■病気 胆道がん [病気(た)]
肝臓で作られた胆汁の流れる胆道に発生するがん
胆道がんとは、肝臓で作られた胆汁の流れる胆道に発生するがん。
胆道は、肝臓で作られた胆汁を胆囊(たんのう)内で濃縮し、胆管を通して、十二指腸乳頭から十二指腸内腔(ないくう)に排出します。発生部位別により、胆管がん(肝内胆管がん、肝外胆管がん)、胆囊がん、十二指腸乳頭がんに分けられます。
日本では、1年に約2万3000人が胆道がんを発症しています。世界的にみて日本は頻度が高く、胆管がんでは男性が多く、胆嚢がんは女性に多いことが知られています。胆道がんの死亡率は、年々増加しており、発生率は年齢に比例し高くなっています。
原因としては、胆石症、胆嚢炎などが挙げられます。特に、胆石症は胆嚢がんの危険因子であり、有症状者でのがんの発生は無症状者に比べて10倍。胆石が胆管胆嚢粘膜へ直接に、慢性的な刺激を与えてがん発生の母地を作ると考えられています。
近年では、膵(すい)胆管合流異常が危険因子として注目されています。本来は肝臓で作られる胆汁と、膵臓で作られる膵液は別々に十二指腸に流れますが、膵胆管合流異常では、先天的な異常で十二指腸に出る前に胆管と膵管が上方で合流しているために、膵液と胆汁が混ざり合い、膵酵素の活性化や変異原性物質を誘発するために、胆道がんが高頻度に発症します。
どの胆道がんも早期の段階では症状が出現することはありませんが、発生部位の関係で、胆嚢がんではかなり進行してからしか症状が出ないのが特徴。これは、胆嚢が胆管から少し離れていることが原因です。
胆石症や胆囊炎を合併していれば、右上腹部が痛んだり、発熱、吐き気があったりします。胆管がん、十二指腸乳頭がんでは、がんの成長に伴って胆汁の流れが妨げられ、比較的早くから黄疸(おうだん)が現れます。
流れが妨げられた胆汁が胆管から血管に逆流するために、胆汁中のビリルビン(黄色いもと)が血液中に増加し、皮膚や目の結膜が黄色に変色するのが黄疸ですが、黄疸に伴って尿の色が褐色になったり、便の色が白くなったり、全身にかゆみが現れたりします。
胆囊がんでは、進行すると体重減少、食欲不振などの全身症状が現れるほか、右上腹部にしこりを触れ、さらには黄疸が現れてきます。しかし、これらの症状が出た時には、ほとんどが末期で手遅れの場合が少なくありません。
胆囊壁は胃や腸と異なり、薄い筋層がなく、厚い筋層だけであるために、がんは胆囊の外側に発育しやすく、進行したがんが多くなっているのです。
胆道がんの検査と診断と治療
胆道がんの早期発見には、症状がなくても検診の血液検査で肝機能異常や胆道系酵素の上昇、超音波検査での胆管の拡張や胆嚢壁が厚くなるなどの異常を指摘された場合は、精密検査のできる病院を受診し、速やかに2次検査を受けます。
また、黄疸や濃くなった尿に気付いた際には、がん治療の専門病院を速やかに受診します。
受診した病院では、まず血液検査が行われます。これにより、黄疸の原因物質であるビリルビンが高値を示しています。同時に、胆道系酵素と呼ばれるアルカリフォスファターゼ(ALP)、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAPL)、ガンマグルタミルトランスペプチーゼ(Υ−GPT)が上昇しているのが特徴です。
胆道の閉塞(へいそく)に伴って、肝機能(GOT、GPT)も異常値を示すようになり、腫瘍(しゅよう)マーカーの一つであるCA19ー9も上昇します。
胆嚢がんでは、胆嚢の中にしこりがみられます。通常、胆嚢にみられるポリープは良性のものが多いのですが、15ミリよりも大きいものはがんの可能性があります。進行した胆嚢がんでは、がんが胆嚢全体に及び、隣接する胆管に浸潤して胆管の閉塞を起こすため、それより上流の胆管の拡張がみられます。
胆嚢全体を満たすような結石がみられる場合には、がんの存在を見逃すことがあるので注意が必要です。
十二指腸乳頭がんでは、胆管と膵管の十二指腸への出口にできることから、超音波検査では胆管と膵管の拡張がみられるのが特徴です。しかし、相当な進行がんでなければ、超音波検査で腫瘍がみられることはほとんどありません。
さらなる精密検査として、CT検査、MRI検査、ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)、血管造影が行われます。
黄疸の原因となる他の疾患として、急性肝炎、肝硬変、肝不全、胆管炎、胆管結石、急性胆嚢炎などがあります。
治療では、どの胆道がんも手術により取り除くのが最良の方法となります。
胆管がんの手術は、部位により術式が異なります。肝臓の中にある肝内胆管にがんが及ぶ場合には、胆管とともに肝臓の一部も切除します。肝臓の外にある肝外胆管のみにがんがあって、膵臓にがんが及んでおらず、リンパ節にも転移がない場合には、胆管だけを切除します。膵臓の中にある膵内胆管にがんがある場合には、膵臓や胃、十二指腸などを一緒に摘出することになります。
胆嚢がんの早期がんであれば、腹腔鏡を使って胆嚢だけを取り出す手術ですむことがあります。進行がんの場合には、胆嚢とともに、そこに接している肝臓の一部や周囲のリンパ節も取り除くことになります。
十二指腸乳頭がんの非常に早期のがんであれば、内視鏡と電気メスを使って取り除くことができます。それ以外の場合には、膵臓とともに胆管、胆嚢、胃、十二指腸などを一緒に摘出することになります。
