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■用語 有棘細胞がん [用語(や行)]

[キスマーク]表皮の有棘層の細胞ががん化する皮膚がん
 有棘(ゆうきょく)細胞がんとは、表皮の有棘層の細胞ががん化する皮膚がん。日本人に多い皮膚がんの1つで、基底細胞がんに次いで発生頻度が高くなっています。
 皮膚は、表面から表皮、真皮、その深部の皮下組織の3層から構成されています。表皮は、さらに表面側から順に、角質層、顆粒(かりゅう)層、有棘層、基底層の4層に分けられます。表皮の最下層である基底層は、真皮と接しています。真皮には、血管、神経、毛嚢(もうのう)、脂腺(しせん)、汗腺、立毛筋などの組織があります。
 有棘細胞がんは、表皮の中間層を占める有棘層を構成する細胞から発生します。
 長年にわたり日光に含まれる紫外線を浴び続けた顔面、耳、前腕、手の甲などの皮膚に、光線角化症(日光角化症)と呼ばれる、かさつきのある紅斑(こうはん)ができることがあります。口唇、主に下唇にも同じような病変ができることがあり、光線性口唇炎(日光口唇炎)と呼ばれます。光線角化症と光線性口唇炎は、ごく早期の有棘細胞がんに相当し、がん細胞は表皮のみにとどまり、表皮内がんとも呼ばれます。また、原因が特定できない表皮内がんをボーエン病と呼びます。
 光線角化症、光線性口唇炎、ボーエン病のいずれも進行すると、皮膚の深部に浸潤し、角質を多く含む組織に変化する角化を伴う腫瘍(しゅよう)や潰瘍(かいよう)を形成し悪臭を伴うようになり、リンパ節転移や遠隔転移を起こすことがあります。
 有棘細胞がんの原因として最も多いのは日光に含まれる紫外線、特に中波長紫外線に長期間にわたって当たることですが、やけどの跡(熱傷瘢痕〈はんこん〉)、放射線による皮膚炎、慢性の炎症(骨髄炎、褥瘡〈じょくそう〉、膿皮〈のうひ〉症など)、パピローマウイルスの感染、タールの長期暴露、慢性ヒ素中毒など、さまざまな原因で有棘細胞がんが発生することがあります。
[キスマーク]有棘細胞がんの検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍科の医師による診断では、視診で見当がつきますが、診断を確定するためには、局所麻酔をして皮膚病変の一部を切り取り切り顕微鏡で調べる生検と、これまでの生活歴の把握が必要です。
 そのほかに、腫瘍の浸潤の深さや転移など、病変の広がりを調べるために、超音波(エコー)検査を始め、CTやMRI、PETと呼ばれる画像検査を行うこともあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍科の医師による治療では、光線角化症やボーエン病のような表皮内がんの段階であれば、病変の切除で完治します。
 また、顔や頭部に発生した光線角化症では、病変の切除のほかに、イミキモド(ベセルナクリーム)による外用治療が可能な場合もあります。イミキモドを塗布すると皮膚の免疫系を活性化し、強い炎症を起こすことでがん細胞を除去する効果があります。欠点として、塗布した皮と膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがあること、治療期間が2〜4カ月と比較的長いことが挙げられます。また、角化が強い場合は効果がないことがあります。
 有棘細胞がんに進行した場合は、原則として手術により切除します。病変の進行度にもよりますが、通常、病変辺縁より0・5〜2センチ程度離して切除します。切除後の皮膚欠損が大きくなった場合には、植皮や皮弁などの再建手術を行います。
 再発の危険性が高い場合は、手術後に放射線治療を追加することがあります。また、手術ができない場合や遠隔転移がある場合は、放射線治療、抗がん剤治療を単独あるいは組み合わせて行います。
