■用語 通年性アレルギー性鼻炎 [用語(つ)]
季節を問わず1年中、鼻詰まりなどの症状が現れやすい鼻炎
通年性アレルギー性鼻炎とは、季節に関係なく、年間を通じて起こりやすい鼻炎。
アレルギー性鼻炎は、季節性アレルギー性鼻炎と通年性アレルギー性鼻炎の2種類に分かれています。季節性アレルギー性鼻炎のほうは、特定の季節にのみ起こる鼻炎で、そのほとんどが日本人の国民病とも呼ばれる花粉症です。花粉症は、風の媒介で受粉する風媒花の花粉を抗原(アレルゲン)としますので、花粉が飛ばない季節には発症しません。
通年性アレルギー性鼻炎のほうは、季節に関係なくいつでも発症し、1年中続くこともあります。症状は、季節性アレルギー性鼻炎と変わらず、くしゃみ、鼻水(鼻汁)、鼻詰まり(鼻閉)が主となります。
鼻から吸い込まれた抗原が鼻の粘膜でアレルギー反応を起こして、通年性アレルギー性鼻炎を発症することから、空気中を浮遊している抗原が原因となります。代表的な抗原は、ダニ、ハウスダスト(室内のほこり)、カビや細菌です。
日本の住宅の布団やカーペットなどに潜むダニの約九割を占めるヒョウヒダニ、中でもヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの2種類が、主な原因となります。人やペットの抜け毛、フケなどが含まれているハウスダストをエサとして繁殖するダニの死骸(しがい)も、原因となります。
人やペットの抜け毛、フケ、ゴキブリなどの虫の死骸やフン、織物の繊維が含まれているハウスダストも、原因となります。室内の空気中を浮遊しているカビの胞子や室内の細菌も、原因となります。現代の住宅は密閉度が高く、湿度も高いため、ダニ、カビ、細菌が繁殖しやすくなっています。
外部からダニ、ハウスダストなど異物である抗原が侵入した時に、その抗原に対応する特定の抗体(IgE抗体)が体内に存在すると、抗原と抗体が結合し、抗原抗体反応が起こります。抗原抗体反応が起こると、肥満細胞や好塩基球などの細胞からヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどの化学伝達物質が遊離され、その作用でアレルギー反応が起こります。
ヒスタミンが鼻の粘膜の三叉(さんさ)神経を刺激したり、自律神経のバランスを崩して副交感神経の働きを優位にするために、くしゃみや、透明なさらさらとした鼻水の過剰分泌、鼻のかゆみなどが起こります。ロイコトリエンやトロンボキサンなどは、鼻の粘膜の血管を刺激して拡張させるために、鼻詰まりも起こります。
鼻詰まりが強く、くしゃみや鼻水を感じない場合や、くしゃみと鼻水が強く、鼻詰まりを感じない場合などがあります。アレルギー性結膜炎を合併することも多く、目のかゆみや充血、流涙がみられることもあります。口の中とのどのかゆみ、のどの痛み、皮膚の炎症などが起こることもあります。
鼻の奥と中耳をつないでいる耳管がはれることもあり、特に小児では聴力が低下したり、慢性中耳炎になったりすることがあります。また、鼻の周囲にあって骨で囲まれた空洞である副鼻腔(ふくびくう)炎を繰り返すことで、鼻の粘膜組織が増殖して鼻ポリープができることもあります。
ダニやハウスダストを抗原とする通年性アレルギー性鼻炎では、しばしば気管支喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎を併せ持っています。
近年、冷暖房が普及して住宅の空気が密閉されるようになったことで、ダニやハウスダストが室内に蓄積されやすくなり、通年性アレルギー性鼻炎を発症する人が増えたとされています。さらに、花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎と、通年性アレルギー性鼻炎の両方を発症する人も増加傾向にあります。
常に鼻炎に悩まされている人は、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診して、症状を引き起こす原因が何かを調べることが勧められます。原因が特定できれば、日常生活の中でそれを避ける工夫ができ、症状の軽減につなげることが可能になるためです。
通年性アレルギー性鼻炎の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科の医師による診断では、まず鼻炎の症状がアレルギー性かどうかを検査で調べます。検査には、問診、鼻鏡検査、鼻汁検査などがあります。
問診では、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの3つの症状が始まった時期、症状が1年中起こるのか季節と関連して起こるのか、症状の種類と程度、過去の病歴、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などほかのアレルギー性疾患の併発の有無、副鼻腔炎や鼻ポリープの併発の有無、家族の病歴などを明らかにします。
鼻鏡検査では、専用のスコープを使って直接鼻の粘膜の状態を観察します。通年性アレルギー性鼻炎の場合は、鼻の粘膜が全体的にはれ上がって白っぽく見え、透明の鼻水が認められます。また、副鼻腔炎、鼻ポリープなどほかの疾患があるかどうかも観察します。
鼻汁検査では、綿棒などで採取した鼻水の中に、白血球の一種の好酸球という細胞がどの程度含まれているかを調べます。抗原抗体反応が起こると、鼻水中の好酸球が増加するので、アレルギー性鼻炎の診断の助けになります。
アレルギー性であれば、原因となる抗原は何かを検査します。検査には、特異的IgE抗体検査、皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストがあります。
特異的IgE抗体検査では、抗原抗体反応を起こす抗体(IgE抗体)が血液中にどの程度含まれているか、その抗体がどんな種類の抗原(アレルゲン)と結合するか、採血して調べます。
皮膚テストでは、可能性のある抗原のエキスを前腕の皮膚に注射するか、皮膚につけた引っかき傷に滴下して反応を調べます。15〜20分後に、皮膚が赤くはれる面積と程度で判定します。
鼻粘膜誘発テストでは、可能性のある抗原エキスの染み込んだ小さな紙を鼻の粘膜に張り付け、アレルギー反応を調べます。5分後にくしゃみ、鼻水、鼻詰まりがどの程度出現するかで判定します。
鼻汁検査、特異的IgE抗体検査または皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストの3つのうち2つ以上が陽性の場合に、アレルギー性鼻炎と確定します。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、まず抗原の除去、回避に努めます。ダニやハウスダストが抗原であれば、室内の清掃をこまめに行い、布団や枕(まくら)に防ダニカバーを付け、空気清浄器を使用するのも有効です。