胆管がんや胆嚢がんの手術に際して、肝臓の多くを摘出しなければならない場合、手術前に切除する側の肝臓を栄養する血管である門脈をつぶして、残すほうの肝臓を大きくする経皮経肝門脈塞栓術(PTPE)という処置を行うこともあります。これにより、手術後の肝機能の低下を未然に防ぐことができます。
肝臓にいくつも転移があったりして手術が不可能な場合には、全身への抗がん剤投与や、肝動脈から直接抗がん剤を投与する肝動注療法を行います。現在よく使われる抗がん剤は、ジェムザール、ティーエスワンなどです。
通常、ジェムザールは経静脈的に、ティーエスワンは内服で、それぞれ単剤で投与を行いますが、場合によってはジェムザールとティーエスワンを併用することもあります。
がんの進行が局所にとどまっている場合に、抗がん剤と併用して放射線療法を行うことがあります。骨転移による痛みの緩和の目的で行われることもあります。
胆道の閉塞がある場合、手術をするにしても、内科的に治療するにしても、まずは黄疸をとる処置が必要です。内視鏡的に閉塞した胆管にプラスチック製、ないし金属製のステントを留置し、黄疸の解消に努めます。
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胆道がんとは、肝臓で作られた胆汁の流れる胆道に発生するがん。
胆道は、肝臓で作られた胆汁を胆囊(たんのう)内で濃縮し、胆管を通して、十二指腸乳頭から十二指腸内腔(ないくう)に排出します。発生部位別により、胆管がん(肝内胆管がん、肝外胆管がん)、胆囊がん、十二指腸乳頭がんに分けられます。
日本では、1年に約2万3000人が胆道がんを発症しています。世界的にみて日本は頻度が高く、胆管がんでは男性が多く、胆嚢がんは女性に多いことが知られています。胆道がんの死亡率は、年々増加しており、発生率は年齢に比例し高くなっています。
原因としては、胆石症、胆嚢炎などが挙げられます。特に、胆石症は胆嚢がんの危険因子であり、有症状者でのがんの発生は無症状者に比べて10倍。胆石が胆管胆嚢粘膜へ直接に、慢性的な刺激を与えてがん発生の母地を作ると考えられています。
近年では、膵(すい)胆管合流異常が危険因子として注目されています。本来は肝臓で作られる胆汁と、膵臓で作られる膵液は別々に十二指腸に流れますが、膵胆管合流異常では、先天的な異常で十二指腸に出る前に胆管と膵管が上方で合流しているために、膵液と胆汁が混ざり合い、膵酵素の活性化や変異原性物質を誘発するために、胆道がんが高頻度に発症します。
どの胆道がんも早期の段階では症状が出現することはありませんが、発生部位の関係で、胆嚢がんではかなり進行してからしか症状が出ないのが特徴。これは、胆嚢が胆管から少し離れていることが原因です。
胆石症や胆囊炎を合併していれば、右上腹部が痛んだり、発熱、吐き気があったりします。胆管がん、十二指腸乳頭がんでは、がんの成長に伴って胆汁の流れが妨げられ、比較的早くから黄疸(おうだん)が現れます。
流れが妨げられた胆汁が胆管から血管に逆流するために、胆汁中のビリルビン(黄色いもと)が血液中に増加し、皮膚や目の結膜が黄色に変色するのが黄疸ですが、黄疸に伴って尿の色が褐色になったり、便の色が白くなったり、全身にかゆみが現れたりします。
胆囊がんでは、進行すると体重減少、食欲不振などの全身症状が現れるほか、右上腹部にしこりを触れ、さらには黄疸が現れてきます。しかし、これらの症状が出た時には、ほとんどが末期で手遅れの場合が少なくありません。
胆囊壁は胃や腸と異なり、薄い筋層がなく、厚い筋層だけであるために、がんは胆囊の外側に発育しやすく、進行したがんが多くなっているのです。
胆道がんの検査と診断と治療
胆道がんの早期発見には、症状がなくても検診の血液検査で肝機能異常や胆道系酵素の上昇、超音波検査での胆管の拡張や胆嚢壁が厚くなるなどの異常を指摘された場合は、精密検査のできる病院を受診し、速やかに2次検査を受けます。
また、黄疸や濃くなった尿に気付いた際には、がん治療の専門病院を速やかに受診します。
受診した病院では、まず血液検査が行われます。これにより、黄疸の原因物質であるビリルビンが高値を示しています。同時に、胆道系酵素と呼ばれるアルカリフォスファターゼ(ALP)、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAPL)、ガンマグルタミルトランスペプチーゼ(Υ−GPT)が上昇しているのが特徴です。
胆道の閉塞(へいそく)に伴って、肝機能(GOT、GPT)も異常値を示すようになり、腫瘍(しゅよう)マーカーの一つであるCA19ー9も上昇します。
胆嚢がんでは、胆嚢の中にしこりがみられます。通常、胆嚢にみられるポリープは良性のものが多いのですが、15ミリよりも大きいものはがんの可能性があります。進行した胆嚢がんでは、がんが胆嚢全体に及び、隣接する胆管に浸潤して胆管の閉塞を起こすため、それより上流の胆管の拡張がみられます。
胆嚢全体を満たすような結石がみられる場合には、がんの存在を見逃すことがあるので注意が必要です。
十二指腸乳頭がんでは、胆管と膵管の十二指腸への出口にできることから、超音波検査では胆管と膵管の拡張がみられるのが特徴です。しかし、相当な進行がんでなければ、超音波検査で腫瘍がみられることはほとんどありません。
さらなる精密検査として、CT検査、MRI検査、ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)、血管造影が行われます。
黄疸の原因となる他の疾患として、急性肝炎、肝硬変、肝不全、胆管炎、胆管結石、急性胆嚢炎などがあります。
