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■用語 日光口唇炎 [用語(に)]

[キスマーク]日光照射が原因で生じる日光角化症が口唇に生じたもの
 日光口唇炎とは、長い年月にわたって日光に当たったことが原因で生じる口唇炎の一種。光線性口唇炎、慢性日光口唇炎とも呼ばれます。
 太陽の光線である日光に含まれる紫外線を受けやすい顔面、耳、前腕、手の甲、頭部の皮膚に好発する日光角化症(光線角化症)が口唇に生じたもので、炎症性疾患ではなく腫瘍(しゅよう)性病変で、前がん性の皮膚変化と考えられています。
 日光角化症が有棘(ゆうきょく)細胞がんにまで発展するケースは1%と見なされているのに対して、日光口唇炎は有棘細胞がんにまで発展するケースが11%の可能性があるとの報告もあり、発症した場合には、高リスク型の前がん性の皮膚変化と認識した上で、適切に管理することが不可欠となります。
 日光角化症は、長年にわたって慢性的に日光に含まれる紫外線、特に中波長紫外線を受けることにより、皮膚の表皮細胞のDNAに傷ができるのが、その原因と考えられています。
 日光に含まれる紫外線は肉眼では見えませんが、皮膚に最も大きな影響を与えます。体がビタミンDを作り出すのを助ける働きがあるので、少量ならば紫外線は有益なものの、大量に浴びると遺伝物質であるDNAが損傷を受け、皮膚細胞が作り出す化学物質の量と種類が変わってしまうのです。
 とりわけ口唇は人のみにみられる特殊な皮膚とされ、組織学的にも汗腺(かんせん)や毛包などの皮膚付属器を欠如しています。また、メラニンという皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイトは少なく、皮膚の最も表面にあってケラチンからなる角質層(角層)は薄いといった組織的特徴があります。
 これらの組織的な理由に加え、人は直立するため、最も紫外線を多く有する真昼の直射日光を口唇、特に下唇は垂直に浴びることになり、下唇は紫外線の影響を強く受けると考えられます。
 ゆえに、日光口唇炎にかかると、表皮基底細胞層での異常増殖が生じるため、主に下唇が赤くはれ、膨張したり、水疱(すいほう)となったりします。膨張や水疱とならなかった場合には、下唇が全体にわたってひび割れを起こしたり、かさかさと乾燥したり、かさぶたができたり、出血したりする症状もみられます。
 水疱や乾燥によるかゆみの誘発や、水疱が破れた時の痛みも症状の1つです。ヒリヒリとした痛みが続くこともあり、苦痛を感じます。
 口唇の表層の角質層がダメージを受けるため、バリア機能が正常に作用せず、唾液(だえき)や飲み物などの刺激によって強い痛みを感じることも少なくありません。また、口唇周囲の皮膚にまで症状が波及することもあります。
 発症者は中高年層がほとんどで、男性のほうが女性より多い傾向があります。女性に少ない理由は、戸外の労働が男性よりも少ないため紫外線の蓄積照射量が少ないこと、口紅の使用によって紫外線が防御されることが挙げられています。
[キスマーク]日光口唇炎の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、目視での口唇の視診と患者への問診が主な方法になります。問診では、症状が出始めた時期、アレルギーの有無、過去の病歴などをカウンセリング方式で質問していきます。
 口唇の回りの部位にも何らかの症状が出ていないか視診し、場合によっては口腔(こうくう)内も検査対象になります。
 日光口唇炎自体は生命に問題はないものの、有棘細胞がんに発展すれば、その予後は不良であるため、診断は有棘細胞がんの発生の予防につながるという意味で重要です。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、通常、局所麻酔は行わず、液体窒素を浸した綿棒などを腫瘍性病変に押し付けて凍結、壊死させて除去する凍結療法を施します。簡便な処置法ですが、凍結時にかなり強い痛みを伴います。また、多くの場合、数回の処置が必要となります。
 高齢者では、液体窒素による凍結療法やCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)照射なども行います。
 有棘細胞がんに発展している可能性がある場合は、局所麻酔を行い、腫瘍性病変をメスで切除する外科切除を施します。下唇全体を筋層上で切除した場合は、後面の口唇粘膜を1センチほど剥離(はくり)して、引き上げるように下唇の皮膚と単純縫合します。
 薬物療法として、抗がん剤の1種であるフルオロウラシル入りのローションやクリーム、または、皮膚の免疫系を活性化し、強い炎症を起こすことでがん細胞を除去する効果があるイミキモド(ベセルナクリーム)を腫瘍性病変に塗ることもあります。
 フルオロウラシル入りのローションやクリームは、1日2回単純に塗布するか、1日1回塗布後にラップ類で密封します。イミキモドは、1日1回、週3回、患部に直接塗布します。
 薬物療法は、塗り薬の副作用で皮膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがありますが、治療に伴うものであるため頻度を調節して継続すると、多くは症状が軽快します。
 治療後は、再発の予防のため、口唇への長時間の直射日光照射を避けることも重要で、サンスクリーン剤(日焼け止め化粧品)の使用が勧められます。