 放射線を照射する放射線治療は、手術に比べ根治率はやや劣るものの比較的高い効果があり、有棘細胞がんにもしばしば適用されています。しかし、切除する治療である手術に比べると、がん細胞が残ってしまったり、その結果として再発しやすかったりするため、体の調子がよくないなど手術ができない場合に行われたり、目の周囲などがんが発生した部位などの理由から手術が勧められない場合に実施されることが多くなっています。また、最初に手術した結果、顕微鏡の検査で取り切れなかったことが確認された場合に、再手術の代わりに放射線治療が行われることもあります。
 抗がん剤治療は通常、手術不可能な進行例に適用します。また、化学放射線療法として、放射線治療と組み合わせて同時に行うことがあります。
 病気の進行を遅らせることを目標にした抗がん剤治療として、主にシスプラチン(カルボプラチン)とアドリアシン(エピルビシン)を併用するCA療法のほか、イリノテカン(CPTー11)などが使用されています。しかし、有棘細胞がんに対する効き目が得られないこともあります。

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■用語 夜間低血糖 [用語(や行)]

[夜]睡眠中に現れる低血糖
 夜間低血糖とは、血液に含まれる糖(ブドウ糖)が少なくなりすぎる低血糖が睡眠中に現れる状態。
 血液に含まれる糖は、生きるために欠かせないエネルギー源。糖尿病でない人の血液に含まれる糖の量、すなわち血糖値は約70mg/dLから140mg/dLの間に維持されています。しかし、糖尿病ではこの糖の量を一定に維持することができません。食事から取り入れた糖を体や脳のエネルギーとして消費するという需要と供給のバランスが崩れ、血液中の糖が増えすぎると高血糖、逆に薬が効きすぎるなどして血液中の糖が少なくなりすぎると低血糖になります。
 一般に、血糖値が70mg/dL以下になると、人の体は血糖値を上げようとします。また、血糖値が50mg/dL未満になると、脳などの中枢神経が糖不足、すなわちエネルギー不足の状態になります。その時に現れる特有の症状を低血糖症状といいます。
 人によっては、血糖値が70mg/dL以下にならない場合でも、糖尿病の治療などで血糖値を下げるインスリンの過剰な状態になった時に血糖値が急激に大きく下がることで、低血糖症状が現れることがあります。逆に、血糖値が70mg/dL以下になった場合でも、低血糖症状が現れない人もいます。
 睡眠中に血糖値が低下する夜間低血糖が起こると、血糖値を回復させるため、アドレナリンやコルチゾールなどの興奮にかかわるホルモンが分泌され、交感神経が優位になります。そのため、寝汗や歯ぎしり、悪夢にうなされる、熟睡感がない、寝ても疲れが取れない、朝起きた時に頭痛や肩凝りがある、といった症状が現れます。つまり、夜間低血糖と同時に、眠りの質を低下させる睡眠障害も起きてしまうということです。
 夜間低血糖は夜中の2時から3時ころに起きやすく、いったん、アドレナリンやコルチゾールなどのホルモンが分泌されると、肝臓からブドウ糖が放出されるため、明け方以降に血糖値の上昇が起こり、半日程度は血糖値が下がりにくくなります。そのため、糖尿病の薬が十分効かなくなり、一日の血糖コントロールに悪影響を及ぼすことも少なくありません。
 夜間低血糖が起きると、多くの場合は不快な症状により目が覚め、自発的に夜間低血糖に気が付きます。ただし、眠りが深い場合や、急激に血糖値が下がって意識を消失した場合には、本人が気付かないこともあります。
 現れる症状には個人差がありますが、血糖値が低下すれば低下するほど症状は重くなり、血糖値が50mg/dL程度になると、中枢神経症状が現れ、意識障害を示すことがあります。そして、血糖値が30mg/dLよりも低くなると、重症低血糖に陥って意識レベルが低下し、意識消失、けいれん、昏睡(こんすい)など危険な状態になってしまうことがあります。これは大変深刻な状態で、死に至ることもあります。