治療では、どの胆道がんも手術により取り除くのが最良の方法となります。
胆管がんの手術は、部位により術式が異なります。肝臓の中にある肝内胆管にがんが及ぶ場合には、胆管とともに肝臓の一部も切除します。肝臓の外にある肝外胆管のみにがんがあって、膵臓にがんが及んでおらず、リンパ節にも転移がない場合には、胆管だけを切除します。膵臓の中にある膵内胆管にがんがある場合には、膵臓や胃、十二指腸などを一緒に摘出することになります。
胆嚢がんの早期がんであれば、腹腔鏡を使って胆嚢だけを取り出す手術ですむことがあります。進行がんの場合には、胆嚢とともに、そこに接している肝臓の一部や周囲のリンパ節も取り除くことになります。
十二指腸乳頭がんの非常に早期のがんであれば、内視鏡と電気メスを使って取り除くことができます。それ以外の場合には、膵臓とともに胆管、胆嚢、胃、十二指腸などを一緒に摘出することになります。
胆管がんや胆嚢がんの手術に際して、肝臓の多くを摘出しなければならない場合、手術前に切除する側の肝臓を栄養する血管である門脈をつぶして、残すほうの肝臓を大きくする経皮経肝門脈塞栓術(PTPE)という処置を行うこともあります。これにより、手術後の肝機能の低下を未然に防ぐことができます。
肝臓にいくつも転移があったりして手術が不可能な場合には、全身への抗がん剤投与や、肝動脈から直接抗がん剤を投与する肝動注療法を行います。現在よく使われる抗がん剤は、ジェムザール、ティーエスワンなどです。
通常、ジェムザールは経静脈的に、ティーエスワンは内服で、それぞれ単剤で投与を行いますが、場合によってはジェムザールとティーエスワンを併用することもあります。
がんの進行が局所にとどまっている場合に、抗がん剤と併用して放射線療法を行うことがあります。骨転移による痛みの緩和の目的で行われることもあります。
胆道の閉塞がある場合、手術をするにしても、内科的に治療するにしても、まずは黄疸をとる処置が必要です。内視鏡的に閉塞した胆管にプラスチック製、ないし金属製のステントを留置し、黄疸の解消に努めます。
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タグ:骨腫瘍 病気(た) 慢性白血病 舌がん 前立腺がん 子宮がん 膵臓がん 腎臓がん 肝臓がん 悪性リンパ腫 食道がん 胃がん 卵巣がん 骨肉腫 卵巣腫瘍 大腸がん 急性白血病 子宮頸がん 肺がん 多発性骨髄腫 骨髄腫 メラノーマ スキルス胃がん 乳がん 白血病 胆道がん 子宮体がん 喉頭がん カポジ肉腫 ボーエン病 ページェット病 日光角化症(老人性角化腫) 甲状腺がん 老人性角化腫(日光角化症) 卵巣嚢腫(嚢胞性腫瘍) 副鼻腔がん 上咽頭がん 中咽頭がん 下咽頭がん 歯肉がん(歯茎がん) 唾液腺がん 顎骨腫瘍 咽頭がん 軟部肉腫 腎盂がん 腎細胞がん ウイルムス腫瘍 膀胱がん 小腸がん 精巣腫瘍(睾丸腫瘍) 陰茎がん 膣がん 外陰がん 卵管がん 絨毛がん 網膜芽細胞腫 神経芽細胞腫 カルチノイド 軟骨肉腫 乳房パジェット病 乳房外パジェット病 ウーマンオンコロジー 骨軟骨腫 軟骨性外骨腫 ユーイング肉腫 慢性骨髄性白血病 悪性黒色腫 悪性軟部腫瘍 陰茎腫瘍 ほくろのがん 肺カルチノイド 消化管カルチノイド 大腸カルチノイド 神経内分泌腫瘍 直腸カルチノイド 脂肪肉腫 胃カルチノイド 爪メラノーマ
■病気 唾液腺がん [病気(た)]
唾液を作る臓器である唾液腺のうち、耳下腺などの大唾液腺に発生するがん
唾液腺(だえきせん)がんとは、唾液を作る臓器である唾液腺のうち、大唾液腺に発生するがん。
唾液腺には、大唾液腺と小唾液腺とがあります。大唾液腺は、耳の前から下に存在して、おたふく風邪の際にはれる耳下腺、あごの下に存在する顎下(がくか)腺、舌の裏に存在する舌下腺に分けられます。一般に、食事が口に入った時に分泌される唾液は耳下腺から、安静時、特に睡眠中に分泌される唾液は主に顎下腺からと考えられています。
小唾液腺は、口腔(こうくう)粘膜、咽頭(いんとう)粘膜に無数に存在します。
頭頸(とうけい)部がんの中でも、唾液腺がんは5パーセント程度と少なく、そのほとんどは耳下腺と顎下腺に発生し、舌下腺がんは極めてまれです。一般に頭頸部がんは粘膜上皮から発生することが多いため、扁平(へんぺい)上皮がんという組織がほとんどですが、唾液腺は複数の細胞が集まっていますので、唾液腺がんの病理組織も多彩であることが特徴で、世界保健機関(WHO)の分類で18種類。
また、病理組織型により悪性度も異なります。耳下腺腫瘍(しゅよう)の80パーセントは良性なのに対して、顎下腺腫瘍では50〜60パーセントが悪性です。
唾液腺がんができやすいのは、50歳以降の年齢層で、男性が女性の約2倍となっています。若い年齢層にも、決してまれではありません。
初期症状は、耳下腺や顎下腺、舌下腺がある部位に腫瘤(しゅりゅう)を認めるだけです。進行すると、首のリンパ節がはれたり、耳下腺がんでは顔面神経まひが起こったり、口が開けにくくなったりするような症状を伴ってきます。顎下腺がんでは痛みが伴うことがあります。
一般に進行は遅いものの、急速に進行して腫瘤が急激に大きくなることもあるので、あまり大きさが変わらないからといって、良性とは判断できません。
唾液腺がんの検査と診断と治療
