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■用語 口腔粘膜粘液嚢胞  [用語(こ)]

[キスマーク]主に下唇の粘膜側に生じる半透明のドーム状隆起
 口腔粘膜粘液嚢胞(こうくうねんまくねんえきのうほう)とは、主に下唇の粘膜側に、水膨れのような半透明のドーム状隆起が生じる疾患。
 唾液(だえき)の流出障害によって起こり、唾液腺(せん)本体がはれるためにドーム状隆起が生じます。唾液は主に、大唾液腺と呼ばれる耳下腺、舌下腺、顎下(がっか)腺から分泌されますが、口唇や舌、頬(ほお)粘膜には小唾液腺と呼ばれる組織が多数存在しており、各々の唾液腺には唾液を出す細い管が存在します。大唾液腺での発症より、小唾液腺で高い頻度で発症する疾患ですが、唾液腺が存在する部位であれば口腔内のどの部位にでも発症する可能性があります。
 口腔粘膜粘液嚢胞の原因や誘因として、唾液を口腔内に流すホースの役目をする部位である唾液腺導管の閉塞(へいそく)、慢性外傷、慢性炎症、異物の存在が挙げられます。これらにより唾液が正常に流出できず、唾液腺導管の中に唾液がたまって粘膜の下に水風船のようなものができることで、水膨れのような半透明のドーム状隆起が生じます。
 内容液が透けて見え、触ると軟らかく、大きさは直径2ミリから10ミリ以上になることもありますが、はれても無痛性であることがほとんどです。隆起の表面は白くふやけていることも多いのですが、逆に周囲よりも赤く見えることもあります。
 特に下唇の裏側の粘膜に生じる頻度が高く、歯でかんだり傷付けたりと慢性的に外傷を受けやすい部位であるためと見なされます。自然に破れて内容液が流出し消失することもありますが、時間が経つと再発することもあります。
 皮膚科などを受診し、診断を確定した上で、治療するかどうかを相談してください。
[キスマーク]口腔粘膜粘液嚢胞の検査と診断と治療 
 皮膚科、皮膚泌尿器科、内科、口腔外科、歯科口腔外科などの医師による診断では、通常、見た目で診断できます。針を刺す穿刺(せんし)をすれば、黄色調で透明なゼリー状の粘液が排出されます。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、内科、口腔外科、歯科口腔外科などの医師による治療では、診断が確定すれば、放置しておいて差し支えありません。
 口腔内にできる粘液嚢胞は、それ自体が悪性の腫瘍(しゅよう)など病的なものではなく、放置しても二次的な疾患を生じることはありません。ドーム状隆起が自然に消えていくこともあるため、普段の生活で邪魔でなければ、無治療で経過観察しても構いません。
 ただ、放置しておくと粘液嚢胞が大きくなって生活に支障が出たり、歯が当たってまた膨れてくるというように再発を繰り返す場合もあり、根本的に治したい場合は、はれた唾液腺本体である粘液嚢胞を手術で摘出します。
 摘出が終わった後は傷口を糸で縫いますので、10日ほどに後に受診してもらって糸を取ります。最初はしこりが残ったり、手術した周囲にしびれが残ったりすることがありますが、ほとんどのケースでは時間とともに、しびれの範囲が小さくなります。




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■用語 光線性口唇炎 [用語(こ)]

