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■病気 エルニシア食中毒 [病気(え)]

[iモード]低温細菌であるエルシニア菌によって引き起こされる食中毒
 エルニシア食中毒とは、5℃以下でも増殖する低温細菌であるエルシニア菌によって引き起こされる食中毒。
 ペストの原因となるペスト菌の仲間であるエルニシア菌には、5種類あります。そのうち食中毒を引き起こすのは2種類で、エルシニア・エンテロコリチカとエルシニア・シュードツベルクローシス(偽結核菌)。1982年(昭和57年)に、厚生労働省からエルシニア・エンテロコリチカが食中毒菌に指定されています。
 土壌、水中などの自然環境中に分布しているほか、豚、牛、犬、猫、猿、鼠(ねずみ)などのほ乳類の腸管に分布しており、井戸水や湧水(ゆうすい)、簡易水道水など消毒不十分な水の飲用、汚染された豚などの食肉、牛乳、乳製品などの摂取、ペット動物との接触が食中毒の原因となります。
 腸炎ビブリオ食中毒やブドウ球菌食中毒に比べると発生例ははるかに少ないものの、小中学校などの集団給食で発生したケースでは、加工乳が原因となって発症者が1000名を超える大型の集団食中毒も起こっています。
 多くの食中毒細菌は10℃以下になるとほとんど増殖しないし、毒素も産生しなくなるのに対して、エルシニア菌は0~ 5℃という低温で増殖することに特徴があります。冷蔵庫の中でも、どんどん増え続けますので、食肉を冷蔵庫で長期間保存しておくとほかの食品を汚染し、二次感染を招くこともあります。
 しかし、65℃以上の加熱で容易に死滅するため、加熱調理を心掛ければ完全に予防することができます。
 感染すると2~5日間の潜伏期間を経て、特に右下腹部に起こる虫垂炎のような猛烈な腹痛、38℃以上の発熱、下痢を起こします。下痢の症状は大人と幼児で異なり、大人の場合の下痢回数は1日2~4回ほど、2歳以下の幼児の場合は何度も下痢を繰り返します。
 発熱とともに発疹(はっしん)が出ることも多く、発疹性の食中毒にかかったらエルシニア食中毒の可能性が高いといえます。
 この食中毒(胃腸炎)の症状のほかに、エルニシア菌は虫垂炎、腸管膜リンパ節炎、終末回腸炎、敗血症などの病型を示すこともあります。3歳以下の乳幼児では食中毒が多くみられるのに対して、成人ではほかの病型が多くみられ結節性紅斑、関節炎を起こすこともあります。
 厚生労働省から食中毒菌に指定されていないエルシニア・シュードツベルクローシス(偽結核菌)について付け加えると、げっ歯類に結核様病変を起こすことで知られていた菌であり、近年になって人への感染ケースが明らかにされました。人では、エルシニア・エンテロコリチカと同様に食中毒(胃腸炎)などの症状を起こすほか、しょう紅熱様または泉熱様の病型を集団発生させたこともあります。
[iモード]エルシニア食中毒の検査と診断と治療
 腹痛、発熱、下痢などエルニシア食中毒の症状が現れた場合は、医療機関を受診し適切な処置を受けます。
 医師は急性の中毒症状から感染を疑いますが、エルシニア食中毒と確定するには、実際に糞便(ふんべん)や原因と疑われる食品などから原因となっている菌を分離することが必要です。発熱とともに発疹が出ることも多いため、発疹性の食中毒にかかったらエルシニア食中毒の可能性が高いといえます。
 感染初期や軽症の場合は、整腸剤を投与したり、輸液によってブドウ糖液、リンゲル液などの電解質液、あるいは水を補充して症状の改善を待ちます。虫垂炎、腸管膜リンパ節炎などのほかの病型を示した場合は、それらに応じた治療を行います。
 エルシニア食中毒を予防するためには、以下のことを心掛けます。食肉は中心温度が70℃以上になるように十分加熱し、調理後は早めに食べる。生の食肉を保存する時は、5~10℃の普通の電気冷蔵庫中での保存は短時間に限り、長く保存する時は冷凍する。まな板、包丁、ふきんなどはよく洗い、熱湯や漂白剤で殺菌する。

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■病気 円錐角膜 [病気(え)]

