■5月から熱中症に注意、日本気象協会が「地球沸騰化時代の熱中症対策」情報を発信開始 [健康ダイジェスト]
昨年の日本の夏は、史上最も暑い夏でした。6~8月の平均気温は1898年(明治31年)の統計開始以降で最も高く、各地で猛暑日日数の歴代最多を更新。酷暑はもはや地震や台風などと並ぶ「災害」に位置付けられ、命を守るための対策が必須な状況となっています。
日本気象協会はこのほど、「地球沸騰化時代の熱中症対策」として情報発信を開始し、暑さが本格化する前の早めの対策着手を呼び掛けています。
同協会は2013年から、熱中症予防に向けた情報発信を進める「熱中症ゼロへ」プロジェクトを開始し、公式サイトで啓発を続けています。今年は「地球沸騰化時代の対策」をテーマに据え、4月1日から活動をスタートさせました。
コンテンツの1つ、「暑さへの備え」では、徐々に体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」の重要性を周知。通勤・通学(1駅分歩くなど30分程度のウオーキング)のほか、入浴(2日に1回程度、シャワーではなく湯につかる)やサウナなど、日常生活の中で取り入れられる暑熱順化シーンをまとめています。
毎年のように犠牲者が出る高齢者に向けては、「温度に対する感覚が弱くなって『暑い』と感じにくく、のどの渇きなども自覚しづらい」と指摘。室内に気温計や湿度計などを置き、視覚的に現状の環境の危険度を把握できるようにするといった対策を求めました。
獣医師の監修のもと、ペットについても言及しており、発汗による体温調節機能が備わっていない犬や猫は、暑熱順化ができないと指摘。散歩の際は、人間に比べて地面から近いところを歩くためより高温にさらされているとし、飼い主が地表面を触るなどして確認するよう呼び掛けています。
酷暑は日本のみならず、世界規模で喫緊の課題となっており、昨年7月には国連が「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と表明。アメリカ航空宇宙局(NASA)は今年1月、昨年の世界の平均気温が過去最高だったとの分析結果を公表しました。
暑さの激甚化を背景に、同協会のサイトでは今年から新たに、一連の対策ポイントをまとめたイラスト動画も公開。よりわかりやすい情報発信を進めており、今後さらに関連コンテンツを拡充させていくとしている。
同協会の3月19日現在の予測によると、日本国内の今年4~6月の気温は、いずれも北日本で平年並みか高く、東日本や西日本、沖縄・奄美は平年より高くなっています。熱中症の警戒度は、5月に関東甲信の一部などで「注意」ランク(熱中症指数に基づく)に達する日があるとしています。
今週は週末ごろから、全国的に気温が20度を超える日が続く見込み。暑熱順化を得るまでの時間には個人差があり、数日から2週間程度かかるとされており、同協会は「サイトを通じ、熱中症に対する『防災意識』を高めてもらい、早め早めの対策につなげてほしい」としています。
2024年4月8日(月)
日本気象協会はこのほど、「地球沸騰化時代の熱中症対策」として情報発信を開始し、暑さが本格化する前の早めの対策着手を呼び掛けています。
同協会は2013年から、熱中症予防に向けた情報発信を進める「熱中症ゼロへ」プロジェクトを開始し、公式サイトで啓発を続けています。今年は「地球沸騰化時代の対策」をテーマに据え、4月1日から活動をスタートさせました。
コンテンツの1つ、「暑さへの備え」では、徐々に体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」の重要性を周知。通勤・通学(1駅分歩くなど30分程度のウオーキング)のほか、入浴(2日に1回程度、シャワーではなく湯につかる)やサウナなど、日常生活の中で取り入れられる暑熱順化シーンをまとめています。
毎年のように犠牲者が出る高齢者に向けては、「温度に対する感覚が弱くなって『暑い』と感じにくく、のどの渇きなども自覚しづらい」と指摘。室内に気温計や湿度計などを置き、視覚的に現状の環境の危険度を把握できるようにするといった対策を求めました。
獣医師の監修のもと、ペットについても言及しており、発汗による体温調節機能が備わっていない犬や猫は、暑熱順化ができないと指摘。散歩の際は、人間に比べて地面から近いところを歩くためより高温にさらされているとし、飼い主が地表面を触るなどして確認するよう呼び掛けています。