次に、減感作療法(特異的免疫療法)という体質改善の治療や、抗アレルギー薬で症状を抑える治療を行います。
減感作療法は、抗原に体を慣れさせ、抗原に接しても症状を起こしにくくする治療です。現在のところ、長期にわたって症状の出現を抑えることが可能な唯一の方法であり、週に1回くらいの割合で抗原希釈液を注射し、徐々に濃度を濃くしていく治療を2~3年続けます。治療終了後にも、症状の改善が持続します。
最近、長期にわたる通院の負担を軽減するのを目的として、急速減感作療法がいくつかの医療機関で行われています。副作用の出現も危ぶまれるために入院して行う場合もありますが、従来の減感作療法と同じか、それ以上の効果があるといわれています。
薬物療法では、ヒスタミンなどの化学伝達物質の作用を抑える抗ヒスタミン薬や、化学伝達物質の遊離を抑えるいわゆる抗アレルギー薬、副腎(ふくじん)皮質ホルモン薬、自律神経薬などを、症状やそのほかの状況に応じて内服薬、点鼻薬として使用します。
症状を抑える薬を使用すると、その時は改善しても、再発することが多く、完全に治ることが難しいため、長期間の経過観察も行います。
薬物療法に効果を示さない場合は、手術療法を行うこともあります。鼻詰まりに対しては、鼻粘膜の一部を固める電気凝固術やレーザー手術、凍結手術、鼻粘膜の一部を切り取る鼻粘膜切除術などがあります。また、鼻水に対しては、自律神経の副交感神経を遮断する後鼻神経切断術が行われることもあります。
副鼻腔炎や鼻ポリープがある場合も、副鼻腔からの粘液の排出をよくしたり、感染物質を除去したり、鼻ポリープを切除したりするために、手術療法を行うこともあります。手術の前後に、温水や生理食塩水で副鼻腔を定期的に洗浄すると有効なこともあります。
通年性アレルギー性鼻炎とは、季節に関係なく、年間を通じて起こりやすい鼻炎。
アレルギー性鼻炎は、季節性アレルギー性鼻炎と通年性アレルギー性鼻炎の2種類に分かれています。季節性アレルギー性鼻炎のほうは、特定の季節にのみ起こる鼻炎で、そのほとんどが日本人の国民病とも呼ばれる花粉症です。花粉症は、風の媒介で受粉する風媒花の花粉を抗原(アレルゲン)としますので、花粉が飛ばない季節には発症しません。
通年性アレルギー性鼻炎のほうは、季節に関係なくいつでも発症し、1年中続くこともあります。症状は、季節性アレルギー性鼻炎と変わらず、くしゃみ、鼻水(鼻汁)、鼻詰まり(鼻閉)が主となります。
鼻から吸い込まれた抗原が鼻の粘膜でアレルギー反応を起こして、通年性アレルギー性鼻炎を発症することから、空気中を浮遊している抗原が原因となります。代表的な抗原は、ダニ、ハウスダスト(室内のほこり)、カビや細菌です。
日本の住宅の布団やカーペットなどに潜むダニの約九割を占めるヒョウヒダニ、中でもヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの2種類が、主な原因となります。人やペットの抜け毛、フケなどが含まれているハウスダストをエサとして繁殖するダニの死骸(しがい)も、原因となります。
人やペットの抜け毛、フケ、ゴキブリなどの虫の死骸やフン、織物の繊維が含まれているハウスダストも、原因となります。室内の空気中を浮遊しているカビの胞子や室内の細菌も、原因となります。現代の住宅は密閉度が高く、湿度も高いため、ダニ、カビ、細菌が繁殖しやすくなっています。
外部からダニ、ハウスダストなど異物である抗原が侵入した時に、その抗原に対応する特定の抗体(IgE抗体)が体内に存在すると、抗原と抗体が結合し、抗原抗体反応が起こります。抗原抗体反応が起こると、肥満細胞や好塩基球などの細胞からヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどの化学伝達物質が遊離され、その作用でアレルギー反応が起こります。
ヒスタミンが鼻の粘膜の三叉(さんさ)神経を刺激したり、自律神経のバランスを崩して副交感神経の働きを優位にするために、くしゃみや、透明なさらさらとした鼻水の過剰分泌、鼻のかゆみなどが起こります。ロイコトリエンやトロンボキサンなどは、鼻の粘膜の血管を刺激して拡張させるために、鼻詰まりも起こります。
鼻詰まりが強く、くしゃみや鼻水を感じない場合や、くしゃみと鼻水が強く、鼻詰まりを感じない場合などがあります。アレルギー性結膜炎を合併することも多く、目のかゆみや充血、流涙がみられることもあります。口の中とのどのかゆみ、のどの痛み、皮膚の炎症などが起こることもあります。
鼻の奥と中耳をつないでいる耳管がはれることもあり、特に小児では聴力が低下したり、慢性中耳炎になったりすることがあります。また、鼻の周囲にあって骨で囲まれた空洞である副鼻腔(ふくびくう)炎を繰り返すことで、鼻の粘膜組織が増殖して鼻ポリープができることもあります。
ダニやハウスダストを抗原とする通年性アレルギー性鼻炎では、しばしば気管支喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎を併せ持っています。
近年、冷暖房が普及して住宅の空気が密閉されるようになったことで、ダニやハウスダストが室内に蓄積されやすくなり、通年性アレルギー性鼻炎を発症する人が増えたとされています。さらに、花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎と、通年性アレルギー性鼻炎の両方を発症する人も増加傾向にあります。
常に鼻炎に悩まされている人は、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診して、症状を引き起こす原因が何かを調べることが勧められます。原因が特定できれば、日常生活の中でそれを避ける工夫ができ、症状の軽減につなげることが可能になるためです。
通年性アレルギー性鼻炎の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科の医師による診断では、まず鼻炎の症状がアレルギー性かどうかを検査で調べます。検査には、問診、鼻鏡検査、鼻汁検査などがあります。
問診では、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの3つの症状が始まった時期、症状が1年中起こるのか季節と関連して起こるのか、症状の種類と程度、過去の病歴、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などほかのアレルギー性疾患の併発の有無、副鼻腔炎や鼻ポリープの併発の有無、家族の病歴などを明らかにします。
