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■用語 形質細胞性口唇炎 [用語(け)]

[キスマーク]良性の慢性炎症性疾患が口唇にできたもの
 形質細胞性口唇炎とは、開口部形質細胞症と呼ばれる良性の慢性炎症性疾患が口唇にできたもの。
 開口部形質細胞症は、口唇、頬(ほお)粘膜、歯肉、男性外陰部、女性性器など人体の開口部に、浮腫(ふしゅ)性変化や暗紅色のびらん、痂皮(かひ)などの症状が認められる珍しい疾患です。そして、この開口部形質細胞症の中でも特に口唇に発生するものは、形質細胞性口唇炎と呼ばれています
 珍しい疾患で、症状の現れ方は他の一般的な口唇炎と異なる特徴を持ちます。慢性的な炎症により、口唇がむくんだり、はれたり、出血を繰り返したりします。このため、口唇には1ミリ大ほどの境界明瞭(めいりょう)で出血と痂皮、すなわち、かさぶたを伴う暗紅色のびらんが混在するようになります。
 びらんに触っても痛みはありませんが、かゆみを認めます。また、かさぶたを除去した際には、除去部より出血を認めます。
 形質細胞性口唇炎の発生する部位は下唇が圧倒的に多く、上唇のみに発生するケース、上下唇に併発するケースはまれです。男女の性差はほとんどなく、年齢は50歳代以降に好発し平均は62歳であったという報告もあります.
 繰り返される外的な刺激、加齢による口唇粘膜の弾性線維の変性、内分泌による影響、あるいは高血圧症、糖尿病などの全身疾患が原因として挙げられていますが、明確な発症メカニズムは解明されていません。
[キスマーク]形質細胞性口唇炎の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、口唇の一部を採取して顕微鏡で調べる生検を行うことで、粘膜固有層や皮膚真皮層に形質細胞の浸潤が認められれば、形質細胞性口唇炎と確定します。
 口の中にいる一般的なカビであるカンジダや細菌、ウイルスなどの感染を伴うことが疑われる場合には、口唇の表皮や拭(ぬぐ)い液を培養し、病原体を特定する検査を行うこともあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、形質細胞性口唇炎の治療法が確立していないため、一般的にステロイド軟こうの塗布やステロイドの局所注射を行います。
 タクロリムス軟こうなどの非ステロイド軟こうの塗布、グリセオフルビンなどの抗真菌薬軟こうの塗布、インターフェロンなどの抗ウイルス薬の局所注射、放射線療法、電気焼灼(しょうしゃく)、外科的療法としての全切除を行うこともあります。
 さらに、口唇に感染症を伴っている場合には、抗生物質(抗菌剤)、抗ウイルス薬、抗真菌薬など、それぞれの病原体に適した塗り薬や内服薬を使用します。

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■用語 ケトン性低血糖症 [用語(け)]

