■用語 音響外傷 [用語(お)]
極めて大きな音により急性に引き起こされる音響性聴力障害
音響外傷とは、極めて大きな音を急に聞くことで引き起こされる聴力障害。急性音響性難聴と呼ばれることもあります。
音量の大きな音楽を演奏するロックバンドのライブコンサートやショー、イベントなどの数時間の観覧、ヘッドホンやイヤホンを介した大音量での長時間の音楽鑑賞が原因となって、若い人に症状が起こることもあり、ロック難聴やヘッドホン難聴と呼ばれることもあります。
また、祝賀用の爆竹の破裂音、花火の破裂音、ピストルの発砲音を繰り返し聞く、大音量の爆発音を何度も聞く、工場の機械の瞬間的に生じた大きな作動音を聞くことでも、音響外傷の症状が起こります。
音は空気の振動によって、外耳道から鼓膜を介して中耳へと伝わります。中耳にある骨が振動すると内耳へと情報が伝わり、内耳の中の蝸牛(かぎゅう)にあるリンパ液が振動を受けます。この振動を有毛細胞と呼ばれる感覚細胞が感知することで、脳へと音の情報が伝わります。
音響外傷は、一定レベルを超える大音量にさらされることにより、音を感知する有毛細胞が障害を受けることで発症します。
症状は、音が聞こえにくくなる難聴、耳鳴り、耳が詰まったり、こもったりする感じが生じる耳閉感、耳の痛みです。めまいや吐き気を伴うこともあります。
音が聞こえにくくなる難聴の場合、音全般が聞こえにくくなったり、低音だけ聞こえが悪くなったりなど症状はさまざまです。
症状は一時的に起こり、自然に回復する場合もあります。また、音の発生源に近いほうの耳だけに、症状が起こることもあります。
軽度のものであれば音から離れることで症状が改善しますが、重篤な場合には難聴や耳鳴りが永続化してしまうこともあります。
大音量にさらされた後、難聴、耳鳴りなどの症状が続く場合は、早めに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診してください。
音響外傷の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科の医師による診断では、大きな音にさらされたという情報が有益になります。
検査としては、まずは耳の中をのぞくことができる耳鏡を使って、鼓膜に穴が開く鼓膜穿孔(せんこう)がないかを確かめます。次に、耳の聞こえが低下していることを確認するために、純音聴力検査を行います。さまざまな振動数の音がどれくらい聞こえているかを調べる検査で、左右それぞれの耳で行います。状況によっては、めまいに関する検査をすることもあります。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、耳の神経の修復を助けるホルモン剤、ビタミン剤、循環改善剤などを用いることがあります。状況によっては、ステロイド剤を使うこともあります。
難聴が軽く、早期に治療を始めた場合には、回復する可能性があります。
難聴の症状が固定すると、症状を完全に回復させることが難しい場合もあるため、音を聞く際には適度に休憩をとるなど予防策を講じることが大切です。
イヤホンで音楽を聞く際には、音量を大きくしすぎず、長時間にわたって聞かないようにします。また、ライブコンサートなどの観覧に際しては、会場の音が強いと感じるようであればその場から離れたり、耳栓を使用したりするなど耳を保護する対策を講じることが重要です。
耳の神経は疲れやストレスの影響を受けるため、心身の安静を保つことも必要です。規則正しい生活を送り、ストレスをため込まないことが大切。
音響外傷とは、極めて大きな音を急に聞くことで引き起こされる聴力障害。急性音響性難聴と呼ばれることもあります。
音量の大きな音楽を演奏するロックバンドのライブコンサートやショー、イベントなどの数時間の観覧、ヘッドホンやイヤホンを介した大音量での長時間の音楽鑑賞が原因となって、若い人に症状が起こることもあり、ロック難聴やヘッドホン難聴と呼ばれることもあります。
また、祝賀用の爆竹の破裂音、花火の破裂音、ピストルの発砲音を繰り返し聞く、大音量の爆発音を何度も聞く、工場の機械の瞬間的に生じた大きな作動音を聞くことでも、音響外傷の症状が起こります。
音は空気の振動によって、外耳道から鼓膜を介して中耳へと伝わります。中耳にある骨が振動すると内耳へと情報が伝わり、内耳の中の蝸牛(かぎゅう)にあるリンパ液が振動を受けます。この振動を有毛細胞と呼ばれる感覚細胞が感知することで、脳へと音の情報が伝わります。
音響外傷は、一定レベルを超える大音量にさらされることにより、音を感知する有毛細胞が障害を受けることで発症します。