鼻鏡検査では、専用のスコープを使って直接鼻の粘膜の状態を観察します。通年性アレルギー性鼻炎の場合は、鼻の粘膜が全体的にはれ上がって白っぽく見え、透明の鼻水が認められます。また、副鼻腔炎、鼻ポリープなどほかの疾患があるかどうかも観察します。
鼻汁検査では、綿棒などで採取した鼻水の中に、白血球の一種の好酸球という細胞がどの程度含まれているかを調べます。抗原抗体反応が起こると、鼻水中の好酸球が増加するので、アレルギー性鼻炎の診断の助けになります。
アレルギー性であれば、原因となる抗原は何かを検査します。検査には、特異的IgE抗体検査、皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストがあります。
特異的IgE抗体検査では、抗原抗体反応を起こす抗体(IgE抗体)が血液中にどの程度含まれているか、その抗体がどんな種類の抗原(アレルゲン)と結合するか、採血して調べます。
皮膚テストでは、可能性のある抗原のエキスを前腕の皮膚に注射するか、皮膚につけた引っかき傷に滴下して反応を調べます。15〜20分後に、皮膚が赤くはれる面積と程度で判定します。
鼻粘膜誘発テストでは、可能性のある抗原エキスの染み込んだ小さな紙を鼻の粘膜に張り付け、アレルギー反応を調べます。5分後にくしゃみ、鼻水、鼻詰まりがどの程度出現するかで判定します。
鼻汁検査、特異的IgE抗体検査または皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストの3つのうち2つ以上が陽性の場合に、アレルギー性鼻炎と確定します。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、まず抗原の除去、回避に努めます。ダニやハウスダストが抗原であれば、室内の清掃をこまめに行い、布団や枕(まくら)に防ダニカバーを付け、空気清浄器を使用するのも有効です。
次に、減感作療法(特異的免疫療法)という体質改善の治療や、抗アレルギー薬で症状を抑える治療を行います。
減感作療法は、抗原に体を慣れさせ、抗原に接しても症状を起こしにくくする治療です。現在のところ、長期にわたって症状の出現を抑えることが可能な唯一の方法であり、週に1回くらいの割合で抗原希釈液を注射し、徐々に濃度を濃くしていく治療を2~3年続けます。治療終了後にも、症状の改善が持続します。
最近、長期にわたる通院の負担を軽減するのを目的として、急速減感作療法がいくつかの医療機関で行われています。副作用の出現も危ぶまれるために入院して行う場合もありますが、従来の減感作療法と同じか、それ以上の効果があるといわれています。
薬物療法では、ヒスタミンなどの化学伝達物質の作用を抑える抗ヒスタミン薬や、化学伝達物質の遊離を抑えるいわゆる抗アレルギー薬、副腎(ふくじん)皮質ホルモン薬、自律神経薬などを、症状やそのほかの状況に応じて内服薬、点鼻薬として使用します。
症状を抑える薬を使用すると、その時は改善しても、再発することが多く、完全に治ることが難しいため、長期間の経過観察も行います。
薬物療法に効果を示さない場合は、手術療法を行うこともあります。鼻詰まりに対しては、鼻粘膜の一部を固める電気凝固術やレーザー手術、凍結手術、鼻粘膜の一部を切り取る鼻粘膜切除術などがあります。また、鼻水に対しては、自律神経の副交感神経を遮断する後鼻神経切断術が行われることもあります。
副鼻腔炎や鼻ポリープがある場合も、副鼻腔からの粘液の排出をよくしたり、感染物質を除去したり、鼻ポリープを切除したりするために、手術療法を行うこともあります。手術の前後に、温水や生理食塩水で副鼻腔を定期的に洗浄すると有効なこともあります。
■用語 爪メラノーマ [用語(つ)]
メラニンを作り出す爪部のメラニン細胞から発生するがん
爪(つめ)メラノーマとは、メラニンを作り出す爪部(そうぶ)のメラニン細胞(メラノサイト、皮膚細胞)から発生するがん。爪部悪性黒色腫(しゅ)、爪下悪性黒色腫とも呼ばれます。
メラニン細胞は、色素を作り、皮膚の色を決める色素細胞です。日光(紫外線)がメラニン細胞を刺激すると、メラニンという皮膚の色を濃くする色素がたくさん作られて、メラノーマ(悪性黒色腫)を発生するリスクが高まります。
メラノーマは最初、正常な皮膚に新しくできた小さな濃い色の皮膚の増殖性変化として現れます。多くの場合、日光にさらされる皮膚にできますが、もともとあったほくろに発生する場合もあります。体のほかの部位に非常に転移しやすく、転移した部位でも増殖を続けて組織を破壊します。また、メラノーマは遺伝することがあります。
日本でのメラノーマの発症数は、人口10万人当たり1・5~2人くらいといわれ、年間1500~2000人くらい発症しています。白色人種の多い欧米では人口10万人当たり10数人以上で、オーストラリアは20数人以上の発症と世界一です。日本でも外国でも年々、発症数の増加傾向が認められています。
日本でのメラノーマによる死亡者は、年間約450人。40歳以上になると発症が多くなり、60~70歳代が最も多くなっています。男女差はありません。
メラノーマの外観は、さまざまです。平らで不規則な形の茶色の皮疹(ひしん)の中に黒い小さな点がある場合もあれば、盛り上がった茶色の皮疹の中に赤、白、黒、青などさまざまな色の点があるものもあります。黒か灰色の硬い塊ができることもあります。
その外観や色などによって、いくつかのタイプに分類されています。悪性黒子型は高齢者の顔などの露出部に色素斑が発生するタイプ、表在拡大型はやや盛り上がった不整型の色素斑が発生するタイプ、結節型は盛り上がるタイプ、末端黒子型は手や足から発生するタイプ、粘膜型は口腔(こうくう)や陰部などの粘膜に発生するタイプ、またメラニン欠乏性は色素を持たないので発見されにくいタイプです。
末端黒子型の一つに、爪メラノーマのほとんどは含まれます。爪メラノーマのほとんどは、手足の爪の主に爪母部(爪の基部)上皮のメラニン細胞のがん化によって、爪甲色素線条、すなわち黒褐色で縦の線状の染みとしてみられます。
時には、爪床上皮や爪郭(そうかく)部表皮のメラニン細胞ががん化することもあり、表在拡大型や結節型に含まれます。
爪甲色素線条がみられる爪メラノーマは、全メラノーマの10パーセント近くを占め、手の親指の爪、足の親指の爪、手の人差し指の爪、手の中指の爪に好発します。しかし、爪メラノーマによく似た良性腫瘍(しゅよう)が、はるかに多く存在しています。
