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■「無縁遺体」取り扱いに苦慮、厚労省が手順作成を検討 策定済みの自治体は11% [健康ダイジェスト]

 死後に引き取り手のない「無縁遺体」が増える中、取り扱いを定めたマニュアルや内規がある自治体は、11・2%にとどまることが厚生労働省による初の実態調査でわかりました。自治体は無縁遺体の火葬や遺骨の保管に苦慮しており、厚労省は今後、統一的な手順を示すことも検討します。
 孤独死で身元がわからなかったり、引き取り手がなかったりする無縁遺体は、独居高齢者や親族関係の希薄化に伴う引き取り拒否の増加で、増えています。総務省が初めて行った調査によると、2018年4月~2021年10月で約10万6000人。
 無縁遺体は死亡地の市区町村が墓地埋葬法などに基づき、火葬します。自治体では火葬の前後に親族の連絡先を調べ、遺体や遺骨、金品の引き取りを依頼。身元不明や親族から引き取りを拒否された場合は、火葬後に遺骨や金品を保管します。故人が残した現金があれば、火葬費に充てるものの、ない場合は公費で支出しています。
 自治体が抱える課題を把握するため、厚労省は全国の自治体にアンケート調査を実施。約1100の政令市や市区町村などから回答が寄せられ、連絡する親族の範囲などを定めたマニュアルや内規が「ある」と答えたのは11・2%でした。
 マニュアルがないのは、小規模自治体で多くなりました。親族の探し方のほか、連絡が取れない場合、遺体や遺骨の保管期間の判断に困るケースが目立ちました。厚労省幹部は「問題が顕在化したのは最近で、マニュアルの整備が追い付いていないのではないか」と指摘します。
 一部自治体へのヒアリングでは、火葬の立ち会いや連絡先を調査する負担の大きさ、遺骨の保管場所の不足を訴える声が上がりました。「火葬を知らなかった親族とトラブルになるリスクがある」「自治体に任せれば低額で火葬してもらえると誤解している場合もある」などの意見も出たといいます。
 厚労省は今後、専門家や葬儀業者へのヒアリングを実施し、さらに課題を洗い出した上で、統一的な指針を作ることや、自治体に地域の葬送の慣習に応じたマニュアルの作成を促すことなどを検討します。
 内閣府によると、1990年に162万人だった65歳以上の独居高齢者は、2020年に671万人に達しました。2040年には1000万人超になると推計され、対策が急務となっています。

 2024年11月4日(月)

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■自転車の酒気帯び運転疑いで2人逮捕 改正道交法で11月1日から新たに罰則の対象に [健康ダイジェスト]

 11月1日に施行された改正道路交通法で新たに罰則の対象となった自転車の酒気帯び運転の疑いで3日夜、福岡県と沖縄県で合わせて2人が逮捕されました。警察は新たな罰則を周知するとともに、交通ルールを守って自転車を利用するよう呼び掛けています。
 警察によりますと、3日午後10時ごろ、福岡市中央区で事故のため路肩に停車していた軽乗用車に自転車が衝突しました。
 現場にいた警察官が確認したところ、自転車に乗っていた住所不定・無職の28歳の容疑者から酒の臭いがしたため検査を行った結果、呼気から基準値の2倍近いアルコールが検出され、酒気帯び運転の疑いでその場で逮捕しました。
 また沖縄県石垣市では3日午後10時ごろ、ライトをつけずに自転車に乗っていた住所不詳、45歳の自称建築作業員を警察官が呼び止め、呼気から基準値を上回るアルコールが検出されたため、その場で逮捕したということです。逮捕者は沖縄県内で初めて。
 11月1日に施行された改正道路交通法では、これまで罰則の対象外だった自転車の酒気帯び運転について、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになりました。
 警察は新たな罰則を周知するとともに、交通ルールを守って自転車を利用するよう呼び掛けています。

 2024年11月4日(月)

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■風疹クーポン利用3割、目標の半分 45〜62歳の男性対象 [健康ダイジェスト]