症状は、音が聞こえにくくなる難聴、耳鳴り、耳が詰まったり、こもったりする感じが生じる耳閉感、耳の痛みです。めまいや吐き気を伴うこともあります。
音が聞こえにくくなる難聴の場合、音全般が聞こえにくくなったり、低音だけ聞こえが悪くなったりなど症状はさまざまです。
症状は一時的に起こり、自然に回復する場合もあります。また、音の発生源に近いほうの耳だけに、症状が起こることもあります。
軽度のものであれば音から離れることで症状が改善しますが、重篤な場合には難聴や耳鳴りが永続化してしまうこともあります。
大音量にさらされた後、難聴、耳鳴りなどの症状が続く場合は、早めに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診してください。
音響外傷の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科の医師による診断では、大きな音にさらされたという情報が有益になります。
検査としては、まずは耳の中をのぞくことができる耳鏡を使って、鼓膜に穴が開く鼓膜穿孔(せんこう)がないかを確かめます。次に、耳の聞こえが低下していることを確認するために、純音聴力検査を行います。さまざまな振動数の音がどれくらい聞こえているかを調べる検査で、左右それぞれの耳で行います。状況によっては、めまいに関する検査をすることもあります。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、耳の神経の修復を助けるホルモン剤、ビタミン剤、循環改善剤などを用いることがあります。状況によっては、ステロイド剤を使うこともあります。
難聴が軽く、早期に治療を始めた場合には、回復する可能性があります。
難聴の症状が固定すると、症状を完全に回復させることが難しい場合もあるため、音を聞く際には適度に休憩をとるなど予防策を講じることが大切です。
イヤホンで音楽を聞く際には、音量を大きくしすぎず、長時間にわたって聞かないようにします。また、ライブコンサートなどの観覧に際しては、会場の音が強いと感じるようであればその場から離れたり、耳栓を使用したりするなど耳を保護する対策を講じることが重要です。
耳の神経は疲れやストレスの影響を受けるため、心身の安静を保つことも必要です。規則正しい生活を送り、ストレスをため込まないことが大切。
■用語 温熱じんましん [用語(お)]
風呂のお湯などの温熱刺激が原因となって生ずるじんましん
温熱じんましんとは、風呂や暖房器具、ドライヤー、温かい飲食物などの温熱刺激によって生じる皮膚病。
症状は通常、温熱刺激が加わってから数分以内に現れ、数時間以内に消失します。
温熱刺激が加わってから通常数分以内に、強いかゆみを伴う皮膚の盛り上がりが生じます。かゆみや皮膚の変化は、数時間以内に治まることが多く認められます。
じんましんは、何らかの刺激によって皮膚の血管周辺にあるマスト細胞(肥満細胞)が刺激されて、細胞内に蓄えられているヒスタミンという化学物質が放出され、皮膚のはれや、かゆみ、湿疹(しっしん)ができる症状です。ヒスタミンには皮膚の血管を拡張させる作用があり、血管が拡張することで血液中の液体成分が血管の外に漏れ出し、これが皮膚を赤く盛り上げてはれとなるのです。ヒスタミンには、神経に作用してかゆみを引き起こす作用もあるため、赤いはれとともにかゆみも生じます。
マスト細胞が刺激される原因はさまざまですが、風呂のお湯に浸(つ)かったり、暖房器具に当たったりして、皮膚が急に激しい温度変化にさらされることも刺激になり、温熱じんましんが発生しやすくなります。
全身が冷え切った状態で、いきなり風呂のお湯に浸かると、皮膚表面の温度が急激に上がり、温熱じんましんが出やすくなります。風呂上がりに体が赤く、強いかゆみが出るという場合は、温熱じんましんが出ている可能性が高いといえます。
また、冬場に寒い屋外から戻って急に暖かい室内に入った時や、夏場にエアコンで冷えた室内から急に暑い屋外に出た時にも、温熱じんましんが出やすくなります。
温熱じんましんは、急に体が温まることが原因で起きるもので、空気が乾燥して皮膚のバリア機能が弱まり刺激を受けやすくなる冬場に、多くみられる疾患です。梅雨の時期から夏にかけて、みられるケースもあります。
寒い冬場は、暖房器具のすぐ近くで暖を取ることも珍しくありません。最近の暖房器具は、温風が出るものが多く、それが肌に当たるとその部分だけ急激に体温が上昇し、じんましんが出やすくなります。