悪性か良性かを一応判別する目安として、染みの横幅が6センチ以上、黒褐色の色調に不規則な濃淡がみられるか真黒色、20歳以後、特に中高齢者になって発生した色素線条、色素線条が爪の表面を越えて皮膚の部分にまで及んでいる状態であれば、爪メラノーマかもしれません。
がん化したメラニン細胞が増えるにつれて、黒褐色の線状の染みが増えるだけでなく太くなっていき、長さも伸びていきます。やがて、爪全体が黒くなります。進行すると、爪が変形したり破壊されてしまいます。
爪メラノーマは、がんの中でも繁殖しやすいタイプです。そのため、爪から全身に転移していくというデメリットもあります。短期間で転移してしまうため、爪の症状の変化に気付いたら、すぐに皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。
爪メラノーマの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、問診、視診、触診を行い、続いてダーモスコピー検査を行います。
ダーモスコピー検査は、病変部に超音波検査用のジェルを塗布してから、ダーモスコープという特殊な拡大鏡を皮膚面に当て、皮膚に分布するメラニンや毛細血管の状態を調べ、デジタルカメラで記録するだけの簡単なもので、痛みは全くありません。
そして、爪メラノーマが疑われる場合に生検を行います。通常は色の濃い増殖部分全体を切除し、顕微鏡で病理学的に調べます。もし爪メラノーマだった場合、がんが完全に切除されたかどうかを確認します。
一方、メラノーマの周囲組織を切り取ると、がん細胞が刺激されて転移を起こすことが考えられるため、生検をせずに視診と触診などで診断する医師もいます。
確定診断に至ったら、ほかの部位への転移の有無を調べるためのCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、PET(陽電子放射断層撮影)検査、X線(レントゲン)検査、超音波(エコー)検査などの画像検査や、心機能、肺機能、腎機能などを調べる検査を行います。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は原則的に、爪メラノーマの部位を外科手術によって円形に切除します。手術が成功するかどうかは、皮膚のどの程度の深さにまで爪メラノーマが侵入しているかによって決まります。
初期段階で最も浅い爪メラノーマであれば、ほぼ100パーセントは手術で治りますので、周囲の皮膚を腫瘍の縁から最低でも約1センチメートルは一緒に切除します。
皮膚の中に約0・8ミリメートル以上侵入している爪メラノーマの場合、リンパ管と血管を通じて転移する可能性が非常に高くなります。転移したメラノーマは致死的なものになることがしばしばあり、抗がん剤による化学療法を行いますが、治療の効果はあまりなく余命が9カ月を切る場合もあります。
とはいえ、このがんの進行の仕方には幅がありますし、発症者の体の免疫防御能によっても差がありますので、化学療法、インターフェロンによる免疫療法、および放射線療法などいろいろな手段を組み合わせた集学的治療を行い、たとえ爪メラノーマが転移しても健康を保って何年も生存する人もいます。
一度、爪メラノーマを発症した人は、再発するリスクが高くなります。そのため、発症者は毎年皮膚科、皮膚泌尿器科で検査を受けるべきです。
爪(つめ)メラノーマとは、メラニンを作り出す爪部(そうぶ)のメラニン細胞(メラノサイト、皮膚細胞)から発生するがん。爪部悪性黒色腫(しゅ)、爪下悪性黒色腫とも呼ばれます。
メラニン細胞は、色素を作り、皮膚の色を決める色素細胞です。日光(紫外線)がメラニン細胞を刺激すると、メラニンという皮膚の色を濃くする色素がたくさん作られて、メラノーマ(悪性黒色腫)を発生するリスクが高まります。
メラノーマは最初、正常な皮膚に新しくできた小さな濃い色の皮膚の増殖性変化として現れます。多くの場合、日光にさらされる皮膚にできますが、もともとあったほくろに発生する場合もあります。体のほかの部位に非常に転移しやすく、転移した部位でも増殖を続けて組織を破壊します。また、メラノーマは遺伝することがあります。
日本でのメラノーマの発症数は、人口10万人当たり1・5~2人くらいといわれ、年間1500~2000人くらい発症しています。白色人種の多い欧米では人口10万人当たり10数人以上で、オーストラリアは20数人以上の発症と世界一です。日本でも外国でも年々、発症数の増加傾向が認められています。
日本でのメラノーマによる死亡者は、年間約450人。40歳以上になると発症が多くなり、60~70歳代が最も多くなっています。男女差はありません。
メラノーマの外観は、さまざまです。平らで不規則な形の茶色の皮疹(ひしん)の中に黒い小さな点がある場合もあれば、盛り上がった茶色の皮疹の中に赤、白、黒、青などさまざまな色の点があるものもあります。黒か灰色の硬い塊ができることもあります。
その外観や色などによって、いくつかのタイプに分類されています。悪性黒子型は高齢者の顔などの露出部に色素斑が発生するタイプ、表在拡大型はやや盛り上がった不整型の色素斑が発生するタイプ、結節型は盛り上がるタイプ、末端黒子型は手や足から発生するタイプ、粘膜型は口腔(こうくう)や陰部などの粘膜に発生するタイプ、またメラニン欠乏性は色素を持たないので発見されにくいタイプです。
末端黒子型の一つに、爪メラノーマのほとんどは含まれます。爪メラノーマのほとんどは、手足の爪の主に爪母部(爪の基部)上皮のメラニン細胞のがん化によって、爪甲色素線条、すなわち黒褐色で縦の線状の染みとしてみられます。
時には、爪床上皮や爪郭(そうかく)部表皮のメラニン細胞ががん化することもあり、表在拡大型や結節型に含まれます。
爪甲色素線条がみられる爪メラノーマは、全メラノーマの10パーセント近くを占め、手の親指の爪、足の親指の爪、手の人差し指の爪、手の中指の爪に好発します。しかし、爪メラノーマによく似た良性腫瘍(しゅよう)が、はるかに多く存在しています。
悪性か良性かを一応判別する目安として、染みの横幅が6センチ以上、黒褐色の色調に不規則な濃淡がみられるか真黒色、20歳以後、特に中高齢者になって発生した色素線条、色素線条が爪の表面を越えて皮膚の部分にまで及んでいる状態であれば、爪メラノーマかもしれません。
がん化したメラニン細胞が増えるにつれて、黒褐色の線状の染みが増えるだけでなく太くなっていき、長さも伸びていきます。やがて、爪全体が黒くなります。進行すると、爪が変形したり破壊されてしまいます。