 夜間低血糖になる原因は、いくつか考えられます。食事の量や炭水化物の不足、糖尿病の薬を服用した後の食事時間の遅れ、寝る前の運動の量や時間の多すぎ、空腹での運動、インスリン注射や経口血糖降下剤の量の多すぎ、飲酒、入浴など。
 夜間低血糖になった時は、できるだけ早い段階で速やかに対応をしなければなりません。目が覚めて意識があり、経口摂取が可能な時は、砂糖15グラムから20グラムを飲みます。糖分を含む缶ジュース、缶コーヒーでも構いません。10分から15分で回復しない時は、再度同量を摂取します。
 α-グルコシダーゼ阻害剤であるアカルボース(商品名:グルコバイ等)、ボグリボース(商品名:ベイスン等)、ミグリトール(商品名:セイブル)など、消化管の二糖類をブドウ糖に分解する消化酵素の働きを抑えることで血糖の急激な上昇を抑える経口血糖降下剤を飲んでいて夜間低血糖を起こした時には、砂糖を飲んでもすぐに吸収されないため、回復に時間がかかることがあります。
 そのため、夜間低血糖時にはブドウ糖、またはブドウ糖を多く含む清涼飲料水を飲むようにします。
 深刻な低血糖で意識障害を来した時には、自身でブドウ糖を飲み込むのが難しいことがあり、家族や周囲の協力が必要になります。その場合は、無理にブドウ糖を飲ませると、誤嚥(ごえん)や窒息の原因になります。周囲の人は、ブドウ糖や砂糖を水で溶かして、口唇と歯肉の間に塗り付けます。
 医療機関の指導を受けた上で、周囲の人が血糖値を上げるためのグルカゴンという注射を行うこともあります。肝臓のグリコーゲンを分解し、ブドウ糖を放出する作用があるグルカゴン注射で回復した後は、軽く経口摂取しておくことが必要です。なお、アルコールの飲みすぎで低血糖になった時は、肝臓内のグリコーゲンが枯渇しており、グルカゴン注射は効きません。
 救急処置でも回復しない時は、すぐに救急車を呼び、医療機関へ搬送しましょう。
 意識がはっきりしない状態にまでなった低血糖は、一時的に血糖値が改善してもその後にまた血糖値が下がり、同じ症状が現れる可能性が高くなります。低血糖が続く場合も、必ず内科、内分泌代謝内科などを受診し、診察を受けましょう。
 糖尿病でない健康な人でも、夜間低血糖が起こることがあります。食事量が十分に取れていなかった時、食事時間が遅れて空腹が続いた時、空腹のまま激しい運動や長時間の運動を行った時、食事を取らない状態でアルコールを過剰に摂取した時などに血糖値のバランスが崩れると、夜間低血糖を起こしやすくなります。
 また、夜間低血糖は、1日を通して血糖値が乱高下している人に多く見受けられます。特に夕食後に血糖値が急激に上がると、それに対応すべくインスリンが過剰に分泌される結果、血糖値が下がりすぎて夜間低血糖を引き起こすことがあります。
 ただし、健康な人の場合、夜間低血糖になっても、自然に回復してしまい気が付かないことがあります。
[夜]夜間低血糖の対策と予防
 夜間低血糖に関しては、予防に優る治療はありません。食事を規則正しく摂取する、食前の過激な運動は避ける、運動前に補食するなどの注意が必要です。
 また、自身が糖尿病治療のために使用している薬が、低血糖を起こしやすいか否かを把握することも、必要です。一般に低血糖を起こしやすい糖尿病の治療薬は、経口血糖降下剤のスルホニル尿素薬(SU薬)とインスリンです。経口血糖降下剤のビグアナイド薬(BG薬)、α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなど)、速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)といった薬でも起こることがあります。インスリン注射は、正しい手技を身に着けておくことが重要です。
 軽い低血糖症状が現れた時は、できるだけ早い段階で速やかに対処して、重症低血糖を防ぎます。血糖自己測定器で夜間にも血糖を測り、血糖が下がっていれば症状がなくても早めに対処することが必要です。