温風だけでなく、赤外線電気こたつ、電気毛布、ホットカーペット、あんか、懐炉、ヒートパッド、火鉢、湯たんぽなどなど体に密着させて使う暖房器具でも、同じ状況が起きやすくなります。
運動後に、温熱じんましんが出る場合もあります。運動をすると体温が上がり、とりわけ冬場に運動をする前と運動をした後では、皮膚表面の温度が大きく変わり、温熱じんましんが出やすくなります。冬場に運動をすると体がかゆくなるという場合は、温熱じんましんが出ている可能性があります。
そのほかの温熱刺激物質としては、ドライヤー、日光、料理に伴う熱なども挙げられ、敏感な人ではホットコーヒーなど温かい飲食物を摂取した後にも、唇がはれるなど粘膜症状としてじんましんが出ることもあります。
温熱じんましんは誰でも発症する可能性がありますが、アレルギー体質の人や冷え性の人が特に発症しやすいといえます。アレルギー体質の人は、温熱じんましんの原因となるヒスタミンが出やすいためです。また、冷え性の人は、常に皮膚が冷えているので、ほかの人よりも低温でじんましんが出やすくなります。
このほかにも、乾燥肌、敏感肌の人も、温熱じんましんが出やすいといえます。
温熱じんましんはどの年代でも発症する可能性がありますが、乳幼児や高齢者に多い傾向があります。例えば、「赤ちゃんは冷やしてはいけない」とされるため、つい厚着をさせがちですが、体温調節がまだうまくできないので、温度差が激しい場所に行くと体温も変わりやすい結果、かゆみが出て激しくぐずることもあります。
また、高齢者の場合は、加齢から肌の温度調節がうまくいかず乾燥肌になりやすいため、温熱じんましんになりやすい状態です。
温熱じんましんでは、皮膚のはれや、かゆみ、湿疹、粘膜のはれなどが主な症状として現れます。局所的にできるものは、赤みやかゆみが強く、蚊が刺したように皮膚がプクッと膨らむ傾向があります。
かゆいからといって皮膚をかきむしると、それが刺激になってさらにじんましんが広がることもあります。
そのほかの症状として、全身倦怠(けんたい)感、頭痛、ふらつき、吐き気や嘔吐(おうと)、下痢、腹痛、息苦しさなどが挙げられます。重症の場合には意識を失うこともあり、症状は個人によって大きく異なります。
温熱じんましんのほとんどは、花粉やハウスダストなどがアレルゲンとなって起こるアレルギー性ではなく、単に皮膚が刺激を受けたことによって起こる非アレルギー性であり、お湯に浸かったり、暖房器具に当たったりすれば必ず出るものではありません。ストレスがたまっていたり、抵抗力が弱っていたりすると、発生しやすくなります。
温熱じんましんは、日常のふとした切っ掛けで生じることがあるため、温熱刺激による異変を感じた場合や、風呂のお湯に浸かったり、体温が急激に上がったりするたびに、温熱じんましんが出るような場合は、一度、皮膚科ないし皮膚泌尿器科で詳しく皮膚の状態を診察してもらうことが大切です。
温熱じんましんの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、問診にて具体的な症状やそれまでの経過を確認します。
特に、入浴後やドライヤーの使用後、温かい飲食物の摂取後に症状が生じたなどの情報は重要で、じんましんの発症前の状況や症状の変化を具体的に伝えてもらいます。
温熱じんましんが疑われる場合には、実際に温熱刺激を皮膚に加え、その後の皮膚変化を医師が評価する検査を行うこともあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、じんましんが生じる原因となる温熱刺激をできるだけ避けることが重要です。また、かゆみの原因となるヒスタミンを抑えるための治療薬を処方します。抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が中心ですが、かゆみが強い場合にはステロイド薬を併用することもあります。じんましんの症状が治まっても、薬の服用期間は厳守してもらいます。
主に内服薬を処方しますが、眠気や排尿障害などの副作用が生じることもあります。
温熱じんましんを繰り返す状態が続く場合は、抵抗力や免疫力を高めるために体質改善を視野に入れて、漢方薬を試してみるのもお勧めです。すぐに効果が現れなくても、指示された通りに根気よく治療を続けることによって、完治することもあります。
温熱じんましんとは、風呂や暖房器具、ドライヤー、温かい飲食物などの温熱刺激によって生じる皮膚病。
症状は通常、温熱刺激が加わってから数分以内に現れ、数時間以内に消失します。