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■用語 肉芽腫性口唇炎 [用語(に)]

[キスマーク]唇が全体的にはれ上がり、再発の繰り返しもある疾患
 肉芽腫(にくげしゅ)性口唇炎とは、唇が全体的にはれ上がる特徴的な変化を示す疾患。 痛みを伴うことはありませんが、再発を繰り返すことも少なくありません。また、この肉芽腫性口唇炎では、舌の表面に多数の溝(みぞ)ができる溝状舌(こうじょうぜつ)を伴ったり、顔面神経まひを同時に発症したりすることもあり、特にメルカーソン・ローゼンタール症候群と呼ばれています。
 肉芽腫性口唇炎は、男女差なく発症し、若年者から中高年者に多くみられます。
 肉芽腫が形成される原因は完全には明らかになっておらず、不明な点も多く残っています。原因の一つとしては、虫歯や歯周病など口腔(こうくう)内の疾患が挙げられます。
 また、歯科治療において使用する歯冠や矯正具などの金属が唾液(だえき)と反応してイオン化し、イオン化した金属がアレルゲンとなってアレルギー反応を起こすことも、肉芽腫が形成される原因の一つであると推定されています
 そのほかにも、遺伝的要因や食物アレルギー、自律神経失調、消化管に炎症が起きるクローン病なども関与していると考えられています。さまざまな原因が複合的に関与することで、肉芽腫が形成されるとも推定されています。
 肉芽腫性口唇炎を発症すると、非乾酪(ひかんらく)性類上皮細胞肉芽腫と呼ばれる特徴的な組織変化によって、突発的に唇がはれ上がります。唇の全体がはれることもあれば、上唇や下唇が限局的にはれることもあり、唇の周囲の皮膚にもはれがみられることもあります。
 痛みやかゆみを伴うことは、ありません。はれは数時間から数日で改善することもありますが、時間経過とともに再び、はれ上がり、再発することも少なくありません。何回も再発を繰り返すうちに、徐々に弾性のある硬いはれ上がりとなっていくこともあります。
 何カ月も症状が持続している人には、一度、皮膚科や口腔内科、歯科口腔外科に相談してみることが勧められます。
[キスマーク]肉芽腫性口唇炎の検査と診断と治療
 皮膚科、口腔内科、歯科口腔外科などの医師による診断では、唇の組織変化を確認するために、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる生検を行います。
 発症の背景にある疾患を確認するためには、慢性の病巣感染の有無についての検査、金属パッチテスト、アレルギー検査(血液検査)、パノラマX線(レントゲン)撮影(虫歯の検査)、便検査、消化管内視鏡検査などを適宜、行います。
 皮膚科、口腔内科、歯科口腔外科などの医師による治療では、発症する原因がはっきりせず必ず効果があるという処置法は確立されていないため、個々の症状、検査結果に応じて、発症に関与していると考えられる原因への標準的な処置を時には組み合わせて行います。
 虫歯や歯周炎など口腔内の疾患が原因であると考えられる場合は、その治療を行います。金属パッチテストで陽性を示した場合は、歯科治療のための金属の除去を検討します。対症療法的に抗ヒスタミン薬を用いることもあります。
 唇で生じている異常反応を抑えることを目的として、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド)や、アレルギー反応を抑えるトラニラストなどの治療薬を用いることもあります。
 このような内科的な保存的治療で十分な効果が得られない場合には、症状の固定から1年以上経過した時点で、外科的に病変部位を切除することも検討されます。