[晴れ]日光照射が原因で生じる光線角化症が口唇に生じたもの
 光線性口唇炎とは、長い年月にわたって日光に当たったことが原因で生じる口唇炎の一種。日光口唇炎、慢性日光口唇炎とも呼ばれます。
 太陽の光線である日光に含まれる紫外線を受けやすい顔面、耳、前腕、手の甲、頭部の皮膚に好発する光線角化症(日光角化症)が口唇に生じたもので、炎症性疾患ではなく腫瘍(しゅよう)性病変で、前がん性の皮膚変化と考えられています。
 光線角化症が有棘(ゆうきょく)細胞がんにまで発展するケースは1%と見なされているのに対して、光線性口唇炎は有棘細胞がんにまで発展するケースが11%の可能性があるとの報告もあり、発症した場合には、高リスク型の前がん性の皮膚変化と認識した上で、適切に管理することが不可欠となります。
 光線角化症は、長年にわたって慢性的に日光に含まれる紫外線、特に中波長紫外線を受けることにより、皮膚の表皮細胞のDNAに傷ができるのが、その原因と考えられています。
 日光に含まれる紫外線は肉眼では見えませんが、皮膚に最も大きな影響を与えます。体がビタミンDを作り出すのを助ける働きがあるので、少量ならば紫外線は有益なものの、大量に浴びると遺伝物質であるDNAが損傷を受け、皮膚細胞が作り出す化学物質の量と種類が変わってしまうのです。
 とりわけ口唇は人のみにみられる特殊な皮膚とされ、組織学的にも汗腺(かんせん)や毛包などの皮膚付属器を欠如しています。また、メラニンという皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイトは少なく、皮膚の最も表面にあってケラチンからなる角質層(角層)は薄いといった組織的特徴があります。
 これらの組織的な理由に加え、人は直立するため、最も紫外線を多く有する真昼の直射日光を口唇、特に下唇は垂直に浴びることになり、下唇は紫外線の影響を強く受けると考えられます。
 ゆえに、光線性口唇炎にかかると、表皮基底細胞層での異常増殖が生じるため、主に下唇が赤くはれ、膨張したり、水疱(すいほう)となったりします。膨張や水疱とならなかった場合には、下唇が全体にわたってひび割れを起こしたり、かさかさと乾燥したり、かさぶたができたり、出血したりする症状もみられます。
 水疱や乾燥によるかゆみの誘発や、水疱が破れた時の痛みも症状の1つです。ヒリヒリとした痛みが続くこともあり、苦痛を感じます。
 口唇の表層の角質層がダメージを受けるため、バリア機能が正常に作用せず、唾液(だえき)や飲み物などの刺激によって強い痛みを感じることも少なくありません。また、口唇周囲の皮膚にまで症状が波及することもあります。
 発症者は中高年層がほとんどで、男性のほうが女性より多い傾向があります。女性に少ない理由は、戸外の労働が男性よりも少ないため紫外線の蓄積照射量が少ないこと、口紅の使用によって紫外線が防御されることが挙げられています。
[晴れ]光線性口唇炎の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、目視での口唇の視診と患者への問診が主な方法になります。問診では、症状が出始めた時期、アレルギーの有無、過去の病歴などをカウンセリング方式で質問していきます。
 口唇の回りの部位にも何らかの症状が出ていないか視診し、場合によっては口腔(こうくう)内も検査対象になります。
 光線性口唇炎自体は生命に問題はないものの、有棘細胞がんに発展すれば、その予後は不良であるため、診断は有棘細胞がんの発生の予防につながるという意味で重要です。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、通常、局所麻酔は行わず、液体窒素を浸した綿棒などを腫瘍性病変に押し付けて凍結、壊死させて除去する凍結療法を施します。簡便な処置法ですが、凍結時にかなり強い痛みを伴います。また、多くの場合、数回の処置が必要となります。
 高齢者では、液体窒素による凍結療法やCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)照射なども行います。
 有棘細胞がんに発展している可能性がある場合は、局所麻酔を行い、腫瘍性病変をメスで切除する外科切除を施します。下唇全体を筋層上で切除した場合は、後面の口唇粘膜を1センチほど剥離(はくり)して、引き上げるように下唇の皮膚と単純縫合します。
 薬物療法として、抗がん剤の1種であるフルオロウラシル入りのローションやクリーム、またはイミキモド(ベセルナクリーム)を腫瘍性病変に塗ることもあります。フルオロウラシル入りのローションやクリームは、1日2回単純に塗布するか、1日1回塗布後にラップ類で密封します。イミキモドは、1日1回、週3回、患部に直接塗布します。
 薬物療法は、塗り薬の副作用で皮膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがありますが、治療に伴うものであるため頻度を調節して継続すると、多くは症状が軽快します。
 治療後は、再発の予防のため、口唇への長時間の直射日光照射を避けることも重要で、サンスクリーン剤(日焼け止め化粧品)の使用が勧められます。