[レストラン]乳幼児の血糖値が低下し神経症状が現れる疾患
 ケトン性低血糖症とは、乳幼児の血液に含まれる糖(ブドウ糖)の量、すなわち血糖値が40mg/dl以下に低下し、交感神経症状が現れる疾患。
 血液に含まれる糖は、生きるために欠かせないエネルギー源。生後1年から1年半の乳児の血糖値は80~100mg/dl、満1歳から満6歳の幼児の空腹時の血糖値は70~100mg/dlが正常値と見なされています。しかし、乳幼児は大人よりも血糖値が変動しやすいのが特徴で、低血糖になりやすい傾向にあります。
 食べた糖質(炭水化物)をビタミンB1がブドウ糖に変えて血液中に放出されることで、血糖値は上がります。血液中のブドウ糖をエネルギー源として脳や筋肉が活動できるわけで、糖質はゆっくりとブドウ糖に変わり、安定的なエネルギー源を供給しますが、乳幼児は1回で食べられる量が少ないので長い時間食べずにいると飢餓状態になり、低血糖になります。
 乳幼児期に最も多くみられる低血糖症がケトン性低血糖症で、尿検査でケトン体という物質がたくさん認められます。1歳半から5歳ごろまでに、ケトン性低血糖症がみられます。
 原因ははっきりわかっていませんが、比較的やせ形で発育のあまりよくない乳幼児に多くみられ、夕食を食べないで寝たために次の朝一時的に飢餓状態になったり、精神的ストレスや風邪などで食欲不振に陥って飢餓状態になることが、ケトン性低血糖症を発症する切っ掛けになります。
 飢餓状態が短時間である場合、血糖値を回復させるため、アドレナリンやグルカゴンなどの興奮にかかわるホルモンが分泌され、肝臓のグリコーゲンを分解しブドウ糖を放出することで血糖値は維持され得ます。しかし、乳幼児は肝臓にグリコーゲンを蓄積する機能が低いにもかかわらず、脳や筋肉での血糖の消費が盛んであるため、飢餓状態になるとグリコーゲンの分解による糖の供給は容易に不足状態に陥りやすくなります。
 グリコーゲンの分解による血糖値の維持が限界になると、体は糖新生を行うことで血糖値を維持しようとします。主に糖新生を行う肝臓では、脂肪をβ酸化することによって生成されるエネルギーを利用し、骨格筋由来のアラニン、乳酸、脂肪などを原料にして糖新生を行い、ブドウ糖を供給します。脂肪のβ酸化によってできた余分なアセチルコエー(活性酢酸)は、ケトン体(アセトン体)に変換されます。筋肉、脳、腎臓(じんぞう)などでケトン体は利用されますが、余分なケトン体は血中に増加していきます。
 低血糖の度合いにより症状はさまざまですが、軽度の場合は元気がない程度の症状です。ひどくなると、顔面が蒼白(そうはく)になり、嘔吐(おうと)を伴ってけいれんを引き起こすこともあります。
 ケトン性低血糖症を発症しても、普通の状態の時には、血糖の異常はありません。知能の遅れはありませんが、身体的な発育が少し遅れたり、体重の増加がよくない乳幼児は多くみられます。
[レストラン]ケトン性低血糖症の検査と診断と治療
 小児科の医師による診断では、血糖値の低下、および血中や尿中のケトン体の増加がみられる場合に、ケトン性低血糖症と確定します。鑑別すべき疾患としては、血液中のインスリン値が高い結果起こる低血糖症、内分泌・代謝性疾患が挙げられます。
 低血糖の出現時に検査をする機会が得られない場合は、12時間から18時間の絶食検査を行い、低血糖の出現を確認することもあります。ただし、この絶食検査の前には、脂肪のβ酸化を促進するカルニチン、アシルカルニチンが正常であることを確認しておかなければ危険です。
 小児科の医師による治療では、軽症の場合、経口で糖分を少量ずつ頻回に与えます。嘔吐などのため経口摂取が困難な場合や、中等症から重症の場合には、20%ブドウ糖液2mg/kgの静脈注射を行い、引き続き5~10%の糖濃度を含むブドウ糖の輸液を血糖値が正常化するまで行います。
 ケトン性低血糖症は予後良好な疾患であり、予防に努めていれば、一般に10歳前後には症状が出なくなります。
 予防としては、乳幼児に低血糖を起こさないようにするために、常に空腹にならないように食事の回数を増やしたり、炭水化物の多い食事を取らせます。食欲がない時や風邪などを引いて元気がない時には、早めに糖分を与えることが大切です。

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■用語 顕在性二分脊椎 [用語(け)]