温熱刺激が加わってから通常数分以内に、強いかゆみを伴う皮膚の盛り上がりが生じます。かゆみや皮膚の変化は、数時間以内に治まることが多く認められます。
じんましんは、何らかの刺激によって皮膚の血管周辺にあるマスト細胞(肥満細胞)が刺激されて、細胞内に蓄えられているヒスタミンという化学物質が放出され、皮膚のはれや、かゆみ、湿疹(しっしん)ができる症状です。ヒスタミンには皮膚の血管を拡張させる作用があり、血管が拡張することで血液中の液体成分が血管の外に漏れ出し、これが皮膚を赤く盛り上げてはれとなるのです。ヒスタミンには、神経に作用してかゆみを引き起こす作用もあるため、赤いはれとともにかゆみも生じます。
マスト細胞が刺激される原因はさまざまですが、風呂のお湯に浸(つ)かったり、暖房器具に当たったりして、皮膚が急に激しい温度変化にさらされることも刺激になり、温熱じんましんが発生しやすくなります。
全身が冷え切った状態で、いきなり風呂のお湯に浸かると、皮膚表面の温度が急激に上がり、温熱じんましんが出やすくなります。風呂上がりに体が赤く、強いかゆみが出るという場合は、温熱じんましんが出ている可能性が高いといえます。
また、冬場に寒い屋外から戻って急に暖かい室内に入った時や、夏場にエアコンで冷えた室内から急に暑い屋外に出た時にも、温熱じんましんが出やすくなります。
温熱じんましんは、急に体が温まることが原因で起きるもので、空気が乾燥して皮膚のバリア機能が弱まり刺激を受けやすくなる冬場に、多くみられる疾患です。梅雨の時期から夏にかけて、みられるケースもあります。
寒い冬場は、暖房器具のすぐ近くで暖を取ることも珍しくありません。最近の暖房器具は、温風が出るものが多く、それが肌に当たるとその部分だけ急激に体温が上昇し、じんましんが出やすくなります。
温風だけでなく、赤外線電気こたつ、電気毛布、ホットカーペット、あんか、懐炉、ヒートパッド、火鉢、湯たんぽなどなど体に密着させて使う暖房器具でも、同じ状況が起きやすくなります。
運動後に、温熱じんましんが出る場合もあります。運動をすると体温が上がり、とりわけ冬場に運動をする前と運動をした後では、皮膚表面の温度が大きく変わり、温熱じんましんが出やすくなります。冬場に運動をすると体がかゆくなるという場合は、温熱じんましんが出ている可能性があります。
そのほかの温熱刺激物質としては、ドライヤー、日光、料理に伴う熱なども挙げられ、敏感な人ではホットコーヒーなど温かい飲食物を摂取した後にも、唇がはれるなど粘膜症状としてじんましんが出ることもあります。
温熱じんましんは誰でも発症する可能性がありますが、アレルギー体質の人や冷え性の人が特に発症しやすいといえます。アレルギー体質の人は、温熱じんましんの原因となるヒスタミンが出やすいためです。また、冷え性の人は、常に皮膚が冷えているので、ほかの人よりも低温でじんましんが出やすくなります。
このほかにも、乾燥肌、敏感肌の人も、温熱じんましんが出やすいといえます。
温熱じんましんはどの年代でも発症する可能性がありますが、乳幼児や高齢者に多い傾向があります。例えば、「赤ちゃんは冷やしてはいけない」とされるため、つい厚着をさせがちですが、体温調節がまだうまくできないので、温度差が激しい場所に行くと体温も変わりやすい結果、かゆみが出て激しくぐずることもあります。
また、高齢者の場合は、加齢から肌の温度調節がうまくいかず乾燥肌になりやすいため、温熱じんましんになりやすい状態です。
温熱じんましんでは、皮膚のはれや、かゆみ、湿疹、粘膜のはれなどが主な症状として現れます。局所的にできるものは、赤みやかゆみが強く、蚊が刺したように皮膚がプクッと膨らむ傾向があります。
かゆいからといって皮膚をかきむしると、それが刺激になってさらにじんましんが広がることもあります。
そのほかの症状として、全身倦怠(けんたい)感、頭痛、ふらつき、吐き気や嘔吐(おうと)、下痢、腹痛、息苦しさなどが挙げられます。重症の場合には意識を失うこともあり、症状は個人によって大きく異なります。
温熱じんましんのほとんどは、花粉やハウスダストなどがアレルゲンとなって起こるアレルギー性ではなく、単に皮膚が刺激を受けたことによって起こる非アレルギー性であり、お湯に浸かったり、暖房器具に当たったりすれば必ず出るものではありません。ストレスがたまっていたり、抵抗力が弱っていたりすると、発生しやすくなります。
温熱じんましんは、日常のふとした切っ掛けで生じることがあるため、温熱刺激による異変を感じた場合や、風呂のお湯に浸かったり、体温が急激に上がったりするたびに、温熱じんましんが出るような場合は、一度、皮膚科ないし皮膚泌尿器科で詳しく皮膚の状態を診察してもらうことが大切です。