唾液腺がんの診断は、視診、触診、細い針で腫瘍細胞を吸引して検査をする吸引細胞診や組織生検で行われます。さらに、耳下腺や顎下腺の開孔部から造影剤を注入してX線撮影する唾液腺造影法、CT検査、MRI検査、超音波検査などで、進展範囲、頸部リンパ節転移、遠隔転移の程度を調べて病期分類を決定し、進行度を判定します。
唾液腺がんの治療の基本は、手術になります。がん手術は腫瘍周囲の安全域を含めて切除することが基本なので、腫瘤自体が小さくても顔面神経や皮膚、下顎骨と近い場合は、これらも一緒に切除することもあります。
神経を切除した場合は、神経を移植してまひの程度を軽くします。下顎骨を切除した場合には、咀嚼(そしゃく)に不便を感じることが多いものの、嚥下(えんげ)や会話は可能。近年では、肋骨(ろっこつ)、腸骨、腓骨(ひこつ)、 肩甲骨などを用いて下顎骨を再建するようになってきているため、手術後の障害は大幅に解消されつつあります。
手術前に遠隔転移があったり、全身状態が不良な場合は、手術以外の方法を選択することもあります。しかし、唾液腺がんのうち、耳下腺がんでは放射線や化学療法は一般的な治療ではありません。
放射線治療単独では根治は望めないものの、手術後に放射線治療を加えることはあります。未分化がんや、腺がんの一部には、手術に加えて抗がん剤による化学療法を行う場合もあります。
頸部のリンパ節に明らかな転移があれば、転移のあるリンパ節のみならず、頸部のリンパ節を周囲の組織も含めてすべて摘出します。がんの病理組織型によっては、予防的にリンパ節を摘出する場合もあります。
摘出手術後には、首から肩にかけての知覚および運動機能の低下が問題になりますので、積極的に肩を動かしてリハビリテーションを行う必要があります。
唾液腺がんの生存率についての全国的なデータはありませんが、いくつかの病院が調査したデータによると、5年生存率は50パーセント程度とみられています。
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唾液腺(だえきせん)がんとは、唾液を作る臓器である唾液腺のうち、大唾液腺に発生するがん。
唾液腺には、大唾液腺と小唾液腺とがあります。大唾液腺は、耳の前から下に存在して、おたふく風邪の際にはれる耳下腺、あごの下に存在する顎下(がくか)腺、舌の裏に存在する舌下腺に分けられます。一般に、食事が口に入った時に分泌される唾液は耳下腺から、安静時、特に睡眠中に分泌される唾液は主に顎下腺からと考えられています。
小唾液腺は、口腔(こうくう)粘膜、咽頭(いんとう)粘膜に無数に存在します。
頭頸(とうけい)部がんの中でも、唾液腺がんは5パーセント程度と少なく、そのほとんどは耳下腺と顎下腺に発生し、舌下腺がんは極めてまれです。一般に頭頸部がんは粘膜上皮から発生することが多いため、扁平(へんぺい)上皮がんという組織がほとんどですが、唾液腺は複数の細胞が集まっていますので、唾液腺がんの病理組織も多彩であることが特徴で、世界保健機関(WHO)の分類で18種類。
また、病理組織型により悪性度も異なります。耳下腺腫瘍(しゅよう)の80パーセントは良性なのに対して、顎下腺腫瘍では50〜60パーセントが悪性です。
唾液腺がんができやすいのは、50歳以降の年齢層で、男性が女性の約2倍となっています。若い年齢層にも、決してまれではありません。
初期症状は、耳下腺や顎下腺、舌下腺がある部位に腫瘤(しゅりゅう)を認めるだけです。進行すると、首のリンパ節がはれたり、耳下腺がんでは顔面神経まひが起こったり、口が開けにくくなったりするような症状を伴ってきます。顎下腺がんでは痛みが伴うことがあります。
一般に進行は遅いものの、急速に進行して腫瘤が急激に大きくなることもあるので、あまり大きさが変わらないからといって、良性とは判断できません。
唾液腺がんの検査と診断と治療
唾液腺がんの診断は、視診、触診、細い針で腫瘍細胞を吸引して検査をする吸引細胞診や組織生検で行われます。さらに、耳下腺や顎下腺の開孔部から造影剤を注入してX線撮影する唾液腺造影法、CT検査、MRI検査、超音波検査などで、進展範囲、頸部リンパ節転移、遠隔転移の程度を調べて病期分類を決定し、進行度を判定します。
唾液腺がんの治療の基本は、手術になります。がん手術は腫瘍周囲の安全域を含めて切除することが基本なので、腫瘤自体が小さくても顔面神経や皮膚、下顎骨と近い場合は、これらも一緒に切除することもあります。
神経を切除した場合は、神経を移植してまひの程度を軽くします。下顎骨を切除した場合には、咀嚼(そしゃく)に不便を感じることが多いものの、嚥下(えんげ)や会話は可能。近年では、肋骨(ろっこつ)、腸骨、腓骨(ひこつ)、 肩甲骨などを用いて下顎骨を再建するようになってきているため、手術後の障害は大幅に解消されつつあります。
手術前に遠隔転移があったり、全身状態が不良な場合は、手術以外の方法を選択することもあります。しかし、唾液腺がんのうち、耳下腺がんでは放射線や化学療法は一般的な治療ではありません。
放射線治療単独では根治は望めないものの、手術後に放射線治療を加えることはあります。未分化がんや、腺がんの一部には、手術に加えて抗がん剤による化学療法を行う場合もあります。
頸部のリンパ節に明らかな転移があれば、転移のあるリンパ節のみならず、頸部のリンパ節を周囲の組織も含めてすべて摘出します。がんの病理組織型によっては、予防的にリンパ節を摘出する場合もあります。
摘出手術後には、首から肩にかけての知覚および運動機能の低下が問題になりますので、積極的に肩を動かしてリハビリテーションを行う必要があります。