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■用語 尿道脱 [用語(に)]

[トイレ]尿道の粘膜が尿道の外側にめくれるように脱出する疾患
 尿道脱とは、尿道の出口の粘膜が尿道の外側にめくれて飛び出す良性の疾患。
 小さな女児や高齢の女性にみられます。下着や、排尿後にふいたトイレットペーパーに血液が付いたことにより、気付くことが多いようです。
 また、尿道脱が大きくなると、大豆(だいず)大の腫瘍(しゅりゅう)のように見え、尿道の出口の赤い粘膜の突出に触れることができます。異物があるように感じることもあります。
 尿が出にくくなったり、脱出した粘膜が締め付けられると痛みが起きたりすることもあります。しばしば尿失禁や頻尿の症状もあります。
 よく似ているものに尿道カルンクルがあり、こちらは中高年女性の尿道出口の6時方向にできる赤色または暗褐色の良性の小さな腫瘍(しゅよう)で、やはり出血などで気付くことが多いようです。
 尿道カルンクルでは、腫瘍は1カ所で尿道の壁につながっているのに対し、尿道脱ではゴムホースの先端を外側にまくったように、尿道の出口の粘膜全周が反転して外側に飛び出します。指で脱出部分を尿道の中に押し戻すと、整復できることがあります。
 尿道脱は、生まれ付き尿道や骨盤内の組織が弱いことも原因の1つです。高齢の女性の場合は、出産時の外陰部の損傷や閉経後の女性ホルモン不足なども原因となっています。
 尿道は一番内側が粘膜で、その外側が内縦走筋、外輪状筋となっており、これら2つの筋肉の間が緩くなって尿道脱が生じると考えられています。せきや便秘などで腹圧をかけることが多い女性は、尿道脱を起こしたり、症状を悪化させたりします。
[トイレ]尿道脱の検査と診断と治療
 泌尿器科、ないし小児泌尿器科の医師による診断では、尿道脱の症状が見受けられる場合、排尿記録を何日分かに分けて、患者に行ってもらいます。また、排尿の勢いや残尿があるかどうかをチェックする尿流・残尿検査を行ったり、尿流動態検査、鎖膀胱(ぼうこう)尿道造影というレントゲン造影検査を追加して行ったりします。
 高齢の女性では、尿道カルンクルなどの尿道腫瘍、尿管の下端部の膀胱につながる部分が膀胱内で袋状に膨らむ尿管瘤(りゅう)との鑑別を膀胱鏡を用いて行います。
 泌尿器科、ないし小児泌尿器科の医師による治療では、まず、女性ホルモン剤の軟こうやステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の軟こうの外用を行います。日本では、女性ホルモン剤の軟こうを医療機関で処方することが難しく、まずはステロイド剤の軟こうを使うことが多いようです。これらの軟こうは症状を改善させますが、67%で再発するといわれています。
 軟こうによる治療で、尿道粘膜の飛び出しが大きくならず、出血や痛みの症状が現れなくなれば、経過を観察します。腹圧をかけると症状を悪くさせるので、便秘を改善させたり、腹圧をかけるような動作も長く続けないように気を付けます。
 また、脱出した尿道粘膜を外側から尿道の中に押し戻し、整復を維持する治療法を行うこともあります。具体的には、膣(ちつ)内に脱出した尿道粘膜の整復を維持するペッサリーという器具を挿入したり、ケーゲル体操を行うことによって、尿道粘膜の整復に必要な骨盤部の筋肉を鍛えたりします。
 ケーゲル体操は、排尿を途中で止める時のように、腟、尿道、直腸の周囲の筋肉に力を入れて約10秒間引き締め、次に力を抜いて約10秒間緩めます。この動作を10〜20回繰り返すのを1セットとして、1日に3セット以上行います。
 軟こうによる治療、整復を維持する治療に効果がみられず、再発したり、出血や痛み、排尿困難などの症状が出る場合は、外科手術の選択もあります。手術は麻酔をかけて、めくれて飛び出している尿道粘膜を切除し、外側の皮膚と内側の尿道粘膜を縫い合わせます。
 状況により全身麻酔もしくは脊椎(せきつい)麻酔で行い、手術に要する時間は30分程度。合併症は少なく、手術中の出血や感染症などが生じる可能性もありますが、程度は軽いものです。手術後はまれに、尿があちこちに飛び散るようになることがあります。
 手術前日に入院し、手術後2、3日は排尿のための管を膀胱内に入れて置くので、5、6日の入院が必要です。手術を行って再発することは少なく、飛び出している尿道粘膜を切除するのみですので、尿道が短くなるようなことはありません。