温熱じんましんの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、問診にて具体的な症状やそれまでの経過を確認します。
特に、入浴後やドライヤーの使用後、温かい飲食物の摂取後に症状が生じたなどの情報は重要で、じんましんの発症前の状況や症状の変化を具体的に伝えてもらいます。
温熱じんましんが疑われる場合には、実際に温熱刺激を皮膚に加え、その後の皮膚変化を医師が評価する検査を行うこともあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、じんましんが生じる原因となる温熱刺激をできるだけ避けることが重要です。また、かゆみの原因となるヒスタミンを抑えるための治療薬を処方します。抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が中心ですが、かゆみが強い場合にはステロイド薬を併用することもあります。じんましんの症状が治まっても、薬の服用期間は厳守してもらいます。
主に内服薬を処方しますが、眠気や排尿障害などの副作用が生じることもあります。
温熱じんましんを繰り返す状態が続く場合は、抵抗力や免疫力を高めるために体質改善を視野に入れて、漢方薬を試してみるのもお勧めです。すぐに効果が現れなくても、指示された通りに根気よく治療を続けることによって、完治することもあります。
■用語 温熱性紅斑 [用語(お)]
比較的低い温熱刺激が皮膚表面に作用して生ずる紫紅色の色素沈着
温熱性紅斑(こうはん)とは、温風ヒーターや赤外線電気こたつなどからの44度以下の比較的低温の温熱刺激が長時間、あるいは繰り返し皮膚表面に作用することで生じる紫紅色の網目状、あるいは斑(まだら)状の色素沈着。火だことも呼ばれます。
暖房器具で至近距離から、火傷(やけど)を起こさない程度の温熱で温めた場合に、皮膚と毛細血管周囲の線維組織が温熱刺激で炎症を起こして、色素沈着ができます。毛細血管の走行に沿って、最初は赤くなり、次第に紫がかった紅色になってゆきます。
触っても、しこりなどはなく、かゆみも痛みもないのが一般的ですが、痂皮(かひ)や潰瘍(かいよう)、痛み、かゆみも伴うこともあります。
皮膚の深い部分に損傷がおよんでいると、低温火傷になり、水疱(すいほう)ができたりします。
温風ヒーターやハロゲンヒーター、ストーブの熱い空気の噴き出し口に当てていた皮膚や、赤外線電気こたつ、電気毛布、あんか、懐炉、火鉢、湯たんぽなどに長時間接していた皮膚などに、温熱性紅斑ができます。
エアコンが普及した現代では減りましたが、生活習慣がもたらした意外な原因の温熱性紅斑もみられるようになりました。例えば、ホットカーペットの上でいつも同じ体位で寝ていたため、温熱刺激を受けていた側の胸から腹部に生じた例などです。最近では、自動車のヒーターや加温装置付きの椅子が原因となった例もあります。
中年から高齢の人に多く、また女性の下腿部分に多くみられます。
冬場にもスカートをはいて、机の足元に暖房器具を置いて仕事をしたりする女性では、温熱刺激がじかに下肢に作用して、太もも、ひざから下の下腿などに温熱性紅斑を生じやすく、時に皮膚がんの発生素地になり、角化性小結節と呼ばれる、がん前駆症や有棘(ゆうきょく)細胞がんが発生することもあります。
通常は夏になると、色素沈着は薄くなったり消えたりしますが、原因に気付かず温熱刺激を長期間にわたって続けると色素沈着が取れにくくなります。
温熱性紅斑の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特徴的な色素沈着とその分布、経過より判断します。
似た症状があり鑑別すべき疾患としては、血の巡りに問題があって網目のように主に下肢の皮膚が赤紫色に変わるリベドー疾患(網状皮斑〔もうじょうひはん〕)があります。
治療の効果がみられない場合や経過の長い場合は、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる組織検査を行うこともあります。また、皮膚以外にも症状が現れていないかどうかを確認するため、血液検査、尿検査、レントゲン写真など、必要に応じて検査が追加されます。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、赤みが強く、炎症を起こしている場合、ステロイド剤の塗り薬を処方します。潰瘍もあれば、潰瘍治療も併用します。