唾液腺がんの生存率についての全国的なデータはありませんが、いくつかの病院が調査したデータによると、5年生存率は50パーセント程度とみられています。
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■病気 脱腸(鼠径ヘルニア) [病気(た)]
足の付け根などから腸などの臓器が脱出した状態
脱腸とは、足の付け根の特に内側の部分や下腹部から、腸などの臓器が脱出した状態。脱腸は通称であり、医学的には鼠径(そけい)ヘルニアと呼ばれます。
おなかを覆う腹膜が弱いことが原因になって、腹筋の圧力で臓器が脱出します。先天性(若年性)と後天性のものがあります。
男性の場合、脱出した臓器は主に陰嚢(いんのう)に飛び出るため、袋が大きく膨らみます。女性の場合、または男性でも部位によっては、下腹部にポコッとした膨らみができます。膨らんだ部分によって、脱腸(鼠径ヘルニア)は細かく外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿(だいたい)ヘルニアに分けられます。
体の中の至る所にできるヘルニアの中で最も多いのが外鼠径へルニアで、大部分は小児期、特に乳幼児期に発生し、右側、左側、そして両側の順に多く、男女比は4対1です。乳幼児の場合は、泣いた時、入浴させた後、おむつを取り替える時などに気付きます。
胎児の段階で、袋状になっている腹膜鞘状(しょうじょう)突起というものが形成され、成長に従って陰嚢に下がってきて、本来であれば袋の口がふさがります。生まれ付き、袋の口がふさがっていなかったり、ふさがっていても不十分だったりすることが、先天性鼠径ヘルニアの原因になります。
生後1年以内で自然に治る可能性がありますが、年を加えるにつれて、その可能性は少なくなります。また、学童期に近付いて運動が激しくなるにつれて、症状が著明になります。
後天性鼠径ヘルニアは高齢者にみられ、加齢することで腹膜や筋肉が弱るために、小腸などの臓器が鼠径部分に脱出してきます。たいてい脱出する穴であるヘルニア門が非常に大きく、ヘルニアの内容部が大きく袋状に突き出ます。
起こしやすいのは、ふだんから立って作業することが多い人や、重い荷物を持ち上げることの多い人、便秘気味でトイレで気張る人、妊婦、前立腺(ぜんりつせん)肥大の人、せきやくしゃみをよくする人、太った人など。
当初のうちは、腹に力を入れると下腹部に軟らかい膨らみを感じる程度で、手で押したり、横になってリラックスすれば簡単に引っ込のが普通です。しかし、何回も繰り返していくうちに、ヘルニア門が広がってきて突き出す部分が増え、痛みや便秘などの症状を伴うことになります。
まれに、臓器の突き出した部分がヘルニア門で締め付けられて戻らなくなってしまうことがあります。これを嵌頓(かんとん)ヘルニアと呼び、締め付けられた状態が長期に及ぶと、血流の流れが妨げられて、腸が腐る壊死(えし)に至ることがあり、激しい痛み、嘔吐(おうと)などの腸閉塞の症状が出現します。
脱腸の検査と診断と治療
大人の脱腸(鼠径ヘルニア)の場合、放置していると悪化していく一方で、嵌頓ヘルニアにもなりやすいので、早めに消化器科、外科を受診します。乳幼児の場合も、見た目で気付きやすいので、早めに受診します。
生後1年以内で自然に治る可能性がある乳幼児の鼠径ヘルニアの治療としては、ヘルニアバンドによってヘルニア内容物の脱出、増大を防ぎます。乳児ではヘルニアバンドをしているだけで自然に治る可能性があります。
年長児や大人の鼠径ヘルニアの治療としては、一応、臓器が突出しないようにヘルニアバンドで抑える方法もありますが、常時装着しておく必要があるなど通常生活にかなりの負担を強いることになり、早いうちに手術を受けることが勧められます。
臓器の突き出した部分が戻らなくなる嵌頓ヘルニアの場合、専門的な医師による整復処置でとりあえず元に戻りますが、整復処置をしても元に戻らない場合は、ヘルニア内容物の腸や精巣、卵巣などが血行障害に陥って障害される危険があるため、嵌頓を解除する緊急手術も考慮されます。
乳幼児期の手術に関しては、生後3カ月以降であれば発見次第すぐ行う医療機関と、ある程度の年齢まで待機して行う医療機関とがあります。未熟児で生まれた乳児では、手術可能な時期は生後3か月よりも遅くなります。
整復処置で嵌頓が解除された場合も、ヘルニアの原因は修復されていないため、後に手術で原因となった構造を修復する必要があります。 特に女児の場合は、卵巣などの女性付属器が絶えずヘルニアとして飛び出していることが多く、手術は早めにしたほうがよいとされています。
手術は大きく分けて、従来法の手術(バッシーニ法)、腹腔(ふくくう)鏡下手術、メッシュ法の3種類が行われます。
従来法の手術は、腸管などの出てくる穴を周囲の筋肉を寄せて縫い合わせてふさぐ方法。入院が1週間と長い、術後に痛みがある、再発率が15パーセントと高いなどの問題があって、今はそれほど行われない手術法です。
腹腔鏡下手術は、腹部に小さな穴を3カ所開けて、モニターを見ながら手術を行う方法。脱出部に、腹腔内からポリプロピレン製のメッシュで閉鎖固定をして補強します。手術時間が1時間と長いというデメリットがある。
手術の主流となっているのは、メッシュ法。全世界の鼠径ヘルニア手術の90パーセントを占め、日本でも85パーセントを占めています。再発率が3パーセントと低い、手術時間が15~20分と短い、局所麻酔で行える、手術創が3~4センチと小さくて痛みが軽いなどのメリットがあります。