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■用語 尿道カルンクル [用語(に)]

[トイレ]女性の外尿道口付近の後壁にできる良性腫瘍
 尿道カルンクルとは、主に中高年女性の尿が体外に出る外尿道口付近の尿道後壁にできる良性の小さな腫瘍(しゅよう)。尿道カルンクラとも呼ばれます。
 中年以降の女性の良性の尿道腫瘍としては最も多く、赤色または暗褐色で、5ミリから1センチほどの大豆(だいず)くらいの大きさで、比較的軟らかい腫瘍です。尿道に付着している本体が、外尿道口からはみ出しています。
 症状としては、排尿時の尿道出血、血尿が多く、排尿痛があることもあります。また、腫瘍には血管が多いため触れると容易に出血し、疼痛(とうつう)があります。腫瘍が小さい場合には、自覚症状がないことも少なくなく、排尿後にトイレットペーパーに血液が付着したり、下着にこすれて血液が付着したりすることで気付きます。
 自転車に乗ったり、きついズボンをはいたりする物理的な刺激によって炎症を起こし、腫瘍が大きくなることもあります。
 現在のところ、原因ははっきりとしていませんが、便秘や多産、閉経による女性ホルモンの低下などが関係しているのではないかという考え方もあります。
[トイレ]尿道カルンクルの検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、視診のみを行うことで判断を下します。尿検査を行って、血尿や尿路感染の有無を確認することもあります。視診で鑑別すべき疾患としては、尿道腫瘍(しゅよう)、尿道脱、尿道がんなどがあります。
 泌尿器科の医師による治療では、炎症を抑える副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤) 含有軟こうを使うほか、女性ホルモン剤を局所的に投与することもあります。痛みがある場合は、鎮痛剤を使うこともあります。細菌感染している場合は、抗生物質(抗生剤、抗菌剤)を使います。
 炎症が治まることで腫瘍が縮小すれば、良性の腫瘍で悪性化することはないため、経過を観察します。日常生活では、下着に触れるなどの刺激が繰り返されれば再び大きくなるので、自転車に乗ったり、きついズボンをはいたりするのを避けることが望まれます。
 炎症が治まらず出血と痛みを繰り返す場合、下着が汚れるのが気になる場合は、手術で腫瘍を切除し、摘出する選択もあります。局所的な麻酔で切除、摘出する短時間の手術で、日帰りも可能です。
 手術後は、排尿後に外尿道口付近を強くこすってふかないようにしたり、清潔を保てるようにハイアミンなどでしばらく消毒するようにします。
 似ているものに、尿道内の粘膜がめくれて外に出る尿道脱があります。治療法はほぼ同じですが、こちらは痛みを伴うことも多く、また、軟こうなどでは治りにくいため、多くは手術で切除、摘出します。

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