[フリーダイヤル]角膜の形が変形して、視力が低下する疾患
 円錐(えんすい)角膜とは、角膜のほぼ中央が前方へ突き出して円錐形となり、その中央が非常に薄くなる疾患。角膜の変形によって視力が低下し、疾患が発見されます。
 眼球の黒目の表面を覆う薄い膜である角膜は、透明であることによって、光を眼球の内部に導きます。また、角膜の形は、きれいな球面であることによって、水晶体と並んで眼球のレンズとしての役割を果たしています。よって、角膜が混濁すると視力が低下し、角膜の形が変形するとレンズとしての機能が損なわれ、同じく視力が低下します。
 円錐角膜の多くは、思春期ごろに発症します。徐々に進行し、一般的には30歳ごろに進行が停止すると見なされています。個人差によって、30歳を超えても進行することがあります。いずれにしろ、風邪のようにすぐ治ってしまう疾患ではなく、近視のように一度生じるとずっとある疾患です。
 ほとんどが両目に起こり、左右の目で進行の程度に差があることが一般的です。片方の目は軽くてすむこともあります。最初は近視や乱視が急に進むという症状で始まり、自覚的な症状としては視力障害や、片目で物を見た時に二重に見える片目複視、異物感が主です。視力は、眼鏡で十分に矯正できます。
 ある時期から急に進行すると、角膜の中央が前方へ突き出してきます。物がゆがんで見えるようになったり、遠近の距離を問わず視力が低下し、夜間の視力はしばしば極めて低下します。眼鏡では無理で、ハードコンタクトレンズでないと視力の矯正ができなくなってきます。
 その後、さらに角膜が突出してくると、コンタクトレンズも装用できなくなり、強い視力低下を起こします。 失明することはまずありません。
 時には、進行中に急性水腫(すいしゅ)を生じることもあります。角膜の一番奥に亀裂(きれつ)が生じ、そこから角膜内に大量の眼内液が流入するため、角膜が著しくはれます。この急性水腫の際には、肉眼でも角膜の中央が白く濁っているのがわかるようになり、視力はさらに低下します。
 円錐角膜はいまだ不明な点の多い疾患で、原因は不明。発見されても全く進行しない場合があるなど、経過もさまざま。遺伝することもあるため遺伝的素因、アトピー性皮膚炎を合併していることも多いためアレルギー性素因が原因の一つと見なされ、目をこするという外力が悪化の要因となっていると見なされています。
[フリーダイヤル]円錐角膜の検査と診断と治療
 円錐角膜は不明な点が多く、経過もさまざまですが、急に進行すると重篤な症状に至ることもあるため、軽症のうちに眼科の専門医を受診します。
 医師による診断では、進行したものは細隙(さいげき)灯顕微鏡検査でわかります。軽症のものは、フォトケラトスコープやビデオケラトスコープという特殊な装置によって、角膜の表面の形を解析する検査が必要です。パキメーターという角膜の厚みを測る検査も、診断に役立ちます。
 軽症の時は、眼鏡なし、あるいは眼鏡かソフトコンタクトレンズで適正な視力が得られます。進行した時は、多くの場合ではハードコンタクトレンズを装用することで、視力を維持することができます。また、軽度の時は、一般に市販されているコンタクトレンズが装用可能ですが、進行した時は、特別に注文して作成するコンタクトレンズでないと装用できなくなります。
 近年では、円錐角膜用の特殊なコンタクトレンズも開発されています。ハードコンタクトレンズを装用することによって、円錐角膜の突出の進行が抑制される効果もあります。
 コンタクトレンズが良好に装用できれば、運転その他の日常生活を通常通り送れるようになります。年に数回は、コンタクトレンズのチェックと円錐角膜の進行の有無を調べる目的で、定期検査を受ける必要があります。
 急性水腫が生じた時は、コンタクトレンズは装用せず経過をみます。非常に強いはれと濁りがあるにもかかわらず、だいたい1〜2カ月で角膜内の眼内液が引き、透明性も回復して軽快します。軽快後、多くの例では再びコンタクトレンズが装用できるようになります。
 以前は、急性水腫に対して緊急で角膜移植手術を行っていましたが、その後の研究で、緊急の手術は必要がないことが立証されています。
 もしコンタクトレンズが装用できない、あるいは装用しても視力を矯正できない状態まで円錐角膜が進行した場合は、角膜移植手術が行われます。前方へ突き出して薄くなった中央部の角膜を取り除き、死亡後にアイバンクへ提供された人の角膜を、移植するものです。
 角膜移植手術の成功率は非常に高いものの、術後に乱視や近視が残ることがあります。この場合には、コンタクトレンズで矯正します。
 なお、近年では、軽度の円錐角膜の人が、近視などを手術で治す屈折矯正手術を受けるケースが多くなり、問題となっています。
 現在の屈折矯正手術は、角膜を削ることによって行われています。この手術を、もともと角膜が突出して薄くなってきている円錐角膜の人が受けると、ますます進行してしまいます。初期の円錐角膜と強い乱視の区別は難しいので、円錐角膜が疑われる場合は屈折矯正手術は見合わせるべきです。

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■病気 遠視 [病気(え)]