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■用語 薬剤性低血糖 [用語(や行)]

[レストラン]糖尿病の薬などの服用により、血液に含まれる糖が少なくなりすぎて症状が現れる状態
 薬剤性低血糖とは、糖尿病の薬などの服用が原因で、血液に含まれる糖(ブドウ糖)が少なくなりすぎて特有の症状が現れる状態。
 経口血糖降下剤やインスリン注射などの薬物療法を必要とする糖尿病患者では、それらの薬剤を服用している限り、日常生活において低血糖が現れる可能性は常に潜んでいます。また、糖尿病治療薬以外の薬剤の服用による副作用として、薬剤性低血糖の症状が現れることもあります。
 血液に含まれる糖は、生きるために欠かせないエネルギー源。糖尿病でない人の血液に含まれる糖の量、すなわち血糖値は約70mg/dLから140mg/dLの間に維持されています。しかし、糖尿病ではこの糖の量を一定に維持することができません。食事から取り入れた糖を体や脳のエネルギーとして消費するという需要と供給のバランスが崩れ、血液中の糖が増えすぎると高血糖、逆に薬が効きすぎるなどして血液中の糖が少なくなりすぎると低血糖になります。
 一般に、血糖値が70mg/dL以下になると、人の体は血糖値を上げようとします。また、血糖値が50mg/dL未満になると、脳などの中枢神経が糖不足、すなわちエネルギー不足の状態になります。その時に現れる特有の症状を低血糖症状といいます。
 人によっては、血糖値が70mg/dL以下にならない場合でも、治療などによって血糖値を下げるインスリンの過剰な状態になった時に血糖値が急激に大きく下がることで、低血糖症状が現れることがあります。逆に、血糖値が70mg/dL以下になった場合でも、低血糖症状が現れない人もいます。
 低血糖になる原因は、いくつか考えられます。経口血糖降下剤やインスリン注射の量の多すぎ、糖尿病の薬を服用した後の食事時間の遅れのほか、食事の量や炭水化物の不足、運動の量や時間の多すぎ、空腹での運動、飲酒、入浴など。
 一般に低血糖を起こしやすい糖尿病の治療薬は、経口血糖降下剤のスルホニル尿素薬(SU薬)とインスリンです。経口血糖降下剤のビグアナイド薬(BG薬)、α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなど)、速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)といった薬でも起こることがあります。インスリン注射は、正しい手技を身に着けておくことが重要です。
 糖尿病治療薬以外で低血糖を起こしやすい薬剤は、合成抗菌剤(ニューキノロン系、ST合剤)、不整脈用剤(ジソピラミド、シベンゾリンなど)、脳循環代謝改善剤(ホパンテン酸カルシウム)などです。
 低血糖の時には、その値に応じて、体にさまざまな低血糖症状が現れます。集中できなかったり、いつもしていることに時間がかかってしまう場合は、低血糖の可能性もあります。
 睡眠中に低血糖が起きていても、気付かない場合が多々あります。日中に起きる低血糖と症状や原因が異なり、寝る前の運動や食事、入浴などのちょっとした行動が原因になることもあります。さらに、夜間低血糖を起こすと、その反動で翌朝、高血糖になることがあり、その高血糖が尾を引くと一日の血糖コントロールに悪影響を及ぼすことも少なくありません。
 血糖値が約70mg/dL以下になると、交感神経症状が現れ、異常な空腹感、発汗、手の震え、動悸(どうき)などの症状が出てきます。さらに血糖値が下がり50mg/dL程度になると、中枢神経症状が現れます。
 ただし、ふだんから低血糖がよく起こる人や、低血糖症状の自覚が少ない人は、空腹感、発汗などの交感神経症状が現れないまま、無自覚性低血糖になることがあります。無自覚性低血糖の状況になると、血糖値を測ると60mg/dL程度まで低下していることに気付いたり、血糖値が50mg/dLより低くなって、突然さらに重い中枢神経症状が現れ、意識障害を示すことがあります。