メッシュ法の中のメッシュ&プラグ法では、脱出した小腸などを押し戻して穴にふたをするように、ポリプロピレン製のバドミントンの羽根のような形のプラグを入れ、さらに、鼠径管内にメッシュシートを入れて補強し、皮膚を縫合します。メッシュ法にはこのほか、リヒテンシュタイン法、クーゲル法、PHS(プロリン・ヘルニア・システム)法などがあります。
脱腸(鼠径ヘルニア)は、立ち仕事の人、重い荷物を持ち上げることの多い人、せきをよくする人、妊娠している人、便秘症の人、太っている人がなりやすいといわれています。その点から、食生活で行う予防方法は以下の3点です。
野菜を積極的に摂取。野菜は葉物と根の物をバランスよく、また赤、黄、緑、白など色合いも考えて1日350グラムは取るようにすると、肥満予防に結び付きます。
食物繊維を十分に摂取。今日の日本人の食物繊維摂取量は1日平均15グラムですが、1日平均20~25グラムにします。そのために、豆類、海藻類、キノコ類、山菜類を積極的に取ると、バナナのような健康的な硬さの便になります。
ヨーグルトやオリゴ糖を摂取。腸内の善玉菌であるビフィズス菌はヨーグルトで増え、オリゴ糖はビフィズス菌のエサになります。善玉菌が優位になると便秘知らずに。
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脱腸とは、足の付け根の特に内側の部分や下腹部から、腸などの臓器が脱出した状態。脱腸は通称であり、医学的には鼠径(そけい)ヘルニアと呼ばれます。
おなかを覆う腹膜が弱いことが原因になって、腹筋の圧力で臓器が脱出します。先天性(若年性)と後天性のものがあります。
男性の場合、脱出した臓器は主に陰嚢(いんのう)に飛び出るため、袋が大きく膨らみます。女性の場合、または男性でも部位によっては、下腹部にポコッとした膨らみができます。膨らんだ部分によって、脱腸(鼠径ヘルニア)は細かく外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿(だいたい)ヘルニアに分けられます。
体の中の至る所にできるヘルニアの中で最も多いのが外鼠径へルニアで、大部分は小児期、特に乳幼児期に発生し、右側、左側、そして両側の順に多く、男女比は4対1です。乳幼児の場合は、泣いた時、入浴させた後、おむつを取り替える時などに気付きます。
胎児の段階で、袋状になっている腹膜鞘状(しょうじょう)突起というものが形成され、成長に従って陰嚢に下がってきて、本来であれば袋の口がふさがります。生まれ付き、袋の口がふさがっていなかったり、ふさがっていても不十分だったりすることが、先天性鼠径ヘルニアの原因になります。
生後1年以内で自然に治る可能性がありますが、年を加えるにつれて、その可能性は少なくなります。また、学童期に近付いて運動が激しくなるにつれて、症状が著明になります。
後天性鼠径ヘルニアは高齢者にみられ、加齢することで腹膜や筋肉が弱るために、小腸などの臓器が鼠径部分に脱出してきます。たいてい脱出する穴であるヘルニア門が非常に大きく、ヘルニアの内容部が大きく袋状に突き出ます。
起こしやすいのは、ふだんから立って作業することが多い人や、重い荷物を持ち上げることの多い人、便秘気味でトイレで気張る人、妊婦、前立腺(ぜんりつせん)肥大の人、せきやくしゃみをよくする人、太った人など。
当初のうちは、腹に力を入れると下腹部に軟らかい膨らみを感じる程度で、手で押したり、横になってリラックスすれば簡単に引っ込のが普通です。しかし、何回も繰り返していくうちに、ヘルニア門が広がってきて突き出す部分が増え、痛みや便秘などの症状を伴うことになります。
まれに、臓器の突き出した部分がヘルニア門で締め付けられて戻らなくなってしまうことがあります。これを嵌頓(かんとん)ヘルニアと呼び、締め付けられた状態が長期に及ぶと、血流の流れが妨げられて、腸が腐る壊死(えし)に至ることがあり、激しい痛み、嘔吐(おうと)などの腸閉塞の症状が出現します。
脱腸の検査と診断と治療
大人の脱腸(鼠径ヘルニア)の場合、放置していると悪化していく一方で、嵌頓ヘルニアにもなりやすいので、早めに消化器科、外科を受診します。乳幼児の場合も、見た目で気付きやすいので、早めに受診します。
生後1年以内で自然に治る可能性がある乳幼児の鼠径ヘルニアの治療としては、ヘルニアバンドによってヘルニア内容物の脱出、増大を防ぎます。乳児ではヘルニアバンドをしているだけで自然に治る可能性があります。
年長児や大人の鼠径ヘルニアの治療としては、一応、臓器が突出しないようにヘルニアバンドで抑える方法もありますが、常時装着しておく必要があるなど通常生活にかなりの負担を強いることになり、早いうちに手術を受けることが勧められます。
臓器の突き出した部分が戻らなくなる嵌頓ヘルニアの場合、専門的な医師による整復処置でとりあえず元に戻りますが、整復処置をしても元に戻らない場合は、ヘルニア内容物の腸や精巣、卵巣などが血行障害に陥って障害される危険があるため、嵌頓を解除する緊急手術も考慮されます。
乳幼児期の手術に関しては、生後3カ月以降であれば発見次第すぐ行う医療機関と、ある程度の年齢まで待機して行う医療機関とがあります。未熟児で生まれた乳児では、手術可能な時期は生後3か月よりも遅くなります。
整復処置で嵌頓が解除された場合も、ヘルニアの原因は修復されていないため、後に手術で原因となった構造を修復する必要があります。 特に女児の場合は、卵巣などの女性付属器が絶えずヘルニアとして飛び出していることが多く、手術は早めにしたほうがよいとされています。