色素沈着を防ぐために、ビタミンCなどの内服薬を処方することもあります。色素沈着が残ってしまった場合は、ビタミンCなどの内服薬やハイドロキノンなどの美白作用のある外用剤を使用して、改善するようにします。
人目が気になる場合は、カバー用化粧品やファンデーションなどで目立たなくするのも一つの方法です。
温熱性紅斑を予防するには。暖房器具で暖を取る際に、長時間同じ皮膚の部位が当たらないようにすること、暖房器具を皮膚の至近距離に設置しないこと、暖房器具の温度をあまり上げないこと、暖房器具に当たりながら入眠しないことなどに気を付けます。エアコンを使って、部屋全体を加温、加湿するのも有効です。
温熱性紅斑(こうはん)とは、温風ヒーターや赤外線電気こたつなどからの44度以下の比較的低温の温熱刺激が長時間、あるいは繰り返し皮膚表面に作用することで生じる紫紅色の網目状、あるいは斑(まだら)状の色素沈着。火だことも呼ばれます。
暖房器具で至近距離から、火傷(やけど)を起こさない程度の温熱で温めた場合に、皮膚と毛細血管周囲の線維組織が温熱刺激で炎症を起こして、色素沈着ができます。毛細血管の走行に沿って、最初は赤くなり、次第に紫がかった紅色になってゆきます。
触っても、しこりなどはなく、かゆみも痛みもないのが一般的ですが、痂皮(かひ)や潰瘍(かいよう)、痛み、かゆみも伴うこともあります。
皮膚の深い部分に損傷がおよんでいると、低温火傷になり、水疱(すいほう)ができたりします。
温風ヒーターやハロゲンヒーター、ストーブの熱い空気の噴き出し口に当てていた皮膚や、赤外線電気こたつ、電気毛布、あんか、懐炉、火鉢、湯たんぽなどに長時間接していた皮膚などに、温熱性紅斑ができます。
エアコンが普及した現代では減りましたが、生活習慣がもたらした意外な原因の温熱性紅斑もみられるようになりました。例えば、ホットカーペットの上でいつも同じ体位で寝ていたため、温熱刺激を受けていた側の胸から腹部に生じた例などです。最近では、自動車のヒーターや加温装置付きの椅子が原因となった例もあります。
中年から高齢の人に多く、また女性の下腿部分に多くみられます。
冬場にもスカートをはいて、机の足元に暖房器具を置いて仕事をしたりする女性では、温熱刺激がじかに下肢に作用して、太もも、ひざから下の下腿などに温熱性紅斑を生じやすく、時に皮膚がんの発生素地になり、角化性小結節と呼ばれる、がん前駆症や有棘(ゆうきょく)細胞がんが発生することもあります。
通常は夏になると、色素沈着は薄くなったり消えたりしますが、原因に気付かず温熱刺激を長期間にわたって続けると色素沈着が取れにくくなります。
温熱性紅斑の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特徴的な色素沈着とその分布、経過より判断します。
似た症状があり鑑別すべき疾患としては、血の巡りに問題があって網目のように主に下肢の皮膚が赤紫色に変わるリベドー疾患(網状皮斑〔もうじょうひはん〕)があります。
治療の効果がみられない場合や経過の長い場合は、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる組織検査を行うこともあります。また、皮膚以外にも症状が現れていないかどうかを確認するため、血液検査、尿検査、レントゲン写真など、必要に応じて検査が追加されます。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、赤みが強く、炎症を起こしている場合、ステロイド剤の塗り薬を処方します。潰瘍もあれば、潰瘍治療も併用します。
色素沈着を防ぐために、ビタミンCなどの内服薬を処方することもあります。色素沈着が残ってしまった場合は、ビタミンCなどの内服薬やハイドロキノンなどの美白作用のある外用剤を使用して、改善するようにします。
人目が気になる場合は、カバー用化粧品やファンデーションなどで目立たなくするのも一つの方法です。
温熱性紅斑を予防するには。暖房器具で暖を取る際に、長時間同じ皮膚の部位が当たらないようにすること、暖房器具を皮膚の至近距離に設置しないこと、暖房器具の温度をあまり上げないこと、暖房器具に当たりながら入眠しないことなどに気を付けます。エアコンを使って、部屋全体を加温、加湿するのも有効です。
☐用語 黄熱 [用語(お)]
黄熱ウイルスにより引き起こされる感染症
黄熱(おうねつ)とは、黄熱ウイルスにより引き起こされる感染症。黄熱病、黒吐(こくと)病とも呼ばれます。