[フリーダイヤル]調節しないと、遠いところも近いところもはっきり見えない状態
 遠視とは、目の屈折異常の一つで、自動的に調整しないと、遠いところも近いところもはっきり見えない状態。遠視眼、遠眼とも呼ばれます。
 目には、近くを見る時に網膜上に正しく焦点を合わせるため、目の中の筋肉である毛様体筋を働かせて、水晶体の屈折を強くする調節力が備わっています。調節力は、小児の時に最大に備わっており、それ以後は加齢とともに徐々に減少します。
 この調節力を働かせていない状態で、遠方から眼内に入った平行光線が網膜より後ろで焦点を結ぶのが、遠視です。遠いところにある物も、近いところにある物も、調節力を自動的に働かせないと、はっきり見ることができません。遠視とは、遠くがよく見える状態ではないのです。遠くがよく見える目は、屈折異常のない目である正視です。
 正視の場合、5メートル以上の遠方を見ている時には、調節力はほとんど働いておらず、近くを見る時にだけ使っています。遠視の場合、遠方を見ている時にも、本来は近くを見る時にしか使わない調整力を自動的に働かせ、遠視を補正しようとします。いわば、常に眼内の毛様体筋を働かせて、水晶体を厚くした状態を維持しなければなりません。
 調節し切れない場合には、物がぼやけて見えてしまいます。特に、近くを見る時は、より強い調節が必要になります。
 角膜や水晶体の屈折力が弱いために起こる遠視と、眼球の長さが通常より前後に短いために起こる遠視とがあります。前者を屈折性遠視、後者を軸性遠視と呼びます
 小児期は眼球が小さく長さも短いため、遠視であることが普通で特別なことではありません。5歳までの小児では、90パーセントに遠視が認められます。成長するにつれて遠視が弱くなり、正視になったり、通り越して近視になることが多くなります。
 小児が遠視であっても調節力が強いため、症状が現れない場合が多いのですが、豊富な調節力をもってしても補正できないほどの強度遠視になると、目が寄ってきて内斜視になったり、視力の発達が止まって弱視になったりします。目が疲れやすく、集中して物を見ることが難しくなるために、行動にむらが出て、周囲から「落ち着きがない」、「集中力がない」、「飽きっぽい」などといわれることもあります。
 軽度の遠視でも年を取るにつれ、絶えず目の調節を必要とするために、眼精疲労や体の疲労の原因になります。集中できないために、学習や仕事の能率が上がらない原因にもなります。また、光をまぶしく感じたり、肩凝りや頭痛を覚えことも多くなります。
 60歳以上になると、正視だった目が遠視になったり、遠視だった目の度数が強くなる傾向があります。これは老人性遠視と呼ばれます。 60歳以前に「遠視になった」といわれるものは、ほとんどの場合、若いころは自覚されなかった軽度の遠視が調節力の低下により、自覚されるようになったものです。
[フリーダイヤル]遠視の検査と診断と治療
 人間の視覚の発育は、6歳ころまでにほぼ終わります。小児の強度遠視が疑われた場合には、早めに発見して適切な処置をとるために、小学校入学前にでも念のため、眼科医による検診を受けます。
 小児以外の遠視の場合では、目の疲れを中心とした症状に、体の疲労が加わります。近くを見る作業を長く続けると、目や体に疲れがたまりやすいようであれば、眼科医に相談してみます。
 眼科では遠視を見付けるために、調節を一時的に休ませる目薬を用いて検査します。子供では調節力が強いため、幼稚園や学校の視力検診で発見されないのが普通です。
 遠視の治療としては、凸レンズの眼鏡、コンタクトレンズなどで屈折率を高め、矯正します。凸レンズは、レンズに平行に入ってきた光を集め、屈折力を強めるように働くので、 網膜の後ろで像を結ぶ遠視の矯正に用いられます。凸レンズの度数は、調節力を働かせない状態で遠方にピントが合って、はっきり見える状態に設定されます。
 子供の場合は、生理的な状態にあるものにまで矯正をする必要はありません。しかし、遠視の度が強かったり、斜視や弱視がある時、また眼精疲労を訴える時には、矯正を行います。

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■病気 エコノミークラス症候群 [病気(え)]

[飛行機]脚や腕の静脈に生じる血栓が要因
 エコノミークラス症候群とは、飛行機内などで長時間、同じ姿勢を取り続けて発症する一連の症候群としてよく知られており、旅行者血栓症やロングフライト血栓症、静脈血栓塞栓(そくせん)症、深部静脈血栓症とも呼ばれます。
 飛行機のエコノミークラス以外の座席、飛行機以外の交通機関や施設の座席でも、発生が報告されています。
 長時間、座ったままの同じ姿勢でいると、血液の流れが徐々に悪くなり、脚や腕などの静脈に、血の固まりである血栓が生じやすくなります。この血栓が血流に乗って肺へ流れ、肺動脈が詰まると、肺塞栓(そくせん)症となります。
 肺動脈が詰まると、その先の肺胞には血液が流れずガス交換ができなくなる結果、換気血流に不均衡が生じ、動脈血中の酸素分圧が急激に低下、呼吸困難を起こします。また、肺の血管抵抗が上昇して、全身の血液循環に支障を起こします。 
 軽度であれば胸焼けや発熱程度で治まりますが、最悪の場合は死亡します。
 飛行機内などでは、血液が固まりにくいように水分を補給したり、長時間にわたって同じ姿勢を取らないようにし、着席中に足を少しでも動かして血液循環をよくすることで、エコノミークラス症候群は予防できます。

[ハート]詳しい病気の解説は四百四病の事典http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ[ハート]




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