手術は大きく分けて、従来法の手術(バッシーニ法)、腹腔(ふくくう)鏡下手術、メッシュ法の3種類が行われます。
従来法の手術は、腸管などの出てくる穴を周囲の筋肉を寄せて縫い合わせてふさぐ方法。入院が1週間と長い、術後に痛みがある、再発率が15パーセントと高いなどの問題があって、今はそれほど行われない手術法です。
腹腔鏡下手術は、腹部に小さな穴を3カ所開けて、モニターを見ながら手術を行う方法。脱出部に、腹腔内からポリプロピレン製のメッシュで閉鎖固定をして補強します。手術時間が1時間と長いというデメリットがある。
手術の主流となっているのは、メッシュ法。全世界の鼠径ヘルニア手術の90パーセントを占め、日本でも85パーセントを占めています。再発率が3パーセントと低い、手術時間が15~20分と短い、局所麻酔で行える、手術創が3~4センチと小さくて痛みが軽いなどのメリットがあります。
メッシュ法の中のメッシュ&プラグ法では、脱出した小腸などを押し戻して穴にふたをするように、ポリプロピレン製のバドミントンの羽根のような形のプラグを入れ、さらに、鼠径管内にメッシュシートを入れて補強し、皮膚を縫合します。メッシュ法にはこのほか、リヒテンシュタイン法、クーゲル法、PHS(プロリン・ヘルニア・システム)法などがあります。
脱腸(鼠径ヘルニア)は、立ち仕事の人、重い荷物を持ち上げることの多い人、せきをよくする人、妊娠している人、便秘症の人、太っている人がなりやすいといわれています。その点から、食生活で行う予防方法は以下の3点です。
野菜を積極的に摂取。野菜は葉物と根の物をバランスよく、また赤、黄、緑、白など色合いも考えて1日350グラムは取るようにすると、肥満予防に結び付きます。
食物繊維を十分に摂取。今日の日本人の食物繊維摂取量は1日平均15グラムですが、1日平均20~25グラムにします。そのために、豆類、海藻類、キノコ類、山菜類を積極的に取ると、バナナのような健康的な硬さの便になります。
ヨーグルトやオリゴ糖を摂取。腸内の善玉菌であるビフィズス菌はヨーグルトで増え、オリゴ糖はビフィズス菌のエサになります。善玉菌が優位になると便秘知らずに。
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タグ:縦隔炎 腸捻転 病気(た) 食道異物 食道憩室 食道神経症(ヒステリー球) 大腸憩室 マロリー・ワイス症候群 食道静脈瘤 腹壁ヘルニア 乳糖不耐症 臍肉芽腫 臍帯ヘルニア 幽門狭窄 直腸炎(潰瘍性大腸炎直腸炎型) 移動盲腸 胃神経症(神経性胃炎) 移動性過S状結腸症 胃粘膜下腫瘍 蛋白漏出性胃腸症 毛巣瘻 ヒスタミン食中毒 薬剤性大腸炎 機能性胃腸症(機能性ディスペプシア) 腸閉塞(イレウス) 胃切除後障害 臍炎 直腸脱 嵌頓ヘルニア 横隔膜ヘルニア 鼠径ヘルニア(脱腸) 急性出血性腸炎 直腸ポリープ 急性胃炎 低酸症 慢性腹膜炎 ロタウイルス腸炎 急性大腸炎 アメーバ赤痢 急性腸炎 慢性胃炎 胃食道逆流症 脱腸(鼠径ヘルニア) 潰瘍性大腸炎 スキルス胃がん 過敏性腸症候群 食中毒 胃潰瘍 胸焼け 胃炎 臍ヘルニア クローン病 虫垂炎 大腸がん 胃がん 急性虫垂炎 食道がん 偽膜性腸炎 感染性胃腸炎 赤痢 十二指腸潰瘍 潰瘍 逆流性食道炎 食道炎 急性腹膜炎 胃の不快症状 慢性腸炎 吸収不良症候群 腸結核 胃アトニー 胃酸過多症 急性食道炎 胃ポリープ
■病気 蛋白漏出性胃腸症 [病気(た)]
血液中の蛋白質が消化管の中に漏れ出てくる疾患
蛋白(たんぱく)漏出性胃腸症とは、血液中に含まれている蛋白質が胃壁や腸管壁から大量に漏れて、消化管の中に出てくる疾患。広い意味での吸収不良症候群の一つに含まれます。
血液中の蛋白質、特にアルブミンが消化管の中に異常に出てくることによって起こる低蛋白血症によって、むくみや貧血、腹水などの主症状が現れてきます。
蛋白が漏出する原因には、潰瘍(かいよう)形成に基づくもの、消化管の粘膜の病変に基づくもの、リンパ系の異常に基づくものがあり、これらが単独、あるいは複合して漏出を起こすと考えられています。
潰瘍形成に基づくものでは、消化管に潰瘍ができ、そこから血液中の蛋白質が漏れる多発性潰瘍、胃がん、クローン病、小腸潰瘍などが原因となる疾患として挙げられます。
消化管の粘膜の病変に基づくものでは、びらん性胃炎、メネトリエ病、アレルギー性腸炎、大腸ポリポージスなどが原因となる疾患として挙げられます。メネトリエ病では、胃粘膜のひだが著しく厚くなり、そのひだの間から蛋白質がつららのように流れ出します。
リンパ系の異常による基づくものでは、腸壁から静脈に至るリンパ管の形成不全や閉塞(へいそく)による腸リンパ管拡張症、悪性リンパ腫、腸結核、フィラリア病などが原因となる疾患として挙げられます。
腸リンパ管拡張症では、小腸壁のリンパ管が病的に拡張し、そこから蛋白質が漏出します。フィラリア病は、亜熱帯地方にいる寄生虫のフィラリアの感染によって起こり、男性の精巣が大きくなったり、足が象の皮膚のようになります。
いろいろな疾患によって蛋白漏出性胃腸症が起こるため、その症状も雑多で、むくみや貧血、腹水のほか、下痢、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、腹部膨満感、腹痛、栄養不良、発育障害などを起こします。時には、脂肪の消化障害によって、白色で脂肪を含んで酸性臭のある脂肪便をみることもあります。