爪メラノーマは、がんの中でも繁殖しやすいタイプです。そのため、爪から全身に転移していくというデメリットもあります。短期間で転移してしまうため、爪の症状の変化に気付いたら、すぐに皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。
爪メラノーマの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、問診、視診、触診を行い、続いてダーモスコピー検査を行います。
ダーモスコピー検査は、病変部に超音波検査用のジェルを塗布してから、ダーモスコープという特殊な拡大鏡を皮膚面に当て、皮膚に分布するメラニンや毛細血管の状態を調べ、デジタルカメラで記録するだけの簡単なもので、痛みは全くありません。
そして、爪メラノーマが疑われる場合に生検を行います。通常は色の濃い増殖部分全体を切除し、顕微鏡で病理学的に調べます。もし爪メラノーマだった場合、がんが完全に切除されたかどうかを確認します。
一方、メラノーマの周囲組織を切り取ると、がん細胞が刺激されて転移を起こすことが考えられるため、生検をせずに視診と触診などで診断する医師もいます。
確定診断に至ったら、ほかの部位への転移の有無を調べるためのCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、PET(陽電子放射断層撮影)検査、X線(レントゲン)検査、超音波(エコー)検査などの画像検査や、心機能、肺機能、腎機能などを調べる検査を行います。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は原則的に、爪メラノーマの部位を外科手術によって円形に切除します。手術が成功するかどうかは、皮膚のどの程度の深さにまで爪メラノーマが侵入しているかによって決まります。
初期段階で最も浅い爪メラノーマであれば、ほぼ100パーセントは手術で治りますので、周囲の皮膚を腫瘍の縁から最低でも約1センチメートルは一緒に切除します。
皮膚の中に約0・8ミリメートル以上侵入している爪メラノーマの場合、リンパ管と血管を通じて転移する可能性が非常に高くなります。転移したメラノーマは致死的なものになることがしばしばあり、抗がん剤による化学療法を行いますが、治療の効果はあまりなく余命が9カ月を切る場合もあります。
とはいえ、このがんの進行の仕方には幅がありますし、発症者の体の免疫防御能によっても差がありますので、化学療法、インターフェロンによる免疫療法、および放射線療法などいろいろな手段を組み合わせた集学的治療を行い、たとえ爪メラノーマが転移しても健康を保って何年も生存する人もいます。
一度、爪メラノーマを発症した人は、再発するリスクが高くなります。そのため、発症者は毎年皮膚科、皮膚泌尿器科で検査を受けるべきです。
タグ:白血病 爪メラノーマ ほくろのがん 用語(つ) 用語 用語(た行) 健康創造塾 肺カルチノイド 消化管カルチノイド 神経内分泌腫瘍 直腸カルチノイド 脂肪肉腫 胃カルチノイド 爪甲縦条 爪下血腫 ランナー黒爪 オニコマイコーシス 肥厚爪 厚硬爪 アトロフィ 緑色爪 先天性厚硬爪 爪甲色素線条 乳がん スキルス胃がん メラノーマ 骨髄腫 多発性骨髄腫 肺がん 子宮頸がん 急性白血病 大腸がん 卵巣腫瘍 卵巣がん 胃がん 食道がん 悪性リンパ腫 肝臓がん 腎臓がん 膵臓がん 子宮がん 前立腺がん 爪甲白斑症 爪甲周囲炎(爪囲炎) 爪甲剥離症 爪白癬(爪の水虫) 匙状づめ 時計ガラスつめ(ヒポクラテスつめ) 爪甲横溝 爪甲軟化症 陥入爪 肺真菌症 爪乾癬 ボーズライン(爪甲横溝) 化膿性爪囲炎(ひょうそう) ばち指 爪甲鉤弯症 湾曲爪 過湾曲爪 黄色爪症候群
■用語 爪乾癬 [用語(つ)]
皮膚疾患である乾癬の症状が爪の表面に現れ、爪が白濁、肥厚する状態
爪乾癬(つめかんせん)とは、慢性の経過をとり治りにくい皮膚疾患である乾癬の症状が爪の表面に現れた状態。
爪の水虫(爪白癬〔はくせん〕)と似た症状が現れ、爪の甲が変形して白く厚ぼったくなり、悪化すると表面がはがれ落ちます。爪の周囲に乾癬による皮膚病変を認め、頭部、腰部、下腿(かたい)前面などの好発部位にも、乾癬特有の皮膚病変を認めます。
乾癬は、皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に厚い銀白色の鱗屑(りんせつ)がついて、その一部がポロポロとはがれ落ちる皮膚疾患。炎症性角化症の代表で、慢性の経過をとり、なかなか治りにくい疾患ですが、周囲の人に移ることはありません。
日本では3〜16万人の発症者がいると推定されており、近年は増加傾向にあります。男女比は2対1で男性に多く、主に30〜40歳代に発症します。女性では、10歳代と50歳代の発症が多いともいわれています。
乾癬の起こる原因は、いまだはっきりとしていません。一説によると、一種の免疫反応の異常により生じるとされます。すなわち、健常の皮膚では、表皮細胞と白血球(リンパ球など)がサイトカインなどの伝達物質を使って、うまく連絡を取り合ってお互いを制御しています。このバランスが崩れると表皮細胞が一方的に増殖して、早く脱落していくことが起こります。
健常の皮膚では普通、表皮細胞はその一番外側に角質層という死んだ細胞の層を作り、垢(あか)になって落ちていくことを、一定の周期の45日で繰り返しています。乾癬では、この周期が4~5日と極度に短縮しているため、カサカサした薄皮である鱗屑がどんどんできては、ポロポロとはがれていきます。
この免疫反応の異常は、遺伝的になりやすい体質がある人に、扁桃腺(へんとうせん)炎などの感染症、薬物や外傷などの外的因子、糖尿病や高血圧、肝臓病、ストレスなどの内的因子が複雑に絡み合って発症したり、悪化したりすると考えられています。第二次世界大戦後に増加した疾患であり、もともと欧米人に多いことから、食事の西洋化が関係しているのではと類推されています。
一つひとつの発疹(はっしん)は、にきびのような赤いぶつぶつで始まり、次第に周囲に拡大するとともに厚い鱗屑を持つようになり、ある時を境によくなって、鱗屑がなくなるということを繰り返します。その時の鱗屑の大きさは、一定していません。このように、よくなったり悪くなったりを年余に渡って繰り返します。
乾癬では、ケブネル現象といって、繰り返しこすったり、傷付いたりした個所に、数日してから新しい発疹が出てくることがあります。これは、体の中でよくこすれる部位である肘(ひじ)や膝(ひざ)、尻(しり)、頭の毛の生え際などから発疹が出てきたり、あるいは発疹がひどい傾向にあります。
また、アウスピッツ血露現象といって、鱗屑を無理にはがすと、点状に出血がみられることがあります。これは、乾癬の特徴的な表皮の増殖の仕方と関係しています。すなわち、表皮が厚くなった部分と薄くなった部分が隣り合っているため、薄い表皮の下にある血管が傷付いて生じると考えられます。