[喫茶店]先天的に脊椎骨が形成不全となって起きる神経管閉鎖障害
 顕在性二分脊椎(にぶんせきつい)とは、先天的に脊椎骨(椎骨)が形成不全となって起きる神経管閉鎖障害の一つ。嚢胞(のうほう)性二分脊椎、開放性二分脊椎とも呼ばれます。
 日本国内での発症率は、1万人に5人から6人と見なされています。
 母胎内で、脳や脊髄などの中枢神経系のもとになる神経管が作られる妊娠の4~5週ごろに、何らかの理由で神経管の下部に閉鎖障害が発生した場合に、脊椎骨が形成不全を起こします。
 人間の脊椎は7個の頸椎(けいつい)、12個の胸椎、5個の腰椎、仙骨、尾骨で成り立っています。脊椎を構成している一つひとつの骨である脊椎骨は、椎間板の付いている前方部分の椎体と、椎間関節の付いている後方部分の椎弓の2つからなっています。本来、後方部分の椎弓は発育の途中に左右から癒合しますが、完全に癒合せず左右に開いて分裂しているものが、二分脊椎に相当します。
 神経組織である脊髄や脊髄膜が、分裂している椎弓からはみ出し、皮膚が腫瘤(しゅりゅう)、あるいは中に脊髄液がたまった嚢胞となって、こぶのように突き出します。これを顕在性二分脊椎といいます。
 逆に、椎弓が分裂している部位がへこんでいることもあります。これを潜在性二分脊椎といいます。
 二分脊椎は、仙骨、腰椎に多く発生し、胸椎、頸椎に発生することはまれです。
 二分脊椎の発生には、複数の病因の関与が推定されます。環境要因としては、胎生早期におけるビタミンB群の一種である葉酸欠乏、ビタミンA過剰摂取、抗てんかん薬の服用、喫煙、放射線被爆(ひばく)、遺伝要因としては、人種、葉酸を代謝する酵素の遺伝子多型が知られています。
 出生した新生児に顕在性二分脊椎が発生している場合、二分脊椎の発生部位から下の神経がまひして、両下肢の歩行障害や運動障害、感覚低下が起こるほか、膀胱(ぼうこう)や直腸などを動かす筋肉がまひして排尿・排便障害、性機能障害が起こることもあります。脊椎骨の奇形の程度が強く位置が高いほど、多彩な神経症状を示し、障害が重くなります。
 多くは、脳脊髄液による脳の圧迫が脳機能に影響を与える水頭症(すいとうしょう)を合併しているほか、脳の奇形の一種であるキアリ奇形、嚥下(えんげ)障害、脊椎側湾、脊椎後湾、脊髄空洞症を合併することもあります。
 顕在性二分脊椎の治療には、脳神経外科、小児外科、小児科、リハビリテーション科、整形外科、泌尿器科を含む包括的診療チームによる生涯にわたる治療が必要ですので、このような体制の整った病院を受診するとよいでしょう。
[喫茶店]顕在性二分脊椎の検査と診断と治療
 脳神経外科、小児外科の医師による診断では、顕在性二分脊椎の場合、妊娠4カ月以降の超音波診断や羊水検査でわかることが多く、遅くとも出生時には腰背部の腫瘤により病変は容易に明らかになります。
 脊椎部と頭部のCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などの画像検査を行い、腫瘤、嚢胞の中の脊髄神経の有無、水頭症の有無を確認します。
 また、自・他動運動検査、肢位、変形、感覚などの検査を行い、どの脊髄レベルまでが正常であるかを調べます。
 脳神経外科、小児外科の医師による治療では、顕在性二分脊椎の場合、生後2、3日以内に背中に露出した形になっている脊髄や脊髄膜を感染から守るために、皮膚と脊髄神経を分離し、皮膚を縫合する閉鎖手術を行います。
 仙骨、腰椎、胸椎、頸椎などの奇形が発生した部位により、症状には重度から軽度まで個人差はありますが、下肢障害に対しては車いす、補装具などによる装具療法、理学療法、整形外科的手術による対処を行い、排尿・排便障害に対しては導尿、浣腸(かんちょう)、摘便(洗腸)、下剤、機能訓練による対処を行います。
 重症例では呼吸障害、嚥下障害による栄養障害への対処、知的障害への療育を行います。

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■用語 血管運動性鼻炎 [用語(け)]