蛋白漏出性胃腸症の検査と診断と治療
原因不明のむくみに気付いたら、総合病院の内科を受診します。
医師による診断では、詳しい検査が必要とされるため、多くは入院して検査を受けます。血液検査では、低蛋白血症、低コレステロール血症、低カルシウム血症、鉄欠乏性貧血がみられます。血液中の蛋白質の胃腸管への漏出を証明するためには、アイソトープを利用したα1—アンチトリプシンクリアランス試験やシンチグラフィが行われます。
さらに原因となる疾患の診断には、消化管造影X線検査、内視鏡検査、生検による組織検査、リンパ管造影、尿検査による尿蛋白測定や、糞便(ふんべん)の潜血反応、肝臓機能検査なども行われます。
蛋白漏出性胃腸症の治療法は、原因となる疾患によって多少異なります。低蛋白血症を改善するためには、十分なエネルギーと高蛋白食を摂取します。そのほか、アルブミンの点滴静注や、カルシウム、ビタミンの補給も行われます。
メネトリエ病では、H2受容体拮抗(きっこう)剤やプロトンポンプ阻害剤などの薬物療法が行われます。この保存的治療で効果があまりなく、病変が限局している場合には外科的治療の適応となり、胃切除術によって低蛋白血症の多くは改善されます。
腸リンパ管拡張症では、低脂肪食、高蛋白食の摂取と、中鎖脂肪酸を含む半消化態栄養剤の投与が行われます。薬物療法としては、通常は利尿薬やアルブミン製剤の投与が行われますが、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の投与が有効な場合もあります。
そのほかの症例では、原因となる疾患に対する治療が行われます。
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蛋白(たんぱく)漏出性胃腸症とは、血液中に含まれている蛋白質が胃壁や腸管壁から大量に漏れて、消化管の中に出てくる疾患。広い意味での吸収不良症候群の一つに含まれます。
血液中の蛋白質、特にアルブミンが消化管の中に異常に出てくることによって起こる低蛋白血症によって、むくみや貧血、腹水などの主症状が現れてきます。
蛋白が漏出する原因には、潰瘍(かいよう)形成に基づくもの、消化管の粘膜の病変に基づくもの、リンパ系の異常に基づくものがあり、これらが単独、あるいは複合して漏出を起こすと考えられています。
潰瘍形成に基づくものでは、消化管に潰瘍ができ、そこから血液中の蛋白質が漏れる多発性潰瘍、胃がん、クローン病、小腸潰瘍などが原因となる疾患として挙げられます。
消化管の粘膜の病変に基づくものでは、びらん性胃炎、メネトリエ病、アレルギー性腸炎、大腸ポリポージスなどが原因となる疾患として挙げられます。メネトリエ病では、胃粘膜のひだが著しく厚くなり、そのひだの間から蛋白質がつららのように流れ出します。
リンパ系の異常による基づくものでは、腸壁から静脈に至るリンパ管の形成不全や閉塞(へいそく)による腸リンパ管拡張症、悪性リンパ腫、腸結核、フィラリア病などが原因となる疾患として挙げられます。
腸リンパ管拡張症では、小腸壁のリンパ管が病的に拡張し、そこから蛋白質が漏出します。フィラリア病は、亜熱帯地方にいる寄生虫のフィラリアの感染によって起こり、男性の精巣が大きくなったり、足が象の皮膚のようになります。
いろいろな疾患によって蛋白漏出性胃腸症が起こるため、その症状も雑多で、むくみや貧血、腹水のほか、下痢、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、腹部膨満感、腹痛、栄養不良、発育障害などを起こします。時には、脂肪の消化障害によって、白色で脂肪を含んで酸性臭のある脂肪便をみることもあります。
蛋白漏出性胃腸症の検査と診断と治療
原因不明のむくみに気付いたら、総合病院の内科を受診します。
医師による診断では、詳しい検査が必要とされるため、多くは入院して検査を受けます。血液検査では、低蛋白血症、低コレステロール血症、低カルシウム血症、鉄欠乏性貧血がみられます。血液中の蛋白質の胃腸管への漏出を証明するためには、アイソトープを利用したα1—アンチトリプシンクリアランス試験やシンチグラフィが行われます。
さらに原因となる疾患の診断には、消化管造影X線検査、内視鏡検査、生検による組織検査、リンパ管造影、尿検査による尿蛋白測定や、糞便(ふんべん)の潜血反応、肝臓機能検査なども行われます。
蛋白漏出性胃腸症の治療法は、原因となる疾患によって多少異なります。低蛋白血症を改善するためには、十分なエネルギーと高蛋白食を摂取します。そのほか、アルブミンの点滴静注や、カルシウム、ビタミンの補給も行われます。
メネトリエ病では、H2受容体拮抗(きっこう)剤やプロトンポンプ阻害剤などの薬物療法が行われます。この保存的治療で効果があまりなく、病変が限局している場合には外科的治療の適応となり、胃切除術によって低蛋白血症の多くは改善されます。
腸リンパ管拡張症では、低脂肪食、高蛋白食の摂取と、中鎖脂肪酸を含む半消化態栄養剤の投与が行われます。薬物療法としては、通常は利尿薬やアルブミン製剤の投与が行われますが、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の投与が有効な場合もあります。
そのほかの症例では、原因となる疾患に対する治療が行われます。
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