鱗屑が厚い時にかゆみがありますが、基本的には自覚症状もなく、内臓にまで疾患が及ぶことはありません。
こういった乾癬の典型的症状のみがみられる例を尋常性乾癬といい、尋常性乾癬の病変が爪の表面に現れた状態が爪乾癬です。乾癬の発症者の3割から5割が爪乾癬を発症するとされますが、生涯のうちでは8割から9割が爪乾癬を発症するとされます。
爪乾癬は一度、手や足の爪に症状が現れると、一個所にとどまらず、両手や両足の爪に症状が広がります。そして、重症化すると、爪の甲が変形して白濁、肥厚するだけではなく、爪がはがれ落ちるほどになり、爪が一時的になくなってしまう状態になります。
爪乾癬の症状に気付いたら、皮膚科、皮膚泌尿器科を受診し、治療法を相談します。多くのケースでは外来通院治療が行われ、重症化した場合には入院治療が必要なこともあります。
爪乾癬の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断は、爪の症状や特徴的な皮膚の発疹とその分布、経過より判断します。通常は内臓の異常はありませんが、時に糖尿病、高血圧、肝臓病を合併していることがあるので、検査で確認することが必要です。また、薬の副作用で乾癬のような発疹が出てくることもあります。
治療の効果がみられない場合や経過の長い場合は、発疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行うと、診断が確定します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は、一般的な尋常性乾癬や爪乾癬に対する根本的な治療法はまだなく、完治させることは難しいと考えられているため、症状に合わせたいろいろな治療を行います。
症状に合わせた治療の方法には、外用薬、内服薬、光線療法などさまざまあります。症状が軽い場合には主に外用薬で、症状が重くなると内服薬や光線療法で治療します。
外用薬には、炎症を抑制する副腎(ふくじん)皮質ステロイド薬が多く用いられています。そのほか、皮膚の細胞が増殖するのを阻害する活性型ビタミンD3外用薬も、副腎皮質ステロイド薬ほどの速効性はありませんが、副作用が軽微なので併せて使用します。
しかしながら、皮膚ではなく爪に現れた爪乾癬の場合、外用薬では深部に浸透させることが難しいのが実情です。
内服薬としては、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)や、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられ、一定の効果が得られています。
光線療法は、紫外線の増感剤であるメトキサレン(オクソラレン)を発疹部に塗り、長波長紫外線UVAを当てる治療で、PUVA(プーバ)療法といいます。乾癬が全身にある場合、入院して内服のメトキサレンを使用してPUVA療法を行う場合もあります。紫外線を当てることで、異常な免疫反応が抑制され、効果が得られると考えられています。
近年、PUVA療法に代わる光線療法として、特定の紫外線波長を利用したナローバンドUVB療法も利用されるようになってきています。
いずれの治療法も一長一短があるため、治療により得られる効果と副作用のリスクの兼ね合いを考え、うまく組み合わせて症状をコントロールすることが大切です。乾癬の多くは慢性に経過しますが、自然に軽快、治癒することもあります。
生活上の注意としては、こすると新しい発疹が出てくるケブネル現象がありますので、皮膚をこすり過ぎないように注意します。入浴は構いませんが、こすり過ぎず、また鱗屑を無理にはぎ取らないようにします。ただし、鱗屑には発疹の慢性化に関係する物質も含まれていますので、ぬるま湯につかって軟らかくした後で無理なく鱗屑を取ることはよいことです。
日光浴も効果があるので、適度に行います。急激に日焼けをするとやはりケブネル現象で悪化することもあるので、あくまでも適度に。風邪を引いたりした後など、感染によりサイトカインのバランスが崩れ、乾癬の症状が悪化することがあります。風邪を引かないように、まめにうがいを励行します。精神的な動揺やストレスが疾患を悪くしますので、短気を起こさず、気長に治療していきます。
爪乾癬(つめかんせん)とは、慢性の経過をとり治りにくい皮膚疾患である乾癬の症状が爪の表面に現れた状態。
爪の水虫(爪白癬〔はくせん〕)と似た症状が現れ、爪の甲が変形して白く厚ぼったくなり、悪化すると表面がはがれ落ちます。爪の周囲に乾癬による皮膚病変を認め、頭部、腰部、下腿(かたい)前面などの好発部位にも、乾癬特有の皮膚病変を認めます。
乾癬は、皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に厚い銀白色の鱗屑(りんせつ)がついて、その一部がポロポロとはがれ落ちる皮膚疾患。炎症性角化症の代表で、慢性の経過をとり、なかなか治りにくい疾患ですが、周囲の人に移ることはありません。
日本では3〜16万人の発症者がいると推定されており、近年は増加傾向にあります。男女比は2対1で男性に多く、主に30〜40歳代に発症します。女性では、10歳代と50歳代の発症が多いともいわれています。
乾癬の起こる原因は、いまだはっきりとしていません。一説によると、一種の免疫反応の異常により生じるとされます。すなわち、健常の皮膚では、表皮細胞と白血球(リンパ球など)がサイトカインなどの伝達物質を使って、うまく連絡を取り合ってお互いを制御しています。このバランスが崩れると表皮細胞が一方的に増殖して、早く脱落していくことが起こります。
健常の皮膚では普通、表皮細胞はその一番外側に角質層という死んだ細胞の層を作り、垢(あか)になって落ちていくことを、一定の周期の45日で繰り返しています。乾癬では、この周期が4~5日と極度に短縮しているため、カサカサした薄皮である鱗屑がどんどんできては、ポロポロとはがれていきます。
この免疫反応の異常は、遺伝的になりやすい体質がある人に、扁桃腺(へんとうせん)炎などの感染症、薬物や外傷などの外的因子、糖尿病や高血圧、肝臓病、ストレスなどの内的因子が複雑に絡み合って発症したり、悪化したりすると考えられています。第二次世界大戦後に増加した疾患であり、もともと欧米人に多いことから、食事の西洋化が関係しているのではと類推されています。
一つひとつの発疹(はっしん)は、にきびのような赤いぶつぶつで始まり、次第に周囲に拡大するとともに厚い鱗屑を持つようになり、ある時を境によくなって、鱗屑がなくなるということを繰り返します。その時の鱗屑の大きさは、一定していません。このように、よくなったり悪くなったりを年余に渡って繰り返します。