黄熱ウイルスは日本脳炎ウイルスと同様のフラビウイルスという仲間に分類され、人間以外にも猿や蚊の中でも生息することが可能であり、人は蚊に刺されることで病原体に感染します。
主に媒介するネッタイシマカはアフリカおよび南アメリカの熱帯ないし亜熱帯地域に広く生息しており、同地域に一致して黄熱は流行しています。具体的には、アフリカは赤道南北それぞれ15度の緯度の範囲、南米においてはパナマから南緯15度までの地域で流行しています。
ネッタイシマカに刺されて黄熱ウイルスに感染しても、多くの場合は症状が出現しません。しかし、感染後3〜6日ほどの潜伏期間をへて、症状を示す人もいます。その初発症状は高熱と頭痛であり、手足の痛み、腰痛、嘔吐(おうと)、正常よりも脈が遅くなる徐脈などが起こります。重症化することがなければ、3日程度の経過で症状は改善します。
感染者のおよそ15%で重症化し、初発症状から改善したようにみえて、数時間から1日後に突然高熱が再燃します。高熱であっても、1分間に50回ほどの徐脈を示し、60~100回の通常より遅くなることが特徴です。特に肝臓と腎臓(じんぞう)に対する障害が強く、典型的な症状としては、黄疸(おうだん)、鼻や口、目、皮膚、消化管からの出血、蛋白(たんぱく)尿の3つを挙げることができます。
黄疸とは、皮膚や眼球が黄色を示すようになる状態であり、このことから黄熱と呼ばれます。黄疸、出血、蛋白尿の3症状が現れるようになると、黒色の嘔吐、無尿、心不全、肝性昏睡(こんすい)などに陥り、1週間から10日までに亡くなる場合があります。
世界保健機関(WHO) の推定によると、1990年代の初めから、全世界で毎年3万人の死亡者を伴う20万人の黄熱患者が発生し、そのうち90%はアフリカで発生しています。ブラジルでは、2017年7月1日から2018年2月15日までに、死亡者118人を含む409人の黄熱の確定患者が出ました。これは、2016年から2017年の同じ時期に報告された死亡者166人を含む532人の黄熱の確定患者よりも少なくなっています。
日本での黄熱の扱いとしては、感染症法にて4類感染症に指定されており、患者を診断した医師から保健所への届け出が義務付けられている全数把握対象疾患となっています。これによると、日本での発症例は認めていませんが、海外の流行地域に赴く際には注意が必要です。「黄熱に感染する危険のある国」の情報は、厚生労働省検疫所が適時情報を流しています。
黄熱に対してはワクチンによる予防接種が可能であり、入国に際して予防接種証明書の提示が義務付けられている場合もあります。黄熱ワクチンはどの医療施設でも接種可能というものではないため、黄熱の流行地域へ渡航する際は時間的な猶予を持って対応することが必要で、渡航の10日前までに予防接種を受けることが推奨されています。接種者の95%以上で、10日目以後10年以上にわたり中和抗体が保持されます。
なお、細菌学者の野口英世が黄熱の研究中に感染し、西アフリカのガーナで1928年に死亡したことは有名です。
黄熱の検査と診断と治療
内科、感染症科の医師による予備的診断は、症状、渡航地域と渡航日、渡航中の活動に基づいて行います。検査室診断では、血液検査を行い、血液から黄熱ウイルスやその特徴的な遺伝子を検出すること、あるいは特異的な抗体を検出することで確定します。
また、合併症の有無を評価します。肝臓と腎臓に障害を起こすことが多く、これらの評価が重要です。肝臓に関連して黄疸の原因となるビリルビン(胆汁色素)が高くなり、消化管出血の原因となる血液の止血にかかわる凝固機能にも異常を伴います。黄熱では蛋白尿を認めることもあるため、尿検査にてこれを確認することもあります。
さらに、黄熱の流行地域でのほかの感染症も含めて、広く鑑別を行います。鑑別を要する疾患は、ウイルス性出血熱であるエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱、マールブルグ病、南米出血熱などのほか、ワイル病、回帰熱、急性ウイルス性肝炎、マラリア、レプトスピラ症です。
内科、感染症科の医師による治療では、黄熱に特化した抗ウイルス薬がないため、症状に応じた対症療法を主体にします。肝不全、腎不全に対する治療が中心となり、腎不全に対しては人工透析を行うことがあります。
出血傾向を引き起こす血液の凝固異常に対しては、新鮮凍結血漿(けっしょう)や赤血球などの輸血を行います。高熱を伴うことから、熱に対しての対応も重要になります。
