状況や、損傷部のはれ、知覚まひや運動まひから判断可能ですが、導尿により赤褐色のミオグロビン尿を認めれば確定できます。
血液検査では、血液が酸性になる代謝性アシドーシス、血液濃縮、高カリウム血症、低カルシウム血症、高クレアチンキナーゼ血症、凝固障害などの異常が現れます。
整形外科、形成外科の医師による治療では、高カリウム血症、代謝性アシドーシスを改善するために、炭酸ナトリウム、グルコン酸カルシウムを投与します。高度で持続する高カリウム血症には、緊急の血液透析を行います。
損傷した四肢のはれは時間がたつとともに進行しますので、筋肉の圧力が高ければ、圧力を抜くための筋膜切開を行います。
受傷から救出までに時間がかかり、治療が遅れた場合は、軽症でも腎不全が起こり、肺水腫(すいしゅ)を合併することもあるため、人工呼吸器による呼吸管理と人工腎臓による血液浄化を行います。
詳しい病気解説は健康創造塾(http://ksjuku.com)へどうぞ
健康創造塾i−mode版(http://ksjuku.com/i.html)、au版(http://ksjuku.com/e.html)、Yahoo!ケータイ版(http://ksjuku.com/v.html)へも寄り道してください
クラッシュ症候群とは、体の一部が長時間にわたって何かに挟まれるなどして、四肢の筋肉に持続的な圧迫が加えられ、その圧迫から解放された後に起こる各種の全身障害。挫滅(ざめつ)症候群とも呼ばれます。
地震や台風、竜巻などの災害時には、倒壊した建物や家具の下敷きになって多発します。災害時以外では、交通事故などで何かに挟まれ、救出までに時間を要した場合にも発症します。まれに、特定の筋肉を過度に酷使する運動を行うことにより発症する場合もあります。
体の一部、特に四肢が長時間にわたって持続的な圧迫を受けると、筋肉が損傷を受け、組織の一部が壊死(えし)します。その後、圧迫された状況から解放されると、壊死した筋細胞からカリウム、ミオグロビン、乳酸などが血液中に大量に漏出します。
そのため、クラッシュ症候群を発症すると意識の混濁、唇や指先が紫色になるチアノーゼ、失禁などの症状がみられるほか、高カリウム血症、ミオグロビン血症、凝固障害などの全身的な異常を示します。高カリウム血症により心室細動、心停止が引き起こされたり、ミオグロビン血症により腎臓(じんぞう)の尿細管が壊死し、急性腎不全が引き起こされたりします。
圧迫から解放された直後は、意識があるために軽傷とみなされ、その後突然、容体が悪化して重篤となり、死に至ることも少なくありません。
両下肢に起こったクラッシュ症候群では、損傷部にはれと点状出血を生じ、両下肢はまひします。下肢の知覚障害、運動障害もみられますが、少なくとも多少の左右差があります。
クラッシュ症候群の検査と診断と治療
整形外科、形成外科の医師による診断では、受傷した時の状況や、損傷部のはれ、知覚まひや運動まひから判断可能ですが、導尿により赤褐色のミオグロビン尿を認めれば確定できます。
血液検査では、血液が酸性になる代謝性アシドーシス、血液濃縮、高カリウム血症、低カルシウム血症、高クレアチンキナーゼ血症、凝固障害などの異常が現れます。
整形外科、形成外科の医師による治療では、高カリウム血症、代謝性アシドーシスを改善するために、炭酸ナトリウム、グルコン酸カルシウムを投与します。高度で持続する高カリウム血症には、緊急の血液透析を行います。
損傷した四肢のはれは時間がたつとともに進行しますので、筋肉の圧力が高ければ、圧力を抜くための筋膜切開を行います。
受傷から救出までに時間がかかり、治療が遅れた場合は、軽症でも腎不全が起こり、肺水腫(すいしゅ)を合併することもあるため、人工呼吸器による呼吸管理と人工腎臓による血液浄化を行います。
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