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■用語 光線角化症 [用語(こ)]

[晴れ]長期間、紫外線を受けて起こる前がん性の皮膚変化
 光線角化症とは、長い年月にわたって日光紫外線を受けたことが原因で起こる前がん性の皮膚変化。日光角化症、老人性角化腫(しゅ)とも呼ばれます。
 日光紫外線を受けやすい顔面、耳、前腕、手の甲の皮膚、頭部に好発します。直射日光を受けて急性に起こるいわゆる日焼けとは異なり、長い年月にわたって慢性的に日光紫外線、特に中波長紫外線を受けることにより表皮細胞のDNAに傷ができるのが、その原因と考えられています。
 日光に含まれる紫外線は肉眼では見えませんが、皮膚に最も大きな影響を与えます。体がビタミンDを作り出すのを助ける働きがあるので、少量ならば紫外線は有益なものの、大量に浴びると遺伝物質であるDNAが損傷を受け、皮膚細胞が作り出す化学物質の量と種類が変わってしまうのです。
 発症者の年齢は、中高年層がほとんど。性差は、やや男性に多い傾向があります。日焼けの際に皮膚に紅斑(こうはん)を生じやすい人のほうが、褐色変化する人よりもなりやすいと見なされています。白色人種に比べて黒色人種、黄色人種では発症率が低く、日本人での発症率については沖縄県が高いという報告もあります。
 症状としては、黄褐色のかさぶたを伴う大きさ1〜3cmの紅褐色の皮疹(ひしん)が現れることが多く、角化した部分はかさかさしたうろこ状となり、ぼろぼろむけます。色が濃くなったり、灰色がかったりすることもあり、触れると硬く感じられます。周囲の皮膚は薄くなり、多少の赤みがあります。皮疹が1カ所だけにできることも、複数の部位にできることもあります。
 軽度のかゆみを訴えるケースもありますが、皮疹以外に自覚症状を来すことはまれ。皮疹は自然に消えることもあれば、同じ部位や別の部位に再発することもあります。
 老人性のいぼと間違いやすいので注意が必要なものの、前がん性の皮膚変化といっても実際に、扁平(へんぺい)上皮がん、または有棘(ゆうきょく)細胞がんにまで発展するケースは、数パーセントにとどまります。
 有棘細胞がんに発展した場合は、治療せず放置していると命にかかわることもあります。
[晴れ]光線角化症の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、光線角化症では、いぼ(脂漏性角化症あるいは尋常性疣贅〔ゆうぜい〕)などと紛らわしいことがありますので、疑わしい場合は病変の一部を切り取って組織検査をする皮膚生検を行います。
 組織所見に基づいて、光線角化症を委縮性、ボーエン病様、棘(きょく)融解性、肥厚性、色素性に分類することもあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、通常、局所麻酔は行わず、液体窒素を浸した綿棒などを病変に押し付けて凍結、壊死させて除去する凍結療法を施します。簡便な処置法ですが、凍結時にかなり強い痛みを伴います。また、多くの場合、数回の処置が必要となります。
 高齢者や角化部分の多発例では、液体窒素による凍結療法やCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)照射なども行います。
 角化傾向の強い病変の場合や、有棘細胞がんに発展している可能性がある場合は、局所麻酔を行い、病変をメスで切除する外科切除を施します。
 薬物療法として、抗がん剤の1種であるフルオロウラシル入りのローションやクリーム、またはイミキモド(ベセルナクリーム)を病変に塗ることもあります。フルオロウラシル入りのローションやクリームは、1日2回単純に塗布するか、1日1回塗布後にラップ類で密封します。イミキモドは、1日1回、週3回、自分で患部に直接塗布します。薬物療法は、塗り薬の副作用で皮膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがありますが、治療に伴うものであるため頻度を調節して継続します。
 治療後も、外科切除の取り残しがないことや再発の有無をみるため、定期的な経過観察が必要です。
 日常生活での注意点としては、一見正常にみえる皮膚も日光紫外線のダメージをすでに受けているので、新たな病巣を生じないためにも、サンスクリーンを使用するとともに帽子などで直射日光を避けるようにします。日光の紫外線が最も強いのは、1日の中では午前10時から午後3時までの日中、季節では夏、地域では海抜の高い場所です。