 そして、血糖値が30mg/dLよりも低くなると、重症低血糖に陥って意識レベルが低下し、昏睡(こんすい)など意識のない危険な状態になってしまうことがあります。これは大変深刻な状態で、死に至ることもあります。
 低血糖になった時は、できるだけ早い段階で速やかに対応をしなければなりません。意識があり経口摂取が可能な時は、砂糖15グラムから20グラムを飲みます。糖分を含む缶ジュース、缶コーヒーでも構いません。10分から15分で回復しない時は、再度同量を摂取します。
 α-グルコシダーゼ阻害剤であるアカルボース(商品名:グルコバイ等)、ボグリボース(商品名:ベイスン等)、ミグリトール(商品名:セイブル)など、消化管の二糖類をブドウ糖に分解する消化酵素の働きを抑えることで血糖の急激な上昇を抑える糖尿病の薬を飲んでいて低血糖を起こした時には、砂糖を飲んでもすぐに吸収されないため、回復に時間がかかることがあります。
 そのため、低血糖時にはブドウ糖、またはブドウ糖を多く含む清涼飲料水を飲むようにします。
 深刻な低血糖で意識障害を来した時には、自身でブドウ糖を飲み込むのが難しいことがあり、家族や周囲の協力が必要になります。その場合は、無理にブドウ糖を飲ませると、誤嚥(ごえん)や窒息の原因になります。周囲の人は、ブドウ糖や砂糖を水で溶かして、口唇と歯肉の間に塗り付けます。
 医療機関の指導を受けた上で、周囲の人が血糖値を上げるためのグルカゴンという注射を行うこともあります。肝臓のグリコーゲンを分解し、ブドウ糖を放出する作用があるグルカゴン注射で回復した後は、軽く経口摂取しておくことが必要です。なお、アルコールの飲みすぎで低血糖になった時は、肝臓内のグリコーゲンが枯渇しており、グルカゴン注射は効きません。
 救急処置でも回復しない時は、すぐに救急車を呼び、医療機関へ搬送しましょう。
 意識がはっきりしない状態にまでなった低血糖は、一時的に血糖値が改善してもその後にまた血糖値が下がり、同じ症状が現れる可能性が高くなります。低血糖が続く場合も、必ず医療機関で診察を受けましょう。
[レストラン]薬剤性低血糖の検査と診断と治療
 内科、内分泌代謝内科などの医師による診断では、低血糖症状があってもなくても、血糖値が70mg/dLより低い場合、血糖値が70mg/dLより高くても、低血糖症状がある場合に、低血糖と判断します。
 意識障害で重症低血糖の患者が搬送されてきた場合には直ちに緊急の処置を行いますが、それでも可能であれば血液検査を行い、血糖値を確認します。
 内科、内分泌代謝内科などの医師による治療では、意識が保持され経口摂取が可能な場合には、ブドウ糖10〜20グラムを経口摂取します。低血糖昏睡を起こし経口摂取が不可能な場合には、まず50%のブドウ糖液 20〜40 mlを静注し、その後5%のブドウ糖を点滴し、血糖値を100~200 mg/dlに保ちます。特にスルホニル尿素薬(SU薬)を内服している場合には、ブドウ糖液の静注で血糖が上昇したからといって安心せず、数時間後に再発することがあるため、入院の上で十分な管理を行います。
 低血糖に関しては、予防に優る治療はありません。食事を規則正しく摂取する、食前の過激な運動は避ける、運動前に補食するなどの注意が必要です。
 また、自身が糖尿病治療のために使用している薬、あるいは糖尿病治療薬以外の抗菌薬、抗不整脈薬などの薬剤が、低血糖を起こしやすいか否かを把握することも、必要です。
 軽い低血糖症状が現れた時は、できるだけ早い段階で速やかに対処して、重症低血糖を防ぎます。無自覚低血糖を起こすようなケースでは、こまめに血糖を自己測定し、血糖が下がっていれば症状がなくても早めに対処することが必要です。