乾癬では、ケブネル現象といって、繰り返しこすったり、傷付いたりした個所に、数日してから新しい発疹が出てくることがあります。これは、体の中でよくこすれる部位である肘(ひじ)や膝(ひざ)、尻(しり)、頭の毛の生え際などから発疹が出てきたり、あるいは発疹がひどい傾向にあります。
また、アウスピッツ血露現象といって、鱗屑を無理にはがすと、点状に出血がみられることがあります。これは、乾癬の特徴的な表皮の増殖の仕方と関係しています。すなわち、表皮が厚くなった部分と薄くなった部分が隣り合っているため、薄い表皮の下にある血管が傷付いて生じると考えられます。
鱗屑が厚い時にかゆみがありますが、基本的には自覚症状もなく、内臓にまで疾患が及ぶことはありません。
こういった乾癬の典型的症状のみがみられる例を尋常性乾癬といい、尋常性乾癬の病変が爪の表面に現れた状態が爪乾癬です。乾癬の発症者の3割から5割が爪乾癬を発症するとされますが、生涯のうちでは8割から9割が爪乾癬を発症するとされます。
爪乾癬は一度、手や足の爪に症状が現れると、一個所にとどまらず、両手や両足の爪に症状が広がります。そして、重症化すると、爪の甲が変形して白濁、肥厚するだけではなく、爪がはがれ落ちるほどになり、爪が一時的になくなってしまう状態になります。
爪乾癬の症状に気付いたら、皮膚科、皮膚泌尿器科を受診し、治療法を相談します。多くのケースでは外来通院治療が行われ、重症化した場合には入院治療が必要なこともあります。
爪乾癬の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断は、爪の症状や特徴的な皮膚の発疹とその分布、経過より判断します。通常は内臓の異常はありませんが、時に糖尿病、高血圧、肝臓病を合併していることがあるので、検査で確認することが必要です。また、薬の副作用で乾癬のような発疹が出てくることもあります。
治療の効果がみられない場合や経過の長い場合は、発疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行うと、診断が確定します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は、一般的な尋常性乾癬や爪乾癬に対する根本的な治療法はまだなく、完治させることは難しいと考えられているため、症状に合わせたいろいろな治療を行います。
症状に合わせた治療の方法には、外用薬、内服薬、光線療法などさまざまあります。症状が軽い場合には主に外用薬で、症状が重くなると内服薬や光線療法で治療します。
外用薬には、炎症を抑制する副腎(ふくじん)皮質ステロイド薬が多く用いられています。そのほか、皮膚の細胞が増殖するのを阻害する活性型ビタミンD3外用薬も、副腎皮質ステロイド薬ほどの速効性はありませんが、副作用が軽微なので併せて使用します。
しかしながら、皮膚ではなく爪に現れた爪乾癬の場合、外用薬では深部に浸透させることが難しいのが実情です。
内服薬としては、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)や、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられ、一定の効果が得られています。
光線療法は、紫外線の増感剤であるメトキサレン(オクソラレン)を発疹部に塗り、長波長紫外線UVAを当てる治療で、PUVA(プーバ)療法といいます。乾癬が全身にある場合、入院して内服のメトキサレンを使用してPUVA療法を行う場合もあります。紫外線を当てることで、異常な免疫反応が抑制され、効果が得られると考えられています。
近年、PUVA療法に代わる光線療法として、特定の紫外線波長を利用したナローバンドUVB療法も利用されるようになってきています。
いずれの治療法も一長一短があるため、治療により得られる効果と副作用のリスクの兼ね合いを考え、うまく組み合わせて症状をコントロールすることが大切です。乾癬の多くは慢性に経過しますが、自然に軽快、治癒することもあります。
生活上の注意としては、こすると新しい発疹が出てくるケブネル現象がありますので、皮膚をこすり過ぎないように注意します。入浴は構いませんが、こすり過ぎず、また鱗屑を無理にはぎ取らないようにします。ただし、鱗屑には発疹の慢性化に関係する物質も含まれていますので、ぬるま湯につかって軟らかくした後で無理なく鱗屑を取ることはよいことです。
日光浴も効果があるので、適度に行います。急激に日焼けをするとやはりケブネル現象で悪化することもあるので、あくまでも適度に。風邪を引いたりした後など、感染によりサイトカインのバランスが崩れ、乾癬の症状が悪化することがあります。風邪を引かないように、まめにうがいを励行します。精神的な動揺やストレスが疾患を悪くしますので、短気を起こさず、気長に治療していきます。
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■用語 爪かみ [用語(つ)]
爪の甲のかみすぎにより、形が変形する状態
爪(つめ)かみとは、爪の甲のかみすぎにより、形が変形する状態。爪かみ癖、かみ爪、咬爪(こうそう)症とも呼ばれます。
自分の爪をかむ行為は、実は子供にとっては特殊なことではありません。4、5歳から10歳くらいの子供がほとんど無意識に爪をかむ癖を持っているのは、珍しいことではありません。
一般的には、長ずるにつれて自然になくなる癖ですが、時には習慣化して、大人になっても爪をかむ行為が続く場合もあります。一般に精神的緊張の置き換えと考えられ、無理にやめさせると、さらに緊張を高めて他の行動へ置き換わるだけになることもあります。
爪かみの子供は、爪を切る必要がないくらい深爪で、爪の先端がギザギザになっていたり、爪の甲の表面がデコボコしていたり、指先や爪郭部が荒れて傷ができていたり、爪の根元部分の甘皮がささくれたりしています。
深爪になったばかりのころは直接皮膚がさらされているので、痛みを伴い、出血がみられたりします。また、皮膚がさらされているので細菌感染が生じ、爪の甲が完全に失われることもあります。中には、足の爪までかんでしまう子供もいます。
爪をかむ行為で、歯並びや歯のかみ合わせが悪くなることはありませんが、チック、指しゃぶり、歯ぎしり、夜驚などを併せ持っていることもあります。