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■用語 溝状舌 [用語(こ)]

[キスマーク]舌の表面に多数の溝が形成されている状態
 溝状舌(こうじょうぜつ)とは、舌の表面に多数の溝(みぞ)が形成されている状態で、しばしば左右の側面に対称的に溝が生じます。皺襞舌(しゅうへきぜつ)とも呼ばれます。
 ほとんどは先天性で、染色体の異常によって生じるダウン症候群では80%に確認されます。一方で何らかの全身疾患の症状として生じることもあり、虫歯が悪化して発症するメルカーソン・ローゼンタール症候群では前兆現象として出現することもあります。
 舌の表面に溝、あるいは亀裂(きれつ)、しわができる原因は、わかっていません。人によって舌にできる溝の数や走行方向、深さなどに違いがあり、特定の形状の溝ができるという法則がないことが一因として考えられます。
 溝状舌には、遺伝性である先天性溝状舌と、全身疾患や外傷感染、口腔(こうくう)乾燥などが原因で生じる後天性溝状舌があります。
 ほとんどが先天性溝状舌とされており、これは形成異常、奇形、変型症といった疾患に分類されます。
 一方、後天性溝状舌は、小児期にはまれで、青年期で増加して症状も顕著になり、老年期が最も多く、加齢とともに頻度が上昇するのが特徴です。
 後天性溝状舌は、舌炎や外傷、ビタミン欠乏症、メルカーソン・ローゼンタール症候群などの全身疾患に付随して起こることもあります。メルカーソン・ローゼンタール症候群では、再発性顔面神経まひ、肉芽腫(にくげしゅ)性口唇炎とともに溝状舌を併発することがあります。高齢者では、免疫力や唾液(だえき)分泌量の低下による口腔衛生状況の悪化が切っ掛けで、発症しやすくなるともいわれています。
 舌の表面の形成異常のためほぼ無症状で、発声、味覚、嚥下(えんげ)機能などの舌の諸機能に対する影響もありません。
 溝状舌による溝は幅が狭く、安静時には溝が密着しているため、歯磨きやうがいによる清掃が不十分だと細菌の増殖や炎症などが生じ、口臭、痛み、味覚障害や運動障害が生じる場合があります。
 また、舌ブラシで舌の表面を強くこすりすぎて粘膜を損傷したために、痛みが生じる場合もあります。舌の表面の粘膜にある多数の微小な小突起である舌乳頭の発達が不良で、舌の表面に淡紅色の地図のような1ミリから3ミリの模様が見られる地図状舌を合併していることも多く見受けられます。
[サーチ(調べる)]溝状舌の検査と診断と治療
 歯科口腔外科、口腔内科などの医師による診断では、舌の表面に特徴的な形成異常が出現するため、基本的には視診と問診を実施します。
 ほとんどの場合では、組織の一部を採取し顕微鏡で調べる生検は不要とされていますが、全身疾患の関与が考えられる場合や、症状がひどい場合には、生検を実施することもあります。
 歯科口腔外科、口腔内科などの医師による治療では、症状がない場合の溝状舌は正常範囲と考え、処置を施しません。
 しかし、溝に舌苔(ぜったい)がたまって細菌が付着しやすいため、日ごろから溝の内部が不潔にならないように、舌ブラシなどを用いて舌の表面を清掃したり、マウスウォッシュ(洗口液)を用いて口腔内の清潔を保つことが重要です。
 炎症のため症状がある場合には、殺菌効果のあるうがい薬(イソジンガーグルなど)が効果的です。

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