酷暑は日本のみならず、世界規模で喫緊の課題となっており、昨年7月には国連が「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と表明。アメリカ航空宇宙局(NASA)は今年1月、昨年の世界の平均気温が過去最高だったとの分析結果を公表しました。
暑さの激甚化を背景に、同協会のサイトでは今年から新たに、一連の対策ポイントをまとめたイラスト動画も公開。よりわかりやすい情報発信を進めており、今後さらに関連コンテンツを拡充させていくとしている。
同協会の3月19日現在の予測によると、日本国内の今年4~6月の気温は、いずれも北日本で平年並みか高く、東日本や西日本、沖縄・奄美は平年より高くなっています。熱中症の警戒度は、5月に関東甲信の一部などで「注意」ランク(熱中症指数に基づく)に達する日があるとしています。
今週は週末ごろから、全国的に気温が20度を超える日が続く見込み。暑熱順化を得るまでの時間には個人差があり、数日から2週間程度かかるとされており、同協会は「サイトを通じ、熱中症に対する『防災意識』を高めてもらい、早め早めの対策につなげてほしい」としています。
2024年4月8日(月)
■第一三共、抗がん剤の適応拡大 アメリカ当局の承認取得 [健康ダイジェスト]
第一三共は8日、がん治療薬「エンハーツ」について、複数の固形がんの治療にも使えるようアメリカ食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表しました。これまで乳がんと肺がん、胃がんのみに使用できましたが、より多くの種類のがんに使えるようになります。
がん細胞の目印となるタンパク質「HER2」が陽性のタイプのがん患者が対象で、治療後に転移や再発をし、他の治療手段がない患者に投与します。胆道がんやぼうこうがん、子宮頸(けい)がん、卵巣がん、膵臓(すいぞう)がんなど種類を問わず、固形がんで使えます。
日本での複数の固形がんへの適応拡大申請は、未定としています。エンハーツは標的に結合する抗体とがん細胞を攻撃する薬剤を組み合わせた「抗体薬物複合体(ADC)」の技術を使い、効き目を高くした第一三共の主力品です。2023年度の売り上げは、日本を含む世界で3839億円と見込んでいます。
2024年4月8日(月)
がん細胞の目印となるタンパク質「HER2」が陽性のタイプのがん患者が対象で、治療後に転移や再発をし、他の治療手段がない患者に投与します。胆道がんやぼうこうがん、子宮頸(けい)がん、卵巣がん、膵臓(すいぞう)がんなど種類を問わず、固形がんで使えます。
日本での複数の固形がんへの適応拡大申請は、未定としています。エンハーツは標的に結合する抗体とがん細胞を攻撃する薬剤を組み合わせた「抗体薬物複合体(ADC)」の技術を使い、効き目を高くした第一三共の主力品です。2023年度の売り上げは、日本を含む世界で3839億円と見込んでいます。
2024年4月8日(月)
■海洋汚染の「マイクロプラスチック」を雲や雪の中から発見 早稲田大や北見工業大が研究 [健康ダイジェスト]
微細なプラスチック片「マイクロプラスチック(MP)」が、雲や雪の中からも見付かったことが、早稲田大の大河内博教授(環境化学)や北見工業大(北海道北見市)の大野浩准教授らの研究で8日までにわかりました。海洋汚染が大きな問題となっていますが、大気中ではより小さく、人体に取り込まれた場合の影響は大きいとの指摘があります。ただ研究例は少なく、実態解明が急務です。
MPはプラスチックごみが波や紫外線などで壊れることによって生じる粒子で、大きさが5ミリ以下のもの。有害な化学物質を吸着する性質があり、海洋生態系への影響が懸念されるほか、人間も魚介類を通じて摂取している恐れが指摘されています。
大河内教授らの研究チームは2021~2022年、富士山頂など3地点で採取した雲水にMPが含まれていることを野外観測で初めて実証しました。MPが紫外線劣化により水をはじきにくくなり、雲の核となっている可能性があります。有機物などを表面に吸着していると、さらに核になりやすくなるといいます。
MPは紫外線で劣化する際、温室効果ガスを排出します。一方で雲の形成を促進して太陽光を地表に届きにくくし、地球温暖化の予測モデルを不確実なものにしている可能性もあります。発生源ははっきりしないものの、陸のほか「日本では近海から台風や冬の北西からの季節風で巻き上げられた海洋MPが有力ではないか」と推測します。
雪からMPを発見したのは、氷雪学を専門とする大野准教授。2021~2023年、世界自然遺産の知床や旭岳(2291メートル)など、道内9カ所で採取した雪を分析すると、全地点で検出されました。