一般に子供の欲求不満、過度の緊張、不安や不満、退屈など精神的緊張の置き換えと考えられ、子供は精神的な緊張を和らげる手段として爪をかみます。 爪かみの子供の性格は、神経質、緊張しやすい、敏感、活動的、攻撃的、動作が落ち着かないなどの特徴を持ち、情緒や社会性の未熟さがみられることが多いようです。
子供が緊張する背景としては、親の過干渉、放任、緊張状態が持続する厳格なしつけなど、親子関係に情緒的な安定が保たれていないことが多いようです。
爪かみの治療
子供の軽度の爪かみの場合は、保護者による指導の必要はなく、子供が緊張する心理的な背景を配慮するようにします。
小学校に入るころになると、爪かみは習慣化して、子供自身が治そうとしないとなかなかやめられません。やめさせるために家庭でできることとしては、汚れた爪をかむのは不潔なため清潔のしつけとしてやめさせる、深爪の危険を説明する、爪を保護する透明なマニキュアを塗り爪の大切さを教える、不安やストレスの要因を見付けて除去していく、やめた時のご褒美を子供と約束してカレンダーにシールを張るなどが考えられます。
ひどい場合には、精神科、心療内科を受診させます。
大人になっても爪かみがひどい場合も、精神的要因が絡んでいるなら、精神科、心療内科を受診します。爪かみは自傷行為であり、心が鳴らす警笛でもありますから、胸の中にある傷みや不安など精神的緊張と向き合い解決することは、爪かみの改善、解決につながることもあります。
爪、皮膚の症状に対しては、皮膚科、皮膚泌尿器科を受診するか、ネイルサロンで相談してみるのもよいでしょう。
自分で爪の甲にマニキュアやクリームを塗ったり、爪ヤスリなどでなるべく自然の丸みを帯びた形に爪を整え、グッズで爪磨きすることで、きれいな爪を保ちたいと思い、爪をかむことを自然と避けるようになる実例は多くあるようです。爪をかむことによって変形がひどい場合は、十分に伸びて変形が治るようになるまで、付け爪(人工爪)をつけるようにし、自分自身の爪を隠して保護することが効果的な実例も多くあるようです。
また、ネイルサロンできれいにマニュキアを塗ってもらい、きれいに爪を整えてもらうことで、爪かみが治ることもあります。ネイルサロンの中には、ネイルアートだけでなく、深爪矯正に力を入れ、自爪の強化や、自爪の回復ができるネイルケアを行っている所もあります。
ひどい深爪状態になってしまった爪は、治そうとして爪を伸ばしても、先端の白い部分が伸びるだけで、皮膚から浮いた状態になってしまいますが、ネイルサロンの深爪矯正を受けることで、きれいな自爪を取り戻すことが可能です。自爪がよみがえるまでの間の人工爪も、自然に見えるものを作成してくれるため、男性でも抵抗なく付け爪をすることが可能です。
爪(つめ)かみとは、爪の甲のかみすぎにより、形が変形する状態。爪かみ癖、かみ爪、咬爪(こうそう)症とも呼ばれます。
自分の爪をかむ行為は、実は子供にとっては特殊なことではありません。4、5歳から10歳くらいの子供がほとんど無意識に爪をかむ癖を持っているのは、珍しいことではありません。
一般的には、長ずるにつれて自然になくなる癖ですが、時には習慣化して、大人になっても爪をかむ行為が続く場合もあります。一般に精神的緊張の置き換えと考えられ、無理にやめさせると、さらに緊張を高めて他の行動へ置き換わるだけになることもあります。
爪かみの子供は、爪を切る必要がないくらい深爪で、爪の先端がギザギザになっていたり、爪の甲の表面がデコボコしていたり、指先や爪郭部が荒れて傷ができていたり、爪の根元部分の甘皮がささくれたりしています。
深爪になったばかりのころは直接皮膚がさらされているので、痛みを伴い、出血がみられたりします。また、皮膚がさらされているので細菌感染が生じ、爪の甲が完全に失われることもあります。中には、足の爪までかんでしまう子供もいます。
爪をかむ行為で、歯並びや歯のかみ合わせが悪くなることはありませんが、チック、指しゃぶり、歯ぎしり、夜驚などを併せ持っていることもあります。
一般に子供の欲求不満、過度の緊張、不安や不満、退屈など精神的緊張の置き換えと考えられ、子供は精神的な緊張を和らげる手段として爪をかみます。 爪かみの子供の性格は、神経質、緊張しやすい、敏感、活動的、攻撃的、動作が落ち着かないなどの特徴を持ち、情緒や社会性の未熟さがみられることが多いようです。
子供が緊張する背景としては、親の過干渉、放任、緊張状態が持続する厳格なしつけなど、親子関係に情緒的な安定が保たれていないことが多いようです。
爪かみの治療
子供の軽度の爪かみの場合は、保護者による指導の必要はなく、子供が緊張する心理的な背景を配慮するようにします。
小学校に入るころになると、爪かみは習慣化して、子供自身が治そうとしないとなかなかやめられません。やめさせるために家庭でできることとしては、汚れた爪をかむのは不潔なため清潔のしつけとしてやめさせる、深爪の危険を説明する、爪を保護する透明なマニキュアを塗り爪の大切さを教える、不安やストレスの要因を見付けて除去していく、やめた時のご褒美を子供と約束してカレンダーにシールを張るなどが考えられます。
ひどい場合には、精神科、心療内科を受診させます。
大人になっても爪かみがひどい場合も、精神的要因が絡んでいるなら、精神科、心療内科を受診します。爪かみは自傷行為であり、心が鳴らす警笛でもありますから、胸の中にある傷みや不安など精神的緊張と向き合い解決することは、爪かみの改善、解決につながることもあります。
爪、皮膚の症状に対しては、皮膚科、皮膚泌尿器科を受診するか、ネイルサロンで相談してみるのもよいでしょう。
自分で爪の甲にマニキュアやクリームを塗ったり、爪ヤスリなどでなるべく自然の丸みを帯びた形に爪を整え、グッズで爪磨きすることで、きれいな爪を保ちたいと思い、爪をかむことを自然と避けるようになる実例は多くあるようです。爪をかむことによって変形がひどい場合は、十分に伸びて変形が治るようになるまで、付け爪(人工爪)をつけるようにし、自分自身の爪を隠して保護することが効果的な実例も多くあるようです。
また、ネイルサロンできれいにマニュキアを塗ってもらい、きれいに爪を整えてもらうことで、爪かみが治ることもあります。ネイルサロンの中には、ネイルアートだけでなく、深爪矯正に力を入れ、自爪の強化や、自爪の回復ができるネイルケアを行っている所もあります。
ひどい深爪状態になってしまった爪は、治そうとして爪を伸ばしても、先端の白い部分が伸びるだけで、皮膚から浮いた状態になってしまいますが、ネイルサロンの深爪矯正を受けることで、きれいな自爪を取り戻すことが可能です。自爪がよみがえるまでの間の人工爪も、自然に見えるものを作成してくれるため、男性でも抵抗なく付け爪をすることが可能です。
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