 低血糖を起こした時、いつ、どこにいてもすぐに対処できるように、ペットシュガーやブドウ糖ゼリーなどを常時携帯しておきます。特に運動療法で外出するような時は忘れずに持っていきます。
 もしもの時に備えて、糖尿病患者であることを示す糖尿病手帳や、携帯用の糖尿病患者用IDカード(緊急連絡用カード)を常に携行しておけば、昏睡で医療機関に搬送された時でもすぐに適切な処置が受けられます。

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■用語 翼状陰茎 [用語(や行)]



[喫茶店]陰茎の腹側の皮膚と陰嚢の前面の皮膚が融合し、翼状を示す奇形
 翼状陰茎とは、男性の陰茎の下側と陰嚢(いんのう)の上側の皮膚がくっついている状態。
 先天的な形質状の奇形で、胎児期の皮膚の発生において、陰茎の下側の皮膚の欠損が生じ、陰嚢の上側の皮膚と融合することによって発症すると考えられています。
 陰茎を持ち上げると、接着した部分が翼状あるいは水かき状の外観を示します。その結果、陰茎が小さく見えたり、陰茎が陰嚢に埋もれて見えたり、陰嚢が陰茎にぶら下がって見えたりすることがあります。
 陰茎からの排尿など機能上の問題は少ないものの、尿道下裂、尿路奇形、尿路感染症、精巣上体炎などを伴うことがあります。
 尿道下裂は、尿道の出口が陰茎の先端になくて、陰茎の途中や陰嚢などにある状態で、陰茎の上側の包皮が過剰なため、陰茎が下に向くことが多い先天的な尿道の奇形です。精巣上体炎は、陰嚢内に左右各1個あって卵形をしている精巣の上面、および後面に付着している精巣上体に、炎症が起こる疾患です。
 翼状陰茎の問題の主体は、美容上です。多感な幼少期に、周囲の子供と陰茎の形状が異なることは、本人にとって十分な心的外傷(トラウマ)になり得ます。そのためにも、翼状陰茎の発症者に対しては、周囲の十分な配慮が必須です。
 また、生殖年齢になっても翼状陰茎が自然に消失していない場合、病状によってはパートナーの女性との性行為の際に陰茎を膣(ちつ)に挿入することが困難となり、 性交困難症を二次的に引き起こす可能性もあります。
 翼状陰茎の多くは、両親などが異常に気付いて、小児泌尿器科、泌尿器科を受診します。大多数は成長に伴う改善が期待できますが、高度な場合は医師による手術を要します。
[喫茶店]翼状陰茎の検査と診断と治療
 小児泌尿器科、泌尿器科の医師による診断では、生下時からのエピソードの問診、陰茎の外観の観察による視診、ならびに触診を行います。画像診断などを行わなくても、ほとんどは容易に判断されます。
 診断に際しては、矮小(わいしょう)陰茎(ミクロペニス)、埋没陰茎などとの鑑別を行います。
 小児泌尿器科、泌尿器科の医師による治療では、翼状陰茎は成長に伴い、正常化することが多いとされているものの、生下時より異型性が非常に強い場合や、成長に伴う改善が十分にみられなかった場合、生殖年齢になって性交困難症を示すような二次的な実害がある場合においては、形成手術を施行します。
 形成手術では、陰茎に付着している部分で陰嚢の皮膚を横に切開して、陰茎、陰嚢の両方とも皮膚を縦に縫合することで形成します。基本的には局所麻酔でも実行可能な、体への負担の少ない手術です。
 尿道下裂を伴っている場合は、包皮を用いて尿道の出口を新しく作り、曲がった陰茎をできるだけ真っすぐにし、必要なら亀頭の形成も行います。
 成長に伴う翼状陰茎の改善を待つ場合、多感な幼少期に形質の違う性器を持っているというで、深い心的外傷(トラウマ)を形成する可能性もあります。性器に関連した深い心的外傷(トラウマ)は、三次的な実害として、心因性(機能性)勃起障害(ED )を引き起こしかねないので、十分な注意が必要です。
 医師による心因性勃起障害の場合の治療は、カウンセリング、性的教育などが主体となりますが、薬物療法を用いることもしばしばあります。


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