知床など人の生活圏外では、プラスチック容器に使われるポリエチレンなど0・06ミリ以下のごく小さいものが中心で、大気によって運ばれたと考えられるといいます。一方、都市部では合成ゴムや比較的大きなMPが見付かり、車のタイヤなど現地由来の可能性が高くなっています。
大河内教授によると、大気中のMPは0・1ミリ以下で海洋と比べて小さくなっています。海洋と同様に日常的に使われるプラスチックが主ですが、上空にあることから強い紫外線にさらされ劣化が早くなっています。MPが呼吸で取り込まれると、肺に蓄積されるほか、より微細なものは血液中に入り込み全身に広がると考えられ、飲食物に混入したものとは異なり体外に排出されにくくなっています。
ただ大気中のMPに言及した論文が初めて登場したのは2016年。研究手法が統一されておらず、大気中にどのようなサイズのMPがどれほどあるかなど、実態の把握が進んでいません。
大河内教授は、「まだまだわからないことが多い。特に健康リスクについて明らかにし、対処を考えていきたい」と話しています。
2024年4月8日(月)
MPはプラスチックごみが波や紫外線などで壊れることによって生じる粒子で、大きさが5ミリ以下のもの。有害な化学物質を吸着する性質があり、海洋生態系への影響が懸念されるほか、人間も魚介類を通じて摂取している恐れが指摘されています。
大河内教授らの研究チームは2021~2022年、富士山頂など3地点で採取した雲水にMPが含まれていることを野外観測で初めて実証しました。MPが紫外線劣化により水をはじきにくくなり、雲の核となっている可能性があります。有機物などを表面に吸着していると、さらに核になりやすくなるといいます。
MPは紫外線で劣化する際、温室効果ガスを排出します。一方で雲の形成を促進して太陽光を地表に届きにくくし、地球温暖化の予測モデルを不確実なものにしている可能性もあります。発生源ははっきりしないものの、陸のほか「日本では近海から台風や冬の北西からの季節風で巻き上げられた海洋MPが有力ではないか」と推測します。
雪からMPを発見したのは、氷雪学を専門とする大野准教授。2021~2023年、世界自然遺産の知床や旭岳(2291メートル)など、道内9カ所で採取した雪を分析すると、全地点で検出されました。
知床など人の生活圏外では、プラスチック容器に使われるポリエチレンなど0・06ミリ以下のごく小さいものが中心で、大気によって運ばれたと考えられるといいます。一方、都市部では合成ゴムや比較的大きなMPが見付かり、車のタイヤなど現地由来の可能性が高くなっています。
大河内教授によると、大気中のMPは0・1ミリ以下で海洋と比べて小さくなっています。海洋と同様に日常的に使われるプラスチックが主ですが、上空にあることから強い紫外線にさらされ劣化が早くなっています。MPが呼吸で取り込まれると、肺に蓄積されるほか、より微細なものは血液中に入り込み全身に広がると考えられ、飲食物に混入したものとは異なり体外に排出されにくくなっています。
ただ大気中のMPに言及した論文が初めて登場したのは2016年。研究手法が統一されておらず、大気中にどのようなサイズのMPがどれほどあるかなど、実態の把握が進んでいません。
大河内教授は、「まだまだわからないことが多い。特に健康リスクについて明らかにし、対処を考えていきたい」と話しています。
2024年4月8日(月)
■気管支ぜんそくの診断、血液中の分泌物質検査で高精度に 大阪大が発表 [健康ダイジェスト]
血液に含まれる分泌物質内の「ガレクチン10」と呼ばれるタンパク質が、気管支ぜんそくの診断や進行の予測に活用できることを確認したと、大阪大などの研究チームが発表しました。従来の診断方法より精度が高まるといい、数年後の実用化を目指すとしています。論文が国際医学誌に掲載されました。
気管支ぜんそくは空気の通り道である気管支が慢性的に炎症を繰り返すことで狭くなり、呼吸困難などの発作が生じる病気。世界保健機関(WHO)などによると、世界の患者数は2億62000万人、国内では推定で1000万人とされます。血中の白血球の一部「好酸球」の量などで診断しているものの、肺の機能が低下する「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)」との区別が難しいなどの課題がありました。
大阪大の武田吉人准教授らは、採血で得る血液中の分泌物質「エクソソーム(細胞外小胞)」が体内の情報を伝達している役割に着目。エクソソームを解析し、含まれる約3000種類のタンパク質とぜんそくとの関連を調べました。