 風疹(三日ばしか)の流行を防ぐため、過去に予防接種を受ける機会がなかった45〜62歳の男性に対して自治体が配布してきた、接種前に抗体の有無を無料で検査できるクーポンの利用率が、5月時点で約3割にとどまり、目標の半分程度だったことが3日、明らかになりました。クーポンは原則来年2月に期限を迎えるため、厚生労働省は対象者に利用を呼び掛けています。
 風疹は飛沫感染し、発疹や発熱の症状が出ます。大人が感染すると無症状の場合も多いものの、妊婦が感染すると赤ちゃんが難聴や心臓病などを発症する先天性風疹症候群(CRS)になる恐れがあります。
 風疹やCRSの発生をなくすためには、ワクチン接種によって感染を広がりにくくすることが重要とされます。厚労省は抗体保有率が他の世代と比べて特に低い45〜62歳の男性をターゲットとして、抗体保有率を90%以上にする目標を設定しました。
 2019年に対象者にクーポンを配布し、医療機関の抗体検査で免疫がないことが確認されれば、無料でワクチンを接種できる仕組みを作りました。目標検査人数は約920万人。通常は検査と接種で約1万5000円かかります。
 しかし新型コロナウイルス流行で検査が進まず、無料クーポンが使える期間を延長しても、今年5月までの実施者は対象者の31・5%に当たる約484万人でした。抗体保有率は2022年度時点で86・3%。
 神奈川県衛生研究所の多屋馨子所長は、「風疹の流行は突然やってくるので事前の備えが必要だ」と話しています。
 「風疹をなくそうの会」共同代表の岐阜市の可児佳代さんは、妊娠中に風疹にかかり、CRSで心臓病や難聴、白内障を抱えた18歳の娘を亡くしました。「子育て世代ではないので関係ないと思わず、無料で受けられる最後のチャンスなので検査と接種を検討してほしい」と訴えました。

 2024年11月4日(月)

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■32の国立大学病院が赤字見込みに、赤字総額は260億円と前年の4倍超 [健康ダイジェスト]

 国立大学病院長会議は10月4日、今年度(2024年度)における国立大学病院全体の経常損失額が昨年度を大幅に上回る260億円にもなる見込み(速報値)を、東京都で開いた第3回記者会見で発表しました。人件費だけで20億円以上の赤字となる大学病院もあり、土日・祝日を返上して診療する大学病院も出始めました。同会議会長の大鳥精司氏(千葉大学病院病院長)は、大学病院がなくなることにもなりかねないとの危機感を募らせました。
 同会議は今年7月、昨年度の国立大学病院全体の経常損失額が60億円となったことを発表しました。しかし今年度はその比ではありません。42ある国立大学病院のうち赤字は昨年度の22大学病院から32大学病院へと拡大し、総額260億円もの赤字となる見込みです。
 大鳥氏は、大幅な赤字拡大の背景要因として次の支出増加を挙げた。(1)高額な医薬品、材料の使用料増による医療費、(2)エネルギー価格高騰に伴う光熱費、(3)働き方改革に伴う処遇改善による人権費、(4)物価高騰による業務委託費や老朽化に伴う施設・設備への投資。
 中でも医師の働き方改革により労働時間が可視化されたことで支払うべき人件費が昨年度に比べ343億円増加、規模が大きい国立大学病院の施設・設備への投資は64億円増加しました。
 ベースアップ評価料、入院基本料など診療報酬改定による108億円の増収見込みに対し、人件費の支出は3倍超と上回る見込みです。国は地域医療介護総合確保基金として財政支援を行っているものの、自治体ごとに積算方法が異なったり支援額に差が生じたりしており、基金確保に向け自治体との折衝が求められています。
 病院長らは地域医療を担う国立大学病院としての生き残りに頭を抱えています。今年9月以降の3日以上の連休対応に関するアンケートを実施したところ、44大学病院中15大学病院が診療を決定または検討中と回答していました。そのうち手術の実施予定は10大学病院で、通常診療を予定との回答は2大学病院でした。9月の連休に手術などを行った施設もあり、「休日診療の実施は少しでも何とかしたいという病院長の願いだ」との声が上がりました。
 大鳥氏は、「これまで臨床を行わない土日・祝日は、研究や論文執筆などに充ててきた」「病院経営に占める診療の割合は重要だが、増やすことで相対的に大学病院の研究力が低下している」と指摘しました。
 同氏は私見と断った上で、今後の国立大学病院の行方に言及。「体力がない大学病院は、高度医療を中止する、診療科を閉鎖するなど、医療を縮小せざるを得ない。地域によっては国立大学病院を中心とした医療圏もあり、国立大学病院がなくなることで医療崩壊が起こる可能性もある」と訴えました。

 2024年11月3日(日)

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