黄熱(おうねつ)とは、黄熱ウイルスにより引き起こされる感染症。黄熱病、黒吐(こくと)病とも呼ばれます。
黄熱ウイルスは日本脳炎ウイルスと同様のフラビウイルスという仲間に分類され、人間以外にも猿や蚊の中でも生息することが可能であり、人は蚊に刺されることで病原体に感染します。
主に媒介するネッタイシマカはアフリカおよび南アメリカの熱帯ないし亜熱帯地域に広く生息しており、同地域に一致して黄熱は流行しています。具体的には、アフリカは赤道南北それぞれ15度の緯度の範囲、南米においてはパナマから南緯15度までの地域で流行しています。
ネッタイシマカに刺されて黄熱ウイルスに感染しても、多くの場合は症状が出現しません。しかし、感染後3〜6日ほどの潜伏期間をへて、症状を示す人もいます。その初発症状は高熱と頭痛であり、手足の痛み、腰痛、嘔吐(おうと)、正常よりも脈が遅くなる徐脈などが起こります。重症化することがなければ、3日程度の経過で症状は改善します。
感染者のおよそ15%で重症化し、初発症状から改善したようにみえて、数時間から1日後に突然高熱が再燃します。高熱であっても、1分間に50回ほどの徐脈を示し、60~100回の通常より遅くなることが特徴です。特に肝臓と腎臓(じんぞう)に対する障害が強く、典型的な症状としては、黄疸(おうだん)、鼻や口、目、皮膚、消化管からの出血、蛋白(たんぱく)尿の3つを挙げることができます。
黄疸とは、皮膚や眼球が黄色を示すようになる状態であり、このことから黄熱と呼ばれます。黄疸、出血、蛋白尿の3症状が現れるようになると、黒色の嘔吐、無尿、心不全、肝性昏睡(こんすい)などに陥り、1週間から10日までに亡くなる場合があります。
世界保健機関(WHO) の推定によると、1990年代の初めから、全世界で毎年3万人の死亡者を伴う20万人の黄熱患者が発生し、そのうち90%はアフリカで発生しています。ブラジルでは、2017年7月1日から2018年2月15日までに、死亡者118人を含む409人の黄熱の確定患者が出ました。これは、2016年から2017年の同じ時期に報告された死亡者166人を含む532人の黄熱の確定患者よりも少なくなっています。
日本での黄熱の扱いとしては、感染症法にて4類感染症に指定されており、患者を診断した医師から保健所への届け出が義務付けられている全数把握対象疾患となっています。これによると、日本での発症例は認めていませんが、海外の流行地域に赴く際には注意が必要です。「黄熱に感染する危険のある国」の情報は、厚生労働省検疫所が適時情報を流しています。
黄熱に対してはワクチンによる予防接種が可能であり、入国に際して予防接種証明書の提示が義務付けられている場合もあります。黄熱ワクチンはどの医療施設でも接種可能というものではないため、黄熱の流行地域へ渡航する際は時間的な猶予を持って対応することが必要で、渡航の10日前までに予防接種を受けることが推奨されています。接種者の95%以上で、10日目以後10年以上にわたり中和抗体が保持されます。
なお、細菌学者の野口英世が黄熱の研究中に感染し、西アフリカのガーナで1928年に死亡したことは有名です。
黄熱の検査と診断と治療
内科、感染症科の医師による予備的診断は、症状、渡航地域と渡航日、渡航中の活動に基づいて行います。検査室診断では、血液検査を行い、血液から黄熱ウイルスやその特徴的な遺伝子を検出すること、あるいは特異的な抗体を検出することで確定します。
また、合併症の有無を評価します。肝臓と腎臓に障害を起こすことが多く、これらの評価が重要です。肝臓に関連して黄疸の原因となるビリルビン(胆汁色素)が高くなり、消化管出血の原因となる血液の止血にかかわる凝固機能にも異常を伴います。黄熱では蛋白尿を認めることもあるため、尿検査にてこれを確認することもあります。
さらに、黄熱の流行地域でのほかの感染症も含めて、広く鑑別を行います。鑑別を要する疾患は、ウイルス性出血熱であるエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱、マールブルグ病、南米出血熱などのほか、ワイル病、回帰熱、急性ウイルス性肝炎、マラリア、レプトスピラ症です。
内科、感染症科の医師による治療では、黄熱に特化した抗ウイルス薬がないため、症状に応じた対症療法を主体にします。肝不全、腎不全に対する治療が中心となり、腎不全に対しては人工透析を行うことがあります。
出血傾向を引き起こす血液の凝固異常に対しては、新鮮凍結血漿(けっしょう)や赤血球などの輸血を行います。高熱を伴うことから、熱に対しての対応も重要になります。