その結果、炎症などにかかわるタンパク質のガレクチン10の量が増えると、ぜんそくの傾向が強いことを確認。診断の精度を調べると、好酸球の73%に対して80%に高まったといいます。
気管支ぜんそくに詳しい佐野博幸・近畿大教授は、「重要な研究だ。ガレクチン10の量
に応じて適切な薬が選べるようになれば、治療の効率化につながる」と話しています。
2024年4月8日(月)
気管支ぜんそくは空気の通り道である気管支が慢性的に炎症を繰り返すことで狭くなり、呼吸困難などの発作が生じる病気。世界保健機関(WHO)などによると、世界の患者数は2億62000万人、国内では推定で1000万人とされます。血中の白血球の一部「好酸球」の量などで診断しているものの、肺の機能が低下する「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)」との区別が難しいなどの課題がありました。
大阪大の武田吉人准教授らは、採血で得る血液中の分泌物質「エクソソーム(細胞外小胞)」が体内の情報を伝達している役割に着目。エクソソームを解析し、含まれる約3000種類のタンパク質とぜんそくとの関連を調べました。
その結果、炎症などにかかわるタンパク質のガレクチン10の量が増えると、ぜんそくの傾向が強いことを確認。診断の精度を調べると、好酸球の73%に対して80%に高まったといいます。
気管支ぜんそくに詳しい佐野博幸・近畿大教授は、「重要な研究だ。ガレクチン10の量
に応じて適切な薬が選べるようになれば、治療の効率化につながる」と話しています。
2024年4月8日(月)
■気管支ぜんそくの診断、血液中の分泌物質検査で高精度に 大阪大が発 [健康ダイジェスト]
血液に含まれる分泌物質内の「ガレクチン10」と呼ばれるタンパク質が、気管支ぜんそくの診断や進行の予測に活用できることを確認したと、大阪大などの研究チームが発表しました。従来の診断方法より精度が高まるといい、数年後の実用化を目指すとしています。論文が国際医学誌に掲載されました。
気管支ぜんそくは空気の通り道である気管支が慢性的に炎症を繰り返すことで狭くなり、呼吸困難などの発作が生じる病気。世界保健機関(WHO)などによると、世界の患者数は2億62000万人、国内では推定で1000万人とされます。血中の白血球の一部「好酸球」の量などで診断しているものの、肺の機能が低下する「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)」との区別が難しいなどの課題がありました。
大阪大の武田吉人准教授らは、採血で得る血液中の分泌物質「エクソソーム(細胞外小胞)」が体内の情報を伝達している役割に着目。エクソソームを解析し、含まれる約3000種類のタンパク質とぜんそくとの関連を調べました。
その結果、炎症などにかかわるタンパク質のガレクチン10の量が増えると、ぜんそくの傾向が強いことを確認。診断の精度を調べると、好酸球の73%に対して80%に高まったといいます。
気管支ぜんそくに詳しい佐野博幸・近畿大教授は、「重要な研究だ。ガレクチン10の量
に応じて適切な薬が選べるようになれば、治療の効率化につながる」と話しています。
2024年4月8日(月)
気管支ぜんそくは空気の通り道である気管支が慢性的に炎症を繰り返すことで狭くなり、呼吸困難などの発作が生じる病気。世界保健機関(WHO)などによると、世界の患者数は2億62000万人、国内では推定で1000万人とされます。血中の白血球の一部「好酸球」の量などで診断しているものの、肺の機能が低下する「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)」との区別が難しいなどの課題がありました。
大阪大の武田吉人准教授らは、採血で得る血液中の分泌物質「エクソソーム(細胞外小胞)」が体内の情報を伝達している役割に着目。エクソソームを解析し、含まれる約3000種類のタンパク質とぜんそくとの関連を調べました。
その結果、炎症などにかかわるタンパク質のガレクチン10の量が増えると、ぜんそくの傾向が強いことを確認。診断の精度を調べると、好酸球の73%に対して80%に高まったといいます。
気管支ぜんそくに詳しい佐野博幸・近畿大教授は、「重要な研究だ。ガレクチン10の量
に応じて適切な薬が選べるようになれば、治療の効率化につながる」と話しています。
2024年4月8日(月)