[ダイヤ]特定のはっきりした原因が不明ながら、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりが起こる鼻炎
 血管運動性鼻炎とは、アレルギー反応の関与が証明できないため原因がはっきりしないものの、鼻粘膜の自律神経の過敏反応により、くしゃみ、鼻水(鼻汁)、鼻詰まり(鼻閉)などの症状を示す疾患。血管運動神経性鼻炎、寒暖差アレルギーとも呼ばれます。
 くしゃみ、鼻水、鼻詰まりは、体への異物の侵入を阻止し、排除しようとする防御のメカニズムで、これらの症状が過剰に現れた状態を鼻過敏症といいます。鼻過敏症には、血管運動性鼻炎とアレルギー性鼻炎の2つがあり、ほぼ同じ症状を示します。
 鼻の粘膜でアレルギー反応が起こるのがアレルギー性鼻炎で、繰り返す発作性のくしゃみ、鼻水、鼻詰まりの3つが主な症状。鼻から吸い込まれた抗原(アレルゲン)が、鼻の粘膜でアレルギー反応を起こして発症することから、空気中を浮遊している抗原が原因となります。代表的な抗原は、ハウスダスト(室内のほこり)やダニ、花粉などです。
 一方、血管運動性鼻炎は、特定のはっきりした原因が不明なものの、アレルギー性鼻炎とほぼ同じ症状を示します。ただし、アレルギー性鼻炎とは異なり、鼻や目のかゆみは起こりません。
 特定できないものの、鼻粘膜の無意識に作用する自律神経の働きが過敏になって発症すると考えられています。自律神経の働きを過敏にさせる要因には、急激な温度変化、寝不足や慢性的な疲れ、精神的なストレス、たばこの煙の吸入、化粧品などの香料の吸入、飲酒などがあります。
 特に、温度変化によって引き起こされることが多く、暖かい場所から寒い場所へ移動した時や、熱い物を食べた時などに症状が現れやすく、空気が乾燥すると悪化するという特徴があります。
 例えば、寒暖差の大きい冬の朝、暖かい布団から抜け出た直後から鼻の血管が拡張し、鼻粘膜の細胞から滲出(しんしゅつ)液がにじみ出て鼻粘膜がむくみ、水様性の鼻水が分泌される状態がしばらく続き、食事を終えて出勤、登校するころになると、周囲の温度に慣れて症状が治まってきます。しかし、暖かい家から空気の冷たい戸外へ出た時には、症状が再発します。
 逆に、夜になり布団に入って暖まってくると、鼻詰まりなどの症状がしばらく続きます。鼻詰まりがひどくなると、鼻での呼吸が十分にできなくなり口で呼吸するようになるため、のどの痛みやいびき、不眠、注意力散漫などの症状が出ることもあります。
 血管運動性鼻炎の症状は、冬に限ったものではなく、冷房の効いた夏場など年間を通じて起こり得ます。暑い戸外から冷房の効いた室内に入った時などに、鼻水が分泌されて不調になる症状が出ることも多々あります。
 年間を通じてよくなったり悪くなったりを繰り返し、症状が数週間続く場合もあれば、すぐに治まることもあります。
 くしゃみや鼻水などの症状が長引く場合は、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、自分に合った治療やアドバイスを受けることが勧められます。
[ダイヤ]血管運動性鼻炎の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、まず、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの3つの症状が1年中起こるのか、あるいは春や冬の季節などに限定して起こるのかを調べます。それをもとに、アレルギー性鼻炎かどうか、もしそうならば原因となる抗原は何かを鼻汁検査、特異的IgE抗体検査、皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストを行って調べます。
 検査結果で陽性を示す場合に、アレルギー性鼻炎と確定します。検査結果で陰性を示し、抗原(アレルゲン)を特定できない場合に、血管運動性鼻炎と確定します。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、アレルギー性鼻炎の場合は抗原の除去・吸入回避が重要ですが、血管運動性鼻炎の場合はアレルギー反応の関与が証明できないので、症状を抑える対症療法を主体に行います。
 薬物療法では、抗ヒスタミン薬や漢方薬などの内服薬、副腎(ふくじん)皮質ホルモンや抗ヒスタミン剤が含まれる点鼻薬を主に使います。しかし、長期間の経過観察が必要です。症状を抑える薬を使用すると、その時は改善しても、再発することが多く、完全に治ることが難しいからです。
 薬物療法に効果を示さない場合は、手術療法を行うこともあります。鼻詰まりに対しては、鼻粘膜の一部を固める電気凝固術やレーザー手術、凍結手術、鼻粘膜の一部を切り取る鼻粘膜切除術などがあります。また、鼻水に対しては、自律神経の副交感神経を遮断する後鼻神経切断術が行われることもあります。
 血管運動性鼻炎に関しては、睡眠不足にならない、精神的ストレスをためない、たばこの煙を吸わない、アルコールを飲みすぎない、規則正しい生活とバランスの取れた食事を心掛ける、適度な運動をして体力を付けるなどの点に注意し、症状を悪化させない努力も大事です。
 また、体を温めることが効果的です。朝起きたら家の中で軽く体を動かすなど、血行をよくして体を温めると、症状が治まることもあります。服を一枚多く着て体温を調整すると、症状が治まることもあります。




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